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特開2015-140269ポーラスコンクリート用混和材、セメント組成物及びポーラスコンクリートの製造方法。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-140269(P2015-140269A)
(43)【公開日】2015年8月3日
(54)【発明の名称】ポーラスコンクリート用混和材、セメント組成物及びポーラスコンクリートの製造方法。
(51)【国際特許分類】
   C04B 24/26 20060101AFI20150707BHJP
   C04B 28/02 20060101ALI20150707BHJP
   C08J 3/20 20060101ALI20150707BHJP
   C04B 111/40 20060101ALN20150707BHJP
【FI】
   C04B24/26 F
   C04B28/02
   C04B24/26 C
   C04B24/26 E
   C04B24/26 H
   C04B24/26 Z
   C08J3/20 BCEY
   C04B111:40
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-12694(P2014-12694)
(22)【出願日】2014年1月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 大樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 ひとみ
(72)【発明者】
【氏名】高山 和久
【テーマコード(参考)】
4F070
4G112
【Fターム(参考)】
4F070AA28
4F070AA32
4F070AB09
4F070AC12
4F070AC22
4F070AE01
4F070AE14
4F070AE22
4F070AE28
4F070FA05
4F070FB06
4F070FC03
4G112PB30
4G112PB31
4G112PB32
(57)【要約】
【課題】 環境温度に起因してモルタルの流動性が変動することを抑制可能なポーラスコンクリート用混和材等を提供する。
【解決手段】 減水成分と、再乳化形樹脂とを含有し、チキソトロピー性を有するポーラスコンクリート用混和材。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
減水成分と、再乳化形樹脂とを含有するポーラスコンクリート用混和材。
【請求項2】
前記再乳化形樹脂が、アクリル酸エステル/メタクリル酸エステル共重合、酢酸ビニル/バーサチック酸ビニル/アクリル酸エステル共重合、及び、酢酸ビニル/エチレン共重合の少なくとも1つを有する請求項1に記載のポーラスコンクリート用混和材。
【請求項3】
前記再乳化形樹脂が、再乳化形粉体樹脂であり、
前記再乳化形粉体樹脂と前記減水成分との質量比が、80:20〜90:10である請求項1または2に記載のポーラスコンクリート用混和材。
【請求項4】
前記減水成分が、(メタ)アクリル酸系ポリマー、及び、マレイン酸系ポリマーの少なくとも1つを含有している請求項1〜3のいずれかに記載のポーラスコンクリート用混和材。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のポーラスコンクリート用混和材を含有しているセメント組成物。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載のポーラスコンクリート用混和材と、セメントと、粗骨材と、細骨材と、水とを混練し、得られた混練物を敷き均し、振動を与えることによってポーラスコンクリートを作製するポーラスコンクリートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポーラスコンクリート用混和材、セメント組成物及びポーラスコンクリートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路等の舗装に、ポーラスコンクリートが用いられている。該ポーラスコンクリートは、コンクリートの単位体積当たりの細骨材量が比較的少ない多孔質のコンクリートである。かかるポーラスコンクリートは、空隙が大きいため、騒音低減性、及び、透水性(排水性)に優れている。このような特性を有することから、ポーラスコンクリートは、道路の騒音を防止するための低騒音舗装や、空隙を介して雨水を下方へと排出する透水性舗装に利用されている。
【0003】
しかし、透水性舗装においては、該舗装が鉄製の構造体上に配されている場合、該構造体まで雨水が到達し、該構造体の発錆、劣化が生じる場合がある。また、該舗装がコンクリート製の構造体上に配されている場合でも、雨水がコンクリートに到達すると、雨水の浸透によるコンクリートの劣化が生じる場合がある。さらに、該舗装が地面上に配されている場合でも、雨水が地面に到達すると、雨水の浸透による地盤の変形や土壌の流出等を生じてしまう場合がある。このように、透水性舗装の下方へと水を透過させると、種々の問題が生じることになる。
