【解決手段】収容ケース1の棚板17に、長方形状の棚板スリット101を設け、棚板スリット101の長さ寸法を、RFIDチップとRFIDRWモジュール31間での無線通信で使用する周波数に応じた長さに設定する。これにより、棚板17に、RFIDチップと無線通信する為の棚板アンテナ111を形成し、棚板スリット101の両脇にRFIDRWモジュール31からのアンテナケーブル61を電気的に接続する。
前記ケース本体の外面に設けられた金属面に外部機器と無線通信する際に使用する周波数に応じた長さのスリット又は溝を形成して外部アンテナを構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の収容ケース。
【背景技術】
【0002】
従来、衣料品店では、
図4に示すように、収容ケースとしてのキャビネット801が使用されており、該キャビネット801に衣料品が収容され展示されている。
【0003】
このようなキャビネット801において、在庫管理を行う際には、総ての商品を取り出して、その種類やサイズを確認しなければならならず、労力を要する。このため、近年においては、RFIDチップを利用した管理方法が採用されている。
【0004】
この方法では、各商品にRFIDチップを内蔵したタグを取り付けるとともに、各RFIDチップに当該商品のデータを記憶しておく。一方、前記キャビネット801には、前記各RFIDチップからデータを読み取るためのRFIDリーダーを設けるとともに、当該キャビネット801の各段に前記各RFIDチップと無線通信を行う為のアンテナ811を設ける。
【0005】
そして、前記RFIDリーダーをLANケーブル821を介してホストコンピュータ822に接続することで、当該ポストコンピュータ822にておいて、前記キャビネット801内の商品を管理できるように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来にあっては、商品を収容するキャビネット801内に複数のアンテナ811,811を設けなければならなかった。
【0007】
これにより、商品の収納容積が減少するため、同容量のキャビネット801を要する場合、大型化が余儀なくされる。
【0008】
また、商品が収容されるキャビネット801内にアンテナ811,811が設けられるので、外観品質を損ねてしまう。
【0009】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、収容容積の減少を抑えることができる収容ケースを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の収容ケースにあっては、無線通信でデータを読み出す記憶媒体がケース本体に収容される収容ケースにおいて、前記ケース本体の内側に設けられた金属面に前記無線通信で使用する周波数に応じた長さのスリット又は溝を形成して前記記憶媒体と無線通信する為のアンテナを構成した。
【0011】
すなわち、ケース本体の内側に設けられた金属面としては、例えばケース本体の壁面を形成する金属板や金属製の棚板などが挙げられ、これらによって構成された金属面には、スリット又は溝が形成されている。
【0012】
これらのスリットや溝は、前記ケース本体内に収容される記憶媒体と無線通信を行う際に使用される周波数に応じた長さに設定されており、このスリットや溝によって前記記憶媒体と無線通信する為のアンテナが構成される。
【0013】
このため、前記ケース本体内に、前記記憶媒体と無線通信を行う為の立体的なアンテナを設けること無く、前記記憶媒体との無線通信が可能となる。
【0014】
ここで、収容ケースとしては、商品を収容するキャビネットの他に、例えばサーバーを収容するサーバーラックなど物品を収容するものであれば他のものであっても良い。
【0015】
また、請求項2の収容ケースにおいては、前記ケース本体の内部を仕切る金属製の仕切り板に前記スリットを形成して前記アンテナを構成した。
【0016】
すなわち、仕切り板が設けられたケース本体にあっては、その内部空間が前記仕切り板によって区画されており、前記仕切り板が金属製の場合、区画された両空間において、電波による通信が遮断され得る。
【0017】
このとき、本願発明の収容ケースにあっては、前記仕切り板に前記スリットが形成され前記アンテナが構成されており、当該アンテナからは、前記スリットの開口面に対して垂直方向に電波が入出力される。
【0018】
このため、前記仕切り板によって区画された両空間では、前記スリットの開口面に対して垂直方向に出入りする電波による通信が行われる。
【0019】
さらに、請求項3の収容ケースでは、前記ケース本体の外面に設けられた金属面に外部機器と無線通信する際に使用する周波数に応じた長さのスリット又は溝を形成して外部アンテナを構成した。
【0020】
