特開2015-189959(P2015-189959A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-189959(P2015-189959A)
(43)【公開日】2015年11月2日
(54)【発明の名称】架橋体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/50 20060101AFI20151006BHJP
   C08F 297/02 20060101ALI20151006BHJP
【FI】
   C08G59/50
   C08F297/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-70588(P2014-70588)
(22)【出願日】2014年3月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000001085
【氏名又は名称】株式会社クラレ
(74)【代理人】
【識別番号】100109508
【弁理士】
【氏名又は名称】菊間 忠之
(72)【発明者】
【氏名】川崎 雅洋
(72)【発明者】
【氏名】中村 英慈
【テーマコード(参考)】
4J026
4J036
【Fターム(参考)】
4J026HA11
4J026HA26
4J026HA32
4J026HA39
4J026HA43
4J026HB11
4J026HB26
4J026HB32
4J026HB39
4J026HB45
4J026HB48
4J026HC11
4J026HC26
4J026HC32
4J026HC39
4J026HC44
4J026HC45
4J026HC48
4J026HE02
4J036AA01
4J036AB01
4J036AB02
4J036AB07
4J036AD01
4J036AD07
4J036AD08
4J036AF01
4J036AF05
4J036AF06
4J036AF07
4J036AF08
4J036AH04
4J036AH07
4J036AJ01
4J036DC04
4J036DC21
4J036FB03
4J036HA11
4J036HA12
4J036JA06
4J036JA07
4J036JA08
4J036JA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】耐候性、柔軟性、弾性および耐熱性に優れる架橋体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】(メタ)アクリル酸エステル単位(a)からなる重合体ブロック(A)、および(メタ)アクリル酸エステル単位(b’)からなる重合体ブロック(B’)を有し、且つ(メタ)アクリル酸エステル単位(a)が(メタ)アクリル酸エステル単位(b’)と異なる構造の単位であるブロック共重合体(C)にアミン化合物を反応させて、変性アクリル系ブロック共重合体を得、次いで、変性アクリル系ブロック共重合体に多官能エポキシ化合物を反応させることを含む方法によって、弾性、柔軟性、耐熱性などに優れる架橋体を得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸エステル単位(a)を有する重合体ブロック(A)、および(メタ)アクリル酸エステル単位(b)と(メタ)アクリルアミド単位(c)または(メタ)アクリル酸エステル単位(b)と(メタ)アクリルアミド単位(c)とビス((メタ)アクリル)アミド単位(d)とを有する重合体ブロック(B)を有し、 (メタ)アクリル酸エステル単位(b)が(メタ)アクリル酸エステル単位(a)と異なる構造の単位であり、且つ数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)が1.0〜1.5である、変性アクリル系ブロック共重合体と、
多官能エポキシ化合物と
を含有する重合体組成物。
【請求項2】
変性アクリル系ブロック共重合体は、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)が1.0〜1.5である、請求項1に記載の重合体組成物。
【請求項3】
(メタ)アクリルアミド単位(c)が式(I)で表わされる単位であり、ビス((メタ)アクリル)アミド単位(d)が式(II)で表わされる単位である、請求項1または2に記載の重合体組成物。



(式(I)および(II)中、R3は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基、シリル基、アミノ基、シラニル基、置換基を有してもよい脂環基、置換基を有してもよい複素環基、または置換基を有してもよい芳香環基を示す。R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を示す。)
【請求項4】
(メタ)アクリル酸エステル単位(b)100モル部に対して、(メタ)アクリルアミド単位(c)、または(メタ)アクリルアミド単位(c)とビス((メタ)アクリル)アミド単位(d)の合計量が1〜80モル部である請求項1〜3のいずれかひとつに記載の重合体組成物。
【請求項5】
変性アクリル系ブロック共重合体が、1個以上の重合体ブロック(A)および2個以上の重合体ブロック(B)を有するものである、請求項1〜4のいずれかひとつに記載の重合体組成物。
【請求項6】
(メタ)アクリル酸エステル単位(a)がアクリル酸エステル単位である請求項1〜5のいずれかひとつに記載の重合体組成物。
【請求項7】
(メタ)アクリル酸エステル単位(b)がメタクリル酸メチル単位である請求項1〜6のいずれかひとつに記載の重合体組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかひとつに記載の重合体組成物を反応させてなる架橋体。
【請求項9】
(メタ)アクリル酸エステル単位(a)からなる重合体ブロック(A)、および(メタ)アクリル酸エステル単位(b’)からなる重合体ブロック(B’)を有し、且つ(メタ)アクリル酸エステル単位(a)が(メタ)アクリル酸エステル単位(b’)と異なる構造の単位であるブロック共重合体(C)にアミン化合物を反応させて、変性アクリル系ブロック共重合体を得、
次いで、変性アクリル系ブロック共重合体に多官能エポキシ化合物を反応させることを含む、架橋体の製造方法。
【請求項10】
ブロック共重合体(C)とアミン化合物との反応をは、ブロック共重合体(C)とアミン化合物との混合物をブロック共重合体(C)の軟化点以上の温度にすることによって行い、且つ
変性アクリル系ブロック共重合体と多官能エポキシ化合物との反応は、変性アクリル系ブロック共重合体と多官能エポキシ化合物との混合物を室温以上の温度にすることによって行う、請求項9に記載の架橋体の製造方法。
【請求項11】
ブロック共重合体(C)が、1個以上の重合体ブロック(A)および2個以上の重合体ブロック(B’)を有するものである、請求項9または10に記載の架橋体の製造方法。
【請求項12】
