【解決手段】発光装置100Aは、発光素子3と、正又は負の第1の導電部材11と、前記発光素子3が実装される正又は負の他方の第2の導電部材12と、前記発光素子3と前記第1の導電部材とを接続する第1のワイヤ4と、前記発光素子3と前記第1の導電部材11及び第2の導電部材12の少なくとも一部とを被覆する封止部材6と、を備え、前記第2の導電部材12は、断面視において前記第1のワイヤ4で接続されるワイヤボンディング点を結ぶ仮想直線Aよりも上方に突出する突出部を有し、前記突出部の上面又は側面は、絶縁部材5で被覆されることを特徴とする。
発光素子と、正又は負の第1の導電部材と、前記発光素子が実装される正又は負の他方の第2の導電部材と、前記発光素子と前記第1の導電部材とを接続する第1のワイヤと、前記発光素子と前記第1の導電部材及び第2の導電部材の少なくとも一部とを被覆する封止部材と、を備える発光装置の製造方法において、
断面視において、前記第1のワイヤで接続されるワイヤボンディング点を結ぶ仮想直線よりも上方に突出する突出部が形成された前記第2の導電部材を準備する第1の工程と、
前記突出部の上面又は/及び側面を絶縁部材で被覆する第2の工程と、
前記第2の工程の後、前記第1のワイヤが、前記絶縁部材の上方を跨ぐように、前記発光素子と前記第1の導電部材とを接続する第3の工程と、を有することを特徴とする発光装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための態様を、図面を参照しながら詳細に説明する。しかし、以下に示す態様は、本発明の技術的思想を具体化するための発光装置を例示するものであって、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる例示にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張していることがある。以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」およびそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されることはない。なお、ワイヤボンディング点等が視認しやすいように、図面の断面図において発光素子間を接続するワイヤは省略している。
【0014】
≪実施形態1≫
図1は、実施形態1の発光装置100Aの構成を示す斜視図である。また、
図2は、実施形態1に係る発光装置100Aの構成を示す上面図であり、
図3は、実施形態1に係る発光装置100Aの構成を示す断面図及び部分拡大図である。以下、
図1〜3を参照しながら実施形態1に係る発光装置100Aの構成について説明する。
実施形態1の発光装置100Aは、第1の導電部材11と、第2の導電部材12と、第2の導電部材に設けられた突出部12aと、第2の導電部材12上に実装された発光素子3と、発光素子3と第1の導電部材11とを接続する第1のワイヤ4と、突出部の上面12bを被覆する絶縁部材5と、発光素子3と第1の導電部材11及び第2の導電部材12の少なくとも一部とを被覆する封止部材6とを備える。封止部材6は、発光素子の上方を被覆する略ドーム状のレンズ部と、レンズ部の周囲で第1の導電部材11及び第2の導電部材12や、後述する支持基材等を被覆する鍔部とを有している。
【0015】
発光装置100Aにおいて、第1の導電部材11、第2の導電部材12及び突出部12aは導電性を有する。突出部12aは、第2の導電部材12の一部であり、断面視において第1のワイヤ4で接続される発光素子3のワイヤボンディング点Bと、第1の導電部材11のワイヤボンディング点B’とを結ぶ仮想直線Aよりも上方に突出してなる。仮想直線Aは、発光素子3のワイヤボンディング点Bと、第1の導電部材11のワイヤボンディング点B’とを最短距離で結ぶ直線であり、
図3中に一点鎖線で示される。
実施形態1の絶縁部材5は、突出部12aの上面を被覆しており、少なくとも第1のワイヤ4と突出部12aとの間に形成される。
【0016】
このように、突出部12aの上面12b(又は側面12c)が絶縁部材5で被覆されることで、第1のワイヤ4と、第1のワイヤ4と接触しやすい第2の導電部材12の突出部12aとが直接接触することを防ぐことができ、発光装置のショートを防止することができる。ワイヤボンディング工程時に第1のワイヤ4が突出部12aと接触することを防止できるだけでなく、封止部材形成時にかかる圧力や、発光素子3から放出される光や熱によって発生する第1のワイヤ4の撓みによるショートも回避可能である。第1のワイヤ4の撓みとは、第1のワイヤ4が上下方向(第1の導電部材11の方向)に振れることである。
【0017】
なお、
図4に示されるように、発光素子3が無極性の素子載置部材13に実装される場合も同様に、発光装置のショートを防止する効果が得られる。
図4に示される発光装置100Bでは、素子載置部材13に実装される発光素子3が、第1のワイヤ4及び第2のワイヤ7によって、正又は負の導電部材である第1の導電部材11及び第2の導電部材12と電気的に接続されている。なお、素子載置部材13は、第1の導電部材11及び第2の導電部材12とは離間して配置される。
素子載置部材13は、例えば、発光素子3で発生した熱を効率的に外部へ放出するための放熱部材とすることができる。この場合、突出部13aは、発光素子3のワイヤボンディング点Bと第1の導電部材11のワイヤボンディング点B’とを結ぶ仮想直線Aと、発光素子3のワイヤボンディング点Dと第2の導電部材12のワイヤボンディング点D’とを結ぶ仮想直線Cよりも上方に突出する素子載置部材13の一部である。このような構成とすることで、
