【解決手段】基板と、前記基板上に実装された発光素子と、前記発光素子の上面に接着材を介して接着された第1透光性部材と、前記第1透光性部材の上面に載置された第2透光性部材と、を備え、前記第1透光性部材の下面周縁は平面視において前記発光素子の上面周縁よりも内側に位置し、前記接着材は、前記発光素子の上面から前記第2透光性部材の下面まで前記第1透光性部材の側面を覆いつつ延在して設けられるとともに、前記基板から離間して配置される発光装置。
発光素子の上面周縁よりも内側に下面周縁を平面視において位置させることができる第1透光性部材を準備し、前記第1透光性部材の下面周縁が前記発光素子の上面周縁よりも平面視において内側に位置するよう前記発光素子の上面に接着材を介して前記第1透光性部材を配置する工程と、
前記第1透光性部材の上面に前記接着材を介して第2透光性部材を配置する工程と、
前記接着材を硬化する工程と、
を有することを特徴とする発光装置の製造方法。
前記第1透光性部材と前記第2透光性部材とは前記第1透光性部材の下面と前記発光素子の上面を接合する接着材とは別体の接着材により接合されることを特徴とする請求項16に記載の発光装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態1に係る発光装置100]
図1は、実施形態1に係る発光装置の模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)中のA−A断面を示す図である。
【0009】
図1に示すように、実施形態1に係る発光装置100は、基板10と、基板10上に実装された発光素子20と、発光素子20の上面に接着材30を介して接着された第1透光性部材40と、第1透光性部材40の上面に載置された第2透光性部材50と、を備え、第1透光性部材40の下面周縁は平面視において発光素子20の上面周縁よりも内側に位置し、接着材30は、発光素子20の上面から第2透光性部材50の下面まで第1透光性部材40の側面を覆いつつ延在して設けられるとともに、基板10から離間して配置される発光装置である。
【0011】
(基板10)
基板10には、ガラスエポキシ、樹脂、セラミックス(HTCC、LTCC)などの絶縁性の基板などを用いることができる。なかでも、耐熱性及び耐候性の高いセラミックスを利用したものが好ましい。セラミックス材料としては、アルミナ、窒化アルミニウム、ムライトなどが挙げられ、これらのセラミックス材料に、例えば、BTレジン、ガラスエポキシ、エポキシ系樹脂等の絶縁性材料を組み合わせても良い。
【0012】
(発光素子20)
発光素子20は、基板10上に実装される。基板10への実装方法は特に限定されないが、実施形態1では、フリップチップ実装により発光素子20が基板10上に実装されるものとする。発光素子20には、いわゆる発光ダイオードを用いることが好ましい。なかでも、成長基板上にInN、AlN、GaN、InGaN、AlGaN、InAlGaN等の窒化物半導体、III−V族化合物半導体、II−VI族化合物半導体等、種々の半導体による発光層を含む積層構造が形成されたものが挙げられる。
【0013】
(第1透光性部材40)
第1透光性部材40は、発光素子20の上面に接着材30を介して接着されている。
【0014】
第1透光性部材40の下面周縁は平面視において発光素子20の上面周縁よりも内側に位置している。これにより、発光素子20の上面の接着材30が第1透光性部材40の側面を這い上がることが可能となり、第1透光性部材40の側面が接着材30により覆われる。また、発光素子20の上面の端部(側面と接する角部)において接着材30の表面張力が働くようになり、接着材30の発光素子20の側面へ垂れ下がりが抑制され、接着材30が基板10にまで達することが防止される。
【0015】
特に限定されるものではないが、第1透光性部材40の厚みは、第1透光性部材40が厚いと発光素子20からの光取り出し率が低下するため、薄い方が好ましい。具体的に説明すると、第1透光性部材40の厚みは発光素子20の厚みの40〜100%程度であることが好ましい。
【0016】
第1透光性部材40の上面周縁は平面視において第2透光性部材50の下面周縁よりも内側に位置している。これにより、接着材30の這い上がりが第2透光性部材50の下面の端部で抑制されるため、第2透光性部材50の側面が接着材30で覆われることを抑制することができる。
【0017】