(メタ)アクリル酸エステル単位(a)がアクリル酸アルキルエステル単位である請求項9〜11のいずれかひとつに記載の架橋体の製造方法。
【請求項13】
(メタ)アクリル酸エステル単位(b’)がメタクリル酸メチル単位である請求項9〜12のいずれかひとつに記載の架橋体の製造方法。
【請求項14】
ブロック共重合体(C)に反応させるアミン化合物が(メタ)アクリル酸エステル単位(b)100モル部に対して2〜100モル部であり、且つ
変性アクリル系ブロック共重合体に反応させる多官能エポキシ化合物が(メタ)アクリル酸エステル単位(b)100モル部に対して2〜100モル部である、請求項9〜13のいずれかひとつに記載の架橋体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋体およびその製造方法に関する。より詳細に、本発明は、耐候性、柔軟性、弾性および耐熱性に優れる架橋体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
接着剤、界面活性剤、電子部材、産業用部材、日用品用部材などに使用される樹脂としてアクリル系ブロック共重合体が知られている。
たとえば、特許文献1は、(メタ)アクリル酸エステル重合体と、水酸基含有(メタ)アクリレート系モノマー単位を有するトリブロック共重合体と、イソシアネート系架橋剤とを含有する粘着剤組成物を開示している。
【0003】
特許文献2は、芳香性を有する置換基及び塩基性の窒素原子を有する置換基を側鎖に含む非水溶性構造の重合体ブロックAと(メタ)アクリルアミドのホモポリマーまたは水溶性の(メタ)アクリルアミド及び他のモノマーのコポリマーからなる重合体ブロックBとを有するブロック共重合体、および未反応のエポキシ樹脂を含有する硬化性組成物、並びに該硬化性組成物を熱硬化させて成る硬化物を開示している。
【0004】
特許文献3は、メタクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)からなるアクリル系ブロック共重合体(A)と、架橋剤(B)からなり、アクリル系ブロック共重合体(A)がメタクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)のうち少なくとも一方の重合体ブロックにエポキシ基を有し、且つ架橋剤(B)が1分子中に少なくとも1.1個以上のカルボキシル基および/または酸無水物基を有する、熱可塑性エラストマー組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−102276号公報
【特許文献2】特開2012−57146号公報
【特許文献3】特開2010−254761号公報
【特許文献4】特開昭60−210606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献などに開示されるアクリル系ブロック共重合体を含有する組成物などは耐熱性が不十分であり、高温条件下で使用することが難しい。メタクリル樹脂の透明性を維持したまま、耐熱性を向上させる手法として、特許文献4は、メタクリル樹脂と、R−NH2で表わされる物質とを、非重合性溶媒の存在下に、100℃以上350℃未満の温度で反応させ、得られた反応生成物から揮発性物質を分離除去することを有するメタクリルイミド含有重合体の製造方法を開示している。ところが、この方法で得られるメタクリルイミド含有重合体は柔軟性や弾性に乏しい。
本発明の目的は、耐候性、柔軟性、弾性および耐熱性に優れる架橋体およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく検討を重ねた結果、以下の態様を包含する本発明を完成するに至った。
【0008】
〔1〕(メタ)アクリル酸エステル単位(a)を有する重合体ブロック(A)、および(メタ)アクリル酸エステル単位(b)と(メタ)アクリルアミド単位(c)または(メタ)アクリル酸エステル単位(b)と(メタ)アクリルアミド単位(c)とビス((メタ)アクリル)アミド単位(d)とを有する重合体ブロック(B)を有し、 (メタ)アクリル酸エステル単位(b)が(メタ)アクリル酸エステル単位(a)と異なる構造の単位であり、且つ数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)が1.0〜1.5である、変性アクリル系ブロック共重合体と、
多官能エポキシ化合物と
を含有する重合体組成物。
【0009】
〔2〕変性アクリル系ブロック共重合体は、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)が1.0〜1.5である、〔1〕に記載の重合体組成物。
〔3〕(メタ)アクリルアミド単位(c)が式(I)で表わされる単位であり、ビス((メタ)アクリル)アミド単位(d)が式(II)で表わされる単位である、〔1〕または〔2〕に記載の重合体組成物。
【0010】
【化1】
【0011】
【化2】

(式(I)および(II)中、R3は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基、シリル基、アミノ基、シラニル基、置換基を有してもよい脂環基、置換基を有してもよい複素環基、または置換基を有してもよい芳香環基を示す。R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を示す。)
【0012】
〔4〕(メタ)アクリル酸エステル単位(b)100モル部に対して、(メタ)アクリルアミド単位(c)、または(メタ)アクリルアミド単位(c)とビス((メタ)アクリル)アミド単位(d)の合計量が1〜80モル部である、〔1〕〜〔3〕のいずれかひとつに記載の重合体組成物。
〔5〕変性アクリル系ブロック共重合体が、1個以上の重合体ブロック(A)および2個以上の重合体ブロック(B)を有するものである、〔1〕〜〔4〕のいずれかひとつに記載の重合体組成物。
〔6〕(メタ)アクリル酸エステル単位(a)がアクリル酸エステル単位である、〔1〕〜〔5〕のいずれかひとつに記載の重合体組成物。
〔7〕(メタ)アクリル酸エステル単位(b)がメタクリル酸メチル単位である、〔1〕〜〔6〕のいずれかひとつに記載の重合体組成物。
【0013】
〔8〕前記の〔1〕〜〔7〕のいずれかひとつに記載の重合体組成物を反応させてなる架橋体。
【0014】
〔9〕(メタ)アクリル酸エステル単位(a)からなる重合体ブロック(A)、および(メタ)アクリル酸エステル単位(b’)からなる重合体ブロック(B’)を有し、且つ(メタ)アクリル酸エステル単位(a)が(メタ)アクリル酸エステル単位(b’)と異なる構造の単位であるブロック共重合体(C)にアミン化合物を反応させて、変性アクリル系ブロック共重合体を得、
次いで、変性アクリル系ブロック共重合体に多官能エポキシ化合物を反応させることを含む、架橋体の製造方法。
〔10〕ブロック共重合体(C)とアミン化合物との反応をは、ブロック共重合体(C)とアミン化合物との混合物をブロック共重合体(C)の軟化点以上の温度にすることによって行い、且つ
