【解決手段】熱硬化性樹脂を必須成分とする樹脂成分(a1)、平均粒子径5μm以下の無機充填材(a2)、平均粒子径1μm以下のカーボンブラック(a3)、重合開始剤および増粘剤を含有するコンパウンド組成物(A)を、長さ5〜60mmのガラス繊維(B)に含浸させて得られた加熱圧縮成形用成形材料であって、これらの含有量が、前記樹脂成分(a1)100質量部に対して、前記無機充填材(a2)が50〜300質量部の範囲であり、前記カーボンブラック(a3)が0.5〜5質量部の範囲であり、前記ガラス繊維(B)が25〜125質量部の範囲であることを特徴とする加熱圧縮成形用成形材料を用いる。
熱硬化性樹脂を必須成分とする樹脂成分(a1)、平均粒子径5μm以下の無機充填材(a2)、平均粒子径1μm以下のカーボンブラック(a3)、重合開始剤および増粘剤を含有するコンパウンド組成物(A)を、長さ5〜60mmのガラス繊維(B)に含浸させて得られた加熱圧縮成形用成形材料であって、これらの含有量が、前記樹脂成分(a1)100質量部に対して、前記無機充填材(a2)が50〜300質量部の範囲であり、前記カーボンブラック(a3)が0.5〜5質量部の範囲であり、前記ガラス繊維(B)が25〜125質量部の範囲であることを特徴とする加熱圧縮成形用成形材料。
シートモールディングコンパウンド(SMC)、またはバルクモールディングコンプパウンド(BMC)の加熱圧縮成形法により得られたものである請求項4記載の成形品。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の加熱圧縮用成形材料は、熱硬化性樹脂を必須成分とする樹脂成分(a1)、平均粒子径5μm以下の無機充填材(a2)、平均粒子径1μm以下のカーボンブラック(a3)、重合開始剤および増粘剤を含有するコンパウンド組成物(A)を、5〜60mmのガラス繊維(B)に含浸させて得られる加熱成形用成形材料であって、これらの含有量が、前記樹脂成分(a1)100質量部に対して、前記無機充填材(a2)が50〜300質量部の範囲であり、前記カーボンブラック(a3)が0.5〜5質量部の範囲であり、前記ガラス繊維(B)が25〜125質量部の範囲であるものである。
【0011】
まず、前記コンパウンド組成物(A)について説明する。前記コンパウンド組成物(A)は、熱硬化性樹脂を必須成分とする樹脂成分(a1)、平均粒子径5μm以下の無機充填材(a2)、平均粒子径1μm以下のカーボンブラック(a3)、重合開始剤および増粘剤を含有するものである。
【0012】
前記樹脂成分(a1)は、熱硬化性樹脂を必須成分とするものである。前記熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂等が挙げられ、これらの中でも、加熱圧縮成形性が良好であることから、不飽和ポリエステル樹脂又はビニルエステル樹脂が好ましい。なお、これらの熱硬化性樹脂は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0013】
また、前記樹脂成分(a1)中には、低収縮化剤として熱可塑性樹脂を含有することができる。前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ナイロン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、およびこれらを共重合等により変性させたものが挙げられる。これら熱可塑性樹脂を低収縮化剤として使用する場合には、なかでも、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
【0014】
前記樹脂成分(a1)中の前記熱硬化性樹脂の質量割合は、加熱圧縮成形性及び得られる成形品の外観が向上することから、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。
【0015】
前記無機充填材(a2)は、その平均粒子径が5μmを越えると、前記コンパウンド組成物(A)中および本発明の加熱圧縮成形用成形材料中で、前記カーボンブラック(a3)の分散性が悪くなり、得られる成形品の導電性が低下することから、平均粒子径が5μm以下であることが重要であり、好ましくは3μm以下である。
【0016】
