特開2015-211470(P2015-211470A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-211470(P2015-211470A)
(43)【公開日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 17/00 20060101AFI20151027BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20151027BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20151027BHJP
   G09G 5/377 20060101ALI20151027BHJP
   G06T 5/50 20060101ALI20151027BHJP
【FI】
   H04N17/00 Z
   G09G5/00 510D
   G09G5/00 510S
   G09G5/36 520P
   G09G5/36 520M
   G09G5/36 510Z
   G06T5/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-85690(P2015-85690)
(22)【出願日】2015年4月20日
(31)【優先権主張番号】14/262172
(32)【優先日】2014年4月25日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】391002340
【氏名又は名称】テクトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北川 剛
【テーマコード(参考)】
5B057
5C061
5C182
【Fターム(参考)】
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CE08
5B057CE11
5B057CE17
5B057CH11
5B057DA07
5B057DA08
5B057DA16
5B057DA17
5B057DB02
5B057DB06
5B057DB09
5B057DC22
5B057DC25
5B057DC32
5C061BB03
5C061BB13
5C061CC05
5C182AB01
5C182AB18
5C182AC03
5C182CA01
5C182CA32
5C182CB45
5C182CB54
5C182CC02
(57)【要約】
【課題】画像中の特定領域の画像に関するラスタライズ表示を、他の領域に関するラスタライズ表示から区別できるようにして重ねて表示する。
【解決手段】第1〜第n関心領域選択ブロック202〜208は、ビデオ・データを受けて、第1〜第n関心領域データを選択的に出力する。第1〜第nラスタライザ212〜218は、対応する関心領域データをそれぞれ受けてラスタライズ処理を行う。表示プロセッサ220は、これらラスタライズ処理された関心領域データを重ね合わせたオーバレイ表示の画像データを生成する。このとき、複数の関心領域データに対応するラスタ画像は、互いに異なる色、異なる色合い(異なる輝度)が用いられるので、オーバレイ表示中で互いを区別できるように表示される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオ・データを受けるよう構成される入力部と、
上記ビデオ・データ内の関心領域を特定するよう構成される少なくとも1つの関心領域ブロックと、
少なくとも1つの上記関心領域ブロックと結合され、少なくとも1つの上記関心領域ブロックで特定された上記ビデオ・データ内の上記関心領域に基づく画像をラスタライズする少なくとも1つのラスタライズ処理ブロックと、
少なくとも1つの上記ラスタライズ処理ブロックによってラスタライズされた上記画像を、上記ビデオ・データに対応するラスタ画像上に重ね合わせたオーバレイ表示を出力するよう構成される表示プロセッサと
を具える電子装置。
【請求項2】
マシーンに実装される方法であって、上記マシーンに実装されたときに、
ビデオ・データを受ける入力部と、
上記ビデオ・データ内の第1関心領域を特定する第1関心領域ブロックと、