図4に示される発光装置100Bが半田等の導電性接着剤で実装基板に接続される場合、発光装置100Bの裏面に露出する第1の導電部材11、第2の導電部材12、素子連載部材13、が半田等で電気的に接続されることがある。この場合、例えば、第1のワイヤ4と第1の導電部材11(又は第2のワイヤ7と第2の導電部材12)とが直接接触していると発光装置がショートしてしまうところ、絶縁部材5によって、突出部13aのうちいずれかの上面及び/又は側面が被覆されることで、発光装置のショートを防止することが可能である。なお、素子載置部材13は、放熱部材でなくてもよく、突出部13aを有し、且つ発光装置の実装の際に、第1の導電部材11及び/又は第2の導電部材12と電気的に接続される可能性を有し、導電性を有する部材で形成されていれば、特に限定されない。
図4に示される発光装置100Bでは、第1の導電部材11、第2の導電部材12、素子載置部材13が、発光装置の実装面において略同一面上に露出されているため、各々が電気的に接続されやすい構成となっている。
また、絶縁部材5は第2の導電部材12の一部に設けられるため、少ない材料で形成することができ、材料コストが削減できる。さらに、発光素子3からの出射光の吸収も抑えることができる。
【0018】
以下、実施形態1に係る発光装置100について説明する。なお、実施形態1に係る発光装置100Bについては、上面に発光素子3が実装される無極性の素子載置部材13を有し、発光素子3が第1のワイヤ4及び第2のワイヤ7によって第1の導電部材11及び第2の導電部材12と接続されており、突出部13aが素子載置部材13の一部であること以外は、発光装置100Aと略同じ構成とすることが可能であるため、適宜説明を省略し、主に発光装置100Aの各構成部材を参照して詳述する。
<第1の導電部材11、第2の導電部材12>
第1の導電部材11は、発光素子3と電気的に接続されるものであり、外部から電力を供給させるための正又は負の電極として機能する。また、第2の導電部材12は、発光素子3が実装されるものであり、発光素子3への通電に寄与しない無極性である場合と、通電に寄与する正又は負の電極とする場合と、いずれの形態をとることもできる。実施形態1では、第2の導電部材12が、正又は負の電極として機能する場合について説明する。
明している。
【0019】
本実施形態において、第1の導電部材11及び第2の導電部材12の下面は、発光装置100Aの下面に露出しており、発光装置100Aの外表面を形成している。第1の導電部材11及び第2の導電部材12の上面視における形状、大きさ等については、発光装置の大きさや実装される発光素子等の数や大きさ等に応じて任意に選択することができる。
【0020】
(第1の導電部材11)
実施形態1の第1の導電部材11は、
図3(a)に示されるように、その上面に発光素子3と導通させるための第1のワイヤ4が接続されるワイヤボンディング点B’を有する。第1の導電部材11の上面は、少なくとも該ワイヤボンディングに必要な面積を有していればよく、微細な凹凸や、溝、孔等を有していてもかまわない。また、封止部材6等との密着性等を考慮し、第1の導電部材11の側面には、傾斜や下面から離間した突起が形成されていてもよい。
【0021】
(第2の導電部材12)
第2の導電部材12の上面には、接着剤等によって発光素子3が実装される。接着剤は半田等の導電性接着剤、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の絶縁性接着剤を適宜選択して用いることができる。実装された発光素子3のワイヤボンディング点Bと、第1の導電部材11のワイヤボンディング点B’とが第1のワイヤ4によって接続されることで、発光素子3と第1の導電部材11とが電気的に接続される。第2の導電部材12には、さらに発光素子3と第2の導電部材12とを導通させるための第2のワイヤ7が接続されるワイヤボンディング点が形成されていてもかまわない。第2の導電部材12の側面には、第1の導電部材11と同様に、傾斜や下面から離間した突起が形成されていてもよい。
【0022】
第2の導電部材12は、突出部12aを有する。突出部12aは、断面視において前述の発光素子3のワイヤボンディング点Bと、第1の導電部材11のワイヤボンディング点B’とを結ぶ仮想直線Aよりも上方に突出した第2の導電部材12の一部である。すなわち、突出部12aは、仮想直線Aよりも第1のワイヤ4側であって、かつ第1のワイヤ4の下方に存在し、少なくとも第1のワイヤ4が跨ぐ領域に形成される。したがって、突出部12aは、第2の導電部材12において特に第1のワイヤ4と接触しやすい領域である。なお、仮想直線A上に存在するものも突出部12aに含むこととする。
突出部12aは、断面視において、
図3(b)のように上面12bと側面12cとによって構成される。また、突出部12aが断面視において2以上の複数の面から構成される場合や、
図3(c)のように曲面からなる場合は、突出部12aのうち第1のワイヤ4と最も近い最接近部Pよりも上方にある面を上面12b、最接近部Pよりも下方にある面を側面12cとする。突出部12aは
図3(d)のように切欠き形状を有していてもよく、複数形成されていてもかまわない。
【0023】
図3に示されるように、実施形態1の第2の導電部材12は、台座2A(サブマウント)と、その周囲において台座2Aよりも低い部分とを有し、発光素子3は台座2Aの上面に実装される。そうすることで、台座2Aを設けない場合と比較し、発光部を発光装置100Aの光出射面に対して近くすることができ、光の取り出しを向上させることができる。さらに、封止部材6の鍔部によって、発光素子3から側方に出射される光の取り出しが低下することを防止できる。
【0024】
実施形態1の突出部12aは、