変性アクリル系ブロック共重合体と多官能エポキシ化合物との反応は、変性アクリル系ブロック共重合体と多官能エポキシ化合物との混合物を室温以上の温度にすることによって行う、〔9〕に記載の架橋体の製造方法。
【0015】
〔11〕ブロック共重合体(C)が、1個以上の重合体ブロック(A)および2個以上の重合体ブロック(B’)を有するものである、〔9〕または〔10〕に記載の架橋体の製造方法。
〔12〕(メタ)アクリル酸エステル単位(a)がアクリル酸アルキルエステル単位である、〔9〕〜〔11〕のいずれかひとつに記載の架橋体の製造方法。
〔13〕(メタ)アクリル酸エステル単位(b’)がメタクリル酸メチル単位である〔9〕〜〔12〕のいずれかひとつに記載の架橋体の製造方法。
〔14〕ブロック共重合体(C)に反応させるアミン化合物が(メタ)アクリル酸エステル単位(b)100モル部に対して2〜100モル部であり、且つ
変性アクリル系ブロック共重合体に反応させる多官能エポキシ化合物が(メタ)アクリル酸エステル単位(b)100モル部に対して2〜100モル部である、〔9〕〜〔13〕のいずれかひとつに記載の架橋体の製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る重合体組成物は、良好な耐候性および柔軟性などを具備する上に、優れた耐熱性を具える架橋体を提供することができる。本発明に係る架橋体は、電子部材、産業用部材、日用品用部材などに使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の重合体組成物は、変性アクリル系ブロック共重合体と、多官能エポキシ化合物とを含有するものである。
【0018】
本発明に用いられる変性アクリル系ブロック共重合体は、重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)とを有するものである。重合体ブロック(A)は(メタ)アクリル酸エステル単位(a)を有するものである。重合体ブロック(B)は、(メタ)アクリル酸エステル単位(b)と(メタ)アクリルアミド単位(c)とを有するもの、またはアクリル酸エステル単位(b)と(メタ)アクリルアミド単位(c)とビス((メタ)アクリル)アミド単位(d)とを有するものである。
【0019】
重合体ブロック(A)に有する(メタ)アクリル酸エステル単位(a)は、(メタ)アクリル酸エステルの付加重合反応によって形成される単位である。(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸s−ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ラウリル等のアクリル酸アルキルエステル;アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニルなどのアクリル酸シクロアルキルエステル;アクリル酸フェニル等のアクリル酸アリールエステル;アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸アラルキルエステル;アクリル酸グリシジル、アクリル酸アリル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、アクリル酸トリフルオロエチル、アクリル酸トリメチルシリル等; メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル等のメタクリル酸シクロアルキルエステル;メタクリル酸フェニル等のメタクリル酸アリールエステル;メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アラルキルエステル;メタクリル酸グリシジル;メタクリル酸アリル;メタクリル酸トリメチルシリル;メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル等を挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル単位(a)としては、アクリル酸アルキルエステル単位が好ましく、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルがより好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単位(a)の量が、重合体ブロック(A)中において、好ましくは95モル%以上、より好ましくは99モル%以上である。
【0020】
重合体ブロック(A)に有することがある(メタ)アクリル酸エステル単位(a)以外の単量体単位としては、スチレンなどの芳香族ビニル単位、エチレン、プロピレンなどのα−オレフィン単位、ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン単位などを挙げることができる。
【0021】
重合体ブロック(B)に有する(メタ)アクリル酸エステル単位(b)は、(メタ)アクリル酸エステルの付加重合反応によって形成される単位である。(メタ)アクリル酸エステルとしては(メタ)アクリル酸エステル単位(a)の説明において示したものと同じものを挙げることができる。(メタ)アクリル酸エステル単位(b)は(メタ)アクリル酸エステル単位(a)と異なる構造の単位である。(メタ)アクリル酸エステル単位(b)としては、メタクリル酸アルキルエステル単位が好ましく、メタクリル酸メチル単位がより好ましい。
【0022】
重合体ブロック(B)に有する(メタ)アクリルアミド単位(c)は(メタ)アクリルアミドの付加重合反応によって形成される単位と同じ構造を成す単位である。
ビス((メタ)アクリル)アミド単位(d)は、ビス((メタ)アクリル)アミドの付加重合反応によって形成される単位と同じ構造を成す単位である。ビス((メタ)アクリル)アミド単位(d)は一本の分子鎖の中に隣り合って有してもよいし、二本の分子鎖の間または一本の分子鎖の離れた場所の間を架橋する形態で有してもよい。
【0023】
(メタ)アクリルアミド単位(c)は、好ましくは式(I)で表わされる単位である。
ビス((メタ)アクリル)アミド単位(d)は、好ましくは式(II)で表わされる単位である。
【0024】
【化3】
【0025】
【化4】
【0026】
式(I)および(II)中、R3は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基、シリル基、アミノ基、シラニル基、置換基を有してもよい脂環基、置換基を有してもよい複素環基、または置換基を有してもよい芳香環基を示す。R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を示す。
置換基を有してもよいアルキル基としては、t−ブチル基、ペンチル基、アルコキシ基含有アルキル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシカルボニルエチル基、アリル基、N,N−ジメチルアミノメチル基、アミノメチル基などを挙げることができる。