上記ビデオ・データ内の第2関心領域を特定する第2関心領域ブロックと、
上記第1関心領域ブロックと結合され、上記第1関心領域ブロックで特定された上記ビデオ・データ内の上記第1関心領域に基づく画像をラスタライズする第1ラスタライズ処理ブロックと、
上記第2関心領域ブロックと結合され、上記第2関心領域ブロックで特定された上記ビデオ・データ内の上記第2関心領域に基づく画像をラスタライズする第2ラスタライズ処理ブロックと、
上記第1ラスタライズ処理ブロックによってラスタライズされた上記画像と上記第2ラスタライズ処理ブロックによってラスタライズされた上記画像の両方を、上記ビデオ・データに対応するラスタ画像上に重ね合わせたオーバレイ表示を出力する表示プロセッサと
が構成されるマシーンに実装される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波形表示、ベクトル表示、ダイヤモンド表示などのようなテレビジョン信号の測定に適した視覚的な表示を提供する電子装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的なテレビジョンや映画制作の撮影では、ライティング技術者やカメラ操作者は、プロデューサが望む光景の映像を撮るために、通常、ライトとカメラの設定を行う必要がある。こうした状況において、ホワイト・クリップやブラック・クリップをせずに、コントラストが最も高い映像が得られるようにライティング及びカメラを設定するのには、波形モニタ(WFM)の波形表示が使用されている。しかし、プロデューサが、複数の被写体間に関して特定のコントラストを希望した場合では、どのような波形表示を使っても、特定の被写体に関するレベルを求められないことがある。こうした目的では、ライン・セレクト・モードで上手くいくことが多いが、特定の被写体と、その他の被写体との間のレベルのバランスは、波形表示には示されない。従来の測定システムや測定装置の中には、特定領域のレベルについて数値で示し、これによって、ユーザが複数領域間のレベルを比較できるようにしたものあるが、こうしたシステムや装置は、特定領域と非特定領域との間のレベル・バランスについて、ユーザに効果的に伝えるものではない。
【0003】
テレビジョン信号測定に適した試験測定装置等の電子装置の中には、テレビジョン信号測定用のベクトル表示(例えば、特許文献4の図3参照)、波形表示、ダイヤモンド表示(特許文献1〜3参照)など、現在のテレビジョン信号測定用波形モニタで利用可能な多数のラスタ表示を表示できるものがある。こうした表示には、ライン・セレクトのようなユーザが関心のある領域の選択を可能にする機能があり、この関心領域選択機能で選択された特定領域のラスタ表示を生成できる。波形モニタの中には、2つのラスタ表示を同時に表示できるものがあり、この場合、例えば、1つがライン・セレクトしたもので、他方がライン・セレクトしていないものである。なお、ライン・セレクト機能は、テレビジョン信号の波形をライン単位で選択的に表示する機能である。例えば、ユーザは、HDTVの1125本の走査線(ライン)中から、表示したいラインの番号を指定(選択)することで、HDTV信号の指定ラインを含む部分を波形として表示できる。図1は、こうした従来の波形表示100の例を示し、ここでは複数のタイルを用いたタイル表示を用いている。なお、タイル表示とは、複数のウィンドウを重ならないようにタイル状に並べて表示したもので、各ウィンドウは、タイルと呼ばれる。この例では、波形表示100には、ライン・セレクトを用いたラスタ表示104と、その他に、ライン・セレクトしていない(即ち、全ラインの)ラスタ表示102とがあり、これらは両方とも、画像表示106の同じ画像に対応している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−261345号公報
【特許文献2】特開2011−221018号公報
【特許文献3】特開2012−178827号公報
【特許文献4】特開平7−255070号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「波形モニタ」の紹介ページ、[online]、テクトロニクス社、[2015年4月16日検索]、インターネット<http://jp.tek.com/waveform-monitor>
