【解決手段】各電池セルの電圧を検出するもので自身に接続されている複数の電池セルの個数であるセル数を有した複数の電池監視IC31〜34と、電圧の検出開始を指示するAD起動コマンドを各電池監視IC31〜34に対して送信するマイコン40と、を備えた電池監視ユニット100であり、電池監視IC31〜34の夫々は、AD起動コマンドを取得すると、AD起動コマンドに含まれるセル番号と接続セル情報に含まれるセル数とを比較し、セル番号がセル数と同じ場合及びセル番号がセル数より小さい場合、AD起動コマンドに含まれるセル番号を最初に電圧を検出する電池セルのセル番号に決定し、セル番号がセル数よりも大きい場合、最上位のセル番号を最初に電圧を検出する電池セルのセル番号に決定する。
前記マイコンは、各電池監視ICに接続されている複数の前記電池セルにおける単一の電池セルの電圧検出を指示するセレクトモード情報、又は、各電池監視ICに接続されている複数の前記電池セルにおける全ての電池セルを順番に電圧検出することを指示するスキャンモード情報を含む前記コマンドを前記送信手段にて送信するものであり、
前記検出手段は、セレクトモード情報を含む前記コマンドを取得すると、自身に接続されている複数の電池セルのうち、前記決定手段にて決定されたセル番号の電池セルのみの電圧を検出し、スキャンモード情報を含む前記コマンドを取得すると、自身に接続されている複数の電池セルのうち、前記決定手段にて決定されたセル番号の電池セルの電圧を最初に検出すると共に、前記セル番号順に、自身に接続されている複数の電池セルにおける残りの電池セルの電圧を検出することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載の組電池システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、各電池監視ICは、マイコンから送信されたコマンドに応じて、電池状態を検出することが考えられる。さらに、各電池監視ICは、接続されている電池セルの数が異なることもありうる。
【0008】
各電池監視ICに接続されている電池セルが異なる場合、各電池監視ICに対するコマンドは、各電池監視ICに接続されている電池セルの数に応じて設定することが好ましい。よって、マイコンは、各電池監視ICに対して、異なるタイミングでコマンドを送信することになる。例えば、マイコンは、第1電池監視ICに対して電池状態の検出を指示するコマンドを送信した後に、第2電池監視ICに対して電池状態の検出を指示するコマンドを送信することになる。しかしながら、各電池監視ICに対して異なるタイミングでコマンドを送信すると、電池監視IC毎に電池状態の検出を開始するタイミングズレ(起動ラグとも称する)が発生するだけでなく、マイコンと電池監視IC間の通信負荷が増えるという問題が生じる。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、電池監視IC毎に生じる起動ラグを抑制しつつ、マイコンと電池監視IC間における通信負荷を軽減することができる組電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、
直列に接続された複数の電池セルc1〜cn(nは1以上の自然数)を含む組電池(10)の制御を行う組電池システムであって、
各電池セルの電圧を検出する複数の電池監視IC(31〜34)と、
各電池監視ICと通信可能に構成されており、電圧の検出開始を指示するコマンドを各電池監視ICに対して送信するマイコン(40)と、を備え、
複数の電池監視ICの夫々は、自身以外の電池監視ICとは異なる複数の電池セルが検出対象として接続されており、自身に接続されている複数の電池セルの最上位の電池セルから最下位の電池セルまでの夫々に対する通し番号であるセル番号、及び自身に接続されている複数の電池セルの個数であるセル数を含む接続セル情報を有するものであり、
マイコンは、各電池監視ICに共通の情報であり、且つ各電池監視ICにおいて最初に検出を行う電池セルを指示する情報として、電圧の検出を開始する電池セルを示すセル番号を含むコマンドを、各電池監視ICに対して送信する送信手段を有し、
複数の電池監視ICの夫々は、
コマンドを取得すると、該コマンドに含まれるセル番号と、接続セル情報に含まれるセル数とを比較し、該セル番号が該セル数と同じ場合及び該セル番号が該セル数より小さい場合は、コマンドに含まれるセル番号を最初に電圧を検出する電池セルのセル番号に決定し、該セル番号が該セル数よりも大きい場合は、最上位のセル番号を最初に電圧を検出する電池セルのセル番号に決定する決定手段と、
自身に接続されている複数の電池セルのうち、決定手段にて決定されたセル番号の電池セルの電圧を最初に検出する検出手段と、を有し、
マイコンは、各電池監視ICに対して、各電池監視ICに対応するセル数を送信することを特徴とする。
【0011】
このように、各電池監視ICに共通の情報であり、且つ各電池監視ICにおいて最初に検出を行う電池セルを指示する情報として、電圧の検出を開始する電池セルを示すセル番号を含むコマンドを用いることで、複数の電池監視ICに対して、電圧の検出開始を指示するコマンドを共通にすることができる。
【0012】