前記無機充填材(a2)としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、マイカ、タルク、カオリン、クレー、セライト、アスベスト、バーライト、バライタ、シリカ、ケイ砂、ドロマイト石灰石、石こう、アルミニウム微粉、中空バルーン、アルミナ、ガラス粉、水酸化アルミニウム、寒水石、酸化ジルコニウム、三酸化アンチモン、酸化チタン、二酸化モリブデン、鉄粉などが挙げられる。これらの無機充填材(a2)は、本発明の成形材料中およびその成形品中で、前記カーボンブラック(a3)が、前記ガラス繊維(B)に沿って配向させる効果があり、カーボンブラック(a3)の添加量が少ない場合であっても、得られる成形品が優れた導電性を有すると考えられる。
【0017】
また、前記コンパウンド組成物(A)中の前記無機充填材(a2)の含有量は、導電性に優れる成形品が得られることから、前記樹脂成分(a1)100質量部に対して、25〜300質量部の範囲である。前記範囲より少ないと、得られる成形品の導電性が劣り、前記範囲を超えると加熱圧縮成形性が悪くなる。
【0018】
前記カーボンブラック(a3)は、導電性に優れる成形品が得られることから、平均粒子径が1μm以下のものであり、100nm以下のものであることが好ましい。
【0019】
前記カーボンブラック(a3)としては、例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ガスブラック、アントラセンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンカーボンブラック、ランプブラック等が挙げられるが、これらのなかでも、得られる成形品の導電性が優れることから、アセチレンブラック、ケッチェンカーボンブラックが好ましい。なお、これらのカーボンブラック(a3)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0020】
また、前記コンパウンド組成物(A)中の前記カーボンブラック(a3)の含有量は、前記樹脂成分(a1)100質量部に対して、0.5〜5質量部の範囲である。前記範囲より少ないと、得られる成形品の導電性が不十分となる。逆に、前記範囲より多くすると、後述のコンパウンド組成物(A)の粘度が著しく高くなるため、得られる成形品の外観が悪くなるとともに、導電性が低下する。
【0021】
前記重合開始剤は、特に限定されないが、有機過酸化物が好ましく、例えば、ジアシルパーオキサイド化合物、パーオキシエステル化合物、ハイドロパーオキサイド化合物、ケトンパーオキサイド化合物、アルキルパーエステル化合物、パーカーボネート化合物等が挙げられ、成形条件に応じて適宜選択できる。これらの重合開始剤は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0022】
また、前記コンパウンド組成物(A)中の前記重合開始剤の含有量は、本発明の目的を達成する範囲であれば特に限定されるものではないが、本発明の成形材料の硬化特性と保存安定性が共に優れることから、前記樹脂成分(a1)に対して、0.3〜3質量%の範囲が好ましい。
【0023】
前記増粘剤は、特に限定されないが、例えば、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム等の金属酸化物や金属水酸化物、イソシアネート化合物等が挙げられ、本発明の加熱圧縮成形材料の取り扱い性によって適宜選択肢でき、成形材料の硬さは添加量で調整できる。これらの増粘剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。これらの中でも、前記熱硬化性樹脂として、不飽和ポリエステル樹脂を用いる場合は、酸化マグネシウムが好ましく、前記熱硬化性樹脂として、ビニルエステル樹脂を用いる場合は、イソシアネート化合物が好ましい。
【0024】
また、前記不飽和ポリエステル中の前記酸化マグネシウムの含有量は、前記樹脂成分(a1)に対して、0.3〜3質量%の範囲が好ましい。また、イソシアネート化合物の含有量としては、前記ビニルエステル樹脂中の水酸基と、前記イソシアネート化合物中のモル比が、0.2〜0.8の範囲内であることが好ましい。
【0025】
前記コンパウンド組成物(A)には、前記樹脂成分(a1)、前記無機充填材(a2)、前記カーボンブラック(a3)、前記重合開始剤および前記増粘剤以外の成分として、重合禁止剤、離型剤、顔料、減粘剤、老化防止剤、可塑剤、難燃剤、抗菌剤、安定剤、補強材、光硬化剤等を含有することができる。
【0026】
