【解決手段】被験者由来の核酸を用いて、当該被験者の特定の64個のSNPからなる群より選択される1個以上のSNPの遺伝子型、及び/又はHLA遺伝子の遺伝子型をタイピングするタイピング工程と、前記タイピング工程により得られたタイピング結果に基づき、前記被験者の眼合併症を伴う重症薬疹の発症リスクを評価する評価工程と、を有することを特徴とする、眼合併症を伴う重症薬疹の発症リスクの評価方法。
被験者由来の核酸を用いて、当該被験者のrs4687960、rs1435653、rs11926371、rs9840095、rs394290、rs11153964、rs2294839、rs7010748、rs7828925、rs10897326、rs4963361、rs9667913、rs10772898、rs1555278、rs6021911、rs4809905、rs6096940、rs1474794、rs6068268、rs4652974、rs539322、rs10783115、rs12143501、rs10800873、rs1223742、rs6696223、rs2678286、rs6732571、rs13061546、rs1922836、rs1363285、rs13167735、rs12201938、rs12664194、rs7764800、rs9483590、rs897693、rs4917014、rs10276619、rs4917129、rs12672431、rs687836、rs3779866、rs6994029、rs11252692、rs2254322、rs11012496、rs12256363、rs7314409、rs4761639、rs7335931、rs6572982、rs8038172、rs1706377、rs7169360、rs6494206、rs16948512、rs385270、rs7265535、rs6033377、rs6041271、rs35880718、rs1479569、及びrs276919からなる群より選択される1個以上の一塩基多型(SNP)の遺伝子型、及び/又はHLA遺伝子の遺伝子型をタイピングするタイピング工程と、
前記タイピング工程により得られたタイピング結果に基づき、前記被験者の眼合併症を伴う重症薬疹の発症リスクを評価する評価工程と、
を有することを特徴とする、眼合併症を伴う重症薬疹の発症リスクの評価方法。
前記タイピング工程におけるタイピング結果が、HLA遺伝子の遺伝子型が、B*13:01又はB*15:01である場合に、アセトアミノフェンに起因する重症薬疹の発症リスクが高いと評価する、請求項1に記載の眼合併症を伴う重症薬疹の発症リスクの評価方法。
前記タイピング工程におけるタイピング結果が、HLA遺伝子の遺伝子型が、B*46:01である場合に、ロキソプロフェンに起因する重症薬疹の発症リスクが高いと評価する、請求項1に記載の眼合併症を伴う重症薬疹の発症リスクの評価方法。
rs4687960の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs1435653の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs11926371の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs9840095の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs394290の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs11153964の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs2294839の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs7010748の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs7828925の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs10897326の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs4963361の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs9667913の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs10772898の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs1555278の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs6021911の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs4809905の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs6096940の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs1474794の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs6068268の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs4652974の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs539322の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs10783115の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs12143501の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs10800873の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs1223742の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs6696223の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs2678286の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs6732571の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs13061546の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs1922836の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs1363285の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs13167735の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs12201938の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs12664194の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs7764800の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs9483590の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs897693の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs4917014の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs10276619の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs4917129の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs12672431の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs687836の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs3779866の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs6994029の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs11252692の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs2254322の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs11012496の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs12256363の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs7314409の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs4761639の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs7335931の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs6572982の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs8038172の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs1706377の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs7169360の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs6494206の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs16948512の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs385270の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs7265535の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs6033377の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs6041271の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs35880718の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、rs1479569の遺伝子型をタイピングするための核酸分子、及び、rs276919の遺伝子型をタイピングするための核酸分子からなる群より選択される1個以上を含むことを特徴とする、重症薬疹の発症リスクの評価キット。
rs4687960、rs1435653、rs11926371、rs9840095、rs394290、rs11153964、rs2294839、rs7010748、rs7828925、rs10897326、rs4963361、rs9667913、rs10772898、rs1555278、rs6021911、rs4809905、rs6096940、rs1474794、rs6068268、rs4652974、rs539322、rs10783115、rs12143501、rs10800873、rs1223742、rs6696223、rs2678286、rs6732571、rs13061546、rs1922836、rs1363285、rs13167735、rs12201938、rs12664194、rs7764800、rs9483590、rs897693、rs4917014、rs10276619、rs4917129、rs12672431、rs687836、rs3779866、rs6994029、rs11252692、rs2254322、rs11012496、rs12256363、rs7314409、rs4761639、rs7335931、rs6572982、rs8038172、rs1706377、rs7169360、rs6494206、rs16948512、rs385270、rs7265535、rs6033377、rs6041271、rs35880718、rs1479569、及びrs276919からなる群より選択される1個以上のSNPの遺伝子型、及び/又はHLA遺伝子の遺伝子型について、それぞれ危険度数値及び重み付係数を予め設定し、
被験者の眼合併症を伴う重症薬疹の発症リスクを、眼合併症を伴う重症薬疹の発症リスクが高いと評価される遺伝子型の重み付係数を乗じた危険度数値の合算値と、眼合併症を伴う重症薬疹の発症リスクが低いと評価される遺伝子型の重み付係数を乗じた危険度数値の合算値との差に基づいて予測することを特徴とする、眼合併症を伴う重症薬疹の発症リスクの予測方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明及び本願明細書において、「眼合併症を伴う重症薬疹の発症リスク」とは、薬剤を服用した際に、眼合併症を伴う重症薬疹を発症するリスク(危険率)をいう。具体的には、粘膜を含む皮膚に、重篤な皮膚症状(例えば、紅斑、水疱、びらん等の壊死性障害による変化)が見られ、眼にも重篤な結膜炎が発症する状態へのなり易さをいう。眼合併症を伴う重症薬疹としては、主に、SJSとTENが挙げられる。なお、以下において、「眼合併症を伴う重症薬疹の発症リスク」は、単に「発症リスク」ということがある。
【0012】
本発明及び本願明細書において、「rsXXXXXX(Xは任意の数字)」は、NCBI(National Center for Biotechnology Information)のSNPデータベース(dbSNP BUILD124)のリファレンス番号を示す。
【0013】
本発明及び本願明細書において、「一塩基多型(SNP)をタイピングする」とは、当該SNPが、A(アデニン)であるか、G(グアニン)であるか、C(シトシン)であるか。T(チミン)であるかを特定することを意味する。
【0014】
また、本発明及び本願明細書においてアレルとは、ある多型部位において取りうる、互いに異なる塩基を有するそれぞれの型を言う。本明細書において遺伝子型とは、ある多型部位において、対立するアレルの組み合わせを言う。さらに、ある多型部位において、対立するアレルの組み合わせである遺伝子型には3つの型があり、同じアレルの組み合わせをホモ型とよび、異なるアレルの組み合わせをヘテロ型とよぶ。
【0015】
本発明及び本願明細書において、ハイリスクアレルとは、眼合併症を伴う重症薬疹と関連する一塩基多型の各アレルのうち、眼合併症を伴う重症薬疹の患者群において非患者群より頻度が高いアレルをいう。一方、本発明及び本願明細書においてローリスクアレルとは、ある多型部位においてハイリスクアレルに対立するアレルをいう。
【0016】
本発明に係る重症薬疹の発症リスクの評価方法(以下、「本発明に係るリスク評価方法」ということがある。)は、被検者のゲノム上の特定の64個のSNPのうちの少なくとも1つ、及び/又はHLA(ヒト白血球型抗原)遺伝子の遺伝子型をタイピングし、その遺伝子型に基づいて、眼合併症を伴う重症薬疹の発症リスクを評価することを特徴とする。本発明においてリスク評価に用いられる64個のSNPは、後記実施例1及び2において述べるように、総合感冒薬や解熱鎮痛薬等の風邪薬が誘因となって発症したと推定される眼合併症を伴うSJS/TEN患者群と健常者群のSNPを網羅的に解析し、健常者群よりもSJS/TEN患者群のほうが統計学的に有意に頻度が高かったものである。また、後記実施例3において述べるように、総合感冒薬や解熱鎮痛薬等の風邪薬が誘因となって発症したと推定される眼合併症を伴うSJS/TEN患者群と健常者群のHLA遺伝子の遺伝子型を解析したところ、特定の遺伝子型が、健常者群よりもSJS/TEN患者群のほうが統計学的に有意に頻度が高かった。このため、本発明に係るリスク評価方法は、重症薬疹のうち、風邪薬が誘因となり、眼合併症を伴うSJS/TENの発症リスクについての評価に特に好適である。また、前記64個のSNP及びHLA遺伝子を特定した解析における患者群及び健常者群は、いずれも日本人であったことから、本発明に係るリスク評価方法は、被験者が日本人である場合に特に有効である。
【0017】
本発明に係るリスク評価方法により、発症リスクが高いと評価された被験者は、SJS/TEN等の重症薬疹に対する予防措置を講じることができる。また、発症リスクが高いと評価された被験者は、医師の指導の下、薬剤服用に十分な注意を事前に払うことができ、また重症薬疹が発症した場合に速やかに治療を開始することができる。
【0018】
具体的には、本発明に係るリスク評価方法は、下記のタイピング工程と評価工程とを有する。
被験者由来の核酸を用いて、当該被験者の特定の64個のSNPからなる群より選択される1個以上のSNPの遺伝子型、及び/又はHLA遺伝子の遺伝子型をタイピングするタイピング工程。
前記タイピング工程により得られたタイピング結果に基づき、前記被験者の眼合併症を伴う重症薬疹の発症リスクを評価する評価工程。
【0019】
本発明に係るリスク評価方法において、眼合併症を伴う重症薬疹の発症リスクマーカーとして用いる64のSNPは、rs4687960、rs1435653、rs11926371、rs9840095、rs394290、rs11153964、rs2294839、rs7010748、rs7828925、rs10897326、rs4963361、rs9667913、rs10772898、rs1555278、rs6021911、rs4809905、rs6096940、rs1474794、rs6068268、rs4652974、rs539322、rs10783115、rs12143501、rs10800873、rs1223742、rs6696223、rs2678286、rs6732571、rs13061546、rs1922836、rs1363285、rs13167735、rs12201938、rs12664194、rs7764800、rs9483590、rs897693、rs4917014、rs10276619、rs4917129、rs12672431、rs687836、rs3779866、rs6994029、rs11252692、rs2254322、rs11012496、rs12256363、rs7314409、rs4761639、rs7335931、rs6572982、rs8038172、rs1706377、rs7169360、rs6494206、rs16948512、rs385270、rs7265535、rs6033377、rs6041271、rs35880718、rs1479569、及びrs276919である。各SNPを表1〜3に示す。表1〜3中、括弧内の塩基がSNPである。
【0023】
