【解決手段】昇圧回路10では、基準電圧線25と昇圧電圧線27との間にスイッチ素子16が設けられており、スイッチ素子16の制御端子は、コンパレータ14の出力に接続されている。コンパレータ14は、基準電圧線25に供給される基準電圧VL1の電位と昇圧電圧線27に供給される昇圧電圧VL2の電位との電位差に応じて、スイッチ素子16のオン/オフを制御する。昇圧回路10では、昇圧回路10の電源投入時等、昇圧電圧VL2が基準電圧VL1よりも低電位であり、コンパレータ14の閾値電圧未満の場合は、スイッチ素子16がオン状態になり、基準電圧VL1が昇圧電圧線27に供給される。
自昇圧回路の起動時から、前記昇圧部により前記第2の電位が所定の電圧に昇圧されるまでの期間、オン状態となる、前記第1の電位線と前記スイッチとの間に接続される制御スイッチをさらに備えた、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の昇圧回路。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1の実施の形態]
以下では、図面を参照して、本実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
図1には、本実施の形態の昇圧回路の一例の概略構成図を示す。
【0017】
図1に示したように本実施の形態の昇圧回路10は、昇圧回路制御部12と、コンパレータ14と、電池18と、基準電圧発生源20と、昇圧部22と、を備える。
【0018】
電池18は、高電位側が基準電圧発生源20に接続され、低電位側がグラウンド電位を与えるグラウンド線23に接続されている。電池18から供給される電池電圧は、基準電圧発生源20の電源(電源電圧VDD)として用いられる。
【0019】
基準電圧発生源20は、電源電圧VDDに基づいて、基準電圧VL1を生成して基準電圧線25に供給する機能を有している。本実施の形態の基準電圧発生源20が基準電圧線25に供給する基準電圧VL1は、昇圧部22の昇圧状態には影響を受けず、電源電圧VDDの影響を受けて変化する。
【0020】
昇圧回路制御部12は、クロック信号を生成して昇圧部22に出力することにより、昇圧部22における昇圧動作を制御する機能を有している。昇圧回路制御部12は、昇圧電圧線27に接続されており、昇圧電圧線27に供給される電圧(昇圧電圧VL2)を電源電圧として動作する。
【0021】
スイッチ素子16は、昇圧電圧線27に供給される電圧を制御する機能を有している(詳細後述)。本実施の形態の昇圧回路10では、スイッチ素子16としてPMOSトランジスタを用いている。スイッチ素子16の一方の主端子は昇圧電圧線27に接続され、他方の主端子は基準電圧線25に接続されている。
【0022】
コンパレータ14は、基準電圧線25と昇圧電圧線27とに接続され、基準電圧線25に供給される基準電圧VL1と、昇圧電圧線27に供給される昇圧電圧VL2と、の電圧差(電位差)に基づいてスイッチ素子16のオン/オフを制御する機能を有している(詳細後述)。
【0023】
昇圧部22は、容量素子C1、C2、C3と、スイッチ素子SW1、SW2、SW3、SW4と、を備えている。昇圧部22は、基準電圧線25に供給される基準電圧VL1を2倍に昇圧した昇圧電圧VL2を昇圧電圧線27に供給する機能を有している。具体的一例として、基準電圧VL1が1.2Vの場合、昇圧部22は、2.4Vに昇圧した昇圧電圧VL2を昇圧電圧線27に供給する。昇圧された昇圧電圧VL2は、OUT端子から昇圧回路10の外部に出力される。
【0024】
容量素子C1の一端は、スイッチ素子SW1を介して基準電圧線25に接続され、また、スイッチ素子SW3を介して昇圧電圧線27に接続されている。容量素子C1の他端は、スイッチ素子SW2を介してグラウンド線23に接続され、また、スイッチ素子SW4を介して基準電圧線25に接続されている。容量素子C2は、一端が基準電圧線25に接続され、他端がグラウンド線23に接続されている。容量素子C3は、一端が昇圧電圧線27に接続され、他端がグラウンド線23に接続されている。
【0025】
昇圧回路10の昇圧動作について説明する。
【0026】
まず、昇圧回路制御部12から供給されるクロック信号に応じて昇圧部22のスイッチ素子SW1、SW2がオン状態になり、スイッチ素子SW3、SW4がオフ状態になる。容量素子C1は、一端が基準電圧線25に接続され、他端がグラウンド線23に接続された状態になる。容量素子C1、C2が並列に接続されるため、容量素子C1、C2には、それぞれ基準電圧VL1が蓄えられる。