そして、コマンドに含まれるセル番号と、接続セル情報に含まれるセル数とを比較し、セル番号がセル数と同じ場合及びセル番号がセル数より小さい場合は、コマンドに含まれるセル番号を最初に電圧を検出する電池セルのセル番号に決定し、セル番号がセル数よりも大きい場合は、最上位のセル番号を最初に電圧を検出する電池セルのセル番号に決定する。このため、電圧検出対象となる電池セルの数が、各電池監視ICで異なっていても、共通のコマンドにて最初に電圧を検出する電池セルのセル番号を決定することができる。このように、コマンドを共通化することができるので、各電池監視ICに対して同時にコマンドを送信することが可能となる。つまり、マイコンは、一つのコマンドを一度送信するだけで、複数の電池監視ICに対して電圧の検出開始を指示することができる。
【0013】
従って、各電池監視ICに対して、電池監視IC毎に異なるコマンドを順番に送信する比較例よりも起動ラグを抑制することができる。なお、マイコンが、一つのコマンドを各電池監視ICに対して同時に送信する場合であっても、各電池監視IC間でコマンドを取得するタイミングに誤差が生じることもありうる。この場合、各電池監視IC間でコマンドを取得するタイミングに誤差が生じることで、起動ラグが生じることになる。しかしながら、この場合、起動ラグが生じたとしても、誤差程度のものにすぎない。
【0014】
また、上述のように、マイコンは、複数の電池監視ICに対して一つのコマンドを一度送信するだけで、複数の電池監視ICに対して電圧の検出開始を指示することができる。よって、各電池監視ICに対して、電池監視IC毎に異なるコマンドを順番に送信する場合よりも、マイコンと電池監視IC間における通信負荷を軽減することができる。
【0015】
さらに、各電池監視ICが保有する接続セル情報におけるセル数は、マイコンから各電池監視ICに対して送信されるので、予め、各電池監視ICに記憶される必要はない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態による組電池システムについて、図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明の組電池システムを電池監視ユニット100(以下、単にユニット100とも称する)に適用した例を採用する。
【0018】
ユニット100は、いわゆるハイブリッド車両(プラグインハイブリッド車両を含む)や電気車両のように、電気モータを走行駆動源とする車両に搭載されるものである。これらの車両では、組電池10により供給される電力により、走行用電気モータが駆動される。
【0019】
ユニット100は、組電池10に必要な各種パラメータ(電圧、電流、温度など)を検出し、車両の各種制御を行う自身以外の制御装置へ情報提供するものである。よって、ユニット100は、電池センサと言い換えることもできる。また、組電池システムは、電池容量を演算する電池ECUにも適用可能である。
【0020】
なお、組電池10は、複数の電池セルc1〜cn(nは1以上の自然数)が直列に接続されてなるものである。この組電池10は、回生ブレーキにより充電されたり、発電用モータを備えている場合には、その発電用モータによって発電された電力によって充電されたりする。さらに、プラグインハイブリッド車両や電気車両の場合には、組電池10は、いわゆる充電スタンドにて充電することも可能である。
【0021】
このように、組電池10は、車両の走行に伴って、充放電が繰り返し実行されるものである。また、プラグインハイブリッド車両や電気車両の場合には、組電池10は、走行用電気モータの電力源以外の電力源(例えば、車両内の電装品や車両外の電化製品などの電力源)としても使用することができる。つまり、ユニット100は、車両に搭載された電力源としての組電池10の制御を行うものである。ただし、本発明の組電池システムは、車両に搭載された電力源としての組電池10の制御を行うものに限定されるものではない。本発明の組電池システムは、直列に接続された複数の電池セルc1〜cnを含む組電池10の制御を行うものであれば目的を達成できる。
【0022】
図1は、本実施形態によるユニット100の全体構成を示している。
図1に示されるように、ユニット100は、主に、第1電池監視IC31〜第4電池監視IC34と、マイコン40とを備えて構成されている。また、ユニット100は、組電池10が電気的に接続されている。なお、第1電池監視IC31を監視IC31,第2電池監視IC32を監視IC32,第3電池監視IC33を監視IC33,第4電池監視IC34を監視IC34とも称する。また、監視IC31〜監視IC34の夫々を区別する必要がない場合は、単に監視IC31〜34とも称する。
【0023】
また、本実施形態では、電池監視ICを四つ備える構成を採用している。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、複数の電池監視ユニットを備えるものであれば、目的を達成することができる。
【0024】
監視IC31〜34の夫々は、複数の電池セルが接続されている。また、監視IC31〜34の夫々は、自身以外の監視IC31〜34とは異なる複数の電池セルが電圧の検出対象として接続されている。例えば、監視IC31には、電池セルc1〜c14の14個の電池セルが接続されている。また、監視IC32には、電池セルc15〜c27の13個の電池セルが接続されている。この監視IC31〜34の夫々は、自身に接続された複数の電池セルを電源として動作する。
