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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-193602(P2015-193602A)
(43)【公開日】2015年11月5日
(54)【発明の名称】腸溶性製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/675 20060101AFI20151009BHJP
   A61K 9/32 20060101ALI20151009BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20151009BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20151009BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20151009BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20151009BHJP
【FI】
   A61K31/675
   A61K9/32
   A61K47/18
   A61K47/32
   A61P19/10
   A61P19/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-53184(P2015-53184)
(22)【出願日】2015年3月17日
(31)【優先権主張番号】特願2014-55145(P2014-55145)
(32)【優先日】2014年3月18日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100117743
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 美由紀
(74)【代理人】
【識別番号】100163658
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 順造
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(72)【発明者】
【氏名】鳥取 恒彰
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 高之
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA45
4C076BB01
4C076CC21
4C076DD27A
4C076DD41A
4C076DD49Q
4C076DD67A
4C076EE11J
4C076EE31A
4C076EE33A
4C076FF25
4C076FF63
4C076GG13
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC17
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA03
(57)【要約】
【課題】食事の影響を受けにくく、かつ製剤の均一性が良いリセドロン酸ナトリウム含有製剤の提供。
【解決手段】リセドロン酸ナトリウムまたはその水和物、およびエデト酸またはその塩もしくはそれらの水和物を含有し、湿式攪拌造粒を含む錠剤製造工程により製造されることを特徴とする、腸溶性コーティング錠剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リセドロン酸ナトリウムまたはその水和物、およびエデト酸またはその塩もしくはそれらの水和物を含有し、湿式攪拌造粒を含む錠剤製造工程により製造されることを特徴とする、腸溶性コーティング錠剤。
【請求項2】
流動化剤をさらに含有する請求項1記載の腸溶性コーティング錠剤。
【請求項3】
1錠中に、12.5mg、25mg、37.5mg、50mg、62.5mgまたは75mgのリセドロン酸ナトリウム;または、1錠中に、リセドロン酸ナトリウムとして、12.5mg、25mg、37.5mg、50mg、62.5mgまたは75mgに相当する量のリセドロン酸ナトリウム水和物を含有する請求項1または2に記載の腸溶性コーティング錠剤。
【請求項4】
エデト酸またはその塩もしくはそれらの水和物が、エデト酸ナトリウムまたはエデト酸ナトリウム水和物である、請求項1〜3のいずれかに記載の腸溶性コーティング錠剤。
【請求項5】
エデト酸ナトリウムが、1錠中、60mg〜120mg含有される;または、エデト酸ナトリウム水和物が、1錠中、エデト酸ナトリウムとして60mg〜120mgに相当する量含有される、請求項4記載の腸溶性コーティング錠剤。
【請求項6】
腸溶性コーティング層に、メタクリル酸コポリマーが含有される、請求項1〜5のいずれかに記載の腸溶性コーティング錠剤。
【請求項7】
(1)リセドロン酸ナトリウムまたはその水和物、エデト酸またはその塩もしくはこれらの水和物、および任意に添加してもよい添加剤を混合後、混合物に水、もしくは造粒液を添加して造粒する工程(湿式攪拌造粒工程)、
(2)必要により、得られた造粒物に任意に添加してもよい添加剤を混合する工程、
(3)得られた顆粒または混合物を圧縮成形し、素錠を得る工程、および
(4)得られた素錠に、腸溶性コーティングを施す工程を含んでなる腸溶性コーティング錠剤の製造方法。
【請求項8】
流動化剤が配合される請求項7記載の腸溶性コーティング錠剤の製造方法。
【請求項9】
