【解決手段】紫外線から可視光の領域の光を吸収して発光ピーク波長が600〜650nmの範囲の光を発光可能な蛍光体であって、組成が下記式で示され、かつ発光ピーク波長と半値幅との差が、543nmより大きい赤色蛍光体。Sr
(0.5≦t<1、0<v≦0.5、0.01<w≦0.03、t+v+w<1、0.90≦x≦1.1、0.90≦y≦1.1、2.5≦z≦3.5)平均粒径が5〜20μmであり、酸素含量が0.5〜2.0重量%であり、発光ピーク波長が610〜625nmの時、半値幅が79nm以下であり、更に625〜635nmの時、半値幅が90nm以下である蛍光体。
【背景技術】
【0002】
光源と、この光源からの光で励起されて、光源の色相とは異なる色相の光を放出可能な蛍光体とを組み合わせることで、光の混色の原理により多様な色相の光を放出可能な発光装置が開発されている。例えば、紫外光から可視光に相当する短波長側領域の一次光を発光素子より出射して、この出射光でもって蛍光体を励起する。この結果、一次光の少なくとも一部が波長変換されて、赤色、青色、緑色等の所望の光を得ることができる。また、これらの光を混色させることにより、白色系の混色光を発光させることができる。
【0003】
この原理を利用して、光源に発光ダイオード(Light Emitting Diode:以下「LED」という。)を用いた発光装置が、信号灯、携帯電話、各種電飾、車載用表示器、あるいは各種の表示装置等、多くの分野に利用されている。特に、LEDと蛍光体とを組み合わせて形成した発光装置は、液晶表示器のバックライト、小型ストロボ等へと盛んに応用されており、普及が進んでいる。また、最近では照明装置への利用も試みられており、長寿命、水銀フリーといった長所を活かすことで、環境負荷を低減した、蛍光灯を代替し得る光源として期待される。
【0004】
発光装置の構成としては、青色LEDと黄色蛍光体を組み合わせた構成が挙げられる(例えば、特許第3503139号公報(特許文献1)を参照。)。この発光装置は、LEDからの青色光と、このLEDから発せられた青色光の一部を、黄色蛍光体で変換させた黄色光とを混色することにより、白色系の混色光を得ることができるようにしたものである。そのため、この発光装置に用いられる蛍光体としては、LEDから発光される420nm〜470nmの波長の青色光によって効率よく励起され、黄色に発光する特性が求められている。
【0005】
このような黄色蛍光体としては、セリウム付活イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体が知られている。また、この黄色蛍光体のYの一部を、Lu,Tb,Gd等で置換したり、Alの一部をGa等で置換したりした蛍光体が知られている。このセリウム付活イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体の組成は、(Y,Lu,Tb,Gd)
3(Al,Ga)
5O
12:Ceと表示することができ、組成を調整することで幅広く発光波長を調整することが可能である。
【0006】
この黄色蛍光体と青色LEDとを組み合わせた一般的な発光装置を、液晶表示装置のバックライトや照明装置に用いる場合、緑色成分(480〜530nm)と赤色成分(600nm以上)が不足しており、色再現範囲や演色性の改善が求められている。この黄色蛍光体の代わりに、あるいは黄色蛍光体に加えて、青緑色、緑色、黄緑色の短波長に発光する蛍光体と橙色、赤色の長波長に発光する蛍光体を組み合わせることで、液晶表示装置の色再現範囲や照明装置の演色性を改善が可能である。
【0007】
このような蛍光体にはケイ酸塩蛍光体、リン酸塩蛍光体、アルミン酸塩蛍光体、ホウ酸塩蛍光体、硫化物蛍光体、酸硫化物蛍光体等が知られているが、これらの蛍光体に代わり、高エネルギーの励起においても輝度低下の少ない蛍光体として、サイアロン蛍光体、酸窒化物蛍光体、窒化物蛍光体等の、結晶構造に窒素を含有する無機結晶を母体とする蛍光体が提案されている。
【0008】
これらの蛍光体のうち、窒化物蛍光体の一例として、CaAlSiN
3を母体結晶としてEu
2+を付活させた赤色蛍光体(以下、「CASN蛍光体」と呼ぶ。)が知られている(例えば、特許第3837588号公報(特許文献2)を参照。)。この蛍光体を用いることにより、発光装置の演色性を改善させる効果がある。さらに発光装置の光束を高めるためCaAlSiN
3:EuのCaの一部をSrに置換した(Sr,Ca)AlSiN
3:Eu(以下、「SCASN蛍光体」と呼ぶ。)があり、Srが多いほど、短波化する。(例えば、特開2006−8721号公報(特許文献3)を参照。)
【0009】
