【解決手段】配線基板は、基板本体11と、基板本体11の上面11Aと下面11Bとの間を貫通する貫通孔11Xと、貫通孔11X内に形成された貫通電極13と、を有する。貫通電極13は、貫通孔11Xの上面11A側の内側面に形成された密着層20及び金属層21と、貫通孔11Xの下面11B側の内側面に形成され、金属層21の下面11B側の端部を被覆する密着層22及び金属層23とを有する。貫通電極13は、金属層21と金属層23とを連続して被覆する金属層24と、金属層24の一部を被覆して貫通孔11Xの上面11A側の開口部を閉塞する金属層25と、金属層24,25によって囲まれた空間S1を充填する樹脂層26とを有する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して各実施形態を説明する。なお、添付図面は、特徴を分かりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の部材のハッチングを梨地模様に代えて示し、一部の部材のハッチングを省略している。
【0010】
(第1実施形態)
以下、
図1〜
図6に従って第1実施形態を説明する。
配線基板10は、基板本体11と、絶縁膜12と、基板本体11の上面11Aから下面11Bまでを貫通する貫通電極13と、配線層14と、配線層15と、絶縁層16と、配線層17とを有している。
【0011】
基板本体11の平面形状は、任意の形状とすることができる。例えば、基板本体11の平面形状は、略矩形状とすることができる。基板本体11の厚さとしては、例えば、100〜200μm程度とすることができる。基板本体11の材料としては、例えば、シリコン、ガラス、樹脂を用いることができる。
【0012】
なお、配線基板10の上面には、例えば、半導体チップ(図示略)が搭載される。このとき、半導体チップはシリコン基板を有するものが多い。このため、半導体チップと配線基板10との熱膨張係数を整合させる観点からすると、基板本体11の材料として、シリコンや、シリコンに熱膨張係数が近い硼珪酸ガラスを用いると好適である。硼珪酸ガラスは、硼酸と珪酸を主成分とするガラスであり、熱膨張係数は3ppm/℃程度である。また、加工性の観点からすると、基板本体11の材料として、シリコンを用いると好適である。なお、本実施形態では、基板本体11の材料としてシリコンを用いる。
【0013】
ここで、基板本体11の熱膨張係数を半導体チップの熱膨張係数と整合させる理由は、高温環境下や低温環境下で動作する場合も含め、配線基板10と半導体チップとの接合部に生じる熱応力を低減するためである。
【0014】
基板本体11には、所要箇所(
図1では、2箇所)に当該基板本体11を厚さ方向に貫通する貫通孔11Xが形成されている。すなわち、貫通孔11Xは、基板本体11の上面11Aと下面11Bとの間を貫通するように形成されている。貫通孔11Xの平面形状は、任意の形状及び任意の大きさとすることができる。貫通孔11Xの平面形状は、例えば、直径が20〜40μm程度の略円形状とすることができる。例えば、貫通孔11Xの直径が20μmで基板本体11の厚さが200μmである場合には、貫通孔11Xのアスペクト比(直径と深さの比)は10となる。
【0015】
絶縁膜12は、基板本体11の上面11Aと、貫通孔11Xの内側面と、基板本体11の下面11Bとを連続して被覆するように形成されている。絶縁膜12は、基板本体11と、貫通電極13及び配線層14,15との間を絶縁するために設けられている。絶縁膜12の厚さは、例えば、1〜2μm程度とすることができる。絶縁膜12としては、例えば、シリコン酸化膜や窒化シリコン膜を用いることができる。
【0016】
貫通電極13は、絶縁膜12で被覆された貫通孔11X内に形成されている。貫通電極13は、基板本体11を厚さ方向に貫通するように形成されている。貫通電極13の詳細な構造については後述する。
【0017】
配線層14は、基板本体11の上面11A及び貫通電極13の上面に積層されている。配線層14は、貫通電極13と電気的に接続されている。配線層14は、例えば、貫通電極13の真上及び貫通孔11Xの周囲の上面11A上に形成された平面視略円形状のパッド部を有する。配線層14は、パッド部の他に、上面11Aにおいて所定の平面形状にパターニングされたパターン部を有してもよい。なお、配線層14の厚さは、例えば、2〜20μm程度とすることができる。
【0018】
絶縁層16は、配線層14の一部を被覆するように、基板本体11の上面11Aに絶縁膜12を介して積層されている。絶縁層16の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂などの絶縁性樹脂、又はこれら樹脂にシリカ(SiO
2)やアルミナ(Al
2O
3)等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。絶縁層16の材料としては、例えば、熱硬化性を有する絶縁性樹脂や感光性を有する絶縁性樹脂を用いることができる。また、絶縁層16の材料としては、例えば、ガラス、アラミド、LCP(Liquid Crystal Polymer)繊維の織布や不織布などの補強材に、エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させた補強材入りの絶縁性樹脂を用いることもできる。なお、絶縁層16の厚さとしては、例えば、2〜20μm程度とすることができる。
【0019】
絶縁層16には、所要の箇所に、当該絶縁層16を厚さ方向に貫通して配線層14の上面の一部を露出するビアホール16Xが形成されている。ビアホール16X内には、配線層14と配線層17とを電気的に接続するビア配線18が形成されている。ビア配線18は、ビアホール16Xを充填するように形成されている。これらビアホール16X及びビア配線18は、
図1において下側(基板本体11側)から上側(配線層17側)に向かうに連れて径が大きくなるテーパ状に形成されている。例えば、ビアホール16Xは、下側の開口部の開口径が上側の開口部の開口径よりも小径となる略逆円錐台形状に形成され、ビア配線18は、下面が上面よりも小径となる略逆円錐台形状に形成されている。なお、ビア配線18の上面の直径は、例えば、10〜60μm程度とすることができる。
【0020】
ビアホール16X及びビア配線18は、下層の貫通孔11X及び貫通電極13の真上に設けられている。具体的には、ビア配線18(ビアホール16X)と貫通電極13(貫通孔11X)とは、配線基板10の積層方向(図中の上下方向)に沿って直線状に積み重ねられて相互に接続されている。すなわち、本例のビア配線18(ビアホール16X)は、貫通電極13(貫通孔11X)の真上に配線層14を介して積み重ねられた(スタックされた)スタックビア構造のビア(ビアホール)である。
【0021】
