特開2015-189080(P2015-189080A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-189080(P2015-189080A)
(43)【公開日】2015年11月2日
(54)【発明の名称】水硬性組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B28C 7/04 20060101AFI20151006BHJP
【FI】
   B28C7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-67868(P2014-67868)
(22)【出願日】2014年3月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】神部 直也
(72)【発明者】
【氏名】小田部 裕一
【テーマコード(参考)】
4G056
【Fターム(参考)】
4G056AA06
4G056CA03
4G056CA04
4G056CB28
(57)【要約】
【課題】比較的温度の高い水硬性材料を使用する場合に、低コストで強度の低下を抑制することができる水硬性組成物の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】40℃以上の水硬性材料と含水率85%以上100%以下である骨材とを含む粉体材料を混合して、40℃未満の混合物を作製する混合工程と、前記混合物に水を加えて混練する混練工程とを備える。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
40℃以上の水硬性材料と含水率85%以上100%以下である骨材とを含む粉体材料を混合して、40℃未満の混合物を作製する混合工程と、
前記混合物に水を加えて混練する混練工程とを備えた水硬性組成物の製造方法。
【請求項2】
前記骨材は細骨材と粗骨材とを含み、前記細骨材は含水率85%以上100%以下であり、前記粗骨材は含水率95%以上100%以下である請求項1に記載の水硬性組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水硬性組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セメント等の水硬性材料を含む水硬性組成物は、水硬性材料と水とが反応する水和反応が生じて硬化するものである。セメント等の水硬性材料は、製造工程において、通常加熱されたり粉砕されたりするため、製造直後は高温である。
例えば、水硬性材料として代表的なセメントは、セメント工場等においてセメント原料を加熱してクリンカを得て、該クリンカを仕上げミルで粉砕する等の工程を経て製造される。かかる仕上げミルから排出された直後のセメントの温度は110〜135℃であると言われている。通常、製造直後のセメントは、セメントサイロ内等で保管されてから出荷されるため、外気温度(常温)に近い温度で使用されるが、必要に応じて、製造直後のセメントをコンクリートの製造に用いる場合もある。
【0003】
しかし、高温の水硬性材料を使用した水硬性組成物は、常温の水硬性材料を使用した場合よりも硬化後の強度が低いことが知られている。そのため、製造直後等の温度が高い水硬性材料を水硬性組成物の製造に使用する場合には、使用前に冷却することが行われている。
【0004】
例えば、特許文献1には、スクリューコンベア内のセメントに冷風を送風して冷却するセメント冷却装置を用いてセメントを冷却することが記載されている。
特許文献2には、セメント槽、骨材槽等の各槽に冷却装置を配置して、槽内の材料を冷却しながら生コンクリートを製造することが記載されている。
特許文献3には、生コンクリートを製造する場合に、建設現場でセメントを冷却水で冷却されたスクリューで冷却しながら生コンクリートを製造することが記載されている。
【0005】
しかし、特許文献1乃至3に記載のように、冷却装置を用いてセメント等の水硬性材料を冷却する場合には、セメント組成物の製造設備に冷却装置を設置する必要があり、多大な設備投資が必要で、製造コストが高くなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平07−9432号公報
【特許文献2】特開2006−116909号公報
【特許文献3】特開2010−214706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上記のような従来の問題を鑑みて、比較的温度の高い水硬性材料を使用する場合に、低コストで強度の低下を抑制することができる水硬性組成物の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る水硬性組成物の製造方法は、
40℃以上の水硬性材料と含水率85%以上100%以下である骨材とを含む粉体材料を混合して、40℃未満の混合物を作製する混合工程と、
前記混合物に水を加えて混練する混練工程とを備えている。