【非特許文献2】「ビットマップ画像」の記事、特に「ラスター表現」の項、[online]、Wikipedia(日本語版)、[2015年4月17日検索]、インターネット<http://ja.wikipedia.org/wiki/ビットマップ画像>
【非特許文献3】「ラスタースキャン」の記事、[online]、Wikipedia(日本語版)、[2015年4月17日検索]、インターネット<http://ja.wikipedia.org/wiki/ラスタースキャン>
【非特許文献4】「ラスタライズ」の記事、[online]、Wikipedia(日本語版)、[2015年4月17日検索]、インターネット<http://ja.wikipedia.org/wiki/ラスタライズ>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の波形モニタでは、異なる関心領域から生成された2つのラスタ表示を1つのタイルに表示できない。そこで、異なる関心領域から生成された少なくとも2つのラスタ表示を1つのタイルに表示できるモニタ又は試験測定装置へのニーズが残されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による実施形態は、異なる関心領域から生成された複数のラスタ表示を単一のタイルで表示することで、ユーザは、異なる関心領域を用いた複数ラスタ表示間の違いを直感的に認識できる。
【0008】
本発明をいくつかの観点から見ると、本発明の概念1は、電子装置であって、
ビデオ・データを受けるよう構成される入力部と、
上記ビデオ・データ内の関心領域を特定するよう構成される少なくとも1つの関心領域ブロックと、
少なくとも1つの上記関心領域ブロックと結合され、少なくとも1つの上記関心領域ブロックで特定された上記ビデオ・データ内の上記関心領域に基づく画像をラスタライズする少なくとも1つのラスタライズ処理ブロックと、
少なくとも1つの上記ラスタライズ処理ブロックによってラスタライズされた上記画像を、上記ビデオ・データに対応するラスタ画像上に重ね合わせたオーバレイ(Overlay:重ね合わせ)表示を出力するよう構成される表示プロセッサと
を具えている。
【0009】
本発明の概念2は、上記概念1の電子装置であって、このとき、上記ビデオ・データは、画像に相当する。
【0010】
本発明の概念3は、上記概念1の電子装置であって、このとき、上記ビデオ・データは、ビデオ画像(Video feed)又は動画に相当する。
【0011】
本発明の概念4は、上記概念1の電子装置であって、このとき、上記ビデオ・データは、ファイル(動画ファイルなど)に相当する。
【0012】
本発明の概念5は、上記概念1の電子装置であって、このとき、少なくとも1つの上記ラスタライズ処理ブロックによってラスタライズされた上記画像は、上記ビデオ・データに対応する上記ラスタ画像から容易に区別できるように、少なくとも1つの特性が変更されている。
【0013】
本発明の概念6は、上記概念5の電子装置であって、少なくとも1つの上記特性としては、色が含まれる。
【0014】
本発明の概念7は、上記概念5の電子装置であって、少なくとも1つの上記特性としては、輝度が含まれる。
【0015】
本発明の概念8は、上記概念1の電子装置であって、このとき、少なくとも1つの上記関心領域ブロックが、
上記ビデオ・データ内の第1関心領域に対応する第1関心領域ブロックと、
上記ビデオ・データ内の第2関心領域に対応する第2関心領域ブロックと
を有している。
【0016】
本発明の概念9は、上記概念8の電子装置であって、このとき、少なくとも1つのラスタライズ処理ブロックが、
上記第1関心領域ブロックに結合され、上記第1関心領域に対応する画像をラスタライズするよう構成された第1ラスタライズ処理ブロックと、
上記第2関心領域ブロックに結合され、上記第2関心領域に対応する画像をラスタライズするよう構成された第2ラスタライズ処理ブロックと
を有している。
【0017】
本発明の概念10は、上記概念9の電子装置であって、このとき、上記第1ラスタライズ処理ブロックによってラスタライズされた画像は、上記ビデオ・データに対応する上記ラスタ画像から容易に区別できるように、少なくとも1つの特性が変更されている。
