【解決手段】画像処理システムを用いたSEM装置を、走査電子顕微鏡と、この走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た画像を処理する画像処理部と、走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た画像及び画像処理部で処理した結果を表示する表示画面を有する表示部とを備えて構成し、画像処理部は、表示部に表示された走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た画像が表示された表示部の表示画面上で設定された条件に基づいて表示画面上に表示された走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た画像のコントラストを補正する補正式を決定し、この決定した補正式を用いて走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た画像のコントラストを補正し、表示部は、画像処理部でコントラストを補正した試料の画像を表示画面上に表示するようにした。
請求項1記載の画像処理システムであって、前記入力部は、前記走査電子顕微鏡で試料を撮像して同時に得た複数の画像を同時に入力し、前記画像処理部は、前記入力部に同時に入力した複数の画像を同時に処理し、該同時に処理した複数の画像を統合して出力することを特徴とする画像処理システム。
請求項1又は2に記載の画像処理システムであって、前記画像処理部は、前記入力部から入力した画像が表示された表示部上で設定された条件に基づいて前記入力した画像のコントラストを補正するための補正式として、前記入力した画像の明るさを1次変換する変換式を、前記入力した画像の明るさに応じて複数決定することを特徴とする画像処理システム。
請求項1又は2に記載の画像処理システムであって、前記画像処理部は、前記入力部から入力した画像が表示された表示部上で設定された条件に基づいて前記入力した画像のコントラストを補正するための補正式として、前記入力した画像の明るさを1次変換する変換式を、前記入力した画像の明るさの分布に応じて複数決定することを特徴とする画像処理システム。
請求項3又は4に記載の画像処理システムであって、前記画像処理部は、前記入力した画像の明るさを1次変換する変換式を、前記入力した画像の前記表示部で指定された領域または箇所の明るさに応じて複数決定することを特徴とする画像処理システム。
請求項6記載の画像処理方法であって、前記画像を入力することを、前記走査電子顕微鏡で試料を撮像して同時に得た複数の画像を同時に入力し、前記画像のコントラスト補正した画像を得ることを、前記同時に入力した複数の画像を同時に処理してコントラスト補正した複数の画像を得ることを特徴とする画像処理システム。
請求項6又は7に記載の画像処理方法であって、前記入力した前記走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た画像が表示された表示画面上で設定された条件に基づいて前記入力した画像のコントラストを補正するための補正式として、前記入力した画像の明るさを1次変換する変換式を、前記入力した画像の明るさに応じて複数決定することを特徴とする画像処理方法。
請求項6又は7に記載の画像処理方法であって、前記入力した前記走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た画像が表示された表示画面上で設定された条件に基づいて前記入力した画像のコントラストを補正するための補正式として、前記入力した画像の明るさを1次変換する変換式を、前記入力した画像の明るさの分布に応じて複数決定することを特徴とする画像処理方法。
請求項8又は9に記載の画像処理方法であって、前記入力した画像の明るさを1次変換する変換式を、前記入力した画像の前記表示画面上で指定された領域または箇所の明るさに応じて複数決定することを特徴とする画像処理方法。
請求項11記載の画像処理システムを用いたSEM装置であって、前記走査電子顕微鏡は、前記試料を撮像して同時に複数の画像を取得し、前記画像処理部は、前記走査電子顕微鏡で同時に取得した複数の画像を同時に処理し、該同時に処理した複数の画像を統合して出力することを特徴とする画像処理システムを用いたSEM装置。
請求項11又は12に記載の画像処理システムを用いたSEM装置であって、前記画像処理部は、前記走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た画像が表示された前記表示部上で設定された条件に基づいて前記走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た画像のコントラストを補正するための補正式として、前記走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た画像の明るさを1次変換する変換式を、前記走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た画像の明るさに応じて複数決定することを特徴とする画像処理システムを用いたSEM装置。