【0009】
本発明によれば、40℃以上の水硬性材料と含水率85%以上100%以下である骨材とを含む粉体材料を混合して、40℃未満の混合物を作製する混合工程と、前記混合物に水を加えて混練する混練工程とを備えているため、40℃以上の水硬性材料を用いても、特別な冷却装置を用いることなく、強度の低下を抑制できる水硬性組成物を製造することができる。従って、比較的温度の高い水硬性材料を使用する場合に、低コストで強度の低下を抑制することができる。
【0010】
本発明において、前記骨材は細骨材と粗骨材とを含み、前記細骨材は含水率85%以上100%以下であり、前記粗骨材は含水率95%以上100%以下であってもよい。
【0011】
前記骨材は細骨材と粗骨材とを含み、前記細骨材は含水率85%以上100%以下であり、前記粗骨材は含水率95%以上100%以下である場合には、比較的温度の高い水硬性材料を使用する場合に、強度の低下をより抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、比較的温度の高い水硬性材料を使用する場合に、低コストで強度の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る水硬性組成物の製造方法について具体的に説明する。
【0014】
本実施形態の水硬性組成物の製造方法は、40℃以上の水硬性材料と含水率85%以上100%以下である骨材とを含む粉体材料を混合して、40℃未満の混合物を作製する混合工程と、前記混合物に水を加えて混練する混練工程とを備える。
【0015】
《混合工程》
混合工程では、40℃以上の水硬性材料と含水率85%以上100%以下である骨材とを含む粉体材料を混合して40℃未満の混合物を作製する。
【0016】
(水硬性材料)
本実施形態で用いる水硬性材料としては、水と水和することで硬化する硬化材料であって、通常のモルタルあるいはコンクリートに用いられるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、普通、中庸熱、低熱、早強、超早強、耐硫酸塩等の各種ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント等の混合セメント、速硬セメント、超速硬セメント、高炉水砕スラグ、フライアッシュ、シリカフューム、石膏系膨張材、石灰系膨張材等が挙げられる。
これらの水硬性材料は単独で又は複数種類を混合して用いてもよい。
【0017】
本実施形態の製造方法で用いる水硬性材料は、40℃以上の高温の水硬性材料である。
かかる水硬性材料としては、例えば、セメント工場において、製造された直後のセメント等が挙げられる。製造直後のセメントは通常110〜135℃の程度の高い温度であり、かかるセメントをセメント工場から生コンクリート工場まで移送しても、移送直後には80℃〜90℃程度の高温のままである場合が多い。このような高温のセメントを用いてコンクリート、モルタル等のセメント組成物を製造する場合に、本実施形態の製造方法を用いることが好ましい。
【0018】
(骨材)
本実施形態の用いる骨材は、含水率85%以上100%以下、好ましくは、95%以上100%以上の骨材である。
骨材の含水率が前記範囲であることで、40℃以上の水硬性材料と混合した場合に混合物の温度を40℃未満に低下させることが容易にできる。また、該混合物を水で混練して水硬性組成物とした場合に、硬化後の強度の低下を抑制できる。
【0019】
骨材が細骨材である場合には、好ましい含水率としては、85%以上100%以下である。
骨材が粗骨材である場合には、好ましい含水率としては、95%以上100%以下である。
各骨材の含水率が前記範囲である場合には、水硬性組成物の強度の低下をより抑制できる。
【0020】
尚、本実施形態でいう骨材の含水率は、表面乾燥状態(以下、表乾状態ともいう)を100%とした場合の骨材に含まれる水の質量比をいい、具体的には、JIS A 1111「細骨材の表面水率試験方法」、JIS A 1803「コンクリート生産工程管理用試験方法−粗骨材の表面水率試験方法」で測定される値である。
また、前記含水率は水硬性材料と混合する際の含水率をいう。
【0021】
骨材は、細骨材、粗骨材いずれであってもよく、それぞれ単独又は混合されたものでもよい。
水硬性組成物をコンクリートに用いる場合には粗骨材及び細骨材を混合して用いることが好ましい。
水硬性組成物をモルタルに用いる場合には細骨材を用いることが好ましい。
【0022】
細骨材としては、特に限定されるものではないが、例えば、陸砂、山砂、海砂、川砂、砕砂、珪砂、高炉スラグ細骨材、フェロニッケルスラグ細骨材、銅スラグ細骨材、電気炉酸化スラグ細骨材、フェロクロム細骨材等が挙げられる。
【0023】
粗骨材としては、山砂利、海砂利、川砂利、砕石、石灰石、高炉スラグ粗骨材等が挙げられる。
【0024】
(他の成分)
本実施形態の混練工程では、粉体材料として、水硬性材料、骨材に加えて、さらに他の粉体材料を混合してもよい。
