【実施例】
【0030】
以下、実施例を挙げて更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
(焼き菓子調製工程)
鶏卵230重量部、砂糖170重量部、乳化油脂90重量部、乳化剤3重量部、水150重量部、薄力粉300重量部、油脂30重量部をよく混合し、水種生地を得た。これを金属製の型に流し込み、180℃のオーブンで、20分焼成後、更に100℃で1時間乾燥し、15mm×10mm×50mmの焼き菓子を得た。
【0031】
(チョコレート生地調製工程)
また、カカオマス190重量部、砂糖370重量部、粉乳160重量部、ココアバター280重量部、乳化剤5重量部の配合で、常法によりチョコレート生地を作成した。このチョコレート生地の35℃の粘度は15000mPa・s(B型粘時計、No.6ローター、4rpm)であった。このチョコレート生地100重量部を35℃に温調し、チョコシードB(不二製油株式会社製)3重量部を混合した。
【0032】
(含浸工程)
この生地を35℃に維持したまま上記焼き菓子を埋没させて密閉容器内に入れ、密閉容器の空間に圧縮空気を送り込むことで絶対圧301kpaに加圧し、10秒間加圧状態を維持した後、大気圧まで減圧した。その後、チョコレート生地から焼き菓子を取り出し、焼き菓子のまわりに付着したチョコレート生地を十分に拭き取った後、15℃で冷却することでチョコレートを固化させ、チョコレート生地が含浸した焼き菓子を得た。
【0033】
実施例2
実施例1において、加圧条件を絶対圧501kpaにする以外は同様にして、チョコレート生地が含浸した焼き菓子を得た。
【0034】
実施例3
実施例1において、加圧条件を絶対圧701kpaにする以外は同様にして、チョコレート生地が含浸した焼き菓子を得た。
【0035】
比較例1
実施例1と同じ焼き菓子とチョコレート生地を使用し、同様に、チョコレート生地100重量部を35℃に温調し、チョコシードB(不二製油株式会社製)3重量部を混合し、35℃を維持したまま上記焼き菓子を埋没させた物を密閉容器内に入れ、密閉容器内の空気を真空ポンプで排出することで絶対圧11kpaに減圧後、大気圧に戻した。その後、チョコレート生地から焼き菓子を取り出し、焼き菓子のまわりに付着したチョコレート生地を十分に拭き取った後、15℃で冷却することでチョコレートを固化させ、チョコレート生地が含浸した焼き菓子を得た。
【0036】
試験例1
実施例1〜3、および比較例1において、最終的に得られた含浸物各10個の中心部分において平面で2等分に切断し、断面をデジタルカメラで撮影した。その後、画像を画像処理ソフトウエアimageJ(サンマイクロ・システムズ社製)を用い、色の違いにより、チョコレートが未到達な部分の面積を測定し、断面積全体に占める割合を計算した(表1)。実施例1〜3の比較により、加圧が大きくなれば、チョコレート生地が未到達な部分の大きさが小さくなっていた。また、実施例3および比較例1は、チョコレート生地が未到達部分の面積がほぼ同程度に小さかった。
【0037】
試験例2
実施例1〜3、および比較例1において、含浸前の焼き菓子の重量と、含浸後の含浸物各10個の重量を測定することで、含浸されたチョコレート生地の重量が含浸物の重量に占める割合を計算した。実施例1〜3の比較により、加圧が大きくなれば、チョコレート生地が多く含浸されていた。更に、実施例3と比較例1の比較により、実施例3と比較例1はチョコレート生地未到達面積がほぼ同程度でありながら、比較例1の方がチョコレート生地が多く含浸されていた(表1)。
【0038】
試験例3
実施例3および比較例1において空隙率を調べるため、以下のような試験を行なった。まずサラダ油を入れたメスシリンダーに、得られた含浸物を完全に埋没させることで、含浸物の体積を測定した。この含浸物をサラダ油から引き上げ、周りに付着したサラダ油を十分にティッシュで拭き取った後、乳鉢で、細かく砕いた。これを、サラダ油を入れたメスシリンダーに入れ、減圧により(絶対圧8kPa到達後1分間保持して大気圧に戻す)細かい気泡を脱気することで、含浸物の空隙以外の体積を測定し、計算により含浸物全体の体積に占める空隙率を得た。空隙率の値は含浸物各10個の平均値である。実施例3の方が、比較例1よりも空隙率が大きかった(表1)。
【0039】
試験例4