配線層17は、ビア配線18の上面と接続するように、絶縁層16の上面に積層されている。配線層17は、ビア配線18と一体に形成されている。配線層17の材料としては、例えば、銅(Cu)や銅合金を用いることができる。なお、配線層17の厚さは、例えば、2〜20μm程度とすることができる。
【0022】
一方、配線層15は、基板本体11の下面11B及び貫通電極13の下面に積層されている。配線層15は、貫通電極13と電気的に接続されている。そして、配線層15は、貫通電極13を介して配線層14と電気的に接続されている。なお、配線層15の厚さは、例えば、2〜20μm程度とすることができる。
【0023】
配線層15は、例えば、貫通孔11Xの周囲の下面11B上に形成された平面視略円形状のパッド部を有する。配線層15は、パッド部の他に、基板本体11の下面11Bにおいて所定の平面形状にパターニングされたパターン部を有してもよい。
【0024】
次に、貫通電極13及び配線層14,15の構造について説明する。
図2に示すように、貫通電極13は、密着層20と、金属層21と、密着層22と、金属層23と、金属層24と、金属層25と、樹脂層26とを有している。
【0025】
密着層20は、貫通孔11Xの上面11A側の内側面に形成された絶縁膜12を被覆するように形成されている。密着層20は、例えば、貫通孔11Xの内側面を被覆する絶縁膜12の表面(側面)のうち上面11A側における約半分の表面を被覆するように形成されている。また、密着層20は、貫通孔11Xの周囲の上面11Aに形成された絶縁膜12を被覆するように形成されている。このように、密着層20は、貫通孔11Xの上面11A側の内側面において絶縁膜12を被覆し、貫通孔11X内から基板本体11の上面11Aに延出するように形成されている。すなわち、密着層20は、貫通孔11Xの上面11A側の内側面に形成された絶縁膜12と、貫通孔11Xの周囲の上面11Aに形成された絶縁膜12とを連続して被覆するように形成されている。
【0026】
貫通孔11Xの内側面において絶縁膜12上に積層された密着層20は、例えば、上面11A側から貫通孔11Xの深い部分に向かうに連れて薄くなるように形成されている。このため、貫通孔11Xの上面11A側の開口部付近において絶縁膜12上に積層された密着層20は、貫通孔11Xの開口部周縁から貫通孔11Xの平面中心に向かって突出するように形成されている。基板本体11の上面11Aにおいて絶縁膜12上に積層された密着層20、及び貫通孔11Xの上面11A側の開口部付近において絶縁膜12上に積層された密着層20の厚さは、例えば、0.2〜5μm程度とすることができる。
【0027】
密着層20の材料としては、金属層21(例えば、銅層)よりも絶縁膜12(例えば、シリコン酸化膜)との密着性が高い材料であることが好ましい。例えば、密着層20の材料としては、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、チタンタングステン(TiW)を用いることができる。また、密着層20としては、例えば、スパッタ法により形成された金属膜(スパッタ膜)を用いることができる。このようなスパッタ法により形成された密着層20は、例えば、無電解めっき法や電解めっき法により形成された金属層よりも金属の密度が高くなっている。
【0028】
金属層21は、密着層20の表面(上面及び側面)を被覆するように密着層20上に積層されている。換言すると、密着層20は、基板本体11(絶縁膜12)と金属層21との間に形成されている。金属層21は、例えば、貫通孔11Xの深さ方向(厚さ方向)の中途に位置する端部が密着層20を介さずに絶縁膜12上に直接形成されている。すなわち、金属層21は、貫通孔11Xの内側面の中央部付近において、密着層20から露出する絶縁膜12の側面の一部を被覆するように形成されている。
【0029】
貫通孔11Xの内側面において密着層20上に積層された金属層21は、例えば、上面11A側から貫通孔11Xの深い部分に向かうに連れて薄くなるように形成されている。基板本体11の上面11Aにおいて密着層20上に積層された金属層21、及び貫通孔11Xの上面11A側の開口部付近において密着層20上に積層された金属層21の厚さは、例えば、0.2〜5μm程度とすることができる。
【0030】
金属層21の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。金属層21としては、例えば、スパッタ法により形成されたスパッタ膜を用いることができる。
密着層22は、貫通孔11Xの下面11B側の内側面に形成された絶縁膜12を被覆するように形成されている。密着層22は、例えば、貫通孔11Xの内側面を被覆する絶縁膜12の表面(側面)のうち下面11B側における約半分の表面を被覆するように形成されている。具体的には、密着層22は、貫通孔11Xの内側面において、金属層21から露出する絶縁膜12の表面全面を被覆するように形成されている。また、密着層22は、例えば、貫通孔11Xの深さ方向の中途に位置する金属層21の端部を被覆するように形成されている。このとき、密着層22によって被覆される金属層21は、密着層20の一部を被覆している。さらに、密着層22は、貫通孔11Xの周囲の下面11Bに形成された絶縁膜12を被覆するように形成されている。このように、密着層22は、貫通孔11Xの下面11B側の内側面において絶縁膜12及び金属層21を被覆し、貫通孔11X内から基板本体11の下面11Bに延出するように形成されている。すなわち、密着層22は、貫通孔11Xの周囲の下面11Bに形成された絶縁膜12と、貫通孔11Xの下面11B側の内側面に形成された絶縁膜12と、金属層21の端部とを連続して被覆するように形成されている。
【0031】
貫通孔11Xの内側面において絶縁膜12上に積層された密着層22は、例えば、下面11B側から貫通孔11Xの深い部分に向かうに連れて薄くなるように形成されている。このため、貫通孔11Xの下面11B側の開口部付近において絶縁膜12上に積層された密着層22は、貫通孔11Xの開口部周縁から貫通孔11Xの平面中心に向かって突出するように形成されている。基板本体11の下面11Bにおいて絶縁膜12上に積層された密着層22、及び貫通孔11Xの下面11B側の開口部付近において絶縁膜12上に積層された密着層22の厚さは、例えば、0.05〜5μm程度とすることができる。
【0032】
密着層22の材料としては、金属層23(例えば、銅層)よりも絶縁膜12(例えば、シリコン酸化膜)との密着性が高い材料であることが好ましい。例えば、密着層22の材料としては、チタン、タンタル、クロム、チタンタングステンを用いることができる。また、密着層22としては、例えば、スパッタ法により形成されたスパッタ膜を用いることができる。
【0033】
金属層23は、密着層22の表面(下面及び側面)を被覆するように密着層22上に積層されている。換言すると、密着層22は、基板本体11と金属層23との間に形成されている。金属層23は、例えば、貫通孔11Xの深さ方向の中途に位置する端部が、密着層22を介さずに金属層21上に直接形成されている。すなわち、金属層23は、貫通孔11Xの深さ方向の中央部付近において、密着層22から露出する金属層21の側面の一部を被覆するように形成されている。