1錠中に、12.5mg、25mg、37.5mg、50mg、62.5mgまたは75mgのリセドロン酸ナトリウム;または、1錠中に、リセドロン酸ナトリウムとして、12.5mg、25mg、37.5mg、50mg、62.5mgまたは75mgに相当する量のリセドロン酸ナトリウム水和物を含有するようにリセドロン酸ナトリウムまたはその水和物が配合される、請求項7または8に記載の腸溶性コーティング錠剤の製造方法。
【請求項10】
配合されるエデト酸またはその塩もしくはそれらの水和物が、エデト酸ナトリウムまたはエデト酸ナトリウム水和物である、請求項7〜9のいずれかに記載の腸溶性コーティング錠剤の製造方法。
【請求項11】
エデト酸ナトリウムが、1錠中、60mg〜120mg含有される;または、エデト酸ナトリウム水和物が、1錠中、エデト酸ナトリウムとして60mg〜120mgに相当する量含有されるようにエデト酸ナトリウムまたはエデト酸ナトリウム水和物が配合される、請求項10記載の腸溶性コーティング錠剤の製造方法。
【請求項12】
腸溶性コーティング層に、メタクリル酸コポリマーが含有される、請求項7〜11のいずれかに記載の腸溶性コーティング錠剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リセドロン酸ナトリウムまたはその水和物を含有する腸溶性製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にリセドロン酸ナトリウム等のビスホスホネート系薬物は、食物や水以外の飲料と共に投与すると吸収が妨げられることが知られており、朝食の30分以上前までに投与することが必要とされている。
ビスホスホネート系薬物を食物や飲料と共に投与することができるようにすることを検討したものとしては特許文献1があり、特許文献1には、安全かつ有効な量の医薬組成物を含むビスホスホネートの経口剤形であって、(a)10mg〜1000mgのキレート剤と、(b)下部胃腸管でビスホスホネートおよびキレート剤を放出する腸溶性コーティングとを含有し、ビスホスホネートが、リセドロネート、およびその塩類、エステル類、水和物類、多形体類、半水和物類、溶媒和物類、並びにこれらの組み合わせから成る群から選択されることを特徴とする、経口剤形を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4605221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、食事の影響を受けにくくするためにリセドロン酸ナトリウムを含有する腸溶性製剤にキレート剤であるエデト酸またはその塩を含有させると、製剤重量の均一性が悪くなることを見出し、さらにその原因が、従来の乾式造粒による錠剤製造工程においてエデト酸またはその塩の流動性の悪さから生じる乾式造粒末の流動不良のためであることを見出した。
本発明は、食事の影響を受けにくく、かつ製剤の均一性が良いリセドロン酸ナトリウム含有製剤の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、リセドロン酸ナトリウムまたはその水和物、およびエデト酸またはその塩もしくはそれらの水和物を含有する腸溶性コーティング錠剤を、湿式攪拌造粒を含む錠剤製造工程により製造することにより上記課題を解決し得ることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、次の通りである。
[1]リセドロン酸ナトリウムまたはその水和物、およびエデト酸またはその塩もしくはそれらの水和物を含有し、湿式攪拌造粒を含む錠剤製造工程により製造されることを特徴とする、腸溶性コーティング錠剤。
[2]流動化剤をさらに含有する上記[1]記載の腸溶性コーティング錠剤。
[3]1錠中に、12.5mg、25mg、37.5mg、50mg、62.5mgまたは75mgのリセドロン酸ナトリウム;または、1錠中に、リセドロン酸ナトリウムとして、12.5mg、25mg、37.5mg、50mg、62.5mgまたは75mgに相当する量のリセドロン酸ナトリウム水和物を含有する上記[1]または[2]に記載の腸溶性コーティング錠剤。
[4]エデト酸またはその塩もしくはそれらの水和物が、エデト酸ナトリウムまたはエデト酸ナトリウム水和物である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の腸溶性コーティング錠剤。
[5]エデト酸ナトリウムが、1錠中、60〜120mg、好ましくは70〜120mg、最も好ましくは80〜120mg含有される;または、エデト酸ナトリウム水和物が、1錠中、エデト酸ナトリウムとして60〜120mg、好ましくは70〜120mg、最も好ましくは80〜120mgに相当する量含有される、上記[4]記載の腸溶性コーティング錠剤。
[6]腸溶性コーティング層に、メタクリル酸コポリマーが含有される、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の腸溶性コーティング錠剤。
[7](1)リセドロン酸ナトリウムまたはその水和物、エデト酸またはその塩もしくはこれらの水和物、および任意に添加してもよい添加剤を混合後、混合物に水、もしくは造粒液を添加して造粒する工程(湿式攪拌造粒工程)、
(2)必要により、得られた造粒物に任意に添加してもよい添加剤を混合する工程、
(3)得られた顆粒または混合物を圧縮成形し、素錠を得る工程、および
(4)得られた素錠に、腸溶性コーティングを施す工程を含んでなる腸溶性コーティング錠剤の製造方法。
[8]流動化剤が配合される上記[7]記載の腸溶性コーティング錠剤の製造方法。