実施例1〜3、および比較例1において、得られた含浸物の破断強度を測定した。レオメーター(株式会社レオテック製,FUDOH RTC−3010D−CW)を使用し、テーブル上に8mm間隔の支持台をおき、その上に含浸物を置いて、含浸物の長手方向中央部分上部から刃先角度が40度のプランジャーがあたるようテーブルを2cm/分で上昇させ、破断するまでにかかった最大応力を測定した。測定値は含浸物各10個の平均値である。実施例1〜3の比較から、加圧値が大きくなれば、破断強度が大きくなった。また、実施例3よりも比較例1の方が、破断強度が大きかった(表1)。
【0040】
【表1】
【0041】
以上より、加圧処理において圧力を強めることで、焼き菓子中心付近までチョコレートを到達させることが可能であった。また、減圧処理により焼き菓子にチョコレートを同程度に浸透させたものに比べて、加圧処理品はチョコレートの重量割合が少なく空隙率が大きいため、食感が硬くないことがわかった。
【0042】
実施例4
実施例1の焼き菓子調製工程と同様にして、30mm×20mm×150mmの焼き菓子を得た。
また、カカオマス200重量部、砂糖420重量部、粉乳200重量部、ココアバター170重量部、乳化剤5重量部の配合で、常法によりチョコレート生地を作成した。このチョコレート生地の35℃の粘度は55000mPa・s(B型粘時計、No.6ローター、4rpm)であった。
【0043】
このチョコレート生地100重量部を35℃に温調し、チョコシードB(不二製油株式会社製)3重量部を混合し、35℃を維持したまま上記焼き菓子を埋没させて密閉容器内に入れ、密閉容器の空間に圧縮空気を送り込むことで絶対圧701kpaに加圧し、10秒間加圧状態を維持した後、大気圧まで減圧した。その後、チョコレート生地から焼き菓子を取り出し、焼き菓子のまわりに付着したチョコレート生地を十分に拭き取った後、15℃で冷却することでチョコレートを固化させ、チョコレート生地が含浸した焼き菓子を得た。
【0044】
実施例5
実施例4において、加圧条件を絶対圧2701kpaにする以外は同様にして、チョコレート生地が含浸した焼き菓子を得た。
【0045】
実施例6
実施例5において、チョコレート生地から焼き菓子を取り出し、焼き菓子のまわりに付着したチョコレート生地を十分に拭き取った後、15℃で冷却する前に、焼き菓子のみを再度密閉容器内に入れ、密閉容器内の空気を真空ポンプで排出することにより絶対圧15kpaに減圧後、大気圧に戻した。その後、チョコレート生地から焼き菓子を取り出し、焼き菓子のまわりに付着したチョコレート生地を十分に拭き取った後、15℃で冷却することでチョコレートを固化させ、チョコレート生地が含浸した焼き菓子を得た。
【0046】
比較例2
実施例4と同じチョコレート生地100重量部を35℃に温調し、チョコシードB(不二製油株式会社製)3重量部を混合した。チョコレート生地を35℃に維持したまま実施例4と同じ焼き菓子を埋没させて密閉容器内に入れ、密閉容器内の空気を真空ポンプで排出することで絶対圧15kpaに減圧(1次減圧)後、大気圧に戻した。その後、チョコレート生地から焼き菓子を取り出し、この焼き菓子のみを再度密閉容器内に入れ、密閉容器内の空気を真空ポンプで排出することで絶対圧4kpaに減圧(2次減圧)後、大気圧に戻した。その後、焼き菓子のまわりに付着したチョコレート生地を十分に拭き取った後、15℃で冷却することでチョコレートを固化させ、チョコレート生地が含浸した焼き菓子を得た。
【0047】
比較例3
比較例2において、1次減圧を絶対圧9kpaとする以外は同様にして、チョコレート生地が含浸した焼き菓子を得た。
【0048】
比較例4
比較例2において、1次減圧を絶対圧4kpaとする以外は同様にして、チョコレート生地が含浸した焼き菓子を得た。
【0049】
比較例5
カカオマス170重量部、砂糖320重量部、粉乳140重量部、ココアバター370重量部、乳化剤5重量部の配合で、常法によりチョコレート生地を作成した。このチョコレート生地の35℃の粘度は6300mPa・s(B型粘時計、No.6ローター、4rpm)であった。
このチョコレート生地100重量部を35℃に温調し、チョコシードB(不二製油株式会社製)3重量部を混合して、35℃を維持したまま、実施例4と同じ焼き菓子を埋没させて密閉容器内に入れた。密閉容器内の空気を真空ポンプで排出することで絶対圧8kpaに減圧後、大気圧に戻した。その後、チョコレート生地から焼き菓子を取り出し、焼き菓子のまわりに付着したチョコレート生地を十分に拭き取った後、15℃で冷却することでチョコレートを固化させ、チョコレート生地が含浸した焼き菓子を得た。