【0004】
かかる透水性に起因する問題を解決するために、例えば、水の透過を遮蔽可能な遮水層上に、透水性を有するポーラスコンクリートによる舗装(透水層)を施工する技術が提案されている(特許文献1参照)。しかし、かかる技術では、遮水層と透水層の双方の施工が別々に必要となるため、施工にかかる労力やコストが大きくなる。
また、他に例えば、コンクリートによる舗装を施工した後、表層側のモルタルを削り出し、骨材を露出させることによって、遮水層上に透水層が配された舗装を施工する技術も提案されている(特許文献2参照)。しかし、かかる技術では、モルタルを削り出す必要があるため、施工にかかる労力やコストが大きくなる。また、空隙が形成される部分が表層近傍に限られてしまい、雨水を排水するのに十分な透水性と十分な騒音低減性を得ることが困難となる。
【0005】
そこで、セメントと、粗骨材と、細骨材と、水と、減水成分と、チキソトロピー性添加材とを含有するポーラスコンクリートを道路上に供給して敷き均した後、振動を与えることによってポーラスコンクリートを作製する、ポーラスコンクリートの製造方法が提案されている(特許文献3参照)。
【0006】
かかる製造方法によれば、振動によってモルタルの流動性が向上し、これによって粗骨材間の空隙に存在するモルタルが重力によって下方に移動(沈降)し、下方では粗骨材の空隙に入り込むモルタル量が比較的多くなって密実な層(遮水層)が形成され、表層では粗骨材の空隙に入り込むモルタル量が比較的少なくなって空隙率が高い多孔性の層(透水層)が形成されてなるポーラスコンクリートが得られる。このように、一度の施工によって、舗装の下方の領域では雨水等の浸透を抑制し、表層側の領域では雨水等を排水するのに十分な透水性及び十分な騒音低減性能が発揮され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−31481号公報
【特許文献2】特開平10−088507号公報
【特許文献3】特開2013−100662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献3では、ポーラスコンクリートを製造する際の環境温度が低いと、モルタルの粘度が増加して所望のフレッシュ性状を得られず、その結果、上記振動を行ってもモルタルが下方に移動し難くなる場合がある。この場合、モルタルが十分に下方に移動せず、得られたポーラスコンクリートが、十分な透水性も遮蔽性も有し難くなる。
【0009】
上記点に鑑み、本発明は、環境温度に起因してモルタルの流動性が変動することを抑制可能なポーラスコンクリート用混和材を提供することを一の課題とする。また、十分な透水性と遮水性とを有するポーラスコンクリートを環境温度によらず作業性良く製造可能なセメント組成物及びポーラスコンクリートの製造方法を提供することを他の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題について発明者らが鋭意研究を行ったところ、上記特許文献3では、ポーラスコンクリートの製造において、透水性及び遮水性が十分に得られない場合があるのは、環境温度の変動によって、モルタル(混練物)の流動性が変動する、特に、環境温度が比較的低いと、モルタルの流動性が低下するためであることを見出した。かかる知見に基づいてさらに鋭意研究を行ったところ、引用文献3では、チキソトロピー性を有する添加剤としてサイビノール(サイデン社製)を用いているため、温度環境の変化によって上記モルタルの流動性が変化していることを見出し、さらに、この添加剤に代えて、減水成分と再乳化形樹脂とを含有する混和材をポーラスコンクリート材料として用いることによって、モルタルがチキソトロピー性を有し、しかも、環境温度が変動してもモルタルの粘度の変動が抑制される、特に低温環境下でのモルタルの粘度の増加が抑制されることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明に係るポーラスコンクリート用混和材は、
減水成分と、再乳化形樹脂とを含有する。
【0012】
ここで、再乳化形樹脂とは、合成樹脂エマルジョンを噴霧して乾燥させたものであり、水を加えると再乳化する樹脂を意味し、より具体的には、水等の溶液に分散したとき、元のエマルジョンの状態に戻る樹脂を意味する。
【0013】
かかる構成によれば、ポーラスコンクリート用混和材が減水成分と再乳化形樹脂とを含有していることによって、該混和材をポーラスコンクリートの材料として用いて混練物を作製したとき、該混練物がチキソトロピー性を有し、しかも、環境温度によって粘度が変動することが抑制される。
これにより、上記混練物の流動性が、環境温度に依存して変動することが抑制されるため、上記混練物を敷き均し、振動を与えたとき、環境温度に依存して上記混練物の下方に移動する程度が変動することが抑制される。
