特開2015-205846(P2015-205846A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-205846(P2015-205846A)
(43)【公開日】2015年11月19日
(54)【発明の名称】レプチン分泌促進剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/202 20060101AFI20151023BHJP
   A61K 31/232 20060101ALI20151023BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20151023BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20151023BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20151023BHJP
【FI】
   A61K31/202
   A61K31/232
   A61P3/10
   A61P3/04
   A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-88252(P2014-88252)
(22)【出願日】2014年4月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504205521
【氏名又は名称】国立大学法人 長崎大学
(74)【代理人】
【識別番号】100100549
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 嘉之
(74)【代理人】
【識別番号】100126505
【弁理士】
【氏名又は名称】佐貫 伸一
(72)【発明者】
【氏名】横山 明日香
(72)【発明者】
【氏名】冷牟田 修一
(72)【発明者】
【氏名】及川 大地
【テーマコード(参考)】
4C206
【Fターム(参考)】
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA05
4C206DB09
4C206DB48
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZA70
4C206ZC03
4C206ZC33
(57)【要約】
【課題】本発明は、メタボリックシンドロームの病態発生に基づく疾患(肥満、高血圧、糖尿病)や脂肪萎縮症などの疾患を予防・治療することを課題とする。
【解決手段】本発明は、γリノレン酸を有効成分として含有することを特徴とするレプチン分泌促進剤を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
γリノレン酸を有効成分として含有することを特徴とするレプチン分泌促進剤。
【請求項2】
γリノレン酸は、遊離型γリノレン酸、あるいは、γリノレン酸のメチルエステル、エチルエステル、または、モノグリセリド体、ジグリセリド体、もしくはトリグリセリド体である、請求項1に記載のレプチン分泌促進剤。
【請求項3】
γリノレン酸(GLA)の投与量が患者に対して一日につき0.015〜2.5g GLA/kgである、請求項1または2に記載のレプチン分泌促進剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のレプチン分泌促進剤を含む医薬。
【請求項5】
脂肪萎縮症の予防及び/又は治療のための請求項4に記載の医薬。
【請求項6】
肥満の予防及び/又は治療のための請求項4に記載の医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、γリノレン酸(GLA)を含むレプチン分泌促進剤に関する。本発明はまた、レプチン分泌促進剤を含む医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
レプチンは脂肪細胞で主に生産され、血中に分泌される146個のアミノ酸からなるホルモンである。視床下部に作用することで強い摂食抑制を発揮し、骨格筋に作用してエネルギー消費の亢進を促す。メタボリックシンドロームの基盤となる肥満の予防効果や、脂肪萎縮症の治療効果が期待されている。
肥満は、高血圧症、糖尿病、高脂血症を引き起こすメタボリックシンドロームの基盤であり、心筋梗塞および脳血管障害などの動脈硬化性疾患の発症・進展に大きく寄与する。
脂肪萎縮症とは、全身あるいは部分的に脂肪組織が消失あるいは減少する希少難治性疾患であり、重度の糖尿病や脂質異常症、脂肪肝など種々の糖脂質代謝異常が高頻度に認められる。脂肪萎縮症を伴う糖尿病は脂肪萎縮性糖尿病と呼ばれており、強いインスリン抵抗性のために従来の経口血糖降下薬は無効であり、インスリンを大量に使用しても十分な血糖コントロールが得られないことが多い。また、脂肪萎縮症は、糖尿病合併症や非アルコール性脂肪肝炎、肥大型心筋症などにより、平均寿命30〜40歳ともいわれるきわめて予後不良な難治性疾患である。その原因も遺伝子異常による先天性のものや自己免疫による後天性のものなど多様であり、原因不明の症例も少なくない(非特許文献1)。
【0003】
脂肪萎縮症に対しては、従来の糖尿病治療薬や高脂血症治療薬は効果が無いことが確認されており、有効な治療薬の開発が熱望されていた。米国国立衛生研究所や京都大学の研究により、脂肪萎縮症による糖尿病、高中性脂肪血症、脂肪肝などの改善には、レプチンの補充が有効であることが明らかになっている(非特許文献2)。