請求項11又は12に記載の画像処理システムを用いたSEM装置であって、前記画像処理部は、前記走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た画像が表示された表示部上で設定された条件に基づいて前記走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た画像のコントラストを補正するための補正式として、前記走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た画像の明るさを1次変換する変換式を、前記走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た画像の明るさの分布に応じて複数決定することを特徴とする画像処理システム。
請求項13又は14に記載の画像処理システムを用いたSEM装置であって、前記画像処理部は、前記走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た画像の明るさを1次変換する変換式を、前記走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た画像の前記表示部で指定された領域または箇所の明るさに応じて複数決定することを特徴とする画像処理システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、回路規模を増大させることなく多チャンネル画像入力への対応、及び、分解能向上を図ることを可能にする画像処理システム及び画像処理方法並びに画像処理システムを用いたSEM装置を提供するものである。
【0015】
本発明では、SEM画像におけるコントラスト強調を、ルック・アップ・テーブルを用いることなく、直線近似演算で実現するようにした。例えば、それぞれのセンサの物理量に応じて、マルチチャネルにパラメータを設定し、直線近似演算処理によりリアルタイムにコントラスト強調機能を実現する。変換特性をn点で直線近似演算する事でメモリレス構成とし、多チャンネル画像入力への対応を低コストに実現可能なため、装置の低コスト化という面で優れた画像処理システム及びそれを用いたSEM装置を実現した。
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0016】
本実施例では、線形補完方式によりコントラスト調整を行う画像処理システム及びそれを用いた走査電子顕微鏡(SEM)装置の例とその効果を説明する。
【0017】
図1は、線形補完方式によりコントラスト調整を行う画像処理システムを用いた走査電子顕微鏡(SEM)装置100の構成の例である。走査電子顕微鏡(SEM)装置100は、SEM1、画像生成部2a〜2n、電子ビーム制御部12、画像処理システム14、及び表示部であるディスプレイを有するパーソナルコンピュータ15(以下、PCと略す)で構成される。画像処理システム14は、AD変換器3a〜3n、スキャン・画像取込部13で構成される。スキャン・画像取込部13は、コントラスト演算部4a〜4n、画像転送部5、画像処理部6a〜6n、スキャン制御部7で構成される。
【0018】
SEM1は、電子ビームを出射する電子銃101と、電子銃101から出射された電子ビーム102の照射位置を制御する走査コイル103と、電子ビーム102の照射により試料110から出射される二次電子111を検出する二次電子検出部104などを備えて構成される。本実施例におけるSEM1は、二次電子検出部104などの検出器をn個備えている。SEM1の構成は一般的であり、ここでは説明を省略する。
図1においては、1個の二次電子検出部104から複数の出力が出ているように記載されているが、これは説明上記載したもので、実際には、二次電子検出器104はn個あり、そのうち1個の二次電子検出器104からは1つの出力が画像生成部2a乃至2nの何れかに繋がっている。
【0019】
SEM装置100は、半導体デバイスやエレクトロニクス、先端ナノテクノロジー材料、生物、製薬などなどの試料観察を行う装置であり、複数の走査ラインに沿って所定の加速電圧で順次電子ビームを照射して、試料上の観察対象領域を走査(スキャン)し、出射される二次電子を検出して観察対象領域の画像情報を取得することで行われる。
【0020】
画像情報の取得は、電子ビーム装置にて処理が行われる単位で行う。例えば、半導体集積回路のウエハを観察する場合、一度にウエハ全体の画像を取得することができないため、640×480画素等の画像サイズに分割して画像を取得する。分割された画像サイズを一つの単位とし、この範囲、即ち対象領域で電子ビーム102を走査(スキャン)させて画像を取得する。分割された単位の基準点へは、SEM内部のステージ105(被対象物となる試料を搭載している部分)を動かすことで行われる。画像サイズは、対象となる試料110である半導体集積回路の微細化やナノテクノロジーの進歩に伴い、640×480画素から5120×3840画素のサイズへと拡大している。
【0021】
以下、分割された単位である、一つの画像サイズ内で行われる走査(スキャン)について説明する。
【0022】
まず、スキャン制御部7では、SEM1の内部で電子ビーム102を試料110上の画像取得領域で走査(スキャン)を行うためスキャン座標及びスキャン制御信号を生成する。生成されたスキャン座標及びスキャン制御信号は、電子ビーム制御部12にてディジタル信号からアナログ信号へ変換され、電子ビーム102の走査を行う。例えば画像サイズが640×480画素の場合での通常のスキャンでは、X及びY座標を0とし、X座標を0から639まで順番に生成する。次にY座標を1とし、同様にX座標を0から639まで順番に生成する。これを繰り返してY座標が479になるまで座標を生成する。このようにX及びY座標を0から順番に行うスキャンをラスタスキャンと呼ぶ場合がある。