このように、環境温度によらず上記混練物を十分に下方に移動させることができるため、ポーラスコンクリートの表面側に十分な空隙を形成して十分な透水性を付与し、下方側に十分な遮水性を付与することができる。
また、透水性の高い部分と低い部分とを別々に作製しなくても済むため、作業性を向上させ得る。
【0014】
また、上記構成のポーラスコンクリート用混和材においては、
前記再乳化形樹脂が、アクリル酸エステル/メタクリル酸エステル共重合、酢酸ビニル/バーサチック酸ビニル/アクリル酸エステル共重合、及び、酢酸ビニル/エチレン共重合の少なくとも1つを有することが好ましい。
【0015】
かかる構成によれば、環境温度によって上記混練物の流動性が変動することを、より確実に抑制し得る。
【0016】
また、上記構成のポーラスコンクリート用混和材においては、
前記再乳化形樹脂が、再乳化形粉体樹脂であり、
前記再乳化形粉体樹脂と前記減水成分との質量比が、80:20〜90:10であることが好ましい。
【0017】
かかる構成によれば、環境温度によって上記混練物の流動性が変動することを、より確実に抑制し得る。
【0018】
また、上記構成のポーラスコンクリート用混和材においては、
前記減水成分が、(メタ)アクリル酸系ポリマー、及び、マレイン酸系ポリマーの少なくとも1つを含有していることが好ましい。
【0019】
かかる構成によれば、環境温度によって上記混練物の流動性が変動することを、より確実に抑制し得る。
【0020】
また、本発明に係るセメント組成物は、前記ポーラスコンクリート用混和材を含有している。
【0021】
かかる構成によれば、上記ポーラスコンクリート用混和材を含有していることによって、該セメント組成物と水とを混練した混練物の流動性が、上記の通り、環境温度に依存して変動することが抑制されるため、上記混練物を敷き均し、振動を与えたとき、環境温度に依存して上記混練物が下方に移動する程度が変動することが抑制される。
このように、環境温度によらず上記混練物を十分に下方に移動させることができるため、ポーラスコンクリートの表面側に十分な空隙を形成して十分な透水性を付与し、下方側に十分な遮水性を付与することができる。
また、透水性の高い部分と低い部分とを別々に作製しなくても済むため、作業性を向上させ得る。
従って、十分な透水性と遮水性とを有するポーラスコンクリートを環境温度によらず作業性良く製造可能なものとなる。
【0022】
また、本発明に係るポーラスコンクリートの製造方法は、
前記ポーラスコンクリート用混和材と、セメントと、粗骨材と、細骨材と、水とを混練し、混練物を敷き均し、その表面に振動を与えることによってポーラスコンクリートを作製する。
【0023】
かかる構成によれば、上記ポーラスコンクリート用混和材が配合された混練物を敷き均し、振動を与えることによって、粗骨材同士の空隙に存在する混練物の下方への移動のし易さが、環境温度によって変動することが抑制される。
このように、環境温度によらず上記混練物を十分に下方に移動させることができるため、ポーラスコンクリートの表面側に十分な空隙を形成して十分な透水性を付与し、下方側に十分な遮水性を付与することができる。
また、透水性の高い部分と低い部分とを別々に作製しなくても済むため、作業性が向上する。
従って、十分な透水性と遮水性とを有するポーラスコンクリートを環境温度によらず作業性良く製造することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、環境温度による混練物の粘度の変動を抑制し得るポーラスコンクリート用混和材、並びに、透水性と遮水性とを両方有するポーラスコンクリートを環境温度によらず作業性良く製造可能なセメント組成物及びポーラスコンクリートの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態のポーラスコンクリートの製造方法における敷き均し工程を模式的に示す概略図
図2】本発明の一実施形態のポーラスコンクリートの製造方法における振動を与える工程を模式的に示す概略図
図3】本発明の一実施形態のポーラスコンクリートの層構成を模式的に示す概略断面図
図4】実施例における一実験結果を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係るポーラスコンクリート用混和材、セメント組成物及びその製造方法の実施形態について説明する。また、以下では、本実施形態のポーラスコンクリートの製造方法を説明しつつ、併せて本実施形態のセメント組成物及びポーラスコンクリート用混和材について説明する。
【0027】
本実施形態のポーラスコンクリートの製造方法は、セメント、粗骨材、細骨材及びポーラスコンクリート用混和材を含有するセメント組成物と、水とを混練し、混練物を敷き均し、振動を与えることによってポーラスコンクリートを作製する。
【0028】
まず、本実施形態のポーラスコンクリートの製造方法に用いられる材料について説明する。
