【解決手段】留置針装置1は、中空筒形状を有する軟質の外針27と、鋭利な先端を備えた硬質の内針37とを備える。内針37が外針27を貫通して外針27の先端から突出した第1状態から、外針27に対して内針37を後退させて内針37が外針27から抜き去られた第2状態へ変化させることができる。複数の目盛り50が外針27又は内針37に設けられている。
中空筒形状を有する軟質の外針と、鋭利な先端を備えた硬質の内針とを備え、前記内針が前記外針を貫通して前記外針の先端から突出した第1状態から、前記外針に対して前記内針を後退させて前記内針が前記外針から抜き去られた第2状態へ変化させることができる留置針装置であって、
複数の目盛りが前記外針又は前記内針に設けられていることを特徴とする留置針装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上記の本発明の留置針装置において、前記内針の前記先端は、前記留置針装置の長手方向に対して傾斜した刃面を備えていてもよい。この場合、前記刃面の前記長手方向に沿った長さを刃面長Laとし、前記第1状態において前記外針の前記先端から突出した前記内針の突出部の前記長手方向に沿った長さを突出長Lpとし、前記刃面長Laと前記突出長Lpとの差をトリム長Ltとしたとき、前記第1状態において、前記複数の目盛りのうち前記外針の前記先端から最も近い目盛りと前記外針の前記先端との距離Dは、前記トリム長Lt以下であることが好ましい。これにより、血管が皮膚の表面近くにある場合であっても、フラッシュバック後の追加挿入長を目盛りを用いて把握することができる。
【0014】
前記複数の目盛りが、前記長手方向に沿って一定ピッチPで配置されていてもよい。この場合、前記複数の目盛りのピッチPは、前記トリム長Lt以下であることが好ましい。これにより、フラッシュバック後の追加挿入長を目盛りを用いてより精度よく把握することができる。
【0015】
前記複数の目盛りのピッチPは、前記突出長Lt以下であることが好ましい。これにより、フラッシュバック後の追加挿入長を目盛りを用いてより精度よく把握することができる。
【0016】
前記複数の目盛りは、前記外針に設けられていることが好ましい。これにより、目盛りの視認性が向上する。
【0017】
あるいは、前記複数の目盛りは、前記内針に設けられていてもよい。この場合、前記外針を介して前記複数の目盛りを透視することができることが好ましい。これにより、目盛りが患者に直接触れる可能性が低くなるので、安全性が向上する。
【0018】
以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態を構成する部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の部材を備え得る。また、以下の各図において、実際の部材の寸法および寸法比率等は忠実に表されていない。
【0019】
図1Aは、第1状態にある、本発明の一実施形態にかかる留置針装置1の上方から見た斜視図、
図1Bはその下方から見た斜視図である。以下の説明の便宜のため、留置針装置1の長手方向をZ軸、Z軸と直交する水平方向軸及び上下方向軸をそれぞれX軸及びY軸とする直交座標系を設定する。Y軸の矢印の側(即ち、
図1A及び
図1Bの紙面の上側)を「上側」、これと反対側を「下側」と呼ぶ。但し、「水平方向」及び「上下方向」は、留置針装置1の実際の使用時の向きを意味するものではない。更に、Z軸方向を「前後方向」と呼び、Z軸の矢印の側(即ち、患者に穿刺する側、
図1A及び
図1Bの紙面の左側)を「前側」、これと反対側を「後側」と呼ぶ。
図2は、
図1Aの2−2線を含む上下方向面(YZ面)に沿った留置針装置1の矢視断面図である。
【0020】
留置針装置1は、シールド20を備える。シールド20は、シールド筒21と、シールド筒21の一端(前端)に固定された外ハブ25とを有する。シールド筒21は、内径が一定の略円筒形状を有する。シールド筒21の外ハブ25とは反対側端(後端)近傍の内周面には、周方向に連続する係止突起22が形成されている(