前記重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、トルハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、ナフテン酸銅、塩化銅等が挙げられる。これらの重合禁止剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。これらの重合禁止剤は、前記コンパウンド組成物(A)中に、10〜1000ppm含有することが好ましい。
【0027】
前記離型剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、カルナバワックスなどが挙げられる。好ましくは、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、カルナバワックス等が挙げられる。これらの離型剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0028】
前記ガラス繊維(B)は、5〜60mm長さのものであり、例えば、ロービングと呼ばれる長繊維をカットした繊維、予め短くカットされたチョップドストランドと呼ばれる短繊維等が挙げられる。前記ガラス繊維(B)の長さが、前記範囲より短いと得られる成形品の導電性が十分発現せず、前記範囲を越えると加熱圧縮成形時にガラス繊維(B)の流動性が悪くなるため、得られる成形品の導電性が部位によって変化し、均一で安定した導電性を得られない。
【0029】
前記ガラス繊維(B)の種類としては、例えば、Eガラス、Cガラス、Rガラス、ARガラス、または低ホウ素含有率ガラス等を、繊維径10〜25μmで、線密度1000〜5000g/km(TEX)で集束したものなどを用いることができる。また、集束剤(サイジング剤)としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂と、シランカップリング剤とを併用することが好ましい。
【0030】
本発明の加熱圧縮成形用成形材料は、前記コンパウンド組成物(A)を、前記ガラス繊維(B)に含浸させて得られるものであるが、加熱圧縮成形用成形材料中の前記ガラス繊維(B)の含有率は、前記樹脂成分(a1)100質量部に対して、25〜125質量部である。前記ガラス繊維(B)の含有率が、前記範囲より小さいと、得られる成形品の導電性が不十分となり、前記範囲より大きいと、得られる成形品の表面品質が低下する。
【0031】
本発明の加熱圧縮成形用成形材料中およびその成形品中において、前記カーボンブラック(a3)は、前記ガラス繊維(B)に沿って配向しており、優れた導電性を有すると考えられる。すなわち本発明では、ガラス繊維(B)と、カーボンブラック(a3)には適切な比率があり、より優れた導電性を有する成形品が得られることから、前記ガラス繊維(B)1質量部に対して、前記カーボンブラック(a3)が0.015〜0.06質量部の範囲が好ましく、0.03〜0.06の範囲がより好ましい。
【0032】
また、本発明の加熱成形用成形材料は、成形材料としての取り扱いや成形性の観点から、シートモールディングコンパウンド(以下、SMCと略記する。)又はバルクモールディングコンパウンド(以下、BMCと略記する。)であることが好ましい。
【0033】
前記SMCの製造方法としては、通常のロール、インターミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダー、押し出し機などの混合機を用いて、前記樹脂組成物(a1)、前記無機充填材(a2)及び前記カーボンブラック(a3)等の樹脂コンパウンド(D)の各成分を混合分散し、上下に設置されたキャリアフィルムに均一な厚さになるように塗布し、所定の長さにカットされたガラス繊維(B)を、前記上下に設置されたキャリアフィルムの樹脂コンパウンドに挟み込み、次いで、全体を含浸ロールの間に通して、圧力を加えて繊維補強材に樹脂コンパウンドを含浸させた後、ロール状に巻き取るか又はつづら折りに畳んでSMCが得られる。必要に応じて、この後に熟成等を行う。増粘剤を配合した場合は、25〜60℃の温度で熟成することが好ましい。キャリアフィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等を用いることができる。
【0034】
前記BMCの製造方法としては、前記SMCの製造方法と同様に、通常のロール、インターミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダー、押し出し機などの混合機を用いて、前記樹脂組成物(a1)、前記無機充填材(a2)、前記カーボンブラック(a3)、重合開始剤及び増粘剤を含む前記コンパウンド組成物(A)を分散させた後、最後に前記ガラス繊維(B)を混合・分散させる方法が好ましい。BMCの場合、前記ガラス繊維(B)としては、分散性の観点から比較的短繊維を使用するのが好ましく、例えば、5〜13mm長さの範囲である。また、SMCと同様に増粘剤を混合した場合は、25〜60℃の温度で熟成することが好ましい。