【0029】
本実施形態の製造方法に用いられるセメント組成物は、セメントと、粗骨材と、細骨材と、ポーラスコンクリート用混和材とを含有する。
【0030】
前記セメントとしては、従来公知のセメントが挙げられる。かかるセメントとしては、例えば、JIS R 5210に記載のポルトランドセメントが挙げられる。また、これらのうち、早期の強度を確保する点を考慮すれば、超早強ポルトランドセメントが好ましい。
【0031】
前記粗骨材としては、従来公知のコンクリート材料と使用される粗骨材が挙げられる。かかる粗骨材としては、例えば、道路用砕石の6号砕石および7号砕石が挙げられ、その粒径は、5mm〜15mmであることが好ましい。
【0032】
また、前記細骨材としては、従来公知のコンクリート材料と使用される細骨材が挙げられる。かかる細骨材としては、例えば、JIS A5005(2009)コンクリート用砕石及び砕砂、JISA5308(2009)の附属書Aレディーミクストコンクリート用骨材に記載される細骨材が挙げられ、その粗粒率は、1.70〜2.80であることが好ましく、より好ましくは1.70〜2.00である。
【0033】
前記ポーラスコンクリート用混和材は、減水成分と、再乳化形樹脂とを含有する。
【0034】
前記減水成分としては、従来公知の減水成分が挙げられる。
かかる減水成分は、粉体状であることが好ましい。減水成分が粉体状であることによって、ポーラスコンクリートに含有される他の粉体材料と同じ経路でミキサに投入し得るため、液体状の場合よりも作業性に優れる。
【0035】
前記減水成分は、特に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル酸系ポリマー、及び、マレイン酸系ポリマーの少なくとも1つを含有していることが好ましい。
【0036】
減水成分が、(メタ)アクリル酸系ポリマー、及び、マレイン酸系ポリマーの少なくとも1つを含有していることによって、環境温度によって上記混練物の流動性が変動することを、より確実に抑制し得る。
【0037】
また、(メタ)アクリル酸系ポリマー、及び、マレイン酸系ポリマーは、上記と同様、粉体の状態で用いられることが好ましい。
【0038】
前記(メタ)アクリル酸系ポリマー(A)は、アクリル酸系またはメタクリル酸をモノマー構成単位とするポリマーを意味する。
かかる(メタ)アクリル酸系ポリマー(A)としては、粉体セメンントへの分散性能に優れることから、(a)下記一般式(I)で表される単量体と、(b)メタクリル酸又はその塩と、(c)下記一般式(II)で表される単量体とを共重合してなる重量平均分子量5,000〜100,000の範囲である共重合体のアルカリ土類金属及び多価金属から選ばれる一種又は、二種以上の塩からなる(メタ)アクリル酸系ポリマーが好ましい。
【0039】
上記(a)の単量体は、下記一般式(I)で表されるものである。
CH2=C(R1)COO(R2O)n3 ・・・(I)
ここで、上記式(I)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、例えば、−CH2CH2O−、−CH2CH(CH3)O−、−CH2CH(CH2CH3)O−、−CH2CH2CH2CH2O−等が挙げられる。また、nは、オキシアルキレン基の付加モル数を示し、この付加モル数(n)は5〜40の整数であり、好ましくは7〜35、より好ましくは9〜30である。また、R3は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。
当該(a)単量体の使用量は、上記(a)、(b)及び(c)の合計量に対して、好ましくは3〜25%モルであり、より好ましくは4〜20モル%、さらに好ましくは5〜17モル%である。
【0040】
上記(b)の単量体は、メタクリル酸及びその中和塩から選ばれる単量体である。
かかる(b)単量体としては、例えば、メタクリル酸又はそのナトリウムなどの1価金属塩、カルシウムなどの2価金属塩、アンモニウム、有機アミンなどの部分中和塩が挙げられる。また、これらの単独又は2種以上の組み合わせであってもよい。
当該(b)単量体の使用量は、上記(a)、(b)及び(c)の合計量に対して、55〜75モル%であり、好ましくは60〜75モル%である。
また、上記単量体(a)と単量体(b)のモル比(a)/(b)は、混和初期のセメント分散性能に優れることを考慮して、好ましくは0.05〜0.4、より好ましくは0.05〜0.3とすることが望ましい。
【0041】
上記(c)の単量体は、下記一般式(II)で表されるものである。
CH2=C(R4)COOR5 ・・・(II)
ここで、上記式(II)中、R4は水素原子又はメチル基であり、R5は炭素数1〜5の水酸基により置換されていてもよいアルキル基である。
当該(c)単量体の使用量は、上記(a)、(b)及び(c)の合計量に対して、好ましくは5〜35モル%であり、より好ましくは5〜25モル%である。
【0042】