rs4687960は、ヒト第3染色体に位置するIGSF11(immunoglobulin superfamily,member 11)のイントロンにあるSNPであり、C(シトシン)/T(チミン)多型である。rs4687960のCアレルの塩基配列を配列番号1に表す。配列番号1の塩基配列において、27番目の塩基がrs4687960に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号1の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0024】
後記実施例1の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs4687960において、Tアレルを保有しているヒトのほうが、Cアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs4687960の遺伝子型がTT型のヒトが、TC型やCC型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs4687960がTアレルを持つ場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Tアレルを持たない場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。より好ましくは、被験者のrs4687960がTT型であった場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、TC型又はCC型であった場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0025】
rs1435653は、ヒト第3染色体に位置するIGSF11のイントロンにあるSNPであり、G(グアニン)/T多型である。rs1435653のGアレルの塩基配列を配列番号2に表す。配列番号2の塩基配列において、27番目の塩基がrs1435653に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号2の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0026】
後記実施例1の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs1435653において、Gアレルを保有しているヒトのほうが、Tアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs1435653の遺伝子型がGG型のヒトが、TG型やTT型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs1435653がGアレルを持つ場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Gアレルを持たない場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。より好ましくは、被験者のrs1435653がGG型であった場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、TG型又はTT型であった場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0027】
rs11926371は、ヒト第3染色体に位置するIGSF11のイントロンにあるSNPであり、A(アデニン)/G多型である。rs11926371のAアレルの塩基配列を配列番号3に表す。配列番号3の塩基配列において、27番目の塩基がrs11926371に相当する。すなわち、Gアレルの場合は、配列番号3の塩基配列の27番目の塩基がGである。
【0028】
後記実施例1の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs11926371において、Gアレルを保有しているヒトのほうが、Aアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs11926371の遺伝子型がGG型のヒトが、GA型やAA型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs11926371がGアレルを持つ場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Gアレルを持たない場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。より好ましくは、被験者のrs11926371がGG型であった場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、GA型又はAA型であった場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0029】
rs9840095は、ヒト第3染色体に位置するIGSF11のイントロンにあるSNPであり、C/T多型である。rs9840095のCアレルの塩基配列を配列番号4に表す。配列番号4の塩基配列において、27番目の塩基がrs9840095に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号4の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0030】
後記実施例1の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs9840095において、Tアレルを保有しているヒトのほうが、Cアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs9840095の遺伝子型がTT型のヒトが、TC型やCC型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs9840095がTアレルを持つ場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Tアレルを持たない場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。より好ましくは、被験者のrs9840095がTT型であった場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、TC型又はCC型であった場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0031】
rs394290は、ヒト第5染色体に位置するSEMA5A〔sema domain,seven thrombospondin repeats (type 1 and type 1−like), transmembrane domain (TM) and short cytoplasmic domain,(sem)〕の下流配列にあるSNPであり、C/T多型である。rs394290のCアレルの塩基配列を配列番号5に表す。配列番号5の塩基配列において、27番目の塩基がrs394290に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号5の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0032】
後記実施例1の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs394290において、Cアレルを保有しているヒトのほうが、Tアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs394290の遺伝子型がCC型やTC型のヒトが、TT型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs394290がCアレルを持つ場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Cアレルを持たない場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。より好ましくは、被験者のrs394290がCC型であった場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、TC型又はTT型であった場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0033】
rs11153964は、ヒト第6染色体に位置するFUT9〔fucosyltransferase 9 (alpha (1,3) fucosyltransferase)〕の上流配列にあるSNPであり、G/T多型である。rs11153964のGアレルの塩基配列を配列番号6に表す。配列番号6の塩基配列において、27番目の塩基がrs11153964に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号6の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0034】
後記実施例1の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs11153964において、Tアレルを保有しているヒトのほうが、Gアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs11153964の遺伝子型がTT型又はGT型のヒトが、GG型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs11153964がTアレルを持つ場合(すなわち、TT型又はGT型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Tアレルを持たない場合(すなわち、GG型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0035】
rs2294839は、ヒト第6染色体に位置するFUT9の上流配列にあるSNPであり、C/T多型である。rs2294839のCアレルの塩基配列を配列番号7に表す。配列番号7の塩基配列において、27番目の塩基がrs2294839に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号7の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0036】
後記実施例1の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs2294839において、Cアレルを保有しているヒトのほうが、Tアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs2294839の遺伝子型がCC型又はTC型のヒトが、TT型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs2294839がCアレルを持つ場合(すなわち、CC型又はTC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Cアレルを持たない場合(すなわち、TT型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0037】
rs7010748は、ヒト第8染色体に位置するMYOM2(myomesin (M−protein) 2,165kDa)の上流配列にあるSNPであり、A/G多型である。rs7010748のAアレルの塩基配列を配列番号8に表す。配列番号8の塩基配列において、27番目の塩基がrs7010748に相当する。すなわち、Gアレルの場合は、配列番号8の塩基配列の27番目の塩基がGである。
【0038】
後記実施例1の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs7010748において、Aアレルを保有しているヒトのほうが、Gアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs7010748の遺伝子型がAA型のヒトが、GG型又はAG型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs7010748がAアレルを持つ場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Aアレルを持たない場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。より好ましくは、被験者のrs7010748がAA型であった場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、GG型又はAG型であった場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0039】
rs7828925は、ヒト第8染色体に位置するMYOM2の上流配列にあるSNPであり、C/G多型である。rs7828925のCアレルの塩基配列を配列番号9に表す。配列番号9の塩基配列において、27番目の塩基がrs7828925に相当する。すなわち、Gアレルの場合は、配列番号9の塩基配列の27番目の塩基がGである。
【0040】
後記実施例1の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs7828925において、Gアレルを保有しているヒトのほうが、Cアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs7828925の遺伝子型がGG型のヒトが、CC型又はGC型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs7828925がGアレルを持つ場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Gアレルを持たない場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。より好ましくは、被験者のrs7828925がGG型であった場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、CC型又はGC型であった場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0041】
rs10897326は、ヒト第11染色体に位置するSLC22A24(solute carrier family 22,member 24)の下流配列にあるSNPであり、C/T多型である。rs10897326のCアレルの塩基配列を配列番号10に表す。配列番号10の塩基配列において、27番目の塩基がrs10897326に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号10の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0042】
後記実施例1の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs10897326において、Tアレルを保有しているヒトのほうが、Cアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs10897326の遺伝子型がTT型のヒトが、CC型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs10897326がTアレルを持つ場合(すなわち、TT型又はTC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Tアレルを持たないあ場合(すなわち、CC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0043】
rs4963361は、ヒト第11染色体に位置するSLC22A24のイントロンにあるSNPであり、A/C多型である。rs4963361のAアレルの塩基配列を配列番号11に表す。配列番号11の塩基配列において、27番目の塩基がrs4963361に相当する。すなわち、Cアレルの場合は、配列番号11の塩基配列の27番目の塩基がCである。
【0044】
後記実施例1の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs4963361において、Cアレルを保有しているヒトのほうが、Aアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs4963361の遺伝子型がCC型又はAC型のヒトが、AA型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs4963361がCアレルを持つ場合(すなわち、CC型又はAC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Cアレルを持たない場合(すなわち、AA型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0045】
rs9667913は、ヒト第11染色体に位置するCCDC81(coiled−coil domain containing 81)の上流配列にあるSNPであり、A/G多型である。rs9667913のAアレルの塩基配列を配列番号12に表す。配列番号12の塩基配列において、27番目の塩基がrs9667913に相当する。すなわち、Gアレルの場合は、配列番号12の塩基配列の27番目の塩基がGである。
【0046】
後記実施例1の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs9667913において、Aアレルを保有しているヒトのほうが、Gアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs9667913の遺伝子型がAA型のヒトが、GG型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs9667913がAアレルを持つ場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Aアレルを持たない場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。より好ましくは、被験者のrs9667913がAA型であった場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、GG型であった場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0047】
rs10772898は、ヒト第12染色体に位置するSLC15A5(solute carrier family 15,member 5)の下流配列にあるSNPであり、A/G多型である。rs10772898のAアレルの塩基配列を配列番号13に表す。配列番号13の塩基配列において、27番目の塩基がrs10772898に相当する。すなわち、Gアレルの場合は、配列番号13の塩基配列の27番目の塩基がGである。
【0048】