図3(b)に示されるように、台座2Aの上面と側面からなる角2A’付近であり、角2A’は突出部12aのうち第1のワイヤ4と最も近い最接近部Pとなっている。このような構成とすると、発光素子3の実装面である台座2Aの上面と、第1の導電部材11上面のワイヤボンディング点B’との間に段差Sが形成される。この段差Sによって、第2の導電部材12と第1のワイヤ4とが接触しやすい構成となっている。段差Sが大きいほど、第2の導電部材12と第1のワイヤ4とが接触する可能性が高くなり、発光装置100Aのショートが発生しやすくなる。
【0025】
実施形態1の台座2Aの上面視形状は略矩形であるが、少なくとも発光素子3が実装できる面積を有していれば、適宜所望の形状とすることができる。なお、実施形態1では、第1導電部材11及び第2導電部材12の下面が略同一面上に形成されて発光装置100A下面に露出しており、第1の導電部材11と、第2の導電部材12の台座周囲の厚みとが略同じである。このような構成とすると、台座2Aの上面の発光素子3から放出された熱を、台座2Aを介して外部に効果的に放熱させることができる。しかし、第1の導電部材11及び第2の導電部材12の下面の高さや厚みは、同じでも異なっていてもかまわない。
また、実施形態1では、第2の導電部材12に形成された台座2Aの角2A’付近が突出部12aとなる形態を示したが、突出部12aは台座2Aの角2A’を含んでいなくてもよく、台座2Aによるものでなくてもよい。その他の突出部12aの形態については、実施形態2〜4で詳述する。
【0026】
第1の導電部材11及び第2の導電部材12は、導電性を有する材料で形成される。第1の導電部材11と第2の導電部材12とは同じ材料で形成されると好ましいが、異なる材料を用いてもかまわない。具体的な材料としては、銅、ニッケル、パラジウム、タングステン、クロム、チタン、アルミニウム、銀、金、鉄、又はこれらの合金等が挙げられる。特に、発光素子3からの出射光を反射可能な材料であると好ましく、導電部材の表面に、銀、アルミニウム、ロジウム、金、銅、又はこれらの合金等の光反射膜が設けられていてもよい。これらの被膜は、鍍金、蒸着、スパッタ、印刷、塗布等で設けることができる。なお、第1の導電部材11及び第2の導電部材12は、少なくとも第2の導電部材12の突出部12aが導電性を有していれば、樹脂やセラミックス等の絶縁性材料で形成された支持基材を有していてもよい。
【0027】
実施形態1における第1の導電部材11及び第2の導電部材12は、リードフレームで形成されている。リードフレームは、プレス、打ち抜き、折り曲げ、エッチング等の加工によって、台座2Aや後述する凹部2Bを容易に形成できるので好ましい。リードフレームの厚みや形状等は、所望の発光装置の大きさや形状等を考慮して適宜調整することができる。台座2Aは、前述のようにリードフレームを加工することで形成してもかまわないが、導電性を有する台座を別途形成し、第2の導電部材12上に配置することで形成してもかまわない。
なお、第1の導電部材11及び第2の導電部材12はリードフレームに限らず、鍍金等で形成されたものでもかまわない。鍍金等で形成された導電部材は、リードフレームと比較して熱膨張が少ないため、熱によって支持基材や封止部材等と剥離しにくく好ましい。
【0028】
<発光素子3>
第2の導電部材12に実装される発光素子3は、少なくとも第1導電型(n型)層と第2導電型(p型)層により構成され、その間に活性層を有する半導体積層構造を有していると好ましい。また、発光素子3の電極は、絶縁性の基板上に半導体積層構造を積層し、その上面側に両極性の電極を有する同一面側電極構造、導電性の支持基材上に半導体積層構造を積層し、その積層方向である上下面に各極性の電極を有する対向電極構造とすることができる。本実施形態では、同一面側電極構造を有する発光素子3を用い、絶縁性の基板側を第2の導電部材12と接着させ、ワイヤによって発光素子3のワイヤボンディング点Bと、第1の導電部材11及び第2の導電部材12のワイヤボンディング点とを各々電気的に接続させる。または、対向電極構造を有する発光素子を用い、発光素子の一方の電極面側を導電性接着剤によって第2の導電部材と接着させ、発光素子のワイヤボンディング点と、第1の導電部材のワイヤボンディング点とを接続させてもよい。なお、発光素子3の絶縁性の基板は除去してもよく、絶縁性の基板が除去された半導体積層構造に、例えば別の絶縁性の基板を接着した構造とすることもできる。基板の除去は、支持体、装置又はサブマウント等に実装又は保持して、剥離、研磨、若しくはLLO(Laser Lift Off)することで実施できる。
【0029】
発光素子3は、任意の波長の光を出力する半導体発光素子であると好ましい。特に、GaN系化合物半導体を用いると、蛍光体を効率良く励起できる短波長の可視光や紫外光が発光可能である。具体的な発光ピーク波長は、約300nm〜560nm、好ましくは約380nm〜470nmである。なお、この他、ZnSe系、InGaAs系、AlInGaP系等の半導体発光素子を用いてもよい。
実装される発光素子3の数は1つでも複数でもよく、所望の発光を実現するために適宜自由に選択することができる。さらに、発光素子3の形状や大きさ等も特に限定されない。
【0030】
<絶縁部材5>
絶縁部材5は、絶縁性の材料で形成され、前述の第2の導電部材12の突出部12aの上面12b又は側面12cの少なくとも一部を被覆する。絶縁部材5は、突出部12aの略全面を被覆していると、第2の導電部材12と第1のワイヤ4との接触をより確実に防ぐことができ好ましいが、絶縁部材5によって突出部12aと第1のワイヤ4とが直接接触しないような位置に形成されていればよい。すなわち、絶縁部材5は、少なくとも第1のワイヤ4の下方の突出部12a(突出部12aのうち第1のワイヤ4と対向する領域)を被覆している。
【0031】
実施形態1では、台座2Aの角2A’付近が突出部12aであり、絶縁部材5は突出部12aの上面12bを被覆している。このように、第2の導電部材12のうち、第1のワイヤ4と特に接触しやすい突出部12aが絶縁部材5で被覆されることで、効果的に発光装置100Aのショートを防止することができる。さらに、少ない材料で絶縁部材5が形成できるので、材料コストを削減でき、絶縁部材5による発光素子3からの出射光の吸収を低減できる。