【0027】
次に、昇圧回路制御部12から供給されるクロック信号に応じて昇圧部22のスイッチ素子SW1、SW2がオフ状態になり、スイッチ素子SW3、SW4がオン状態になる。容量素子C1は、一端が昇圧電圧線27に接続され、他端が基準電圧線25に接続された状態になる。容量素子C1、C2が直列に接続されるため、基準電圧VL1+基準電圧VL1が昇圧電圧線27に供給され、OUT端子から出力される。
【0028】
昇圧部22は、容量素子C1、C2の充放電を繰り返すことにより、基準電圧VL1を2倍に昇圧した昇圧電圧VL2をOUT端子から外部に出力する。
【0029】
上述したように、昇圧部22の昇圧動作は、昇圧回路制御部12から供給されるクロック信号に基づいて行われる。昇圧回路制御部12が、クロック信号を生成するためには、昇圧電圧線27により供給される電源電圧(昇圧電圧VL2)が昇圧回路制御部12の起動に必要な電圧以上であることを要する。
【0030】
しかしながら、昇圧回路10の電源投入時(オフからオンに切り替わった際)には、昇圧部22は未だ動作を開始していないため、昇圧電圧VL2は0Vである。また、昇圧部22が起動開始後も、昇圧電圧VL2が基準電圧VL1の2倍の電位に達するには所定の時間を要するため、昇圧電圧VL2が基準電圧VL1を下回る場合がある。
【0031】
本実施の形態の昇圧回路10では、このような場合に、スイッチ素子16によって、基準電圧VL1を昇圧電圧線27に供給することにより、昇圧回路制御部12の起動に必要な電圧を供給する。スイッチ素子16のオン/オフは、コンパレータ14により制御される。
【0032】
図2には、本実施の形態のコンパレータ14の一例の回路図を示す。
【0033】
コンパレータ14は、PMOSトランジスタ30、32、34、36、38、40、及びNMOSトランジスタ42、44、46、48を備える。
【0034】
PMOSトランジスタ30の一方の主端子は基準電圧線25に接続され、他方の主端子はNMOSトランジスタ42に接続され、制御端子は他方の主端子に接続されている。PMOSトランジスタ32の一方の主端子は昇圧電圧線27に接続され、他方の主端子はNMOSトランジスタ44に接続され、制御端子はPMOSトランジスタ30の他方の端子に接続されている。なお、本実施の形態のコンパレータ14では、PMOSトランジスタ30のディメンジョン(トランジスタのサイズ:ゲート幅/ゲート長比)よりもPMOSトランジスタ32のディメンジョンを大きくしている。
【0035】
PMOSトランジスタ38の一方の主端子は昇圧電圧線27に接続され、他方の主端子はNMOSトランジスタ46に接続され、制御端子はPMOSトランジスタ32の他方の端子及びPMOSトランジスタ36の他方の端子に接続されている。PMOSトランジスタ40の一方の主端子は昇圧電圧線27に接続され、他方の主端子はNMOSトランジスタ48に接続され、制御端子はPMOSトランジスタ38の他方の端子に接続されている。
【0036】
また、PMOSトランジスタ34の一方の主端子は昇圧電圧線27に接続され、他方の主端子はPMOSトランジスタ36に接続され、制御端子はPMOSトランジスタ38の他方の端子に接続されている。PMOSトランジスタ36の一方の主端子はPMOSトランジスタ34の他方の主端子に接続され、他方の主端子はPMOSトランジスタ32の他方の主端子に接続され、制御端子はPMOSトランジスタ30の他方の端子に接続されている。
【0037】
NMOSトランジスタ42は、一方の主端子がPMOSトランジスタ30に接続され、他方の主端子がグラウンド線23に接続されている。NMOSトランジスタ44は、一方の主端子がPMOSトランジスタ32に接続され、他方の主端子がグラウンド線23に接続されている。NMOSトランジスタ46は、一方の主端子がPMOSトランジスタ38に接続され、他方の主端子がグラウンド線23に接続されている。NMOSトランジスタ48は、一方の主端子がPMOSトランジスタ40に接続され、他方の主端子がグラウンド線23に接続されている。NMOSトランジスタ42、44、46、48の制御端子はバイアス電圧が供給されるバイアス線29に接続されている。従って、NMOSトランジスタ42、44、46、48には、ゲート電圧としてバイアス電圧が印加される。
【0038】