すなわち、ケース本体の外面に設けられた金属面としては、例えばケース本体の壁面を形成する金属板が挙げられ、この金属板で構成された金属面には、スリット又は溝が形成されている。
【0021】
これらのスリットや溝は、外部機器と無線通信する際に使用する周波数に応じた長さに設定されており、このスリットや溝によって前記外部機器と無線通信する為の外部アンテナが構成される。
【0022】
このため、前記ケース本体外部に、前記外部機器と無線通信を行う為の立体的なアンテナを設けること無く、前記外部機器との無線通信が可能となる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように本発明の請求項1の収容ケースにあっては、ケース本体内に、当該ケース本体内に収容された記憶媒体と無線通信を行う為の立体的なアンテナを設けること無く、前記記憶媒体と無線通信することができる。
【0024】
このため、前記記憶媒体と無線通信を行う為の立体的なアンテナを前記ケース本体内に設けなければならなかった従来と比較して、アンテナの設置スペースが不要となり、収容容積の減少を抑えることができる。これにより、前記ケース本体内の全空間を収容スペースとして有効活用することができる。
【0025】
したがって、商品を収容するキャビネットに応用した場合には、当該キャビネットへの商品収容量を増大することができ、キャビネットを大型化すること無く、所定の収容容積を確保することができる。また、キャビネット内に立体的なアンテナを設けた場合と比較して、顧客の心証を害すること無く、前記記憶媒体との通信を可能とすることができる。一方、サーバーを収容するサーバーラックに応用した場合には、効率的なサーバーの配置が可能となる。
【0026】
また、請求項2の収容ケースにおいて、仕切り板が設けられたケース本体にあっては、その内部空間が前記仕切り板によって区画されており、前記仕切り板が金属製の場合、区画された両空間において、電波による通信が遮断され得る。
【0027】
そこで、本願発明の収容ケースにあっては、前記仕切り板に前記スリットが形成され前記アンテナが構成されており、当該アンテナからは、前記スリットの開口面に対して垂直方向に電波が出入りする。
【0028】
このため、前記仕切り板によって区画された両空間において、前記スリットの開口面に対して垂直方向に出入りする電波による通信を行うことができる。したがって、金属製の仕切り板によって区画された空間のそれぞれにアンテナを設けることなく、両空間に設けられた記憶媒体との通信が可能となり、アンテナの共有化を図ることができる。
【0029】
さらに、請求項3の収容ケースでは、前記ケース本体の外面に設けられた金属面には、スリット又は溝が形成されており、これらのスリットや溝は、外部機器と無線通信する際に使用する周波数に応じた長さに設定されている。これにより、このスリットや溝によって前記外部機器と無線通信する為の外部アンテナを構成することができる。
【0030】
このため、前記ケース本体外部に、前記外部機器と無線通信を行う為の立体的なアンテナを設けること無く、前記外部機器との無線通信が可能となる。したがって、ケース本体の外観品質を高めることができる。
【0031】
そして、外部機器との無線通信が可能となるので、収容された記憶媒体から取得したデータを無線通信によって、携帯端末やホストマシン等の外部機器に送信することができる。このため、LANケーブルを介して外部機器に接続しなければならない場合と比較して、配線コストや配索作業が不要となり、低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。
【0034】
図1は、本実施の形態にかかる収容ケース1を示す図であり、該収容ケース1は、衣料品店で用いられるキャビネットとして利用されている。
【0035】
なお、本実施の形態では、キャビネットとして利用した場合を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではなく、例えばサーバーを収容するサーバーラックに利用しても良く、物品を収容するものであれば、どのようなものであっても良い。この場合、前記物品に例えば後述するRFIDチップを付するものとする。
【0036】
前記収容ケース1のケース本体11は、矩形状に形成されており、当該収容ケース1は、横長の長方形状の底板12と、該底板12の左縁より起立した長方形状の左側板13と、前記底板12の右縁より起立した長方形状の右側板14と、前記底板12の後縁より起立した長方形状の背板15と、前記左側板13の上縁、前記右側板14の上縁、及び前記背板15の上縁を連設した長方形状の天板16とによって前方開口状に形成されている。前記左側板13と前記右側板14との間には、仕切り板としての棚板17が架橋されており、当該ケース本体11の内部空間は、前記棚板17上部の上方空間18と前記棚板17下部の下方空間19とに区画されている。
【0037】