【0032】
以下、突出部12aの上面12b、側面12cを被覆する絶縁部材5について、各々説明する。
突出部12aの上面12bを被覆する絶縁部材5は、突出部12aの側面12cに近い側に形成されるほど好ましい。すなわち、実施形態1では台座2Aの角2A’側に設けられるほど好ましい。つまり、実施形態1では、上面12bの絶縁部材5は、最接近部Pである台座2Aの角2A’を被覆していると、発光装置100Aのショートを回避しやすい。なお、上面12bの絶縁部材5は角2A’を被覆していなくてもよく、適宜厚みを調節し、突出部12aの上面12bの少なくとも一部を被覆していれば、第2の導電部材12と第1のワイヤ4の接触を回避することが可能である。
【0033】
次に、突出部12aの側面12cを被覆する絶縁部材5について説明する。突出部12aの側面12cを被覆する絶縁部材5は、突出部12aの上面12bに近い側に形成されるほど好ましい。特に、
図5のように絶縁部材5が側面12cのみに形成される場合は、絶縁部材5は突出部12aの上面12b以上の高さを有するように形成される。そうすることで、台座2Aの角2A’が被覆され、第2の導電部材12と第1のワイヤ4とが直接接触しにくくなる。絶縁部材5が突出部12aの側面12cのみに形成されると、発光素子3からの出射光が吸収されにくい構成とできる。すなわち、
図5(b)に示されるように、側面12cを被覆する絶縁部材5を台座2Aと略同じ高さとすることで、発光素子3から側方へ出射する光の取り出しを低下させることなく、発光装置100Aのショートを防止することが可能である。
以上、突出部12aの上面12b又は側面12cを被覆する絶縁部材5について説明したが、絶縁部材5は突出部12aの上面12b及び側面12cの両方を被覆していてもよい。両方を被覆する絶縁部材5については、実施形態2で詳述する。
【0034】
絶縁部材5は突出部12aの少なくとも一部を被覆していれば、突出部12a以外の第2の導電部材を被覆していてもよく、突出部12a以外の台座2Aの上面や側面を被覆していてもかまわない。なお、
図6のように、突出部12a以外の第2の導電部材を被覆する絶縁部材5も、その厚みや形状を調節することで、第2の導電部材12と第1のワイヤ4とが直接接触することを防止する効果を有することは言うまでもない。
【0035】
絶縁部材5は任意の厚み、形状で形成することができるが、以下特に好ましい絶縁部材5の厚みと配置の関係について説明する。
絶縁部材5の材料が樹脂である場合、絶縁部材5は突出部12aと第1のワイヤ4とを電気的に確実に絶縁するために、少なくとも約10〜50μm以上の厚みで形成されると好ましい。また、実施形態1では、ワイヤボンディング点B’側の絶縁部材5の上端部Qが、最接近部Pである角2A’と、ワイヤボンディング点B’側の発光素子3の上端部とを結んだ仮想直線Y以上の高さで形成されると、突出部12aと第1のワイヤ4との接触をさらに確実に防止することができる。仮想直線Yは、
図7中に二点鎖線で示される。すなわち、実施形態1の突出部12aの上面12bを被覆する絶縁部材5は、最接近部Pから遠い部分にあるほど厚い方が好ましい。同様に、上面12bを被覆する絶縁部材5は、最接近部Pから近い部分にあるほど、厚みを薄くすることができる(
図7参照)。絶縁部材5を薄く形成すると、材料コストの削減となり、さらに発光素子3からの出射光の吸収を抑えることができ好ましい。
【0036】
絶縁部材5の材料としては、樹脂が好ましく、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリノルボルネン樹脂、BTレジン、PPA、PET、PBT等が挙げられる。特に、絶縁性、耐熱性及び耐光性に優れ、金属等の第2の導電部材12との密着性が良好なシリコーン樹脂が好適に用いられる。なお、ガラス、無機物等を用いることもできる。具体的には、ガラス板、単結晶体、多結晶体、アモルファス体、セラミック体等が挙げられる。さらに、絶縁部材5は光反射性の高い白色系の部材であると好ましく、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等の反射部材が添加されると特に好ましい。絶縁部材5には、その他の反射部材が添加されていてもよく、種々の機能を持つ粒子(例えば、拡散剤や着色剤など)を添加してもよい。具体的には、シリカ、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、チタン酸バリウム、酸化鉄、酸化クロム、酸化マンガン、ガラス、カーボンブラックなどが挙げられる。
【0037】
また、絶縁部材5には蛍光体を含有させてもよい。例えば、ユーロピウム、セリウム等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体・酸窒化物系蛍光体、より具体的には、ユーロピウムで賦活されたα又はβサイアロン型蛍光体、各種アルカリ土類金属窒化シリケート蛍光体、ユーロピウム等のランタノイド系元素、マンガン等の遷移金属系元素により主に賦活されるアルカリ土類金属ハロゲンアパタイト蛍光体、アルカリ土類のハロシリケート蛍光体、アルカリ土類金属シリケート蛍光体、アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体、アルカリ土類金属ケイ酸塩、アルカリ土類金属硫化物、アルカリ土類金属チオガレート、アルカリ土類金属窒化ケイ素、ゲルマン酸塩、セリウム等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩、希土類ケイ酸塩又はユーロピウム等のランタノイド系元素で主に賦活される有機物及び有機錯体等が挙げられる。特に、青色発光素子と組み合わせることで白色に発光するYAG(Yttrium Aluminum Garnet)系蛍光体が好適に用いられる。また、赤色蛍光体であるKSF等も用いることができる。この他にも同様の性能、効果を有する蛍光体を適宜使用することができる。このように、発光素子3からの出射光の少なくとも一部を波長変換可能な蛍光体を含有していると、発光装置100Aを所望の発光色とできるので好ましい。