図3には、昇圧回路10における、基準電圧VL1と、昇圧電圧VL2と、コンパレータ14の閾値電圧と、スイッチ素子16のオン/オフと、の関係を説明するための説明図を示す。
【0039】
昇圧電圧VL2の電位にかかわらず、NMOSトランジスタ42、44、46、48はバイアス線29から供給されるバイアス電圧によりオン状態になっている。
【0040】
昇圧電圧VL2が低電位の場合(例えば、電源投入時:0V)は、基準電圧VL1の方が高電位であるため、
図3に示したように、昇圧電圧VL2がコンパレータ14の閾値電圧未満となる。コンパレータ14は、スイッチ素子16の制御端子にゲート電圧としてLレベルの電位(0V)を供給するため、スイッチ素子16は、オン状態になる。
【0041】
スイッチ素子16がオン状態の場合は、基準電圧線25と昇圧電圧線27とが接続された状態になり、基準電圧線25から昇圧電圧線27に基準電圧VL1が供給される。従って、昇圧回路制御部12には、昇圧電圧線27を介して基準電圧VL1が電源電圧として供給される。昇圧回路制御部12は、基準電圧VL1に基づいて起動する。昇圧回路制御部12の起動により、昇圧部22が起動し、昇圧電圧線27に供給される昇圧電圧VL2の電位が上昇する。具体的には、昇圧電圧VL2の電位は、0Vから基準電圧VL1の2倍の電位まで上昇する。
【0042】
昇圧電圧VL2の電位が上昇し、基準電圧VL1の電位に近付くと、
図3に示したように、昇圧電圧VL2がコンパレータ14の閾値電圧以上となる。
【0043】
PMOSトランジスタ30により、PMOSトランジスタ32及びPMOSトランジスタ36の制御端子には、Lレベルの電位が供給され、PMOSトランジスタ32、36はオン状態になる。PMOSトランジスタ38の制御端子にはHレベルの電位が供給され、PMOSトランジスタ38はオフ状態になる。PMOSトランジスタ34、40の制御端子にはLレベルの電位が供給され、PMOSトランジスタ34、40はオン状態になる。
【0044】
従って、スイッチ素子16の制御端子には、Hレベル(基準電圧VL1)の電位が供給され、スイッチ素子16はオフ状態になる。スイッチ素子16がオフ状態になると、基準電圧線25と昇圧電圧線27とが非接続状態になり、基準電圧線25から昇圧電圧線27への基準電圧VL1の供給が停止される。既に昇圧電圧線27に昇圧部22により供給される昇圧電圧VL2の電位は、十分高電位となっているため、昇圧回路制御部12は問題なく動作する。
[第2の実施の形態]
本実施の形態の昇圧回路10全体の構成は、第1の実施の形態の昇圧回路10(
図1)と同様の構成であるため、昇圧回路10全体の構成については、説明を省略する。本実施の形態の昇圧回路10では、コンパレータの構成が第1の実施の形態と異なるので、本実施の形態のコンパレータの構成について説明する。
【0045】
図5には、本実施の形態のコンパレータの一例の回路図を示す。
【0046】
図5に示したコンパレータ74では、第1の実施の形態のコンパレータ14(
図2参照)と異なり、電流制御部59を備えている。
【0047】
電流制御部59は、NMOSトランジスタ42、44、46、48とグラウンド線23との間に設けられている。電流制御部59は、スタートアップ信号に基づいて、NMOSトランジスタ42、44、46、48とグラウンド線23とを非接続にする機能を有している。
【0048】
電流制御部59は、NMOSトランジスタ52、54、55、56、58を備えている。NMOSトランジスタ52は、一方の主端子がNMOSトランジスタ42に接続され、他方の主端子がグラウンド線23に接続されている。NMOSトランジスタ54は、一方の主端子がNMOSトランジスタ44に接続され、他方の主端子がグラウンド線23に接続されている。NMOSトランジスタ56は、一方の主端子がNMOSトランジスタ46に接続され、他方の主端子がグラウンド線23に接続されている。NMOSトランジスタ58は、一方の主端子がNMOSトランジスタ48に接続され、他方の主端子がグラウンド線23に接続されている。NMOSトランジスタ52、54、56、58の制御端子はスタートアップ信号が供給されるスタートアップ線51に接続されている。従って、NMOSトランジスタ52、54、56、58には、ゲート電圧としてスタートアップ信号の電位が印加される。また、NMOSトランジスタ55は、一方の主端子がPMOSトランジスタ34及びPMOSトランジスタ40の制御端子に接続され、他方の主端子がグラウンド線23に接続される、NMOSトランジスタ55の制御端子には、スタートアップ信号の反転信号が供給される。従って、NMOSトランジスタ52、54、56、58とNMOSトランジスタ55とでは、オン/オフが逆になる。