CASN蛍光体の発光ピーク波長は650nm程度であり、SCASN蛍光体は610〜650nmとCASN蛍光体より短い発光を示す。波長の短い赤色蛍光体を用いることで、赤味成分を充たしながら、視感度の影響により発光装置をより明るくすることができることからSCASN蛍光体は非常に有望な赤色蛍光体である。
【0010】
SCASN蛍光体は、概略以下に述べるような製造プロセスによって製造される。窒化カルシウム(Ca
3N
2)、窒化ストロンチウム(Sr
3N
2)窒化ケイ素(Si
3N
4)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ユーロピウム(EuN)の原料粉末をCa:Sr:Al:Si:Eu=0.1984:0.7936:1:1:0.008となるように窒素雰囲気のグローブボックス中で混合し、500μmのふるいを通して窒化ホウ素るつぼに自然落下させて充填した後、黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットし、1MPaの窒素ガス中において1800℃の温度で2時間保持するガス加圧焼結法により焼成してSCASN蛍光体が製造される。
【0011】
しかしながら、この合成方法ではCASN蛍光体と比較して、発光強度が約8割と特性の低い蛍光体しか得られないことが判明した。これは、SCASN蛍光体がこの合成条件ではCASN蛍光体は安定なのに対して、SCASN蛍光体は安定して存在できず、徐々に別の化合物(Sr
2SiN
5,AlN等)に分解して、純粋なSCASN蛍光体が得られないことが原因であった。そこで更に特性を改善する方法が検討されていた。
【0012】
このために、窒化カルシウムや窒化ケイ素、窒化アルミニウム等を用いず、カルシウム、ストロンチウム、ケイ素、アルミニウム、ユーロピウム金属を合金化し、合金を粉砕した粉末を窒化する方法が提案されている(例えば、特開2006-307182号公報(特許文献4)又はH. Watanabe, et al. "Synthetic Method and Luminescence Properties of Sr
xCa
1-xAlSiN
3:Eu
2+ Mixed Nitride Phosphors" Journal of The Electrochemical Society,155 (3) F31-F36 (2008)(非特許文献1)を参照。)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための、蛍光体及びこれを用いた発光装置を例示するものであって、本発明は、蛍光体及びこれを用いた発光装置を以下のものに特定しない。なお、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に限定するものでは決してない。
【0023】
本明細書における近紫外線から可視光の短波長領域は、240nm〜500nm付近の領域をいう。励起光源は、240nm〜480nmに発光ピーク波長を有するものを用いることができる。そのうち、360nm〜470nmに発光ピーク波長を有する励起光源を用いることが好ましい。特に、半導体発光素子で使用されている380nm〜420nm若しくは450nm〜470nmの励起光源を用いることが好ましい。励起光源に半導体発光素子を利用することによって、高効率で入力に対する出力のリニアリティが高く、機械的衝撃にも強い安定した発光装置を得ることができる。
【0024】
なお色名と色度座標との関係、光の波長範囲と単色光の色名との関係等は、JIS Z8110に従う。具体的には、380nm〜410nmが紫色、410nm〜455nmが青紫色、455nm〜485nmが青色、485nm〜495nmが青緑色、495nm〜548nmが緑色、548nm〜573nmが黄緑色、573nm〜584nmが黄色、584nm〜610nmが黄赤色、610nm〜780nmが赤色である。
(蛍光体)
【0025】
本発明の実施の形態に係る蛍光体は、ユーロピウムで付活され、近紫外線ないし青色光を吸収して黄色から赤色に発光する。
【0026】
この蛍光体は、一般式がSr
tCa
vEu
wAl
xSi
yN
z(0.5≦t<1、0<v≦0.5、0.01<w≦0.03、t+v+w<1、0.90≦x≦1.1、0.90≦y≦1.1、2.5≦z≦3.5)で示される。
【0027】
また、本発明の実施の形態に係る蛍光体は、紫外線から可視光の短波長側領域の光を吸収して、励起光の発光ピーク波長よりも長波長側に蛍光体の発光ピーク波長を有する。可視光の短波長領域の光は、主に青色光領域となる。具体的には250nm〜500nmに発光ピーク波長を有する励起光源からの光により励起され、600〜650nmの波長の範囲に発光ピーク波長をもつ蛍光を発光する。当該範囲の励起光源を用いることにより、発光効率の高い蛍光体を提供することができるからである。特に、250nm〜420nm或いは420nm〜500nmに主発光ピーク波長を有する励起光源を用いることが好ましく、更に420〜480nmに発光ピーク波長を有する励起光源を用いることが好ましい。