【0025】
監視IC31〜34の夫々は、自身に接続されている複数の電池セルの最上位の電池セルから最下位の電池セルまでの夫々に対する通し番号であるセル番号と、自身に接続されている複数の電池セルの個数であるセル数とを含む接続セル情報を有している。セル番号は、1以上の自然数である。セル数は、2以上の自然数である。つまり、監視IC31〜34の夫々は、自身に接続されている複数の電池セルの最上位の電池セルから最下位の電池セルの夫々に対してセル番号を関連付けて記憶しているとともに、セル数を記憶している。言い換えると、監視IC31〜34の夫々は、自身に接続されている複数の電池セルの夫々に対してセル番号を関連付けて管理している。なお、監視IC31〜34の夫々は、自身の記憶装置(図示省略)に接続セル情報を記憶しておく。
【0026】
例えば、監視IC31に接続されている電池セルc1〜c14においては、最上位の電池セルが電池セルc14であり、最下位の電池セルが電池セルc1である。よって、監視IC31は、電池セルc1〜電池セルc14に対応するセル番号である1〜14と、セル数である14とを含む接続セル情報を有している。
【0027】
また、監視IC32に接続されている電池セルc15〜c27においては、最上位の電池セルは電池セルc27であり、最下位の電池セルは電池セルc15である。よって、監視IC32は、電池セルc15〜電池セルc27に対応するセル番号である1〜13と、セル数である13とを含む接続セル情報を有している。
【0028】
このように、本実施形態では、最下位の電池セルをセル番号1として、最下位の電池セルから最上位の電池セルまで順番にセル番号を付与している。よって、最上位のセル番号とセル数とが同じ値を示すことになる。なお、監視IC31〜34の夫々に接続された最上位の電池セルは、監視IC31〜34の夫々に接続された複数の電池セルのなかで最高電位の電池セルである。一方、監視IC31〜34の夫々に接続された最下位の電池セルは、監視IC31〜34の夫々に接続された複数の電池セルのなかで最低電位の電池セルである。
【0029】
監視IC31〜34の夫々は、自身に接続されている各電池セルの電圧を個別に検出するとともに、その検出結果である各電池セルの電圧値をマイコン40に送信する。また、監視IC31〜34の夫々は、マイコン40からコマンドを取得すると、コマンドに含まれる情報に基づいて、自身に接続されている複数の電池セルのセル番号から最初に電圧を検出する電池セルのセル番号を決定する(決定手段)。つまり、監視IC31〜34の夫々は、コマンドに含まれる情報に基づいて、自身に接続されている複数の電池セルのなかから最初に電圧を検出する電池セルを決定する。なお、ここでのコマンドは、各監視IC31〜34に対して電圧の検出開始を指示するコマンドであり、言い換えるとAD起動開始指示を示すコマンドである。よって、以下、AD起動コマンドとも称する。
【0030】
そして、監視IC31〜34の夫々は、自身に接続されている複数の電池セルのうち、決定手段にて決定されたセル番号の電池セルの電圧を最初に検出する(検出手段)。なお、監視IC31〜34の夫々は、複数の電池セルの電圧AD変換を実施する。このように、各監視IC31〜34における検出結果である各電池セルの電圧値は、AD変換された値であるため、AD変換結果と称することもできる。
【0031】
なお、各監視IC31〜34(検出手段)は、セレクトモードでの電圧検出と、スキャンモードでの電圧検出を行うことができる。セレクトモードは、各監視IC31〜34に接続されている複数の電池セルにおける単一の電池セルを電圧検出の対象として電圧検出を行うモードである。このセレクトモードでは、各監視IC31〜34の夫々が決定した電池セル(マイコン40から命令されたセル番号の電池セル、又は最上位の電池セル)のみの電圧検出を行う。
【0032】
一方、スキャンモードは、各監視IC31〜34に接続されている複数の電池セルにおける全ての電池セルを順番に電圧検出の対象として電圧検出を行うモードである。このスキャンモードでは、各監視IC31〜34の夫々が決定した電池セル(マイコン40から命令されたセル番号の電池セル、又は最上位の電池セル)から順番に最下位の電池セルまで電圧検出を行う。言い換えると、スキャンモードでは、各監視IC31〜34の夫々が決定した電池セルから、セル番号が小さい方に順番に電圧検出を行う。
【0033】
なお、スキャンモードで電圧検出を行う際には、リング状に電圧検出を行うようにしてもよい。一例として、セル番号1〜14の電池セルc1〜c14が接続された監視IC31を用いて説明する。監視IC31は、最初に電圧を検出する電池セルのセル番号をセル番号13に決定することもありうる。このような場合、リング状に電圧検出を行うと、検出順番は、セル番号13→12→11→・・・→1→14となる。よって、最上位の電池セルから電圧検出を行わなくても、全ての電池セルの電圧検出を行うことができる。
【0034】