また、前記(メタ)アクリル酸系ポリマー(A)には、本発明の目的を損なわない限りにおいて、共重合可能な他の単量体を適宜少量用いてもよい。このような他の単量体としては、例えば、2−メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸、マレイン酸、イソブチレン及びそれらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩などが挙げられる。また、これらの1種の単独又は2種以上の組み合わせであってもよい。
【0043】
上記各単量体を共重合してなる共重合体の重量平均分子量は、セメントへの分散性能の点から、好ましくは5,000〜100,000(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法、ポリエチレングリコール換算)、より好ましくは10,000〜70,000の範囲のものである。
上記した共重合体の塩を調製するのに用いられるアルカリ土類金属、多価金属としては、例えば、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等が挙げられるが、製造の容易さ及び価格の点からカルシウムが好ましい。なお、ナトリウム等の一価金属塩は粉体ではあるが、アルカリ土類金属塩や多価金属塩と比較して若干経時安定性が悪く、比較的好適には用いられ難い。
【0044】
前記共重合体の塩の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、重合に用いるメタクリル酸を予めアルカリ土類金属塩又は多価金属塩とした後で共重合する方法、並びに、メタクリル酸を用いた共重合体溶液をアルカ土類金属、多価金属の塩又は水酸化物と反応させる方法、更に、共重合体塩の溶液をイオン交換する方法(例えば、メタクリル酸Naをモノマーとした場合、共重合後、NaとCaのイオン交換を行う)などが挙げられる。
【0045】
上記共重合体〔(メタ)アクリル酸系ポリマー(A)〕の粉体化の方法は、特に限定されず、共重合体塩の溶液を蒸発乾固した後粉砕する方法、共重合体塩の溶液を噴霧乾燥する方法、共重合体塩の容液を共重合体の貧溶媒に滴下し粉末を析出、濾過、乾燥する方法等、公知の粉体化方法などが挙げられる。
【0046】
前記マレイン酸系ポリマー(B)とは、マレイン酸をモノマーの構成単位とするポリマーを意味する。
かかるマレイン酸系ポリマー(B)としては、セメントへの分散性能に優れる点から、(d)下記一般式(III)で示される単量体と、(e)無水マレイン酸又はその加水分解物、及び/又は、(f)下記一般式(IV)で示されるポリアルキレングリコール系化合物の無水マレイン酸エステルとを共重合してなる重量平均分子量3,000〜100,000の範囲である共重体の、アルカリ土類金属及び多価金属から選ばれる一種又は二種以上の塩からなるマレイン酸系ポリマーが挙げられる。
【0047】
上記(d)の単量体は、下記一般式(III)で表されるものである。
CH2=C(R6)−(CH2xO−(R7O)y−R8 ・・・(III)
ここで、上記式(III)中R6は、水素原子又はメチル基を示し、R7Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、例えば、−CH2CH2O−、−CH2CH(CH3)O−、−CH2CH(CH2CH3)O−、−CH2CH2CH2CH2O−等が挙げられる。また、xは0又は1を示し、yは1〜100の整数、好ましくは1〜80、より好ましくは10〜50を表す。またR8は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。
当該(d)単量体の使用量は、上記(d)、(e)及び(f)の合計量に対して、好ましくは10〜90モル%であり、より好ましくは30〜70モル%、さらに好ましくは40〜60モル%である。
【0048】
また、上記(e)の単量体としては、無水マレイン酸又はその加水分解物が挙げられる。また、これらの1種の単独又は2種以上の組み合わせであってもよい。
当該(e)単量体の使用量は、上記(d)、(e)及び(f)の合計量に対して、好ましくは40〜70モル%であり、より好ましくは45〜70モル%である。
【0049】
上記(f)の単量体としては、下記一般式(IV)で示されるポリアルキレングリコール系化合物の無水マレイン酸エステルが挙げられる。
9―(R10O)z−W ・・・(IV)
ここで、上記式(IV)中、R9は、炭素数1〜4のアルキル基を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。また、R10Oは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基、例えば、−CH2CH2O−、−CH2CH(CH3)O−、−CH2CH(CH2CH3)O−、−CH2CH2CH2CH2O−等が挙げられ、zは1〜100の整数を表し、好ましくは1〜70、更に好ましくは1〜50を表す。更に、Wは、水素原子又はR11NH2(R11はアルキレン基を示す)を表す。