【0028】
また、本発明の実施の形態に係る蛍光体は、上記発光ピーク波長と、発光スペクトルの半値幅との差が、543nmより大きいことを特徴とする。この発光ピーク波長と半値幅との差は640nmよりも小さいことが好ましい。これにより、黄色から赤色発光領域の発光スペクトルの半値幅が狭くなり、そのため蛍光体の発光輝度を高くすることができるからである。この「発光ピーク波長と半値幅との差」を、本明細書中では「波長指数」と定義して説明する。
【0029】
また、窒化物蛍光体は、少なくとも一部が結晶を有することが好ましい。例えばガラス体(非晶質)は構造がルーズであるため、その生産工程における反応条件が厳密に一様になるよう管理できなければ、蛍光体中の成分比率が一定せず、色度ムラを生じる。これに対し、本実施の形態に係る蛍光体は、ガラス体でなく結晶性を有する粉体乃至粒体であるため製造及び加工し易い。また、この蛍光体は有機媒体に均一に溶解できるため、発光性プラスチックやポリマー薄膜材料の調整が容易である。具体的に、本実施の形態に係る蛍光体は、少なくとも50重量%以上、より好ましくは80重量%以上が結晶を有している。これは、発光性を有する結晶相の割合を示し、50重量%以上、結晶相を有しておれば、実用に耐え得る発光が得られるため好ましい。ゆえに結晶相が多いほど良い。これにより、発光輝度を高くすることができ、かつ加工し易くできる。
【0030】
本発明の実施の形態に係る蛍光体は、希土類であるユーロピウムEuが発光中心となる。ただ、ユーロピウムのみに限定されず、その一部を他の希土類金属やアルカリ土類金属に置き換えて、Euと共賦活させたものも使用できる。2価希土類イオンであるEu
2+は適当な母体を選べば安定に存在し、発光する効果を奏する。
【0032】
本実施の形態に係る蛍光体は、湿式あるいは乾式で、各種蛍光体原料を混合して製造される。この蛍光体原料として、Sr、Ca、Si、Al、Euを、必要に応じて添加元素が単独で、あるいは各々の化合物が使用される。以下に個々の原料について説明する。
【0033】
蛍光体組成のSrは、単独、あるいはSrの一部を、Ca、Mg、Ba等で置換することもできる。蛍光体組成のCaもSrと同じく、単独あるいはCaの一部を、Sr、Mg、Ba等で置換することもできる。これにより、窒化物蛍光体の発光波長のピークを調整することができる。Srの窒化物、あるいは水素化物等を利用してもよい。Caも同じく窒化物、あるいは水素化物等を利用してもよい。具体的にはCa
3N
2,CaH
2,Sr
3N
2,SrN、Sr
2N,SrH
2等使用できる。
【0034】
蛍光体組成のCaは、単体を使用することが好ましいが、イミド化合物、アミド化合物等の化合物を使用することもできる。また原料Caは、Li、Na、K、B、Al等を含有するものでもよい。原料は、精製したものが好ましい。これにより、精製工程を必要としないため、蛍光体の製造工程を簡略化でき、安価な窒化物蛍光体を提供することができるからである。原料のCaは、アルゴン雰囲気中、グローブボックス内で粉砕を行う。Caの粉砕の目安としては、平均粒径が約0.1μm以上15μm以下の範囲であることが、他の原料との反応性、焼成時及び焼成後の粒径制御等の観点から好ましいが、この範囲に限定されない。Caの純度は、2N以上であることが好ましいが、これに限定されない。
【0035】
蛍光体組成のSiも好ましくは単独で使用されるが、その一部を第IV族元素のGe、Sn、Ti、Zr、Hfで置換することもできる。ただ、Siのみを使用して、安価で結晶性の良好な窒化物蛍光体となる。Siの窒化物、酸化物等を利用してもよい。具体的にはSi
3N
4、SiO
2を使用できる。
【0036】
蛍光体組成のAlも好ましくは単独で使用されるが、その一部を第III族元素のGaやIn、V、Cr、Coで置換することもできる。ただ、Alのみを使用して、安価で結晶性の良好な窒化物蛍光体となる。またAlの窒化物、Alの酸化物を利用しても良い。これらの原料は精製したものを用いる方が良いが、市販の物を用いても良い。具体的にはAlの窒化物として窒化アルミニウムAlN、Alの酸化物として酸化アルミニウムAl
2O
3を使用できる。
【0037】
賦活剤のEuは、好ましくは単独で使用されるが、Euの一部を、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luで置換してもよい。Euの一部を他の元素で置換することにより、他の元素は、共賦活として作用する。共賦活とすることにより色調を変化することができ、発光特性の調整を行うことができる。Euを必須とする混合物を使用する場合、所望により配合比を変えることができる。ユーロピウムは、主に2価と3価のエネルギー準位を持つが、窒化物蛍光体は、母体の例えばSrに対して、Eu