図2参照)。外ハブ25は略漏斗形状を有し、そのシールド筒21とは反対側端(前端)に軟質の外針27が固定されている。外針27は中空の略円筒形状を有する。シールド筒21及び外ハブ25の材料としては、特に制限はないが、硬質材料が好ましく、例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン等を用いることができる。シールド筒21及び外ハブ25が透明又は透光性を有すると、シールド20の内腔24内の液体(薬液又は血液など)や内ハブ30(
図2参照)を透視することができるので好ましい。外針27の材料としては、特に制限はないが、軟質材料が好ましく、例えば、ポリプロピレン、ポリウレタン系エラストマー、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂等を用いることができる。外針27が透明又は透光性を有すると、その内腔内の液体(薬液又は血液など)や内針37を透視することができるので好ましい。なお、外ハブ25及び外針27を、上記の軟質材料を用いて一体に形成してもよい。
【0021】
参照符号29a,29bは、X軸と略平行に延びた翼である。翼29a,29bは、略円筒形状の固定部材28に設けられている。固定部材28をシールド筒21の外周面に外装することにより、翼29a,29bがシールド20に装着されている。翼29a,29bの材料としては、特に制限はないが、軟質材料が好ましく、例えば、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリエチレン、オレフィン系又はポリスチレン系の熱可塑性エラストマー等を用いることができる。なお、翼29a,29bは、シールド20に一体に成形されていてもよい。また、翼29a,29b及び固定部材28は省略されていてもよい。
【0022】
図2に示されているように、シールド20の内腔24内には内ハブ30が、前後方向(即ち、Z軸方向)に移動可能に挿入されている。内ハブ30の前端には金属製の硬質の内針37が固定されている。内針37は略円筒形状を有し、その先端は鋭利に加工されている(後述する
図6A、
図6B参照)。内ハブ30の後端には樹脂製の柔軟なチューブ39の一端が接続されている。チューブ39の他端は、例えば輸液を行うための点滴回路に接続される。内針37とチューブ39とは、内ハブ30を前後方向に貫通する縦貫路31を介して連通している。内ハブ30を上下方向に貫通する横貫路32が、縦貫路31と連通している。内ハブ30の外周面にOリング35が装着されている。Oリング35はシールド筒21の内周面に密着し、シールド20の内腔24において、Oリング35よりも外針27側の薬液又は血液がOリング35よりもチューブ39側に漏洩するのを防ぐ。内ハブ30の材料としては、特に制限はないが、硬質材料が好ましく、例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン等を用いることができる。チューブ39の材料としては、特に制限はないが、軟質材料が好ましく、例えば、塩化ビニル等を用いることができる。
【0023】
シールド20、シールド20に固定された外針27、翼29a,29b、及び固定部材28は留置針装置1の外ユニット2を構成する。一方、内ハブ30、内針37、及びチューブ39は、留置針装置1の内ユニット3を構成する。内ユニット3は、外ユニット2に対して前後方向(即ち、Z軸方向)に移動可能に挿入されている。
【0024】
図1A、
図1B、
図2では、内ハブ30は、シールド20の内腔24内に最も深く(即ち、可能な限り前側に)押し込まれている。このとき内ハブ30に保持された内針37は外針27を貫通し、その先端は外針27の先端から外部に突出している。外ユニット2に対する内ユニット3のこの位置を「第1位置」と呼び、内ユニット3が第1位置にある状態を「第1状態」と呼ぶ。
【0025】
内ユニット3を第1位置に維持するために、ストッパー40が用いられる。
図3はストッパー70の上方から見た斜視図である。ストッパー40は、基部41、挿入部42、及び、一対の固定部43を備える。
【0026】
基部41の後ろ側の部分は、その後端から形成されたスリット46によって一対の挟持部45に分割されている。一対の挟持部45は、X軸方向に対向し、互いに接近する向きに弾性的に変位することができる。基部41の上面には、挿入部42に近づくにしたがって低くなる傾斜面47が形成されている。