また、監視IC31〜34の夫々は、検出結果の送信指示を示すコマンドをマイコン40から取得すると、この検出結果をマイコン40に送信する。なお、ここでのコマンドは、各監視IC31〜34による検出結果の送信指示を示すコマンドであり、以下、送信コマンドとも称する。この監視IC31〜34の夫々における処理動作に関しては、後ほど詳しく説明する。なお、監視IC31〜34の夫々は、少なくとも電池セルの電圧を検出するものであればよく、電池セルのその他の状態を検出するものであってもよい。
【0035】
監視IC31〜34は、
図1に示すように、信号線を介して直列に接続されている。具体的には、監視IC31は、マイコン40及び監視IC32と直接接続されており、両者と信号(コマンドや検出結果など)のやり取りを行う。監視IC32は、監視IC31と監視IC33と直接接続されており、両者と信号のやり取りを行う。監視IC33は、監視IC32と監視IC34と直接接続されており、両者と信号のやり取りを行う。監視IC34は、監視IC33と直接接続されており、監視IC33と信号のやり取りを行う。
【0036】
よって、監視IC31〜34のうち、マイコン40との間で直接通信を行なっているのは監視IC31だけである。また、監視IC31〜34の夫々は、信号を梯子渡しする。従って、監視IC31は、マイコン40からのコマンドを直接取得するとともに、自身の検出結果をマイコン40に直接伝達する。一方、監視IC32〜34は、マイコン40からのコマンドを他の監視IC31〜34を介して取得すると共に、自身の検出結果を他の監視IC31〜34を介してマイコン40に伝達する。なお、本実施形態のように、複数の監視IC31〜34は、同一通信線内に接続することが可能で、監視IC31〜34の夫々に識別子が付与されている。
【0037】
ところで、監視IC31〜33の夫々は、マイコン40から送信されたコマンドを梯子渡しする。よって、例えば、監視IC31がマイコン40から送信されたコマンドを取得するタイミングと、監視IC32がマイコン40から送信されたコマンドを取得するタイミングとは異なる。しかしながら、監視IC31〜33の夫々は、自身が受け取ったコマンドを他の監視IC32〜34に転送するだけである。よって、監視IC31と監視IC32との間に生じるコマンドを取得するタイミングのズレは、監視IC31がコマンドを監視IC32に転送するのに要する時間程度である。
【0038】
上述のように、マイコン40と監視IC31〜34との間で、相互に信号の通信が行われるが、
図1に示されるように、マイコン40は低圧系回路に属し、監視IC31〜34は高圧系回路に属している。そこで、低圧系回路に属するマイコン40と高圧系回路に属する監視IC31〜34との絶縁を確保するために、マイコン40と監視IC31〜34との間には、フォトカプラ50が設けられている。言い換えると、フォトカプラ50は、マイコン40などの動作電源である低圧系(例えば12V系)と、監視ICなどの動作電源である高圧系(組電池10)とを絶縁するものである。なお、上述のように、監視IC31〜34間を梯子渡しで信号を伝達するようにする構成とすることで、フォトカプラ50の数を最小化することができる。
【0039】
なお、組電池10は、リレー20が接続されているときに電源供給が可能であり、リレー20が遮断されると電源供給を停止する。つまり、リレー20を遮断することで、組電池10からの電源供給を停止させることができる。
【0040】
また、組電池10には、電流センサ60が取り付けられている。この電流センサ60は、組電池10に流れる電流を検出するものである。また、電流センサ60は、マイコン40と接続されており、検出結果をマイコン40に出力する。なお、この電流センサ60による電流検出タイミングと、監視IC31〜34による電圧検出タイミングを同期させれば、内部抵抗などを算出することができる。
【0041】
ここで、
図2に基づいて、監視IC31〜34の概略構成に関して説明する。監視IC31〜34は、どれも同じ構成を有している。よって、ここでは、監視IC31に関してのみ説明する。なお、
図2においては、便宜上、一部の配線は省略している。また、
図2におけるVCCは監視IC31〜34の電源電圧であり、VSSは監視IC31〜34のグランドに相当するものである。
【0042】
監視IC31は、主に、セル選択スイッチ31a、ADコンバータ31b、ロジック回路31cを備えて構成されている。
【0043】
セル選択スイッチ31aは、ロジック回路31cからの指示で動作するものであり、監視IC31に接続されている複数の電池セルc1〜c14の中から、検出対象のセルを接続すべく、スイッチ(図示省略)を制御する回路である。これによって、複数の電池セルc1〜c14のうちから検出対象として一つの電池セルが選択される。そして、セル選択スイッチ31aによって選択された電池セルの電圧がADコンバータ31bに入力される。
【0044】
そして、ADコンバータ31bは、入力された電池セルの電圧をAD変換して、変換結果をロジック回路31cに出力する。このように、監視IC31は、セル選択スイッチ31aで選択した電池セルの電圧をADコンバータ31bで変換してロジック回路31cに出力する。よって、監視IC31は、セル選択スイッチ31aが電池セルを選択することで電池セルの電圧を検出するということができる。
【0045】