2+を賦活剤として用いる。
【0038】
また、原料としてEuの化合物を使用しても良い。この場合、原料は精製したものを用いる方が良いが、市販の物を用いても良い。具体的にはEuの化合物として酸化ユーロピウムEu
2O
3、金属ユーロピウム、窒化ユーロピウム等も使用可能である。酸化ユーロピウムは、高純度のものが好ましく、また市販のものも使用することができる。本発明の実施の形態に係る蛍光体は発光の中心として2価のEuを用いるが、2価のEuは酸化されやすく、一般に3価のEu
2O
3の組成で市販されている。
【0039】
さらに必要に応じて加える元素は、通常、酸化物、若しくは水酸化物で加えられるが、これに限定されるものではなく、メタル、窒化物、イミド、アミド、若しくはその他の無機塩類でも良く、また、予め他の原料に含まれている状態でも良い。
【0040】
また、本発明の実施の形態に係る窒化物系蛍光体の組成中に酸素が含有されることがある。酸素は、原料となる各種酸化物あるいは窒化物や金属等でも微量酸化されており、その酸素から導入されるか、焼成中に原料が酸化されるか、或いは生成後の蛍光体に付着して混入すると考えられる。一般に組成中の酸素のモル比を制御することで、蛍光体の結晶構造を変化させ、蛍光体の発光ピーク波長をシフトさせることが可能である。ただ一方で、発光効率の観点からは、蛍光体に含まれる酸素含有量は少ない方が好ましく、生成相の重量に対して2重量%以下の酸素含有量であることが好ましい。
(フラックス)
【0041】
本発明の実施の形態に係る蛍光体にハロゲン化物等のフラックスを添加させることができる。一般的に窒化物蛍光体は融点の高い物が多く、固相反応させた際に液相が生じ難く、反応がスムーズに進行しない場合が多い。しかし、ハロゲン化物等を含有したものでは、液相の生成温度が低下し、液相が生じやすくなるために、反応が促進され、さらには固相反応がより均一に進行するために発光特性に優れた蛍光体を得ることができると考えられる。ハロゲン化物には希土類やアルカリ土類、アルカリ金属の塩化物、フッ化物等を利用できる。
【0042】
またホウ素を添加することによってもフラックスに近い効果を得ることもできる。ホウ素化合物は熱伝導率が高い物質であるため、原料に添加することにより、焼成中における原料の温度分布が均一となり、固相反応を促進させ、発光特性が向上するものと推定される。添加の方法としては、原料混合の際に一緒に添加し、混合することで可能である。
【0043】
蛍光体のホウ素原料として、ボロン、ホウ化物、窒化ホウ素、酸化ホウ素、ホウ酸塩等が使用できる。具体的には、蛍光体原料に添加するホウ素として、B、BN、H
3BO
3、B
2O
3、BCl
3、SiB
6、CaB
6等が挙げられる。これらのホウ素化合物は、原料に所定量を秤量して、添加する。
(蛍光体の製造方法)
【0044】
次に、本発明に係る蛍光体の一例として、一般式がSr
tCa
vEu
wAl
xSi
yN
z(0.5≦t<1、0<v≦0.5、0.01<w≦0.03、t+v+w<1、0.90≦x≦1.1、0.90≦y≦1.1、2.5≦z≦3.5)で表される窒化物蛍光体のうち、組成がSr
0.85Ca
0.135Eu
0.015AlSiN
3で表される窒化物蛍光体の製造方法について説明するが、窒化物蛍光体の製造方法およびその組成は、本製造方法およびその組成に限定されない。
【0045】
図1は、該蛍光体の製造方法の一例を示す製造フローチャートである。まず原料のCaを粉砕する。
【0046】
次に原料のCaを、窒素雰囲気中で窒化する。即ち、窒素雰囲気中、原料のCaを600℃〜900℃で約5時間窒化することにより、Caの窒化物を得ることができる。Caの窒化物は、高純度のものが好ましい。この反応式を、化1に示す。
【0048】
さらにCaの窒化物を、アルゴン雰囲気中、若しくは、窒素雰囲気中、グローブボックス内で粉砕を行う。
【0049】
また原料のSrもCaと同じように窒素雰囲気で窒化を行う。窒化は600℃〜900℃で行い、この反応式を化2に示す。SrはCaと異なり、窒素の量を条件により変更できる。
【0051】
一方、原料のSiを粉砕する。原料のSiは、単体を使用することが好ましいが、窒化物化合物、イミド化合物、アミド化合物等を使用することもできる。例えば、Si
3N
4、Si(NH
2)
2、Mg
2Si等である。原料のSiの純度は、3N以上のものが好ましいが、Li、Na、K、B、Al、Cu等の異なる元素が含有されていてもよい。Siも、原料のCaと同様に、アルゴン雰囲気中、若しくは、窒素雰囲気中、グローブボックス内で粉砕を行う。Si化合物の平均粒径は、約0.1μm以上15μm以下の範囲であることが他の原料との反応性、焼成時及び焼成後の粒径制御等の観点から好ましいが、これに限定されない。