当該(f)単量体の使用量は、上記(d)、(e)及び(f)の合計量に対して、好ましくは0〜70モル%、より好ましくは40〜70モル%である。
【0050】
また、マレイン酸系ポリマー(B)には、本発明の目的を損なわない限りにおいて、共重合可能な他の単量体を適宜少量用いてもよい。また、これらの1種の単独又は2種以上の組み合わせであってもよい。
【0051】
上記各単量体を共重合してなる共重合体〔マレイン酸系ポリマー(B)〕の重量平均分子量は、セメントへの分散保持性能の点から、好ましくは、3,000〜100,000(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法、ポリエチレングリコール換算)、より好ましくは、10,000〜70,000の範囲のものである。
上記した共重合体の塩を調製するにはアルカリ金属を用いることができるが、好ましくは、アルカリ土類金属、多価金属である。例えば、アルカリ土類金属、多価金属としては、例えば、上記メタクリル酸系ポリマー(A)の場合と同様、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等が挙げられ、製造の容易さ、価格の点からカルシウムが好ましい。また、粉体化の方法としては、前述の〔(メタ)アクリル酸系ポリマー(A)〕の粉体化で記載した従来公知の粉体化方法により製造できる。
【0052】
前記メタクリル酸系ポリマー(A)及びマレイン酸系ポリマー(B)の合計配合量は、ポーラスコンクリートに含有される水を除く残りの成分の合計残配合量に対して、0.01〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.03〜1.0質量%である。
かかる合計配合量が0.01質量%以上であることによって、作業性に悪影響を及ぼすことを抑制し、一方2.0質量%以下であることによって、所望する空隙率を有するポーラスコンクリートを製造し易くなり、経済的にも有利となる。
【0053】
前記再乳化形樹脂とは、合成樹脂エマルジョンを噴霧して乾燥させたものであり、水を加えると再乳化する樹脂を意味し、より具体的には、水等の溶液に分散したとき、元のエマルジョンの状態に戻る樹脂を意味する。
かかる樹脂の構成成分としては、例えば、アクリル酸エステル/メタクリル酸エステル共重合、酢酸ビニル/バーサチック酸ビニル/アクリル酸エステル共重合、酢酸ビニル/エチレン共重合、及び、酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合等が挙げられる。
また、前記再乳化形樹脂は、アクリル酸エステル/メタクリル酸エステル共重合、酢酸ビニル/バーサチック酸ビニル/アクリル酸エステル共重合、及び、酢酸ビニル/エチレン共重合の少なくとも1つを有することが、好ましい。
前記再乳化形樹脂が、これら共重合の少なくとも1つを有することによって、環境温度によって上記混練物の流動性が変動することを、より確実に抑制し得る。
【0054】
かかる再乳化形樹脂は、粉体状であることが好ましい。再乳化形樹脂が粉体状であることによって、ポーラスコンクリートに含有される他の粉体材料と同じ経路でミキサに投入し得るため、液体状の場合よりも作業性に優れる。
このような粉体状の再乳化形樹脂としては、例えば、JIS A 6203に記載の再乳化形粉体樹脂が挙げられる。
【0055】
このように、再乳化形樹脂が粉体状である場合、前記再乳化形粉体樹脂は、該再乳化形粉体樹脂と前記減水成分との質量比が、80:20〜90:10であるような配合量でポーラスコンクリート用混和材に配合されることが好ましい。
かかる再乳化形粉体樹脂と減水成分との質量比が上記範囲であることによって、環境温度によって上記混練物の流動性が変動することを、より確実に抑制し得る。
【0056】
上記した減水成分と再乳化形樹脂とを含有するポーラスコンクリート用混和材は、該混和材をセメント組成物に含有された他の成分と共に水と混練されることによって、混練物にチキソトロピー性を与えることができる。
該混練物がチキソトロピー性を有することにより、上記混練物の静止状態から、該混合物に振動を与えると、その流動性が増加し、一方、振動の付与を停止すると、該混練物の流動性が低下することになる。これにより、前記混和材を含有する混練物が敷き均された状態では、混練物の流動性は比較的低いが、振動を与えることにより、粗骨材同士の間の空隙に存在する混練物の流動性が増加して、重力によって下方に移動することになる。
【0057】
このように、ポーラスコンクリート用混和材が減水成分と再乳化形樹脂とを含有していることによって、該混和材をポーラスコンクリートの材料として用いて混練物を作製したとき、該混練物がチキソトロピー性を有し、環境温度によってその粘度が変動することが抑制される。