【0023】
PC15は、パラメータ設定情報48をコントラスト演算部4a〜4nに入力する。
【0024】
電子ビーム104が照射された試料110から発生した二次電子を検出した二次電子検出部104から出力された信号は、画像生成部2a〜2nに入力し、画像生成部2a〜2nで生成されたアナログ信号は、AD変換器3a〜3nでディジタル信号の画像データ40a〜40nに変換される。
【0025】
AD変換器3a〜3nで変換された画像データ40a〜40nは、スキャン・画像取込部13のコントラスト演算部4a〜4nに入力する。
【0026】
コントラスト演算部4a〜4nは、AD変換器3a〜3nから入力した画像データ40a〜40nと、PC15から入力したパラメータ設定情報48とを用い、画像コントラスト演算を行う。
【0027】
コントラスト演算部4a〜4nは、演算の結果を画像処理部6a〜6nに転送する。
【0028】
画像処理部6a〜6nは、フレーム積算や二次元変換など画像処理を行う。
【0029】
画像処理部6a〜6nは、画像処理結果を、画像転送部5に転送する。
【0030】
画像転送部5は、画像処理部6a〜6nの画像処理結果をまとめ、PC15へ転送する。
【0031】
図1の走査電子顕微鏡(SEM)装置100のコントラスト演算部4a〜4nにおいては、試料の僅かな輝度を強調させて観測像の改善を図るコントラスト強調を行う。以下、
図2から
図6を用いてコントラスト強調処理を詳細に説明する。
【0032】
図2は、コントラスト演算部4a〜4nを説明する図の例である。代表例として、コントラスト演算部4aの例を示す。
【0033】
コントラスト演算部4aは、変化点設定部45a、傾き設定部43a、傾きオフセット設定部44a、傾き演算部41a、傾きオフセット演算部42a、変化点比較部46aを備え、A/D変換機3aから入力した画素データ40aを、PC15から入力したパラメータ設定情報48aを用いて処理を行う。
A/D変換機3aから入力した画素データ40aは、傾き演算部41a、変化点比較部46aに入力される。
【0034】
PC15から出力されたパラメータ設定情報48aは、変化点設定部45a、傾き設定部43a、傾きオフセット設定部44aに入力される。
【0035】
パラメータ設定情報48aは、PC15の画面表示部151に表示されるパラメータ調整GUI画面上で走査電子顕微鏡(SEM)装置100を操作するユーザが設定した情報に基づいて、PC15内で演算して求められる。
【0036】
図3は、本実施例におけるPC15の画面表示部151に表示されるパラメータ調整GUI(Graphic User Interface)画面の例である。
【0037】
入力画素と出力画素の関係を表すGUI:071は、傾き、変化点、オフセット設定前の入力画素と出力画素の関係の例を示す。
【0038】
入力画素と出力画素の関係を表すGUI:071において、ユーザはポインタ073を操作し、傾き、変化点、オフセット設定のための条件を設定する。
【0039】
入力画素と出力画素の関係を表すGUI:072は、傾き、変化点、オフセット設定後の入力画素と出力画素の関係を表す折れ線074の例を示す。
【0040】
PC15は、入力画素と出力画素の関係を表すGUI:072の折れ線074の設定後、コントラスト演算部4aの変化点設定部45a、傾き設定部43a、傾きオフセット設定部44aのレジスタメモリにそれぞれ値を設定する。
【0041】
図4は、本実施例におけるPC15の画面表示部151に表示されるパラメータ調整GUI画面を説明する図の例である。
【0042】
横軸021は入力画素値X、縦軸022は出力画素値Yを示す。入力画素値Xが8bit画像の場合、入力画素値X、出力画素値Yの画素値はそれぞれ0〜255の範囲となる。
【0043】
図4の折れ線024の頂点023を
図2のコントラスト演算部4aの変化点設定部45aに入力し、次のような直線近似する2つの一次方程式が得られる。
Y=3X 0≦X≦55
Y=0.45X+140.25 55≦X≦255
図4の折れ線024の頂点(変化点)H023の横軸座標(X=55)は、
図2の変化点設定部45aに設定される。
【0044】
図4の折れ線024の傾き(3と0.45)は、
図2の傾き設定部43aに設定される。
【0045】
図4の折れ線024の傾きオフセット(140.25)は、
図2のオフセット設定部44aに設定される。
【0046】
図2のコントラスト演算部4aは、直線近似演算により、入力画素値から出力画素値を算出する。以下、コントラスト演算部4aの計算内容の詳細を説明する。
【0047】
コントラスト演算部4aの傾き演算部4a1は、入力画素値40aと傾き設定部43aにより設定されたレジスタメモリの値を乗算する。
【0048】
コントラスト演算部4aの変化点比較部46aは、入力画素値と変化点設定部45aにより設定されたレジスタメモリの値を比較し、入力画素値が大きければ‘1’を、入力画素値が小さければ‘0’を出力する。
【0049】
コントラスト演算部4aの傾きオフセット演算部42aは、傾き演算部41aで演算された結果と、オフセット設定部44aで設定された値と、変化点比較部46aで比較された結果を入力し、変化点比較部での比較結果が‘1’である場合、傾き演算部41aで演算された結果を出力し、変化点比較部46aでの比較結果が‘0’である場合、傾き演算部41aで演算された結果にオフセット設定部44aで設定された値を加算し、出力する。
【0050】
コントラスト演算部4aは以上により、入力画素値のコントラスト演算が成される。