【0052】
次に原料のSiを、窒素雰囲気中で窒化する。具体的には、窒素雰囲気中、ケイ素Siを800℃〜2000℃で約5時間窒化することにより窒化ケイ素を得る。本発明で使用する窒化ケイ素は、高純度のものが好ましい。この反応式を、化3に示す。
【0054】
同様に、Siの窒化物を窒素雰囲気中、グローブボックス内で0.1μm〜10μmに粉砕を行う。
【0055】
また一方で、Alの直接窒化法等によりAlNを合成する。このAlの窒化物であるAlN、及びEuの化合物Eu
2O
3を粉砕する。粉砕後の平均粒径は、好ましくは約0.1μmから15μm、また、より好ましくは約0.1μmから10μmの範囲であれば、他の原料との反応性、焼成時及び焼成後の粒径制御等の観点から好適であるが、これに限定されない。ただし、すでに市販されているAlN粉を使用することもできる。これにより工程を簡易化できる。
【0056】
またEuに対しても同様に処理を行う。なお原料のEuは単体で使用することができるが、他の希土類が含まれていてもよい。原料のEuを粉砕し、窒化することでEuNを合成する。窒化は窒素雰囲気中、あるいはアンモニア雰囲気等で行うことができ、600〜1200℃で行うことができる。Euの窒化物を窒素雰囲気、あるいはアルゴン雰囲気、グローブボックスで0.1〜10μm程度に粉砕を行う。
【0057】
上記粉砕を行った後、例えば、Sr:Ca:Eu:Al:Si=0.85:0.135:0.015:1.0:1.0の組成比となるように、Srの窒化物、Caの窒化物、Siの窒化物、Alの窒化物、Euの酸化物と、必要に応じて添加元素の化合物を計量して混合する。なお、この混合は乾式でも行うことができる。また、本実施の形態はこの組成比に限定されない。
【0058】
上記の混合物を窒素雰囲気中で焼成する。焼成は、電気炉を使用することができる。焼成温度は、1200℃から2200℃の範囲で焼成を行うことができるが、1500℃から2100℃の焼成温度が好ましい。焼成は、800℃から1400℃で一段階目の焼成を行い、徐々に加熱して1500℃から2100℃で二段階目の焼成を行う二段階焼成(多段階焼成)を使用することもできる。蛍光体の原料は、黒鉛等の炭素材質、窒化ホウ素(BN)材質のルツボ、ボートを用いて焼成を行うことが好ましい。上記以外に、アルミナ(Al
2O
3)やMo材質等のルツボを使用することもできるが、BNのルツボが好ましい。
【0059】
また、還元雰囲気は、窒素、水素、アルゴン、二酸化炭素、一酸化炭素、アンモニアの少なくとも1種以上を含む雰囲気とできる。ただ、これら以外の還元雰囲気下でも焼成を行うことができる。
【0060】
焼成により、Sr
0.85Ca
0.135Eu
0.015AlSiN
3で表される蛍光体を得ることができる。この焼成による窒化物蛍光体の反応式の例を、化4に示す。
【0062】
ただし、この蛍光体の組成は、配合比率より推定される代表組成である。実際に合成された組成は原料の酸素分が含まれたり、焼成時の分解、飛散等が生じたりするため仕込みの組成とは多少、異なる。また、各原料の配合比率を変更することにより、目的とする蛍光体の組成を変更することができる。
【0063】
また別の合成法も可能である。具体的には各元素の金属を所定の組成比になるように計量した後に溶融させ、合金を合成する。その合金の粉砕を行った後、N
2ガス雰囲気中でガス加圧焼結炉やHIP炉により合金を窒化させて、目的組成となる窒化物を合成することもできる。
【0064】
以上の製造方法によって、目的とする窒化物蛍光体を得ることが可能である。また、Euは希土類元素であり、Euの一部を各種の希土類に置き換えて、又はEuに加えて、La、Ce、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Lu等の希土類元素を含んでいる窒化物蛍光体とすることも可能である。以上のようにして、良好な窒化物蛍光体を得ることができる。
【0065】
上記の窒化物蛍光体に係る発光特性のデータは後述するが、本実施の形態に係る蛍光体は、発光ピーク波長と半値幅を制御でき、特に長波長成分を少なくし、半値幅を狭くできることが確認された。従って、該窒化物蛍光体を用いた発光装置において、該窒化物蛍光体を用いると演色性を損なうことなく、光束を高くできる特長を有する。
(粒径)
【0066】
窒化物蛍光体の粒径は5μm〜20μmの範囲が好ましい。5μm〜20μmの粒径範囲の蛍光体は、光の吸収率及び変換効率が高い。このように、光学的に優れた特徴を有する粒径の大きな蛍光体を後述する発光装置に含有させることにより、発光装置の発光効率が向上する。