[9]1錠中に、12.5mg、25mg、37.5mg、50mg、62.5mgまたは75mgのリセドロン酸ナトリウム;または、1錠中に、リセドロン酸ナトリウムとして、12.5mg、25mg、37.5mg、50mg、62.5mgまたは75mgに相当する量のリセドロン酸ナトリウム水和物を含有するようにリセドロン酸ナトリウムまたはその水和物が配合される、上記[7]または[8]に記載の腸溶性コーティング錠剤の製造方法。
[10]配合されるエデト酸またはその塩もしくはそれらの水和物が、エデト酸ナトリウムまたはエデト酸ナトリウム水和物である、上記[7]〜[9]のいずれかに記載の腸溶性コーティング錠剤の製造方法。
[11]エデト酸ナトリウムが、1錠中、60〜120mg、好ましくは70〜120mg、最も好ましくは80〜120mg含有される;または、エデト酸ナトリウム水和物が、1錠中、エデト酸ナトリウムとして60〜120mg、好ましくは70〜120mg、最も好ましくは80〜120mgに相当する量含有されるようにエデト酸ナトリウムまたはエデト酸ナトリウム水和物が配合される、上記[10]記載の腸溶性コーティング錠剤の製造方法。
[12]腸溶性コーティング層に、メタクリル酸コポリマーが含有される、上記[7]〜[11]のいずれかに記載の腸溶性コーティング錠剤の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、食事の影響を受けにくく、かつ製剤の均一性が良いリセドロン酸ナトリウム含有腸溶性製剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明の腸溶性コーティング錠剤(以下、本発明の錠剤とも称する。)は、リセドロン酸ナトリウムまたはその水和物、およびエデト酸またはその塩もしくはそれらの水和物を含有する。
本発明の錠剤におけるリセドロン酸ナトリウムまたはその水和物の含有量は、対象疾患、疾患の重篤度等により異なるが、リセドロン酸ナトリウムとして、通常1〜200mg、好ましくは2.5〜100mg、より好ましくは12.5〜75mgに相当する量である。より具体的には、12.5mg、25mg、37.5mg、50mg、62.5mgまたは75mgのリセドロン酸ナトリウム;または、リセドロン酸ナトリウムとして、12.5mg、25mg、37.5mg、50mg、62.5mgまたは75mgに相当する量のリセドロン酸ナトリウム水和物を含有する製剤が挙げられる。当該製剤を、投与対象が日本人である場合には、月1回投与すればよい。
本発明の錠剤におけるリセドロン酸ナトリウムまたはその水和物の含有量は、素錠重量に対して、通常1〜80重量%、好ましくは2〜60重量%、より好ましくは3〜40重量%である。
【0009】
本発明において、エデト酸の塩またはその水和物としては、例えば、エデト酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸二カリウムまたはそれらの水和物が挙げられ、エデト酸二ナトリウムまたはその水和物が好ましい。
本発明の錠剤におけるエデト酸またはその塩(例えば、エデト酸ナトリウム)の含有量は、通常30〜300mg、好ましくは50〜200mg、より好ましくは60〜120mg、さらに好ましくは70〜120mg、最も好ましくは80〜120mgである。
本発明において、エデト酸またはその塩の水和物(例えば、エデト酸ナトリウム水和物)を用いる場合、本発明の錠剤におけるエデト酸またはその塩の水和物の含有量は、エデト酸またはその塩として上記範囲に相当する量が例示される。
本発明の錠剤におけるエデト酸またはその塩もしくはそれらの水和物の含有量は、素錠重量に対して、通常1〜80重量%、好ましくは10〜60重量%、より好ましくは20〜50重量%である。
【0010】
本発明の錠剤は、流動化剤をさらに含有することが好ましい。
流動化剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、結晶セルロース、合成ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、重質無水ケイ酸、水酸化アルミナマグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム、タルク、トウモロコシデンプン、濃グリセリン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム造粒物が挙げられる。なかでも、ステアリン酸マグネシウムと軽質無水ケイ酸が好ましいものとして挙げられる。
本発明の錠剤における流動化剤の含有量は、素錠重量に対して、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.3〜5重量%、より好ましくは0.5〜1.5重量%である。
本発明の錠剤は、後述のように、湿式攪拌造粒で製造した造粒末を圧縮成形して得られる素錠(裸錠)に腸溶性コーティングを施して製造される。本発明においては、湿式攪拌造粒で製造した造粒末を圧縮成形して得られる素錠の硬度が十分でない場合であっても、素錠部に流動化剤を添加することで、腸溶性コーティング工程に十分耐えることのできる硬度を得ることができる。
【0011】
本発明の錠剤は、上記した成分の他に、製剤技術分野において慣用の添加剤(例えば、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤)を含有していてもよい。これら添加剤は、製剤技術分野において慣用の量が用いられる。