第1透光性部材40は、接着材30が発光素子20の側面から基板10まで垂れ伝うのを抑制するための部材であると同時に、発光素子20の発光を伝播するための部材である。このため、第1透光性部材40には、発光素子20からの発光を透過することのできる材料から形成された板状部材を用いることが好ましい。発光素子20からの発光を透過することのできる材料の一例としては、ケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどのガラス材料、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、トリメチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂、又はこれらの樹脂を1種類以上含むハイブリッド樹脂等の樹脂成形体、サファイアなどを挙げることができる。
【0018】
第1透光性部材40は蛍光体や拡散材などのフィラーを有していてもよいし、有していなくてもよい。フィラーは、第1透光性部材40の内部に含有させてもよいし、第1透光性部材40の両面または片面にフィラーを含有する層を塗布することにより設けてもよい。
【0019】
(第2透光性部材50)
第2透光性部材50は、第1透光性部材40の上面に載置されている。第1透光性部材40の上面周縁は平面視において第2透光性部材50の下面周縁よりも内側に位置しているため、第2透光性部材50の側面が接着材30で覆われることを抑制することができる。つまりは、第2透光性部材50の側面が光反射性部材60で被覆されやすくなり、第2透光性部材50の側方を通過して光が抜け出ることが抑制される。したがって、第2透光性部材50の上面を発光装置100の発光面Xとした際に、発光する部分と発光しない部分とにおける輝度の差を明確にして見切り性の良い発光装置とすることができる。また、第2透光性部材50が蛍光体を有する場合などにおいては、色(波長)や輝度が異なる光が第2透光性部材50の上方と側方からそれぞれ取り出されることを防止して、色ムラや輝度ムラが発生することを防止することができる。
【0020】
特に限定されるものではないが、第2透光性部材50が厚いと発光装置100自体の厚さが厚くなるため、発光装置100の小型化を考慮し、第2透光性部材50の厚みは薄い方が好ましい。具体的に説明すると、第2透光性部材50の厚みは例えば100〜300μm程度であることが好ましい。
【0021】
第2透光性部材50の下面は、平面視において発光素子20と同一形状(ほぼ同一の形状を含む。)とされている。これにより、第2透光性部材50の外周部における色ムラが低減されるため、発光色の均一化が図られる。
【0022】
第2透光性部材50は、第1透光性部材40とは別体である。第2透光性部材50と第1透光性部材40との間の接合は、例えば、圧着、焼結、接着材による接着、低融点ガラスによる接着などで行うことができる。本実施形態1に係る発光装置100では、第2透光性部材50は接着材30を介して第1透光性部材40に接着されている。
【0023】
第2透光性部材50には、第1透光性部材40と同様の材料を用いることができる。第2透光性部材50は蛍光体や拡散材などのフィラーを有していなくてもよいが、有していることが好ましい。フィラーを有する場合は、フィラーを第2透光性部材50の内部に含有させてもよいし、第2透光性部材50の両面または片面にフィラーを含有する層を設けてもよい。フィラーを含有する層を形成する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、スプレー法、電着法、静電塗装法を用いることができる。あるいは樹脂に蛍光体を分散させた材料から成る蛍光体シート等を第2透光性部材50に接着してもよい。
【0024】
(フィラー)
フィラーには、蛍光体や拡散材等を用いることができる。蛍光体としては、当該分野で公知のものを使用することができる。具体的には、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット(LAG)、ユウロピウム及び/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム(CaO−Al
2O
3−SiO
2)、ユウロピウムで賦活されたシリケート((Sr,Ba)
2SiO
4)などが挙げられる。これにより、可視波長の一次光及び二次光の混色光(例えば白色系)を出射する発光装置、紫外光の一次光に励起されて可視波長の二次光を出射する発光装置とすることができる。特に、青色発光素子に組み合わせて白色発光させる蛍光体としては、青色で励起されて黄色のブロードな発光を示す蛍光体を用いることが好ましい。
【0025】
蛍光体は、複数の種類の蛍光体を組み合わせて用いてもよい。例えば、Si
6−ZAl
ZO
ZN
8−Z:Eu、Lu