特に、絶縁部材5をシート状樹脂とする場合、蛍光体はシート状樹脂中に含有させることができるほか、例えば2枚または2枚以上の複数のシート状樹脂を準備し、それらのシート状樹脂の間に挟むことができる。そうすることで、熱に比較的弱い蛍光体等を用いても、発光素子からの熱で劣化することを緩和することが可能である。
【0038】
<封止部材6>
封止部材6は、発光素子3を被覆すると共に、第1の導電部材11及び第2の導電部材12の少なくとも一部を被覆するように設けられ、発光素子3やワイヤ4,7等を塵芥や水分、外力等から保護する。封止部材6は、複数の層で構成されていてもよい。複数の層で構成される封止部材6については、実施形態4で詳述する。
【0039】
封止部材6は、例えばトランスファー成形等で形成することができる。封止部材6(封止部材6が複数の層で構成される場合は、最も外側の封止部材)をトランスファー成形により任意の形状に形成すると、所望の指向特性を実現できるので好ましい。なお、封止部材6の形成はトランスファー成形に限定されるものではなく、滴下法等で形成してもよい。
【0040】
封止部材6の材料としては、透光性を有する樹脂が好ましく、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、TPX樹脂、ポリノルボルネン樹脂、又はこれらの樹脂を1種類以上含むハイブリッド樹脂等が好適に用いられ、ガラスでもかまわない。特に、シリコーン樹脂は、耐熱性や耐光性に優れるので好ましい。封止部材6には、拡散剤、着色剤、蛍光体等、種々の機能を持つ粒子が添加されてもよい。具体的には、シリカ、酸化チタン、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化クロム、酸化マンガン、ガラス、カーボンブラックなどが挙げられる。蛍光体としては、前述のものを使用することができ、封止部材中だけでなく各部材どうしの間等に適宜設けてもよく、沈降させてもかまわない。
【0041】
<ワイヤ>
実施形態1の発光装置100Aは、発光素子3と第1の導電部材11とを電気的に接続する第1のワイヤ4と、発光素子3と第2の導電部材12とを電気的に接続する第2のワイヤ7とを有する。対向電極構造を有する発光素子3を用いる場合は、第2のワイヤ7は有していなくてもよい。なお、図面中の断面図では発光素子3間を接続するワイヤは省略する。
ワイヤの材料としては、金、銅、銀、白金、アルミニウム又はこれらの合金の金属線を用いることができる。特に、封止部材6からの応力で破断が生じにくく、熱抵抗等に優れる金が好ましい。また、光の取り出しを高めるために、少なくとも表面が銀で構成されていると好ましい。
第1のワイヤ4は、発光素子3のワイヤボンディング点Bと第1の導電部材11のワイヤボンディング点B’とを接続するもので、絶縁部材5の上方を延伸するように形成される。第2のワイヤ7は、発光素子3のワイヤボンディング点と第2の導電部材12のワイヤボンディング点とを接続する。第2のワイヤ7も、絶縁部材5の上方を延伸するように形成されると好ましい。
【0042】
<実施形態1の発光装置100Aの製造方法>
【0043】
以下、
図8〜11を参照しながら実施形態1の発光装置100Aの製造方法について説明する。
【0044】
(第1の工程)
まず、実施形態1の導電部材であるリードフレームを準備する。リードフレームは、正又は負の複数の第1の導電部材11及び第2の導電部材12を含んでおり、所定の位置関係を保持した状態で支持される。
第2の導電部材12は、第1の導電部材11よりも大きく形成し、上面には発光素子3を実装する台座2Aを形成する。実施形態1の台座2Aは、例えば上面視約2500×2500μmの略矩形状とすることができる。第2の導電部材12は、後述する突出部12aを有するように、台座2Aの厚み約350μm、台座2Aの周囲の厚み約250μmで形成することができる。したがって、前記条件の場合、発光素子3の実装面となる台座2Aの上面と、ワイヤボンディング点B’を有する第1の導電部材11の上面との間には、台座2Aによる約350μmの段差Sが存在する。台座2Aの側面は、傾斜を有していてもよい。なお、必要に応じて、第1の導電部材11と第2の導電部材12とを所定の位置で保持する支持基材を形成してもかまわない。
【0045】
(第2の工程)
次に、絶縁部材5で突出部12aとなる部分を被覆する。実施形態1の第2の工程では、台座2Aの第1の導電部材11側(第1のワイヤ4が跨ぐ側)の上面に、予め成形したシリコーン樹脂によるシート状樹脂(例えば、約100×2500μm、厚み約50μm、ショアA硬度41等に成形したシート状樹脂)を配置することで、
図9のように絶縁部材5を形成する。絶縁部材5を第2の導電部材12に部分的に形成する場合は、シート状樹脂を用いることが最も好ましい。すなわち、シート状樹脂は、予め所望の形状に加工することができ、接着剤等を用いることなく第2の導電部材12の所望の位置及び領域に容易に貼り付けることができる。なお、シート状樹脂は接着剤を用いずに貼り付けることが可能であるが、接着剤を用いて接着する方が、絶縁部材5を確実に所望の位置に留めることができる。その他、スプレーによる噴霧等によって、突出部12aに精度よく絶縁部材5を形成することが可能である。なお、絶縁部材5は、粘度を調整した樹脂をディスペンサ等で吐出することで形成してもよいし、予め所望の形状に加工した絶縁部材を接着剤等で接着することで形成してもよい。また、成型、転写等によって形成することもできる。その他、印刷で形成してもよく、3Dプリンタで形成してもかまわない。