【0034】
このように、貫通孔11Xの深さ方向の中央部付近(破線枠参照)では、絶縁膜12上に、密着層20と、金属層21と、密着層22と、金属層23とがこの順番で積層されている。
【0035】
貫通孔11Xの内側面において密着層22上に積層された金属層23は、例えば、下面11B側から貫通孔11Xの深い部分に向かうに連れて薄くなるように形成されている。基板本体11の下面11Bにおいて密着層22上に積層された金属層23、及び貫通孔11Xの下面11B側の開口部付近において密着層22上に積層された金属層23の厚さは、例えば、0.05〜5μm程度とすることができる。
【0036】
金属層23の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。金属層23としては、例えば、スパッタ法により形成されたスパッタ膜を用いることができる。
金属層24は、金属層21の表面(上面及び側面)を被覆し、且つ、金属層23の表面(下面及び側面)を被覆するように金属層21,23上に積層されている。すなわち、金属層24は、基板本体11の上面11Aに積層された金属層21の上面と、貫通孔11Xの内側面に積層された金属層21の側面と、貫通孔11Xの内側面に積層された金属層23の側面と、基板本体11の下面11Bに積層された金属層23の下面とを連続して被覆するように形成されている。
【0037】
貫通孔11Xの内側面において金属層21,23上に積層された金属層25は、例えば、上面11A側から貫通孔11Xの深さ方向の中央部に向かうに連れて薄く、且つ、下面11B側から貫通孔11Xの深さ方向の中央部に向かうに連れて薄くなるように形成されている。すなわち、金属層25は、貫通孔11Xの両側の開口部から貫通孔11Xの深い部分に向かうに連れて薄くなるように形成されている。
【0038】
金属層24の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。金属層24としては、例えば、電解めっき法により形成された金属層(電解めっき金属層)を用いることができる。
【0039】
金属層25は、貫通孔11Xの上面11A側の空間を埋めるように形成されている。具体的には、金属層25は、貫通孔11Xの上面11A側の開口部を閉塞するように形成されている。すなわち、金属層25は、密着層20及び金属層21,24から開口された貫通孔11Xの上面11A側の開口部に蓋をするように形成されている。換言すると、貫通孔11Xの上面11A側の開口部は、密着層20と、金属層21,24,25とによって閉塞されている。また、金属層25は、貫通孔11Xの周囲の上面11A上に、絶縁膜12、密着層20及び金属層21,24を介して積層されている。すなわち、金属層25は、貫通孔11Xの上面11A側の開口部を閉塞し、貫通孔11X内から上面11Aに延出するように形成されている。金属層25の上面には、基板本体11側に向かって凹む凹部25Xが形成されている。凹部25Xは、例えば、貫通孔11Xと平面視で重なる位置に形成されている。また、貫通孔11X内に形成された金属層25の下面には、上面11A側に向かって凹む凹部25Yが形成されている。凹部25Yは、例えば、上面11A側に向かって湾曲状に凹むように形成されている。
【0040】
樹脂層26は、密着層20,22及び金属層21,23,24,25を含む導電層から露出する貫通孔11X内(導電層が形成されていない貫通孔11X内)の空間S1を充填するように形成されている。具体的には、樹脂層26は、金属層25と、金属層24とによって囲まれた空間S1を充填するように形成されている。すなわち、樹脂層26は、凹部25Yを充填するとともに、金属層24よりも内側の空間を充填するように形成されている。換言すると、樹脂層26の上面11A側の端部には、上面11A側に突起する凸部26Aが形成され、その凸部26Aが凹部25Yに配置されている。
【0041】
樹脂層26の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂などの絶縁性樹脂、又はこれら樹脂にシリカやアルミナ等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。樹脂層26の材料としては、例えば、当該樹脂層26の熱膨張係数が基板本体11(例えば、シリコン基板)の熱膨張係数と金属層24(例えば、銅層)の熱膨張係数との中間の値となるように、フィラーの含有量などが調整された樹脂材であることが好ましい。例えば、樹脂層26の材料としては、当該樹脂層26の熱膨張係数が基板本体11の熱膨張係数よりも金属層24の熱膨張係数に近づくように、フィラーの含有量などが調整された樹脂材であることがより好ましい。このような樹脂層26の熱膨張係数は、例えば、2〜50ppm/℃(好適には4〜16ppm/℃、より好適には12〜16ppm/℃)程度になるように設定されている。
【0042】
以上説明した密着層20,22、金属層21,23,24,25及び樹脂層26のうち、貫通孔11X内に形成された密着層20,22、金属層21,23,24,25及び樹脂層26が貫通電極13として機能する。また、貫通電極13の上面及びその貫通電極13の周囲の基板本体11の上面11Aに形成された密着層20、金属層21,24,25が配線層14として機能する。このため、配線層14は、貫通電極13の一部と一体に形成されている。また、貫通電極13の下面及びその貫通電極13の周囲の基板本体11の下面11Bに形成された密着層22、金属層23,24及び樹脂層26が配線層15として機能する。このため、配線層15は、貫通電極13の一部と一体に形成されている。この配線層15の下面には、樹脂層26の下面が露出している。なお、配線層15が有するパッド部の一部に、樹脂層26の下面が含まれていてもよい。
【0043】
次に、
図3〜
図6に従って、配線基板10の製造方法について説明する。なお、
図3〜
図6では、貫通孔11Xの周辺部分を拡大して示している。
まず、
図3(a)に示す工程では、基板本体11を準備する。基板本体11としては、例えば、6インチ(約150mm)、8インチ(約200mm)、12インチ(約300mm)等のシリコンウェハを用いることができる。シリコンウェハの厚さは、例えば、0.625mm(6インチの場合)、0.725mm(8インチの場合)、0.775mm(12インチの場合)等であるが、バックサイドグラインダー等により適宜薄型化することができる。薄型化したシリコンウェハ(基板本体11)の厚さは、例えば、100〜200μm程度とすることができる。
【0044】