【0067】
ここで、本明細書中における「粒径」は、F.S.S.S.No.(Fisher Sub Sieve Sizer's No.)と呼ばれる平均粒径であり、その値は空気透過法で得られる。具体的には、気温25℃、湿度70%の環境下において、1cm
3分の試料を計り取り、専用の管状容器にパッキングした後、一定圧力の乾燥空気を流し、差圧から比表面積を読み取り、平均粒径に換算した値である。本実施の形態で用いられる蛍光体の平均粒径は5μm〜20μmの範囲であることが好ましい。また、この平均粒径値を有する蛍光体が、頻度高く含有されていることが好ましい。また、粒度分布も狭い範囲に分布しているものが好ましい。このように粒径、及び粒度分布のバラツキが小さい蛍光体を用いることにより、より色ムラが抑制され、良好な色調を有する発光装置が得られる。
(発光装置)
【0068】
次に、上記の窒化物蛍光体を利用した発光装置について説明する。発光装置には、例えば照明器具、ディスプレイやレーダー等の表示装置、液晶用バックライト等が挙げられる。窒化物蛍光体の励起光源には、半導体発光素子を使用する。ここで発光素子には、可視光を発する素子のみならず、近紫外光や遠紫外光等を発する素子も含める意味で使用する。また励起光源として、半導体発光素子以外に、既存の水銀灯等、紫外から可視光の短波長領域に発光ピーク波長を有する励起光源を適宜利用できる。
【0069】
ここでは発光装置として、励起光源に近紫外から可視光の短波長領域の光を放つ発光素子を備えた半導体発光装置を使用する。発光素子は、小型で電力効率が良く鮮やかな色の発光をする。また、発光素子は半導体素子であるため球切れ等の心配がない。さらに初期駆動性が優れ、振動やオン・オフ点灯の繰り返しに強いという特長を有する。そのため、発光素子と、窒化物蛍光体とを組み合わせる発光装置であることが好ましい。
【0070】
また、励起光源としては近紫外から可視光の短波長領域の光を放つ発光素子が好ましい。
【0071】
発光素子を搭載した発光装置として、いわゆる砲弾型や表面実装型等種々のタイプがある。本実施の形態では、
図2を参照しながら、表面実装型の発光装置について説明する。
【0072】
図2は、本実施の形態に係る発光装置100の模式図である。本実施の形態に係る発光装置100は、凹部を有するパッケージ40と、発光素子10と、発光素子10を被覆する封止部材50とを備える。発光素子10は、パッケージ40に形成された凹部内に配置されており、パッケージ40に配置された正負一対のリード電極20、30に導電性ワイヤ60によって電気的に接続されている。封止部材50は、凹部内に充填されており、蛍光体70を含有する樹脂によって形成されている。さらに正負一対のリード電極20、30は、その一部がパッケージ40の外に露出されている。これらのリード電極20、30を介して、外部から電力の供給を受けて発光装置100が発光する。以下に、本実施の形態に係る発光装置を構成する部材について説明する。
(発光素子10)
【0073】
発光素子10は、発光ピーク波長が紫外線領域から可視光領域の範囲に存在する光を発することができる。発光素子10から発する光のピーク波長は、240nm乃至520nmが好ましく、420nm乃至470nmがさらに好ましい。この発光素子10は、例えば、窒化物半導体素子(In
XAl
YGa
1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)を用いることができる。窒化物半導体素子を用いることで機械的衝撃にも強い安定した発光装置を得ることができる。
(蛍光体70)
【0074】
本実施の形態に係る蛍光体70は、封止部材50の一部に偏在されている。このとき封止部材50は、発光素子や蛍光体を外部環境から保護するための部材のみならず、波長変換部材としても機能する。このように発光素子10に接近して載置することにより、発光素子10からの光を効率よく波長変換することができ、発光効率に優れた発光装置とできる。なお、蛍光体を含む部材と、発光素子との配置は、それらを接近して配置させる形態に限定されることなく、蛍光体への熱の影響を考慮して、発光素子と蛍光体を含む波長変換部材との間隔を空けて配置することもできる。また、蛍光体70を封止部材50中にほぼ均一の割合で混合することによって、色ムラのない光を得るようにすることもできる。
【0075】
また、蛍光体70は2種以上の蛍光体を用いてもよい。例えば、本実施の形態に係る発光装置100において、青色光を放出する発光素子10と、これに励起される実施の形態に係る蛍光体と、赤色光を発する蛍光体を併用することで、演色性に優れた白色系の混色光を得ることができる。
【0076】
