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特開2015-189924フェノールアラルキル樹脂及びその製造方法
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  • 特開2015189924-フェノールアラルキル樹脂及びその製造方法 図000011
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-189924(P2015-189924A)
(43)【公開日】2015年11月2日
(54)【発明の名称】フェノールアラルキル樹脂及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 61/02 20060101AFI20151006BHJP
【FI】
   C08G61/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-69999(P2014-69999)
(22)【出願日】2014年3月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000006644
【氏名又は名称】新日鉄住金化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132230
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100082739
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 勝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(74)【代理人】
【識別番号】100088203
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 英一
(72)【発明者】
【氏名】川辺 正直
(72)【発明者】
【氏名】ニランジャン・クマール・スレスタ
【テーマコード(参考)】
4J032
【Fターム(参考)】
4J032CA03
4J032CA07
4J032CA16
4J032CB01
4J032CB04
4J032CB12
4J032CC01
4J032CD00
4J032CE22
4J032CG01
4J032CG07
(57)【要約】
【課題】厳しい熱履歴後も高度の誘電特性(低誘電率・低誘電正接)を有し、かつ高いガラス転移温度と難燃性、良好な成形性、低ハロゲン含有率、高い熱解分解温度を有する硬化物を与えるビニルベンジルエーテル樹脂の中間体、エポキシ樹脂の原料や硬化剤として有用なフェノールアラルキル樹脂とその製造方法を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表されるフェノールアラルキル樹脂である。式中、R、R、Rは独立に炭素数1〜6のアルキル基、アリル基、または炭素数6〜12のアリール基であり、mは0〜4の数である。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)
【化1】
(式中、R、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、アリル基、または炭素数6〜12のアリール基を示す。Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、アリル基、または炭素数6〜12のアリール基を示し、mは0〜4の数を示す。nは平均値で1〜20の範囲である)で表されるフェノールアラルキル樹脂。
【請求項2】
ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)で測定される上記式(1)のフェノールアラルキル樹脂の総ピーク面積に占めるn=0体のピーク面積の比が70%以下であることを特徴とする請求項1に記載のフェノールアラルキル樹脂。
【請求項3】
式(1)のR及びRがそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフェノールアラルキル樹脂。
【請求項4】
下記式(3)で表されるフェノール類と、このフェノール類に対して0.2モル以上2.0モル未満の下記式(4)で表される架橋剤とを、酸性触媒の存在下に100〜180℃の温度で2〜15時間、反応させることを特徴とする請求項1に記載のフェノールアラルキル樹脂の製造方法。
【化2】
(式中、R、R、R、mは式(1)と同意じである。Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、メトキシ基、エトキシ基、又は水酸基を表す。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2,6-置換フェノールアラルキル樹脂及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報通信量の増加にともない高周波数帯域での情報通信が盛んに行われるようになり、より優れた電気特性、なかでも高周波数帯域での伝送損失を低減させるため、低誘電率と低誘電正接を有し、特に厳しい熱履歴を受けた後の誘電特性変化の小さい電気絶縁材料が求められている。さらにそれら電気絶縁材料が使われているプリント基板あるいは電子部品は実装時に高温のハンダリフローに曝されるために耐熱性の高い、すなわち高いガラス転移温度を示す材料が望まれている。特に最近は、環境問題から融点の高い鉛フリーのハンダが使われるために、より耐熱性の高い電気絶縁材料の要求が高まってきている。これらの要求に対し、従来、種々の化学構造を持つビニルベンジルエーテル樹脂を使用した硬化樹脂が提案されている。