3Al
5O
12:Ce、BaMgAl
10O
17:Eu、BaMgAl
10O
17:Eu,Mn、(Zn,Cd)Zn:Cu、(Sr,Ca)
10(PO
4)
6C
l2:Eu,Mn、(Sr,Ca)
2Si
5N
8:Eu、CaAlSiB
xN
3+x:Eu、K
2SiF
6:Mn及びCaAlSiN
3:Euなどの蛍光体を所望の色調に適した組み合わせや配合比で用いて、演色性や色再現性を調整することもできる。
【0026】
拡散材としては、例えば、シリカ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化クロム、酸化マンガン、ガラス、カーボンブラック等を用いることができる。
【0027】
(接着材30)
接着材30は、発光素子20の上面から第2透光性部材50の下面まで第1透光性部材40の側面を覆いつつ延在して設けられる。これにより、発光素子20、第1透光性部材40、及び第2透光性部材50が互いに接着される。
【0028】
接着材30は、基板10から離間して配置される。接着材30が基板10から離間して配置されることにより、発光素子20から出射した光が接着材30を通って基板10の上面に入射し基板10に吸収されてしまうことがないため、発光装置100の光出力が高くなる。また、接着材30が基板10に垂れると、垂れた接着材30が基板10上で横方向に広がり、発光素子20から出射した光が基板10上に広がった接着材30中で反射され光束が低下するが、接着材30が基板10から離間して配置されることにより、このような光束の低下が抑制される。
【0029】
さらに、接着材30が基板10に垂れると、特に発光素子20をフリップチップ実装する場合には、垂れた接着材30が発光素子20と実装基板10との隙間へ入り込み耐熱衝撃性が悪化する虞があるが、接着材30が基板10から離間して配置されることにより、このような耐熱衝撃性の悪化も抑制される。すなわち、接着材30としては各部材間の接着性を高める観点から低弾性樹脂ではなく高弾性樹脂を用いることが好ましいところ、接着材30として用いた高弾性樹脂が発光素子20と実装基板10との隙間に入り込んでしまうと、樹脂硬化時及びリフロー時に発光素子20が浮いて熱抵抗が低下し、最悪の場合は発光素子20が点灯しなくなってしまう。実施形態1に係る発光装置100によれば、接着材30が基板10から離間して配置されるため、このように発光素子20と実装基板10との間に隙間が生じるフリップチップ実装などの場合においても、耐熱衝撃性の悪化を抑制しつつ、各部材間の接着性を高めることが可能となる。
【0030】
発光素子20の上面からの発光は、第1透光性部材40及び接着材30を介して第2透光性部材50の下面へと伝播される。このため、接着材30には、発光素子20からの発光を第2透光性部材50側へと有効に導光できる部材を用いることが好ましい。また、接着材30には、前述のとおり各部材間の接着性を確保できる材料を用いることが好ましい。このような導光や接着に優れる材料としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂材料が挙げられる。なお、接着材30は、フィラーを備えていてもよい。フィラーとしては、上で例示したものと同様のものが挙げられる。これらフィラーは、接着材30を構成する材料中に含有されることが好ましい。
【0031】
(光反射性部材60)
第2透光性部材50は、その側面が光反射性部材60で被覆されていることが好ましい。さらに、光反射性部材60が発光素子20の側面まで延在して設けられ、発光素子20の側面が光反射性部材60で被覆されていることがより好ましい。これにより、発光素子20から横方向に出射される光を上方に効率的に取り出すことができる。すなわち、発光装置100の発光面Xを必要な部分のみに限定して、不要な方向への発光を制限し、光取り出し効率を向上させることができる。また、第2透光性部材50がフィラーを含有する場合には、第2透光性部材50の側方を通過して発光素子20からの出射光が抜け出ることが抑制されるため、色ムラや輝度ムラが発生することを防止することができる。
【0032】