【0051】
図4のGUI画面を例にとると、コントラスト演算部4aにおいて、入力画素値0〜55の範囲は出力画素値の0〜165に変換される。その結果、画素値の範囲が拡大され、コントラストが強調された。
【0052】
図5は、本実施例におけるコントラスト調整フローチャートの例である。
【0053】
まず、コントラスト調整を開始し(S501),
図2の変化点設定部45aに変化点を設定し(S502),
図2の傾き設定部43aに傾きを設定し(S503),さらに、
図2のオフセト設定部44aに傾きオフセットを設定する(S504)。次に、
図2の傾き演算部41aで傾きを演算し、その結果を用いて傾きオフセット演算部42aで傾きオフセットの演算を実行し(S505)、コントラスト調整を完了する(S506)。
【0054】
図4のGUI画面の例では、頂点(変化点)が1つで傾きが2つの2段階の折れ線024が表示されており、パラメータは3つ存在する。この例に加え、変化点を増やし、直線の段数を増加させることで、細かい強調範囲の設定が可能となる。
【0055】
図6は、変化点の数が4点の場合の、入出力の画素値の関係を示すGUIの例である。
【0056】
図6において、変化点は横軸Xの座標a:0301, b:0302, c:0303, d:0304により示される。また、傾きはA:0305, B:0306, C:0307, D:0308, E:0309により示される。また、傾きオフセットは縦軸Yの座標bias B:0310, bias C:0311, bias D:0312, bias E:0313で示される。
【0057】
図7は、変化点の数が
図6の場合と同様に4点の場合の、コントラスト演算部4a´の回路の例である。
【0058】
図7のコントラスト演算部4a´の回路は、変化点設定部45a´を構成するレジスタa:451a、b:452a、c:453a、d:454a、傾き設定部43a´を構成するレジスタA:431、B:432、C:433、D:434、E:435、傾きオフセット設定部44a´を構成するレジスタbias B:441、bias C:442、bias D:443、bias E:444、傾き演算部41a´を構成する演算器411a-415a、傾きオフセット演算部42a´に該当する演算器421a−424a、変化点比較部46a´に該当する比較器461a-464a、選択器47aで構成される。
【0059】
変化点設定部45a´のレジスタa:451、b:452、c:453、d:454より、線形補完方式のパラメータのある、変化点の横軸座標a:0301、b:0302、c:0303、d:0304を決める。
【0060】
図7のコントラスト演算部4a´の傾き設定部レジスタA:431、B:432、C:433、D:434、E:435は、
図6の変化点間の傾きA:0305、B:0306、C:0307、D:0308、E:0309に対応する。
【0061】
図7のコントラスト演算部4a´のオフセット設定部レジスタbias B:441a、bias C:442a、bias D:443a、bias E:444aは、
図6の傾きオフセットbias B:0310、bias C:0311、bias D:0312、bias E:0313に対応する。
【0062】
図8A及び
図8Bは、LUTを用いた従来技術と本実施例における回路リソースの比較例を示したもので、
図8AにはRAM(Random Access Memory)の使用料の比較、
図8Bにはロジックデバイスの使用量の比較を示した。本実施例によるSEM装置100では、変換特性をn点で直線近似演算する事でLUTを不要としてメモリレス構成とし回路規模及び設定時間を短縮し、リアルタイムでのコントラスト強調機能を低コストに実現した画像処理装置システム及びそれを用いたSEM装置を実現することができる。その結果、画像処理装置システムとして16bitの画像6チャネル(検出器104を6個使用)で構成した場合には、
図8Aに示すように、ルック・アップ・テーブルを使用しないことによりRAM使用量081を6M減らすことができ、また、
図8Bに示すように、ロジックデバイス(Logic)の使用量を600スライスから428スライスへ減らすことができる。
【0063】
このように、本実施例によるコントラスト演算部4a〜4nは、従来のLUTを用いて構成されるコントラスト強調方法にくらべ、回路規模を大幅に低減することができる。
【0064】
従来のLUTを用いた方式のSEM装置の場合、多チャンネル画像入力への対応に対しルック・アップ・テーブルをチャネル数分n倍化が必須で、分解能向上に伴い画像bit数が増加した場合、ルック・アップ・テーブルの回路規模の増大と、コスト増大、および変換データの設定時間長大化によりユーザビリティが低下してしまうが、本実施例による画像処理システムを用いた走査電子顕微鏡(SEM)装置100は、変換特性をn点で直線近似演算する事でメモリレス構成とし、多チャンネル画像入力への対応を低コストに実現可能なため、ユーザビリティを低下させることなく装置の低コスト化を図れるという面で優れた画像処理システム及びSEM装置を提供することができる。
【実施例2】
【0065】
本実施例では、ヒストグラムにより、線形補完パラメータを決定する画像処理システムを用いたSEM装置の例とその効果を説明する。
【0066】
