【課題】W−CSP(ウェハレベルチップサイズパッケージ)の製造工程の前段階で行われる電気検査において、電極パッド表面に大きなプローブ痕が形成された場合でも高い信頼性を確保する。
【解決手段】電極パッド11は再配線層16との接続部を有する第1領域11a(コンタクト領域)と、半導体基板の検査工程で検査プローブが当接される第2領域11b(検査用領域)とからなる。半導体装置は、半導体基板10上に電極パッド11を覆う絶縁膜13を形成する工程と、絶縁膜13に開口部を形成し、開口部において電極パッド11の第1領域11aを露出させる工程と、絶縁膜13の開口部において露出した電極パッド11に接続され、かつ、電極パッド11の第2領域11bの上方を覆う再配線層16を絶縁膜13上に形成する工程と、樹脂を用いて絶縁膜13及び再配線層16を覆うように樹脂封止部17を形成する工程と、を経て製造される。
第1領域と第1領域以外の第2領域とを表面に有する半導体基板上に形成された電極パッドと、前記第2領域の一部に複数回にわたりプローブを当接させることで前記第2領域内に形成された突起部と、前記半導体基板と前記電極パッドと前記突起部の少なくとも下方部分とを被覆すると共に前記電極パッドの一部を露出する前記第2領域と離間した第1領域内の開口領域に開口部を備えた絶縁膜と、前記開口部を介して前記電極パッドに接続されると共に前記絶縁膜上に形成された再配線層と、前記再配線層に接続された外部接続端子と、を備えた半導体装置の再配線層のレジストマスクのパターン設計方法であって、
前記開口領域に対応する第1再配線領域を決定する工程と、
前記開口領域から前記第2領域に対応する領域に向かって伸長すると共に前記第2領域を内包する第2再配線領域を決定する工程と、
前記開口領域に対応する領域を挟んで前記第2領域とは異なる方向に伸長するとともに前記外部接続端子が配置される領域を含む第3再配線領域を決定する工程と、
前記第1再配線領域と前記第2再配線領域と前記第3再配線領域とに対応する領域に前記再配線層を形成するためのレジストマスクに応じたパターンを備える露光機用のマスクを作成する工程と、
前記露光機用のマスクを用いて前記絶縁膜上にレジストマスクを形成する工程と、を備えることを特徴とする再配線層のレジストマスクのパターン設計方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施例について図面を参照しつつ説明する。尚、以下に示す図において、実質的に同一又は等価な構成要素又は部分には同一の参照符を付している。
【0014】
図1(a)は、本発明の実施例である半導体装置の電極パッド形成部の構成を示す平面図、
図1(b)は、
図1(a)における1b−1b線に沿った断面図である。尚、
図1(a)には、
図1(b)に示されている半田バンプ19、柱状電極18およびモールド樹脂17等の構成部分は図示されていない。
【0015】
半導体基板10は、例えばシリコン単結晶基板からなり、表面にはトランジスタや抵抗等の回路素子が形成され、これらによって集積回路が形成されている。また、半導体基板10の表面には、上記集積回路に電気的に接続されたAl等からなる電極パッド11が形成されている。電極パッド11は、コンタクト用領域11a(第1領域)と検査用領域11b(第2領域)とが一体的且つ連続的に形成された長方形をなしている。コンタクト用領域11aは、再配線層16に接続されるコンタクト部を含む領域である。検査用領域11bは、半導体基板10の製造工程において行われる電気検査の際に検査プローブが当接される部分を含む領域である。すなわち、電極パッド11には、半導体基板10の検査工程において検査プローブを当接させるための所定領域が画定されており、再配線層とのコンタクト部が形成される部分には、検査プローブが当接されないようになっている。電極パッド11のこれら2つの領域のうちコンタクト用領域11aは、当該電極パッド11に対応する半田バンプ19により近い位置に配置される。これにより、コンタクト部と半田バンプ19との間を繋ぐ再配線層16の配線長を短くすることができ、配線抵抗および配線容量を小さくすることができる。本実施例では、電極パッド11の半田バンプ19に対してより近傍に位置する側がコンタクト用領域11aとされ、半田バンプ19に対してより遠方に位置する側が検査用領域11bとされる。