ロジック回路31cは、内部にレジスタ(図示省略)を備えて構成されている。ロジック回路31cは、レジスタ管理や、監視IC31内の各種素子への駆動命令及び停止命令を実施する。また、監視IC31のロジック回路31cは、マイコン40や監視IC32との通信を行う。ただし、上述のように、監視IC32〜34の夫々は、自身と直接接続された監視IC31〜34との間で通信を行う。
【0046】
ロジック回路31cのレジスタは、AD起動コマンドに割り当てられたアドレスの領域(第1領域)、送信コマンドに割り当てられたアドレスの領域(第2領域)、電圧値の保存用に割り当てられたアドレスの領域(第3領域)を有している。そして、ロジック回路31cは、AD起動コマンドにWriteを示す情報が含まれていた場合、この情報に従って所定の情報をレジスタの第1領域に書き込む。同様に、ロジック回路31cは、送信コマンドにWriteを示す情報が含まれていた場合、この情報に従って所定の情報をレジスタの第2領域に書き込む。また、ロジック回路31cは、検出された電圧の値(電圧値)を個別に、レジスタの第3領域に書き込む。そして、ロジック回路31cは、検出結果をマイコン40に送信する際には、レジスタの第3領域に格納されている電圧値を検出結果として送信する。なお、ロジック回路31cの構成は、これに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。
【0047】
マイコン40は、各監視IC31〜34との通信や、電流センサ60によるセンシングを実施する。また、マイコン40は、各監視IC31〜34と通信可能に構成されており、AD起動コマンドを各監視IC31〜34に対して送信する。より詳細には、マイコン40は、各監視IC31〜34に共通の情報であり、且つ各監視IC31〜34において最初に検出を行う電池セルを指示する情報を含むコマンドを、各監視IC31〜34に対して送信する(送信手段)。このコマンドがAD起動コマンドである。なお、本実施形態では、各監視IC31〜34に共通の情報であり、且つ各監視IC31〜34において最初に検出を行う電池セルを指示する情報として、電圧の検出を開始する電池セルを示すセル番号を含むAD起動コマンドを送信する。また、マイコン40は、送信コマンドを各監視IC31〜34に対して送信する。このようにして、マイコン40は、各監視IC31〜34に対して命令を行う。なお、マイコン40は、電流センサ60以外の各種センサのセンシングを実施するものであってもよい。
【0048】
また、マイコン40は、複数の監視IC31〜34の全てに対してコマンドを送信するブロードキャストモードと、複数の監視IC31〜34における一部の監視IC31〜34に対してコマンドを送信するナローキャストモードとを有する。本実施形態では、ブロードキャストモードで動作する例を採用している。
【0049】
マイコン40が行う電池制御の一例を簡単に説明する。マイコン40は、電流センサ60、各監視IC31〜34、及び組電池10の温度を検出する温度センサ(図示省略)から検出結果などの信号を取り込む。その後、マイコン40は、各監視IC31〜34によって検出された各電池セルの電圧に基づいて、組電池10全体の電池容量(残存容量)を算出し、走行用電気モータの駆動状態を制御する上位の制御装置(図示せず)に提供する。その上位の制御装置は、提供された残存容量に基づいて、車両の乗員に、電池残量や、走行可能距離を示す情報を提供したり、ハイブリッド車両においては、エンジン出力と電気モータ出力の比率を決定したりする。ただし、マイコン40が行う電池制御は、これに限定されるものではない。
【0050】
なお、マイコン40は、各監視IC31〜34の夫々に接続されている電池セルの個数を把握(記憶)している。よって、マイコン40は、各監視IC31〜34に対して、各電池監視IC31〜34に対応するセル数を送信するようにしてもよい。よって、各監視IC31〜34は、マイコン40からセル数を受信すると、そのセル数を記憶装置に記憶する。このようにすることで、マイコン40は、各監視IC31〜34と電池セルとの接続状態(断線など)に左右されず命令を出すことができる。
【0051】
ここで、
図3〜
図5を用いて、本実施形態における電池監視ユニット100の処理動作に関して説明する。まず、
図3,
図5を用いて、マイコン40の定期処理動作に関して説明する。マイコン40は、予め決められた時刻になると、又は所定時間毎に
図3のフローチャートで示す処理を実行する。なお、ここでは、各監視IC31〜34をスキャンモードで動作させる例を採用している。
【0052】
ステップS10では、コマンドを準備する。このとき、マイコン40は、AD起動コマンドと、送信コマンドとを準備する。マイコン40は、例えば、自身に設けられた記憶装置(図示省略)から、AD起動コマンドと送信コマンドとを取り出す。
【0053】
ここで、AD起動コマンドと送信コマンドとに関して説明する。まず、AD起動コマンドに関して説明する。
図5に、AD起動コマンドの一例を示す。AD起動コマンドは、例えば、命令種別としてスキャンAD、命令対象としてALL、Write/ReadとしてWrite、設定値1としてセル番号14から開始、設定値2にセル番号1まで実施などを含む。
【0054】