他の粉体材料としては石灰石微粉末、フライアッシュ等が挙げられる。これらの粉体材料は、含水率100%以下のものであることが好ましい。
【0025】
本実施形態の混合工程では、混練用の水を加えることなく、粉体材料である水硬性材料及び骨材、必要に応じて他の粉体材料を混合する、いわゆる空練り、を実施する。
本実施形態の混合工程で、40℃以上の水硬性材料を、上述のように含水率が80%以上100%以下である骨材と空練りの状態で混合することで、以下のようなメリットがあると考えられる。含水率100%の骨材は表乾状態であり、すなわち、骨材表面には水分は存在しない。一方、骨材内部には比較的多くの水分を有している。そのため、骨材と高温の水硬性材料とが接触した際に、水硬性材料は水と接触することはないが、骨材中に含まれる水分によって冷却さる。従って、高温のまま水分と接触することによる水硬性材料の変化が抑制でき、結果的に硬化後の強度低下が抑制できるものと考えられる。
【0026】
前記水硬性材料と前記骨材と、必要に応じて他の成分とを混合する手段は、特に限定されるものではなく、公知の混合装置を用いることができる。例えば、パン型強制ミキサ、一軸式強制練りミキサ、二軸強制練りミキサ、連続練りミキサ、傾胴式のミキサ等の重力式ミキサ公知のものが挙げられる。
【0027】
また、混合工程における混合は、後に続く混練工程において使用する混練装置と同一の装置を用いて混合することが好ましい。この場合には、混合工程と混練工程とを同一の装置で行えるため、製造設備がより小型化できる。
【0028】
混合工程では、前記水硬性材料及び骨材を混合して温度が40℃未満である混合物を作製する。混合物の温度を40℃未満にする方法としては、例えば、水硬性材料の温度よりも低い室温で水硬性材料を所望時間混合すること、水硬性材料よりも温度の低い骨材を水硬性材料と所望時間混合すること等で40℃未満にすることが容易にできる。
混合する時間については、各材料の温度、外気温などの条件によって適宜調整することが必要である。
【0029】
本実施形態の含水率85%以上100%以下の骨材を40℃以上の水硬性材料と混合する場合に、以下のような式1を満たすような所定の混合時間(t)で混合することが好ましい。
【0030】
t≧(Ta+T0)÷4350×Tc1.7・・・(1)
t:混合時間
a:骨材温度(℃)
0:外気温(℃)
c:水硬性材料温度(℃)
【0031】
40℃以上の水硬性材料と含水率85%以上100%以下である骨材とを混合する場合に、前記式1を満たすような所定の混合時間tで混合することで、混合物を40℃未満にすることが容易にでき、その結果、水硬性組成物として硬化させた場合に、常温の水硬性材料を用いた場合と同等以上の強度が得られる。
【0032】
尚、本実施形態において、各温度とは以下の測定方法で測定される温度をいう。
水硬性材料温度とは、水硬性材料の試料の2か所で測定した測定値の平均温度をいう。
外気温とはミキサ内の温度をいう。
骨材温度とは、骨材の試料2か所以上の温度を測定し、平均化した温度をいう。2種類以上の異なる骨材を使用する場合には、各骨材の温度と各骨材の使用量(体積)との積の総和を総体積で除して平均化した温度をいう。
たとえば、細骨材を150m3、粗骨材を200m3使用する場合、細骨材の温度が20℃であり、粗骨材の温度が25℃であった場合には、骨材温度は以下のような計算方法で算出される温度をいう。

骨材温度=(20℃×150m3)+(25℃×200m3)÷350m3≒22.9℃
【0033】
また、水硬性材料温度、及び骨材温度は、複数種類の水硬性材料、骨材を混合している場合には、混合された水硬性材料、及び骨材の温度をいう。
【0034】
混合工程で作製される混合物は40℃未満であり、35℃未満であればより好ましい。
【0035】
《混練工程》
混練工程では、前記混合工程で作製された混合物に水を加えて混練する。
水は、水硬性材料等の混練に用いられる水であれば特に限定されるものではなく、例えば、上水、下水、排水等が挙げられる。水の量は、例えば、水硬性材料であるセメントに対する比率(水/セメント比)が25%以上65%以下、好ましくは30%以上65%以下になるような量であることが挙げられる。
【0036】
本実施形態の混練工程では、水以外に、液体材料として化学混和剤等を加えて混練してもよい。
この場合、前記水の量としては、液体材料中に含まれている水の量も含まれる。
【0037】
混練工程の混練時間は、通常、水硬性組成物を混練する時間であれば特に限定されるものではないが、例えば、強制二軸式ミキサを用いて混練する場合には、温度60℃〜90℃で15秒〜35秒間程度混練することが挙げられる。
具体的には、JIS A 1119に従い試験したコンクリート中のモルタルの単位容積質量の差、及び単位粗骨材量の差が、コンクリート中のモルタルの単位容積質量差で0.8%以下、コンクリート中の単位粗骨材量の差で5%以下になるように混練することが好ましい。
【0038】
本実施形態の製造方法で得られた水硬性組成物は、常温で保管されていて水硬性材料を用いた場合と同等以上の強度を有する。かかる強度の基準としては、例えば、硬化後、材齢28日後の圧縮強度等が挙げられる。