【0003】
このような硬化樹脂としては、例えば、ビスフェノールのジビニルベンジルエーテル、あるいはフェノールノボラックタイプのビニルベンジルエーテル樹脂などの硬化樹脂が提案されている(特許文献1、特許文献2)。しかし、これらのビニルベンジルエーテル樹脂は、初期の誘電特性おいて、十分な特性が得られなかったばかりか、厳しい熱履歴に対する誘電特性の変化が必ずしも小さい硬化樹脂を与えることができず、耐熱性において、十分に高いとはいえないものであった。
【0004】
これら特性を向上させたビニルベンジルエーテル樹脂として、特定構造の樹脂が幾つか提案され、厳しい熱履歴を受けた時の誘電正接の変化を抑える試みや、耐熱性を向上させる試みがなされているが、特性の向上は未だ十分とは言えず、さらなる特性改善が望まれていた。このため、実装材料としては信頼性及び加工性において、十分なものではなかった(特許文献3、特許文献4、特許文献5)。
【0005】
また、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ビフェニル型フェノールノボラック樹脂およびビフェニル型ナフトールノボラック樹脂からなる群から選択された少なくとも1種の水酸基をビニルベンジルエーテル化した硬化性樹脂を含有する硬化性樹脂組成物(特許文献6)が開示されている。しかし、これに開示されている製法に従って合成されたビニルベンジルエーテル化した硬化性樹脂は、全ハロゲン含有量と、残存ビニル芳香族ハロメチル化合物量が大きいために、厳しい熱履歴を受けた後の、誘電正接と耐熱性が高周波数に対応した絶縁材料としては満足するものではなく、成形性においても、成形不良を生じやすく、望ましいものではなかった。
【0006】
また、分子内に3個以上9個未満のフェノール性水酸基を有し、その内の少なくとも1個のフェノール性水酸基の2,6位にアルキル基またはアルキレン基を有する多価フェノール(A)と一価のフェノール化合物を反応させて得られる多官能フェニレンエーテルオリゴマー(B)のフェノール性水酸基をビニルベンジル化させることが知られている(特許文献7)。しかし、この技術によって得られるビニルベンジルエーテル樹脂は、粘度が高いことに起因して成形加工温度が高く、かつ、空気雰囲気下で高温に曝されると、大きく誘電正接が悪化するという欠点があった。
【0007】
このように、従来のビニルベンジルエーテル樹脂は電気絶縁材料用途、特に高周波数対応の電気絶縁材料用途として必要な、鉛フリーのハンダ加工に耐えうる厳しい熱履歴後の低い誘電正接を満足する耐熱性を持つ硬化物を与えるものではなく、また、信頼性と加工性の点でも不十分なものであった。
【0008】
また、フェノールアラルキル樹脂は、エポキシ樹脂の原料や硬化剤等としても有用であるが、耐熱性に優れる樹脂硬化物を与えるビニルベンジルエーテル樹脂とその原料が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭63−68537号公報
【特許文献2】特開昭64−65110号公報
【特許文献3】特表平1−503238号公報
【特許文献4】特開平9−31006号公報
【特許文献5】特開2004−323730号公報
【特許文献6】特開2003−306591号公報
【特許文献7】特開2007−308685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、厳しい熱履歴後も高度の誘電特性(低誘電率・低誘電正接)を有し、かつ高いガラス転移温度と難燃性、良好な成形性、低ハロゲン含有率、高い熱解分解温度を有する硬化物を与えるビニルベンジルエーテル樹脂の中間体、エポキシ樹脂の原料や硬化剤として有用なフェノールアラルキル樹脂とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、下記式(1)で表されるフェノールアラルキル樹脂である。
【化1】
(式中、R、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、アリル基、または炭素数6〜12のアリール基を示す。Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、アリル基、または炭素数6〜12のアリール基を示し、mは0〜4の数を示す。nは平均値で1〜20の範囲である)
【0012】
このフェノールアラルキル樹脂は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)で測定される上記式(1)のフェノールアラルキル樹脂の総ピーク面積に占めるn=0体のピーク面積の比が70%以下であることが望ましい。また、式(1)のR及びRがそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基であることが望ましい。