光反射性部材60は、発光素子20からの光に対する反射率が60%以上である反射性材料、より好ましくは80%または90%以上の光反射性材料で形成されているものが好ましい。このような光反射性材料は、例えば、セラミック、樹脂、誘電体、パルプ、ガラスまたはこれらの複合材料等により形成することができる。なかでも、任意の形状に容易に形成することができるという観点からは、樹脂により光反射性材料を形成することが好ましい。樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられる。具体的には、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂の1種類以上を含む樹脂またはハイブリッド樹脂等が挙げられる。光反射性材料には、二酸化チタン、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライト、酸化ニオブ、硫酸バリウム、カーボンブラック、各種希土類酸化物(例えば酸化イットリウム、酸化ガドリニウム)などの光反射材、光散乱剤又は着色剤等を含有させることが好ましい。また、ガラスファイバー、ワラストナイトなどの繊維状フィラー、カーボン等の無機フィラー、放熱性の高い材料(例えば窒化アルミ、窒化ホウ素等)を光反射性材料に含有させてもよい。なお、光反射性部材60は、スクリーン印刷、ポッティング、トランスファーモールド、コンプレッションモールド等により形成することができる。
【0033】
以上説明したように、実施形態1に係る発光装置100では、発光素子20と第2透光性部材50との間に、下面周縁が平面視において発光素子20の上面周縁よりも内側に位置する第1透光性部材40が設けられているため、接着材30が基板10に達することなく、接着材30が基板10から離間して配置される。したがって、実施形態1に係る発光装置100によれば、発光素子20から出射した光が接着材30を通って基板10の上面に入射し基板10に吸収されてしまうことを防止して、基板10による光の吸収を抑制して発光装置の光出力を向上させることができる。
【0034】
[実施形態2に係る発光装置200]
図2は、実施形態2に係る発光装置の模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)中のB−B断面を示す図である。
【0035】
図2に示すように、実施形態2に係る発光装置200は、第2透光性部材50の下面周縁が平面視において発光素子20の上面周縁よりも内側に位置している点で、第2透光性部材50の下面が平面視において発光素子20と同一形状である実施形態1に係る発光装置100と相違する。実施形態2に係る発光装置200によっても、実施形態1に係る発光装置100と同様に、基板10による光の吸収を抑制して発光装置の光出力を向上させることができる。なお、第2透光性部材50には蛍光体などのフィラーが含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
【0036】
第1透光性部材40と第2透光性部材50を用いれば、発光素子20の大きさに依存することなく発光装置200の発光面積(発光面Xの面積。以下同じ。)を所望の大きさにすることが可能であるが、実施形態2に係る発光装置200では、第2透光性部材50の下面周縁を平面視において発光素子20の上面周縁よりも内側に位置させるとともに、第1透光性部材40の上面周縁を第2透光性部材50の下面周縁よりも内側に位置させることにより、発光装置200の発光面積(発光面Xの面積)の面積を発光素子20の発光面積よりも小さく設定している。このように、発光装置200の発光面積(発光面Xの面積)の面積を発光素子20の発光面積よりも小さくすれば、光束を絞ることが可能となるため、発光面Xの輝度を高めるとともに、発光面Xにおける輝度ムラを抑制することができる。
【0037】
上記のとおり、実施形態2によれば、発光装置200の発光面積(発光面Xの面積)が発光素子20の発光面積よりも小さくなり光束が絞られる。したがって、発光装置200の光束を高めるために、発光素子20を大型化しながらも、発光装置200自体の発光面積を絞ることが可能となるため、光学設計がし易くなり、車のヘッドランプなど発光面積が制限されているようなデザイン性が高い照明装置に適した発光装置を提供することができる。
【0038】
実施形態2に係る発光装置200における第2透光性部材50の下面の面積は、発光素子20の上面の面積の70%以上であることが好ましい。さらに、第2透光性部材50の下面の面積は、第1透光性部材40の上面の105〜300%程度であることが好ましい。この範囲とすることで、平面視における第2透光性部材50の外縁からの接着材30のはみ出しを抑制して、発光する部分(発光面X)と発光しない部分とにおける輝度の差を明確にして見切りの良い発光装置とすることができる。
【0039】