スキャンADは、本発明の特許請求の範囲におけるスキャンモード情報に相当するものであり、スキャンモードでのAD起動開始指示を示す情報である。ALLは、全ての監視IC31〜34を示す情報である。Writeは、レジスタの第1領域への書き込みを示す情報である。セル番号14から開始とは、電圧検出をセル番号14から開始することを示す情報である。このように、設定値1の情報は、各監視IC31〜34において最初に検出を行う電池セルを指示する情報である。つまり、設定値1の情報は、各監視IC31〜34に共通の情報であり、且つ各監視IC31〜34において最初に検出を行う電池セルを指示する情報(セル番号)である。セル番号1まで実施とは、電圧検出をセル番号1まで実施することを示す情報である。
【0055】
従って、
図5に示すAD起動コマンドは、全ての監視IC31〜34に対するコマンドであり、レジスタの第1領域に所定の情報を書き込み、セル番号14の電池セルからセル番号1の電池セルまで、スキャンモードで電圧検出する命令を示している。一方、結果の送信指示を示す送信コマンドは、図示は省略するが、例えば、命令種別として検出結果の送信を示す情報、命令対象として対応するIC番号、Write/ReadとしてReadなどを含む。
【0056】
なお、Write/ReadにおけるWriteは、監視IC31〜34に設けられたロジック回路31cに対して、ロジック回路31cに設けられたレジスタの第1領域や第2領域に所定の情報を書き込むように指示するためのものである。そして、ロジック回路31cは、第1領域に書き込みがなされていると電池セルの電圧検出を実行し、第2領域に書き込みがなされていると電池セルの電圧検出をマイコン40に送信する。
【0057】
ステップS11では、ステップS10で準備したAD起動コマンドを送信する。ステップS12では、ステップS10で準備した送信コマンドを送信する。このステップS11,S12を実行する際、マイコン40は、自身の通信回路(図示省略)を送信動作させる。なお、ステップS11とステップS12とは、異なるタイミング(異なる時刻)で送信する。つまり、ステップS12は、ステップS11での処理を実行した所定時間後に行うものである。そして、ステップS13では、各監視IC31〜34から検出結果を受信する。このステップS13を実行する際、マイコン40は、自身の通信回路(図示省略)を送信動作から受信動作に切替えて、各監視IC31〜34から検出結果を受信する。
【0058】
次に、
図4,
図5を用いて、各監視IC31〜34の処理動作に関して説明する。なお、監視IC31〜34は、どれも同じ処理動作を実行する。よって、ここでは、主に監視IC31と監視IC32に関して説明する。
【0059】
各監視IC31〜34は、マイコン40からAD起動コマンドを取得すると、
図4のフローチャートで示す処理を実行する。例えば、
図5に示すように、監視IC31は、AD起動コマンドをタイミングt1で取得して、
図4のフローチャートで示す処理を実行する。また、監視IC32は、AD起動コマンドをタイミングt2で取得して、
図4のフローチャートで示す処理を実行する。監視IC33や監視IC34に関しても、AD起動コマンドを取得したタイミングで
図4のフローチャートで示す処理を実行する。なお、
図4のフローチャートで示す処理は、主に各監視IC31〜34に設けられたロジック回路31cが行うものである。
【0060】
ステップS20では、開始セル番号とセル数とを比較して、開始セル番号の方がセル数よりも大きいか否かを判定する(決定手段)。なお、この開始セル番号は、取得したAD起動コマンドの設定値1におけるセル番号であり、
図5の例ではセル番号14である。また、この開始セル番号は、本発明の特許請求の範囲における、コマンドに含まれるセル番号に相当するものである。セル数は、各監視IC31〜34の夫々が所持しているセル数である。よって、監視IC31のセル数は14であり、監視IC32セル数は13である。
【0061】
そして、開始セル番号がセル数よりも大きくない場合はステップS21へ進み、開始セル番号がセル数よりも大きい場合はステップS22へ進む。つまり、監視IC31は、ステップS21へ進むことになる。一方、監視IC32は、ステップS22へ進むことになる。
【0062】
ステップS21では、指示通りAD検出を開始する。つまり、監視IC31は、AD起動コマンドに含まれるセル番号が接続セル情報に含まれるセル数と同じ場合、コマンドに含まれるセル番号(ここではセル番号14)を最初に電圧を検出する電池セルのセル番号に決定する(決定手段)。そして、監視IC31は、自身に接続されている複数の電池セルのうち、決定手段にて決定したセル番号の電池セルの電圧を最初に検出する(検出手段)。言い換えると、監視IC31は、自身に接続されている複数の電池セルのうち、決定手段にて決定したセル番号の電池セルを最初に選択する(検出手段)。
【0063】
さらに、ここでは、各監視IC31〜34をスキャンモードで動作させる例を採用している。よって、監視IC31は、スキャンモード情報を含むAD起動コマンドを取得すると、自身に接続されている複数の電池セルのうち、決定手段にて決定されたセル番号の電池セルの電圧を最初に検出する。さらに、監視IC31は、これとともに、セル番号順に、自身に接続されている複数の電池セルにおける残りの電池セルの電圧を検出する。言い換えると、監視IC31は、決定手段にて決定されたセル番号の電池セルの電圧を最初に選択すると共に、セル番号順に、自身に接続されている複数の電池セルにおける残りの電池セルを選択する。つまり、