アミノ基としては、例えば、NH2基、メチルアミノ基、エチルアミノ基などのモノアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などのジアルキルアミノ基、1−ピロリジニル基、1−ピペリジニル基などの環状アミノ基などを挙げることができる。
置換基を有してもよい脂環基としては、シクロペンタニル基、シクロヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エ二ル基、2−エテニルビシクロ[2.2.1]ヘプタニル基、N,N−ジメチルアミノ−シクロヘキシル基、t−ブチル−シクロヘキシル基などを挙げることができる。
置換基を有してもよい複素環基としては、エポキシ基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロ−2H−ピラニル基、4−メチル−2−ピペリジル基、ピリジニル基、4−メチル−ピリジニル基などを挙げることができる。
置換基を有してもよい芳香環基としては、フェニル基、ナフチル基、4−メチルフェニル基、4−エテニルフェニル基などを挙げることができる。
(メタ)アクリル酸エステル単位(b)、(メタ)アクリルアミド単位(c)およびビス((メタ)アクリル)アミド単位(d)の合計量が、重合体ブロック(B)中において、好ましくは95モル%以上、より好ましくは99モル%以上である。
【0027】
重合体ブロック(B)に有することがある(メタ)アクリル酸エステル単位(b)、(メタ)アクリルアミド単位(c)およびビス((メタ)アクリル)アミド単位(d)以外の単量体単位としては、スチレンなどの芳香族ビニル単位、エチレン、プロピレンなどのα−オレフィン単位、ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン単位などを挙げることができる。
【0028】
本発明に用いられる変性アクリル系ブロック共重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単位(b)100モル部に対して、(メタ)アクリルアミド単位(c)および/またはビス((メタ)アクリル)アミド単位(d)の総量が、好ましくは0.01〜100モル部、より好ましくは0.1〜90モル部、さらに好ましくは1〜80モル部である。
【0029】
本発明に用いられる変性アクリル系ブロック共重合体は、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)が、通常、1.0〜1.5、好ましくは1.0〜1.3である。
【0030】
本発明に用いられる変性アクリル系ブロック共重合体は、重合体ブロック(B)の合計質量に対する重合体ブロック(A)の合計質量の比が、好ましくは1〜99、より好ましくは5〜95である。
【0031】
本発明に用いられる変性アクリル系ブロック共重合体は、重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)との結合形態によって、特に限定されない。例えば、A−Bジブロック共重合体、A−(B−A)n、B−(A−B)nなどのような直線型ブロック共重合体、(A−B−)mX、(B−A−)mXなどのような星型ブロック共重合体、A−g−Bなどのようなグラフト型ブロック共重合体などを挙げることができる。gはグラフト結合を示す。Xはカップリング剤残基を示す。本発明に係る変性アクリル系ブロック共重合体は、1個以上の重合体ブロック(A)および2個以上の重合体ブロック(B)を有するものが好ましい。
【0032】
本発明に用いられる変性アクリル系ブロック共重合体の製造方法は、(メタ)アクリル酸エステル単位(a)からなる重合体ブロック(A)および(メタ)アクリル酸エステル単位(b’)からなる重合体ブロック(B’)を有し、且つ(メタ)アクリル酸エステル単位(a)が(メタ)アクリル酸エステル単位(b’)と異なる構造の単位であるブロック共重合体(C)にアミン化合物を反応させて、(メタ)アクリル酸エステル単位(b’)の一部を、(メタ)アクリルアミド単位(c)および/またはビス((メタ)アクリル)アミド単位(d)に転化することを含む製造方法である。なお、ビス((メタ)アクリル)アミド単位は、(メタ)アクリルアミド単位(c)と(メタ)アクリル酸エステル単位(b’)とが反応することによって形成される。
【0033】
(メタ)アクリル酸エステル単位(b’)は、(メタ)アクリル酸エステルの付加重合反応によって形成される単位である。(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸エステル単位(a)の説明において示したものと同じものを挙げることができる。
【0034】
ブロック共重合体(C)は、その製造方法によって特に制限されないが、本発明に適した分子量分布の狭いブロック共重合体が得られるという点で、リビング重合法が好ましい。リビング重合法の中では、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として用い、有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法が、比較的緩和な温度条件下で、より分子量分布が狭く且つ残存単量体が少ないブロック共重合体を製造できるのでより好ましい。
【0035】
例えば、重合系にまず(メタ)アクリル酸エステル(b’)を供給してそのリビングポリマーを生成させ、次に(メタ)アクリル酸エステル(a)を供給して該リビングポリマーの活性アニオン末端に連結重合させることによって、B’−Aジブロック共重合体を製造することができる。なお、最初に(メタ)アクリル酸エステル(a)を供給して重合を行い、続いて(メタ)アクリル酸エステル(b’)を供給して重合を行っても、A−B’ジブロック共重合体を製造することができる。
【0036】
また、例えば、重合系にまず(メタ)アクリル酸エステル(b’)を供給してそのリビングポリマーを形成させ、次に(メタ)アクリル酸エステル(a)を供給して該リビングポリマーの活性アニオン末端に連結・重合させてブロックB’−ブロックAのジブロック共重合体(ブロックA側に活性アニオン末端を有するリビングポリマー)を形成させ、更に(メタ)アクリル酸エステル(b’)を供給して前記ジブロック共重合体の活性アニオン末端に該(メタ)アクリル酸エステル(b’)を連結・重合させて、ブロックB’−ブロックA−ブロックB’のトリブロック共重合体を製造することができる。
【0037】
前記のトリブロック共重合体の製造において、重合系への(メタ)アクリル酸エステル(a)と(メタ)アクリル酸エステル(b’)の供給順序を逆にすると、ブロックA−ブロックB’−ブロックAのトリブロック共重合体を製造できる。