【0018】
本発明の概念11は、上記概念10の電子装置であって、上記第1ラスタライズ処理ブロックでラスタライズされた上記画像の少なくとも1つの上記特性としては、色が含まれる。
【0019】
本発明の概念12は、上記概念10の電子装置であって、上記第1ラスタライズ処理ブロックでラスタライズされた上記画像の少なくとも1つの上記特性としては、輝度が含まれる。
【0020】
本発明の概念13は、上記概念10の電子装置であって、このとき、上記第2ラスタライズ処理ブロックによってラスタライズされた画像は、記第1ラスタライズ処理ブロックによってラスタライズされた画像及び上記ビデオ・データに対応する上記ラスタ画像から容易に区別できるように、少なくとも1つの特性が変更されている。
【0021】
本発明の概念14は、上記概念13の電子装置であって、上記第2ラスタライズ処理ブロックでラスタライズされた上記画像の少なくとも1つの上記特性としては、色が含まれる。
【0022】
本発明の概念15は、上記概念13の電子装置であって、上記第2ラスタライズ処理ブロックでラスタライズされた上記画像の少なくとも1つの上記特性としては、輝度が含まれる。
【0023】
本発明の概念16は、上記概念1の電子装置であって、このとき、上記オーバレイ表示は、波形表示である。
【0024】
本発明の概念17は、上記概念1の電子装置であって、このとき、上記オーバレイ表示は、ベクトル表示である。
【0025】
本発明の概念18は、上記概念1の電子装置であって、このとき、上記オーバレイ表示は、ダイヤモンド表示である。
【0026】
本発明の概念19は、マシーンに実装される方法であって、上記マシーンに実装されたときに、
ビデオ・データを受ける入力部と、
上記ビデオ・データ内の関心領域を特定する少なくとも1つの関心領域ブロックと、
少なくとも1つの上記関心領域ブロックと結合され、少なくとも1つの上記関心領域ブロックで特定された上記ビデオ・データ内の上記関心領域に基づく画像をラスタライズする少なくとも1つのラスタライズ処理ブロックと、
少なくとも1つの上記ラスタライズ処理ブロックによってラスタライズされた上記画像を、上記ビデオ・データに対応するラスタ画像に重ね合わせたオーバレイ表示を出力する表示プロセッサと
が構成される。
【0027】
本発明の概念20は、プロセッサによって実行されたときに、上記プロセッサが上記概念19のマシーンに実装される方法を実行するための実行命令を蓄積する1つ以上の非一時的コンピュータ読み出し可能な有形メディアである。
【0028】
本発明の概念21は、マシーンに実装される方法であって、上記マシーンに実装されたときに、
ビデオ・データを受ける入力部と、
上記ビデオ・データ内の第1関心領域を特定する第1関心領域ブロックと、
上記ビデオ・データ内の第2関心領域を特定する第2関心領域ブロックと、
上記第1関心領域ブロックと結合され、上記第1関心領域ブロックで特定された上記ビデオ・データ内の上記第1関心領域に基づく画像をラスタライズする第1ラスタライズ処理ブロックと、
上記第2関心領域ブロックと結合され、上記第2関心領域ブロックで特定された上記ビデオ・データ内の上記第2関心領域に基づく画像をラスタライズする第2ラスタライズ処理ブロックと、
上記第1ラスタライズ処理ブロックによってラスタライズされた上記画像と上記第2ラスタライズ処理ブロックによってラスタライズされた上記画像の両方を、上記ビデオ・データに対応するラスタ画像上に重ね合わせたオーバレイ表示を出力する表示プロセッサと
が構成される。
【0029】
本発明の概念22は、プロセッサによって実行されたときに、上記プロセッサが上記概念21のマシーンに実装される方法を実行するための実行命令を蓄積する1つ以上の非一時的コンピュータ読み出し可能な有形メディアである。
【0030】
本発明の概念23は、プロセッサによって実行されたときに、上記プロセッサが上記概念19のマシーンに実装される方法を実行するための実行命令から構成されるコンピュータ・プログラムである。
【0031】