図5に示すように、監視IC31は、セル番号14の電池セルからセル番号1の電池セルまで順番に電圧を検出する。
【0064】
なお、各監視IC31〜34は、AD起動コマンドに含まれるセル番号が接続セル情報に含まれるセル数よりも小さい場合も、コマンドに含まれるセル番号を最初に電圧を検出する電池セルのセル番号に決定する(決定手段)。
【0065】
ステップS22では、最上位の電池セルを開始セルとしてAD検出を開始する。つまり、監視IC32は、AD起動コマンドに含まれるセル番号が接続セル情報に含まれるセル数よりも大きい場合、最上位のセル番号(ここではセル番号13)を最初に電圧を検出する電池セルのセル番号に決定する(決定手段)。そして、監視IC32は、自身に接続されている複数の電池セルのうち、決定手段にて決定したセル番号の電池セルの電圧を最初に検出する(検出手段)。
【0066】
さらに、ここでは、各監視IC31〜34をスキャンモードで動作させる例を採用している。よって、監視IC32は、スキャンモード情報を含むAD起動コマンドを取得すると、自身に接続されている複数の電池セルのうち、決定手段にて決定されたセル番号の電池セルの電圧を最初に検出する。さらに、監視IC32は、これとともに、セル番号順に、自身に接続されている複数の電池セルにおける残りの電池セルの電圧を検出する。つまり、
図5に示すように、監視IC32は、セル番号13の電池セルからセル番号1の電池セルまで順番に電圧を検出する。
【0067】
ここで、
図5と
図6を用いて、本発明の効果を説明する。なお、
図6は、比較例におけるタイムチャートである。
【0068】
詳細には、
図6は、複数の監視ICと、各監視ICに対して異なるタイミングでAD起動コマンドを送信するマイコンとを備えた電池監視ユニット(比較例)のタイムチャートである。比較例の第1監視ICは、セル番号1(最下位)〜セル番号14(最上位)の14個の電池セルが接続されている。一方、比較例の第2監視ICは、セル番号1(最下位)〜セル番号13(最上位)の13個の電池セルが接続されている。
【0069】
そして、比較例のマイコンは、レジスタの第1領域に所定の情報を書き込み、セル番号14の電池セルからセル番号1の電池セルまで、スキャンモードで電圧検出する命令を示すAD起動コマンドを第1監視ICに対して送信する。AD起動コマンドは、第1監視ICに対するコマンドである。このAD起動コマンドを受け取った第1監視ICは、セル番号14の電池セルから、セル番号1の電池セルまで順番に電圧を検出する。
【0070】
また、比較例のマイコンは、レジスタの第1領域に所定の情報を書き込み、セル番号13の電池セルからセル番号1の電池セルまで、スキャンモードで電圧検出する命令を示すAD起動コマンドを第2監視ICに対して送信する。AD起動コマンドは、第2監視ICに対するコマンドである。このAD起動コマンドを受け取った第2監視ICは、セル番号13の電池セルから、セル番号1の電池セルまで順番に電圧を検出する。
【0071】
ところで、比較例のマイコンは、
図6に示すように、第1監視ICに対するAD起動コマンドを送信した後、所定時間後に第2監視ICに対するAD起動コマンドを送信する。よって、第1監視ICは、タイミングt3でAD検出を開始する。一方、第2監視ICは、タイミングt4でAD検出を開始する。よって、電池監視ユニットでは、タイミングt3からタイミングt4までの期間が起動ラグとして発生することになる。つまり、タイミングt3からタイミングt4までの期間の分だけ、第1監視ICと第2監視ICとに電圧検出を開始するタイミングズレが発生する。また、比較例のマイコンは、各監視ICの夫々に異なるコマンドを送信しているので、その分、マイコンと電池監視IC間における通信負荷が増える。
【0072】
これに対して、本実施形態の電池監視ユニット100は、各監視IC31〜34に共通の情報であり、且つ各監視IC31〜34において最初に検出を行う電池セルを指示する情報を含むコマンドを用いる。これによって、本実施形態の電池監視ユニット100は、複数の監視IC31〜34に対して、電圧の検出開始を指示するコマンドを共通にすることができる。このように、コマンドを共通化することができるので、各監視IC31〜34に対して同時にコマンドを送信することが可能となる。つまり、マイコン40は、一つのコマンドを一度送信するだけで、複数の監視IC31〜34に対して電圧の検出開始を指示することができる。
【0073】
従って、各監視IC31〜34に対して、監視IC31〜34毎に異なるコマンドを順番に送信する比較例よりも起動ラグを抑制することができる。つまり、マイコン40が、一つのコマンドを各監視IC31〜34に対して同時に送信する場合であっても、各監視IC31〜34間でコマンドを取得するタイミングに誤差が生じることもありうる。
【0074】
例えば、
図5に示すように、監視IC31は、タイミングt1でコマンドを受け取っているのに対して、監視IC32は、タイミングt2でコマンドを受け取っている。これは、監視IC31は、マイコン40から送信されたAD起動コマンドをマイコン40から直接受け取っているのに対して、監視IC32は、マイコン40から送信されたAD起動コマンドを監視IC31を介して受け取っているためである。