また、この方法において、重合系への(メタ)アクリル酸エステル(a)と(メタ)アクリル酸エステル(b’)の逐次(交互)供給回数を4以上として、4段階以上の重合工程を逐次的に行うことによって、ブロックA−ブロックB’−ブロックA−ブロックB’のテトラブロック共重合体、ブロックAとブロックB’とが合計で5個以上交互に結合したペンタブロック以上のブロック共重合体を製造することができる。
【0038】
ブロック共重合体(C)は、各重合体ブロックの分子量およびブロック共重合体(C)全体の分子量によって、特に制限されない。変性アクリル系ブロック共重合体の用途等に応じて、ブロック共重合体(C)の分子量等は適宜設定することができる。一般には、重合体ブロック(A)の数平均分子量が500〜500000であり、重合体ブロック(B’)の数平均分子量が500〜500000であり、ブロック共重合体(C)全体の数平均分子量が1000〜1000000であることが、変性アクリル系ブロック共重合体の成形性、取り扱い性、力学的特性、他の重合体(例えばアクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂等)との相容性、微分散性、接着性、粘着性等の点から好ましい。また、ブロック共重合体(C)は、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)によって特に制限されないが、変性アクリル系ブロック共重合体のMw/Mnを前記した範囲にするために、ブロック共重合体(C)のMw/Mnは1.0〜1.5であることが好ましい。
【0039】
ブロック共重合体(C)に反応させ得るアミン化合物は、好ましくは1級アミン、より好ましくは式(1)で表わされる化合物である。
【0040】
【化5】
(式(1)中、R3は、置換基を有してもよいアルキル基、シリル基、アミノ基、シラニル基、置換基を有してもよい脂環基、置換基を有してもよい複素環基、または置換基を有してもよい芳香環基を示す。)
【0041】
当該アミン化合物の具体例としては、6−ヒドロキシヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、4−(N,N−ジメチルアミン)−シクロヘキシルアミン、アリルアミン、4−アリル−4−メチルピペリジン、4−(3−ブテン−1−イル)−ピペリジン、4−アミノメチルピペリジン、モルフォリン、2−オキソピロリジン、ピペリジン、ピロリジン、4−t−ブチルシクロヘキシルアミン、4−(イソプロピルアミノ)エタノール、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、などを挙げることができる。
【0042】
アミン化合物とブロック共重合体(C)との反応は、ブロック共重合体(C)とアミン化合物との混合物をブロック共重合体(C)の軟化点以上の温度にすることによって行うことが好ましい。軟化点以上の温度にするために、溶融混練や加熱圧縮や溶液撹拌などを行うことができる。溶融混練には、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどの公知の混練機を用いることができる。なかでも、混練中の剪断力が大きく連続運転が可能な二軸押出機を使用するのが好ましい。溶融混練時間は好ましくは30秒間〜30分間である。
【0043】
アミン化合物の添加量は適宜決定すればよく、(メタ)アクリル酸エステル単位(b’)100モル部に対して、好ましくは1〜300モル部、より好ましくは2〜100モル部である。アミン化合物による転化反応の割合はH−NMR、FT−IR等を用いて確認することができる。
【0044】
転化反応を進行させ、且つ、過剰な熱履歴による樹脂の分解、着色等を抑制する為に、反応時の温度は、好ましくは150〜400℃、より好ましくは180〜300℃、さらに好ましくは200〜280℃である。
【0045】
アミン化合物とブロック共重合体(C)との反応によって、(メタ)アクリル酸エステル(b’)の一部または全部が、(メタ)アクリルアミド単位(c)またはビス((メタ)アクリル)アミド単位(d)に転化される。(メタ)アクリルアミド単位(c)またはビス((メタ)アクリル)アミド単位(d)の構造は、反応させるアミン化合物の構造に依存する。よって、例えば、ヒドロキシル基、アリル基、アミノ基、エポキシ基などの官能基を有するアミン化合物を用いることによって、ブロック共重合体(C)にそれら官能基を導入することができる。
【0046】
本発明に用いられる多官能エポキシ化合物は、一分子内にエポキシ基を2以上有する化合物であれば、特に制限されない。
多官能エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ポリフェノール型エポキシ化合物、環状脂肪族エポキシ化合物、脂肪族グリシジルエーテル系エポキシ化合物、グリシジルエステル系エポキシ化合物、グリシジルジアミン系エポキシ化合物、複素環式エポキシ化合物、環状脂肪族エポキシ化合物、エポキシアクリレート重合体;ジグリシジルアニリン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノエチル)シクロヘキサン;グリセリンジグリシジルエーテル、 ジグリシジルテレフタレート、ジグリシジルオルトフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、4官能窒化エポキシ、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレンジグリシジルエーテル、ビスフェノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、水添BP−Aジグリシジルエーテル、2、2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0047】
市販の多官能エポキシ化合物としては、ジシクロペンタジエンを骨格とする3官能のエポキシ化合物(商品名「XD−1000」日本化薬社製)、[2,2−ビス(ヒドロキシメチル)1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物(シクロヘキサン骨格及び末端エポキシ基を有する15官能の脂環式エポキシ樹脂、商品名「EHPE3150」ダイセル化学工業社製)、エポキシ化3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス(3−シクロヘキセニルメチル)修飾ε−カプロラクトン(脂肪族環状3官能のエポキシ樹脂、商品名「エポリードGT301」ダイセル化学工業社製)、エポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス(3−シクロヘキセニルメチル)修飾ε−カプロラクトン(脂肪族環状4官能のエポキシ樹脂、商品名「エポリードGT401」ダイセル化学工業社製)等の脂環構造を有するエポキシ化合物;芳香族アミン型多官能エポキシ化合物(商品名「H−434」東都化成工業社製)、クレゾールノボラック型多官能エポキシ化合物(商品名「EOCN−1020」日本化薬社製)、フェノールノボラック型多官能エポキシ化合物(商品名「エピコート152」、「エピコート154」ジャパンエポキシレジン社製)、ナフタレン骨格を有する多官能エポキシ化合物(商品名「EXA−4700」大日本インキ化学株式会社製)、鎖状アルキル多官能エポキシ化合物(商品名「SR−TMP」坂本薬品工業社製)、多官能エポキシポリブタジエン(商品名「エポリードPB3600」ダイセル化学工業社製)、グリセリンのグリシジルポリエーテル化合物(商品名「SR−GLG」阪本薬品工業株式会社製)、ジグリセリンポリグリシジルエーテル化合物(商品名「SR−DGE」阪本薬品工業株式会社製)、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル化合物(商品名「SR−4GL」阪本薬品工業株式会社製)等の脂環構造を有さないエポキシ化合物;4官能窒化エポキシ(例えば、三菱瓦斯化学社製のTETRAD−D)などが挙げられる。