図9は、本実施例による画像処理システムを用いたSEM装置900の構成の例である。走査電子顕微鏡(SEM)装置900は、SEM1、画像生成部2a〜2n、電子ビーム制御部12、画像処理システム140、及び表示部であるディスプレイ152を有するパーソナルコンピュータ150(以下、PCと略す)を備えている。画像処理システム140は、AD変換器3a〜3n、スキャン・画像取込部130、ヒストグラム演算部9を備えている。スキャン・画像取込部130は、コントラスト演算部410a〜410n、画像転送部510、画像処理部610a〜610n、スキャン制御部7、を備えている。
【0067】
本実施例における画像処理システムを用いたSEM装置900は、実施例1において、
図1を用いて説明した画像処理システムを用いたSEM装置100の構成に、ヒストグラム演算部9を追加したものである。実施例1で説明した
図1に示された構成と同じものには同一の符号を付してあり、それらの説明は省略する。
【0068】
図9に示した構成において、AD変換器3a〜3nから出力された画像データ40a〜40nは、スキャン・画像取込部130とヒストグラム演算部9とに入力される。
【0069】
図17は、ヒストグラム演算部9の構成を説明する図である。
【0070】
ヒストグラム演算部9は、画素値カウンタ部93と設定データ演算部94を備えている。
【0071】
画素値カウンタ部93は、AD変換器3a〜3nから入力される画像データ40a〜40nの画素値の発生個数をカウントし、ヒストグラム演算結果95を得る。
【0072】
ヒストグラム演算部9は、ヒストグラム演算結果95をPC150に伝送する。
【0073】
PC150は、ヒストグラム演算結果95を用いて作成したパラメータ調整情報92をヒストグラム演算部9の設定データ演算部94に伝送する。
【0074】
設定データ演算部94は、PC150から入力されたパラメータ調整情報92を用い、傾き、変化点、オフセットパラメータの計算を行い、設定データ96a〜96nを出力する。
【0075】
ヒストグラム演算部9から出力されたパラメータ設定情報96a〜96nは、コントラスト演算部410a〜410nに入力される。
【0076】
図10は、本実施例における、ヒストグラム演算部9で求めた画像データ40a〜40nの画素値のヒストグラムから線形補完パラメータをPC150の表示画面152に表示するパラメータ調整GUI画面上で設定する原理を説明する図の例である。
【0077】
図10の(a)は、AD変換器3a〜3nから画像データ40a〜40nをヒストグラム演算部9の画素値カウンタ部93に入力した場合の、画素値カウンタ部93でカウントされた入力画素値のヒストグラムで、PC150の表示画面152に表示するパラメータ調整GUI画面上に表示されている。
【0078】
図10の(a)の横軸021は入力画素値Xで、縦軸1101は画像の同じ画素値の数(カウント結果である画素値の個数)である。
【0079】
図10の(a)の縦軸1101において、データの数が多いところには、ピーク1102がある。
【0080】
図10の(a)のピーク1102を、画像の多い処を強調することを目的とし、強調区間1103を表示する。
【0081】
図10(b)は画素値の入出力関係を示す図で、PC150の表示画面152に表示するパラメータ調整GUI画面の例である。
図10(b)の入出力関係図に、この強調区間1103の範囲を表示し、ユーザは、画面上でこの強調区間のコントラストを強調するよう、折れ線グラフ1104の形(連続する折れ線の各部の傾き)を設定する。
【0082】
本実施例による、
図10の(a)で入力画素値のヒストグラムのピークを選択し、
図10の(b)で入力画像の強調区間を決める方法は、強調区間の範囲設定の精度を高くすることができ、コントラスト補正の経験がないユーザにも使い易く、ユーザビリティ向上を実現することができる。
【0083】
図10の(a)及び(b)に示したすように、PC150の表示画面152に表示されたパラメータ調整GUI画面上で設定された強調区間1103の範囲の情報は、スキャン・画像取込部130のコントラスト演算部410a〜410nに入力される。コントラスト演算部410a〜410nの構成は基本的には実施例1で説明した
図2に示した構成と同じであり、入力するパラメータ情報48aが
図17における設定データ演算部94から出力される設定データ96aに置き換わる点が異なる。
【0084】
コントラスト演算部410a〜410nで処理された結果は、実施例1で説明したのと同様に、画像処理部610a〜610nに送られ、画像処理部610a〜610nにおいて、フレーム積算や二次元変換などの画像処理を行い、画像処理の結果を、画像転送部510に転送する。画像転送部510は、画像処理部610a〜610nの画像処理結果をまとめ、PC150へ転送する。
【0085】
図11は、実施例2においてコントラスト演算部410a〜410nで実行するコントラスト調整のフローチャートを示す。コントラスト演算部410a〜410nの内部構成については、実施例1の
図2に示したコントラスト演算部4aの構成を代用して説明する。
【0086】
まず、SEM1で試料110を撮像して得られた画像データをヒストグラム演算部9とコントラスト演算部410a〜410nに入力し(S1101)、ヒストグラム演算部9の画素値カウンタ93において入力した画像の画素値のヒストグラムを作成してPC150の表示画面152上に作成したヒストグラムを表示する(S1102)。ユーザは、例えば
図12Aに示すようなヒストグラム表示画面1201に表示されたヒストグラム1301上で、ピーク1302を選択(指定)し、
