【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、大まかに言えば、ESD保護デバイスのような保護デバイスを半剛性高周波数伝送ケーブル・システムに組み入れる種々の技術に関する。具体的な実施形態には、中心導体、絶縁材及びグラウンド・シェルを有する同軸ケーブルに形成された少なくとも2つのスロットがある。第1スロット及び第2スロットは、互いに少なくとも40ミル(約1ミリメータ)離れて、同軸ケーブルに形成される。第1スロットは、第1ESD保護サブ回路を収容する一方で、第2スロットは、第2ESD保護サブ回路を収容する。もっと多数のスロットを設けて、より多数の保護サブ回路を収容することで、同軸ケーブルに結合されたシステムを充分に保護するようにしても良い。
【0010】
本願では、このデバイスを形成するための方法についても開示する。
【0011】
本発明をいくつかの観点から述べれば、本発明の概念1は、モジュール式信号調整装置システムであって、
導電性の中心導体と、該中心導体を覆う絶縁材と、該絶縁材を覆う導電性のグラウンド・シェルとを有する同軸ケーブルと、
回路コンポーネントを有し、上記同軸ケーブルを通して伝送される1つ以上の信号に所定信号調整効果を与えるよう最適化された大きさ及び電気特性を有する第1スロットと、
第1スロットから少なくとも40ミル(約1ミリメータ)離れて上記同軸ケーブルに形成される第2スロットと
を具えている。
【0012】
本発明の概念2は、上記概念1のモジュール式信号調整装置システムであって、上記第2スロットが、上記同軸ケーブルを通して伝送される1つ以上の上記信号に第2所定信号調整効果を与えるよう最適化されている。
【0013】
本発明の概念3は、上記概念2のモジュール式信号調整装置システムであって、上記第1スロットが第1タイプのコンポーネントを有し、上記第2スロットが第2タイプのコンポーネントを有している。
【0014】
本発明の概念4は、上記概念2のモジュール式信号調整装置システムであって、上記第1スロットが上記第2スロットから電気的に独立している。
【0015】
本発明の概念5は、上記概念2のモジュール式信号調整装置システムであって、このとき、上記第2スロットは、上記第1スロットを複製したものである。
【0016】
本発明の概念6は、上記概念5のモジュール式信号調整装置システムであって、上記第1及び第2スロットが同じコンポーネントを有している。
【0017】
本発明の概念7は、静電気放電(ESD)保護回路であって、
導電性の中心導体と、該中心導体を覆う絶縁材と、該絶縁材を覆う導電性のグラウンド・シェルとを有する同軸ケーブルと、
互いに少なくとも40ミル(約1ミリメータ)離して上記同軸ケーブルに形成され、上記グラウンド・シェルの第1及び第2部分が露出し、上記中心導体の一部が露出する第1スロット及び第2スロットと、
上記第1スロットに形成される第1ESD保護回路コンポーネントと、
上記第2スロットに形成される第2ESD保護回路コンポーネントと
を具えている。
【0018】
本発明の概念8は、上記概念7の静電気放電(ESD)保護回路であって、デバイス実装面を形成するために上記第1及び第2スロット内に付着(apply)させる材料を更に具えている。
【0019】
本発明の概念9は、上記概念8の静電気放電(ESD)保護回路であって、上記材料がニッケル金から構成される。
【0020】
本発明の概念10は、上記概念8の静電気放電(ESD)保護回路であって、上記材料は、めっき処理によって付着される。
【0021】
本発明の概念11は、上記概念7の静電気放電(ESD)保護回路であって、上記第1スロット及び上記第2スロットの周りに配置された導電性フィルムを更に有している。
【0022】
本発明の概念12は、上記概念7の静電気放電(ESD)保護回路であって、
上記第1ESD保護回路が
上記グラウンド・シェルに結合されたアノードと、上記中心導体に結合されたカソードを有する第1ショットキー・ダイオードと、
上記グラウンド・シェルに結合されたカソードと、上記中心導体に結合されたアノードを有する第2ショットキー・ダイオードと