【0048】
多官能エポキシ化合物は、変性アクリル系ブロック共重合体中の(メタ)アクリルアミド単位(c)とビス((メタ)アクリル)アミド単位(d)の合計モル数(Ma)に対して、多官能エポキシ化合物中のエポキシ基の総モル数(Me)の割合(Me/Ma)が、好ましくは0.01〜10、より好ましくは0.1〜1となる量で、重合体組成物に含有させることができる。
【0049】
本発明に係る架橋体は、前述の重合体組成物を反応させて成るものである。また、本発明に係る架橋体は、前述の変性アクリル系ブロック共重合体と多官能エポキシ化合物とを反応させてなるものである。
多官能エポキシ化合物と変性アクリル系ブロック共重合体との反応は、例えば、変性アクリル系ブロック共重合体と多官能エポキシ化合物とを混ぜ合わせ、室温以上に保持することによって行うことができる。混合の際に溶媒を使用することができる。用いられる溶媒は、多官能エポキシ化合物と変性アクリル系ブロック共重合体とを溶解可能なものであれば特に限定されない。
【0050】
本発明に係る架橋体を粘接着剤として用いる場合は、重合体組成物または架橋体に粘着付与樹脂をさらに含有させることが好ましい。粘着付与樹脂を含有させると、タック、接着力および保持力の調節が容易となる。上記粘着付与樹脂としては、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等の天然樹脂;石油樹脂およびそれの水素添加物、スチレン系樹脂、クマロン−インデン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂等の合成樹脂等が挙げられる。
【0051】
上記ロジン系樹脂としては、例えば、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン等のロジン;水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等の変性ロジン;これらロジン、変性ロジンのグリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル等のロジンエステル等が挙げられる。
【0052】
上記テルペン系樹脂としては、例えば、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン等を主体とするテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。
上記石油樹脂およびそれの水素添加物としては、例えば、脂肪族系(C5系)石油樹脂およびそれの水素添加物、芳香族系(C9系)石油樹脂およびそれの水素添加物、共重合系(C5/C9系)石油樹脂およびそれの水素添加物、ジシクロペンタジエン系石油樹脂およびそれの水素添加物、脂環式飽和炭化水素樹脂等が挙げられる。
上記スチレン系樹脂としては、例えば、ポリαメチルスチレン、αメチルスチレン/スチレン共重合体、スチレン系モノマー/脂肪族系モノマー共重合体、スチレン系モノマー/αメチルスチレン/脂肪族系モノマー共重合体、スチレン系モノマー共重合体、スチレン系モノマー/芳香族系モノマー共重合体等が挙げられる。
【0053】
上記粘着付与樹脂の中でも、高い接着力を発現する点で、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、石油樹脂、石油樹脂水素添加物およびスチレン系樹脂が好ましく、特に、耐熱性と透明性に優れる点で、石油樹脂、石油樹脂水素添加物およびスチレン系樹脂がより好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。また、上記粘着付与樹脂の軟化点については、高い接着力を発現する点から、50℃〜150℃のものが好ましい。
【0054】
粘着付与樹脂の配合量は、粘着剤の用途、被着体の種類等に応じて適宜設定することができるが、接着力の向上および塗工性の改良という観点から、変性アクリル系ブロック共重合体100質量部に対して、好ましくは1質量部以上400質量部以下、より好ましくは10質量部以上150質量部以下である。
【0055】
本発明に係る架橋体を粘着剤として用いる場合は、重合体組成物または架橋体に可塑剤をさらに含有することが好ましい。可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレ−ト、ジn−オクチルフタレ−ト、ビス2−エチルヘキシルフタレ−ト、ジn−デシルフタレ−ト、ジイソデシルフタレ−ト等のフタル酸エステル類、ビス2−エチルヘキシルアジペ−ト、ジn−オクチルアジペ−ト等のアジピン酸エステル類、ビス2−エチルヘキシルセバケ−ト、ジn−ブチルセバケ−ト等のセバシン酸エステル類、ビス2−エチルヘキシルアゼレ−ト等のアゼライン酸エステル類等の脂肪酸エステル類;塩素化パラフィン等のパラフィン類;ポリプロピレングリコ−ル等のグリコ−ル類;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ系高分子可塑剤;トリオクチルホスフェ−ト、トリフェニルホスフェ−ト等のリン酸エステル類;トリフェニルホスファイト等の亜リン酸エステル類;アジピン酸と1,3−ブチレングリコ−ルとのエステル化物等のエステルオリゴマ−類;ポリ(メタ)アクリル酸n−ブチル、ポリ(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル系オリゴマー;ポリブテン;ポリイソブチレン;ポリイソプレン;プロセスオイル;ナフテン系オイル等が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0056】
可塑剤の配合量は、粘着剤の用途、被着体の種類等に応じて適宜設定することができるが、接着力を維持する点から、変性アクリル系ブロック共重合体100質量部に対して、好ましくは1質量部以上400質量部以下、より好ましくは10質量部以上150質量部以下である。
【0057】