図12Bに示すような入力画素値と出力画素値との関係を示すグラフ1202上で、パラメータ調整部1203に表示された倍率、範囲、中心点の各パラメータを調整してなどの各パラメータを入力して調整する(S1103)。次に、S1103において画面上で設定した各パラメータの情報がヒストグラム演算部9の設定データ演算部94に入力されて、傾き、変化点、オフセットパラメータを、
図13に示すような処理手順S1301〜S1319に沿って算出する(S1104)。次に、変化点設定部45aに変化点を設定し(S1105),傾き設定部43aに傾きを設定し(S1106),さらに、オフセト設定部44aに傾きオフセットを設定する(S1107)。次に、傾き演算部41aで傾きを演算し、その結果を用いて傾きオフセット演算部42aで傾きオフセットの演算を実行し(S1108)、演算の結果に基づく画像の画素値を画像処理部610a〜610nに出力して(S1109),コントラスト調整を完了する。
【0087】
図12Aに示した本実施例における画素値のヒストグラムを表示したヒストグラム表示画面1201上で入力画素値のヒストグラム表示1301から、ユーザは補正したいピークを含む領域1302を選択する。また、
図12Bの、倍率、範囲、中心点の各パラメータが表示されたパラメータ調整部1203に各パラメータを入力して、入力画素値と出力画素値との関係を示すグラフ1202で確認して調整する。グラフ1202の直線の各パラメータは、パラメータ調整部1203に表示されたボタン1309をスライドさせて補正の詳細を設定する。
【0088】
図12Bのパラメータ調整部1203にて設定するパラメータは、各ピーク対応の補正倍率1303と1306、補正範囲1304と1307、補正中心点1305と1308である。
【0089】
パラメータ調整部1203にて設定した各パラメータを元に、ヒストグラム演算部9において、各チャンネルごとの傾き、変化点、オフセットパラメータの計算を行う。
【0090】
本実施例による画像処理システム及びそれを用いた走査電子顕微鏡(SEM)装置は、ヒストグラム演算部9でSEMで撮像して得られた試料のSEM画像データから作成したヒストグラムから、変化点設定、傾き設定、オフセトを設定するので、コントラスト調整用パラメータを最適に設定して、調整の精度を向上させることができる。これにより、コントラスト補正の経験がない人にも使い易いので、ユーザビリティの向上という面で優れた画像処理システム及びそれを用いたSEM装置を提供することができる。
【実施例3】
【0091】
本実施例では、輝度値表示により線形補完パラメータを決定する画像処理装置及びそれを用いたSEM装置の例とその効果を説明する。
【0092】
本実施例による画像処理システム及びそれを用いたSEM装置の構成の例は、実施例1で説明した
図1及び
図2に記載した構成と同様であるので、全体の構成の説明を省略する。
【0093】
図14は、本実施例によるに表示するGUI画面の例である。
【0094】
図14の画像1401は、試料110をSEM1で撮像して取得した、である。ユーザは、する。
【0095】
図14の画像1402は、画像1401上で指定した領域1411における画像の輝度値を各ピクセルごとに表示するGUI画面の例を示す。
【0096】
図14の画像1403は、画像1402で表示された指定した領域1411における画像の各ピクセルごとの輝度値が表示された画像の中で、強調範囲(輝度値最小1412と最大値1413)をユーザが選択し、倍率をユーザが設定するGUI画面の例である。
【0097】
図15は、本実施例による、輝度値表示から線形補完のパラメータを決定し、コントラスト調整を行うフローチャートの例である。
【0098】
まず、SEM1で試料110を撮像して得られた画像データをコントラスト演算部4a〜4nに入力し(S1501)、入力した画像をPC15の表示画面151に表示して
図14の画像1401のように、強調したい領域を画面上で指定する。(S1502)。次に、
図14の画像1402のように、指定された領域の輝度値をピクセルごとに表示し(S1503)、輝度値がピクセルごとに表示された画像上で
図14の画像1403に示すように、強調範囲(輝度値最小と最大値)の選択と倍率設定を行う(S1504)。次に、この画面上で選択した強調範囲の情報と倍率の情報に基づいて、傾き、変化点、オフセットパラメータを、PC15で
図16に示すような算出する(S1505)。次に、算出した結果に基づいて変化点設定部45aに変化点を設定し(S1506),傾き設定部43aに傾きを設定し(S1507),さらに、オフセト設定部44aに傾きオフセットを設定する(S1508)。次に、傾き演算部41aで傾きを演算し、その結果を用いて傾きオフセット演算部42aで傾きオフセットの演算を実行し(S1509)、演算の結果に基づく画像の画素値を画像処理部610a〜610nに出力して(S1510),コントラスト調整を完了する。
【0099】
図16は、PC15で行われる傾き、変化点、オフセットパラメータを、
図14に示したPC15の画面151に表示された画像1403上で選択した強調範囲(輝度値最小1412と輝度値最大1413)と倍率設定を元に、処理手順S1601〜S1611に沿って計算する例を示す。
【0100】
本実施例による画像処理システム及び走査電子顕微鏡(SEM)装置は、これら輝度値のピクセル表示をGUIに表示しながら、変化点パラメータ設定、傾きパラメータ設定、オフセトパラメータ設定する事で、コントラスト調整精度を向上させることができる。これにより、コントラスト補正の経験がない人にも使い易いので、ユーザビリティの向上という面で優れた画像処理システム及びそれを用いたSEM装置を提供することができる。
【実施例4】