賦形剤としては、例えば乳糖、乳糖水和物、白糖、D−マンニトール、デンプン、結晶セルロースが挙げられる。滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカが挙げられる。結合剤としては、例えば結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ポリビニルピロリドンが挙げられる。崩壊剤としては、例えばデンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウムが挙げられる。
結晶セルロースとしては、例えば、セオラスKG−801、KG−802、PH−101、PH−102、PH−301、PH−302、PH−F20、UF−702、UF−711(旭化成ケミカルズ株式会社)が挙げられ、微結晶セルロースと呼ばれているものも含まれる。
十分な硬度を得る点からは、結晶セルロース(例えば、セオラスKG−802、セオラスUF−702(旭化成ケミカルズ株式会社))等を前述の流動化剤と組合せて素錠部に添加することが好ましい。
本発明の錠剤におけるこれらの添加剤の含有量は、総量として、素錠重量に対して、通常1〜99重量%、好ましくは10〜90重量%、より好ましくは20〜75重量%である。
【0012】
本発明の錠剤は、腸溶性コーティングがされていることを特徴とする。
腸溶性コーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース フタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース アセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース等のセルロース系高分子;メタクリル酸コポリマーL(オイドラギットL(商品名))、メタクリル酸コポリマーLD(オイドラギット L30 D55(商品名))、メタクリル酸コポリマーS(オイドラギットS(商品名))等のアクリル酸系高分子;セラック等の天然物が挙げられ、メタクリル酸コポリマー(特に、メタクリル酸コポリマーLD(オイドラギット L30 D55(商品名))が好ましい。
上記したコーティング基剤は、その2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。また、コーティングの際に、コーティング添加剤を用いてもよい。
該コーティング添加剤としては、例えば、酸化チタン、タルク、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄等の遮光剤および/または着色剤;ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、ヒマシ油、ポリソルベート類等の可塑剤が挙げられる。
コーティング基剤、コーティング添加剤は、製剤技術分野において慣用の量が用いられる。
コーティング量は、素錠100重量部に対して、通常1〜30重量部、好ましくは3〜15重量部、より好ましくは6〜12重量部である。
【0013】
次に本発明の錠剤の製法について説明する。
本発明の錠剤は、湿式攪拌造粒を含む錠剤製造工程により製造されることを特徴とする。
本明細書において、湿式攪拌造粒とは、攪拌翼を配置した容器内に、粉体を投入して攪拌翼を回転させるとともに、容器内へ水、もしくは造粒液を注入することにより、造粒物を得る造粒法である。
【0014】
本発明の錠剤は、湿式攪拌造粒を含む錠剤製造工程により製造されることを除いては、上記した各種添加剤を用いて、製剤技術分野において慣用の方法によって製造することができる。
例えば、本発明の錠剤は、(1)リセドロン酸ナトリウムまたはその水和物、エデト酸またはその塩もしくはこれらの水和物、および任意に添加してもよい添加剤を混合後、混合物に水、もしくは造粒液(例えば、ヒドロキシプロピルセルロースなどの結合剤を含む水溶液)を添加して造粒する工程(湿式攪拌造粒工程)、(2)得られた造粒物に任意に添加してもよい添加剤を混合する工程、(3)得られた顆粒または混合物を圧縮成形し、素錠を得る工程、および(4)得られた素錠に、腸溶性コーティングを施す工程を含んで製造することができる。軽質無水ケイ酸等の流動化剤および/または結晶セルロース(例えば、セオラスKG−802、セオラスUF−702(商品名、旭化成ケミカルズ株式会社))は工程(2)で添加し混合することが好ましい。
具体的には例えば、本発明の錠剤は、リセドロン酸ナトリウムまたはその水和物、エデト酸またはその塩もしくはこれらの水和物、および任意に添加してもよい添加剤(例えば、乳糖水和物、結晶セルロース等の賦形剤、ヒドロキシプロピルセルロース等の結合剤)を混合後、混合物に水、もしくは造粒液を添加(例えば噴霧)して造粒(湿式攪拌造粒)し、乾燥し、必要により整粒し、軽質無水ケイ酸等の流動化剤および任意に添加してもよい添加剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、結晶セルロース等の賦形剤)を混合し、得られた顆粒または混合物を圧縮成形し、得られた素錠に、慣用の方法によって腸溶性コーティングを施すことで製造することができる。
湿式攪拌造粒は、例えば、攪拌式混合造粒機(例えば、FM−VG−10、(株)パウレック)を用いて行うことができる。
混合は、例えば、V型混合機、タンブラー混合機を用いて行うことができる。
圧縮成形は、例えば、単発錠剤機、ロータリー打錠機を用い、打錠することにより行うことができる。打錠圧は、通常1〜20kN、好ましくは3〜18kN、より好ましくは5〜15kNである。
【0015】
本発明の錠剤の重量は、特に限定されないが、通常100〜600mg、好ましくは200〜400mg、より好ましくは240〜380mgである。
本発明の錠剤の形状は特に制限されず、丸形、楕円形、カプレット形、ドーナツ形、オブロング形等のいずれであってもよい。
【0016】