本発明に係る重合体組成物または架橋体には、通常の樹脂に添加することができる添加剤を、適宜含有させることができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色剤、収縮防止剤、光安定剤、防曇剤、顔料、難燃剤、ブロッキング防止剤、充填剤などを挙げることができる。
【0058】
充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、クレー、合成珪素、酸化チタン、カーボンブラック、硫酸バリウム、マイカ、ガラス繊維、ウィスカー、炭素繊維、炭酸マグネシウム、ガラス粉末、金属粉末、カオリン、グラファイト、二硫化モリブデン、酸化亜鉛などを挙げることができる。
【0059】
本発明に係る重合体組成物または架橋体は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の熱可塑性重合体と混ぜ合わせて用いることができる。他の熱可塑性重合体としては、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド6・6、ポリアミド6・10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6・12、ポリヘキサメチレンジアミンテレフタルアミド、ポリヘキサメチレンジアミンイソフタルアミド、キシレン基含有ポリアミドなどのポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマーなどのポリオキシメチレン系樹脂;スチレン単独重合体、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂などのスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;エチレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴム(EPDM)などのエチレン系エラストマー;スチレン・ブタジエン共重合体ゴム、スチレン・イソプレン共重合体ゴムなどのスチレン系エラストマーおよびその水素添加物またはその変性物;天然ゴム;合成イソプレンゴム、液状ポリイソプレンゴムおよびその水素添加物または変性物;クロロプレンゴム;アクリルゴム;ブチルゴム;アクリロニトリル・ブタジエンゴム;エピクロロヒドリンゴム;シリコーンゴム;フッ素ゴム;クロロスルホン化ポリエチレン;ウレタンゴム;ポリウレタン系エラストマー;ポリアミド系エラストマー;ポリエステル系エラストマー;軟質塩化ビニル樹脂などを挙げることができる。
【0060】
本発明に係る重合体組成物または架橋体は、例えば、射出成形法、押出成形法、インフレーション成形法、Tダイフィルム成形法、ラミネート成形法、ブロー成形法、中空成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法、溶液塗工法、ホットメルト塗工法などの方法により各種成形品に形成することができる。
【0061】
本発明に係る重合体組成物または架橋体から形成される成形品は、各種用途に用いることができる。例えば、インストルメンタルパネル、センターパネル、センターコンソールボックス、ドアトリム、ピラー、アシストグリップ、ハンドル、エアバックカバー、エアダクトなどの自動車内装部品;ウェザーストリップ、バンパー、モール、グラスランチャンネルなどの自動車外装部品;掃除機のバンパー、リモコンスイッチ、OA機器の各種キートップ、テレビ、ステレオなどの家電部品;水中眼鏡、水中カメラカバーなどの水中使用製品;各種カバー部品、密閉、防水、防音、防振などを目的とする各種パッキン付き工業部品;ラック、ピニオンブーツ、サスペンションブーツ、等速ジョイントブーツなどの自動車機能部品;ベルト、ホース、チューブ;電線被覆、消音ギヤなどの電気、電子部品;スポーツ用品;雑貨品;文房具;ドア、窓枠材などの建築用資材;各種継手;バルブ部品;医療用シリンジのガスケット、バッグ、チューブなどの医療用品;ホットメルトシーリング材;粘着材;接着剤;糸ゴム、伸縮性フィルムなどの伸縮性材料;ワイヤー、ケーブル、カメラやVTR、プロジェクター用の撮影レンズやファインダー、フィルター、プリズム、フレネルレンズ等の映像分野部品;CDプレイヤーやDVDプレイヤー、MDプレイヤーなどの光ディスク用ピックアップレンズ等のレンズ部品;CDプレイヤーやDVDプレイヤー、MDプレイヤー等の光ディスク用の光記録部品;液晶用導光板、偏光子保護フィルムや位相差フィルム等の液晶ディスプレイ用フィルム、表面保護フィルム等の情報機器部品;光ファイバ、光スイッチ、光コネクター等の光通信部品;自動車ヘッドライトやテールランプレンズ、インナーレンズ、計器カバー、サンルーフ等の車両部品;眼鏡やコンタクトレンズ、内視境用レンズ、滅菌処理の必要な医療用品等の医療機器部品;道路透光板、ペアガラス用レンズ、採光窓やカーポート、照明用レンズや照明カバー、建材用サイジング等の建築・建材部品;電子レンジ調理容器(食器)、家電製品のハウジング、玩具、サングラス、文房具、などを挙げることができる。
【0062】
重合体組成物または架橋体は、粘接着製品の接着層として用いられる。粘着層は、通常、基材上に形成される。基材としては、フィルム状、シ−ト状、テ−プ状またはその他の所望の形状を有する紙、紙ボ−ド、セロハン、有機重合体フイルム・シ−ト、布、木材、金属等が挙げられる。
【0063】
本発明の粘接着製品としては、例えば、粘着シ−ト(粘着フィルムを包含する)、粘着テ−プ、感圧性テ−プ、マスキングテ−プ、電気絶縁用テ−プ、ラミネ−ト用フィルム、医療用湿布、装飾用粘着シート、粘着型光学フィルム等が挙げられる。
【実施例】
【0064】
以下に実施例および比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明の技術的範囲は以下の実施例により何ら限定されるものでない。
【0065】
(変性率の測定法)
プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)分光法により、アミン化合物による転化反応前のブロック共重合体について、メタクリル酸メチル単位のエステル基(−O−CH3)に帰属される3.6ppmのシグナルの積分値IM0、アクリル酸n−ブチル単位のエステル基(−O−CH2−CH2−CH2−CH3)中の酸素に隣接するCH2に帰属される4.1ppm付近のシグナルの積分値IB0、およびα位に帰属される2.3ppm付近のシグナルの積分値IA0を計測した。
プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)分光法により、アミン化合物による転化反応後のブロック共重合体について、メタクリル酸メチル単位のエステル基(−O−CH3)に帰属される3.6ppmのシグナルの積分値IM1、アクリル酸n−ブチル単位のエステル基(−O−CH2−CH2−CH2−CH3)中の酸素に隣接するCH2に帰属される4.1ppm付近のシグナルの積分値IB1、およびα位に帰属される2.3ppm付近のシグナルの積分値IA1を計測した。