この収容ケース1には、例えばTシャツなどの衣類21を収容できるように構成されており、異なる種類の衣類21を前記上方空間18又は前記下方空間19に分けて収容できるように構成されている。
【0038】
前記収容ケース1に収容される物品としての前記衣類21には、タグ22が取り付けられており、該タグ22には、記憶媒体としてのRFIDチップ及び該RFIDチップに接続されたタグアンテナが内蔵されている。該RFIDチップは、データを読み書きできるように構成されており、例えば取り付けられた衣類21を特定する為のデータが予め記憶されている。
【0039】
前記RFIDチップは、
図2に示すように、前記タグアンテナを介した無線通信によってRFIDRWモジュール31とデータ通信できるように構成されており、当該RFIDRWモジュール31によって前記各タグ22のRFIDチップからデータを読み出せるように構成されている。
【0040】
前記ケース本体11を構成する前記各板12〜16は、
図1に示したように、塗装された金属板による二重構造で構成されており、前記底板12は、内側を構成する底板内面12aと、外側を構成する底板外面12bとを備えている。前記左側板13は、内側を構成する左側板内面13aと、外側を構成する左側板外面13bとを備えており、前記右側板14は、内側を構成する右側板内面14aと、外側を構成する右側板外面14bとを備えている。前記背板15は、内側を構成する背板内面15aと、外側を構成する背板外面15bとを備えており、前記天板16は、内側を構成する天板内面16aと、外側を構成する天板外面16bとを備えている。
【0041】
前記棚板17は、塗装された金属板で構成されており、当該棚板17は、一枚板で構成されている。この棚板17の縁部には、下方に折曲されてなるフランジ部41が形成されており、当該棚板17は、補強されている。
【0042】
前記底板12及び前記天板16の金属面を構成する前記底板内面12a及び前記天板内面12bの中央部分には、長方形状のスリットである内底面スリット51及び内天面スリットが横方向に延設さており(底板12側のみ図示)、前記内底面スリット51及び前記内天面スリットは、前記RFIDチップと前記RFIDRWモジュール31間での無線通信で使用する周波数に応じた長さ(例えば920MHz帯を使用する際にはその1/2波長などの長さ)に設定されている。これにより、前記底板内面12a及び前記天板内面の中央部には、
図2に示したように(底板内面12aのみ図示)、前記RFIDチップと無線通信する為のスリットアンテナからなる内底面アンテナ56及び内天面アンテナが形成されており、前記内底面スリット51及び前記内天面スリットの裏面の両脇には、前記RFIDRWモジュール31からのアンテナケーブル61が電気的に接続されている。
【0043】
前記内底面アンテナ56及び前記内天面アンテナは、
図1に示したように、細長に形成された開口部によって形成されており、前記内底面アンテナ56及び前記内天面アンテナからは、前記内底面スリット51及び前記内天面スリットの開口面に対して垂直方向に電波が出入りする。しかし、前記内底面スリット51及び前記内天面スリットの裏側には、金属製の前記底板外面12b及び前記天板外面16bが設けられており、前記電波は、前記ケース本体11内に出入りするが、当該ケース本体11外には漏れないように構成されている。
【0044】
前記左側板13と前記右側板14と前記背板15との金属面を構成する前記左側板内面13aと前記右側板内面14aと前記背板内面15aとには、それぞれ前記上方空間18及び前記下方空間19に対応する部位に、長方形状のスリットである左内側面スリット71,71と図外の右内側面スリットと内背面スリット73,73とが縦方向に延設さており、前記各内側面スリット71,71及び前記内背面スリット73,73は、前記RFIDチップと前記RFIDRWモジュール31間での無線通信で使用する周波数に応じた長さに設定されている。これにより、前記各側板内面13a,14a及び前記背板内面15aには、前記RFIDチップと無線通信する為のスリットアンテナからなる左内側面アンテナ81,81と図外の右内側アンテナと内背面アンテナ83,83とが形成されており、前記各内側面スリット71,71及び前記内背面スリット73,73の裏面の両脇には、前記RFIDRWモジュール31からのアンテナケーブル61が電気的に接続されている(
図2参照)。
【0045】
前記各内側面アンテナ81,81及び前記内背面アンテナ83,83は、
図1に示したように、細長に形成された開口部によって形成されており、前記内側面アンテナ81,81及び前記内背面アンテナ83,83からは、前記各内側面スリット71,71及び前記内背面スリット73,73の開口面に対して垂直方向に電波が出入りする。しかし、前記各内側面スリット71,71及び前記内背面スリット73,73の裏側には、金属製の前記左側板外面13bと前記右側板外面14bと前記背板外面15bとが設けられており、前記電波は、前記ケース本体11内に出入りするが、当該ケース本体11外には漏れないように構成されている。