実施形態1では、絶縁部材5が台座2Aの角2A’を被覆するように、シート状樹脂を台座2Aの上面端部に配置する。このように、シート状樹脂を用いると、液状樹脂では形成困難な位置に容易に絶縁部材5を形成することが可能である。
【0046】
なお、この第2の工程は、発光素子3を第2の導電部材12上に実装する工程の前後どちらに行ってもかまわない。実施形態1では、絶縁性の基板上に半導体積層構造が積層され、同一面側電極構造を有する発光素子3を用い、接着剤によって絶縁性の基板側を台座2A上に実装する。実施形態1では、例えば上面視約460×460μm、厚み約150μmの発光素子3を用いることができ、3行×3列のマトリクス状に9個実装する。
【0047】
ここで、突出部12aは、実装された発光素子3上のワイヤボンディング点Bと、第1の導電部材11上のワイヤボンディング点B’とを結んだ仮想直線Aよりも突出した部分である。したがって、発光素子3上のワイヤボンディング点Bと第1の導電部材11上のワイヤボンディング点B’との高さ方向(y軸方向)の離間距離(例えば、発光素子3の厚み約150μm+台座の厚み約350μm)と、高さ方向に対して垂直なx軸方向の離間距離(約1600μm)を算出することで、断面視において突出部12aの領域を画定することができる。すなわち、前記条件によると、実施形態1の断面視における突出部12aは、台座2Aの角2A’を含む上面12b約50μm、側面12c約50μmの領域であり、この領域のうち、少なくとも第1のワイヤ4が跨ぐ下方を被覆するようにシート状樹脂を配置する。
【0048】
(第3の工程)
第2の工程で絶縁部材5を形成した後、第3の工程において発光素子3のワイヤボンディング点Bと第1の導電部材11のワイヤボンディング点B’とを第1のワイヤ4で接続する。また、適宜発光素子3のワイヤボンディング点と第2の導電部材12のワイヤボンディング点とを第2のワイヤ7で接続する。第1のワイヤ4は、絶縁部材5の上方を跨ぐようにワイヤボンディングする。
実施形態1では、直径約25μmの金のワイヤを用いることができ、例えば
図10のように1つの行を構成する発光素子3について、一方の端の発光素子3の電極から隣接する発光素子3の同じ電極を順次ワイヤによって接続し、最後に発光素子3のワイヤボンディング点Bから第1の導電部材11のワイヤボンディング点B’に接続する。一方、発光素子3の他方の電極についても同様に順次ワイヤによって接続し、最後に発光素子3のワイヤボンディング点から第2の導電部材12のワイヤボンディング点に接続する。以上のワイヤボンディングを全ての行について行い、全ての発光素子3の正の電極及び負の電極をそれぞれ第1の導電部材11及び第2の導電部材12に電気的に接続する。これに限らず、各発光素子と各導電部材を接続することができれば、適宜自由にワイヤボンディングすることができる。
【0049】
第3の工程の後、発光素子3、第1のワイヤ4、第2のワイヤ7と、第1の導電部材11及び第2の導電部材12の一部とを被覆する封止部材6を適宜所望の形状、方法で形成する。実施形態1の封止部材6は、シリコーン樹脂を用いてトランスファー成形で形成し、鍔部を有する略ドーム状に形成する。また、導電部材に対する接触角が大きい樹脂を用い、樹脂の粘度を高くして滴下量を多くすることで、滴下法によってトランスファー成形で形成したようなドーム状の封止部材6を形成することも可能である。最後に、リードフレーム及び封止部材6を切断することで各発光装置100Aごとに個片化し、発光装置100Aを完成させる。
【0050】
以上のように発光装置100Aを製造すると、第3の工程のワイヤボンディングの際に、第2の導電部材12と第1のワイヤ4とが直接接触することを防止することができ、発光装置100Aのショートを防ぐことができる。また、さらに、絶縁部材5を第2の導電部材12の一部に容易に形成することができるため、材料コストが削減でき、さらに発光素子3からの出射光の吸収を抑えることが可能である。
なお、発光装置100Aの絶縁部材5と第1のワイヤ4とは離間しているが、第1のワイヤ4によって発光素子3と第1の導電部材11とが電気的に接続されており、第2の導電部材12と第1のワイヤ4とが電気的に絶縁されていれば、絶縁部材5と第1のワイヤ4とが接触していてもかまわない。
【0051】
≪実施形態2≫
実施形態2の発光装置200では、
図11に示されるように、突出部12aは第2の導電部材12の凹部2Bの一部である。さらに、絶縁部材5は、突出部12aの上面12b及び側面12c、すなわち凹部2Bの縁2B’付近を被覆している。それ以外は、実施形態1の発光装置100Aと略同様に構成されており、適宜説明を省略する。
【0052】
実施形態2の第1の導電部材11及び第2の導電部材12は、実施形態1と同様にリードフレームである。実施形態2では、第2の導電部材12が凹部2Bを有し、凹部2Bの底面に発光素子3が実装される。凹部2Bは、リードフレームを折り曲げ加工することで形成することができる。凹部2Bを形成することで、凹部2Bの側壁によって発光素子3からの出射光を上方へ効率的に反射させることができ、発光装置200の光の取り出しを向上させることができる。凹部2Bの側壁は、光を効率的に反射させるために、上方へ広がるように傾斜させてもよい。なお、実施形態2では、第1の導電部材11の下面と、第2の導電部材12の凹部2Bの下面とが略同一面となるように配置され、第1の導電部材11及び第2の導電部材12の間には、それらを支持する支持基材が形成されている。
【0053】