【0013】
また本発明は、下記式(3)で表されるフェノール類と、このフェノール類に対して0.2モル以上2.0モル未満の下記式(4)で表される架橋剤とを、酸性触媒の存在下に100〜180℃の温度で2〜15時間、反応させることを特徴とする上記のフェノールアラルキル樹脂の製造方法である。
【化2】
(式中、R、R、R、mは式(1)と同意である。Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、メトキシ基、エトキシ基、又は水酸基を表す。)
【発明の効果】
【0014】
本発明のフェノールアラルキル樹脂は、ビニルベンジルエーテル樹脂の中間体として有用であり。このビニルベンジルエーテル樹脂を配合した硬化性樹脂組成物からは、低誘電率及び低誘電正接性の硬化物が得らればかりではなく、高度の成形性と難燃性を兼ね備え、低誘電率及び低誘電正接の耐熱信頼性の優れた材料を実現できる。特に、空気雰囲気下で高温の熱履歴を受けても優れた誘電特性を維持することができ、厳しい使用条件下でも、電気的特性について高い信頼性を有している。また、本発明のフェノールアラルキル樹脂は、エポキシ樹脂原料、硬化剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ジメチルフェノールアラルキル樹脂の赤外吸収スペクトル
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を更に説明する。
本発明のフェノールアラルキル樹脂は、上記式(1)で表される。
本発明のフェノールアラルキル樹脂の製法は特に限定されるものではないが、好ましくは、上記式(3)で表されるフェノール類とこのフェノール類に対して、0.2モル以上2.0モル未満の上記式(4)で表される架橋剤を反応させる方法が適する。
ことにより得ることができる。
【0017】
式(3)で表されるフェノール類としては、好ましくは、2,6−ジメチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2,6−ジイソプロピルフェノール、2,6−ジ−tert-ブチルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、2,6−ジシクロヘキシルフェノール、2,6−ジアリルフェノールなどの置換フェノール類が挙げられ、これらを1種もしくは2種以上使用することができる。溶解性、難燃性並びに原料入手の容易さの観点から、より好ましくは、2,6−ジメチルフェノールである。
【0018】
また、上記式(4)において、Xは縮合活性基であり、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メトキシ基、エトキシ基、水酸基を表すが、好ましくは、縮合のしやすさ及び工業的実施における原料の入手性の観点で、塩素原子又は水酸基である。式(4)で表される架橋剤としては、例えば、4,4’−ビス(フルオロメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(クロロメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(ブロモメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(ヒドロキシエチル)−1,1’−ビフェニル、ジ(クロロメチル)ベンゼン、ジ(ブロモメチル)ベンゼン、ジ(クロロメチル)ナフタリン、ジ(クロロメチル)ビフェニルエーテル、キシリレングリコール、キシリレングリコールジメチルエーテル、キシリレングリコールジエチルエーテル、キシリレングリコールジプロピルエーテル、キシリレングリコールジブチルエーテル、キシリレングリコールモノメチルエーテル、キシリレングリコールモノエチルエーテルなどのキシリレングリコールモノまたはジ低級アルコールエーテルなどが挙げられる。より好ましくは、キシリレングリコール、キシリレングリコールジメチルエーテル、ジ(クロロメチル)ベンゼン、または4,4’−ビス(クロロメチル)−1,1’−ビフェニルである。特に好ましいのは、ジ(クロロメチル)ベンゼン、及びp−キシリレングリコールジメチルエーテルである。
【0019】
本発明のフェノールアラルキル樹脂は、軟化点が50〜150℃の範囲にあることが、良好な使用性を与えたり又は良好な物性を示す成形品等を与えたりする点で望ましい。好ましい軟化点範囲は55℃〜125℃であり、更に好ましくは60℃〜100℃である。これより軟化点が低いとビニルベンジルエーテル樹脂組成物を調整する際にブロッキング等の問題がありハンドリング性が低下し、これより高いとビニルベンジルエーテル樹脂とした後、他の樹脂成分との相溶性が低下するという問題がある。
【0020】
本発明のフェノールアラルキル樹脂の水酸基当量は、通常、120から600の範囲であることが好ましいが、より好ましくは130から400、更に好ましくは140から350の範囲である。これより水酸基当量値が小さいと硬化物とした際の難燃性が十分ではなく、これより大きいとビニルベンジルエーテル樹脂とした後、硬化性樹脂組成物の硬化性、耐熱性及び力学強度等が低下する。