【0035】
本発明の成形品は、前記加熱成形用成形材料より得られるが、成形材料としての取り扱いや成形性の観点から、その成形方法としては、SMC又はBMCの加熱圧縮成形法が好ましい。
【0036】
前記加熱圧縮成形法としては、例えば、SMC、BMC等の成形材料を所定量計量し、予め110℃〜180℃に加熱した金型に投入し、圧縮成形機にて型締めを行い、成形材料を賦型させ、0.1〜20MPaの成形圧力を保持することによって、成形材料を硬化させ、その後成形品を取り出し成形品を得る製造方法が用いられる。この場合シェアエッジを有する金型内で金型温度120℃〜160℃にて、成形品の厚さ1mm当たり1〜2分間という規定の時間、1〜10MPaの成形圧力を保持し、加熱圧縮成形する製造方法が好ましい。
【0037】
本発明の成形品は、表面抵抗値が10
9Ω/□未満であることが好ましく、体積抵抗値が10
12Ω・cm未満であることが好ましい。
【0038】
本発明の加熱圧縮成形用成形材料から得られる成形品は、優れた導電性を有することから、電子部品用トレー、電気回路ボックス、圧力容器、クリーンルーム部材等の静電気防止部材、静電塗装用自動車部材、電磁波シールド部材、面状発熱部材等に好適に用いることができる。
【実施例】
【0039】
以下に本発明を具体的な実施例を挙げてより詳細に説明する。
【0040】
(実施例1:加熱圧縮成形用成形材料(1)の製造及び評価)
不飽和ポリエステル樹脂の61質量%のスチレン溶液(ディーエイチ・マテリアル株式会社製「PS−276」)131質量部およびポリスチレン樹脂の35質量%のスチレン溶液(ディーエイチ・マテリアル株式会社製「PS−954N」)57質量部、炭酸カルシウム100質量部(平均粒子径1.8μm)、ケッチェンブラック(ライオン株式会社製「ライオナイトCB」、平均粒子径39.5nm)1.5質量部、重合開始剤(化薬アクゾ株式会社製「カヤカルボン BIC−75」)1質量部、及び酸化マグネシウム1.5質量部をディゾルバーにより混合し、コンパウンド組成物(A−1)を得た。次いで、得られたコンパウンド組成物(A−1)を上下に設置された2枚のポリプロピレン製キャリアフィルム上に均一な厚さになるように塗布し、25.4mmにカットしたガラス繊維(日東紡績株式会社製「PB−549」、以下「ガラス繊維(B−1)」と略記する。)68質量部を前記上下に設置されたキャリアフィルム上の樹脂コンパウンドの間に挟み込み、全体を含浸ロールの間に通して圧力を加えて樹脂コンパウンド(1)をガラス繊維に含浸させた後、45℃で24時間養生し、ガラス繊維含有率が25質量%の加熱圧縮成形用成形材料(SMC)(1)を得た。
【0041】
上記で得られた加熱圧縮成形用成形材料(1)を用いて、下記の成形品の評価を行った。
【0042】
[成形品の作製]
上記で得られた加熱圧縮成形用成形材料(1)640gを300×300mmの金型を用いて加熱圧縮成形し、厚さ4mmの平板状の成形品(1)を得た。加熱圧縮成形条件は、金型温度(下)130℃/(上)145℃、キープ時間6分間、圧力5MPaであった。
【0043】
[成形品の導電性の評価]
上記で得られた成形品(1)を、JIS K 6911に準じ、23℃、50%RHの恒温恒湿室に24時間静置した後、株式会社アドバンテスト製のデジタル超高抵抗計R8340A及びレジスティビティ・チェンバR12704Aを用いて、印加電圧5V、印加時間1分間、測定時間1分間で表面抵抗値および体積抵抗値を測定し、導電性を評価した。
【0044】
[成形品の外観の評価]
上記で得られた成形品(1)の表面を目視で確認し、下記の基準により、外観を評価した。
○:表面のうねりが小さい
×:表面のうねりが大きい
【0045】
(実施例2:加熱圧縮成形用成形材料(2)の製造)
実施例1で用いたケッチェンブラックの量を1.5質量部から、2.5質量部に変更した以外は、実施例1と同様に操作することにより、ガラス繊維含有率が25質量%の加熱圧縮成形用成形材料(2)を得た。
【0046】
(実施例3:加熱圧縮成形用成形材料(3)の製造)
実施例1で用いたケッチェンブラックの量を1.5質量部から3.8質量部に変更した以外は、実施例1と同様に操作することによりガラス繊維含有率が25質量%の加熱圧縮成形用成形材料(3)を得た。
【0047】
(実施例4:加熱圧縮成形用成形材料(4)の製造)