【0027】
挿入部42及び一対の固定部43は、基部41から前側に向かって前後方向に沿って延びている。挿入部42の、その長手方向に垂直な面(即ち、XY面に平行な面)に沿った断面は、下側が開放した略U字形状を有する。挿入部42をX軸方向に挟むように一対の固定部43が配置されている。固定部43は、YZ面と平行な主面を有する板状体である。
【0028】
図1A、
図1B、
図2に示されているように、シールド筒21の後端から、ストッパー40の挿入部42をシールド20の内腔24内に挿入する。ストッパー40をシールド20内に可能なかぎり深く挿入すると、挿入部42の先端が内ハブ30の後端に衝突し、内ハブ30をシールド20の内腔24内に深く押し込むことができる。ストッパー40の一対の固定部43は、シールド20の両側に位置し、その先端は翼29a,29bの位置まで達している。基部41は、シールド20よりも後ろ側に露出する。
【0029】
図4は、内ユニット3が「第2位置」に移動した留置針装置1の上方から見た斜視図である。
図5は、
図4の5−5線を含む上下方向面(YZ面)に沿った留置針装置1の矢視断面図である。
【0030】
図5に示されているように、内ユニット3が第2位置にあるとき、内ハブ30に保持された内針37は外針27から抜き去られ、シールド20の内腔24内に収納されている。内ハブ30の外周面に形成された嵌合溝とシールド筒21の係止突起22とが嵌合している。ストッパー40は、シールド20から抜き出され取り除かれている。内ユニット3が第2位置にある状態を「第2状態」と呼ぶ。
【0031】
以上のように、本実施形態の留置針装置1は、内針37が外針27を貫通して外針27の先端から突出した第1状態(
図1A、
図1B、
図2)から、内ユニット3を外ユニット2に対して後方に移動させることにより、外針27に対して内針37を後退させて内針37が外針27から抜き去られた第2状態(
図4、
図5)へ、変化させることができる。
【0032】
図6Aは、第1状態にある留置針装置1において、外針27から突出した内針37及びその近傍を示した拡大斜視図であり、
図6Bはその拡大側面図である。円筒形状の内針37が、その長手方向(前後方向)に対して斜めに切断されており、これにより内針37の先端に傾斜した刃面37aが形成されている。刃面37aは、内針37をその長手方向に貫通する流路37bを取り囲み、上側を向いている。本実施形態では、刃面37aは単一の平面で構成されているが、本発明はこれに限定されず、複数の面(平面及び曲面のいずれでもよい)を組み合わせて構成されていてもよい。
【0033】
刃面37aの全体が露出するように、内針37が外針27の先端27tから突出している。外針27の外周面の上側部分には、前後方向に沿って一定ピッチで複数の目盛り(またはマーキング)50が形成されている。
【0034】
以上のように構成された本実施形態の留置針装置1の使用方法を説明する。
【0035】
最初に、内針37が外針27の先端27tから突出した第1状態(
図1A、
図1B、
図2、
図6A、
図6B参照)で、内針37及び外針27を患者の血管に穿刺する(穿刺処置)。穿刺する際に外針27に作用する後ろ向きの反力によって内ユニット3が外ユニット2に対して後方に移動しないように、穿刺処置はストッパー40を保持しながら行う。
【0036】
図7Aは、内針37が血管60に穿刺された状態を示した断面図である。外針27は、まだ血管60には穿刺されていない。内針37の刃面37aが血管60内にあるので、血液が内針37を通ってシールド20(
図1A参照)内に流入する。このように血液が留置針装置1内に流入する現象を「フラッシュバック」という。施術者は、フラッシュバックを視認することにより、内針37が血管60内に進入したことを認識することができる。更に、施術者は、このときの患者の皮膚61に対する目盛り50の相対的位置を確認する。
【0037】
フラッシュバックを確認した後、外針27及び内針37を患者に更にわずかに挿入する(追加挿入)。即ち、
図7Bに示すように、外針27の先端27tを血管60内に進入させる。
【0038】