【0049】
また、本実施の形態のコンパレータ74は、一方の主端子が昇圧電圧線27に接続され、他方の主端子がPMOSトランジスタ38の制御端子に接続されたPMOSトランジスタ50を備えている。PMOSトランジスタ50の制御端子には、スタートアップ信号が供給される。
【0050】
スタートアップ信号は、昇圧回路10の電源投入時等、昇圧回路10自体の起動時に、昇圧電圧VL2の電位が基準電圧VL1の電位以上となるまで、または昇圧電圧VL2の電位がコンパレータ74の閾値以上となるまでの期間(以下、スタートアップ期間という)はHレベルとなり、その他の期間はLレベルとなる信号である。スタートアップ信号は、図示を省略したコンパレータ74外部(または昇圧回路10外部)から供給される信号である。
【0051】
スタートアップ信号がHレベルであるスタートアップ期間は、NMOSトランジスタ52、54、56、58はオン状態になり、NMOSトランジスタ55はオフ状態になる。また、スタートアップ信号がLレベルのその他の期間は、NMOSトランジスタ52、54、56、58はオフ状態になり、NMOSトランジスタ55はオン状態になる。
【0052】
すなわち、その他の期間は、電流制御部59により、NMOSトランジスタ42、44、46、48、すなわちPMOSトランジスタ30、32、38、40がグラウンド線23と切り離される。
【0053】
また、本実施の形態のコンパレータ74では、PMOSトランジスタ50がスタートアップ期間はオフ状態になり、その他の期間ではオン状態になる。その他の期間では、PMOSトランジスタ38の制御端子にHレベルの昇圧電圧VL2が供給されるため、PMOSトランジスタ38はオフ状態になる。また、その他の期間は、電流制御部59のNMOSトランジスタ55により、PMOSトランジスタ34及びPMOSトランジスタ40の制御端子は、グラウンド線23に接続される。このように本実施の形態のコンパレータ74では、スタートアップ信号に基づいて、PMOSトランジスタ40の制御端子に供給される電位が制御される。
【0054】
従って、本実施の形態のコンパレータ74では、スタートアップ期間は、コンパレータ74内に電流が流れて動作し、その他の期間では、コンパレータ74内の電流パスが切断されて動作が停止する。そのため、本実施の形態のコンパレータ14では、その他の期間において消費電流を抑制することができる。
[第3の実施の形態]
図6には、本実施の形態の昇圧回路の一例の概略構成図を示す。
【0055】
図6に示すように、本実施の形態の昇圧回路10は、第1の実施の形態の昇圧回路10(
図1)のスイッチ素子16と基準電圧線25との間に、スイッチ素子を備えている点以外は同様の構成である。なお、コンパレータ14は、第2の実施の形態のコンパレータ14と同様の構成(
図5参照)としている。
【0056】
スイッチ素子60は、一方の主端子が、スイッチ素子16に接続され、他方の主端子が基準電圧線25に接続されている。またスイッチ素子60の制御端子には、スタートアップ信号の反転信号が供給される。なお、本実施の形態の昇圧回路10において、スイッチ素子60の制御端子に供給するスタートアップ信号は、第2の実施の形態におけるスタートアップ信号と同様としている。
【0057】
そのため、スタートアップ期間では、スイッチ素子60はオン状態になる。その他の期間では、スイッチ素子60はオフ状態になる。
【0058】
これにより、その他の期間は、基準電圧線25と昇圧電圧線27とを非接続状態にすることができる。
【0059】
例えば、スタートアップ期間以外で基準電圧VL1の電位が昇圧電圧VL2の電位よりも高い場合では、昇圧回路10(昇圧部22)の収束電圧よりも高い電圧が、スイッチ素子16により基準電圧線25に供給されるのを抑制することができる。また、昇圧回路10の停止時に、昇圧電圧線27にスイッチ素子16により基準電圧線25から基準電圧VL1が供給されるのを抑制することができる。
【0060】