【0046】
そして、単一の金属板で構成された金属面を構成する前記棚板17の中央部分には、長方形状のスリットである棚板スリット101が横方向に延設さており、該棚板スリット101は、前記RFIDチップと前記RFIDRWモジュール31間での無線通信で使用する周波数に応じた長さに設定されている。これにより、前記棚板17の中央部には、前記RFIDチップと無線通信する為のスリットアンテナからなる棚板アンテナ111が形成されており、前記棚板スリット101の両脇には、前記RFIDRWモジュール31からのアンテナケーブル61が電気的に接続されている(
図2参照)。
【0047】
前記棚板アンテナ111は、
図1に示したように、細長に形成された開口部によって形成されており、当該棚板アンテナ111からは、前記棚板スリット101の開口面に対して垂直方向に電波が出入りする。このため、この電波は、金属製の前記棚板17で仕切られた前記上方空間18及び前記下方空間19に入出力されるように構成されている。
【0048】
前記左側板13と前記右側板14と前記天板16との金属面を構成する前記左側板外面13bと前記右側板外面14bと前記天板外面16bとの中央部分には、長方形状のスリットである図外の左外側面スリットと右外側面スリット121と外天面スリット122とが各板13,14,16の長さ方向に延設さており(右側板14及び天板16側のみ図示)、前記左外側面スリットと前記右外側面スリット121と前記外天面スリット122とは、携帯端末125やホストコンピュータ126等の外部機器と無線通信する際に使用する周波数に応じた長さ(例えば2.4GHz帯を使用する際にはその1/2波長などの長さ)に設定されている。これにより、前記左側板外面13bと前記右側板外面14bと前記天板外面16bとの中央部分には、前記携帯端末125や前記ホストコンピュータ126と無線通信する為のスリットアンテナからなる図外の左外側面アンテナと右外側面アンテナ131と外天面アンテナ132とが形成されており、前記左外側面スリットと前記右外側面スリット121と前記外天面スリット122との裏面の両脇には、
図2に示したように、前記外部機器と通信を行う為の外部通信部141からのアンテナケーブル142が電気的に接続されている(右外側面アンテナ131を例に挙げて図示)。
【0049】
前記左外側面アンテナと前記右外側面アンテナ131と前記外天面アンテナ132とは、細長に形成された開口部によって形成されており、前記左外側面アンテナと前記右外側面アンテナ131と前記外天面アンテナ132とからは、前記左外側面スリットと前記右外側面スリット121と前記外天面スリット122との開口面に対して垂直方向に電波が出入りする。しかし、前記左外側面スリットと前記右外側面スリット121と前記外天面スリット122との裏側には、金属製の前記左側板内面13aと前記右側板内面14aと前記天板内面16aとが設けられており、前記電波は、前記ケース本体11外部へ入出力されるが、当該ケース本体11内には出入りしないように構成されている。
【0050】
そして、前記外部通信部141は、
図2に示したように、前記RFIDRWモジュール31に接続されており、該RFIDRWモジュール31にて取得された前記RFIDチップからのデータを前記外部通信部141を介して前記携帯端末125や前記ホストコンピュータ126等の外部機器に送信できるように構成されている。なお、前記RFIDRWモジュール31及び前記外部通信部141からなる制御装置201は、前記収容ケース1の背面等に設けられているものとする。
【0051】
この制御装置201では、前記携帯端末125や前記ホストコンピュータ126等の外部機器の他に、他の収容ケース1に設けられた制御装置201と前記外部通信部141を介して、アドホックモードの通信できるように構成されている。
【0052】
これにより、
図3に示すように、店頭に配置された複数の収容ケース1,・・・同士の通信ができるように構成されており、各収容ケース1,・・・に収容された衣類21の情報を、各収容ケース1,・・・において各衣類21に付されたタグ22から読み出して、
図3中左端の収容ケース1に収集するとともに、当該左端の収容ケース1の通信可能エリア内に前記携帯端末125を近づけることによって、前記各収容ケース1,・・・内の衣類21の情報を当該携帯端末125で一括して取得できるよう構成されている。
【0053】
以上の構成にかかる本実施の形態において、ケース本体11の各板12〜16の内側を構成する前記各面12a,13a,14a,15a,16aには、前記各スリット51,71,73が形成されており、これらのスリット51,71,73は、タグ22内蔵のRFIDチップと無線通信を行う際に使用される周波数に応じた長さに設定されてている。これにより、これらのスリット51,71,73によって前記RFIDチップと無線通信する為の各アンテナ56,81,83を構成することができる。