また、緑色蛍光体や青色蛍光体も組み合わせることができる。本実施の形態に係る蛍光体と発光ピーク波長が微妙に異なる緑色に発光する蛍光体や青色に発光する蛍光体をさらに追加することで、色再現性や演色性を更に向上させることができる。また、紫外線を吸収して青色に発光する蛍光体を追加することにより、青色に発光する発光素子に代わりに紫外線を発光する発光素子を組み合わせることで、色再現性や演色性を向上させることもできる。
【0077】
緑色光を発する蛍光体としては、例えば、(Y,Gd,Tb,Lu)
3(Al,Ga)
5O
12:Ce等のCe付活アルミン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)
2SiO
4:Eu等のケイ酸塩蛍光体、Si
6-zAl
zO
zN
8-z:Eu(0<z<4.2)のβ型サイアロン等の酸窒化物蛍光体、(Ca,Sr)
8MgSi
4O
16Cl
2:Eu等のクロロシリケート蛍光体、Ca
3Sc
2Si
3O
12:Ce、CaSc
2O
4:Ce、(Ca,Sr,Ba)
3Si
6O
9N
4:Eu、(Ca,Sr,Ba)
3Si
6O
12N
2:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si
2O
2N
2:Eu、SrGa
2S
4:Eu等のEu付活硫化物蛍光体を用いることができる。
(封止部材50)
【0078】
封止部材50は、発光装置100の凹部内に載置された発光素子10を覆うように透光性の樹脂やガラスで充填されて形成される。製造のしやすさを考慮すると、封止部材の材料は、透光性樹脂が好ましい。透光性樹脂は、シリコーン樹脂組成物を使用することが好ましいが、エポキシ樹脂組成物、アクリル樹脂組成物等の絶縁樹脂組成物を用いることもできる。また、封止部材50には蛍光体70が含有されているが、さらに適宜、添加部材を含有させることもできる。例えば光拡散材を含むことで、発光素子からの指向性を緩和させ、視野角を増大させることができる。
(蛍光体の実施例)
【0079】
次に本発明の実施例として、窒化物蛍光体及びそれを用いた発光装置を製造し、その発光特性を測定した結果について説明する。
(比較例1、2、実施例1〜6)
【0080】
まず、一般式Sr
tCa
vEu
wAl
xSi
yN
z(0.5≦t<1、0<v≦0.5、0.01<w≦0.03、t+v+w<1、0.90≦x≦1.1、0.90≦y≦1.1、2.5≦z≦3.5))で表される実施例1〜6の蛍光体は、その構成元素が下記の表1に各々示される仕込み組成比になるよう秤量された各材料から、上記蛍光体の製造方法によって製造された。比較例1、2も表1に記載の仕込み組成比になるように秤量した後、蛍光体を製造した。
【0081】
上記の方法で得られた比較例1、2及び実施例1〜6に係る蛍光体の、分析後の組成比を表1に示す。なお、蛍光体の組成分析は、Ca,Sr,Al、EuについてはICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)、Siについては、重量分析およびICP−AESにより、O、Nについては、酸素・窒素分析装置により行った。表1に示すように若干の組成ずれが見られるものの、所望の蛍光体を合成できた。また酸素含有量は0.5〜1.0重量%であった。
【0083】
また比較例1、2及び実施例1〜6に係る蛍光体の粒径と発光特性を表2に示す。この粒径は10μm前後であった。実施例1〜3の発光特性は、比較例1よりもスペクトルのエネルギー(ENG)が同等でありながら、輝度が高くなっている。また実施例4〜6でも比較例2よりも輝度が高くなっている。
【0085】
ここで、発光ピーク波長(λp)から発光スペクトルの半値幅を引いた値を「波長指数」と定義して検討する。表2に示すように、実施例1〜6において波長指数は、比較例1、2よりも大きくなっている。すなわち、発光ピーク波長に対して、発光スペクトルの半値幅が狭くなっていることが確認できた。また、
図3は実施例1〜6、比較例1〜2に係る蛍光体を460nmの励起光で励起した際の発光スペクトル、
図4及び
図5は、
図3を規格化した発光スペクトルをそれぞれ示している。これらの図から、実施例1〜6はそれぞれ比較例1、2より長波長成分が減少し、半値幅が狭くなっていることが確認できる。
(反射率)
【0086】
さらに実施例1〜3、比較例1に係る蛍光体の反射スペクトルを
図6に、実施例4〜6、比較例2に係る蛍光体の反射スペクトルを
図7に、それぞれ示す。これらの図に示すように、比較例に比して各実施例の反射率が低いことが判る。いいかえると、光の吸収率が増加していることが判明した。特に550nm近傍で反射率の低下が顕著であり、15%〜28%程度に分布している。この吸収は発光装置を構成したときに550nm付近の発光成分を制御することができ、演色性の制御に繋がる利点が得られる。