一般に、発光素子の上面に、下面周縁が平面視において発光素子の上面周縁よりも内側に位置する透光性部材を配置する場合、接着材の這い上がりにより透光性部材の側面が接着材で覆われやすくなるため、透光性部材の側方を通過して光が抜け出やすくなり、透光性部材の上面を発光装置の発光面とした際に、発光する部分と発光しない部分とにおける輝度の差が不明確になりやすい。また、透光性部材が蛍光体を有する場合などにおいては、色(波長)や輝度が異なる光が透光性部材の上方と側方からそれぞれ取り出されてしまい、色ムラや輝度ムラが発生する虞がある。しかしながら、実施形態2に係る発光装置200によれば、第2透光性部材50が第1透光性部材40を介して発光素子20の上面に配置されるため、第2透光性部材50の下面周縁が平面視において発光素子20の上面周縁よりも内側に位置していても、第2透光性部材50の側面を光反射性部材60で容易に被覆することができる。したがって、輝度の差を明確にして見切り性の良い発光装置とすることができるとともに、色ムラや輝度ムラが発生を防止することができる。
【0040】
[実施形態3に係る発光装置300]
図3は、実施形態3に係る発光装置の模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)中のC−C断面を示す図である。
【0041】
図3に示すように、実施形態3に係る発光装置300は、第2透光性部材50の下面周縁が平面視において発光素子20の上面周縁よりも外側に位置している点で、第2透光性部材50の下面が平面視において発光素子20と同一形状である実施形態1に係る発光装置100と相違する。実施形態3に係る発光装置300によっても、実施形態1に係る発光装置100と同様に、基板10による光の吸収を抑制して発光装置の光出力を向上させることができる。
【0042】
実施形態3によれば、発光装置300の発光面積が発光素子20の発光面積よりも大きくなるため、光反射性部材60による光反射を低減して光取り出し効率を上げることが可能となる。したがって、実施形態3によれば、特に発光面積の制限がない照明などに適した発光装置を提供することができる。
【0043】
なお、実施形態3に係る発光装置300では、発光素子20が、バンプなどの接合部材71を用いたフリップチップ実装ではなく、樹脂やペーストなどの接合部材72を用いた共晶接合で実装されている。発光素子20が樹脂やペーストなどの接合部材72を用いて実装される場合は、発光素子20の下面の端部が接合部材72で覆われてしまうため、接着材30が発光素子20の側面から基板10側に垂れると、垂れた接着材30が接合部材72の上面を伝い基板10上で横方向に広がりやすくなる。しかしながら、実施形態3に係る発光装置300によれば、前述のとおり、接着材30の発光素子20の側面を伝う垂れ下がりが接着材30の表面張力により発光素子20の上面の端部(側面と接する角部)で抑制され、接着材30が基板10に到達してしまうことが防止される。したがって、実施形態3に係る発光装置300によれば、樹脂やペーストなどの接合部材72を用いた共晶接合で発光素子20が基板10に実装される場合においても、基板10による光の吸収を抑制して発光装置の光出力を向上させることができる。
【0044】
[実施形態4に係る発光装置400]
図4は、実施形態4に係る発光装置の模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)中のD−D断面を示す図である。
【0045】
図4に示すように、実施形態4に係る発光装置400は、複数の発光素子20が基板10上に実装されている点で実施形態1に係る発光装置100と相違する。このように、基板10上に実装される発光素子20の数は特に限定されず、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0046】
なお、実施形態4に係る発光装置400のように複数の発光素子20を設ける場合は、複数の第2透光性部材50を設けてこれらを複数の発光素子20の各々と接着してもよいが(
図5に示した実施形態5を参照)、
図4に示すように、1つの第2透光性部材50を設けて、これに複数の第1透光性部材40(及び複数の発光素子20)を接着してもよい。この場合は、複数の発光素子20及び複数の第1透光性部材40の外周をつないだところを発光素子20および第1透光性部材40における上面周縁として、複数の第1透光性部材40(及び複数の発光素子20)を第2透光性部材50に接着させることができる。このように、1つの第2透光性部材50を設けて、これに複数の第1透光性部材40(及び複数の発光素子20)を接着しても、実施形態1に係る発光装置100と同様に、基板10による光の吸収を抑制して発光装置の光出力を向上させることができる。また、疑似的に1つの大型発光装置を構成することができる。
【0047】