後記実施例1の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs10772898において、Gアレルを保有しているヒトのほうが、Aアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs10772898の遺伝子型がGG型のヒトが、AA型又はAG型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs10772898がGアレルを持つ場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Gアレルを持たない場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。より好ましくは、被験者のrs10772898がGG型であった場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、AA型又はAG型であった場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0049】
rs1555278は、ヒト第20染色体に位置するTSHZ2(teashirt zinc finger homeobox 2)の上流配列にあるSNPであり、C/T多型である。rs1555278のCアレルの塩基配列を配列番号14に表す。配列番号14の塩基配列において、27番目の塩基がrs1555278に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号14の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0050】
後記実施例1の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs1555278において、Cアレルを保有しているヒトのほうが、Tアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs1555278の遺伝子型がCC型のヒトが、TT型又はCT型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs1555278がCアレルを持つ場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Cアレルを持たない場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。より好ましくは、被験者のrs1555278がCC型であった場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、TT型又はCT型であった場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0051】
rs6021911は、ヒト第20染色体に位置するTSHZ2の上流配列にあるSNPであり、A/G多型である。rs6021911のAアレルの塩基配列を配列番号15に表す。配列番号15の塩基配列において、27番目の塩基がrs6021911に相当する。すなわち、Gアレルの場合は、配列番号15の塩基配列の27番目の塩基がGである。
【0052】
後記実施例1の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs6021911において、Aアレルを保有しているヒトのほうが、Gアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs6021911の遺伝子型がAA型のヒトが、GG型又はAG型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs6021911がAアレルを持つ場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Aアレルを持たない場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。より好ましくは、被験者のrs6021911がAA型であった場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、GG型又はAG型であった場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0053】
rs4809905は、ヒト第20染色体に位置するTSHZ2の上流配列にあるSNPであり、A/G多型である。rs4809905のAアレルの塩基配列を配列番号16に表す。配列番号16の塩基配列において、27番目の塩基がrs4809905に相当する。すなわち、Gアレルの場合は、配列番号16の塩基配列の27番目の塩基がGである。
【0054】
後記実施例1の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs4809905において、Gアレルを保有しているヒトのほうが、Aアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs4809905の遺伝子型がGG型のヒトが、AA型又はGA型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs4809905がGアレルを持つ場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Gアレルを持たない場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。より好ましくは、被験者のrs4809905がGG型であった場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、AA型又はGA型であった場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0055】
rs6096940は、ヒト第20染色体に位置するTSHZ2の上流配列にあるSNPであり、A/G多型である。rs6096940のAアレルの塩基配列を配列番号17に表す。配列番号17の塩基配列において、27番目の塩基がrs6096940に相当する。すなわち、Gアレルの場合は、配列番号17の塩基配列の27番目の塩基がGである。
【0056】
後記実施例1の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs6096940において、Aアレルを保有しているヒトのほうが、Gアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs6096940の遺伝子型がAA型のヒトが、GG型又はAG型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs6096940がAアレルを持つ場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Aアレルを持たない場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。より好ましくは、被験者のrs6096940がAA型であった場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、GG型又はAG型であった場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0057】
rs1474794は、ヒト第20染色体に位置するTSHZ2の上流配列にあるSNPであり、C/T多型である。rs1474794のCアレルの塩基配列を配列番号18に表す。配列番号18の塩基配列において、27番目の塩基がrs1474794に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号18の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0058】
後記実施例1の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs1474794において、Cアレルを保有しているヒトのほうが、Tアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs1474794の遺伝子型がCC型のヒトが、TT型又はCT型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs1474794がCアレルを持つ場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Cアレルを持たない場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。より好ましくは、被験者のrs1474794がCC型であった場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、TT型又はCT型であった場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0059】
rs6068268は、ヒト第20染色体に位置するTSHZ2の上流配列にあるSNPであり、C/T多型である。rs6068268のCアレルの塩基配列を配列番号19に表す。配列番号19の塩基配列において、27番目の塩基がrs6068268に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号19の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0060】
後記実施例1の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs6068268において、Cアレルを保有しているヒトのほうが、Tアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs6068268の遺伝子型がCC型のヒトが、TT型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs6068268がCアレルを持つ場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Cアレルを持たない場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。より好ましくは、被験者のrs6068268がCC型であった場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、TT型であった場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0061】
IGSF11遺伝子は、胃腸癌や肝細胞癌で高発現しており、癌抗原としてワクチン治療に用いることが期待されている。また、SEMA5Aは、大腸癌やアルコール依存症との関連や、胃癌や肺癌で高発現していることが報告されている。これらの2遺伝子は共に粘膜の癌に関連しており、SJS/TENにおいても粘膜を標的として免疫応答に関与している可能性があると考えられる。
【0062】
FUT9は、糖転移酵素の一種であり、遺伝子多型解析にてマラリアの胎盤感染との関連が報告されている。また、グランザイムB誘導性のアポトーシスで上昇することも報告されている。抗マラリア薬は、眼合併症を伴うSJS/TEN発症の原因薬剤の一つとして知られており、また、SJS/TEN発症には、表皮のアポトーシスが関与していることもわかっている。これらの知見から、SJS/TENの病態にFUT9がかかわっている可能性があると考えらえる。
【0063】
一方で、TSHZ2遺伝子は、サルコイドーシスの発症との関連が報告されており、また、乳癌や前立腺癌の新規の癌抑制遺伝子としても報告されているが、SJS/TENと直接関連するような報告はない。また、TSHZ2遺伝子から少し離れたところにも、SJS/TEN発症と関連する遺伝子多型が複数認められているが、その機能は明らかではない。さらに、SLC22A24遺伝子、CCDC81遺伝子、SLC15A5遺伝子は、いずれもその機能はまだ明らかではない。今後、これらの機能の明らかでない遺伝子の機能の解明に伴い、眼合併症を伴うSJS/TENの病態が明らかとなっていく可能性があると考えらえる。
【0064】
rs4652974は、ヒト第1染色体に位置するCSMD2(CUB and sushi domain−containing protein 2)にあるSNPであり、C/T多型である。rs4652974のCアレルの塩基配列を配列番号20に表す。配列番号20の塩基配列において、27番目の塩基がrs4652974に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号20の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0065】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs4652974において、Tアレルを保有しているヒトのほうが、Cアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs4652974の遺伝子型がTT型やTC型のヒトが、CC型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs4652974がTアレルを持つ場合(すなわち、TT型又はTC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Tアレルを持たない場合(すなわち、CC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0066】
rs539322は、ヒト第1染色体に位置するPDE4B(cAMP−specific 3’,5’−cyclic phosphodiesterase 4B)にあるSNPであり、A/G多型である。rs539322のAアレルの塩基配列を配列番号21に表す。配列番号21の塩基配列において、27番目の塩基がrs539322に相当する。すなわち、Gアレルの場合は、配列番号21の塩基配列の27番目の塩基がGである。
【0067】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs539322において、Aアレルを保有しているヒトのほうが、Gアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs539322の遺伝子型がAA型やAG型のヒトが、GG型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs539322がAアレルを持つ場合(すなわち、AA型又はAG型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Aアレルを持たない場合(すなわち、GG型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0068】
rs10783115は、ヒト第1染色体に位置するPALMD(palmdelphin)にあるSNPであり、G/T多型である。rs10783115のGアレルの塩基配列を配列番号22に表す。配列番号22の塩基配列において、27番目の塩基がrs10783115に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号22の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0069】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs10783115において、Gアレルを保有しているヒトのほうが、Tアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs10783115の遺伝子型がGG型やGT型のヒトが、TT型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs10783115がGアレルを持つ場合(すなわち、GG型又はGT型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Gアレルを持たない場合(すなわち、TT型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0070】
rs12143501は、ヒト第1染色体に位置するDNM3(Dynamin−3)にあるSNPであり、C/T多型である。rs12143501のCアレルの塩基配列を配列番号23に表す。配列番号23の塩基配列において、27番目の塩基がrs12143501に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号23の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0071】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs12143501において、Tアレルを保有しているヒトのほうが、Cアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs12143501の遺伝子型がTT型やTC型のヒトが、CC型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs12143501がTアレルを持つ場合(すなわち、TT型又はTC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Tアレルを持たない場合(すなわち、CC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0072】
rs10800873は、ヒト第1染色体に位置するLOC148709(actin pseudogene)にあるSNPであり、A/C多型である。rs10800873のAアレルの塩基配列を配列番号24に表す。配列番号24の塩基配列において、27番目の塩基がrs10800873に相当する。すなわち、Cアレルの場合は、配列番号24の塩基配列の27番目の塩基がCである。
【0073】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs10800873において、Aアレルを保有しているヒトのほうが、Cアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs10800873の遺伝子型がAA型やAC型のヒトが、CC型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs10800873がAアレルを持つ場合(すなわち、AA型又はAC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Aアレルを持たない場合(すなわち、CC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0074】