本発明の錠剤は、哺乳動物(例、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、サル、ヒト)に対して、経口的に安全に投与することができる。
【0017】
本発明の錠剤は、骨粗鬆症、骨ぺージェット病の予防および/または治療剤等に用いることができる。
【0018】
本発明の錠剤は、リセドロン酸ナトリウムまたはその水和物以外の活性成分(以下、併用成分と略記することがある)と組み合わせて用いることができる。この際、リセドロン酸ナトリウムまたはその水和物と併用成分の投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。さらに、本発明の錠剤と併用成分とは、それぞれの活性成分を含む2種類の製剤として投与されてもよいし、両方の活性成分を含む単一の製剤として投与されてもよい。
併用成分の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。
このように、併用成分を用いることにより、1)本発明の錠剤または併用成分の作用の増強効果(薬剤作用の相乗効果)、2)本発明の錠剤または併用成分の投与量の低減効果(単独投与時と比較した場合の薬剤投与量の低減効果)、3)本発明の錠剤または併用成分の二次的な作用の低減効果等の優れた効果が得られる。
併用成分としては、骨粗鬆症、骨ぺージェット病の予防および/または治療剤として有用な他の薬剤が挙げられる。
なお、併用成分との併用にあたっては、臨床上必要な注意事項に十分に留意することが必要である。
【実施例】
【0019】
以下に、実施例、製造例、試験例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施例1)
攪拌式混合造粒機(FM−VG−10、(株)パウレック)中で、表1の処方に従い、リセドロン酸ナトリウム水和物(158.0g)(リセドロン酸ナトリウムとして137.6g)、エデト酸ナトリウム水和物(1100g)、乳糖水和物(772.7g)、結晶セルロース(セオラスPH−101、旭化成ケミカルズ(株))(143.0g)、ヒドロキシプロピルセルロース(143.0g)を均一に混合後、混合物に精製水を噴霧して造粒し、ついで流動層乾燥機(LAB−1、(株)パウレック)中で乾燥した。この造粒物を篩い(30mesh、目開き500μm)を用いて整粒し、整粒末を得た。この整粒末(1685g)にデンプングリコール酸ナトリウム(62.40g)、ステアリン酸マグネシウム(10.40g)、結晶セルロース(セオラスKG−802、旭化成ケミカルズ(株))(312.0g)、軽質無水ケイ酸(10.40g)を加え、混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(コレクト19K、菊水製作所)で11×6mm(楕円形)の杵を用いて重量260mgに打錠し、リセドロン酸ナトリウム水和物をリセドロン酸ナトリウムとして12.5mgに相当する量含有する素錠を得た。
一方、タルク(64.00g)を精製水(476.9g)に分散した懸濁液に、酸化チタン(14.90g)、三二酸化鉄(0.5000g)および黄色三二酸化鉄(1.000g)を精製水(160.0g)に分散した懸濁液、メタクリル酸コポリマーLD(Eudragit L30 D55、 エボニックデグサジャパン株式会社)(386.7g)およびクエン酸トリエチル(11.60g)を精製水(40.0g)を用いて加えフィルムコーティング液を調製した。上記素錠(1040g)に、フィルムコーティング機(ハイコーターミニ、(株)フロイント)中で前記したコーティング液を1錠当たりのフィルムコーティング量が20.8mgになるように噴霧し、リセドロン酸ナトリウム水和物をリセドロン酸ナトリウムとして1錠当たり12.5mgに相当する量含有するフィルムコーティング錠を約4000錠得た。
【0021】
(実施例2)
攪拌式混合造粒機(FM−VG−10、(株)パウレック)中で、表1の処方に従い、リセドロン酸ナトリウム水和物(318.4g)(リセドロン酸ナトリウムとして277.4g)、エデト酸ナトリウム水和物(1100g)、乳糖水和物(612.2g)、結晶セルロース(セオラスPH−101、旭化成ケミカルズ(株))(143.0g)、ヒドロキシプロピルセルロース(143.0g)を均一に混合後、混合物に精製水を噴霧して造粒し、ついで流動層乾燥機(FD−5S、(株)パウレック)中で乾燥した。この造粒物を整粒機(パワーミルP−3、昭和化工(株))を用いて整粒し、整粒末Aを得た。また、上記と同様の操作により、整粒末Bを得た。これら整粒末A(1790g)と整粒末B(1790g)にデンプングリコール酸ナトリウム(132.6g)、ステアリン酸マグネシウム(22.10g)、結晶セルロース(セオラスKG−802、旭化成ケミカルズ(株))(663.0g)、軽質無水ケイ酸(22.10g)、を加え、混合機(タンブラー15L、昭和化工(株))で混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(AQUARIUS、菊水製作所)で11×6mm(楕円形)の杵を用いて重量260mgに打錠し、リセドロン酸ナトリウム水和物をリセドロン酸ナトリウムとして25mgに相当する量含有する素錠を得た。