[実施形態5に係る発光装置500]
図5は、実施形態5に係る発光装置の模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)中のE−E断面を示す図である。
【0048】
図5に示すように、実施形態5に係る発光装置500は、複数の発光素子20が基板10上に実装されている点で、実施形態1に係る発光装置100と相違する。また、実施形態5に係る発光装置500は、第1透光性部材40と第2透光性部材50とが一体である点で、第1透光性部材40と第2透光性部材50とが別体である実施形態1に係る発光装置100と相違する。実施形態5に係る発光装置500によっても、実施形態1に係る発光装置100と同様に、基板10による光の吸収を抑制して発光装置の光出力を向上させることができる。なお、実施形態5において第1透光性部材40と第2透光性部材50は一体であるが、
図5(b)においては、理解を容易にするために、両者の間に破線を引いている。なお、以下では、第1透光性部材40及び第2透光性部材50が一体であることに鑑み、第1透光性部材40と第2透光性部材50とをまとめて第3透光性部材80と称することがある。
【0049】
実施形態5に係る発光装置500において、一体である第1透光性部材40及び第2透光性部材50は、フィラーを有していてもよいし、有していなくてもよい。フィラーを有する場合は、第1透光性部材40及び第2透光性部材50の内部に含有させてもよいし、第1透光性部材40及び第2透光性部材50の両面または片面に印刷やスプレーなどによりフィラーからなる層やフィラーを含有する層を塗布することにより設けてもよい。
【0050】
実施形態5に係る発光装置500において、第1透光性部材40の下面と発光素子20の上面とは平面視において相似形状であることが好ましい。第1透光性部材40の下面と発光素子20の上面とを相似形状とすることで、第3透光性部材80を発光素子20の上面に載置する際に、セルフアライメント効果を利用して、第1透光性部材40の下面を発光素子20の上面の所定の位置に合わせることが容易になる。
【0051】
例えば、発光素子20が平面視で矩形状である場合において、第1透光性部材40の下面を発光素子20の平面視と相似形状である矩形状とすれば、セルフアライメント効果が発揮されやすくなる。具体的に説明すると、発光素子20の上面と第1透光性部材40の下面の相似比は、セルフアライメント効果を発揮しつつ、色むらまたは輝度むらの少ない発光装置とすることができる1:0.7〜1.0の範囲であることが好ましく、第3透光性部材80がフィラーを含有している場合は、1:0.9〜1.0の範囲とすることがより好ましい。相似比をこれらの範囲に収めれば、セルフアライメント効果が発揮されやすく、また色むらまたは輝度むらが少ない発光装置を提供することができる。
【0052】
第3透光性部材80において、第1透光性部材40の下面から第2透光性部材50の上面までの長さは、短い方が好ましい。このようにすれば、光取り出し率を向上させることができる。また、第3透光性部材80において、第1透光性部材40の下面から第2透光性部材50の上面までの長さの下限値は、第1透光性部材40と第2透光性部材50とを別体として用いる場合における両者の厚みの下限値の和(第1透光性部材40の厚みの下限値+第2透光性部材50の厚みの下限値)よりも小さいことが好ましく、当該長さの上限値は、第1透光性部材40と第2透光性部材50とを別体として用いる場合における両者の厚みの上限値の和(第1透光性部材40の厚みの上限値+第2透光性部材50の厚みの上限値)よりも小さいことが好ましい。このようにすれば、加工精度等を向上させることができる。以上を踏まえ具体的な一例を挙げると、第3透光性部材80において、第1透光性部材40の下面から第2透光性部材50の上面までの長さは、例えば、120μm〜250μm程度であることが好ましい。なお、第3透光性部材80がフィラーを含有する場合、第1透光性部材40の厚みは薄い方が好ましく、具体的には第1透光性部材40の下面から第2透光性部材50の上面までの長さの5〜50%程度であることが好ましい。このようにすれば、発光面Xの端部における色むらや輝度むらを抑制することができる。
【0053】
[実施形態6に係る発光装置600]
図6は、実施形態6に係る発光装置の模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)中のF−F断面を示す図である。
【0054】