rs1223742は、ヒト第1染色体に位置するSMYD2(SET and MYND domain containing 2)にあるSNPであり、C/T多型である。rs1223742のCアレルの塩基配列を配列番号25に表す。配列番号25の塩基配列において、27番目の塩基がrs1223742に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号25の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0075】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs1223742において、Tアレルを保有しているヒトのほうが、Cアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs1223742の遺伝子型がTT型やTC型のヒトが、CC型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs1223742がTアレルを持つ場合(すなわち、TT型又はTC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Tアレルを持たない場合(すなわち、CC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0076】
rs6696223は、ヒト第1染色体に位置するC1orf100(Chromosome 1 open reading frame 100)にあるSNPであり、C/T多型である。rs6696223のCアレルの塩基配列を配列番号26に表す。配列番号26の塩基配列において、27番目の塩基がrs6696223に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号26の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0077】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs6696223において、Tアレルを保有しているヒトのほうが、Cアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs6696223の遺伝子型がTT型やTC型のヒトが、CC型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs6696223がTアレルを持つ場合(すなわち、TT型又はTC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Tアレルを持たない場合(すなわち、CC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0078】
rs2678286は、ヒト第2染色体に位置するMREG(melanoregulin)にあるSNPであり、C/T多型である。rs2678286のCアレルの塩基配列を配列番号27に表す。配列番号27の塩基配列において、27番目の塩基がrs2678286に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号27の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0079】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs2678286において、Tアレルを保有しているヒトのほうが、Cアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs2678286の遺伝子型がTT型やTC型のヒトが、CC型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs2678286がTアレルを持つ場合(すなわち、TT型又はTC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Tアレルを持たない場合(すなわち、CC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0080】
rs6732571は、ヒト第2染色体に位置するACSL3(acyl−CoA synthetase long−chain family member 3)にあるSNPであり、C/T多型である。rs6732571のCアレルの塩基配列を配列番号28に表す。配列番号28の塩基配列において、27番目の塩基がrs6732571に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号28の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0081】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs6732571において、アレルを保有しているヒトのほうが、Tアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs6732571の遺伝子型がCC型のヒトが、TC型やTT型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs6732571がCアレルを持つ場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Cアレルを持たない場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。より好ましくは、被験者のrs6732571がCC型であった場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、TC型又はTT型であった場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0082】
rs13061546は、ヒト第3染色体に位置するSI(sucrase−isomaltase)にあるSNPであり、A/G多型である。rs13061546のAアレルの塩基配列を配列番号29に表す。配列番号29の塩基配列において、27番目の塩基がrs13061546に相当する。すなわち、Gアレルの場合は、配列番号29の塩基配列の27番目の塩基がGである。
【0083】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs13061546において、Aアレルを保有しているヒトのほうが、Gアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs13061546の遺伝子型がAA型やAG型のヒトが、GG型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs13061546がAアレルを持つ場合(すなわち、AA型又はAG型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Aアレルを持たない場合(すなわち、GG型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0084】
rs1922836は、ヒト第4染色体に位置するC4orf37(chromosome 4 open reading frame 37)にあるSNPであり、A/G多型である。rs1922836のAアレルの塩基配列を配列番号30に表す。配列番号30の塩基配列において、27番目の塩基がrs1922836に相当する。すなわち、Gアレルの場合は、配列番号30の塩基配列の27番目の塩基がGである。
【0085】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs1922836において、Aアレルを保有しているヒトのほうが、Cアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs1922836の遺伝子型がAA型やAG型のヒトが、GG型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs1922836がAアレルを持つ場合(すなわち、AA型又はAG型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Aアレルを持たない場合(すなわち、GG型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0086】
rs1363285は、ヒト第5染色体に位置するFLJ42709(uncharacterized LOC441094)にあるSNPであり、C/T多型である。rs1363285のCアレルの塩基配列を配列番号31に表す。配列番号31の塩基配列において、27番目の塩基がrs1363285に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号31の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0087】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs1363285において、Tアレルを保有しているヒトのほうが、Cアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs1363285の遺伝子型がTT型やTC型のヒトが、CC型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs1363285がTアレルを持つ場合(すなわち、TT型又はTC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Tアレルを持たない場合(すなわち、CC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0088】
rs13167735は、ヒト第5染色体に位置するTNFAIP8(tumor necrosis factor, alpha−induced protein 8)にあるSNPであり、C/G多型である。rs13167735のCアレルの塩基配列を配列番号32に表す。配列番号32の塩基配列において、27番目の塩基がrs13167735に相当する。すなわち、Gアレルの場合は、配列番号32の塩基配列の27番目の塩基がGである。
【0089】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs13167735において、Cアレルを保有しているヒトのほうが、Gアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs13167735の遺伝子型がCC型やCG型のヒトが、GG型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs13167735がCアレルを持つ場合(すなわち、CC型又はCG型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Cアレルを持たない場合(すなわち、GG型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0090】
rs12201938は、ヒト第6染色体に位置するRREB1(ras responsive element binding protein 1)にあるSNPであり、A/G多型である。rs12201938のAアレルの塩基配列を配列番号33に表す。配列番号33の塩基配列において、27番目の塩基がrs12201938に相当する。すなわち、Gアレルの場合は、配列番号33の塩基配列の27番目の塩基がGである。
【0091】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs12201938において、Aアレルを保有しているヒトのほうが、Gアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs12201938の遺伝子型がAA型やAG型のヒトが、GG型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs12201938がAアレルを持つ場合(すなわち、AA型又はAG型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Aアレルを持たない場合(すなわち、GG型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0092】
rs12664194は、ヒト第6染色体に位置するMANEA(mannosidase, endo−alpha)にあるSNPであり、A/C多型である。rs12664194のAアレルの塩基配列を配列番号34に表す。配列番号34の塩基配列において、27番目の塩基がrs12664194に相当する。すなわち、Cアレルの場合は、配列番号34の塩基配列の27番目の塩基がCである。
【0093】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs12664194において、Aアレルを保有しているヒトのほうが、Cアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs12664194の遺伝子型がAA型やAC型のヒトが、CC型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs12664194がAアレルを持つ場合(すなわち、AA型又はAC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Aアレルを持たない場合(すなわち、CC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0094】
rs7764800は、ヒト第6染色体に位置するFUT9(fucosyltransferase 9)にあるSNPであり、C/T多型である。rs7764800のCアレルの塩基配列を配列番号35に表す。配列番号35の塩基配列において、27番目の塩基がrs7764800に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号35の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0095】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs7764800において、Tアレルを保有しているヒトのほうが、Cアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs7764800の遺伝子型がTT型やTC型のヒトが、CC型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs7764800がTアレルを持つ場合(すなわち、TT型又はTC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Tアレルを持たない場合(すなわち、CC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0096】
rs9483590は、ヒト第6染色体に位置するTCF21(transcription factor 21)にあるSNPであり、C/T多型である。rs9483590のCアレルの塩基配列を配列番号36に表す。配列番号36の塩基配列において、27番目の塩基がrs9483590に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号36の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0097】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs9483590において、Tアレルを保有しているヒトのほうが、Cアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs9483590の遺伝子型がTT型やTC型のヒトが、CC型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs9483590がTアレルを持つ場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Tアレルを持たない場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。より好ましくは、被験者のrs9483590がTT型であった場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、CC型又はTC型であった場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0098】
rs897693は、ヒト第7染色体に位置するIKZF1(IKAROS family zinc finger 1)にあるSNPであり、C/T多型である。rs897693のCアレルの塩基配列を配列番号37に表す。配列番号37の塩基配列において、27番目の塩基がrs897693に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号37の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0099】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs897693において、Cアレルを保有しているヒトのほうが、Tアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs897693の遺伝子型がCC型やCT型のヒトが、TT型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs897693がCアレルを持つ場合(すなわち、CC型又はCT型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Cアレルを持たない場合(すなわち、TT型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0100】
rs4917014は、ヒト第7染色体に位置するIKZF1にあるSNPであり、G/T多型である。rs4917014のGアレルの塩基配列を配列番号38に表す。配列番号38の塩基配列において、27番目の塩基がrs4917014に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号38の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0101】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs4917014において、Tアレルを保有しているヒトのほうが、Gアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs4917014の遺伝子型がTT型のヒトが、GT型やGG型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs4917014がTアレルを持つ場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Tアレルを持たない場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。より好ましくは、被験者のrs4917014がTT型であった場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、GT型又はGG型であった場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0102】