実施例1で用いたガラス繊維の量を68質量部から31質量部に変更した以外は、実施例1と同様に操作することによりガラス繊維含有率が13質量%の加熱圧縮成形用成形材料(4)を得た。
【0048】
(実施例5:加熱圧縮成形用成形材料(5)の製造)
実施例1で用いたガラス繊維の量を68質量部から51質量部に変更した以外は、実施例1と同様に操作することによりガラス繊維含有率が20質量%の加熱圧縮成形用成形材料(5)を得た。
【0049】
(実施例6:加熱圧縮成形用成形材料(6)の製造)
実施例1で用いたガラス繊維の量を68質量部から88質量部に変更した以外は、実施例1と同様に操作することによりガラス繊維含有率が30質量%の加熱圧縮成形用成形材料(6)を得た。
【0050】
(加熱圧縮成形用成形材料(2)〜(6)の評価)
実施例1で用いた加熱圧縮成形用成形材料(1)を、上記で得られた加熱圧縮成形用成形材料(2)〜(6)に変更した以外は、実施例1と同様に操作することにより、成形品(2)〜(6)を作製して、成形品の導電性及び外観を評価した。
【0051】
(比較例1:加熱圧縮成形用成形材料(R−1)の製造)
実施例1で用いたケッチェンブラック1.5質量部を添加しなかった以外は、実施例1と同様に操作することにより、ガラス繊維含有率が25質量%の加熱圧縮成形用成形材料(R−1)を得た。
【0052】
(比較例2:加熱圧縮成形用成形材料(R−2)の製造)
実施例1で用いたガラス繊維68質量部を添加しなかった以外は、実施例1と同様に操作することにより、ガラス繊維含有率が0質量%の加熱圧縮成形用成形材料(R−2)を得た。
【0053】
(比較例3:加熱圧縮成形用成形材料(R−3)の製造)
実施例1で用いたガラス繊維の量を68質量部から23質量部に変更した以外は、実施例1と同様に操作することによりガラス繊維含有率が10質量%の加熱圧縮成形用成形材料(R−3)を得た。
【0054】
(比較例4:加熱圧縮成形用成形材料(R−4)の製造)
実施例1で用いたガラス繊維の量を68質量部から136質量部に変更した以外は、実施例1と同様に操作することによりガラス繊維含有率が40質量%の加熱圧縮成形用成形材料(R−4)を得た。
【0055】
(比較例5:加熱圧縮成形用成形材料(R−5)の製造)
実施例1で用いた炭酸カルシウム100質量部を添加しなかったこと及びガラス繊維の量を68質量部から35質量部に変更した以外は、実施例1と同様に操作することによりガラス繊維含有率が25質量%の加熱圧縮成形用成形材料(R−5)を得た。
【0056】
(加熱圧縮成形用成形材料(R−1)〜(R−5)の評価)
実施例1の加熱圧縮成形用成形材料(1)を、上記で得られた加熱圧縮成形用成形材料(R−1)〜(R−5)に変更した以外は、実施例1と同様に操作することにより、成形品(R−1)〜(R−5)を作製して、成形品の導電性及び外観を評価した。
【0057】
上記で得られた加熱圧縮成形用成形材料(1)〜(6)の組成及び評価結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
上記で得られた加熱圧縮成形用成形材料(R−1)〜(R−5)の組成及び評価結果を表2に示す。
【0060】
【表2】
【0061】
実施例1〜6の本発明の加熱圧縮成形用成形材料から得られる成形品は、表面抵抗値が10
10Ω/□未満であり、且つ体積抵抗値が10
13Ω・cm未満であったことから、優れた導電性を有することが確認された。また、成形品の外観も良好であることが確認された。
【0062】
一方、比較例1は、加熱圧縮成形用成形材料中にカーボンブラックを含有しない例であるが、得られる成形品の表面抵抗値及び体積抵抗値が高く、導電性に劣ることが確認された。
【0063】
比較例2は、加熱圧縮成形用成形材料中にガラス繊維を含有しない例であるが、得られる成形品の表面抵抗値及び体積抵抗値が高く、導電性に劣ることが確認された。
【0064】
比較例3は、加熱圧縮成形用成形材料中の樹脂成分100質量部に対するガラス繊維の含有量が、本発明の下限である25質量部未満の例であるが、得られる成形品の表面抵抗値及び体積抵抗値が高く、導電性に劣ることが確認された。
【0065】
比較例4は、加熱圧縮成形用成形材料中の樹脂成分100質量部に対するガラス繊維の含有量が、本発明の上限である125質量部を超える例であるが、得られる成形品の外観が不良であることが確認された。
【0066】
比較例5は、加熱圧縮成形用成形材料中に無機充填剤を含有しない例であるが、得られる成形品の表面抵抗値が高く、導電性に劣ることが確認された。