次いで、内ユニット3を後退させる(後退処置)。即ち、シールド20からチューブ39を引き出すことで、チューブ39の前端に接続された内ハブ30及び内ハブ30に保持された内針37を含む内ユニット3を外ユニット2に対して後方に移動させる。内ユニット3の移動にともなって、ストッパー40も後方に移動する。内針37が外針27から抜き去られた第2状態(
図4、
図5参照)に至ると、
図7Cに示すように、血管60には外針27のみが穿刺された状態となる。この状態で翼29a,29b(
図1A参照)の上から粘着テープを患者の皮膚に貼り付け、留置針装置1を患者に固定する。外針27のみが血管60を穿刺した状態で留置される。柔軟な外針27内に硬質の内針37が存在しないので、患者が動くなどにより、患者に対する留置針装置1の姿勢が仮に変化しても、外針27が患者の血管60を傷付けることはない。外針27を介して、輸液や血液透析などの処置を行う。
【0039】
必要な処置が終了すると、翼29a,29bを固定する粘着テープを患者から剥がし、外針27を患者から引き抜く。
【0040】
上述したように、留置針装置1の穿刺処置では、フラッシュバックを確認(
図7A参照)した後、外針27及び内針37を患者に追加挿入して、外針27を血管60内に進入させる必要がある(
図7B参照)。本発明の留置針装置1では、外針27に複数の目盛り50が形成されている。従って、フラッシュバックを確認した
図7Aの状態において、患者の皮膚61に対する目盛り50の相対的位置を確認することができる。その後、目盛り50を見ながら、外針27及び内針37を患者に追加挿入することができる。従って、フラッシュバック後の追加挿入長を、目盛り50を用いて正確に把握することができる。施術者は、留置針装置1を患者に穿刺する前に、初期状態での内針37の外針27からの突出状態(
図6A、
図6B)を確認し、適切な追加挿入長を目盛り50のピッチPを基準として予め決定することができる。例えば、適切な追加挿入長をピッチPの3倍にする等と決定する。施術者は、フラッシュバックを確認した後、目盛り50を見ながらこの追加挿入長分だけ外針27及び内針37を患者に追加挿入すればよい。
【0041】
従来の留置針装置には目盛り50が設けられていなかった。従って、フラッシュバック後の追加挿入長を、患者に対する留置針装置の移動量で判断するしか方法がなかった。追加挿入長を把握するための客観的な基準が存在しないので、追加挿入長が適切であるか否かを正確に判断することは困難であった。追加挿入長が小さすぎると、外針27の先端27tが血管60内に進入しない。このような状態で第2状態に移行すると、外針27と血管60とが連通していないので、血液や薬液の漏れが生じる。一方、追加挿入長が大きすぎると、内針37の先端が血管60内壁を傷付ける可能性が高くなる。
【0042】
これに対して、本実施形態では、外針27に追加挿入長を把握するための目盛り50が設けられている。従って、目盛り50を見ながら追加挿入することで、施術者の経験や勘に頼ることなく、フラッシュバック後に外針27及び内針37を正確に追加挿入することができる。
【0043】
第1状態(
図6A、
図6B参照)での内針37の刃面37aや突出部37pの寸法が留置針装置ごとに異なっていても、留置針装置1を患者に穿刺する前に、刃面37a及び突出部37pに基づいて適切な追加挿入長を目盛り50のピッチPを基準として予め決定することができる。従って、外針27を患者の血管60に留置する処置を、留置針装置の種類に関わらず、常に容易且つ正確に行うことができる。
【0044】
目盛り50が外針27に設けられているので、本発明の留置針装置1の留置処置の作業性は、従来の留置針装置と何ら変わらない。本実施形態とは異なり、例えば、目盛り50が付された棒状の目盛板を、外針27及び内針37とは別に、これらと平行に設けた場合、留置針装置を患者に穿刺する際に当該目盛板が患者の皮膚に衝突する、当該目盛板によって穿刺位置が隠れてしまう、などの問題が生じうる。本実施形態では、目盛り50を、新たな部材を用いることなく、外針27に設けているので、留置針装置1の留置処置の作業性は良好である。また、留置針装置1を構成する部品数が増加しないので、留置針装置1の構成が複雑化することがない。
【0045】