続いて、基板本体11の所要箇所に、基板本体11の上面11Aと下面11Bとの間を貫通する貫通孔11Xを形成する。貫通孔11Xは、例えば、貫通孔11Xを形成する位置に開口パターンが形成されたレジスト層(図示略)を基板本体11に形成し、そのレジスト層をマスクとして基板本体11をエッチングすることにより形成できる。エッチングとしては、例えば、SF
6(六フッ化硫黄)を用いた反応性イオンエッチング(DRIE:Deep Reactive Ion Etching)等の異方性エッチングを用いることができる。
【0045】
次いで、貫通孔11Xの内側面を含む基板本体11の表面全面を被覆する絶縁膜12を形成する。例えば、基板本体11がシリコン基板であり、絶縁膜12がシリコン酸化膜である場合には、基板本体11の表面近傍の温度を1000℃以上とするウェット熱酸化法を用いて、基板本体11の表面近傍を熱酸化することにより絶縁膜12を形成することができる。また、絶縁膜12は、例えば、CVD(chemical vapor deposition)法などによっても形成することができる。
【0046】
次に、
図3(b)に示す工程では、基板本体11の上面11A及び貫通孔11Xの上面11A側の内側面に、密着層20及び金属層21を順次形成する。これら密着層20及び金属層21は、例えば、スパッタ法により形成することができる。例えば、基板本体11の上面11A側からチタン(Ti)をスパッタリングにより、上面11Aと貫通孔11Xの内側面の一部とに堆積させて密着層20を形成する。その後、密着層20上に銅をスパッタリングにより堆積させて金属層21を形成する。このとき、上面11A及び貫通孔11Xの上面11A側の開口部付近ではチタンや銅が堆積しやすく、貫通孔11Xの内側面では深い部分に向かうにつれてチタンや銅が堆積し難くなる。このため、密着層20及び金属層21は、貫通孔11X内において、上面11A側から貫通孔11Xの深い部分に向かうに連れて薄くなるように形成される。
【0047】
ここで、絶縁膜12がシリコン酸化膜であり、金属層21の材料が銅である場合には、絶縁膜12と金属層21との密着性が低い。これに対し、本例では、絶縁膜12と金属層21との間に、金属層21よりも絶縁膜12との密着性が高い密着層20(例えば、Ti層)を形成するようにした。このため、絶縁膜12と金属層21とを、密着層20を介して良好に密着させることができる。
【0048】
続いて、
図3(c)に示す工程では、基板本体11の下面11B及び貫通孔11Xの下面11B側の内側面に、密着層22及び金属層23を順次形成する。これら密着層22及び金属層23は、例えば、スパッタ法により形成することができる。例えば、基板本体11の下面11B側からチタン(Ti)をスパッタリングにより、下面11Bと貫通孔11Xの内側面の一部とに堆積させて密着層22を形成する。その後、密着層22上に銅をスパッタリングにより堆積させて金属層23を形成する。このとき、下面11B及び貫通孔11Xの下面11B側の開口部付近ではチタンや銅が堆積しやすく、貫通孔11Xの内側面では深い部分に向かうにつれてチタンや銅が堆積し難くなる。このため、密着層22及び金属層23は、貫通孔11X内において、下面11B側から貫通孔11Xの深い部分に向かうに連れて薄くなるように形成される。また、本工程では、密着層22が、貫通孔11Xの深さ方向の中途に位置する金属層21の端部を被覆するまで、スパッタリングによるチタンの堆積が行われる。これにより、密着層22と金属層21(及び密着層20)との電気的な接続信頼性を向上させることができる。また、本工程により、貫通孔11Xの深さ方向の中央部付近の絶縁膜12上に、密着層20と、金属層21と、密着層22と、金属層23とが順に積層された層構造が形成される。
【0049】
ここで、絶縁膜12と金属層23との間には、金属層23よりも絶縁膜12との密着性が高い密着層22(例えば、Ti層)が形成される。このため、絶縁膜12と金属層23とを、密着層22を介して良好に密着させることができる。
【0050】
以上の製造工程により、密着層20,22及び金属層21,23から構成されるシード層が絶縁膜12上に形成される。
次いで、
図4(a)に示す工程では、金属層21,23の表面全面を被覆する金属層24を形成する。金属層24は、例えば、密着層20,22及び金属層21,23から構成されるシード層を給電層に利用する電解めっき法により形成できる。例えば、
図3(c)に示した構造体を、めっき槽に貯留した電解めっき液に浸漬し、密着層20,22及び金属層21,23等を給電層とする電解銅めっきを金属層21,23の表面に施す。このとき、金属層21,23の開口部周縁を形成する角部に電流が集中しやすいため、その角部に形成される金属層24は、貫通孔11Xの深い部分に形成される金属層24よりも厚く形成される。換言すると、金属層24は、貫通孔11Xの両側の開口部から貫通孔11Xの深い部分に向かうに連れて薄くなるように形成される。
【0051】
次に、
図4(b)に示す工程では、基板本体11の下面11B上に、貫通孔11Xの下面11B側の開口部を塞ぐように、保護膜30をラミネートする。これにより、金属層24の下面が保護膜30によって被覆され、その保護膜30が貫通孔11Xの底部となる。保護膜30としては、例えば、樹脂フィルムを用いることができる。なお、保護膜30の一部が、貫通孔11X内に入り込むように突出してもよい。
【0052】
続いて、
図4(c)に示す工程では、貫通孔11Xの上面11A側の開口部を塞ぐとともに、密着層20及び金属層21を介して基板本体11の上面11Aに積層された金属層24の上面を被覆する金属層25を形成する。金属層25は、例えば、
図4(b)に示した構造体を、めっき槽に貯留した電解めっき液に浸漬し、密着層20及び金属層21を給電層とする電解めっき法を金属層24の表面に施すことにより形成できる。ここで、電解めっき液としては、例えば、ヴィアフィル用の電解めっき液を用いることができる。ヴィアフィル用の電解めっき液としては、硫酸銅、硫酸、塩化物イオンを基本組成とし、界面活性剤としての高分子化合物、ブライトナーとしての硫黄化合物、及びレベラーとしての含窒素化合物が配合された電解めっき液を用いることができる。本工程では、金属層24の上面及び貫通孔11Xの上面11A側の開口部付近に突出された金属層24の角部から等方的にめっき膜が成長して金属層25が形成される。このため、金属層24の角部付近において、貫通孔11Xの上面11A側の開口部を閉塞する蓋めっき(金属層25)が形成される。このとき、上述したように金属層25は金属層24の角部から等方的に成長して形成されるため、平面視で貫通孔11Xと重複する位置の金属層25の上面に凹部25Xが形成され、貫通孔11X内に形成された金属層25の下面に凹部25Yが形成される。なお、本工程において、貫通孔11Xの上面11A側の開口部が金属層25によって閉塞された後には、金属層25と金属層24と保護膜30とによって囲まれた空間S2が形成される。この空間S2は、貫通孔11Xの下面11B側の開口部が保護膜30によって閉塞されているため、電解めっき液の入れ代わりがない。このため、空間S2の形成後に、電解めっきを継続しても、めっき膜により空間S2が充填されることはない。