本発明の概念24は、プロセッサによって実行されたときに、上記プロセッサが上記概念21のマシーンに実装される方法を実行するための実行命令から構成されるコンピュータ・プログラムである。よって、本発明は、例えば、既存の波形モニタ内のFPGAに記憶されるファームウェアをバージョン・アップし、既存の波形モニタに機能追加する形で実現することも可能であろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、複数のタイルを有する従来の波形表示の例を示す。
図2図2は、本発明による実施形態による複数関心領域ラスタ表示システムの例のブロック図である。
図3図3は、本発明の実施形態による波形表示システムの例を示す。
図4図4は、本発明の実施形態によるベクトル表示システムの例を示す。
図5図5は、本発明の実施形態によるダイヤモンド表示システムの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施形態は、全ラインの波形と、1又は複数の特定領域に関する波形とから、オーバレイ(Overlay)波形表示を行うのに適した電子装置に関する。特定領域は、1例としては単一のラインであるが、ラインが1つの場合に限定されるものではない。別の場合では、特定領域は、画像上の任意の空間的な領域である。こうして、複数領域から得られる複数波形が単一の波形表示として重ね合わせ(オーバレイ)される。複数波形を異なる色で重ね合わせるか又は複数波形を区別する別の方法を用いて重ね合わせることによって、波形中の各特定領域を識別できるようにする。
【0034】
図2は、本発明の実施形態による複数関心領域ラスタ表示システム200の例のブロック図である。この例では、入力ビデオ信号(例えば、画像、ビデオ画像又はファイル(QuickTime(登録商標)ファイルなど))が、複数関心領域選択ブロック段に入力され、これにより、特定領域を(例えば、ユーザによって)選択できるようになる。なお、QuickTimeは、米国アップル社の登録商標である。複数関心領域選択ブロック段には、典型的には、2〜3個の関心領域選択ブロック202、204及び206があるが、第nブロック208で示されるように、実際的には、任意数n個の関心領域選択ブロックを使用しても良い。選択されたビデオ・データは、続いて、ラスタライザ段に送られる。ラスタライザ段には、n個の関心領域選択ブロック202、204、206及び208にそれぞれ対応するn個のラスタライザ・ブロック212、214、216及び218がある。
【0035】
本発明の実施形態によれば、1つ又は複数の関心領域を、表示画像全体、ライン・セレクトを用いた単一のライン、又は画像中の64×64画素領域のような空間的な領域に関して設定できる。ラスタライザ・ブロック212、214、216及び218のそれぞれは、例えば、テレビジョン信号測定で利用される波形表示形式、ベクトル表示形式、ダイヤモント表示形式又は他の任意の適切な形式で、ラスタ画像データを生成できる。これらラスタ画像形式は、ユーザ・インタフェース(図示せず)を介して選択される。複数のラスタライザ・ブロック212、214、216及び218から出力として供給されるラスタ画像データは、次に表示プロセッサ220に供給される。表示プロセッサ220は、オーバレイ(Overlay:重ね合わせ)表示を生成するオーバレイ波形データを出力する。オーバレイ表示内では、ユーザが、大幅に簡単で使い勝手の良いやり方で、各画像を他の画像から視覚的に区別できるように、各ラスタ画像は、異なる色、異なる輝度、又は他の区別可能な特性を用いて重ねられる。
【0036】
図3は、本発明の実施形態による波形表示システム300を入力画像301に関して適用した例を示す。この例では、入力画像301の特定関心領域に関するラスタ表示320が、R(赤)データ322、G(緑)データ324及びB(青)データ326を有し、この関心領域ラスタ表示320が、Rデータ312、Gデータ314及びBデータ316を有する全体画像に関するラスタ画像310と重ねられ、これによって得られる最終画像330には、ユーザに視覚的に提示されるRデータ332、Gデータ334及びBデータ336がある。この例では、関心領域ラスタ表示320中の波形328は、最終画像330中で提示されるときに、全体画像ラスタ画像310の部分とは異なる色338で提示されるので、最終画像330中の全体画像ラスタ表示310から容易に識別できる。
【0037】
