【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、場所によって異なる水の偏在性を反映した特性化係数を見出し、さらに水利用源に応じた当該特性化係数と水利用量とを掛け合わせることで、水の希少性や水環境負荷低減活動などを考慮した水資源への影響量を算出することができることを見出した。本発明は、当該水資源への影響量を比較することで、製品の全製造プロセスにおける水利用量が水環境に与える影響を、水の希少性や水源涵養活動などを考慮して評価できる方法を提供するものである。
【0011】
本発明は、以下のものに関するが、これらに限定されない。
1).製品の原料生産を含めた全製造プロセスにおける水環境負荷を評価する方法であって、
製品の原料生産を含めた全製造プロセスにおける水利用源として降水、表流水、及び地下水からなる群から一つ以上を選択し、
各水利用源の特性化係数と、各水利用源からの水利用量とを掛け合わせて、各水利用源への影響量を算出し、
前記各水利用源への影響量を合計して、水資源への総影響量を算定し、
基準となる地点における当該水資源への総影響量と比較することを含む、前記方法。
2).製品の原料生産を含めた全製造プロセスにおける水環境負荷の低い地域を選定する方法であって、
製品の原料生産を含めた全製造プロセスにおける水利用源として降水、表流水、及び地下水からなる群から一つ以上を選択し、
複数の地点における、各水利用源の特性化係数と各水利用源からの水利用量とを掛け合わせて、各水利用源への影響量を算出し、
前記各水利用源への影響量を合計して、水資源への総影響量を算定し、
前記複数の地点での当該水資源への総影響量を比較し、
製品の原料生産を含めた全製造プロセスにおける水環境負荷を評価することを含む、前記方法。
3).水源涵養活動による製品の原料生産を含めた全製造プロセスにおける水環境負荷への影響の評価方法であって、
製品の原料生産を含めた全製造プロセスにおける水利用源として降水、表流水、及び地下水からなる群から一つ以上を選択し、
水源涵養活動前後での、各水利用源の特性化係数と各水利用源からの水利用量とを掛け合わせて、各水利用源への影響量を算出し、
前記各水利用源への影響量を合計して、水資源への総影響量を算定し、
水源涵養活動前後での当該水資源への総影響量を比較することを含む、前記方法。
4).前記各水利用源の特性化係数は、地球全体の平均降水量を基準とし、当該基準量の水を得るために必要な各水利用源の面積又は時間に基づいて算出されるものである、1)〜3)のいずれかに記載の方法。
5).前記各水利用源の特性化係数は、下記式(I):
【0012】
【数1】
【0013】
(式中、fwa
x,lは、対象地点lにおける水利用源xの特性化係数であり;
A
xは、水利用源xから地球全体の平均降水量に相当する水を得るのに必要な単位時間あたりの面積であり;
A
refは、地球全体の平均降水量に相当する水を得るのに必要な単位時間あたりの面積であり;
T
xは、水利用源xから地球全体の平均降水量に相当する水を得るのに必要な単位面積あたりの時間であり、
T
refは、地球全体の平均降水量に相当する水を得るのに必要な単位面積あたりの時間である)
を用いて算出されるものである、1)〜4)のいずれかに記載の方法。
6).製品の原料生産を含めた全製造プロセスにおける水環境負荷を評価するためのプログラムであって、
コンピューターを、前記製品の原料生産を含めた全製造プロセスにおける水利用源として降水、表流水、及び地下水からなる群から一つ以上を選択し、
各水利用源の特性化係数と、各水利用源からの水利用量とを掛け合わせて、各水利用源への影響量を算出し、
前記各水利用源への影響量を合計して、水資源への総影響量を算定し、
複数の地点における当該水資源への総影響量を比較するように機能させることを含む、前記プログラム。
7).製品の原料生産を含めた全製造プロセスにおける水環境負荷の低い地点を選定するためのプログラムであって、
コンピューターを、製品の原料生産を含めた全製造プロセスにおける水利用源として降水、表流水、及び地下水からなる群から一つ以上を選択し、
複数の地点における、各水利用源の特性化係数と各水利用源からの水利用量とを掛け合わせて、各水利用源への影響量を算出し、
前記各水利用源への影響量を合計して、水資源への総影響量を算定し、
前記複数の地点での当該水資源への総影響量を比較して、製品の原料生産を含めた全製造プロセスにおける水環境負荷が小さい地点を特定するように機能させることを含む、前記プログラム。
8).水源涵養活動による製品の原料生産を含めた全製造プロセスにおける水環境負荷への影響の評価プログラムであって、
コンピューターを、製品の原料生産を含めた全製造プロセスにおける水利用源として降水、表流水、及び地下水からなる群から一つ以上を選択し、
水源涵養活動前後での、各水利用源の特性化係数と各水利用源からの水利用量とを掛け合わせて、各水利用源への影響量を算出し、
前記各水利用源への影響量を合計して、水資源への総影響量を算定し、
前記水源涵養活動前後での当該水資源への総影響量を比較するように機能させることを含む、前記プログラム。
9).前記各水利用源の特性化係数は、地球全体の平均降水量を基準とし、当該基準量の水を得るために必要な各水利用源の面積又は時間に基づいて算出されるものである、6)〜8)のいずれかに記載のプログラム。
10).前記各水利用源の特性化係数は、下記式(I):
【0014】
【数2】
【0015】
(式中、fwa
x,lは、対象地点lにおける水利用源xの特性化係数であり;
A
xは、水利用源xから地球全体の平均降水量に相当する水を得るのに必要な単位時間あたりの面積であり;
A
refは、地球全体の平均降水量に相当する水を得るのに必要な単位時間あたりの面積であり;
T
xは、水利用源xから地球全体の平均降水量に相当する水を得るのに必要な単位面積あたりの時間であり、
T
refは、地球全体の平均降水量に相当する水を得るのに必要な単位面積あたりの時間である)
を用いて算出されるものである、6)〜9)のいずれかに記載のプログラム。