【0053】
以上の製造工程により、貫通孔11Xの上面11A側の開口部が、密着層20及び金属層21,24,25によって閉塞される。
次いで、保護膜30を除去する。保護膜30は、例えば、有機溶剤に溶融させて除去することができる。また、保護膜30は、例えば、機械的に剥離することにより除去してもよい。これにより、
図5(a)に示すように、貫通孔11Xの下面11B側の開口部が露出される。このとき、先の工程で形成された金属層25が貫通孔11Xの底部となり、貫通孔11Xが凹部状となる。
【0054】
次に、
図5(b)及び
図5(c)に示す工程では、金属層24,25よりも内側の貫通孔11X、つまり金属層24と金属層25とによって囲まれた空間S1を充填する樹脂層26を形成する。
【0055】
図5(b)に示す工程では、まず、シート状の樹脂層26Bを準備する。樹脂層26Bは、例えば、B−ステージ状態(半硬化状態)のものが使用される。樹脂層26Bの厚さは、例えば、10〜50μm程度とすることができる。続いて、基板本体11の下面11B側に樹脂層26Bを配置する。
【0056】
次いで、
図5(c)に示す工程では、例えば、樹脂層26Bを図中下方から真空雰囲気で80〜150℃程度の温度で加熱・加圧する。これにより、半硬化状態の樹脂層26Bが空間S1に充填される。このとき、図示の例では、樹脂層26Bが金属層24の下面を被覆するように形成される。その後、樹脂層26Bを硬化させるために、例えば、180〜250℃程度の温度でキュア(熱硬化処理)を実施する。これにより、空間S1に充填された樹脂層26Bが硬化され、空間S1内に樹脂層26が形成される。また、本工程により、樹脂層26の上面11A側の端部には上面11A側に突起する凸部26Aが形成され、その凸部26Aが金属層25の凹部25Y内に配置される。なお、樹脂層26は、例えば、スクリーン印刷法やスピンコートを用いて形成することもできる。
【0057】
次に、機械的研削、機械研磨や化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)等により、金属層24の下面よりも下方に突出する樹脂層26Bを研磨する。これにより、
図6(a)に示すように、金属層24の下面が樹脂層26から露出され、その樹脂層26の下面と金属層24の下面とが略面一になるように形成される。以上の製造工程により、貫通孔11X内に、密着層20,22、金属層21,23,24,25及び樹脂層26を含む貫通電極13が形成される。なお、樹脂層26により、貫通孔11Xの下面11B側の開口部が閉塞される。
【0058】
続いて、
図6(b)に示す工程では、基板本体11の上面11Aに絶縁膜12を介して積層された密着層20及び金属層21,24,25を所定の平面形状にパターニングすることにより、基板本体11の上面11A及び貫通電極13の上面に配線層14を形成する。また、基板本体11の下面11Bに絶縁膜12を介して積層された密着層22及び金属層23,24を所定の平面形状にパターニングすることにより、基板本体11の下面11B及び貫通電極13の下面に配線層15を形成する。これら配線層14,15は、例えば、セミアディティブ法やサブトラクティブ法などの各種の配線形成方法を用いて形成することができる。
【0059】
次いで、
図6(c)に示す工程では、まず、基板本体11の上面11Aに形成された絶縁膜12の上面及び配線層14を被覆する絶縁層16を形成する。続いて、絶縁層16の所要の箇所に、配線層14の上面を露出するビアホール16Xを形成する。本例では、貫通孔11Xの真上に形成された配線層14の上面(凹部25X)の一部を露出するビアホール16Xを絶縁層16に形成する。次いで、ビアホール16Xを充填するビア配線18を形成するとともに、絶縁層16の上面に配線層17を形成する。これにより、貫通電極13の真上に配線層14を介してスタックされたビア配線18が形成されるとともに、そのビア配線18を介して配線層14と電気的に接続される配線層17が形成される。これらビア配線18及び配線層17は、例えば、セミアディティブ法やサブトラクティブ法などの各種の配線形成方法を用いて形成することができる。
【0060】
以上説明した製造工程により、
図1に示した配線基板10を製造することができる。
以上説明した本実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)貫通孔11X内の一部を樹脂層26で埋めるようにした。このため、例えば、電解めっき金属層である金属層25等により貫通孔11X内を充填する必要がなくなる。これにより、貫通孔11Xをめっき膜で充填する場合に比べて、貫通電極13の形成に要する時間を短縮することができる。したがって、製造コストの低減に貢献することができる。
【0061】
(2)貫通孔11Xの上面11A側の開口部を金属層25で閉塞するようにした。具体的には、貫通孔11Xの上面11A側の開口部を、密着層20及び金属層21,24,25からなる導電層によって閉塞するようにした。これにより、上記導電層を含む貫通電極13の真上にビア配線18を形成することができる。すなわち、貫通電極13上に、スタックビア構造のビア配線18を形成することができる。したがって、基板本体11の上面11A側に形成される配線層14,17等の微細化に容易に対応することができる。
【0062】
(3)貫通孔11Xの内側面に密着層20,22及び金属層21,23からなるシード層を形成し、そのシード層を給電層に利用する電解めっき法により、貫通孔11Xの上面11A側の開口部を閉塞する金属層25を形成し、貫通孔11X内の残りの空間S1を樹脂層26で充填するようにした。そして、密着層20,22、金属層21,23,25及び樹脂層26が貫通電極13となる。このため、電解めっき法により貫通孔11X内に形成される金属層25の形成領域を、貫通孔11Xの深さの半分以下にすることができる。したがって、貫通孔11Xのアスペクト比が高い場合であっても、金属層25(貫通電極13)内にシームやボイド等が発生することを好適に抑制することができる。
【0063】
(4)貫通電極13の一部となる密着層20及び金属層21,24,25の一部を配線層14として利用した。また、貫通電極13の一部となる密着層22、金属層23,24の一部を配線層15として利用した。これにより、貫通電極13と配線層14とを一体に形成しない場合、及び貫通電極13と配線層15とを一体に形成しない場合に比べて、配線層14,15を形成するための材料コストを低減することができる。ひいては、製造コストの低減に貢献することができる。
【0064】