これにより、上記混練物の流動性が、環境温度に依存して変動することが抑制されるため、上記混練物を敷き均し、振動を与えたとき、環境温度に依存して上記混練物が下方に移動する程度が変動することが抑制される。
このように、環境温度によらず上記混練物を十分に下方に移動させることができるため、ポーラスコンクリートの表面側に十分な空隙を形成して十分な透水性を付与し、下方側に十分な遮水性を付与することができる。
また、透水性の高い部分と低い部分とを別々に作製しなくても済むため、作業性を向上させ得る。
【0058】
ここで、上記のように、振動を与えているときには、混練物が下方に十分に移動するように流動性が増加する必要があり、一方、混練物が敷き均された状態、及び、振動が停止された状態では、粗骨材同士を固めて構造体を形成するために、流動性が十分に小さい必要がある。
さらに、環境温度が変化しても、流動性が大きく変化しないことも必要である。
これらを考慮して、前記セメント組成物と水との混練物を調製した後、静止している状態での混練物の粘度(降伏値)と、振動を与えたときの混練物の粘度との差、すなわち、静止している状態での混練物の粘度から、振動を与えたときの混練物の粘度を引いた差が、環境温度によらず、10dPa・s以上であることが好ましい。
かかる粘度の差が10dPa・s以上であることによって、上記振動を与えたときの混練物の流動性の低下が、十分なものとなる。
なお、振動を与えているときの粘度としては、粘度の測定開始から15秒経過後(降伏直後)の粘度の値を採用することができる。
【0059】
また、前記セメント組成物と水との混合物を練り上げたとき、練り上げ時の静止状態での混練物の粘度(降伏値)は、環境温度によらず、30dPa・s〜160dPa・sであることが好ましい。
かかる粘度が30dPa以上であることによって、上記振動を行っていないときの混練物の流動性を、構造体を形成するのに十分に高いものとすることができる。また、160dPa以下であることによって、振動前の粘度が高すぎて、振動を与えても混練物の流動性が十分に低下しないことを抑制し得る。
【0060】
また、前記セメント組成物と水との混合物を練り上げた後、静止している状態での練り上げ60分間後の粘度(降伏値)が、環境温度によらず、30dPa・s〜200dPa・sであることが好ましい。かかる粘度が200dPa・s以下であることによって、経時的な粘度の上昇を十分に抑制することができるため、混練物を調製した後、敷き均すまでの間での過度の粘度上昇を抑制し得る。
【0061】
上記粘度は、粘度計(ビスコテスタVT−04F、RION社製)を用いて、ロータの回転数62.5rpmで測定される値である。また、測定粘度が3〜150dPa・sの範囲の場合には、1号ロータ(φ24×53×166mm)を用い、かつ、JIS R 3503に記載された300mLビーカを容器として用い、測定粘度がそれを超える範囲の場合には、2号ロータ(φ15×1×113mm)を用い、かつ、JIS R 3503の300mLビーカを容器として用いて、測定直後の粘度を測定して得られた値である。また、環境温度によらず粘度が上記所定の範囲内であるとは、室温の標準として20℃の条件下、及び、低温の標準として5℃の条件下で粘度を測定したときに、いずれの温度条件でも、粘度が上記所定の範囲内であることを意味する。
【0062】
本実施形態のポーラスコンクリートの製造方法に用いる水の量は、例えば、ポーラスコンクリートに含有される成分のうち、水を除いた残りの成分の合計100質量部に対して、好ましくは4.0〜6.0質量部、より好ましくは4.7〜5.4質量部である。
【0063】
次に、本実施形態のポーラスコンクリートの製造方法について説明する。
【0064】
本実施形態のポーラスコンクリートの製造方法は、セメント、粗骨材、細骨材及びポーラスコンクリート用混和材を含有するセメント組成物と、水とを混練し、混練物(モルタル)を敷き均し、振動を与えることによってポーラスコンクリートを作製する。
【0065】
前記混練する工程では、セメント、粗骨材、細骨材と、ポーラスコンクリート用混和材(すなわちセメント組成物)と、水とを、例えば生コンクリートプラントのミキサで混練する。また、当該工程には、アジテータ車(コンクリートミキサー車)で施工現場まで運搬し、施工箇所の端部まで搬送することも含まれる。引き続く敷き均す工程では、例えば、図1に示すように、路面等の施工箇所の表面に、混練物を投下し、投下された混練物を、例えば、グランドレーキ等によって引き伸ばす。
【0066】
前記振動を与える工程では、例えば図2に示すように、敷き均された混練物の表面に、ビブロプレートを用いて振動を与える。
【0067】
これにより、図3に示すように、混練物が打設された施工領域の上層側は、粗骨材同士間の間隙が多く残っており、多孔質(ポーラス状)の透水層が形成される。
一方、混練物が打設された施工領域の下層では、粗骨材同士間の隙間に混練物が密に充填され、透水性が極めて低い遮水層が形成される。
そして、振動を与えた後、所定の期間、適宜養生を行う。
【0068】