【0054】
このため、前記ケース本体11内に、前記RFIDチップと無線通信を行う為の立体的なアンテナを設けること無く、前記RFIDチップとの無線通信を行うことができるので、前記RFIDチップと無線通信を行う為の立体的なアンテナを前記ケース本体11内に設けなければならなかった従来と比較して、アンテナの設置スペースが不要となり、収容容積の減少を抑えることができる。これにより、前記ケース本体11内の全空間を収容スペースとして有効に活用することができる。
【0055】
したがって、衣類21などの商品を収容するキャビネットとして使用する本実施の形態にあっては、当該キャビネットへの商品収容量を増大することができ、キャビネットを大型化すること無く、所定の収容容積を確保することができる。また、キャビネット内に立体的なアンテナを設けた場合と比較して、顧客の心証を害すること無く、前記RFIDチップとの通信を可能とすることができる。
【0056】
なお、この収容ケース1は、サーバーを収容するサーバーラックとして利用することもできる。この場合、サーバーラック内に立体的なアンテナを設ける必要が無いので、効率的なサーバーの配置が可能となる。
【0057】
また、前記ケース本体11には、仕切り板としての棚板17が設けられており、その内部空間が前記棚板17によって上方空間18と下方空間19とに区画されている。この棚板17は、金属板によって構成されており、区画された両空間18,19において電波による通信が遮断され得る。
【0058】
このとき、本実施の形態の収容ケース1にあっては、前記棚板17に前記棚板スリット101が形成され前記棚板アンテナ111が構成されており、当該棚板アンテナ111からは、前記棚板スリット101の開口面に対して垂直方向に電波が出入りする。このため、前記棚板17によって区画された前記両空間18,19において、前記棚板スリット101の開口面に対して垂直方向に出入りする電波による通信を行うことができる。
【0059】
したがって、金属製の棚板17によって区画された前記各空間18,19のそれぞれに立体的なアンテナを設けることなく、両空間18,19に収容されたタグ22内蔵のRFIDチップとの通信が可能となり、両空間18,19においてアンテナの共有化を図ることができる。
【0060】
そして、前記ケース本体11の外面を構成する左側板13の左側板外面13bには左外側面スリットが、右側板14の右側板外面14bには右外側面スリット121が、天板16の天板外面16bには外天面スリット122が形成されており、前記各スリット121,122は、携帯端末125やホストコンピュータ126等の外部機器と無線通信する際に使用する周波数に応じた長さに設定されている。これにより、前記左側板外面13bと前記右側板外面14bと前記天板外面16bとには、前記携帯端末125や前記ホストコンピュータ126と無線通信する為の左外側面アンテナと右外側面アンテナ131と外天面アンテナ132とを構成することができる。
【0061】
このため、前記ケース本体11外部に、前記外部機器と無線通信を行う為の立体的なアンテナを設けること無く、前記外部機器との無線通信が可能となる。したがって、ケース本体11の見栄えを良くして外観品質を高めることができる。
【0062】
そして、前記外部機器との無線通信が可能となるので、衣類21に付されたタグ22内蔵のRFIDチップから取得したデータを無線通信によって、前記携帯端末125やホストマシン126等の外部機器に送信することができる。このため、LANケーブルを介して外部機器に接続しなければならない場合と比較して、配線コストや配索作業が不要となり、低コスト化を図ることができる。
【0063】
なお、本実施の形態では、本発明の仕切り板として内部空間を上下に区画する棚板17に応用した場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものでは無く、例えば内部を左右に区画する仕切り板に応用しても良い。
【0064】
また、本実施の形態にあっては、前記ケース本体11を構成する前記各板12〜16を金属板による二重構造とし、前記各アンテナ56,81,83,131,132を構成する各スリット51,71,73,121,122の裏側に前記各板12〜16を構成する他方の面が対向するように構成することで、前記各アンテナ56,81,83,131,132からの電波が前記ケース本体11内側又は該ケース本体11外側に入出力するように構成したが、この構造に限定されるものでは無い。
【0065】
例えば、前記各面12a,13a,13b,14a,14b,15a,16a,16bに有底の溝を形成するとともに、各溝の長さを無線通信する際に使用する周波数に応じた長さに設定することで、前記各アンテナ56,81,83,131,132を構成しても良い。この場合、各溝の開口方向に電波が出入りするため、前述した二重構造が不要となる。