B0とIB1との差およびIA0とIA1との差が有意でないという結果から、本実施例で得られた変性アクリル系ブロック共重合体はいずれも重合体ブロック(B’)中のメタクリル酸メチル単位にのみアミン化合物による転化反応が生じているようである。そこで、本実施例においては、ブロック共重合体のアミン化合物による変性率を、計算式:(1−(IM1/IB1)/(IM0/IB0))×(Nb/Nc)×100にて算出した。なお、Nbはアミン化合物による転化反応前のブロック共重合体中のメタクリル酸メチル単位の数、Ncはアミン化合物による転化反応前のブロック共重合体中のアクリル酸n−ブチル単位とメタクリル酸メチル単位の合計数である。
【0066】
[参考例1][ブロック共重合体(1)の合成]
三方コック付き三口フラスコの内部を脱気し窒素で置換した。その後、室温下にて、乾燥トルエン11000gおよび1,2−ジメトキシエタン1000gを加え、さらにイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム82mmolを含有するトルエン溶液500gを加えた。これにsec−ブチルリチウム23.5mmolを加えた。次いで、メタクリル酸メチル200gを加え、室温で1時間撹拌して重合反応させた。この重合反応によってMw9900およびMw/Mn1.05のポリメタクリル酸メチルブロック(PMMAブロック[b1])を形成させた。これに続けて、反応液の温度を−25℃にし、アクリル酸n−ブチル2220gを2時間かけて滴下して重合反応させた。この重合反応によって、前記PMMAブロック[b1]の末端に繋がるポリアクリル酸n−ブチルブロック(PnBAブロック[a])を形成させた。さらにこれに続けて、メタクリル酸メチル200gを加え、反応液の温度を室温に戻し8時間攪拌して重合反応させた。この重合反応によって、前記PnBAブロック[a]の末端に繋がるポリメタリル酸メチルブロック(PMMAブロック[b2])を形成させた。
得られた反応液にメタノールを40g添加して重合を停止させた。重合停止後の反応液を大量のメタノールに注ぎ固形物を析出させた。得られた固形物は、PMMAブロック[b1]−PnBAブロック[a]−PMMAブロック[b2]からなるブロック共重合体(1)であった。ブロック共重合体(1)は、Mwが130000、Mw/Mnが1.1であり、PMMAブロック[b1]が7.5質量%、PnBAブロック[a]が85質量%およびPMMAブロック[b2]が7.5質量%の割合で有するものであった。
【0067】
[参考例2][変性アクリル系ブロック共重合体(1)の合成]
二軸押出機(パーカーコーポレーション社製)に、ホッパーからブロック共重合体(1)1モル部を供給し、シリンダー途中からシクロヘキシルアミン200モル部を供給して、シリンダー温度220℃、スクリュウ回転数200rpmで溶融混練して、変性アクリル系ブロック共重合体(1)を得た。これを100℃で1晩真空乾燥してNMR測定をおこなった。シクロヘキシルアミンは、重合体ブロック[b1]および[b2]に選択的に反応していた。ブロック共重合体(1)へのシクロヘキシルアミンの変性率は10.7モル%であった。
【0068】
<実施例1>
(圧縮永久歪)
変性アクリル系ブロック共重合体(1)1モル部と多官能エポキシ化合物(三菱化学製エポキシ樹脂828)10モル部とをテトラヒドロフランに溶解させて、液状の重合体組成物(A)を得た。
該重合体組成物(A)を室温下で流延し、次いでこれを140℃で120分間保持して、厚さ1mmのシートを得た。
得られたシートについて、JIS−K6262に準じて、温度70℃、圧縮変形量25%の条件下に22時間放置した後の圧縮永久歪み、および温度120℃、圧縮変形量25%の条件下に22時間放置した後の圧縮永久歪みを測定した。70℃の圧縮永久歪は14%、120℃の圧縮永久歪は26%であった。
【0069】
(せん断接着破壊温度(SAFT))
変性アクリル系ブロック共重合体(1)1モル部と多官能エポキシ化合物(三菱化学製エポキシ樹脂828)10モル部とをテトラヒドロフランに溶解させて、濃度20〜40質量%の液状重合体組成物(A)を得た。
該重合体組成物(A)をコーターにてポリエチレンテレフタレート製フィルム上に塗布し、140℃で120分間保持して、粘着テープを得た。
該粘着テープを幅25mm、長さ30mmに裁断した。粘着テープを、5mm長のクランプ用タブを除いて、ステンレス(SUS304)板に貼り付け、粘着テープの上の荷重2kgのゴムローラーを2往復させて25mm×25mmの範囲で貼り付けた。それを、温度23℃、相対湿度50%の環境下に24時間保管した。次いで40℃のオーブンに入れ、クランプ用タブにクランプで500gの錘を吊るした。ASTM D4498に準拠して、オーブンの温度を30℃/時間の速度で40℃から205℃まで上げ、錘が落ちたときの温度(SAFT)を記録した。SAFTは205℃以上であった。
【0070】
<実施例2>
変性アクリル系ブロック共重合体(1)1モル部と多官能エポキシ化合物(三菱化学製エポキシ樹脂828)10モル部とをテトラヒドロフランに溶解させた。これに、変性アクリル系ブロック共重合体(1)100重量部に対して、特殊ロジンエステル樹脂(荒川化学工業社製「KE311」)35重量部およびアクリル系樹脂(東亞合成社製「ARUFON UP−1010」)50重量部を溶解させて液状の重合体組成物(B)を得た。
重合体組成物(A)を重合体組成物(B)に変えた以外は実施例1と同じ方法でSAFTを測定した。SAFTは205℃以上であった。
【0071】
<比較例1>
ブロック共重合体(1)をテトラヒドロフランに溶解させて液状の重合体組成物(C)を得た。
重合体組成物(A)を重合体組成物(C)に変えた以外は実施例1と同じ方法で圧縮永久歪およびSAFTを測定した。70℃の圧縮永久歪は60%、120℃の圧縮永久歪は98%であった。SAFTは160℃であった。
【0072】
<比較例2>
変性アクリル系ブロック共重合体(1)をテトラヒドロフランに溶解させて液状の重合体組成物(D)を得た。
重合体組成物(A)を重合体組成物(D)に変えた以外は実施例1と同じ方法で圧縮永久歪およびSAFTを測定した。70℃の圧縮永久歪は34%、120℃の圧縮永久歪は46%であった。SAFTは205℃以上であった。
【0073】
<比較例3>
変性アクリル系ブロック共重合体(1)100重量部、特殊ロジンエステル樹脂(荒川化学工業社製「KE311」)35重量部およびアクリル系樹脂(東亞合成社製「ARUFON UP−1010」)50重量部を溶解させて液状の重合体組成物(E)を得た。
重合体組成物(A)を重合体組成物(E)に変えた以外は実施例1と同じ方法でSAFTを測定した。SAFTは180℃であった。
【0074】
以上の結果から、本発明の架橋体(実施例1、2)は、圧縮永久歪が小さく、SAFTが高い。すなわち、良好な弾性および柔軟性に加えて、高い耐熱性を具えていることがわかる。