【0021】
更に、本発明のフェノールアラルキル樹脂は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)で測定される前記式(1)のフェノールアラルキル樹脂の総ピーク面積(a)に占めるn=0体のピーク面積(b)の面積比b/(a+b)は70%以下であることが好ましい。この面積比が70%以下であることにより、ビニルベンジルエーテル樹脂硬化物とした際の耐熱性が向上する。
【0022】
本発明のフェノールアラルキル樹脂の製造方法は、前記式(3)で表されるフェノール類とこのフェノール類に対して、0.2モル以上2.0モル未満の前記式(4)で表される架橋剤とを、酸性触媒の存在下に100〜180℃の温度で2〜15時間、反応させる。
ここで、架橋剤の使用量は、フェノール類1モルに対して、好ましくは0.5から1.5モルの範囲である。架橋剤の使用量が小さいとフェノールアラルキル樹脂の分子量が小さくなり、ビニルベンジルエーテル樹脂等の樹脂硬化物とした際の耐熱性が低下し、使用量が大きいと得られたフェノールアラルキル樹脂の軟化点が高くなり、ビニルベンジルエーテル樹脂組成物等の樹脂組成物としたときの成形性が低下する。
【0023】
この反応は酸性触媒の存在下に行われる。ここで使用される酸触媒としては周知の無機酸、有機酸より適宜選択することができる。このような酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、燐酸等の鉱酸や、ギ酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等の有機酸や、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化鉄、三フッ化ホウ素等のルイス酸あるいは、活性白土、シリカ−アルミナ、ゼオライト等の固体酸等が挙げられる。
【0024】
この反応では、反応溶媒として、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のアルコール類や、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等を使用することができる。
反応温度は、より好ましくは110〜180℃の温度である。反応温度が上記温度範囲より低いと、反応に長時間を要するという問題点があり、反応温度が上記温度範囲より高いと、樹脂硬化物とした際の耐熱性が低下する。
【0025】
反応終了後、場合により、中和、水洗等の方法で触媒を除去し、必要に応じて残存する溶媒及び未反応のフェノール類を減圧留去等の方法により、系外に除いてフェノールアラルキル樹脂とする。未反応フェノール類は、通常3%以下、好ましくは1%以下とする。これより多いと、硬化物とした場合の耐熱性が低下する。
【0026】
本発明のフェノールアラルキル樹脂からは、下記式(2)で表されるビニルベンジルエーテル樹脂を得ることができる。すなわち、式(1)のフェノールアラルキル樹脂とビニル芳香族ハロメチル化合物とをアルカリ金属水酸化物の存在下で反応させることにより式(2)で表されるビニルベンジルエーテル樹脂を得ることができる。
【0027】
【化3】
(式中、R、R、R、m、nは、式(1)と同意である。Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、またはビニルベンジル基を表すが、Rにおけるビニルベンジル基の割合は60〜100モル%である。)
【0028】
式(1)、(2)、(3)及び(4)において、同一の記号は同じ意味を有する。
とRはそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、アリル基、またはアリール基を表す。これらの基は、さらに置換基を有しても良く、例えば、炭素数1〜6のアルキル基である。好ましくは溶解性及び誘電特性と硬化性及び難燃性とのバランスの点から、RとRは、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜10、好ましくは炭素数6のアリール基であり、更に好ましくはRとRは、炭素数1〜3のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。
【0029】
はそれぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、アリル基、または炭素数6〜12のアリール基を示す。好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。mは0〜4の数を示す。好ましくは溶解性と難燃性のバランスの点からmは0〜2の数であり、より好ましくは、mは0又は1であり、0である場合はRは存在しない。
【0030】
に占めるビニルベンジル基の割合(モル%)は、60〜100%であるが、好ましくは90〜100%である。Rの0〜40%、好ましくは0〜10%が水素原子、アルキル基または両者であることも望ましい。
【0031】