rs10276619は、ヒト第7染色体に位置するIKZF1にあるSNPであり、A/G多型である。rs10276619のAアレルの塩基配列を配列番号39に表す。配列番号39の塩基配列において、27番目の塩基がrs10276619に相当する。すなわち、Gアレルの場合は、配列番号39の塩基配列の27番目の塩基がGである。
【0103】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs10276619において、Gアレルを保有しているヒトのほうが、Aアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs10276619の遺伝子型がGG型のヒトが、GA型やAA型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs10276619がGアレルを持つ場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Gアレルを持たない場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。より好ましくは、被験者のrs10276619がGG型であった場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、GA型又はAA型であった場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0104】
rs4917129は、ヒト第7染色体に位置するIKZF1にあるSNPであり、C/T多型である。rs4917129のCアレルの塩基配列を配列番号40に表す。配列番号40の塩基配列において、27番目の塩基がrs4917129に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号40の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0105】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs4917129において、Tアレルを保有しているヒトのほうが、Cアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs4917129の遺伝子型がTT型のヒトが、CT型やCC型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs4917129がGアレルを持つ場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Gアレルを持たない場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。より好ましくは、被験者のrs4917129がTT型であった場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、CT型又はCC型であった場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0106】
rs12672431は、ヒト第7染色体に位置するGNAI1(Guanine nucleotide−binding protein G(i) subunit alpha−1)にあるSNPであり、A/G多型である。rs12672431のAアレルの塩基配列を配列番号41に表す。配列番号41の塩基配列において、27番目の塩基がrs12672431に相当する。すなわち、Gアレルの場合は、配列番号41の塩基配列の27番目の塩基がGである。
【0107】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs12672431において、Aアレルを保有しているヒトのほうが、Gアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs12672431の遺伝子型がAA型やAG型のヒトが、GG型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs12672431がAアレルを持つ場合(すなわち、AA型又はAG型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Aアレルを持たない場合(すなわち、GG型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0108】
rs687836は、ヒト第7染色体に位置するDPP6(dipeptidylpeptidase 6)にあるSNPであり、C/T多型である。rs687836のCアレルの塩基配列を配列番号42に表す。配列番号42の塩基配列において、27番目の塩基がrs687836に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号42の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0109】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs687836において、Tアレルを保有しているヒトのほうが、Cアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs687836の遺伝子型がTT型やTC型のヒトが、CC型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs687836がTアレルを持つ場合(すなわち、TT型又はTC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Tアレルを持たない場合(すなわち、CC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0110】
rs3779866は、ヒト第8染色体に位置するMYOM2(myomesin (M−protein) 2)にあるSNPであり、C/T多型である。rs3779866のCアレルの塩基配列を配列番号43に表す。配列番号43の塩基配列において、27番目の塩基がrs3779866に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号43の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0111】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs3779866において、Cアレルを保有しているヒトのほうが、Tアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs3779866の遺伝子型がCC型のヒトが、TC型やTT型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs3779866がCアレルを持つ場合(すなわち、CC型又はTC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Cアレルを持たない場合(すなわち、TT型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0112】
rs6994029は、ヒト第8染色体に位置するMCPH1(microcephalin 1)にあるSNPであり、A/G多型である。rs6994029のAアレルの塩基配列を配列番号44に表す。配列番号44の塩基配列において、27番目の塩基がrs6994029に相当する。すなわち、Gアレルの場合は、配列番号44の塩基配列の27番目の塩基がGである。
【0113】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs6994029において、Aアレルを保有しているヒトのほうが、Gアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs6994029の遺伝子型がAA型やAG型のヒトが、GG型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs6994029がAアレルを持つ場合(すなわち、AA型又はAG型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Aアレルを持たない場合(すなわち、GG型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0114】
rs11252692は、ヒト第10染色体に位置するAKR1E2(aldo−keto reductase family 1, member E2)にあるSNPであり、C/T多型である。rs11252692のCアレルの塩基配列を配列番号45に表す。配列番号45の塩基配列において、27番目の塩基がrs11252692に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号45の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0115】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs11252692において、Tアレルを保有しているヒトのほうが、Cアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs11252692の遺伝子型がTT型のヒトが、CT型やCC型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs11252692がTアレルを持つ場合(すなわち、TT型又はCT型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Tアレルを持たない場合(すなわち、CC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0116】
rs2254322は、ヒト第10染色体に位置するCCDC3(coiled−coil domain containing 3)にあるSNPであり、C/T多型である。rs2254322のCアレルの塩基配列を配列番号46に表す。配列番号46の塩基配列において、27番目の塩基がrs2254322に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号46の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0117】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs2254322において、Cアレルを保有しているヒトのほうが、Tアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs2254322の遺伝子型がCC型やCT型のヒトが、TT型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs2254322がCアレルを持つ場合(すなわち、CC型又はCT型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Cアレルを持たない場合(すなわち、TT型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0118】
rs11012496は、ヒト第10染色体に位置するNEBL(nebulette)にあるSNPであり、A/G多型である。rs11012496のAアレルの塩基配列を配列番号47に表す。配列番号47の塩基配列において、27番目の塩基がrs11012496に相当する。すなわち、Gアレルの場合は、配列番号47の塩基配列の27番目の塩基がGである。
【0119】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs11012496において、Aアレルを保有しているヒトのほうが、Gアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs11012496の遺伝子型がAA型のヒトが、GA型やGG型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs11012496がAアレルを持つ場合(すなわち、AA型又はGA型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Aアレルを持たない場合(すなわち、GG型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0120】
rs12256363は、ヒト第10染色体に位置するTMEM26(transmembrane protein 26)にあるSNPであり、C/T多型である。rs12256363のCアレルの塩基配列を配列番号48に表す。配列番号48の塩基配列において、27番目の塩基がrs12256363に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号48の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0121】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs12256363において、Cアレルを保有しているヒトのほうが、Tアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs12256363の遺伝子型がCC型やCT型のヒトが、TT型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs12256363がCアレルを持つ場合(すなわち、CC型又はCT型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Cアレルを持たない場合(すなわち、TT型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0122】
rs7314409は、ヒト第12染色体に位置するH3F3C(H3 histone, family 3C)にあるSNPであり、A/G多型である。rs7314409のAアレルの塩基配列を配列番号49に表す。配列番号49の塩基配列において、27番目の塩基がrs7314409に相当する。すなわち、Gアレルの場合は、配列番号49の塩基配列の27番目の塩基がGである。
【0123】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs7314409において、Gアレルを保有しているヒトのほうが、Aアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs7314409の遺伝子型がGG型のヒトが、GA型やAA型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs7314409がGアレルを持つ場合(すなわち、GG型又はGA型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Gアレルを持たない場合(すなわち、AA型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0124】
rs4761639は、ヒト第12染色体に位置するTMCC3(transmembrane and coiled−coil domain family 3)にあるSNPであり、C/T多型である。rs4761639のCアレルの塩基配列を配列番号50に表す。配列番号50の塩基配列において、27番目の塩基がrs4761639に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号50の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0125】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs4761639において、Tアレルを保有しているヒトのほうが、Cアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs4761639の遺伝子型がTT型やTC型のヒトが、CC型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs4761639がTアレルを持つ場合(すなわち、TT型又はTC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Tアレルを持たない場合(すなわち、CC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0126】
rs7335931は、ヒト第13染色体に位置するFAM155A(family with sequence similarity 155, member A)にあるSNPであり、C/T多型である。rs7335931のCアレルの塩基配列を配列番号51に表す。配列番号51の塩基配列において、27番目の塩基がrs7335931に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号51の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0127】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs7335931において、Cアレルを保有しているヒトのほうが、Tアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs7335931の遺伝子型がCC型やCT型のヒトが、TT型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs7335931がCアレルを持つ場合(すなわち、CC型又はCT型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Cアレルを持たない場合(すなわち、TT型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0128】
rs6572982は、ヒト第14染色体に位置するSLC7A8(Solute carrier family 7 member 8)にあるSNPであり、G/T多型である。rs6572982のGアレルの塩基配列を配列番号52に表す。配列番号52の塩基配列において、27番目の塩基がrs6572982に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号52の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0129】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs6572982において、Tアレルを保有しているヒトのほうが、Gアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs6572982の遺伝子型がTT型やTG型のヒトが、GG型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs6572982がTアレルを持つ場合(すなわち、TT型又はTG型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Tアレルを持たない場合(すなわち、GG型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0130】