2013年5月24日、メトレレプチン(商品名メトレレプチン皮下注用11.25mg)が薬価収載されている。しかしながら、メトレレプチンは、国内の安全性評価試験においては87%に何らかの副作用が認められている。その主な副作用は、注射部位反応(腫脹・疼痛・掻痒・発疹など、53%)である(非特許文献2)。
また、メトレレプチンの適用範囲は「インスリン抵抗性を有する脂肪萎縮症と判断された患者」に限定されており、糖尿病、高インスリン血症または高トリグリセライド血症を有しない脂肪萎縮症患者およびHIVに関連する脂肪萎縮症における有効性は確立されておらず(非特許文献3)、脂肪萎縮症治療薬の開発は十分であるとは言えなかった。
【0004】
マウスにイコサペンタエン酸(EPA)を強化した餌を与えるとレプチンレベルが増加して皮質骨の構造及び機械的特性を中程度に改善し得ることが知られているが(非特許文献4)、レプチンレベルの増加は十分であるとは言えなかった。一方、γリノレン酸を投与することによりレプチンレベルが増加することは知られていなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】海老原健、肥満研究 vol.17, No.1, 2011,15-20
【非特許文献2】北村正樹、脂肪萎縮症治療用のヒトレプチンアナログ製剤、日経メディカル、2013年5月30日(https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/drug/update/201305/530794.html)
【非特許文献3】メトレレプチン皮下注射用11.25mg「シオノギ」、医薬品インタビューフォーム、2013年7月改訂(改訂第3版)
【非特許文献4】J Nutr. Biochem. 2011 Jul; 22(7): 665-72
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、メタボリックシンドロームの病態発生に基づく疾患(肥満、高血圧、糖尿病)や脂肪萎縮症などの疾患を予防・治療することを課題とする。より詳細には、本発明は、レプチン分泌促進剤、並びに該レプチン分泌促進剤に基づく各種疾患の治療・予防に役立つ医薬を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、γリノレン酸を経口投与することにより血中のレプチンが増加することを見出した。
本発明者らは、このようにして本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)γリノレン酸を有効成分として含有することを特徴とするレプチン分泌促進剤。
(2)γリノレン酸は、遊離型γリノレン酸、あるいは、γリノレン酸のメチルエステル、エチルエステル、または、モノグリセリド体、ジグリセリド体、もしくはトリグリセリド体である、(1)に記載のレプチン分泌促進剤。
(3)γリノレン酸の投与量が患者に対して一日につき0.015〜2.5g GLA/kgである、(1)または(2)に記載のレプチン分泌促進剤。
(4)(1)〜(3)のいずれか1項に記載のレプチン分泌促進剤を含む医薬。
(5)脂肪萎縮症の予防及び/又は治療のための(4)に記載の医薬。
(6)肥満の予防及び/又は治療のための(4)に記載の医薬。
【発明の効果】
【0009】
本発明のレプチン分泌促進剤は、レプチンの分泌を増加させることにより、例えば、摂取カロリーを抑制し、糖及び脂質の代謝を活性化させることができる。結果として、本発明のレプチン分泌促進剤は、例えば、摂取カロリー過多及びカロリー消費低下に伴う肥満を抑制することができ、高血圧、糖尿病、高脂血症などのメタボリックシンドロームを予防及び治療することができる。
本発明のレプチン分泌促進剤により、脂肪萎縮症で極度に減少したレプチン量が回復し、脂肪萎縮症の症状緩和に寄与することができる。
本発明のレプチン分泌促進剤は、経口投与が可能であるため、注射薬で生じる副作用(注射部位反応)が問題にならず、γリノレン酸は生体内にもともと存在するため副作用が少ない。
本発明のレプチン分泌促進剤に含まれるγリノレン酸は、イコサペンタエン酸(EPA)よりも、レプチン分泌促進効果が高い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】正常マウスにおける、種々のサンプルの投与後の血漿レプチン量を示す。縦軸は血漿レプチン濃度(ng/mL)を示す。横軸はサンプルの種類を示す。
図2】共役リノール酸(CLA)2%投与後の脂肪萎縮症マウスにおける、正常マウス(対照群)と比較した、精巣上体脂肪および腎臓周囲脂肪の顕著な減少を示す(写真)。スケールバーは1cmを示す。
図3】正常マウス(対照群)またはCLA2%投与後の脂肪萎縮症マウスにおける、血漿レプチン量を示す。縦軸は血漿レプチン濃度(ng/mL)を示す。
図4】脂肪萎縮症マウスにおける、GLA投与後の血漿レプチン量を示す。縦軸は血漿レプチン濃度(ng/mL)を示す。
図5】脂肪萎縮症マウスにおける、GLA投与後の精巣上体脂肪重量(g)(上図)及び腎周囲脂肪重量(g)(下図)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のレプチン分泌促進剤は、γリノレン酸を有効成分として含有することを特徴とする。本発明で使用されるγリノレン酸は、遊離型γリノレン酸またはγリノレン酸誘導体のいずれであってもよいが、遊離型γリノレン酸が好ましい。
本発明において、「レプチン分泌促進」とは、γリノレン酸の投与により、血中に分泌されるレプチンの量を、未投与の脂肪萎縮症を有する群または正常対照群と比較して、例えば、1.2倍以上、好ましくは1.5倍以上、より好ましくは、2倍以上増加させることをいう。
【0012】
本発明で使用される「遊離型γリノレン酸」とは、グリセリド体ではなく、グリセリンから遊離しているγリノレン酸を意味する。