図6に示すように、実施形態6に係る発光装置600は、別体である第1透光性部材40と第2透光性部材50とが直接接合(例:融着、圧着、表面活性化接合、原子拡散接合)されてなる第4透光性部材90を備えている点で、第1透光性部材40と第2透光性部材50とが一の部材からなる実施形態5に係る発光装置500と相違する。実施形態6に係る発光装置600によっても、実施形態5に係る発光装置500と同様に、基板10による光の吸収を抑制して発光装置の光出力を向上させることができる。
【0055】
[実施形態7に係る発光装置700]
図7は、実施形態7に係る発光装置の模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)中のG−G断面を示す図である。
【0056】
図7に示すように、実施形態7に係る発光装置700は、第1透光性部材40と第2透光性部材50とが接着材30とは別体の接着材31により接合されている点で、第1透光性部材40と第2透光性部材50とが直接接合されている実施形態6に係る発光装置600と相違する。実施形態7に係る発光装置700によっても、実施形態6に係る発光装置600と同様に、基板10による光の吸収を抑制して発光装置の光出力を向上させることができる。
【0057】
[実施形態1に係る発光装置100の製造方法]
図8(a)から
図8(f)は、実施形態1に係る発光装置の製造方法を説明する模式的断面図である。以下、
図8(a)から
図8(f)を参照しつつ説明する。
【0058】
(第1工程)
まず、
図8(a)に示すよう、基板10上に発光素子20を実装する。
【0059】
(第2工程)
次に、
図8(b)に示すよう、発光素子20の上面に接着材30を配置する。
【0060】
(第3工程)
次に、
図8(c)に示すよう、発光素子20の上面周縁よりも内側に下面周縁を平面視において位置させることができる形状を有した第1透光性部材40を準備し、第1透光性部材40の下面周縁が発光素子20の上面周縁よりも平面視において内側に位置するよう発光素子20の上面に接着材30を介して第1透光性部材40を配置する。
【0061】
(第4工程)
次に、
図8(d)に示すよう、第1透光性部材40の上面に接着材30を配置する。
【0062】
(第5工程)
次に、
図8(e)に示すよう、第1透光性部材40の上面に接着材30を介して第2透光性部材50を配置した後、接着材30を硬化する。すなわち、発光素子20と第1透光性部材40との間に配置された接着材30と、第1透光性部材40と第2透光性部材50との間に配置された接着材30と、を同時に硬化する。これにより、接着材30は、発光素子20の上面から第2透光性部材50の下面まで第1透光性部材40の側面を覆いつつ延在して設けられるとともに、基板10から離間して配置される。なお、第2透光性部材50の下面は、例えば、平面視において発光素子20と同一形状であるものとすることができる。また、第1透光性部材40の上面周縁は、例えば、第2透光性部材50の下面周縁よりも平面視において内側に位置させることができる。
【0063】
(第6工程)
次に、
図8(f)に示すよう、第2透光性部材50の側面(好ましくは第2透光性部材50の側面及び発光素子20の側面)を覆うように光反射性部材60を設ける。
【0064】
以上説明した実施形態1に係る発光装置100の製造方法によれば、第1透光性部材40と第2透光性部材50との間に、発光素子20と第1透光性部材40との間に配置される接着材30が配置されるため、特に複数の発光素子20を有する発光装置において、複数の発光素子20間の高低差による発光面の傾きおよび高さのバラつきを、接着材30の量や第1透光性部材40や第2透光性部材50の高さで調整することができ好ましい。なお、個別の説明は省略するが、実施形態2から4に係る発光装置200から400の製造方法も上記と同様の工程により製造することができる。
【0065】
ただし、実施形態2に係る発光装置200の製造方法においては、発光素子20の上面周縁よりも下面周縁を平面視において内側に位置させることができる形状を有した第2透光性部材50を準備し、第2透光性部材50の下面周縁が発光素子20の上面周縁よりも平面視において内側に位置するよう、第1透光性部材40の上面に接着材30を介して第2透光性部材50を配置する。
【0066】
また、実施形態3に係る発光装置300の製造方法においては、発光素子20の上面周縁よりも下面周縁を平面視において外側に位置させることができる形状を有した第2透光性部材50を準備し、第2透光性部材50の下面周縁が発光素子20の上面周縁よりも平面視において外側に位置するよう、第1透光性部材40の上面に接着材30を介して第2透光性部材50を配置する。
【0067】