【0050】
比較例6
比較例5において、チョコレート生地から焼き菓子を取り出し、焼き菓子のまわりに付着したチョコレート生地を十分に拭き取った後、15℃に冷却する前に、焼き菓子のみを再度密閉容器内に入れ、密閉容器内の空気を真空ポンプで排出することで絶対圧15kpaに再度減圧(2次減圧)後、大気圧に戻した。その後、焼き菓子のまわりに付着したチョコレート生地を十分に拭き取った後、15℃で冷却することでチョコレートを固化させ、チョコレート生地が含浸した焼き菓子を得た。
【0051】
試験例5
実施例4〜6、および比較例2〜6において、試験例1と同様の方法を用いて、チョコレート未到達部分の面積が断面積全体に占める割合を計算した(表2)。その時撮影した断面の写真を
図4、
図5に示す。チョコレート生地の粘度が55000mPa・sである実施例4〜6および比較例2〜4において、実施例4ではチョコレート生地が未到達である部分が存在したが、加圧条件を上げた実施例5および6ではほぼ存在しなかった。しかし、減圧処理を2回行なう比較例2〜4は、絶対圧を現実的な限界値まで下げているにもかかわらず、いずれもチョコレート生地が未到達である部分が多く存在した。一方、チョコレート生地の35℃における粘度が6300mPa・sである比較例5および6では、共にチョコレート生地が未到達である部分がほぼ存在しなかった。
【0052】
試験例6
実施例4〜6、および比較例2〜6において、含浸前の焼き菓子の重量と、含浸後の含浸物の重量を測定することで、含浸されたチョコレート生地の重量が含浸物の重量に占める割合を計算した。
実施例4と実施例5の比較により、加圧が大きくなれば、チョコレート生地が多く含浸されていた。
更に、実施例5と実施例6の比較により、加圧処理のあと減圧処理を行なった実施例6の方がチョコレート生地が押し出されて重量割合が少なくなっていた。
【0053】
チョコレート生地の35℃における粘度が6300mPa・sである比較例5および6において、比較例5は、チョコレート生地が最も多く含浸されていた。比較例6は、比較例5の操作の後に減圧処理することでチョコレート生地が押し出され、実施例5と同程度にチョコレート生地が含浸されていた(表2)。
【0054】
試験例7
実施例5、実施例6、および比較例5、比較例6において、得られた含浸物の破断強度を測定した。テーブル上の支持台の間隔を40mmにする以外は、試験例4と同様の方法で測定した。
実施例5と実施例6の比較から、加圧処理のあと減圧処理を行なった実施例6の方が破断強度が小さかった。チョコレート生地の粘度が6300mPa・sと低く、チョコレートの含浸量が最も多い比較例5の破断強度が最も大きく、比較例5の操作の後にさらに減圧処理を行った比較例6は実施例5と同程度の含浸量になっており、破断強度も実施例5と同程度であった(表2)。
【0055】
試験例8
同程度のチョコレート含浸量と同程度の破断強度である実施例5と比較例6の含浸物に対して、「どちらがチョコレート風味が強いか」および「どちらがおいしいか」を、チョコレートの専門パネラー5名にて調査したところ、100%の選択率で、実施例5の方がチョコレート風味が強く、おいしい、という結果を得た(表2)。
【0056】
試験例5〜8をまとめると、チョコレート生地の粘度が55000mPa・sと高い場合は、実施例5および実施例6のような、高い圧力で加圧する含浸方法の方が、従来の減圧による含浸方法より、焼き菓子中心部分までチョコレートを含浸させるには有利である。さらに、実施例6のように、加圧処理の後さらに減圧処理をすることで、チョコレートの重量割合と破断強度を調整し、風味や硬さといった品質をコントロールすることができる。
【0057】
一方、チョコレートの粘度が6300mPa・sといった低い場合は、従来の減圧方式である比較例5により焼き菓子中心付近までチョコレートを含浸できるが、全体に占めるチョコレートの重量割合が高いため破断強度が大きい硬い食感となる。従来の減圧処理であっても、減圧処理を2回繰り返す方法である比較例6により、実施例5と同程度のチョコレートの割合、破断強度を持つものを作ることはできたが、チョコレートの風味が弱く、おいしさにおいて劣る品質となった。