第1のワイヤ4は、凹部2B内に実装された発光素子3のワイヤボンディング点Bと、第1の導電部材11のワイヤボンディング点B’とを接続する。実施形態2では、発光素子3の実装面である凹部2Bの底面と、第1の導電部材11の上面とが略同一面上にあるため、ワイヤボンディング点B−B’間の高さの差は実質的に発光素子3の厚み分となる。しかし、第1のワイヤ4は、凹部2Bの側壁による段差Sを跨ぐ構成となるので、突出部12aと特に接触しやすくなっている。
【0054】
実施形態2の突出部12aは、仮想直線Aよりも上方(第1のワイヤ4側)に突出した凹部2Bの一部であり、凹部2Bの側壁の上面が突出部12aの上面12b、凹部2Bの側壁の側面が突出部12aの側面12cとなっている。実施形態2の絶縁部材5は、
図11のように、突出部12aの上面12b及び側面12cにわたって形成される。このように、絶縁部材5が突出部12aの上面12b及び側面12cにわたって設けられていると、第2の導電部材12と第1のワイヤ4とが直接接触しにくいので好ましい。
【0055】
<実施形態2の発光装置200の製造方法>
以下、実施形態2の発光装置200の製造方法のうち、特に第2の工程について
図12を参照しながら説明する。なお、第1の導電部材11及び第2の導電部材12を準備する第1の工程、発光素子と第1の導電部材とを接続する第3の工程については、実施形態1の発光装置100Aの製造方法と略同様とすることができるため、適宜省略する。
【0056】
実施形態2では、絶縁部材5を、突出部12aの上面12b及び側面12cにわたって形成する。このような絶縁部材5は、第2の工程において、例えば、
図12(a)のようにシート状樹脂を凹部2Bの側壁上面から凹部2Bの開口側にはみ出るようにずらして配置することで形成できる。つまり、シート状樹脂の一部を凹部2Bの側壁上面へ配置し、残りの一部を凹部2Bの開口側に突出させるように配置する。そして、凹部2Bの開口側にずらして配置した部分を、シート状樹脂の柔軟性を利用し、凹部2Bの側壁の側面を被覆するように変形させることで、突出部12aの上面12b及び側面12cを被覆する絶縁部材5を形成することができる。このように絶縁部材5を形成する場合、工程数を増やすことなく、突出部12aの上面12b及び側面12cを被覆させることができる。実施形態2のシート状樹脂は、例えば上面視約100×100μm、厚み約50μmとすることができ、ショアA硬度約41〜56程度とすることができる。
【0057】
その他、突出部12aの上面12b及び側面12cにわたって形成される絶縁部材5は、
図12(b)のようにシート状樹脂を突出部12aの上面12b(好ましくは突出部12aの上面12b端部)に配置し、熱を加えることで溶融させ、溶融した樹脂を側面12bへ垂れさせることで形成してもよい。このように形成すると、シート状樹脂を熱硬化させる工程と同時に、絶縁部材5を突出部12aの上面12b及び側面12cにわたるように形成できる。
なお、シート状樹脂の柔軟性や垂れによる絶縁部材5の形成では、
図13(a)のように絶縁部材5は側面12cと完全に密着していなくてもよい。また、
図13(b)に示される絶縁部材5のように、絶縁部材5の一部が凹部2Bの開口側へ突出するように形成しても、同様に第2の導電部材12と第1のワイヤ4とが直接接触しにくい構成とできる。
【0058】
なお、実施形態2では、絶縁部材5が突出部12aの上面12b及び側面12cを被覆する形態を示したが、実施形態1で示したように、突出部12aの上面12bのみを被覆する構成としてもよいし、側面12cのみを被覆する構成としてもよい。また、絶縁部材5が突出部12aの少なくとも一部を被覆していれば、突出部12a以外を被覆していてもかまわない。
【0059】
また、絶縁部材5は1つでも、複数形成されていてもよい。例えば、
図14(a)の絶縁部材5は一体に形成されており、凹部2Bの縁2B’全体を被覆している。そうすることで、第2の導電部材12とワイヤ4,7との接触をより確実に防ぐことができ、信頼性の高い発光装置とすることができる。さらに、発光素子3の周囲に一体の絶縁部材5を設けることで、絶縁部材5による発光素子3の出射光の吸収が略均一になりやすく、輝度むらを抑えた発光装置200とすることができる。この場合、絶縁部材5の厚みは略均一であるとより好ましい。
【0060】
このような絶縁部材5は、例えば
図14(e)のように、予め凹部2Bの開口よりも小さい孔を有し、外周が凹部2Bの開口よりも大きいシート状樹脂を成形し、縁2B’を被覆するように配置することで容易に形成することができる。孔は、凹部2Bの開口と略同心形状であると好ましい。
また、凹部2Bの開口よりも小さい孔を有し、外周が凹部2Bの開口よりも小さいシート状樹脂を成形して配置すれば、突出部12aの側面12cのみを被覆する絶縁部材5を形成することも可能である。さらに、凹部2Bの開口よりも大きい孔を有し、外周が凹部2Bの開口よりも大きいシート状樹脂を成形して配置すれば、実施形態1で示したような、突出部12aの上面12bのみを被覆する絶縁部材5を形成することも可能である。
【0061】
第1のワイヤ4及び第2のワイヤ7を有する場合、
図14(b)のように各ワイヤの下方に絶縁部材5を配置してもよい。そうすることで、実施形態1の絶縁部材5のように、一方のワイヤが跨ぐ突出部のみを被覆する場合よりも、発光装置の輝度が均一になりやすい。さらに、
図14(a)のような縁2B’を略全て被覆する絶縁部材5と比べ、少ない材料で絶縁部材5を形成することができる。また、複数の第1のワイヤ4(及び第2のワイヤ7)を有する場合、
図14(c)のように各ワイヤの下方に複数の絶縁部材5を形成してもかまわない。そうすることで、絶縁部材5の材料コストをより削減することができ、さらに、絶縁部材5による発光素子3からの出射光の吸収を抑えることができる。また、
図14(d)及び
図14(f)に示されるように、ワイヤの下方に、突出部12aの上面12bを被覆する絶縁部材5と、側面12cを被覆する絶縁部材5の両方を形成してもよい。