また、実施形態4に係る発光装置300の製造方法においては、複数の発光素子20を基板10上に実装する。
【0068】
[実施形態5に係る発光装置500の製造方法]
図9(a)から
図9(d)は、実施形態5に係る発光装置の製造方法を説明する模式的断面図である。以下、
図9(a)から
図9(d)を参照しつつ説明する。
【0069】
(第1工程)
まず、
図9(a)に示すように、第1透光性部材40と第2透光性部材50とが一体である第3透光性部材80の集合体を準備する。
【0070】
(第2工程)
次に、
図9(b)に示すよう、第3透光性部材80の集合体を個々の第3透光性部材80へと分割し、第1透光性部材40の下面周縁を発光素子20の上面周縁よりも平面視において内側に位置させることができる形状を有した複数の第3透光性部材80を得る。具体的には、第3透光性部材80の集合体を、刃幅t1のブレードなどで第1透光性部材40を切断した後、刃幅t2(刃幅t1>t2)のブレードなどで第2透光性部材50を切断することにより分割された第3透光性部材80を得る。
【0071】
(第3工程)
次に、
図9(c)に示すよう、基板10上に発光素子20を実装した後、第3透光性部材80における第1透光性部材40の下面周縁が発光素子20の上面周縁よりも平面視において内側に位置するよう、第3透光性部材80における第1透光性部材40の下面を発光素子20の上面に接着材30を介して接合する。
【0072】
(第4工程)
次に、
図9(d)に示すよう、第2透光性部材50の側面(好ましくは第2透光性部材50の側面及び発光素子20の側面)を覆うように光反射性部材60を設ける。
【0073】
以上説明した実施形態5に係る発光装置500の製造方法によれば、一体である第1透光性部材40と第2透光性部材50を発光素子20上に配置することになるため、第1透光性部材40を発光素子20上へ配置した後に第1透光性部材40とは別体である第2透光性部材50を第1透光性部材40上に配置する場合よりも製造工程を簡略化できる。
【0074】
[実施形態6に係る発光装置600の製造方法]
図10(a)から
図10(d)は、実施形態6に係る発光装置の製造方法を説明する模式的断面図である。以下、
図10(a)から
図10(d)を参照しつつ説明する。
【0075】
(第1工程)
まず、第1透光性部材40の上面に第2透光性部材50の下面が接合された第4透光性部材90の集合体を準備する。具体的には、
図10(a)に示すよう、第1透光性部材40の集合体と第2透光性部材50の集合体とを準備し、互いに直接接合することにより第4透光性部材90の集合体とする。
【0076】
(第2工程)
次に、
図10(b)に示すよう、第4透光性部材90の集合体を分割し、第4透光性部材90における第1透光性部材40の下面周縁が発光素子20の上面周縁よりも平面視において内側に位置させることができる形状を有した複数の第4透光性部材90を得る。具体的には、第4透光性部材90の集合体を、刃幅t1のブレードなどで第1透光性部材40を切断した後、刃幅t2(刃幅t1>t2)のブレードなどで第2透光性部材50を切断することにより分割された第4透光性部材90を得る。
【0077】
(第3工程)
次に、
図10(c)に示すよう、第4透光性部材90における第1透光性部材40の下面周縁が発光素子20の上面周縁よりも平面視において内側に位置するよう、第4透光性部材90における第1透光性部材40の下面を発光素子20の上面に接着材30を介して接合する。
【0078】
(第4工程)
次に、
図10(d)に示すよう、第2透光性部材50の側面(好ましくは第2透光性部材50の側面及び発光素子20の側面)を覆うように光反射性部材60を設ける。
【0079】
以上説明した実施形態6に係る発光装置600の製造方法によれば、第1透光性部材40と第2透光性部材50とを発光素子20上へ配置する前に、第1透光性部材40と第2透光性部材50とを互いに接合するため、第1透光性部材40を発光素子20上へ配置した後に第1透光性部材40とは別体である第2透光性部材50を第1透光性部材40上に配置する場合よりも製造工程を簡略化できる。
【0080】
なお、個別の説明は省略するが、実施形態7に係る発光装置700の製造方法も上記と同様の工程により製造することができる。ただし、実施形態7に係る発光装置700の製造方法においては、第1透光性部材40の下面と第2透光性部材50の上面とを第1透光性部材40の下面と発光素子20の上面を接合する接着材30とは別体の接着材31により接合する。
【0081】
以上、実施形態について説明したが、これらの説明は、一例であり、特許請求の範囲に記載された構成を何ら限定するものではない。