rs8038172は、ヒト第15染色体に位置するCGNL1(cingulin−like 1)にあるSNPであり、A/C多型である。rs8038172のAアレルの塩基配列を配列番号53に表す。配列番号53の塩基配列において、27番目の塩基がrs8038172に相当する。すなわち、Cアレルの場合は、配列番号53の塩基配列の27番目の塩基がCである。
【0131】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs8038172において、Aアレルを保有しているヒトのほうが、Cアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs8038172の遺伝子型がAA型のヒトが、CA型やCC型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs8038172がAアレルを持つ場合(すなわち、AA型又はCA型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Aアレルを持たない場合(すなわち、CC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0132】
rs1706377は、ヒト第15染色体に位置するCGNL1にあるSNPであり、C/G多型である。rs1706377のCアレルの塩基配列を配列番号54に表す。配列番号54の塩基配列において、27番目の塩基がrs1706377に相当する。すなわち、Gアレルの場合は、配列番号54の塩基配列の27番目の塩基がGである。
【0133】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs1706377において、Cアレルを保有しているヒトのほうが、Gアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs1706377の遺伝子型がCC型のヒトが、GC型やGG型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs1706377がCアレルを持つ場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Cアレルを持たない場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。より好ましくは、被験者のrs1706377がCC型であった場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、GC型又はGG型であった場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0134】
rs7169360は、ヒト第15染色体に位置するNARG2(NMDA receptor regulated 2)にあるSNPであり、A/G多型である。rs7169360のAアレルの塩基配列を配列番号55に表す。配列番号55の塩基配列において、27番目の塩基がrs7169360に相当する。すなわち、Gアレルの場合は、配列番号55の塩基配列の27番目の塩基がGである。
【0135】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs7169360において、Aアレルを保有しているヒトのほうが、Gアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs7169360の遺伝子型がAA型やAG型のヒトが、GG型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs7169360がAアレルを持つ場合(すなわち、AA型又はAG型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Aアレルを持たない場合(すなわち、GG型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0136】
rs6494206は、ヒト第15染色体に位置するRORA(RAR−related orphan receptor alpha)にあるSNPであり、C/T多型である。rs6494206のCアレルの塩基配列を配列番号56に表す。配列番号56の塩基配列において、27番目の塩基がrs6494206に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号56の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0137】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs6494206において、Tアレルを保有しているヒトのほうが、Cアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs6494206の遺伝子型がTT型やTC型のヒトが、CC型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs6494206がTアレルを持つ場合(すなわち、TT型又はTC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Tアレルを持たない場合(すなわち、CC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0138】
rs16948512は、ヒト第15染色体に位置するMCTP2(multiple C2 domains, transmembrane 2)にあるSNPであり、C/G多型である。rs16948512のCアレルの塩基配列を配列番号57に表す。配列番号57の塩基配列において、27番目の塩基がrs16948512に相当する。すなわち、Gアレルの場合は、配列番号57の塩基配列の27番目の塩基がGである。
【0139】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs16948512において、Gアレルを保有しているヒトのほうが、Cアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs16948512の遺伝子型がGG型やGC型のヒトが、CC型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs16948512がGアレルを持つ場合(すなわち、GG型又はGC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Gアレルを持たない場合(すなわち、CC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0140】
rs385270は、ヒト第16染色体に位置するC16orf74(chromosome 16 open reading frame 74)にあるSNPであり、A/G多型である。rs385270のAアレルの塩基配列を配列番号58に表す。配列番号58の塩基配列において、27番目の塩基がrs385270に相当する。すなわち、Gアレルの場合は、配列番号58の塩基配列の27番目の塩基がGである。
【0141】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs385270において、Gアレルを保有しているヒトのほうが、Aアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs385270の遺伝子型がGG型やGA型のヒトが、AA型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、つまり、被験者のrs385270がGアレルを持つ場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Gアレルを持たない場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。より好ましくは、被験者のrs385270がGG型であった場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、AA型又はGA型であった場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0142】
rs7265535は、ヒト第20染色体に位置するPLCB4(phospholipase C, beta 4)にあるSNPであり、A/G多型である。rs7265535のAアレルの塩基配列を配列番号59に表す。配列番号59の塩基配列において、27番目の塩基がrs7265535に相当する。すなわち、Gアレルの場合は、配列番号59の塩基配列の27番目の塩基がGである。
【0143】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs7265535において、Aアレルを保有しているヒトのほうが、Gアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs7265535の遺伝子型がAA型やAG型のヒトが、GG型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs7265535がAアレルを持つ場合(すなわち、AA型又はAG型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Aアレルを持たない場合(すなわち、GG型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0144】
rs6033377は、ヒト第20染色体に位置するSPTLC3(serine palmitoyltransferase, long chain base subunit 3)にあるSNPであり、A/G多型である。rs6033377のAアレルの塩基配列を配列番号60に表す。配列番号60の塩基配列において、27番目の塩基がrs6033377に相当する。すなわち、Gアレルの場合は、配列番号60の塩基配列の27番目の塩基がGである。
【0145】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs6033377において、Aアレルを保有しているヒトのほうが、Gアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs6033377の遺伝子型がAA型やAG型のヒトが、GG型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs6033377がAアレルを持つ場合(すなわち、AA型又はAG型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Aアレルを持たない場合(すなわち、GG型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0146】
rs6041271は、ヒト第20染色体に位置するSPTLC3にあるSNPであり、C/T多型である。rs6041271のCアレルの塩基配列を配列番号61に表す。配列番号61の塩基配列において、27番目の塩基がrs6041271に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号61の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0147】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs6041271において、Tアレルを保有しているヒトのほうが、Cアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs6041271の遺伝子型がTT型やTC型のヒトが、CC型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs6041271がTアレルを持つ場合(すなわち、TT型又はTC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Tアレルを持たない場合(すなわち、CC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0148】
rs35880718は、ヒト第20染色体に位置するMAFB(v−maf musculoaponeurotic fibrosarcoma oncogene family, protein B)にあるSNPであり、A/C多型である。rs35880718のAアレルの塩基配列を配列番号62に表す。配列番号62の塩基配列において、27番目の塩基がrs35880718に相当する。すなわち、Cアレルの場合は、配列番号62の塩基配列の27番目の塩基がCである。
【0149】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs35880718において、Cアレルを保有しているヒトのほうが、Aアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs35880718の遺伝子型がCC型やCA型のヒトが、AA型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs35880718がCアレルを持つ場合(すなわち、CC型又はCA型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Cアレルを持たない場合(すなわち、AA型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0150】
rs1479569は、ヒト第5染色体に位置するXRCC4(X−ray repair complementing defective repair in Chinese hamster cells 4)にあるSNPであり、C/T多型である。rs1479569のCアレルの塩基配列を配列番号63に表す。配列番号63の塩基配列において、27番目の塩基がrs1479569に相当する。すなわち、Tアレルの場合は、配列番号63の塩基配列の27番目の塩基がTである。
【0151】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs1479569において、Tアレルを保有しているヒトのほうが、Cアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs1479569の遺伝子型がTT型やTC型のヒトが、CC型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs1479569がTアレルを持つ場合(すなわち、TT型又はTC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Tアレルを持たない場合(すなわち、CC型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0152】
rs276919は、ヒト第18染色体に位置するDSC3(desmocollin 3)にあるSNPであり、A/G多型である。rs276919のAアレルの塩基配列を配列番号64に表す。配列番号64の塩基配列において、27番目の塩基がrs276919に相当する。すなわち、Gアレルの場合は、配列番号64の塩基配列の27番目の塩基がGである。
【0153】
後記実施例2の結果から明らかであるように、本発明者らによって、rs276919において、Aアレルを保有しているヒトのほうが、Gアレルを保有しているヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いこと、特に、rs276919の遺伝子型がAA型やAG型のヒトが、GG型のヒトよりも発症リスクが統計学的に有意に高いことが確認された。つまり、被験者のrs276919がAアレルを持つ場合(すなわち、AA型又はAG型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが高いと評価し、Aアレルを持たない場合(すなわち、GG型であった場合)には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0154】
HLAは、ヒトにおいて組織適合性抗原として機能しており、HLA遺伝子は、ヒト第6染色体に位置する。本発明及び本願明細書において、「HLA遺伝子をタイピングする」とは、被験者のHLA遺伝子の遺伝子型を特定することを意味する。なお、本発明及び本願明細書において、HLA遺伝子の遺伝子型は、世界保健機関のHLA命名委員会により承認された国際基準に従う。
【0155】
後記実施例3の結果から明らかであるように、本発明者らによって、HLA遺伝子の遺伝子型のうち、B*13:01、B*44:03、及びB*46:01の遺伝子型が認められた頻度が、眼合併症を伴う重症薬疹患者群において健常な非患者群よりも統計学的に有意に高かった。このため、被験者のHLA遺伝子がB*13:01、B*44:03、又はB*46:01であった場合には、当該被験者は発症リスクが高いと評価する。一方で、HLA遺伝子の遺伝子型のうち、B*15:01、B*52:01、B*54:01、及びB*67:01の遺伝子型が認められた頻度は、眼合併症を伴う重症薬疹患者群において健常な非患者群よりも統計学的に有意に低かった。このため、被験者のHLA遺伝子がB*15:01、B*52:01、B*54:01、又はB*67:01であった場合には、当該被験者は発症リスクが低いと評価する。
【0156】
さらに、後記実施例3では、B*13:01又はB*15:01を保有しているヒトは、アセトアミノフェンに起因する(アセトアミノフェンを原因薬剤とする)重症薬疹の発症リスクが高く、B*46:01を保有しているヒトは、ロキソプロフェンに起因する重症薬疹の発症リスクが高いことも確認された。
【0157】
本発明に係るリスク評価方法においては、前記64個のSNP及びHLA遺伝子(以下、まとめて「本発明に係るリスク評価マーカー」ということがある。)の少なくとも1個のタイピング結果(すなわち、遺伝子型)に基づいて、被験者の発症リスクを評価する。前記64個のうちの1個のSNPのタイピング結果のみから判断する場合には、SNPごとに前記の通りに評価する。ただし、1個のSNPのタイピング結果のみから判断するよりも、複数のSNPのタイピング結果を組み合わせて評価したほうが、より精度よく発症リスクを評価することができる。
【0158】
例えば、被験者由来の核酸に対して、前記64個のうちの複数のSNP(好ましくは全てのSNP)についてタイピングし、得られたタイピング結果のうち、全てのSNPが発症リスクが低い遺伝子型であった場合には、当該被験者は発症リスクが低い(低発症リスク群である)と評価でき、全てのSNPが発症リスクが高い遺伝子型であった場合には、当該被験者は発症リスクが高い(高発症リスク群である)と評価できる。また、得られたタイピング結果のうち、一部でも発症リスクが高い遺伝子型のSNPが含まれていた場合には、低発症リスク群よりも発症リスクは高いものの、高発症リスク群よりはやや発症リスクが低い(中発症リスク群である)と評価できる。
【0159】