以上説明したように上記各実施の形態の昇圧回路10では、基準電圧線25と昇圧電圧線27との間にスイッチ素子16が設けられており、スイッチ素子16の制御端子は、コンパレータ14の出力に接続されている。コンパレータ14は、基準電圧線25に供給される基準電圧VL1の電位と昇圧電圧線27に供給される昇圧電圧VL2の電位との電位差に応じて、スイッチ素子16のオン/オフを制御する。昇圧回路10では、昇圧回路10の電源投入時等、昇圧電圧VL2が基準電圧VL1よりも低電位であり、コンパレータ14の閾値電圧未満の場合は、スイッチ素子16がオン状態になり、基準電圧VL1が昇圧電圧線27に供給される。一方、昇圧回路10では、昇圧電圧VL2の電位が基準電圧VL1の電位以上であり、コンパレータ14の閾値電圧以上の場合は、スイッチ素子16がオフ状態になり、昇圧電圧線27への昇圧電圧VL2の供給が停止される。
【0061】
また、上記各実施の形態のコンパレータ14では、PMOSトランジスタ30のディメンジョン(トランジスタのサイズ:ゲート幅/ゲート長比)よりもPMOSトランジスタ32のディメンジョンを大きくしている。これにより、昇圧電圧VL2の電位が基準電圧VL1の電位を超える前に、スイッチ素子16をオフ状態にすることができる。すなわち、コンパレータ14の閾値電圧を
図3に示したように、基準電圧VL1よりも低電位とすることができる。従って、コンパレータ14によれば、昇圧電圧線27から基準電圧線25への逆流を抑制することができる。
【0062】
また、上記各実施の形態では、昇圧電圧VL2の電位が上昇していく際のコンパレータ14の閾値は、PMOSトランジスタ36の影響を受け、昇圧電圧VL2の電位が下降していく際のコンパレータ14の閾値は、PMOSトランジスタ34の影響を受ける。従って、
図3に示すように、昇圧電圧VL2の電位が上昇していく際のコンパレータ14の閾値の方が高電位となり、コンパレータ14は、
図3に示したヒステリシス幅を有する。従って、コンパレータ14のチャタリングを抑制することができる。また、コンパレータ14は、ヒステリシスを有することにより、スイッチ素子16をオフ状態にするときは早く、オン状態にするときは遅くなる。これにより、昇圧電圧線27から基準電圧線25への逆流を抑制することができる。
【0063】
また、スイッチ素子16は、バルクが昇圧電圧線27に接続されているため、基準電圧線25から昇圧電圧線27へのダイオードが形成されているとみなせる。従って、昇圧電圧VL2が低電位であり不定状態であっても、電流を供給することができる。
【0064】
また、上記各実施の形態では、NMOSトランジスタ42、44、46、48にバイアス線29により供給するバイアス電圧は、安定な電源から供給する。これにより、昇圧電圧VL2が低電位であっても、NMOSトランジスタ48は、安定的にオン状態であるため、強制的にスイッチ素子16の制御端子に供給される電位をLレベルにすることができ、スイッチ素子16をオン状態にすることができる。
【0065】
比較例として、従来の昇圧回路100について説明する。
図8には、従来の昇圧回路100の一例の概略構成図を示す。従来の昇圧回路100では、
図8に示すように、上記各実施の形態の昇圧回路10におけるコンパレータ14及びスイッチ素子16に替わり、ダイオード115が設けられている。ダイオード115は、アノードが基準電圧線25に接続され、カソードが昇圧電圧線27に接続されている。これにより、基準電圧線25に供給される基準電圧VL1の電位が昇圧電圧線27に供給される昇圧電圧VL2の電位よりも高い場合は、基準電圧VL1がダイオード115を介して、昇圧電圧線27に供給される。この際、ダイオード115の順方向電圧降下VFにより、実際に、昇圧電圧線27に供給される電位は、基準電圧VL1の電位−順方向電圧降下VFとなる。
【0066】
一方、上記各実施の形態の昇圧回路10では、スイッチ素子16を介して基準電圧線25から昇圧電圧線27に基準電圧VL1が供給されるため、比較例の昇圧回路100のように電圧降下が生じず、基準電圧VL1の電位そのものが直接、昇圧電圧線27に供給される。
【0067】
具体的一例として、基準電圧VL1の電位が1.0Vの場合の、昇圧回路10の電源投入時における昇圧電圧線27の電位の波形の時間変化を
図4に示す。
図4(1)は、従来の昇圧回路100における昇圧電圧線27の電位の波形を示しており、
図4(2)は、上記各実施の形態の昇圧回路10における昇圧電圧線27の電位の波形を示している。
図4(1)に示したように、従来の昇圧回路100では、ダイオード115の順方向電圧降下により、昇圧電圧線27の電位は、0.65Vまでしか上昇しない。一方、