また、nは平均値で1〜20の数を表すが、好ましくは1〜10である。nが20を超えると粘度が上昇し、微細パターンへの充填性が低下するという点で好ましくない。なお、分子量分布を有するときは、平均値(数平均)である。
【0032】
式(2)で表されるビニルベンジルエーテル樹脂を得るために使用される好ましいビニル芳香族ハロメチル化合物としては、p−ビニルベンジルクロライド、m−ビニルベンジルクロライド、p−ビニルベンジルクロライドとm−ビニルベンジルクロライドとの混合体、p−ビニルベンジルブロマイド、m−ビニルベンジルブロマイド、p−ビニルベンジルブロマイドとm−ビニルベンジルブロマイドとの混合体を挙げることができる。中でも、p−ビニルベンジルクロライドとm−ビニルベンジルクロライドとの混合体を使用すると、溶解性に優れたポリ(ビニルベンジル)エーテル化合物が得られ、他の材料との相溶性及び作業性が良好となるため好ましい。p−ビニルベンジルハライドとm−ビニルベンジルハライドの組成比に特に制限はないが、p−体/m−体=90/10〜10/90(モル/モル)であることが好ましく、70/30〜30/70(モル/モル)であることがより好ましく、60/40〜40/60(モル/モル)であることが更に好ましい。
【0033】
フェノールアラルキル樹脂とビニル芳香族ハロメチル化合物との使用割合は、当量比(OH:ハロメチルのモル比)で100:95〜100:120であることが好ましい。当量比が該範囲内であると、仕込んだフェノールアラルキル樹脂の全量に近い量がビニル芳香族ハロメチル化合物と反応し、フェノールアラルキル樹脂中の水酸基がビニルベンジルエーテル化され、反応物中にほとんど残存しなくなることにより、後で行う硬化反応が十分に進行し、また、良好な誘電特性を示すこととなる。
【0034】
なお、前記式(2)のRに炭素数1〜12のアルキル基を導入する場合、樹脂中に平均として存在するRで表される構造単位を占める水素原子(H)とアルキル基(R)の比率に制限はないが、誘電特性、成形性、離型性の観点から、R/H(モル比率)は0.05〜2.0であることが好ましい。より好ましくは0.1〜1.0の範囲である。
ここで、Rにおける炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、アリル基、ブチル基、n−アミル基、sec−アミル基、tert−アミル基、シクロヘキシル基等が挙げられるが、入手の容易性、コスト及び耐熱酸化劣化性の観点から、好ましくはメチル基及びフェニル基である。最も好ましくは、メチル基である。
【実施例】
【0035】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらにより制限されるものではない。なお、各例中の部はいずれも重量部である。また、実施例中の測定結果は以下に示す方法により試料調製及び測定を行ったものである。
【0036】
1)分子量及び分子量分布
分子量及び分子量分布測定はGPC(東ソー製、HLC−8120GPC)を使用し、溶媒:テトラヒドロフラン(THF)、流量:1.0ml/min、カラム温度:40℃で行った。分子量は単分散ポリスチレンによる検量線を用い、ポリスチレン換算分子量として測定を行った。
【0037】
2)構造
日本電子製JNM−LA600型核磁気共鳴分光装置を用い、13C−NMR及びH−NMR分析により決定した。溶媒としてクロロホルム−dを使用した。NMR測定溶媒であるテトラクロロエタン−dの共鳴線を内部標準として使用した。
【0038】
3)ガラス転移温度(Tg)及び軟化温度測定の試料調製及び測定
硬化性樹脂組成物溶液をガラス基板に乾燥後の厚さが、20μmになるように均一に塗布した後、ホットプレートを用いて、90℃で30分間加熱し、乾燥させた。得られたガラス基板上の樹脂膜はガラス基板と共に、TMA(熱機械分析装置)測定装置にセットし、窒素気流下、昇温速度10℃/分で220℃まで昇温し、更に、220℃で20分間加熱処理することにより、残存する溶媒を除去した。ガラス基板を室温まで放冷した後、TMA測定装置中の試料に分析用プローブを接触させ、窒素気流下、昇温速度10℃/分で30℃から360℃までスキャンさせることにより測定を行い、接線法により軟化温度を求めた。また、線膨張係数の変化する変曲点よりTgを求めた。さらに、平均線膨張係数(CTE)は、0〜40℃における試験片の寸法変化より算出した。
加熱プレス成形により得られた硬化物フィルムのTgの測定は動的粘弾性測定装置を使用し、昇温速度2℃/minで測定を行い、損失弾性率のピークより決定した。
【0039】
4)引張り強度及び伸び率
硬化物フィルムの引張り強度及び伸び率は引張り試験装置を用いて測定を行った。伸び率は引張り試験のチャートから測定した。
5)誘電率及び誘電正接
JIS C2565規格に準拠し、50℃の真空乾燥器で5時間、真空下、絶乾させ、デシケーター中に、恒量を取った後、株式会社エーイーティー製、空洞共振器法誘電率測定装置を使用して、18GHzでの誘電率及び誘電正接を測定した。材料の耐熱酸化劣化性を評価するため、硬化物フィルムを200℃のエアオーブン中に、1時間放置後の硬化物フィルムの18GHzでの誘電率および誘電正接を測定した。
6)成形性