また、発症リスクは、オッズ比の大小で評価することができる。特に、複数のSNPのタイピング結果を用いて発症リスクを評価する際には、各SNPのオッズ比を比較し、その大小により発症リスクの大小をより細かく評価することもできる。ここで、オッズ比とは、眼合併症を伴う重症薬疹患者群における、あるアレル又は遺伝子型の頻度と他のアレル又は遺伝子型の頻度の比を、非患者群において同様にして得られる頻度の比で除したものである。例えば、あるSNPの特定のアレルのオッズ比が1より大きい場合には、当該アレルは眼合併症を伴う重症薬疹患者群において高頻度に認められるアレルであり、オッズ比が大きいほど当該アレルを有する被験者の発症リスクは高い。一方、アレルのオッズ比が1より小さい場合には、当該アレルは疾患において高頻度に認められるアレルの対立アレルであり、オッズ比が小さいほど当該アレルを有する被験者の発症リスクは低い。遺伝子型についても同様に被験者の発症リスクを予測し評価することができる。
【0160】
アレルについてオッズ比を求める場合、オッズ比は眼合併症を伴う重症薬疹患者群におけるハイリスクアレルの頻度とローリスクアレルの頻度の比を、非患者群におけるハイリスクアレルの頻度とローリスクアレルの頻度の比で除したものとして求めればよい。遺伝子型におけるオッズ比を求めるには、ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従うか、又は劣性遺伝モデルに従うかを考慮してオッズ比が求められる。即ち、ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合には、ハイリスクアレルのホモ型及びヘテロ型が危険因子となり、ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合には、ハイリスクアレルのホモ型が危険因子となる。よって、ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合のオッズ比は、眼合併症を伴う重症薬疹患者群におけるハイリスクアレルのホモ型の頻度とヘテロ型の頻度の和を求め、前記の和とローリスクアレルのホモ型の頻度の比を、非患者群において同様に求めた頻度の比で除して求めればよい。ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合には、眼合併症を伴う重症薬疹患者群における、ローリスクアレルのホモ型の頻度とヘテロ型の頻度の和を求め、ハイリスクアレルのホモ型の頻度と前記和の比を、非患者群において同様に求めた頻度の比で除して求めればよい。
【0161】
眼合併症を伴うSJS/TENは、SNP及びHLA遺伝子の遺伝子型により発症の頻度が異なる。また、個々のSNP及びHLA遺伝子の遺伝子型は、それぞれがハイリスクである場合とローリスクである場合とがある。したがって、SNP及びHLA遺伝子の遺伝子型を組み合わせることにより相対危険度の評価を行うことができる。
【0162】
その一例として、ハイリスク要因の遺伝子型、又はローリスク要因の遺伝子型がどの程度発症に影響するかを、各要因、すなわちSNPやHLA遺伝子の遺伝子型毎に数値化して、予測することができる。例えば、前記の眼合併症を伴う重症薬疹の発症頻度と相関するSNP又はHLAの遺伝子型について、それぞれ危険度数値及び重み付係数を予め設定しておき、被験者の遺伝子型について、重み付係数を乗じた危険度数値を算出する。眼合併症を伴う重症薬疹の発症リスクが高いと評価される遺伝子型の重み付係数を乗じた危険度数値の合算値と、眼合併症を伴う重症薬疹の発症リスクが低いと評価される遺伝子型の重み付係数を乗じた危険度数値の合算値との差に基づいて、被験者の眼合併症を伴う重症薬疹の発症リスクを予測することができる。
【0163】
例えば、ハイリスク要因のrs1223742がT型の場合に数値1、HLA遺伝子型がB*13:01の場合に数値2とし、合計した値に重み付係数を乗じることによってハイリスク要因の危険度の合計値を算出し、ローリスク要因についても同様に危険度の合計値を算出し、両者の差をとるといった計算もできる。具体的には、([ハイリスクSNP(rs番号)の危険度数値]×[重み付係数]+[ハイリスクHLA遺伝子型の危険度数値]×[重み付係数])−([ローリスクSNP(rs番号)の危険度数値]×[重み付係数]+[ローリスクHLA遺伝子型の危険度数値]×[重み付係数])という計算が可能である。
重み付係数の数値は、SNPやHLA遺伝子型に対して個別に設定するのではなく、ハイリスク要因やローリスク要因の危険度の合計値全体や、SNPの危険度の合計やHLA遺伝子型の危険度の合計のそれぞれに対して与えてもよい。
このようにして、ハイリスク要因とローリスク要因を勘案して、眼合併症を伴うSJS/TENを発症する可能性がどのくらいあるかを予測することが可能である。
【0164】
また、本発明に係るリスク評価方法においては、本発明に係るリスク評価マーカーのタイピング結果に、SJS/TEN等の重症薬疹の患者群において頻度が高いと知られているその他のSNPについてのタイピング結果を加味して、発症リスクを評価してもよい。このようなSNPとしては、例えば、特許文献1に記載されているSNPが挙げられる。
【0165】
また、本発明に係るリスク評価マーカーのタイピング結果に、SNP及びHLA遺伝子以外のバイオマーカーの結果を加味して、発症リスクを評価してもよい。当該バイオマーカーとしては、例えば、被験者の涙液中のインターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−8(IL−8)、及びMCP−1(Monocyte Chemotactic Protein−1)からなる群より選択される1種以上の物質の濃度が挙げられる。これらの物質の涙液中の濃度は、重症薬疹の急性期から亜急性期に著明に上昇する。そこで、本発明に係るリスク評価マーカーのタイピング結果と発症時のIL−6等のバイオマーカーの涙液中濃度の結果を組み合わせることにより、発症リスクの評価のみならず、早期診断も可能となる。
【0166】
なお、眼合併症を伴うSJS/TENでは、急に生じた40℃前後の高熱と全身性の発疹とびらんは、次第に軽減して通常は6〜8週間程度で消退する。この時期を急性期と呼ぶ。一方で、眼表面では、全身所見が軽快した後にも急性期と同じ程度に炎症が遷延して数か月以上続く場合があり、このような時期を亜急性期と呼ぶ。
【0167】
遺伝子多型タイピングに供される被験者由来の核酸は、被験者(ヒト)のゲノムDNAのうち、前記64個のSNPの少なくとも1を含む領域の塩基配列又はHLA遺伝子の塩基配列が反映されている核酸が含まれていればよい。好ましくは被験者のゲノムDNAであるが、ゲノムDNAを鋳型としてその部分領域をPCR等により増幅させた増幅産物であってもよい。また、被験者由来のゲノムDNAは、被験者から採取された生体試料から抽出・精製された核酸であってもよく、精製前の核酸であってもよい。
【0168】
タイピング工程においてSNP又はHLA遺伝子をタイピングする方法は特に限定されるものではなく、サンガー法を基礎とするシークエンス解析法であってもよく、一塩基検出方法であってもよく、MALDI−TOF質量分析法であってもよい。一塩基検出方法としては、遺伝子の変異や多型の検出等において用いられる公知の各種手法、例えば、PCR−SSO(sequence specific oligonucleotide)法、PCR−SSP(sequence specific プライマー)法や、それらを改変した方法等を用いることができる。PCR−SSO法は、特定のアレルと特異的にハイブリダイズするプローブ(アレル特異的プローブ)を用いて、当該プローブとの会合体形成の有無によりタイピングする方法である。当該方法としては、例えば、基板にSNPの特定のアレルのアレル特異的プローブを固定した基板を用いるマイクロアレイ法が挙げられる。PCR−SSP法は、特定のアレルと特異的にハイブリダイズするプライマー(アレル特異的プローブ)を用いてPCRを行い、PCR産物の有無によりタイピング出する方法である。これらを改変した方法としては、例えば、インベーダー法やTaqman(登録商標)プローブ法、QProbe法、Scorpion−ARMS法等が挙げられる。検出感度に優れているため、蛍光を利用して検出する方法であることが好ましく、検出感度及び精度に優れているため、インベーダー法やTaqman(登録商標)プローブ法、QProbe法、Scorpion−ARMS法、マイクロアレイ法等のように、特定のアレルを認識するプローブやプライマーを用いる方法であることが好ましい。
【0169】
前記64個のSNPのタイピングに用いられるプローブやプライマー等の核酸分子は、例えば、塩基配列1〜64に基づき、常法により設計し、合成することができる。例えば、ゲノムDNA中のSNPを含む部分領域又はその相補鎖にハイブリダイズし得る核酸分子であれば、当該SNPをタイピングするための核酸分子として用いることができる。このようにして設計した核酸分子は、当該技術分野においてよく知られている方法のいずれを用いても合成することができる。例えば、合成メーカーに合成を依頼してもよく、市販の合成機を用いて独自に合成してもよい。
【0170】
具体的には、rs4687960の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs4687960を含む部分塩基配列(例えば、表1参照。)と相同的(同一的)又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs1435653の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs1435653を含む部分塩基配列(例えば、表1参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs11926371の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs11926371を含む部分塩基配列(例えば、表1参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs9840095の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs9840095を含む部分塩基配列(例えば、表1参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs394290の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs394290を含む部分塩基配列(例えば、表1参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs11153964の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs11153964を含む部分塩基配列(例えば、表1参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs2294839の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs2294839を含む部分塩基配列(例えば、表1参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs7010748の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs7010748を含む部分塩基配列(例えば、表1参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs7828925の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs7828925を含む部分塩基配列(例えば、表1参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs10897326の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs10897326を含む部分塩基配列(例えば、表1参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs4963361の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs4963361を含む部分塩基配列(例えば、表1参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs9667913の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs9667913を含む部分塩基配列(例えば、表1参照。)と相同的又は相補的な配列が挙げられる。
rs10772898の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs10772898を含む部分塩基配列(例えば、表1参照。)と相同的又は相補的な配列が挙げられる。
rs1555278の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs1555278を含む部分塩基配列(例えば、表1参照。)と相同的又は相補的な配列が挙げられる。
rs6021911の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs6021911を含む部分塩基配列(例えば、表1参照。)と相同的又は相補的な配列が挙げられる。
rs4809905の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs4809905を含む部分塩基配列(例えば、表1参照。)と相同的又は相補的な配列が挙げられる。
rs6096940の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs6096940を含む部分塩基配列(例えば、表1参照。)と相同的又は相補的な配列が挙げられる。
rs1474794の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs1474794を含む部分塩基配列(例えば、表1参照。)と相同的又は相補的な配列が挙げられる。
rs6068268の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs6068268を含む部分塩基配列(例えば、表1参照。)と相同的又は相補的な配列が挙げられる。
【0171】
rs4652974の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs4652974を含む部分塩基配列(例えば、表2参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs539322の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs539322を含む部分塩基配列(例えば、表2参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs10783115の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs10783115を含む部分塩基配列(例えば、表2参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs12143501の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs12143501を含む部分塩基配列(例えば、表2参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs10800873の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs10800873を含む部分塩基配列(例えば、表2参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs1223742の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs1223742を含む部分塩基配列(例えば、表2参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs6696223の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs6696223を含む部分塩基配列(例えば、表2参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs2678286の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs2678286を含む部分塩基配列(例えば、表2参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs6732571の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs6732571を含む部分塩基配列(例えば、表2参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs13061546の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs13061546を含む部分塩基配列(例えば、表2参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs1922836の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs1922836を含む部分塩基配列(例えば、表2参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs1363285の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs1363285を含む部分塩基配列(例えば、表2参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs13167735の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs13167735を含む部分塩基配列(例えば、表2参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs12201938の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs12201938を含む部分塩基配列(例えば、表2参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs12664194の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs12664194を含む部分塩基配列(例えば、表2参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs7764800の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs7764800を含む部分塩基配列(例えば、表2参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs9483590の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs9483590を含む部分塩基配列(例えば、表2参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs897693の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs897693を含む部分塩基配列(例えば、表2参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs4917014の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs4917014を含む部分塩基配列(例えば、表2参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs10276619の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs10276619を含む部分塩基配列(例えば、表2参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs4917129の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs4917129を含む部分塩基配列(例えば、表2参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs12672431の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs12672431を含む部分塩基配列(例えば、表2参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs687836の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs687836を含む部分塩基配列(例えば、表2参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