図6Bに示すように、刃面37aの前後方向(Z軸方向)に沿った長さを刃面長La、第1状態において、外針27の先端27tから突出した内針37の突出部37pの前後方向に沿った長さを突出長Lp、刃面長Laと突出長Lpとの差(Lp−La)をトリム長Ltとする。また、複数の目盛り50のうち外針27の先端27tに最も近い目盛り50aと、外針27の先端27tとの距離をD、複数の目盛り50のピッチをPとする。
【0046】
本発明では、第1状態において、距離Dは、トリム長Lt以下である(D≦Lt)ことが好ましい。これにより、血管60が皮膚61の表面近くにある場合であっても、フラッシュバックを確認後の追加挿入長を目盛り50を用いて把握することができる。
【0047】
また、複数の目盛り50のピッチPは、トリム長Lt以下である(P≦Lt)ことが好ましい。ピッチPがトリム長Ltより大きいと、複数の目盛り50を用いた追加挿入長を把握する精度が低下する。ピッチPを、トリム長Ltの整数分の1(例えば、P=Lt、P=Lt/2など)に設定することができる。これにより、ピッチPとトリム長Ltとの関係を理解しやすくなるので、複数の目盛り50を用いた追加挿入長の把握が容易になる。なお、ピッチPがトリム長Ltより小さすぎると、追加挿入長を把握するために数える目盛り50の数が増えるので、目盛り50を用いて追加挿入長を把握する処置が煩雑になり、また、追加挿入長を見誤る可能性が高くなる。従って、ピッチPは、トリム長Ltの10分の1以上、更には5分の1以上であることが好ましい。
【0048】
複数の目盛り50のピッチPは、突出長Lp以下である(P≦Lp)ことが好ましく、更には、突出長Lpの半分以下である(P≦Lp/2)ことが好ましい。ピッチPが、この数値範囲より大きいと、複数の目盛り50を用いた追加挿入長を把握する精度が低下する。
【0049】
上記の実施形態は例示にすぎない。本発明は上記の実施形態に限定されず、適宜変更することができる。
【0050】
上記の実施形態では、目盛り50は、外針27に設けられていた。これは、目盛り50の視認性向上に有利である。但し、外針27が透明性を有する場合には、内針37の外表面に設けることもできる。この場合、施術者は、外針27を介して内針37上の目盛りを透視することができる。また、目盛りを内針37に設けた場合、上記の「外針27の先端27tに最も近い目盛り50a」は、第1状態において、先端27tに対して後ろ側(シールド20側)にある目盛りのうち、先端27tに最も近い目盛りが該当する。目盛りを内針37上に設けると、目盛りが外針27で覆われるので、目盛りが患者に直接触れる可能性が低下する。その結果、安全性が向上する。
【0051】
目盛り50の形状は、任意である。上記の実施形態では、周方向に延びた所定長さの線であったが、周方向に連続する環状の線であってもよい。あるいは、点、円形、三角形など任意の形状であってもよい。目盛りが数字を含んでいてもよい。更に、複数の目盛り50の全てが同一形状及び同一サイズを有している必要はない。例えば、形状またはサイズが異なる複数種類の目盛りが、前後方向に沿って規則的に配置されていてもよい。
【0052】
目盛り50の形成方法は任意である。上記の実施形態では、目盛り50は、黒色系のインクを印刷により塗布することで形成されていた。但し、これに限定されず、例えば外針27または内針37の外周面に形成した凸形状または凹形状を目盛りとしてもよい。
【0053】
留置針装置の構成は、上記の実施形態に限定されない。例えば、ストッパー40が省略されていてもよい。内ユニット3が後退位置にあるとき、内ハブ30とシールド20との嵌合構造は、上記以外の構成を有していてもよい。あるいは、当該嵌合構造を省略してもよい。
【0054】
上記の実施形態では、本発明の留置針装置を、特許文献1〜3に記載されているような、留置針装置を介して患者の血管に連通されるチューブが、内針を保持する内ハブに接続されるタイプ(「閉鎖型」と呼ばれることがある)を用いて説明した。しかしながら、本発明の留置針装置はこれに限定されない。例えば、特許文献4〜7に記載されているような、当該チューブが、内針を保持する内ハブに接続されないタイプ(「開放型」と呼ばれることがある)の留置針装置に本発明を適用することができる。このほか、本発明は、任意の留置針装置に適用することができる。