(5)ところで、ボトムアップめっき法を用いて形成された従来の貫通電極では、貫通孔内に析出しためっき膜が貫通孔の内側面と接しているだけであり、貫通孔の内側面と密着はしていない。このため、例えば、貫通電極を有する配線基板が高温環境下や低温環境下で繰り返し使用された場合に、シリコン基板(シリコン)と貫通電極(銅)との熱膨張係数の違いにより銅のポンピング現象(温度変化による伸縮)が生じ、銅が貫通孔の内側面から剥離して貫通電極が導通不良となる問題があった。
【0065】
これに対し、絶縁膜12(シリコン酸化膜)と金属層21(銅)との間に、金属層21よりも絶縁膜12との密着性が高い密着層20(チタン)を形成した。また、絶縁膜12と金属層23(銅)との間に、金属層23よりも絶縁膜12との密着性が高い密着層22(チタン)を形成した。これにより、絶縁膜12と金属層21とを密着層20を介して良好に密着させることができ、絶縁膜12と金属層23とを密着層22を介して良好に密着させることができる。このため、配線基板10が高温環境下や低温環境下で繰り返し使用された場合であっても、従来よりも銅のポンピング現象が緩和され、銅からなる金属層21,23が貫通孔11Xの内側面から剥離することを抑制することができる。したがって、貫通電極13が導通不良となる問題の発生を好適に抑制することができる。
【0066】
(6)さらに、銅のポンピング現象が緩和されるため、絶縁層16にクラックが発生することを好適に抑制することができる。詳述すると、銅のポンピング現象が発生すると、ポリイミド等からなる絶縁層16の銅(Cu)と接する部分にクラックが発生するおそれがある。これに対し、本実施形態の配線基板10では、銅のポンピング現象が緩和されるため、絶縁層16の銅と接する部分にクラックが発生するおそれを低減することができる。
【0067】
(7)貫通孔11Xの内側面に絶縁膜12を介して積層された密着層20,22及び金属層21,23の表面を被覆する金属層24を形成するようにした。この金属層24により、基板本体11の上下面間における導通を好適に確保することができる。
【0068】
(第2実施形態)
以下、
図7〜
図9に従って第2実施形態を説明する。この実施形態の配線基板10は、貫通電極13及び配線層14,15の構造が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。先の
図1〜
図6に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付して示し、それら各要素についての詳細な説明は省略する。
【0069】
図7に示すように、貫通電極13は、密着層20と、金属層21と、金属層31と、密着層32と、金属層33と、金属層34と、樹脂層36とを有している。
基板本体11の上面11A及び貫通孔11Xの上面11A側の内側面には、絶縁膜12を介して、密着層20と金属層21とが順に積層されている。
【0070】
金属層31は、貫通孔11Xの上面11A側の空間を埋めるように形成されている。具体的には、金属層31は、貫通孔11X内において金属層21上に、貫通孔11Xの上面11A側の約半分の空間を埋めるように形成されている。この金属層31は、貫通孔11Xの上面11A側の開口部を閉塞するように形成されている。すなわち、貫通孔11Xの上面11A側の開口部は、密着層20と、金属層21と、金属層31とによって閉塞されている。金属層31は、例えば、貫通孔11Xの深さ方向の中途に位置する端部が金属層21を介さずに絶縁膜12上に直接形成されている。また、金属層31は、貫通孔11Xの周囲の上面11A上に、絶縁膜12、密着層20及び金属層21を介して積層されている。すなわち、金属層31は、貫通孔11Xの上面11A側の開口部を閉塞し、貫通孔11X内から上面11Aに延出するように形成されている。金属層31の上面には、下面11B側に向かって凹む凹部31Xが形成されている。凹部31Xは、例えば、貫通孔11Xと平面視で重なる位置に形成されている。また、貫通孔11X内に形成された金属層31の下面には、上面11A側に向かって凹む凹部31Yが形成されている。凹部31Yは、例えば、上面11A側に向かって湾曲状に凹むように形成されている。
【0071】
密着層32は、貫通孔11Xの内側面を被覆する絶縁膜12の表面(側面)のうち下面11B側における約半分の表面を被覆するように形成されている。具体的には、密着層32は、貫通孔11Xの内側面において、金属層31から露出する絶縁膜12の表面全面を被覆するように形成されている。また、密着層32は、金属層31の下面(凹部31Yの内面)全面を被覆するように形成されている。さらに、密着層32は、貫通孔11Xの周囲の下面11Bに形成された絶縁膜12を被覆するように形成されている。このように、密着層32は、金属層31の下面を被覆し、貫通孔11Xの下面11B側の内側面において絶縁膜12を被覆し、貫通孔11X内から基板本体11の下面11Bに延出するように形成されている。すなわち、密着層32は、貫通孔11Xの周囲の下面11Bに形成された絶縁膜12と、貫通孔11Xの下面11B側の内側面に形成された絶縁膜12と、金属層31の下面とを連続して被覆するように形成されている。なお、本例の密着層32は、密着層20及び金属層21と直接接続されていない。すなわち、密着層32と密着層20及び金属層21とは直接は導通していない。
【0072】
貫通孔11Xの内側面において絶縁膜12上に積層された密着層32は、例えば、下面11B側から貫通孔11Xの深い部分に向かうに連れて薄くなるように形成されている。このため、貫通孔11Xの下面11B側の開口部付近において絶縁膜12上に積層された密着層32は、貫通孔11Xの開口部周縁から貫通孔11Xの平面中心に向かって突出するように形成されている。基板本体11の下面11Bにおいて絶縁膜12上に積層された密着層32、及び貫通孔11Xの下面11B側の開口部付近において絶縁膜12上に積層された密着層32の厚さは、例えば、0.05〜0.5μm程度とすることができる。
【0073】
密着層32の材料としては、金属層33(例えば、銅層)よりも絶縁膜12(例えば、シリコン酸化膜)との密着性が高い材料であることが好ましい。例えば、密着層32の材料としては、チタン、タンタル、クロム、チタンタングステンを用いることができる。また、密着層32としては、例えば、スパッタ法により形成されたスパッタ膜を用いることができる。
【0074】
金属層33は、密着層32の表面(下面及び側面)を被覆するように密着層32上に積層されている。金属層33は、貫通孔11Xの周囲における下面11B上に積層された密着層32と、貫通孔11Xの内側面に積層された密着層32と、金属層31の下面に積層された密着層32とを連続して被覆するように形成されている。換言すると、密着層32は、基板本体11と金属層33との間に形成されている。
【0075】
このように、貫通孔11Xの深さ方向における中央部付近(破線枠参照)では、絶縁膜12上に、密着層20と、金属層21と、金属層31と、密着層32と、金属層33とがこの順番で積層されている。
【0076】