一方、タルク(192.0g)を精製水(1431g)に分散した懸濁液に、酸化チタン(44.70g)、三二酸化鉄(1.500g)および黄色三二酸化鉄(3.000g)を精製水(480.0g)に分散した懸濁液、メタクリル酸コポリマーLD(Eudragit L30 D55、エボニックデグサジャパン株式会社)(1160g)およびクエン酸トリエチル(34.80g)を精製水(120.0g)を用いて加えフィルムコーティング液を調製した。上記素錠(2990g)に、フィルムコーティング機(ドリアコーターDRC500、(株)パウレック)中で前記したコーティング液を1錠当たりのフィルムコーティング量が20.8mgになるように噴霧し、リセドロン酸ナトリウム水和物をリセドロン酸ナトリウムとして1錠当たり25mgに相当する量含有するフィルムコーティング錠を約11500錠得た。
【0022】
(実施例3)
攪拌式混合造粒機(FM−VG−10、(株)パウレック)中で、表1の処方に従い、リセドロン酸ナトリウム水和物(477.6g)(リセドロン酸ナトリウムとして416.0g)、エデト酸ナトリウム水和物(1100g)、乳糖水和物(453.1g)、結晶セルロース(セオラスPH−101、旭化成ケミカルズ(株))(143.0g)、ヒドロキシプロピルセルロース(143.0g)を均一に混合後、混合物に精製水を噴霧して造粒し、ついで流動層乾燥機(FD−5S、(株)パウレック)中で乾燥した。この造粒物を整粒機(パワーミルP−3、昭和化工(株))を用いて整粒し、整粒末Aを得た。また、上記と同様の操作により、整粒末Bを得た。これら整粒末A(1790g)と整粒末B(1790g)にデンプングリコール酸ナトリウム(132.6g)、ステアリン酸マグネシウム(22.10g)、結晶セルロース(セオラスKG−802、旭化成ケミカルズ(株))(663.0g)、軽質無水ケイ酸(22.10g)、を加え、混合機(タンブラー15L、昭和化工(株))で混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(AQUARIUS、菊水製作所)で11×6mm(楕円形)の杵を用いて重量260mgに打錠し、リセドロン酸ナトリウム水和物をリセドロン酸ナトリウムとして37.5mgに相当する量含有する素錠を得た。
一方、タルク(192.0g)を精製水(1431g)に分散した懸濁液に、酸化チタン(44.70g)、三二酸化鉄(1.500g)および黄色三二酸化鉄(3.000g)を精製水(480.0g)に分散した懸濁液、メタクリル酸コポリマーLD(Eudragit L30 D55、エボニックデグサジャパン株式会社)(1160g)およびクエン酸トリエチル(34.80g)を精製水(120.0g)を用いて加えフィルムコーティング液を調製した。上記素錠(2990g)に、フィルムコーティング機(ドリアコーターDRC500、(株)パウレック)中で前記したコーティング液を1錠当たりのフィルムコーティング量が20.8mgになるように噴霧し、リセドロン酸ナトリウム水和物をリセドロン酸ナトリウムとして1錠当たり37.5mgに相当する量含有するフィルムコーティング錠を約11500錠得た。
【0023】
(実施例4)
攪拌式混合造粒機(FM−VG−10、(株)パウレック)中で、表1の処方に従い、リセドロン酸ナトリウム水和物(636.7g)(リセドロン酸ナトリウムとして554.6g)、エデト酸ナトリウム水和物(1100g)、乳糖水和物(293.9g)、結晶セルロース(セオラスPH−101、旭化成ケミカルズ(株))(143.0g)、ヒドロキシプロピルセルロース(143.0g)を均一に混合後、混合物に精製水を噴霧して造粒し、ついで流動層乾燥機(FD−5S、(株)パウレック)中で乾燥した。この造粒物を整粒機(パワーミルP−3、昭和化工(株))を用いて整粒し、整粒末Aを得た。また、上記と同様の操作により、整粒末Bを得た。これら整粒末A(1790g)と整粒末B(1790g)にデンプングリコール酸ナトリウム(132.6g)、ステアリン酸マグネシウム(22.10g)、結晶セルロース(セオラスKG−802、旭化成ケミカルズ(株))(663.0g)、軽質無水ケイ酸(22.10g)、を加え、混合機(タンブラー15L、昭和化工(株))で混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(AQUARIUS、菊水製作所)で11×6mm(楕円形)の杵を用いて重量260mgに打錠し、リセドロン酸ナトリウム水和物をリセドロン酸ナトリウムとして50mgに相当する量含有する素錠を得た。
一方、タルク(192.0g)を精製水(1431g)に分散した懸濁液に、酸化チタン(44.70g)、三二酸化鉄(1.500g)および黄色三二酸化鉄(3.000g)を精製水(480.0g)に分散した懸濁液、メタクリル酸コポリマーLD(Eudragit L30 D55、エボニックデグサジャパン株式会社)(1160g)およびクエン酸トリエチル(34.80g)を精製水(120.0g)を用いて加えフィルムコーティング液を調製した。上記素錠(2990g)に、フィルムコーティング機(ドリアコーターDRC500、(株)パウレック)中で前記したコーティング液を1錠当たりのフィルムコーティング量が20.8mgになるように噴霧し、リセドロン酸ナトリウム水和物をリセドロン酸ナトリウムとして1錠当たり50mgに相当する量含有するフィルムコーティング錠を約11500錠得た。
【0024】
(実施例5)