【0058】
【表2】
【0059】
実施例7
粉乳280重量部、砂糖340重量部、ココアバター370重量部、乳化剤7重量部の配合で、常法によりチョコレート生地を作成した。このチョコレート生地の35℃の粘度は13500mPa・s(B型粘時計、No.6ローター、4rpm)であった。
【0060】
このチョコレート生地100重量部を35℃に温調し、チョコシードB(不二製油株式会社製)3重量部を混合した。チョコレート生地を35℃に維持したまま、これにホールイチゴの凍結乾燥物を埋没させて密閉容器内に入れ、密閉容器の空間に圧縮空気を送り込むことで絶対圧701kpaに加圧し、10秒間加圧状態を維持した後、大気圧まで減圧した。その後、チョコレート生地からイチゴ凍結乾燥物を取り出し、そのまわりに付着したチョコレート生地を十分に拭き取った後、15℃で冷却することでチョコレートを固化させ、チョコレート生地が含浸したイチゴ凍結乾燥物を得た。
【0061】
比較例7
実施例7と同じチョコレート生地、ホールイチゴ凍結乾燥物を使用し、同様にして得られたチョコレート生地にホールイチゴの凍結乾燥物を埋没させて密閉容器内に入れ、密閉容器内の空気を真空ポンプで排出することで絶対圧11kpaに減圧後、大気圧に戻した。その後、チョコレート生地からイチゴ凍結乾燥物を取り出し、そのまわりに付着したチョコレート生地を十分に拭き取った後、15℃で冷却することでチョコレートを固化させ、チョコレート生地が含浸したイチゴ凍結乾燥物を得た。
【0062】
実施例7および比較例7で得られた含浸物において、チョコレート生地の全体に占める重量割合はそれぞれ、87%および90%であり、加圧処理を行なった実施例7の方がチョコレートの重量割合が低かったが、チョコレート生地は実施例7のほうがホールイチゴの中央付近まで含浸していた。そして、実施例7のほうが心地よい食感であった。
【0063】
実施例8
カカオマス340重量部、砂糖390重量部、粉乳65重量部、ココアバター200重量部、乳化剤8重量部の配合で、常法によりチョコレート生地を作成した。このチョコレート生地690重量部と生クリーム(乳脂肪分45%)280重量部、洋酒30重量部を35℃にて混合し、生チョコレート生地を作成した。この生チョコレート生地の35℃における粘度は15000mPa・s(B型粘時計、No.6ローター、4rpm)であった。
【0064】
実施例1で使用した15mm×10mm×50mmの焼き菓子を予め入れておいた容器に、この生チョコレート生地をモーノポンプ(兵神装備株式会社製)にて輸送し、容器を生チョコレート生地で満たして容器内にあったヘッドスペースの空気を大気圧下で完全に抜いた。その後更に、モーノポンプで生チョコレート生地を輸送することで、容器内生チョコレート生地の圧力を絶対圧1101kpaに加圧し、10秒間加圧状態を維持した後、容器内の圧力を解放して大気圧まで減圧した。その後、生チョコレート生地から焼き菓子を取り出し、焼き菓子のまわりに付着した生チョコレート生地を十分に拭き取った後、15℃で冷却固化させ、生チョコレート生地が含浸した焼き菓子を得た。濃厚な味わいの生チョコレートが中心部まで含浸し、且つ適度に空隙を有する含浸食品が得られた。また、得られた含浸物全体に占める生チョコレートの重量割合は65.8%であった。
【0065】
実施例9
鶏卵230重量部、砂糖170重量部、乳化油脂90重量部、乳化剤3重量部、水150重量部、薄力粉300重量部、油脂30重量部をよく混合し、水種生地を得た。これを金属製の型に流し込み、180℃のオーブンで、20分焼成後、更に100℃で1時間乾燥し、15mm×10mm×50mmの焼き菓子を得た。
【0066】
カカオマス190重量部、砂糖370重量部、粉乳150重量部、ココアバター290重量部、乳化剤5重量部にて、常法によりチョコレート生地を作成した。このチョコレート生地の35℃の粘度は13000mPa・s(B型粘時計、No.6ローター、4rpm)であった。
【0067】