図4は、本発明の実施形態によるベクトル表示システム400の例を示す。こうしたベクトル表示システム400によれば、操作者は、あるシーンにおける特定領域に関するクロミナンス・レベル及び位相を確認しながら、それらのバランスを他の領域と比較してチェックできる。この例では、画像の特定関心領域に関するラスタ表示420が、全体画像に関するラスタ表示410の上に重ね合わせられ、こうして得られる最終画像430が視覚的にユーザに提示される。関心領域ラスタ表示420中の波形は、最終画像430中の全体画像ラスタ表示410の部分とは異なる色や異なる色合い(例えば、明るい青と暗い青のように、同じ色で輝度が異なる)などで提示されることで、最終画像430中の全体画像ラスタ表示410から容易に区別できる。
【0038】
図5は、本発明の実施形態によるダイヤモンド表示システム500の例を示す。こうしたダイヤモンド表示システム500によれば、操作者は、あるシーンにおける特定領域に関するRGBバランスをチェックすると共に、RGBバランスを他の領域と比較できる。この例では、画像の特定関心領域に関するラスタ表示520が、全体画像に関するラスタ表示510の上に重ね合わせられ、こうして得られる最終画像530が視覚的にユーザに提示される。特定関心領域ラスタ表示520中の波形は、最終画像530中の全体画像ラスタ表示510の部分とは異なる色、異なる色合い(異なる輝度)などで提示されることで、最終画像530中の全体画像ラスタ表示510から容易に区別できる。
【0039】
本発明による実施形態には多くの利点があるが、その中でも特に言えば、既存のシステムに比較して、あるシーンにおける複数の被写体間のコントラストを、操作者が、より直感的に確認できるという利点が挙げられる。これは、複数領域のレベルの差が波形として表示されるために、数値情報を読んだり、差分を計算する必要がないためである。
【0040】
本発明による実施形態の多くの利点の中から、もう1つの利点を挙げると、特定領域のレベルと非特定領域のレベルを同時に表示でき、このために、操作者は、あるシーンにおける光のダイナミック・レンジ全体の中における特定被写体のポジションを確認できるというものがある。例えば、ライティング技術者が照明機器の輝度を変更し、特定被写体の光量レベルを変更すると、こうした変更は、典型的には、ライティング技術者が変更しようと意図した被写体に対する光量レベルだけに影響するのではなく、その周辺に対しても影響を与える。しかし、本発明を利用すれば、ライティング技術者は、被写体と周辺に対する光量レベルを同時に観察しながら、照明機器の輝度をシンプルに調整できる。
【0041】
本発明による実施形態の多くの利点の中から、もう1つの利点を特に挙げると、本発明では、単一の表示で複数領域のレベルを表示するので、これら関心領域のレベルを比較するのに、2つ以上の別々のタイルを有する従来の表示を利用する場合と違って、操作者は、視点を動かす必要がない。これによれば、操作者は、ライティングとカメラの設定を素早く決定できるという利点もあり、これは、慌ただしい撮影現場では非常に有益な利点である。
【0042】
本発明による実施形態の多くの利点の中から、更にもう1つの利点を特に挙げると、従来の波形モニタが複数の関心領域の波形を表示するのに2つ以上のタイルを必要とするのに対し、本発明による実施形態によれば、複数の関心領域に関して単一のタイルを必要とするだけなので、ユーザが複数の関心領域を用いて複数の波形を見る必要があるときに、表示装置上に表示する波形をもっと大きくすることができる。
【0043】
以下の説明は、本発明の実施形態を実現するのに適したマシーンについて、簡潔にその概略を説明しようとするものである。本願で用いているように、「マシーン」とは、マシーン又は一緒に動作する複数のマシーン又は装置が連動するように結合したシステムを包含する。代表的なマシーンとしては、パソコン、ワークステーション、サーバ、ポータブル・コンピュータ、ハンドヘルド・デバイス、タブレットなどがある。
【0044】