攪拌式混合造粒機(FM−VG−10、(株)パウレック)中で、表1の処方に従い、リセドロン酸ナトリウム水和物(582.5g)(リセドロン酸ナトリウムとして507.4g)、エデト酸ナトリウム水和物(805.0g)、乳糖水和物(555.8g)、結晶セルロース(セオラスPH−101、旭化成ケミカルズ(株))(136.9g)、ヒドロキシプロピルセルロース(136.9g)を均一に混合後、混合物に精製水を噴霧して造粒し、ついで流動層乾燥機(FD−5S、(株)パウレック)中で乾燥した。この造粒物を整粒機(パワーミルP−3、昭和化工(株))を用いて整粒し、整粒末Aを得た。また、上記と同様の操作により、整粒末Bを得た。これら整粒末A(1653g)と整粒末B(1652g)にデンプングリコール酸ナトリウム(122.4g)、ステアリン酸マグネシウム(20.40g)、結晶セルロース(セオラスKG−802、旭化成ケミカルズ(株))(612.0g)、軽質無水ケイ酸(20.40g)、を加え、混合機(タンブラー15L、昭和化工(株))で混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(AQUARIUS、菊水製作所)で12×7mm(楕円形)の杵を用いて重量340mgに打錠し、リセドロン酸ナトリウム水和物をリセドロン酸ナトリウムとして62.5mgに相当する量含有する素錠を得た。
一方、タルク(200.9g)を精製水(1497g)に分散した懸濁液に、酸化チタン(46.75g)、三二酸化鉄(1.570g)および黄色三二酸化鉄(3.139g)を精製水(502.2g)に分散した懸濁液、メタクリル酸コポリマーLD(Eudragit L30 D55、エボニックデグサジャパン株式会社)(1214g)およびクエン酸トリエチル(36.41g)を精製水(125.5g)を用いて加えフィルムコーティング液を調製した。上記素錠(3060g)に、フィルムコーティング機(ドリアコーターDRC500、(株)パウレック)中で前記したコーティング液を1錠当たりのフィルムコーティング量が27.2mgになるように噴霧し、リセドロン酸ナトリウム水和物をリセドロン酸ナトリウムとして1錠当たり62.5mgに相当する量含有するフィルムコーティング錠を約9000錠得た。
【0025】
(実施例6)
攪拌式混合造粒機(FM−VG−10、(株)パウレック)中で、表1の処方に従い、リセドロン酸ナトリウム水和物(699.0g)(リセドロン酸ナトリウムとして608.9g)、エデト酸ナトリウム水和物(805.0g)、乳糖水和物(439.3g)、結晶セルロース(セオラスPH−101、旭化成ケミカルズ(株))(136.9g)、ヒドロキシプロピルセルロース(136.9g)を均一に混合後、混合物に精製水を噴霧して造粒し、ついで流動層乾燥機(FD−5S、(株)パウレック)中で乾燥した。この造粒物を整粒機(パワーミルP−3、昭和化工(株))を用いて整粒し、整粒末Aを得た。また、上記と同様の操作により、整粒末Bを得た。これら整粒末A(1653g)と整粒末B(1652g)にデンプングリコール酸ナトリウム(122.4g)、ステアリン酸マグネシウム(20.40g)、結晶セルロース(セオラスKG−802、旭化成ケミカルズ(株))(612.0g)、軽質無水ケイ酸(20.40g)、を加え、混合機(タンブラー15L、昭和化工(株))で混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(AQUARIUS、菊水製作所)で12×7mm(楕円形)の杵を用いて重量340mgに打錠し、リセドロン酸ナトリウム水和物をリセドロン酸ナトリウムとして75mgに相当する量含有する素錠を得た。
一方、タルク(200.9g)を精製水(1497g)に分散した懸濁液に、酸化チタン(46.75g)、三二酸化鉄(1.570g)および黄色三二酸化鉄(3.139g)を精製水(502.2g)に分散した懸濁液、メタクリル酸コポリマーLD(Eudragit L30 D55、エボニックデグサジャパン株式会社)(1214g)およびクエン酸トリエチル(36.41g)を精製水(125.5g)を用いて加えフィルムコーティング液を調製した。上記素錠(3060g)に、フィルムコーティング機(ドリアコーターDRC500、(株)パウレック)中で前記したコーティング液を1錠当たりのフィルムコーティング量が27.2mgになるように噴霧し、リセドロン酸ナトリウム水和物をリセドロン酸ナトリウムとして1錠当たり75mgに相当する量含有するフィルムコーティング錠を約9000錠得た。
【0026】
【表1】
【0027】
(製造例1)
攪拌式混合造粒機(FM−VG−01、(株)パウレック)中で、表2の処方に従い、リセドロン酸ナトリウム水和物(80.36g)(リセドロン酸ナトリウムとして70g)、エデト酸ナトリウム水和物(140.0g)、乳糖水和物(28.84g)、結晶セルロース(セオラスPH−101、旭化成ケミカルズ(株))(30.80g)、ヒドロキシプロピルセルロース(15.40g)を均一に混合後、混合物に精製水を噴霧して造粒し、ついで流動層乾燥機(LAB−1、(株)パウレック)中で乾燥した。造粒物を篩い(30mesh、目開き500μm)を用いて整粒し、整粒末Aを得た。上記操作を同様に2回実施し、整粒末Bおよび整粒末Cを得た。整粒末A、整粒末Bおよび整粒末Cを混合し、整粒末Dとした。この整粒末D(84.4g)にデンプングリコール酸ナトリウム(2.64g)、ステアリン酸マグネシウム(0.44g)、結晶セルロース(セオラスKG−802、旭化成ケミカルズ(株))(16.00g)、軽質無水ケイ酸(0.52g)を加え、均一に混合し打錠用顆粒とした。この顆粒を小型ロータリー打錠機(VEL5、菊水製作所)で11×6mm(楕円形)の杵を用いて重量260mgに9kN/punchで打錠し、リセドロン酸ナトリウム水和物をリセドロン酸ナトリウムとして50mgに相当する量を含有する素錠を得た。
【0028】
(製造例2)
製造例1の整粒末D(84.4g)にデンプングリコール酸ナトリウム(2.64g)、ステアリン酸マグネシウム(0.44g)、結晶セルロース(セオラスKG−802、旭化成ケミカルズ(株))(16.00g)、軽質無水ケイ酸(0.26g)を加え、均一に混合し打錠用顆粒とした。この顆粒を小型ロータリー打錠機(VEL5、菊水製作所)で11×6mm(楕円形)の杵を用いて重量259.35mgに9kN/punchで打錠し、リセドロン酸ナトリウム水和物をリセドロン酸ナトリウムとして50mgに相当する量を含有する素錠を得た。