本実施形態のポーラスコンプリート用混和材、セメント組成物及びポーラスコンクリートの製造方法は以上の通りであるが、本発明は、上記実施形態に特に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態において、セメント組成物には、上記で挙げられた成分以外の成分が含有されていてもよい。
【実施例】
【0069】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0070】
(1)配合
使用材料を表1に示し、配合表を表2に示す。
表1において、混和材(ポーラスコンクリート用混和材)は実施例に相当し、混和剤は、比較例に相当する。
表1の混和材(実施例に相当)については、(メタ)アクリル酸系ポリマー(A)、マレイン酸系ポリマー(B)および再乳化形粉体樹脂(C)の配合比(混合比)を、表2に示すように変更した。
(メタ)アクリル酸系ポリマー(A)、マレイン酸系ポリマー(B)および再乳化形粉体樹脂(C)としては、それぞれ粉体状のものを用いた。
また、表2の配合No.34は混和剤(比較例に相当)である、サイビノール(商品名:サイビノールX−209−074E−16、サイデン化学社製)とレオビルドSP8SVとを使用したものである。該サイビノールは、液体状であり、前述したように、チキソトロピー性を有する添加剤に相当する。該レオビルドは、液状であり、また、減水剤(高性能AE減水剤)に相当する。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
(2)実験方法
低温環境での混和材の影響を検討するため、標準温度として室温(20℃)環境と低温(5℃)環境とでペースト試験を実施した。具体的には、室温環境と低温環境とにおいて、それぞれ水、セメント、混和材とを練り上げ、練り上がったペースト(試料)の粘度を、粘度計(ビスコテスタVT−04F:RION社製)を用いて測定した。
粘度の測定条件は、ロータの回転数62.5rpmとした。また、測定粘度が3〜150dPa・sの範囲では、1号ロータ(φ24×53×166mm)を用い、かつ、JIS R 3503の300mLビーカを容器として用い、測定粘度が150dPa・sを超える範囲では、2号ロータ(φ15×1×113mm)を用い、かつ、JIS R 3503の300mLビーカを容器として使用した。そして、練り上げた試料約350mLを300mLのビーカに入れ、試料を安定させるため、ビーカに投入後、20秒間静置した後に、試験開始(攪拌開始、0秒)から15秒経過毎に、90秒経過した時点まで測定した。なお、JIS R 3503の300mLビーカは、容量の目盛の最大値が300mLと規定されているが、当該目盛を超えて350mL以上の容量を収容可能なものである。
また、室温環境、低温環境の双方について、練り上がり時の試料と、練り上げた後、各環境下で60分間が経過するまで静置した試料(練り上がり60分後の試料)とをそれぞれ用いて、上記のようにして粘度を測定した。室温環境での全ての試料の測定結果を表3に示し、低温環境での全ての試料の測定結果を表5に示す。
【0074】
(3)評価方法
表4、表6に示すように、練り上がり時の試料の粘度の降伏値(最大値、測定開始時の値)が30〜160dPa・sであり、且つ、粘度の降伏値(測定開始時の粘度)と、降伏直後(測定開始から15秒間経過後の粘度)との差が、10dPa・s以上である場合を、良好と評価して「○」で表し、降伏値及び降伏値の差のいずれかがこれら範囲を外れるものを、不良と評価して「×」と表した。
また、練り上がり60分後の試料の粘度の降伏値(最大値、測定開始時の値)が30〜200dPa・sであり、且つ、粘度の降伏値(測定開始時の粘度)と、降伏直後(測定開始から15秒間経過後の粘度)との差が、10dPa・s以上である場合を、良好と評価して「○」で表し、降伏値及び降伏値の差のいずれかがこれら範囲を外れるものを、不良と評価して「×」と表した。
その結果を、粘度の測定結果と共に表4、表6に示す。
【0075】
(4)結果
比較対象として、配合No.19(混和材、実施例に相当)と配合No.34(混和剤、比較例に相当)の結果を図4に示す。室温(20℃)環境では、No.19とNo.
34とでほぼ同程度の粘度推移が見られた。一方、低温(5℃)環境では、No.34は粘度が極端に増加していたが、No.19は、室温とほぼ変わらない粘度推移が確認された。
表4及び表6の結果、粘度推移は、(メタ)アクリル酸系ポリマー(A)とマレイン酸系ポリマー(B)との質量比によって大きな影響を受けないが、(A)及び(B)の合計((A)+(B))と再乳化形樹脂(C)との質量比によって大きな影響を受けることが示された。また、(A)と(B)との質量比は、5〜95:95〜5の場合に、良好な結果が得られ、(C)と((A)+(B))との質量比は、80〜90:10〜20の場合に、良好な結果が得られた。
【0076】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
図1
図2
図3
図4