このチョコレート生地100重量部を35℃に温調し、チョコシードB(不二製油株式会社製)3重量部を混合した。35℃を維持したまま上記焼き菓子を埋没させて密閉容器内に入れ、密閉容器の空間に圧縮空気を送り込むことで絶対圧701kpaに加圧し、10秒間加圧状態を維持した後、大気圧まで減圧した。その後、チョコレート生地から焼き菓子を取り出し、焼き菓子のまわりに付着したチョコレート生地を十分に拭き取った後、15℃で冷却することでチョコレートを固化させ、チョコレート生地が含浸した焼き菓子を得た。得られた物の切断平面におけるチョコレート生地の未到達部分の面積割合は7.7%であり、チョコレート生地が中心部まで含浸し、且つ適度に空隙を有する含浸食品が得られた。
【0068】
実施例10
実施例1の焼き菓子調製工程と同様にして、30mm×20mm×150mmの焼き菓子を得た。
また、カカオマス190重量部、砂糖370重量部、粉乳160重量部、ココアバター280重量部、乳化剤5重量部の配合で、常法によりチョコレート生地を作成した。このチョコレート生地の35℃の粘度は15000mPa・s(B型粘時計、No.6ローター、4rpm)であった。
【0069】
このチョコレート生地100重量部を35℃に温調し、チョコシードB(不二製油株式会社製)3重量部を混合し、35℃を維持したまま上記焼き菓子を埋没させて密閉容器内に入れ、密閉容器の空間に圧縮空気を送り込むことで絶対圧2701kpaに加圧し、10秒間加圧状態を維持した後、大気圧まで減圧した。その後、チョコレート生地から焼き菓子を取り出し、焼き菓子のまわりに付着したチョコレート生地を十分に拭き取った後、15℃で冷却することでチョコレートを固化させ、チョコレート生地が含浸した焼き菓子を得た。得られた物の切断平面におけるチョコレート生地の未到達部分の面積割合は0.9%であり、チョコレート生地が中心部まで含浸し、且つ適度に空隙を有する含浸食品が得られた。
【0070】
実施例11
実施例1の焼き菓子調製工程と同様にして、30mm×20mm×150mmの焼き菓子を得た。
また、カカオマス225重量部、砂糖370重量部、粉乳265重量部、ココアバター133重量部、乳化剤7重量部の配合で、常法によりチョコレート生地を作成した。このチョコレート生地の35℃の粘度は98000mPa・s(B型粘時計、No.6ローター、4rpm)であった。
【0071】
このチョコレート生地100重量部を35℃に温調し、チョコシードB(不二製油株式会社製)3重量部を混合し、35℃を維持したまま上記焼き菓子を埋没させて耐圧シリンダー内に入れ、ピストンを押し込んでシリンダー内の空間に存在した空気をリーク口から排出した後リーク口を閉じ、ピストンで直接チョコレート生地を押すことで絶対圧10130kpaに加圧し、10秒間加圧状態を維持した後、大気圧まで減圧した。その後、チョコレート生地から焼き菓子を取り出し、焼き菓子のみを再度密閉容器内に入れ、密閉容器内の空気を真空ポンプで排出することにより絶対圧3kpaに減圧後、大気圧に戻した。その後、焼き菓子のまわりに付着したチョコレート生地を十分に拭き取り、15℃で冷却することでチョコレートを固化させ、チョコレート生地が含浸した焼き菓子を得た。濃厚な味わいのチョコレート生地が中心部まで含浸し、且つ適度に空隙を有する含浸食品が得られた。
【0072】
実施例12
コーングリッツ85重量部に水15重量部を添加して水分を15重量%に調整したスナック原料を、1軸エクストルーダー(葵精機製)のフィード口に投入し、バレル温度200℃、ローター回転数250rpmにてクッキングした。そして膨化スナック生地をエクストルーダーから吐出させ、底面の直径30mm×高さ100mmの略円柱状に切断し、乾燥して水分を2重量%まで下げて膨化食品を得た。
【0073】
また、カカオマス190重量部、砂糖370重量部、粉乳160重量部、ココアバター280重量部、乳化剤5重量部にて、常法によりチョコレート生地を作成した。このチョコレート生地の35℃の粘度は15000mPa・s(B型粘時計、No.6ローター、4rpm)であった。
【0074】
このチョコレート生地100重量部を35℃に温調し、チョコシードB(不二製油株式会社製)3重量部を混合した。35℃を維持したまま上記焼き菓子を埋没させて密閉容器内に入れ、密閉容器の空間に圧縮空気を送り込むことで絶対圧201kpaに加圧し、10秒間加圧状態を維持した後、大気圧まで減圧した。その後、チョコレート生地から焼き菓子を取り出し、焼き菓子のまわりに付着したチョコレート生地を十分に拭き取った後、15℃で冷却することでチョコレートを固化させ、チョコレート生地が含浸した焼き菓子を得た。チョコレート生地が含浸し、且つ適度に空隙を有する含浸食品であった。