【0172】
rs3779866の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs3779866を含む部分塩基配列(例えば、表3参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs6994029の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs6994029を含む部分塩基配列(例えば、表3参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs11252692の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs11252692を含む部分塩基配列(例えば、表3参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs2254322の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs2254322を含む部分塩基配列(例えば、表3参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs11012496の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs11012496を含む部分塩基配列(例えば、表3参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs12256363の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs12256363を含む部分塩基配列(例えば、表3参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs7314409の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs7314409を含む部分塩基配列(例えば、表3参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs4761639の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs4761639を含む部分塩基配列(例えば、表3参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs7335931の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs7335931を含む部分塩基配列(例えば、表3参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs6572982の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs6572982を含む部分塩基配列(例えば、表3参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs8038172の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs8038172を含む部分塩基配列(例えば、表3参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs1706377の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs1706377を含む部分塩基配列(例えば、表3参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs7169360の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs7169360を含む部分塩基配列(例えば、表3参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs6494206の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs6494206を含む部分塩基配列(例えば、表3参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs16948512の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs16948512を含む部分塩基配列(例えば、表3参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs385270の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs385270を含む部分塩基配列(例えば、表3参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs7265535の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs7265535を含む部分塩基配列(例えば、表3参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs6033377の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs6033377を含む部分塩基配列(例えば、表3参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs6041271の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs6041271を含む部分塩基配列(例えば、表3参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs35880718の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs35880718を含む部分塩基配列(例えば、表3参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs1479569の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs1479569を含む部分塩基配列(例えば、表3参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
rs276919の遺伝子型をタイピングするための核酸分子としては、ヒトゲノム中のrs276919を含む部分塩基配列(例えば、表3参照。)と相同的又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。
【0173】
前記64個のSNPのタイピングに用いられるプローブやプライマー等の核酸分子をキット化することにより、本発明に係るリスク評価方法をより簡便に行うことができる。当該キットには、前記64個のSNPのうち1個のみをタイピングするための核酸分子のみが含まれていてもよく、当該64個のうちの2個以上のSNPをそれぞれタイピングするための核酸分子が含まれていてもよく、全64個のSNPをそれぞれタイピングするための核酸分子が含まれていてもよい。これらの核酸分子は、発症リスクの評価キットに、乾燥粉末として含まれていてもよく、水やTrisバッファー等の適当な溶媒に溶解させた溶液として含まれていてもよく、基板に固定された状態で含まれていてもよい。
【0174】
また、発症リスクの評価キットには、被験者から採取された生体試料から核酸を抽出・精製するための試薬や器具等を含ませることも好ましい。
【実施例】
【0175】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0176】
[実施例1]
Affymetrix社のマイクロアレイ型のSNP分析キット「Axiom(登録商標) Genome−Wide ASI 1 Array」を用いて、眼合併症を伴うSJS/TEN患者104症例及び健常コントロール191名の計295名の日本人を対象に、ゲノムワイド関連研究(genome−wide association study;GWAS)を行った。なお、このマイクロアレイは、東アジア人のゲノムの共通配列にみられる頻度の低いアレル(MAF>1%)のゲノムカバー率を最大化するようにデザインされたアレイであり、このマイクロアレイを用いたGWASは、Affymetrix社の使用説明書に従って行った。Overall Call rate(全SNPsのうち遺伝子型が決定されたSNPの割合)の平均値は、SJS/TEN患者で99.49%であり、健常コントロールで99.25%であった。
次いで、SNPの品質コントロールのために、健常コントロールにおいて、[SNP Call rate]≧95%、[マイナーアレル頻度]≧2%、及び[HWE p値]≧0.001となるように閾値を設定し、データクリーニングを行った。なお、「SNP Call rate」は、各SNPについて、タイピングした全検体のうち遺伝子型を決定できた検体の割合を意味し、「HWE」は、ハーディー・ワインバーグ平衡(Hardy−Weinberg equilibrium)の略語である。
【0177】
常染色体上の全460,254のSNPが、この品質コントロールのフィルターをパスしたので、関連研究に用いた。カイ二乗検定をアレル頻度モデルに対して行い、P値が10
−5未満を示すSNPsの全てのクラスタープロットを目視で確認し、遺伝子型が曖昧な(クラスター分離が不明瞭な)SNPsを解析対象外とした。残ったSNP〔すなわち、SJS/TENとの関連性(P値が10
−5未満)があるかもしれない候補SNPs〕に対して、各SNPの遺伝子型を、TaqMan(登録商標)SNP genotyping assay(Applied Biosystems社製)、又はDigiTag2法によりタイピングした。DigiTag2法とは、SNPの遺伝子型をDCN(DNA Coded Number)と呼ぶオリゴDNAへ変換してマルチプレックスSNPタイピングを行う方法である(Nishida,et. al.,Analytical Biochemistry,2005,vol.346,pp.281−288;Nishida,et. al.,Analytical Biochemistry,2007,vol.364,pp.78−85)。
【0178】
この結果、表1に記載の19個のSNPについて、P値が10
−4以下の有意な関連が確認された。この19個のSNPについて、遺伝子型、SJS/TEN患者群における各遺伝子型の頻度(表中、「SJS」欄)、健常コントロール群における各遺伝子型の頻度(表中、「control」欄)、アレル1とSJS/TENとの関連及びアレル1のオッズ比〔表中、「allele1 vs allele2」の上欄(P−value)と下欄(OR)〕、アレル1のホモ型とSJS/TENとの関連及びオッズ比〔表中、「Genotype 11 vs.12+22」の上欄(P−value)と下欄(OR)〕、アレル1を含む遺伝子型とSJS/TENとの関連及びオッズ比〔表中、「Genotype 11+12 vs.22」の上欄(P−value)と下欄(OR)〕を表4〜7に示す。なお、各表におけるそれぞれのアレルと疾患の関連のオッズ比、遺伝子型と疾患の関連のオッズ比は、以下の式(1)〜(5)に基づいて算出した。
【0179】
アレル頻度=[その群における当該アレルの検出数]/[その群における全アレル検出数] 式(1)
遺伝子型頻度=[その群における当該遺伝子型の検出数]/[その群における全遺伝子型の検出数] 式(2)
アレル1のオッズ比=[(SJS/TEN患者群における、アレル1の検出数) /(SJS/TEN患者群における、アレル2の検出数)]/[(健常コントロール群における、アレル1の検出数)/(健常コントロール群における、アレル2の検出数)] 式(3)
アレル1のホモ型のオッズ比=[(SJS/TEN患者群における、アレル1のホモ型の遺伝子型の検出数)/(SJS/TEN患者群における、アレル2のホモ型の遺伝子型の検出数と、SJS/TEN患者群における、ヘテロ型の遺伝子型の検出数の和)]/[(健常コントロール群における、アレル1のホモ型の遺伝子型の検出数)/(健常コントロール群における、アレル2のホモ型の遺伝子型の検出数と、健常コントロール群における、ヘテロ型の遺伝子型の検出数の和)] 式(4)
アレル1を含む遺伝子型のオッズ比=[(SJS/TEN患者群における、アレル1のホモ型の遺伝子型の検出数と、SJS/TEN患者群における、ヘテロ型の遺伝子型の検出数の和)/(SJS/TEN患者群における、アレル2のホモ型の遺伝子型の検出数)]/[(健常コントロール群における、アレル1のホモ型の遺伝子型の検出数と、健常コントロール群における、ヘテロ型の遺伝子型の検出数の和)/(健常コントロール群における、アレル2のホモ型の遺伝子型の検出数)] 式(5)
【0180】
【表4】
【0181】
【表5】
【0182】
【表6】
【0183】
【表7】
【0184】
このSJS/TEN患者104症例のうち、重篤な結膜炎等の眼疾患を併発しており、SJS又はTENが疑われる亜急性期の重症薬疹患者1名について、その涙液中のIL−6、IL−8、及びMCP−1の濃度を測定した。毛細管にて採取した涙液を用いてサイトカインビーズアッセイにより、涙液中に含まれるサイトカインを測定した。その結果、当該患者では、IL−6、IL−8、及びMCP−1のいずれもが正常値よりも明らかに濃度が高かった。
【0185】
また、当該患者のタイピング結果は、rs4687960はTT型であり、rs1435653はGG型であり、rs11926371はGG型であり、rs9840095はTT型であり、rs394290はTC型であり、rs11153964はGG型であり、rs2294839はTC型であり、rs7010748はAA型であり、rs7828925はGG型であり、rs10897326はTC型であり、rs4963361はAC型であり、rs9667913はGA型であり、rs10772898はGG型であり、rs1555278はTT型であり、rs6021911はGG型であり、rs4809905はAA型であり、rs6096940はGG型あり、rs1474794はTT型であり、rs6068268はTT型であった。つまり、rs4687960、rs1435653、rs11926371、rs9840095、rs394290、rs2294839、rs7010748、rs7828925、rs10897326、rs4963361、及びrs10772898の11遺伝子がハイリスクの遺伝子型であった。
【0186】
[実施例2]
Affymetrix社のマイクロアレイ型のSNP分析キット「Axiom(登録商標) Genome−Wide ASI 1 Array version2」を用いて、実施例1と同様にして、眼合併症を伴うSJS/TEN患者121症例及び健常コントロール694名の計815名の日本人のSNPをタイピングした。得られた結果を、実施例1で解析した眼合併症を伴うSJS/TEN患者104症例及び健常コントロール191名の計295名の結果とあわせて、GWASを行った。
【0187】
この結果、実施例1で判明した19個のSNPに加えて、新たに表2及び3に記載の45個のSNPについて、P値が10
−4以下の有意な関連が確認された。この45個のSNPについて、遺伝子型、SJS/TEN患者群における各遺伝子型の頻度(表中、「SJS」欄)、健常コントロール群における各遺伝子型の頻度(表中、「control」欄)、アレル1とSJS/TENとの関連及びアレル1のオッズ比〔表中、「allele1 vs allele2」の上欄(P−value)と下欄(OR)〕、アレル1のホモ型とSJS/TENとの関連及びオッズ比〔表中、「Genotype 11 vs.12+22」の上欄(P−value)と下欄(OR)〕、アレル1を含む遺伝子型とSJS/TENとの関連及びオッズ比〔表中、「Genotype 11+12 vs.22」の上欄(P−value)と下欄(OR)〕を表8〜15に示す。なお、各表におけるそれぞれのアレルと疾患の関連のオッズ比、遺伝子型と疾患の関連のオッズ比は、実施例1と同様にして算出した。
【0188】
【表8】
【0189】
【表9】
【0190】
【表10】
【0191】
【表11】
【0192】
【表12】
【0193】
【表13】
【0194】
【表14】
【0195】
【表15】
【0196】
[実施例3]
湧永製薬社の蛍光ビーズ法のHLA分析キット「WAKFlow(登録商標) HLAタイピングキット」を用いて、眼合併症を伴うSJS/TEN患者131症例及び健常コントロール220名の計351名の日本人のHLA遺伝子をタイピングし、統計解析を行った。なお、SJS/TEN患者のうち、59症例がアセトアミノフェンに起因するSJS/TEN患者であり、23症例がロキソプロフェンに起因するSJS/TEN患者であった。
【0197】
この結果、B*13:01、B*15:01、B*44:03、B*46:01、B*52:01、B*54:01、若しくはB*67:01について、P値が0.05以下の有意な関連が確認された。遺伝子型、健常コントロール群における各遺伝子型の頻度(表中、「control」欄)、SJS/TEN患者群における各遺伝子型の頻度(表中、「SJS/TEN」欄)、SJS/TEN患者群のうちのアセトアミノフェンに起因するSJS/TEN患者群における各遺伝子型の頻度(表中、「SJS/TEN(Acetaminophen)」欄)、SJS/TEN患者群のうちのロキソプロフェンに起因するSJS/TEN患者群における各遺伝子型の頻度(表中、「SJS/TEN(Loxoprofen)」欄)を表16に示す。表16中の「other」は、当該表に個別に示した遺伝子型以外の残る全ての遺伝子型の合計の結果を示す。
【0198】
【表16】