【0039】
本実施形態にかかる水硬性組成物の製造方法は以上のとおりであるが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は前記説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【実施例】
【0040】
以下に実施例を示して、本発明にかかる水硬性組成物の製造方法についてさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0041】
(水硬性組成物の作製)
以下の材料を表1の配合の水硬性組成物となるように、準備した。尚、水硬性組成物としてはコンクリート組成物を作製した。
【0042】
(材料)
セメント:普通ポルドランドセメント(略記号C、住友大阪セメント社製、JIS R 5210適合品、密度=3.15g/cm3、C3S含有量=56質量%、C2S含有量=17質量%、Al23含有量=5.2質量%、SO3含有量=1.9質量%、ブレーン比表面積=3400cm2/g、最大粒径=45μm以下)
水:上水道水(略記号W、千葉県船橋市産)
化学混和剤:高性能AE減水剤:(略記号SP、マスターグレニウムSP8SV,BASFジャパン社製、ポリカルボン酸エーテル系化合物、JIS A 6204適合品)、
化学混和剤:AE減水剤(略記号Ad、マスターポゾリス78S、BASFジャパン社製、変性リグニンスルホン酸系、JIS A 6204適合品)
粗骨材:茨城県桜川市産硬質砂岩砕石2005(略記号G、表乾密度=2.66g/cm3、吸水率=0.55%、FM=6.54、JIS A 5005の砕石2005適合品)
細骨材:千葉県富津産陸砂(略記号S、表乾密度=2.60g/cm3、吸水率=1.84%、FM=2.69、JIS A 5308の附属書Aの砂利及び砂に適合)
尚、水/セメント比をW/C(質量%)、細骨材比率(質量%)をs/aとして表1に示した。
【0043】
【表1】
【0044】
(温度調整)
前記材料のうちセメント及び骨材をまず表2に示す各温度に調整した。
温度調整は、表2に記載の各温度の恒温室に24時間以上保管して、各温度になるように調整した。外気温は試験を行う室内の温度であって、該室内を空調装置で表2に記載の各温度になるように設定した。
【0045】
(含水率)
骨材については、表乾状態のものを準備した。
骨材を表乾状態にするためには、絶乾状態の骨材に各含水率にするのに必要な量の水を加え24時間以上吸水させて調整した。
【0046】
(作製方法)
まず、前記材料のうちセメントと骨材とを二軸強制練りミキサ(太平洋機構社製)に投入して表1に示す混合時間(t)混合した。
尚、骨材温度、水硬性材料温度、外気温から下記式2で得られる値(t’)を合わせて表2に示す。
【0047】
t’=(Ta+T0)÷4350×Tc1.7・・・(2)
a:骨材温度(℃)
0:外気温(℃)
c:水硬性材料温度(℃)
【0048】
【表2】
【0049】
その後、水、及び化学混和剤を投入混練してコンクリート組成物を作製した。
尚、混練時間、及び混練条件はJIS A 1132に記載の方法に従った。
【0050】
(圧縮強度)
各コンクリート組成物の材齢28日の圧縮強度をJIS A 1108に記載の方法に従い測定した結果を表2に示す。
また、20℃のセメントを用いた比較例1、8、15の圧縮強度を100%とした場合の、各実施例、比較例の圧縮強度の%を合わせて表2に示す。
【0051】
表2に示すように、混合時間tがt’以上である各実施例では、いずれも20℃のセメントを用いた比較例1、8、15の圧縮強度に対して90%以上の圧縮強度を有していた。すなわち、温度が40℃以上のセメントを使用しても、混合時間tがt’以下である場合には、20℃のセメントを用いた場合と同等以上の圧縮強度が得られる。
【0052】
(骨材の含水率の調整)
次に、骨材の含水率を変化させた場合の圧縮強度への影響を調べた。
骨材は、上述の方法で表3に示すような含水率に調整した。
水硬性材料のセメントの温度は90℃、各骨材の温度は細骨材20℃、粗骨材20℃とした。
混練する際で加える水と骨材に含有されている水の量との合計が一定になるように混練水の量を調整した。各水の量は表3に示す。
骨材の含水率を変化させた実施例及び比較例、及び基準として前記比較例8の圧縮強度の結果を表3に示した。
尚、表3の実施例及び比較例については、混合時間tが前記式2に示すt’の値以上になるように調節した。
【0053】
【表3】
【0054】
表3に示すように、含水率が80%である細骨材を含む比較例23、含水率が105%である細骨材を含む比較例22は、同じく細骨材の含水率は85%〜100%である各実施例に比べて比較例8の圧縮強度に対する割合が90%未満と低かった。
また、含水率が105%である粗骨材を含む比較例24は、含水率が90%、95%である各実施例に比べて比較例8の圧縮強度に対する割合が80%未満と低かった。