黒化処理を行った銅張り積層板の上に、硬化性樹脂組成物の未硬化フィルムを積層し、真空ラミネーターを用いて、温度:110℃、プレス圧:0.1MPaで真空ラミネートを行い、黒化処理銅箔とフィルムの接着状態により評価を行った。評価は黒化処理銅箔とフィルムの接着状態が良好であったものを「○」、黒化処理銅箔とフィルムとが容易に剥離することができる接着状態のものを「×」として評価した。
【0040】
実施例1
撹拌機、冷却管、窒素導入管のついた500ml、3口セパラブルフラスコに、2,6-ジメチルフェノール122.16g(東京化成工業製、1.0モル)、p−キシリレングリコールジメチルエーテル166.22g(東京化成工業製、1.0モル)、及びp−トルエンスルホン酸1.2gを仕込み、窒素を導入しながら90℃に加熱し溶解させた。その後、撹拌しながら150℃に昇温し5時間反応させた。この間、反応により生成するメタノールは系外に除いた。その後、水洗によりp−トルエンスルホン酸を除去した後、減圧下、200℃に昇温し、未反応の2,6-ジメチルフェノールを除去し、2,6−ジメチルフェノールアラルキル樹脂(A)137.1gを得た。得られた2,6−ジメチルフェノールアラルキル樹脂の軟化点は91.5℃、150℃における溶融粘度は0.43Pa・sであった。また、水酸基当量は194であった。
また、得られた樹脂について、そのGPC、赤外吸収スペクトルおよびH−NMRを測定した。赤外吸収スペクトルの結果を図1に示す。GPCの測定結果から数平均分子量(Mn)が1153、重量平均分子量(Mw)が1835であって分子量分布(Mw/Mn)が1.59であり、また、この2,6−ジメチルフェノールアラルキル樹脂(A)における一般式(1)の分子量分布は、n=0が23.2%、n=1が9.2%、n=2が11.7%、n=3が15.7%、n=4が19.2%、およびn≧=5が21% であった。
更に、H−NMRの測定はプロトンノンデカップリング法により行った。このH−NMRの測定結果からこの2,6−ジメチルフェノールアラルキル樹脂(A)にはメチロール基存在しないことが確認された。これら測定により得られた結果を表1に示した。
【0041】
参考例1
撹拌機、冷却管、窒素導入管のついた1L、3口セパラブルフラスコに、o-クレゾール214.2g(東京化成工業製)、p−キシリレングリコール117.4g、及びp−トルエンスルホン酸1.5gを仕込み、窒素を導入しながら90℃に加熱し溶解させた。その後、撹拌しながら150℃に昇温し5時間反応させた。この間、反応により生成する塩酸は系外に除いた。その後、水洗によりp−トルエンスルホン酸を除去した後、減圧下、200℃に昇温し、未反応のo-クレゾールを除去し、o-クレゾールアラルキル樹脂(B)216.4gを得た。得られたo-クレゾールアラルキル樹脂(B)の軟化点は66.8℃、150℃における溶融粘度は0.035Pa・sであった。また、水酸基当量は185であった。
GPCの測定結果から数平均分子量(Mn)が872、重量平均分子量(Mw)が1284であって分子量分布(Mw/Mn)が1.46であり、また、この実施例2で得られた熱可塑性o-クレゾールアラルキル樹脂(B)における一般式(1)の分子量分布は、n=0が10.8%、n=1が6.5%、n=2が11.1%、n=3が16.7%、n=4が24.2%、およびn≧5が30.4%であった。
更に、1H-NMRの測定はプロトンノンデカップリング法により行った。この1H−NMRの測定結果からこの合成例2で得られた熱可塑性熱可塑性o-クレゾールアラルキル樹脂(B)にはメチロール基存在しないことが確認された。これら測定により得られた結果を表1に示した。
【0042】
上記フェノールアラルキル樹脂(A)、(B)に加え、ビフェニレン基を有するフェノールアラルキル樹脂(C)(明和化成(株)製、商品名:MEH7851)を用意した。
【0043】
実施例2
温度調節器、攪拌装置、冷却コンデンサーおよび滴下ロートを備えた4つ口フラスコに実施例1で合成した2,6−ジメチルフェノールアラルキル樹脂(A);フェノール性水酸基のOH当量194g/eq)87.3部(0.45当量)、CMS−AM(セイミケミカル社製クロロメチルスチレン)72.1部(0.47当量)、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド4.3部、2,4−ジニトロフェノール0.07部、メチルエチルケトン115部を仕込み攪拌溶解し、液温を75℃にし、50%水酸化ナトリウム水溶液36部(0.9当量)を20分間で滴下し、更に75℃で4時間攪拌を続けた。次に10%塩酸水溶液でフラスコ内を中和した後、トルエン180部を追加し、有機層を675mlの水で3回洗浄した。
【0044】
得られた有機相を蒸留することにより、有機相が225部になるまで濃縮し、メタノール/水=75/25(vol/vol)450部を加えて生成物を再沈殿した。同じ条件の再沈殿をさらに2回繰り返した。得られた樹脂の沈殿を濾過・乾燥し、ビニルベンジル化2,6−ジメチルフェノールアラルキル樹脂(VBE-A)を105.5g得た。
【0045】
生成物の確認をGPC、赤外線スペクトル(IR)、H核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)で行ったところ、GPCより回収された反応生成物では、原料に由来するピークが消失し、高分子量側に新しいピークが生成していることを確認した。また、IRよりフェノール性水酸基が消失していることを確認した。