【0101】
本実施例では、ヒストグラムを参考にしながら表示画像を補正する画像処理装置及びそれを用いたSEM装置の例とその効果を説明する。本実施例における画像処理装置及びそれを用いたSEM装置の構成は、実施例2において
図9及び
図17を用いて説明した構成と同じであるので、説明を省略する。
【0102】
図18は、本実施例による、表示画像を補正する時にPC150の表示画面152上に表示するGUI画面を示す図の例である。
【0103】
PC150の表示画面152上に表示されるGUI1800は、表示画像領域1801、補正画像表示領域1803、補正用ヒストグラム表示領域1805を備え、γ補正表示ボタン1802が表示されている。
【0104】
表示画像領域1801には、SEM1で試料110を撮像して取得した画像1820を表示する。この状態でγ補正ボタン1802を押すと、補正画像表示領域1803にγ補正された画像1811が表示される。
補正画像表示領域1803には、補正方式選択ボタン1804が表示されている。補正方式選択ボタン1804はたとえば「全体」、「領域」、「ポイント」が選択可能である。
【0105】
補正方式選択ボタン1804で「全体」を選択すると、補正用ヒストグラム表示領域1805に補正用ヒストグラムが表示される。
【0106】
補正用ヒストグラム表示領域1805には、補正オプションボタン表示部1806、適用ボタン1807、ヒストグラムコントラスト調整画面表示部1808が表示される。補正オプションボタン表示部1806にはたとえば補正有効選択ボタン1812と補正調整可能点数選択ボタン1813が表示されており、補正有効のON/OFF、補正調整可能点数の選択が可能である。
【0107】
一例として補正オプションボタン表示部1806の補正有効選択ボタン1812にてONを選択し、補正調整可能点数選択ボタン1813で二点を選択した場合にヒストグラムコントラスト調整画面表示部1808には、
図19に示すような二点補正用ヒストグラムのGUI画面が表示される。
【0108】
図19の二点補正用ヒストグラム1900において、X軸は画素値:1904を表す。Y軸は画素数:1903を表す。ヒストグラム(1):1909は表示画像1801の画像(1):1809に対応し、ヒストグラム(2):1910は表示画像1801の画像(2):1810に対応する。
【0109】
ユーザは二点補正用ヒストグラム1900が表示された画面上の、二点補正用の調整点1907と1908の位置を操作しながら、倍率M:1906と範囲H:1905を変更する。以上の変更の結果を反映し補正した画像は、
図18に示したGUIの補正画像表示領域1803の画像1811に表示される。
【0110】
倍率M:1906と範囲H:1905との調整完了後、
図18に示したGUIの補正用ヒストグラム表示領域1805の適用ボタン1807を押して(画面上に表示されるカーソル(図示せず)を適用ボタン1807の上に位置させてクリックして)、表示画像領域1801に表示する画像に補正画像を反映させる。
【0111】
また、別な例として、
図18のGUIにおいて補正オプションボタン表示部1806の補正有効選択ボタン1812にてONを選択し、補正調整可能点数選択ボタン1813にて四点を選択した場合に、ヒストグラムコントラスト調整画面表示部1808に表示される四点補正用ヒストグラム2000の例を
図20に示す。
【0112】
この
図20の四点補正用ヒストグラム2000が表示された画面上で、ユーザは、四点補正用の調整点2005、2006、2007、2008の位置を操作しながら、倍率M1:2003、倍率M2:2004、範囲H1:2001、H2:2002を変更する。以上の変更の結果を反映し補正した画像は、
図18に示したGUIの補正画像表示領域1803の画像1811に反映される。
【0113】
倍率と範囲とを調整完了後、
図18に示したGUI1800の補正用ヒストグラム表示領域1805の適用ボタン1807を押して、表示画像領域1801に表示する画像に補正画像を反映する。
【0114】
図21は、GUI1800の補正画像表示領域1803に表示された補正選択ボタン1804の「領域」を選択した場合の例を示す図である。
補正選択ボタン1804の「領域」を選択して、表示画像領域1801に表示された画像1820上で、補正したい場所(領域)2101を指定した場合、補正用ヒストグラム表示領域1805に、指定した領域に関する
図19に示したような二点補正用ヒストグラム1900又は
図20に示したような四点補正用ヒストグラム2000を表示する。
この二点補正用ヒストグラム1900又は四点補正用ヒストグラム2000が表示された画面上で、ユーザは、
図19に示したような二点補正用1907,1908の位置、又は
図20に示したような四点補正用の調整点2005、2006、2007、2008の位置を操作しながら、倍率M:1906と範囲H:1905との調整、又は、倍率M1:2003、倍率M2:2004、範囲H1:2001、H2:2002の調整を行う。調整終了後、以上の調整の結果を反映し補正した画像は、
図21に示したGUIの補正画像表示領域1803の画像1811に反映される。
【0115】
倍率と範囲とを調整完了後、
図21に示したGUI1800の補正用ヒストグラム表示領域1805の適用ボタン1807を押して、表示画像領域1801に表示する画像に補正画像を反映させる。
【0116】
以上、ヒストグラムを参考にしながら表示画像を補正する例を説明した。
【0117】
次に、