本発明で使用される遊離型γリノレン酸は、市販のものを使用することができる。遊離型γリノレン酸は、CAYMAN CHEMICAL社などより販売されている。本発明で使用される遊離型γリノレン酸は、γリノレン酸トリグリセリドを酵素処理することによってグリセリンから遊離したγリノレン酸を使用してもよいし、月見草の種子などから抽出してもよい。月見草の種子などから抽出したものを酵素処理することによって、遊離したγリノレン酸を使用しても良い。
【0013】
γリノレン酸の誘導体としては、γリノレン酸トリグリセリド(all-cis-6,9,12-オクタデカトリエン酸)(GLA-TG)、γリノレン酸ジグリセリド、及びγリノレン酸モノグリセリドなどのγリノレン酸のエステルが挙げられる。
γリノレン酸トリグリセリドは、常法により合成できる。市販品として、NU-CHEK-PREP, Inc社、出光興産株式会社などにより販売されている。また、微生物によって製造されたものでもよい(特開昭63-283589号公報、特開平03-072892号公報、特開平8-214892号公報)。
また、本発明で使用されるγリノレン酸は、γリノレン酸トリグリセリド、γリノレン酸ジグリセリド、及びγリノレン酸モノグリセリドのグリセリド混合物であってもよい。
【0014】
本発明で使用されるγリノレン酸のエステルの他の態様としては、γリノレン酸と直鎖又は分岐アルコール(グリセロール以外)のエステル体が挙げられ、好ましくは、γリノレン酸エチルエステル(all-cis-6,9,12-オクタデカトリエン酸エチル)及びγリノレン酸メチルエステル(all-cis-6,9,12-オクタデカトリエン酸メチル)である。
γリノレン酸の誘導体の他の態様としては、γリノレン酸の炭素数1〜4の低級アルキル化体も挙げられる。
これらのγリノレン酸のエステルやアルキル化体は、例えば、γリノレン酸をアルコールと脱水縮合させることにより、または、アルキル化剤で処理することにより得ることができる。
【0015】
本発明のレプチン分泌促進剤を含む医薬は、糖尿病、高脂血症、高血圧、肥満、及び脂肪萎縮症などの予防及び/又は治療に効果を有する。
本発明の医薬は、医薬製剤の製造法で一般的に用いられている公知の手段に従って、γリノレン酸を、そのまま、あるいは薬理学的に許容される担体と混合して投与することができる。本発明の医薬は、γリノレン酸を薬理学的に許容し得る担体に配合することによって製造することができる。
薬理学的に許容される担体としては、例えば固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤及び崩壊剤、あるいは液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤及び無痛化剤等が挙げられる。
本発明の医薬の製剤化には、通常製剤化に用いられる各種の成分が任意に使用されるが、その例としては、例えばデンプン、デキストリン、乳糖、コーンスターチ、無機塩類な
どが挙げられる。
【0016】
本発明のレプチン分泌促進剤を含む医薬の剤型としては、アンプル、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、輸液、ドリンク剤等が挙げられるが、特定の剤型のものに限定されるものではない。
製剤中のレプチン分泌促進剤の好ましい含有量は、製剤全量に対して0.1〜80質量%であり、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは1〜5質量%である。
【0017】
本発明のレプチン分泌促進剤の投与方法としては特に制限されないが、経口投与が好ましい。好ましい投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより異なり特に制限されないが、例えば、患者(体重60〜100kgとして)に対して、一日につき約0.015g〜2.5g GLA/kg、好ましくは約0.1g〜2.5g GLA/kgである。
【0018】
本発明のγリノレン酸を含むレプチン分泌促進剤は、医薬品、医薬部外品等の皮膚外用剤に含有させることができる。医薬品または医薬部外品としては、軟膏剤、クリーム剤、外用液剤等の医薬品等が挙げられる。
また、本発明の皮膚外用剤には前記生理活性組成物のほか本発明の効果を損なわない範囲で医薬部外品などの皮膚外用剤に配合される成分、油分、高級アルコール、脂肪酸、紫外線吸収剤、粉体、顔料、界面活性剤、多価アルコール・糖、高分子、生理活性物質、溶媒、酸化防止剤、香料、防腐剤等を配合することができる。
【実施例】
【0019】
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明が、これら実施例にのみ、限定を受けないことは言うまでもない。
【0020】
実施例1:GLA投与によるレプチン分泌促進効果の検討
<マウスにおけるレプチン測定>
4週齢のICR雄マウスを日本SLCより入手し、12日間馴化後、本実験を行った。各群5匹のICR雄マウスを個別ケージにて5日間馴化し、下記飼料を4週間摂取させた。一週間ごとに体重測定を行い、ローデントカフェを用いて2,3日に一度摂餌量を測定した。4週間飼育後、頸椎脱臼および頸動脈からの放血によって屠殺し、肝臓、脂肪組織(精巣上体脂肪、腎臓周囲脂肪)および血液を採取した。肝臓、脂肪組織は重量を測定し、血液はヘパリン処理後、遠心分離により血漿を分離し、臓器とともに冷凍保存後レプチン測定を行った。血漿レプチン測定にはモリナガレプチン測定キット(森永生科学研究所)を使用した。
上記方法にてマウスの血漿を採取し、レプチン量を測定した。なお、供試飼料は次の通りである。