貫通孔11Xの内側面において密着層32上に積層された金属層33は、例えば、下面11B側から貫通孔11Xの深い部分に向かうに連れて薄くなるように形成されている。基板本体11の下面11Bにおいて密着層32上に積層された金属層33、及び貫通孔11Xの下面11B側の開口部付近において密着層32上に形成された金属層33の厚さは、例えば、0.05〜0.5μm程度とすることができる。
【0077】
金属層33の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。金属層33としては、例えば、スパッタ法により形成されたスパッタ膜を用いることができる。
金属層34は、金属層33の表面(下面及び側面)を被覆するように金属層33上に積層されている。すなわち、金属層34は、貫通孔11Xの内側面に積層された金属層33の側面と、金属層31の下面に積層された金属層33の下面と、基板本体11の下面11Bに積層された金属層33の下面とを連続して被覆するように形成されている。
【0078】
貫通孔11Xの内側面において金属層33上に積層された金属層34は、例えば、下面11B側から貫通孔11Xの深い部分に向かうに連れて薄くなるように形成されていてもよい。
【0079】
金属層34の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。金属層34としては、例えば、電解めっき法により形成された金属層(電解めっき金属層)を用いることができる。
【0080】
樹脂層36は、密着層20,32及び金属層21,31,33,34を含む導電層から露出する貫通孔11X内(導電層が形成されていない貫通孔11X内)の空間S3を充填するように形成されている。具体的には、樹脂層36は、金属層34によって囲まれた空間S3を充填するように形成されている。樹脂層36の上面11A側の端部には、上面11A側に突起する凸部36Aが形成され、その凸部36Aが凹部31Yに配置されている。なお、樹脂層36の材料としては、例えば、樹脂層26と同様の材料を用いることができる。
【0081】
以上説明した密着層20,32、金属層21,31,33,34及び樹脂層36のうち、貫通孔11X内に形成された密着層20,32、金属層21,31,33,34及び樹脂層36が貫通電極13として機能する。また、貫通電極13の上面及びその貫通電極13の周囲の基板本体11の上面11Aに形成された密着層20、金属層21,31が配線層14として機能する。このため、配線層14は、貫通電極13の一部と一体に形成されている。また、貫通電極13の下面及びその貫通電極13の周囲の基板本体11の下面11Bに形成された密着層32、金属層33,34及び樹脂層36が配線層15として機能する。このため、配線層15は、貫通電極13の一部と一体に形成されている。配線層15の下面には、樹脂層36の下面が露出している。
【0082】
次に、
図8及び
図9に従って、配線基板10の製造方法について説明する。なお、
図8及び
図9では、貫通孔11Xの周辺部分を拡大して示している。
図8(a)に示す工程では、まず、
図3(a)に示した工程と同様に、貫通孔11Xの形成された基板本体11を準備し、その基板本体11の表面全面を被覆する絶縁膜12を形成する。続いて、
図3(b)に示した工程と同様に、基板本体11の上面11A及び貫通孔11Xの上面11A側の内側面に、密着層20及び金属層21を順次形成する。
【0083】
次に、
図8(b)に示す工程では、貫通孔11Xの上面11A側の開口部を塞ぐとともに、絶縁膜12及び密着層20を介して基板本体11の上面11Aに積層された金属層21の上面を被覆する金属層31を形成する。金属層31は、例えば、基板本体11の下面11B側からめっき液を供給し、密着層20及び金属層21からなるシード層を給電層とする電解めっき法により形成することができる。このとき、金属層31は、コンフォーマルめっきにより、金属層21から等方的にめっき膜が成長して形成される。このため、平面視で貫通孔11Xと重複する位置の金属層31の上面には凹部31Xが形成され、貫通孔11X内に形成された金属層31の下面には凹部31Yが形成される。本工程では、基板本体11の下面11B側からめっき液が供給され、貫通孔11X内に形成された金属層21の端部から等方的に金属層31が形成されるため、金属層31は、金属層21から露出された絶縁膜12の一部を被覆するように形成される。
【0084】
以上の製造工程により、貫通孔11Xの上面11A側の開口部が、密着層20及び金属層21,31によって閉塞される。そして、金属層31が貫通孔11Xの底部となり、貫通孔11Xが凹部状となる。
【0085】
続いて、
図8(c)に示す工程では、基板本体11の下面11B、貫通孔11Xの下面11B側の内側面及び金属層31の下面(凹部31Yの内面)に、密着層32及び金属層33を順次形成する。これら密着層32及び金属層33は、例えば、スパッタ法により形成することができる。例えば、基板本体11の下面11B側からチタンをスパッタリングにより、下面11Bと貫通孔11Xの内側面の一部と金属層31の下面とに堆積させて、それらの面を連続して被覆する密着層32を形成する。その後、密着層32上に銅をスパッタリングにより堆積させて金属層33を形成する。このとき、下面11B及び貫通孔11Xの下面11B側の開口部付近ではチタンや銅が堆積しやすく、貫通孔11Xの内側面では深い部分に向かうにつれてチタンや銅が堆積し難くなる。このため、密着層32及び金属層33は、貫通孔11X内において、下面11B側から貫通孔11Xの深い部分に向かうに連れて薄くなるように形成される。
【0086】
ここで、絶縁膜12と金属層33との間に、金属層33よりも絶縁膜12との密着性が高い密着層32(例えば、Ti層)が形成される。このため、絶縁膜12と金属層33とを、密着層32を介して良好に密着させることができる。
【0087】
次いで、
図9(a)に示す工程では、金属層33の表面全面を被覆する金属層34を形成する。金属層34は、例えば、基板本体11の下面11B側からめっき液を供給し、密着層32及び金属層33からなるシード層を給電層とする電解めっき法により形成することができる。
【0088】
次に、
図9(b)に示す工程では、
図5(b)〜
図6(a)に示した工程と同様に、金属層34よりも内側の貫通孔11X内、つまり貫通孔11X内において金属層34によって囲まれた空間S2を充填する樹脂層36を形成する。この樹脂層36により、貫通孔11Xの下面11B側の開口部が閉塞される。
【0089】
以上の製造工程により、貫通孔11X内に、密着層20,32、金属層21,31,33,34及び樹脂層36を含む貫通電極13が形成される。
続いて、