【0062】
≪実施形態3≫
実施形態3の発光装置300は、
図15に示されるような突出部12aを有している。実施形態3の突出部12aは、第2の導電部材12において発光素子3と第1の導電部材11との間に設けられた凸部2Cの一部である。凸部2Cは、例えば発光素子3を第2の導電部材12に実装するための接着剤が、第1の導電部材11の方向へ流れることを防ぐためのダムとして設けることができる。この場合、凸部2Cは、例えば上面視において第2の導電部材12の第1の導電部材11と向かい合う端部に沿って設けることができる。その他、突出部12aを有していれば、適宜所望の効果を有する凸部2Cを備えていてもかまわない。また、形成位置も、第2の導電部材12上であって、第1のワイヤ4が跨ぐ領域に形成されていれば特に限定されない。
突出部12aが凸部2Cから構成される場合、絶縁部材5の厚みを適宜調整し、
図15のように突出部12aの上面12bの一部に形成することで、凸部2Cと第1のワイヤ4とが直接接触することを防止できる。また、実施形態3の絶縁部材5は、
図16(a)に示されるように凸部2Cの上面及び側面の途中までを被覆するように形成してもよいし、
図16(b)のように凸部2Cを全て被覆するように形成してもよい。その他、絶縁部材5は
図16(c)のように凸部2Cの周囲を被覆するように形成することもでき、少なくとも突出部12aの一部を被覆していれば適宜自由に形成することができる。それ以外は、実施形態1及び実施形態2の発光装置100A,200と同様の構成とすることができ、適宜説明を省略する。
【0063】
≪実施形態4≫
実施形態4の発光装置400は、
図17に示されるように、封止部材6が複数の層で構成されている。それ以外は、実施形態1及び実施形態2の発光装置100A,200と同様の構成とすることができ、適宜説明を省略する。
例えば、
図17(a)に示される実施形態4の発光装置400は、発光素子3及び台座2A上を被覆する第1の封止部材6aと、第1の封止部材6a及びワイヤ4,7を被覆する第2の封止部材6bとを有している。また、
図17(b)に示される封止部材6は、第2の導電部材12で形成された凹部2Bに第1の封止部材6aが充填されており、第1の封止部材6a及びワイヤ4,7をさらに被覆する第2の封止部材6bが形成されている。
【0064】
以上のような2層構成とすると、第1の封止部材6a及び第2の封止部材6bの両方によって第1のワイヤ4が固定されるので、発光素子3からの光や熱、外力によってワイヤが撓みにくく、発光装置400のショートがより発生しにくい構成とすることができる。さらに、第1の封止部材6aのみに蛍光体を含有させると、発光素子3からの出射光の波長変換が効率的に行え、波長変換された光を指向性よく取り出すことができる。
さらに、前述のように、絶縁部材5をシート状樹脂で形成して蛍光体を含有させる(または複数のシート状樹脂の間に蛍光体を挟む)場合、第1の封止部材6aに含有させる蛍光体と、絶縁部材5に含有させる蛍光体とを異なるものにすると、発光装置の演色性を向上させることができる。例えば、台座2A上に、青色発光素子(発光波長約430〜490nm)及び/又は緑色発光素子(発光波長約490nm〜570nm)等を実装し、CASN系蛍光体を含有させたシート状樹脂を、角2A’を被覆するように配置し、YAG系蛍光体を含有する第1の封止部材6aを形成すると、演色性のよい白色を発光する発光装置とすることができる。その他、用いる発光素子の発光色、第1の封止部材6a及び絶縁部材5に含有させる蛍光体を適宜自由に選択し、所望の発光色の発光装置とすることができる。なお、複数の絶縁部材5を有する場合、各々の絶縁部材5に異なる蛍光体を含有させてもかまわない。
【0065】
また、第1の封止部材6aを滴下法で形成する場合、絶縁部材5の形成範囲を調節すれば、金属等で形成される台座2Aと、樹脂等で形成される絶縁部材5との濡れ性の違いを利用することで、第1の封止部材6aを容易に所望の位置に留めることが可能である。例えば、絶縁部材5を台座2Aの略全ての角2A’に沿って突出部12aの上面12bに形成すると、第1の封止部材6aの表面張力が働き、
図17(a)のような第1の封止部材6aを容易に形成することができる。同様に、
図17(b)に示されるように、凹部2Bの略全ての縁2B’を被覆する絶縁部材5を形成することで、第1の封止部材6を所望の位置に形成することが可能である。
以上のように、絶縁部材5によって第1の封止部材6aの外縁を画定する場合は、絶縁部材5は台座2A又は凹部2Bを囲むように一体に形成されていると好ましい。さらに、第1の封止部材6aが突出部12aを被覆していると、第1のワイヤ4が突出部12a側に撓みにくいため、絶縁部材5は突出部12aにおいて外側(又は突出部12aの外側)に形成される方が好ましい。
【0066】
なお、実施形態4では、2層で構成された封止部材6を示したが、2層以上で構成されていてもかまわない。また、
図17(c)及び
図17(d)に示されるように、絶縁部材5は突出部12aの側面12c(台座2Aの側面)に形成してもよい。このような構成とすると、滴下する第1の封止部材6aの外縁が絶縁部材5によって保持されるので、第1の封止部材6aが台座2Aの側面にまで形成される。そうすることで、第1の封止部材6aが蛍光体を含有している場合、波長変換された光が出射する領域を広くすることができる。また、
図17(e)のように突出部12aの側面12c(凹部2Bの側壁の側面)に形成すれば、第1の封止部材6aを凹部2Bから流出させることなく、確実に凹部2Bにとどめることも可能である。
【0067】
以上、本発明に係るいくつかの実施形態について例示したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意のものとすることができることは言うまでもない。