(実施例11〜16、比較例11〜12)
【0087】
このようにSCASN蛍光体の発光スペクトルの半値幅を狭くすることで、この蛍光体を用いた発光装置の光束を増加させることが期待できる。このことを確認するため、上述した比較例1、2、実施例1〜6で製造した蛍光体を半導体発光素子であるLEDと組み合わせ、白色系の混色光を発光可能な発光装置を作製し、その特性を評価した。発光装置は、発光ピーク波長が455nmの青色光を発光するLEDと、Y
3(Al,Ga)
5O
12:Ceを組み合わせた。表3に発光装置の色度(x、y)、平均演色性評価数(Ra)を示す。表3に示すように比較例11の光束値を基準として100%とすると、実施例11から13では5.5%から7.6%高くなっている。このように半値幅を狭くしたSCASN蛍光体を用いることで、発光装置の光束を約6%向上させることができることが確認された。また、実施例11から13のRaは、比較例と同等か、これもよりもやや高く維持されており、演色性は損なわれていない。ここで半値幅は、蛍光体の発光ピーク波長が610nm≦λp≦625nmのときに半値幅は79nm以下であることが好ましい。より好ましくは、発光ピーク波長が625nm<λp≦635nmのときに半値幅は90nm以下とする。
(発光装置の発光スペクトル)
【0088】
次に実施例11〜13、比較例11に係る発光装置の発光スペクトルを
図8に、実施例14〜15、比較例11に係る発光装置の発光スペクトルを
図9に、それぞれ示す。これらの図からも、各実施例の蛍光体を使用することにより主に長波長成分が減少していることが確認できる。
【0089】
【表3】
(実施例17〜20、比較例13〜16)
【0090】
以上の例では、一種類の蛍光体をLEDと組み合わせて発光装置とする例を説明したが、本発明はこれに限らず、二種類以上の蛍光体を組み合わせることも可能である。この場合は、第一の発光スペクトルを有する第一蛍光体と、この第一の発光スペクトルとは異なる第二の発光スペクトルを有する第二蛍光体を組み合わせることが好ましい。これにより、光束が高い発光装置を得ることが可能となる。
【0091】
このような例を実施例17〜20として作成し、光束比と色度、平均演色性評価数を測定した結果を表4に示す。また、各発光装置の発光スペクトルを
図10〜
図13にそれぞれ示す。ここでは組み合わせる第二蛍光体として、緑色の蛍光を発する蛍光体であるCa
8MgSi
4O
16Cl
2:Eu(実施例17)、(Sr,Ba)
2SiO
4:Eu(実施例18)、Si
5.8Al
0.2O
0.2N
7.8:Eu(実施例19)、Lu
3Al
5O
12:Ce(実施例20)を利用し、白色系の混色光が発光可能な発光装置を作製した。
【0092】
また、比較例として、比較例1の蛍光体を組み合わせた蛍光体を比較例13〜16として作製し、同様に特性を測定して比較した。
【0093】
図10は、実施例17と比較例13に係る発光装置の発光スペクトルを示し、また
図11は実施例18と比較例14、
図12は実施例19と比較例15、
図13は実施例20と比較例16の各発光装置の発光スペクトル、
図14は実施例11〜20と比較例11〜16に用いた緑色蛍光体の発光スペクトルを、それぞれ示している。
【0094】
これらの結果に示すとおり、本発明の実施例の蛍光体を用いた発光装置の場合は高い光束比を示すことが確認された。さらにこのように2種類の蛍光体の組み合わせに限らず、3種類以上の蛍光体を組み合わせて一層の光束の改善を図ることも可能である。特に演色性について、基本的には赤味成分が減少することで演色性Raは低下すると思われるが、一部の実施例においては逆に上がる傾向が見られる。ここでRaは、各色温度の基準光との違いを計算したものであり、上述の通り蛍光体の550nm近傍の反射率が低下したこと、言い換えると吸収成分が増えたことで、発光装置のスペクトルにおいて550nm近傍に凹みができることが影響しているものと思われる。また演色性が多少低下しても、その分、光束が高いことで、得られる効果は大きい。
【0096】
以上のように実施例に係る蛍光体によれば、SCASN蛍光体の発光スペクトルの半値幅を制御し、特に長波長側の成分を減らし、発光スペクトルの半値幅を狭くする。そしてこの蛍光体を用いることで色再現範囲や演色性を損なうことなく、視感度成分を増やし高光束化された発光装置が実現できる。
【0097】
特に、従来報告されている蛍光体(例えば、上記特許文献及び非特許文献を参照。)では、組成による半値幅の変化や制御は全く検討されていない。その一方、本発明では、蛍光体の組成と発光スペクトルの半値幅との関係を詳細に検討することにより、従来なし得なかった、視感度成分を増やしSCASN蛍光体の輝度を高めることに成功したものである。