図9(c)に示す工程では、基板本体11の上面11Aに絶縁膜12を介して積層された密着層20及び金属層21,31を所定の平面形状にパターニングすることにより、基板本体11の上面11A及び貫通電極13の上面に配線層14を形成する。また、基板本体11の下面11Bに絶縁膜12を介して積層された密着層32及び金属層33,34を所定の平面形状にパターニングすることにより、基板本体11の下面11B及び貫通電極13の下面に配線層15を形成する。これら配線層14,15は、例えば、セミアディティブ法やサブトラクティブ法などの各種の配線形成方法を用いて形成することができる。
【0090】
その後、
図6(c)に示した工程と同様に、ビアホール16Xを有する絶縁層16と、ビアホール16Xを充填するビア配線18と、絶縁層16上に積層された配線層17とを形成することにより、本実施形態の配線基板10を製造することができる。
【0091】
以上説明した実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(6)の効果に加えて以下の効果を奏することができる。
(8)貫通孔11Xの上面11A側の約半分の空間を埋める金属層31の下面全面を被覆するように密着層32及び金属層33を形成するようにした。これら金属層31と密着層32及び金属層33とにより、基板本体11の上下面間における導通を好適に確保することができる。
【0092】
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
・上記各実施形態における貫通孔11Xの内側面に形成された導電層の構造は適宜変更することができる。
【0093】
・例えば
図10に示すように、金属層21と金属層24との間、及び金属層23と金属層24との間に、金属層27を形成するようにしてもよい。金属層27は、金属層21の表面(上面及び側面)を被覆し、且つ、金属層23の表面(下面及び側面)を被覆するように金属層21,23上に積層されている。すなわち、金属層27は、基板本体11の上面11Aに積層された金属層21の上面と、貫通孔11Xの内側面に積層された金属層21の側面と、貫通孔11Xの内側面に積層された金属層23の側面と、基板本体11の下面11Bに積層された金属層23の下面とを連続して被覆するように形成されている。この金属層27の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。金属層27としては、無電解めっき法により形成された金属層(無電解めっき金属層)を用いることができる。
【0094】
このような構造では、金属層27によって基板本体11の上下面間における導通を確保することができる。このため、電解めっき法により金属層24,25を形成する際に、金属層27を給電層とすることにより、密着層20(Ti)を給電層とする場合に比べて、給電層における抵抗を低くできるため、電解めっきを安定して行うことができる。
【0095】
なお、この場合の配線層14は、密着層20及び金属層21,27,24,25を有し、配線層15は、密着層22、金属層23,27,24及び樹脂層26を有している。
・
図10に示した貫通電極13及び配線層14,15から金属層24を省略してもよい。この場合の金属層25は、例えば、金属層27(第4金属層)を給電層とする電解めっき法により形成することができる。
【0096】
・上記第1実施形態における金属層24を省略してもよい。この場合の金属層25は、金属層21の少なくとも一部を被覆して貫通孔11Xの上面11A側の開口部を閉塞するように形成される。また、この場合の樹脂層26は、金属層21と金属層23と金属層25とによって囲まれた空間を充填するように形成される。
【0097】
・上記第2実施形態における金属層34を省略してもよい。この場合の樹脂層36は、金属層33によって囲まれた貫通孔11X内の空間を充填するように形成される。
・例えば、上記各実施形態及び
図10に示した変形例における金属層21,23,33を省略してもよい。すなわち、第1実施形態を変形した場合には、例えば、密着層20,22上に金属層24又は金属層27が直接形成される。また、第2実施形態を変形した場合には、例えば、密着層20上に金属層31が直接形成され、密着層32上に金属層34が直接形成される。
【0098】
・例えば、上記各実施形態及び
図10に示した変形例における密着層20,22,32を省略してもよい。すなわち、第1実施形態を変形した場合には、例えば、絶縁膜12上に金属層21,23が直接形成される。また、第2実施形態を変形した場合には、例えば、絶縁膜12上に金属層21,33が直接形成される。
【0099】
・例えば
図11に示すように、密着層20,22及び金属層21,23等の代わりに、貫通孔11Xの内側面全面を被覆し、貫通孔11X内から基板本体11の上面11A及び下面11Bに延出する金属層40を形成するようにしてもよい。この金属層40は、貫通孔11Xの周囲の上面11A上に形成された絶縁膜12と、貫通孔11Xの内側面に形成された絶縁膜12と、貫通孔11Xの周囲の下面11B上に形成された絶縁膜12とを連続して被覆するように形成されている。この金属層40の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。金属層40としては、無電解めっき法により形成された金属層(無電解めっき金属層)を用いることができる。
【0100】
本例の貫通孔11X内には、金属層40の少なくとも一部(図示の例では、貫通孔11X内に形成された金属層40の側面全面)を被覆して貫通孔11Xの上面11A側の開口部を閉塞する金属層41が形成されている。金属層41の上面には、例えば、貫通孔11Xと平面視で重なる位置に、下面11B側に凹む凹部41Xが形成されている。また、金属層41の下面には、例えば、上面11A側に湾曲状に凹む凹部41Yが形成されている。凹部41Yの深さは、例えば、貫通孔11Xの深さの半分程度又は半分以上の深さとすることができる。そして、金属層40,41から露出する貫通孔11X内の空間(ここでは、凹部41Y)には、樹脂層42が充填されている。この樹脂層42の材料としては、例えば、樹脂層26,36と同様の材料を用いることができる。
【0101】
この場合には、貫通孔11X内に形成された金属層40,41及び樹脂層42が貫通電極13として機能し、上面11A及び貫通電極13の上面に形成された金属層40,41が配線層14として機能し、下面11B及び貫通電極13の下面に形成された金属層40,41及び樹脂層42が配線層15として機能する。
【0102】
・上記第2実施形態では、貫通孔11X内に形成された金属層21の側面全面を金属層31が被覆するようにした。これに限らず、例えば、貫通孔11Xの深さ方向の中途に位置する金属層21の端部を金属層31から露出させるようにしてもよい。この場合、例えば、密着層32は、貫通孔11Xの深さ方向の中途に位置する金属層21の端部を被覆するように形成される。
【0103】
・上記各実施形態及び上記各変形例における基板本体11の材料として、シリコンに代えてガラスやガラスエポキシ樹脂等を用いてもよい。ここで、ガラスやガラスエポキシ樹脂は絶縁体である。このため、この場合には、絶縁膜12を省略してもよい。