を有している。
【0023】
本発明の概念13は、上記概念7の静電気放電(ESD)保護回路であって、
上記第1ESD保護回路が、
上記グラウンド・シェル及び上記中心導体間に結合された並列な複数ショットキー・ダイオードからなる第1セットと、
上記グラウンド・シェル及び上記中心導体間に結合された並列な複数ショットキー・ダイオードからなる第2セットと
を有している。
【0024】
本発明の概念14は、上記概念13の静電気放電(ESD)保護回路であって、このとき、上記ダイオードの第1セットが複数ダイオードの逆並列対であり、上記ダイオードの第2セットが複数ダイオードの逆並列対であることを特徴としている。
【0025】
本発明の概念15は、上記概念7の静電気放電(ESD)保護回路であって、このとき、上記同軸ケーブルが少なくとも半剛性である。
【0026】
本発明の概念16は、静電気放電(ESD)保護回路を形成する方法であって、
同軸ケーブル内に、該同軸ケーブル内の導電性コア(中心導体)の一部に達して露出させるように第1スロットを形成する処理と、
上記同軸ケーブル内に、上記第1スロットから少なくとも40ミル(約1ミリメータ)離し、上記同軸ケーブル内の上記導電性コアの一部に達して露出させるように第2スロットを形成する処理と、
上記第1スロット内に第1ESD構造を形成する処理と、
上記第2スロット内に第2ESD構造を形成する処理と
を具えている。
【0027】
本発明の概念17は、上記概念16の静電気放電(ESD)保護回路を形成する方法であって、
少なくとも上記第1スロットを実質的に覆うように、上記同軸ケーブルの周りに導電性フィルムを付着させる処理を更に具えている。
【0028】
本発明の概念18は、上記概念17の静電気放電(ESD)保護回路を形成する方法であって、
上記第1スロットを形成する処理が、高速カッターで上記同軸ケーブルを切り出す処理を有している。
【0029】
本発明の概念19は、上記概念16の静電気放電(ESD)保護回路を形成する方法であって、
上記同軸ケーブル内に上記第1スロットを形成する処理が、約40〜60ミル(約1〜1.5ミリメータ)の幅のスロットを形成する処理を有している。
【0030】
本発明の概念20は、上記概念16の静電気放電(ESD)保護回路を形成する方法であって、
上記同軸ケーブル内に、上記第1スロットから少なくとも40ミル(約1ミリメータ)離して上記第2スロットを形成する処理が、上記第1スロットから少なくとも100ミル(約2.5ミリメータ)離して上記同軸ケーブル内に上記第2スロットを形成する処理を含んでいる。
【0031】
本発明の概念21は、上記概念16の静電気放電(ESD)保護回路を形成する方法であって、
上記導電性フィルムを付着させる処理が、ニッケル、金又は銅製の導電性フィルムを付着させる処理を含んでいる。
【0032】
本発明の概念22は、上記概念16の静電気放電(ESD)保護回路を形成する方法であって、上記第1スロット内に上記第1ESD構造を形成する処理が、
上記同軸ケーブルの上記導電性コアと上記グラウンド・シェル間に第1ダイオードを挿入する処理と、
上記同軸ケーブルの上記導電性コアと上記グラウンド・シェル間に第2ダイオードを挿入する処理と
を有するサブ回路の形成処理を含んでいる。
【0033】
本発明の概念23は、上記概念16の静電気放電(ESD)保護回路を形成する方法であって、
上記第1スロットの形成が原因で生じる上記同軸ケーブルのインダクタンスのピークを、上記第1ESD構造が有する容量でキャンセルするように、上記第1スロットの大きさを選択し、
上記第2スロットの形成が原因で生じる上記同軸ケーブルのインダクタンスのピークを、上記第2ESD構造が有する容量でキャンセルするように、上記第2スロットの大きさを選択することを特徴としている。
【0034】
本発明の概念24は、上記概念16の静電気放電(ESD)保護回路を形成する方法であって、
上記第1スロット及び上記第2スロットの空洞共振周波数が、所望周波数よりも高くなるように上記第1スロット及び上記第2スロットの大きさが選択されることを特徴としている。