図22に、GUI1800の補正画像表示領域1803に表示された補正選択ボタン1804の「ポイント」を選択した場合の例を示す。
【0118】
ユーザが補正選択ボタン1804の「ポイント」を選択すると、GUI1800には、補正用輝度値表示画面2201と適用ボタン2207が表示される。
【0119】
補正選択ボタン1804の「ポイント」を選択したのちに、表示画像領域1801に表示されている画像1820上で、見たい任意の点2206の上にポインタを移動させてクリックする。
図22に示した例では、4点を指定した場合を示している。
【0120】
補正用輝度値表示画面2201上に、ユーザがクリックした点を中心する25画素分の輝度値表2202を、指定した個所ごとに表示する。
【0121】
ユーザは輝度値表2202を確認して、倍率2203、開始画素値2204、終了画素値2205の値を入力する。ユーザが入力後、適用ボタン2207を押して、表示画像領域1801に表示する画像1829に補正した内容を反映させる。
【0122】
本実施例による画像処理システム及びそれを用いた走査電子顕微鏡(SEM)装置は、GUI上のヒストグラムを参考にしながらコントラストの補正が可能で、例えばコントラスト補正経験が乏しいような初学者にも使いやすく、ユーザビリティの向上という面で優れた画像処理システム及びSEM装置を提供する。
【0123】
以上、輝度値を参考にしながら表示画像を補正する例を説明した。
【0124】
本発明は、上記した実施例で説明したように、画像処理システムを、走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た画像を入力する入力部と、この入力部に入力した画像のコントラスト補正するための補正式を求めるコントラスト演算部と、このコントラスト演算部で求めた画像のコントラスト補正するための補正式を用いて入力部に入力した画像を処理する画像処理部と、入力部から入力した画像と画像処理部で処理した画像とを表示する表示部とを備えて構成し、画像処理部は、入力部から入力した画像が表示された表示部上で設定された条件に基づいて表示された画像のコントラストを補正するための補正式を決定し、この決定した補正式を用いて入力部から入力した画像のコントラストを補正し、表示部は、画像処理部でコントラストを補正した試料の画像を表示画面上に表示するようにしたものである。
【0125】
また、本発明は、上記した実施例で説明したように、走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た画像を入力し、この入力した走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た画像のコントラスト補正するための補正式を求め、この求めた画像のコントラスト補正するための補正式を用いて走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た画像を処理してコントラストを補正した画像を得る、画像処理方法において、入力した走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た画像が表示された表示画面上で設定された条件に基づいて表示された画像のコントラストを補正するための補正式を決定し、この決定した補正式を用いて走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た画像のコントラストを補正し、このコントラストを補正した試料の画像を表示画面上に表示するようにしたものである。
【0126】
さらに、本発明は、上記した実施例で説明したように、画像処理システムを用いたSEM装置を、走査電子顕微鏡と、この走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た画像を処理する画像処理部と、走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た画像及び画像処理部で処理した結果を表示する表示画面を有する表示部とを備えて構成し、画像処理部は、表示部に表示された走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た画像が表示された表示部の表示画面上で設定された条件に基づいて表示画面上に表示された走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た画像のコントラストを補正する補正式を決定し、この決定した補正式を用いて走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た画像のコントラストを補正し、表示部は、画像処理部でコントラストを補正した試料の画像を表示画面上に表示するようにしたものである。
【0127】
本実施例による画像処理システム及び走査電子顕微鏡(SEM)装置は、GUI上に表示された試料のSEM画像における輝度値を参考にしながらコントラストの補正が可能で、例えばコントラスト補正経験が乏しいような初学者にも使いやすく、ユーザビリティの向上という面で優れた画像処理システム及びそれを用いたSEM装置を提供する。
【0128】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0129】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0130】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。