【0029】
(製造例3)
製造例1の整粒末D(84.4g)にデンプングリコール酸ナトリウム(2.64g)、ステアリン酸マグネシウム(0.44g)、結晶セルロース(セオラスKG−802、旭化成ケミカルズ(株))(8.00g)、軽質無水ケイ酸(0.26g)を加え、均一に混合し打錠用顆粒とした。この顆粒を小型ロータリー打錠機(VEL5、菊水製作所)で11×6mm(楕円形)の杵を用いて重量239.35mgに9kN/punchで打錠し、リセドロン酸ナトリウム水和物をリセドロン酸ナトリウムとして50mgに相当する量を含有する素錠を得た。
【0030】
【表2】
【0031】
(製造例4)
製造例1の整粒末D(84.4g)にデンプングリコール酸ナトリウム(2.64g)、ステアリン酸マグネシウム(0.44g)、結晶セルロース(セオラスKG−802、旭化成ケミカルズ(株))(16.00g)を加え、均一に混合し打錠用顆粒とした。この顆粒を小型ロータリー打錠機(VEL5、菊水製作所)で11×6mm(楕円形)の杵を用いて重量258.7mgに打錠し、リセドロン酸ナトリウム水和物をリセドロン酸ナトリウムとして50mgに相当する量を含有する素錠を得た。
【0032】
(製造例5)
製造例1の整粒末D(84.4g)にデンプングリコール酸ナトリウム(2.64g)、ステアリン酸マグネシウム(1.32g)、結晶セルロース(セオラスKG−802、旭化成ケミカルズ(株))(16.00g)を加え、均一に混合し打錠用顆粒とした。この顆粒を小型ロータリー打錠機(VEL5、菊水製作所)で11×6mm(楕円形)の杵を用いて重量262mgに打錠し、リセドロン酸ナトリウム水和物をリセドロン酸ナトリウムとして50mgに相当する量を含有する素錠を得た。
【0033】
(製造例6)
製造例1の整粒末D(84.4g)にデンプングリコール酸ナトリウム(2.64g)、ステアリン酸マグネシウム(0.44g)を加え、均一に混合し打錠用顆粒とした。この顆粒を小型ロータリー打錠機(VEL5、菊水製作所)で11×6mm(楕円形)の杵を用いて重量218.7mgに打錠し、リセドロン酸ナトリウム水和物をリセドロン酸ナトリウムとして50mgに相当する量を含有する素錠を得た。
【0034】
【表3】
【0035】
(比較例1)
表4の処方に従い、リセドロン酸ナトリウム水和物(107.6g)(リセドロン酸ナトリウムとして93.75g)、エデト酸ナトリウム水和物(250.0g)、乳糖水和物(103.9g)、結晶セルロース(セオラスPH−101、旭化成ケミカルズ(株))(32.50g)、ヒドロキシプロピルセルロース(32.50g)、デンプングリコール酸ナトリウム(19.50g)、ステアリン酸マグネシウム(1.625g)、結晶セルロース(セオラスKG−802、旭化成ケミカルズ(株))(75.00g)、軽質無水ケイ酸(3.250g)を均一に混合後、ロータリー打錠機(AQUARIUS、菊水製作所)で11×6mm(楕円形)の杵を用いて打錠圧約8kN/punchで圧縮した物を整粒機(パワーミルP−3、昭和化工(株))を用いて整粒し、整粒末を得た。この整粒末(475.67g)にステアリン酸マグネシウム(1.24g)、結晶セルロース(セオラスKG−802、旭化成ケミカルズ(株))(17.10g)を加え、均一に混合し打錠用顆粒とした。この顆粒をロータリー打錠機(AQUARIUS、菊水製作所)で11×6mm(楕円形)の杵を用いて重量260mgに11kN/punchで打錠し、リセドロン酸ナトリウム水和物をリセドロン酸ナトリウムとして37.5mgに相当する量を含有する素錠を得た。
【0036】
【表4】
【0037】
(試験例1)
実施例1〜6で製造した素錠、および製造例1〜6で製造した素錠について、打錠工程中の重量偏差について調査した。20錠の錠剤について重量をPharma Test(WHT 2ME、ジャパンマシナリー)を用いて測定し、その平均値、CV値を求めた結果を表5および表6に示す。
【0038】
(試験例2)
製造例1〜6で製造した素錠について、Pharma Test(WHT 2ME、ジャパンマシナリー)を用いて製剤特性値(厚み、硬度)を測定した。なお、硬度は10錠で行い、厚みは20錠で行い、平均値を求めた。得られた結果より単位面積当たりの硬度を算出した結果を表6に示した。
【0039】
(試験例3)
製造例1〜6で製造した素錠について、日本薬局方に準じた方法で摩損度試験を実施した。得られた摩損率の結果を表6に示した。
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【0042】
(比較試験例1)
比較例1で製造した素錠について、打錠工程中の重量偏差について調査した。20錠の錠剤について重量をPharma Test(WHT 2ME、ジャパンマシナリー)を用いて測定し、その平均値、CV値を求めた結果を表7に示す。
【0043】
【表7】
【0044】
表5および表6に示すように、湿式攪拌造粒法で得られたいずれの錠剤も重量偏差が非常に低く、打錠工程においてばらつきが少ないことが確認された。さらには表6に示すように、流動化剤である軽質無水ケイ酸を配合した処方(製造例1、2、3)では、摩損率が1%以下であり次工程のフィルムコーティングに耐えうるだけの十分な硬度(2N/mm以上)を有していた。このことより、流動化剤の配合によって硬度や摩損率の観点からより高い成形性を有する錠剤を得ることができることを確認できた。
他方、表7に示すように、乾式造粒法で得られた錠剤は重量偏差が非常に大きく、打錠工程においてばらつきが大きいことが確認された。