【0075】
このように、各監視IC31〜34間でコマンドを取得するタイミングに誤差が生じることで、起動ラグが生じることになる。しかしながら、この場合、起動ラグが生じたとしても、この起動ラグを上述のような誤差程度に留めることができる。つまり、監視IC31に対する監視IC32の通信遅れ程度に起動ラグを抑えることができる。
【0076】
また、上述のように、マイコン40は、複数の電池監視IC31〜34に対して一つのコマンドを一度送信するだけで、複数の電池監視IC31〜34に対して電圧の検出開始を指示することができる。よって、各監視IC31〜34に対して、監視IC31〜34毎に異なるコマンドを順番に送信する場合よりも、マイコン40と監視IC31〜34間における通信負荷を軽減することができる。
【0077】
さらに、監視IC31〜34の夫々における電池セルの接続セル数に依存しない検出スケジュールを作成でき、同一検出スケジュールで、各種接続セル数のバリエーションにも対応可能である。
【0078】
なお、本実施形態では、各監視IC31〜34がスキャンモードで電圧検出を行う例を採用した。しかしながら、上述のように、各監視IC31〜34は、セレクトモードで電圧検出を行うこともできる。
【0079】
この場合、マイコン40は、各監視IC31〜34に接続されている複数の電池セルにおける単一の電池セルの電圧検出を指示するセレクトモード情報を含むAD起動コマンドを送信する(送信手段)。マイコン40は、例えば、上述のAD起動コマンドにおける命令種別をスキャンADから、セレクトモードでのAD起動開始指示を示す情報であるセレクトADに置き換えたAD起動コマンドを送信する。そして、各監視IC31〜34は、マイコン40からセレクトモード情報を含むAD起動コマンドを取得すると、自身に接続されている複数の電池セルのうち、決定手段にて決定されたセル番号の電池セルのみの電圧を検出する(検出手段)。
【0080】
このように、各監視IC31〜34がセレクトモードで電圧検出を行う場合であっても、上述の実施形態と同様の効果を奏することができる。また、マイコン40からの命令をセル数に依存することなく単一化できる。また、マイコン40から各監視ICに対する命令の自由度が高まる。
【0081】
また、本実施形態では、マイコン40が通信網内の全ての監視IC31〜34に対してコマンドを送信する例(ブロードキャストモード)を採用した。つまり、マイコン40が通信網内の全ての監視IC31〜34に対して命令を行う例である。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。各監視ICに対して送信するコマンドの命令対象を変更することによって、監視IC31〜34における一部の監視ICのみにコマンドを送信する例(ナローキャストモード)も採用することができる。言い換えると、マイコン40は、監視IC31〜34における一部の監視ICのみに命令を行うこともできる。この場合、マイコン40は、例えば、上述のAD起動コマンドにおける設定値1及び設定値2を一つのセル番号に置き換えたAD起動コマンドを送信する。
【0082】
このように、ナローキャストモードであっても、上述の実施形態と同様の効果を奏することができる。また、マイコン40からの命令をセル数に依存することなく単一化できる。また、マイコン40から各監視ICに対する命令の自由度が高まる。
【0083】
上記実施形態のマイコン40は、各監視IC31〜34に共通の情報であり、且つ各監視IC31〜34において最初に検出を行う電池セルを指示する情報として、電圧の検出を開始する電池セルを示すセル番号を含むAD起動コマンドを送信する例を採用した。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではない。
【0084】
マイコン40は、各監視IC31〜34に共通の情報であり、且つ各監視IC31〜34において最初に検出を行う電池セルを指示する情報として、最上位セル情報を含むAD起動コマンドを送信するものであってもよい。この最上位セル情報は、最上位の電池セルの電圧を最初に検出するように指示する情報である。
【0085】
各監視IC31〜34は、最上位セル情報を含むAD起動コマンドを取得すると、コマンドに含まれる最上位セル情報に基づいて、自身に接続されている複数の電池セルにおける最上位の電池セルのセル番号を最初に電圧を検出する電池セルのセル番号に決定する。このように、各監視IC31〜34は、決定手段を有する。例えば、監視IC31は、最上位セル情報を含むAD起動コマンドを取得すると、セル番号14を最初に電圧を検出する電池セルのセル番号に決定する。よって、監視IC31は、電池セルc14の電圧を最初に検出する。また、監視IC32は、最上位セル情報を含むAD起動コマンドを取得すると、セル番号13を最初に電圧を検出する電池セルのセル番号に決定する。よって、監視IC32は、電池セルc13の電圧を最初に検出する。このようにしても、上述の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0086】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。