典型的には、マシーンにはシステム・バスがあり、これに、プロセッサ、メモリ(例えば、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリー・メモリ(ROM)、他の状態保持メディアなど)、大容量記憶装置(HDD、SSDなど)、ビデオ・インターフェース、そして、入力/出力インターフェース・ポートが取り付けられる。また、マシーンは、プログラマブル又はノン・プログラマブル・ロジック・デバイス又はアレー(FPGAなど)、ASIC、組込み型コンピュータ、スマート・カードなどのような組込み型コントローラ(embedded controller)でも良い。マシーンは、少なくとも一部分は、キーボード、マウスなどの従来の入力デバイスからの入力によって、制御されても良く、加えて、別のマシーンから受けた指示、バーチャル・リアリティ(VR)環境を用いるインタラクティブな処理、生体フィードバック、又は、他の適切な入力によって制御されても良い。
【0045】
マシーンは、ネットワーク・インターフェース、モデム、他の通信手段など、1つ以上のコネクションを用いて1つ以上の遠隔装置に接続されても良い。複数のマシーンは、イントラネット、インターネット、LAN、WANなどのような物理的又は論理的なネットワークにより、相互接続されていても良い。当業者であれば、ネットワーク通信には、無線周波数(RF)、衛星、マイクロ波、IEEE545.11、Bluetooth(登録商標)、光通信、赤外線通信、ケーブル、レーザなどといった、有線又は無線の短距離又は長距離のキャリアやプロトコルを用いて良いことが理解できよう。
【0046】
本発明の実施形態は、マシーンがアクセスしたときに、マシーンがタスクを実行するか、又は、抽象データ形式又は低レベルのハードウェア・コンテキスト定義するという結果が得られる機能、手続、データ構造、アプリケーション・プログラムなどを含む関連データを参照するか又は連動して記述されても良い。関連データは、例えば、RAM、ROMなどの揮発性及び/又は不揮発性メモリ、又は、他の記憶デバイス及びそれらに関連する記憶媒体で、ハード・ドライブ、フレキシブル・ディスク(FD)、オプティカル・ストレージ、テープ、フラッシュ・メモリ、メモリ・スティック、デジタル・ビデオ・ディスク、生体ストレージ、その他の非一時的な物理的記憶媒体などに記憶しても良い。
【0047】
関連データは、パケット、シリアル・データ、パラレル・データなどの形式の物理的又は論理ネットワークを含む伝送環境を通して送ることができ、圧縮又は暗号フォーマットで利用されても良い。関連データは、分散型環境で利用され、マシーンがアクセス可能なローカル又は遠隔な場所に蓄積されても良い。
【0048】
図示した実施形態を参照しながら本発明の原理を説明してきたが、こうした原理から離れることなく、図示した実施形態の構成や詳細を変更したり、望ましい形態に組み合わせても良いことが理解できよう。先の説明では、特定の実施形態に絞って説明しているが、別の構成も考えられる。
【0049】
特に「本発明の実施形態によると」といった表現を本願では用いているが、こうした言い回しは、大まかに言って実施形態として可能であることを述べているに過ぎず、特定の実施形態の構成に限定することを意味するものではない。本願で用いているように、こうした用語は、別の実施形態に組み合わせ可能な同じ又は異なる実施形態に言及していると考えても良い。
【0050】
従って、本願で説明した実施形態は、幅広く種々に組み合え可能であるとの観点から、詳細な説明や図面等は、単に説明の都合によるものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものと考えるべきではない。
【符号の説明】
【0051】
200 複数関心領域ラスタ表示システム
202 第1関心領域選択ブロック
204 第2関心領域選択ブロック
206 第3関心領域選択ブロック
208 第n関心領域選択ブロック
212 第1ラスタライザ・ブロック
214 第2ラスタライザ・ブロック
216 第3ラスタライザ・ブロック
218 第nラスタライザ・ブロック
220 表示プロセッサ
300 波形表示システム
301 入力画像
310 全体画像ラスタ表示
320 関心領域ラスタ表示
328 関心領域ラスタ表示中の波形
330 最終画像
338 最終画像中の関心領域ラスタ表示の波形の色
410 全体画像ラスタ表示
420 特定関心領域ラスタ表示
430 最終画像
500 ダイヤモンド表示システム
510 全体画像ラスタ表示
520 特定関心領域ラスタ表示
530 最終画像
図1
図2
図3
図4
図5