また、H−NMRで、クロロメチルスチレンに由来するプロトンの共鳴線が消失し、代わりに、5.02ppm付近にベンジルエーテル基に由来するプロトンの共鳴線、5.25ppm、5.77ppm及び6.73ppm付近にビニル基に由来するプロトンの共鳴線を有することが確認され、(VBE-A)が得られていることを確認した。ビニルベンジルエーテル基含有量は99.5%、フェノール性水酸基は検出することはできなかった。さらに、13C−NMRを用いて、200〜204ppmのアルデヒド基に由来するピークを観察したところ、ピークの存在は確認できなかった。一方、目的の反応生成物に由来する112〜115ppmにビニル基のピークが観察され、かつ、ビニル基の面積値とベンジルエーテル基に由来するメチレン基のピークの面積値及び芳香族領域のピークの面積値とは、H−NMRの結果と良い一致を示した。
また、元素分析により総塩素含有量を測定したところ165ppmであった。GPC測定を行ったところ、クロロメチルスチレンに由来するピークは、観察されなかった。また、示差走査熱量計(DSC)により、窒素気流下、昇温速度:10℃/分で熱相転移挙動を測定したところ、結晶に由来する融解ピークは観察されなかった。また、熱天秤(TGA)を使用し、窒素気流下、昇温速度:10℃/分で、熱分解挙動を測定したところ、接線法による熱分解開始温度:414.7℃であり、600℃における炭化物生成量は、25wt%であった。これら測定により得られた結果を表2に示した。
【0046】
参考例2
温度調節器、攪拌装置、冷却コンデンサーおよび滴下ロートを備えた4つ口フラスコに参考例1で合成したo-クレゾールアラルキル樹脂(B);フェノール性水酸基のOH当量185g/eq)92.5部(0.5当量)、CMS−AM(セイミケミカル社製クロロメチルスチレン)80.1部(0.525当量)、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド4.8部、2,4−ジニトロフェノール0.08部、メチルエチルケトン128部を仕込み攪拌溶解し、液温を75℃にし、50%水酸化ナトリウム水溶液22.4部(1.0当量)を20分間で滴下し、更に75℃で4時間攪拌を続けた。次に10%塩酸水溶液でフラスコ内を中和した後、トルエン200部を追加し、有機層を750mlの水で3回洗浄した。
【0047】
得られた有機相を蒸留することにより、有機相が250部になるまで濃縮し、メタノール/水=75/25(vol/vol)500部を加えて生成物を再沈殿した。同じ条件の再沈殿をさらに2回繰り返した。得られた樹脂の沈殿を濾過・乾燥し、o-クレゾールアラルキル樹脂(B)とビニルベンジルクロライドとの反応生成物であるビニルベンジルエーテル樹脂としてのビニルベンジル化o-クレゾールアラルキル樹脂(VBE−B)を85.6g得た
【0048】
生成物の確認をGPC、赤外線スペクトル(IR)、H核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)で行ったところ、GPCより回収された反応生成物では、原料に由来するピークが消失し、高分子量側に新しいピークが生成していること、IRよりフェノール性水酸基が消失していること、H−NMRで、クロロメチルスチレンに由来するプロトンの共鳴線が消失し、代わりに、5.02ppm付近にベンジルエーテル基に由来するプロトンの共鳴線、5.25ppm、5.77ppm及び6.73ppm付近にビニル基に由来するプロトンの共鳴線を有することが確認され、(VBE-B)が得られていることを確認した。ビニルベンジルエーテル基含有量は98.1%、フェノール性水酸基は検出することはできなかった。また、元素分析により総塩素含有量を測定したところ175ppmであった。さらに、13C−NMRを用いて、200〜204ppmのアルデヒド基に由来するピークを観察したところ、ピークの存在は確認できなかった。GPC測定を行ったところ、クロロメチルスチレンに由来するピークは、観察されなかった。一方、目的の反応生成物に由来する112〜115ppmにビニル基のピークが観察され、かつ、ビニル基の面積値とベンジルエーテル基に由来するメチレン基のピークの面積値及び芳香族領域のピークの面積値とは、H−NMRの結果と良い一致を示した。
また、示差走査熱量計(DSC)により、窒素気流下、昇温速度:10℃/分で熱相転移挙動を測定したところ、結晶に由来する融解ピークは観察されなかった。また、熱天秤(TGA)を使用し、窒素気流下、昇温速度:10℃/分で、熱分解挙動を測定したところ、接線法による熱分解開始温度:406.4℃であり、600℃における炭化物生成量は、29.9wt%であった。これら測定により得られた結果を表2に示した
【0049】
比較例1
温度調節器、攪拌装置、冷却コンデンサーおよび滴下ロートを備えた4つ口フラスコに明和和化成(製)のフェノールアラルキル樹脂(C);フェノール性水酸基のOH当量208g/eq)135.2部(0.65当量)、CMS−AM104.15部(0.682当量)、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド6.25部、2,4−ジニトロフェノール0.1部、メチルイソブチルケトン75部を仕込み攪拌溶解し、液温を105℃にし、50%水酸化ナトリウム水溶液52部(1.0当量)を20分間で滴下し、更に105℃で4時間攪拌を続けた。次に10%塩酸水溶液でフラスコ内を中和した後、トルエン235部を追加し、有機層を975mlの水で3回洗浄した。