<供試飼料>
1.対照群:AIN93G(大豆油7%)
2.EPA投与群:AIN93G改変(大豆油5%+EPA油2%)
3.GLA群:AIN93G改変(大豆油5%+GLA油2%)

1 EPA油:エパデール(持田製薬)より抽出した。すなわち、カプセル一袋を15mLの試験管に入れ蒸留水を1mL程度そそぎ、カプセル表面が柔らかくなってきたらガラス棒でカプセルを潰した。底に溜まった油脂をパルツールピペットで吸い取り、新しい試験管に入れた。回収した液に蒸留水を1mL程度注ぎ、軽く混ぜた後、冷蔵庫で静置した。一晩静置後、上層を捨て、残液油脂をEPA油として利用した。
2 GLA油:CAYMAN CHEMICAL社製

<結果>
対照群と比較し、GLA投与群で血漿中レプチン量の増加が観察された。その効果は、既にレプチン増加効果が報告されているEPA投与群よりも高かった(図1)。
【0021】
実施例2:正常マウスにおけるCLA投与による脂肪萎縮症の再現
実施例1に記載の方法と同様にしてマウスの臓器および血漿を採取し、レプチン量を測定した。なお、供試飼料は次の通りである。
<供試飼料>
1.対照群:AIN93G(大豆油7%)
2.脂肪萎縮マウス:AIN93G改変(大豆油5%+CLA2%)

3 共役リノール酸(CLA)油:メタセーブ(日清オイリオグループ)カプセル上部をハサミで切り取り、パスツールピペットにて中身を回収しCLA油とした。

<結果>
Diabetes. 2000 Sep; 49(9): 1534-42.に記載されるとおり、CLA1%で脂肪萎縮様症状が現れることが知られている。本実施例2においても、CLA2%を投与したマウスでは、精巣上体および腎周囲脂肪の顕著な減少が観察され(図2)、さらに、血漿レプチンの有意な減少が観察された(図3)。ゆえに本実施例2のマウスでは脂肪萎縮症が再現されたものとし、以下実施例3の実験を行った。
【0022】
実施例3:脂肪萎縮症マウスにおけるGLA投与によるレプチン分泌促進および脂肪重量回復効果
実施例1に記載の方法と同様にしてマウスの血漿を採取し、レプチン量を測定した。なお、供試飼料は次の通りである。

<供試飼料>
1.脂肪萎縮マウス:AIN93G改変(大豆油5%+CLA2%)
2.脂肪萎縮マウス+GLA:AIN93G改変(大豆油3%+CLA2%+GLA2%)

<結果>
脂肪萎縮マウス群と比較し、脂肪萎縮マウス+GLA群で血漿中レプチン量の有意な増加が観察された(図4)。また、精巣上体脂肪、腎周囲脂肪の増加効果が確認できた(図5)。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明により、レプチン分泌促進剤を提供することができる。本発明のレプチン分泌促進剤は、様々な生理効果(高血圧症、高脂血症、糖尿病、肥満、脂肪萎縮症の予防または治療等)を奏し、医薬等の用途に展開可能である。
図1
図2
図3
図4
図5