図4(2)に示したように、上記各実施の形態の昇圧回路10では、速やかにほぼ1.0Vにまで昇圧電圧線27の電位が上昇している。
【0068】
例えば、電池18が1個の電池であり、具体的一例として1.5V程度の低電圧である場合、電池18が劣化し、いわゆるへたってくると、電源電圧VDDが1.0V程度の低電位に電位が低下する。このような場合に、従来の昇圧回路100では、
図4(1)に示したように、昇圧電圧線27の電位が低くなり、昇圧回路制御部12が適切に起動しない懸念が生じる。従って、昇圧部22の起動に不具合が生じる場合がある。
【0069】
一方、上記各実施の形態の昇圧回路10では、
図4(2)に示したように、基準電圧VL1の電位そのものが直接、昇圧電圧線27に供給されるため、昇圧回路制御部12が適切に起動する。従って、昇圧部22の起動の不具合を抑制することができる。
【0070】
なお、上記各実施の形態の昇圧回路10で昇圧された昇圧電圧VL2は、昇圧回路10外部の負荷回路に供給されるが、当該負荷回路は特に限定されるものではない。例えば、液晶表示装置のLCD(Liquid Crystal Display)ドライバに適用することができる。
図7には、上記各実施の形態の昇圧回路10をLCDドライバに適用した場合を説明するための概略構成図を示す。液晶ディスプレイ84の各画素に、LCDドライバ80によって表示データに基づいて駆動電圧を印加することにより、液晶ディスプレイ84では、表示データに応じた画像の表示が行われる。LCDドライバ80は、昇圧回路10と、駆動回路86、87とを備える。昇圧回路10は、コントローラ82の指示に基づいて、基準電圧VL1を昇圧して駆動電圧を生成して、駆動回路86、88に供給する。駆動回路86、88は、コントローラ82の指示に基づいて、液晶ディスプレイ84の対応する画素に駆動電圧を印加する。なお、昇圧回路10の適用例は、LCDドライバに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0071】
また、上記各実施の形態では、コンパレータ14及びスイッチ素子16は基準電圧線25に接続されていたが、その他の信号線に接続されていてもよい。この場合、昇圧回路制御部12を起動させるための初期電圧が当該その他の新合成に供給されていればよい。
【0072】
なお、上記各実施の形態のコンパレータ14では、PMOSトランジスタ34、36を備えた場合について説明したがこれらは備えていなくてもよい。なお、上述したように、PMOSトランジスタ34、36を備えることにより、コンパレータ14がヒステリシスを有するため、上記各実施の形態のコンパレータ14のように、PMOSトランジスタ34、36を備えることが好ましい。
【0073】
なお、上記各実施の形態の昇圧回路10では、基準電圧VL1の電位を2倍に昇圧する2段階昇圧回路について説明したがこれに限らず、さらに高電位の電圧に昇圧するものであってもよい。その場合は、昇圧段階を増加させるごとに容量素子の数を増やし、容量素子C1に対して縦積みにすればよい。その際、昇圧電圧線27に供給される昇圧電圧VL2は、最も高い電位となる。
【0074】
また、その他の上記各実施の形態で説明した昇圧回路10、コンパレータ14、及びスイッチ素子16等の構成、動作は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0075】
10 昇圧回路
12 昇圧回路制御部 (昇圧制御部)
22 昇圧部
14 コンパレータ (制御回路)
16 スイッチ素子 (スイッチ)
23 グラウンド線 (第3の電位線)
25 基準電圧線 (第1の電位線)
27 昇圧電圧線 (第2の電位線)
30 PMOSトランジスタ (第1のPMOSトランジスタ)
32 PMOSトランジスタ (第2のPMOSトランジスタ)
34 PMOSトランジスタ (第5のPMOSトランジスタ)
36 PMOSトランジスタ (第6のPMOSトランジスタ)
38 PMOSトランジスタ (第3のPMOSトランジスタ)
40 PMOSトランジスタ (第4のPMOSトランジスタ)
42 NMOSトランジスタ (第1のNMOSトランジスタ)
44 NMOSトランジスタ (第2のNMOSトランジスタ)
46 NMOSトランジスタ (第3のNMOSトランジスタ)
48 NMOSトランジスタ (第4のNMOSトランジスタ)
59 電流制御部 (切替部)
60 スイッチ素子 (制御スイッチ)
80 LCDドライバ (半導体装置)
86、88 駆動回路