【0050】
得られた有機相を蒸留することにより、有機相が145部になるまで濃縮し、メタノール/水=75/25(vol/vol)380部を加えて生成物を再沈殿した。同じ条件の再沈殿をさらに2回繰り返した。得られた樹脂の沈殿を濾過・乾燥し、樹脂(C)とビニルベンジルクロライドとの反応生成物であるポリ(ビニルベンジル)エーテル化合物としてのビニルベンジル化フェノールアラルキル樹脂(VBE−C)を168.34g得た。
【0051】
生成物の確認をGPC、赤外線スペクトル(IR)、H核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)で行ったところ、GPCより回収された反応生成物では、原料に由来するピークが消失し、高分子量側に新しいピークが生成していること、IRよりフェノール性水酸基が消失していること、H−NMRで、クロロメチルスチレンに由来するプロトンの共鳴線が消失し、代わりに、5.02ppm付近にベンジルエーテル基に由来するプロトンの共鳴線、5.25ppm、5.77ppm及び6.73ppm付近にビニル基に由来するプロトンの共鳴線を有することが確認され、(VBE-C)が得られていることを確認した。ビニルベンジルエーテル基含有量は97.3%、フェノール性水酸基は検出することはできなかった。また、元素分析により総塩素含有量を測定したところ200ppmであった。一方、13C−NMR測定に於いて、200〜204ppmのアルデヒド基に由来するピーク面積が、112〜115ppmのビニル基のピーク面積と合計した総ピーク面積に対する比率を求めたところ、12.3%であった。GPC測定を行ったところ、クロロメチルスチレンに由来するピークは、観察されなかった。また、示差走査熱量計(DSC)により、窒素気流下、昇温速度:10℃/分で熱相転移挙動を測定したところ、結晶に由来する融解ピークは観察されなかった。また、熱天秤(TGA)を使用し、窒素気流下、昇温速度:10℃/分で、熱分解挙動を測定したところ、接線法による熱分解開始温度:415.3℃であり、600℃における炭化物生成量は、35.9wt%であった。これら測定により得られた結果を表2に示した。
【0052】
実施例3
実施例2で得られたVBE―A 70gと、重合開始剤としてジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド(日本油脂(株)製、商品名:パークミルP)0.7gをトルエン30gに溶解し硬化性樹脂組成物(ワニスA)を得た。
【0053】
調製したワニスAを金型上に滴下し、80℃で溶媒を減圧下、脱揮除去し、乾燥後、金型を組上げた後、180℃、3MPaの条件で1時間真空加圧プレスを行い、熱硬化させ、得られた厚さ:0.2mmの硬化物シートについて、18.0GHzの誘電率と誘電正接を始めとする諸特性を測定した。また、200℃の空気雰囲気下のオーブン中に1hr放置した後の誘電率と誘電正接を測定し放置前後の誘電率及び誘電正接の変化率を測定した。これら測定により得られた結果を表3に示した。
【0054】
参考例3
参考例2で得られたVBE―B 70gと、重合開始剤としてジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド(日本油脂(株)製、商品名:パークミルP)0.7gをトルエン30gに溶解し硬化性樹脂組成物(ワニスB)を得た。
【0055】
調製したワニスBを金型上に滴下し、80℃で溶媒を減圧下、脱揮除去し、乾燥後、金型を組上げた後、180℃、3MPaの条件で1時間真空加圧プレスを行い、熱硬化させ、得られた厚さ:0.2mmの硬化物シートについて、18.0GHzの誘電率と誘電正接を始めとする諸特性を測定した。また、200℃の空気雰囲気下のオーブン中に1hr放置した後の誘電率と誘電正接を測定し放置前後の誘電率及び誘電正接の変化率を測定した。これら測定により得られた結果を表3に示した。
【0056】
比較例2
比較例1で得られたVBE―C 70gと、重合開始剤としてジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド(日本油脂(株)製、商品名:パークミルP)0.7gをトルエン30gに溶解し硬化性樹脂組成物(ワニスC)を得た。
【0057】
調製したワニスCを金型上に滴下し、80℃で溶媒を減圧下、脱揮除去し、乾燥後、金型を組上げた後、180℃、3MPaの条件で1時間真空加圧プレスを行い、熱硬化させ、得られた厚さ:0.2mmの硬化物シートについて、18.0GHzの誘電率と誘電正接を始めとする諸特性を測定した。また、200℃の空気雰囲気下のオーブン中に1hr放置した後の誘電率と誘電正接を測定し放置前後の誘電率及び誘電正接の変化率を測定した。これら測定により得られた結果を表3に示した。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
図1