【0016】
半導体基板10の表面には、例えばシリコン窒化膜等からなるパッシベーション膜12が形成されている。パッシベーション膜12は、半導体基板をハンドリングの際の機械的損傷や化学薬品等の化学的損傷、および静電破壊等の電気的損傷等から保護する役割を果たす。パッシベーション膜12は、電極パッド11上に開口部を有しており、電極パッド11はこの開口部において露出している。
【0017】
電極パッド11上には、例えばPBO(Polybenzoxazoles)又はポリイミド等からなる絶縁膜13が約1〜10μmの厚さで形成される。絶縁膜13には、電極パッド11のコンタクト用領域11aに対応する部分に開口部が設けられている。尚、PBOは、ポリイミドと比較して耐吸水性に優れるという特徴を有することから、本実施例の半導体装置が高い信頼性が要求される用途に使用される場合には、絶縁膜13をPBOで形成するのが好ましい。
【0018】
絶縁膜13上には、UBM(Under Bump Metal)膜15および再配線層16が順次形成される。UBM膜15は、Ti等からなるバリア層とCu等からなるめっきシード層とを含んでいる。バリア層は、再配線層16を構成するCuが電極パッド11や、絶縁膜13内に拡散するのを防止するとともに、再配線層16と電極パッド11の密着性を向上させる役割を担う。尚、バリア層としてTiNiやTaNiを使用することも可能である。めっきシード層は、再配線層16を電界めっき法によって形成する際の基層となる導電性薄膜である。めっきシード層に電極を取り付けて半導体基板をめっき浴に浸漬することによりめっきシード層上に再配線層16が形成される。尚、バリア層およびめっきシード層はいずれもスパッタ法等により形成することができる。
【0019】
再配線層16はCu等からなり、電界めっき法によってめっきシード層の上に形成される。絶縁膜13上に形成されたUBM膜15および再配線層16は、絶縁膜13に形成された開口部において電極パッド11に電気的に接続される。すなわち、UBM膜15および再配線層16は、電極パッド11のコンタクト用領域11bに接続される。再配線層16は、半導体基板10の表面に形成されている電極パッド11から入出力される信号又は電位を外部接続端子である半田バンプ19の下方まで引き出すための導体配線である。再配線層16は、絶縁膜13上において半田バンプ19の下方まで伸張している。また、再配線層16は、絶縁膜13上において電極パッド11の検査用領域11bの上方を覆うように伸張している。すなわち、再配線層16は、電極パッド11とのコンタクト部を挟んで電極パッド11の検査用領域11b上を覆うように伸張する部分と、半田バンプ19の形成部の下方まで伸張する部分とを有している。
【0020】
ここで、再配線層16の検査用領域11b側に伸張している部分は、少なくとも電極パッド11の端部からの距離βが25μmよりも小となる位置で終端していることが望ましい。つまり、
図1(a)および(b)において示される電極パッド11の検査用領域11b側の端部から再配線層16の端部までの距離βは、25μm以下であることが望ましい。また、同図において示される電極パッド11上に存在するパッシベーション膜12の開口部のエッジから再配線層16の端部までの距離αは20μm以下であることが望ましい。かかる位置まで再配線層16を伸張させることにより、電極パッド11の検査用領域11bに形成される突起状のプローブ痕を絶縁膜13および再配線層16で覆うことが可能となる。更に再配線層16は、電極パッド11とパッシベーション膜12とがオーバラップしていることによって生じている段差部にかからない比較的平坦な領域で終端していることが望ましい。これは、上記段差部を再配線層16が覆うと、再配線層16と絶縁膜13および封止樹脂17との間に空隙が生じ、例えば高温状態での使用によってこの空隙が膨張してデバイスの破壊に繋がるおそれがあるからである。
【0021】
再配線層16および絶縁膜13の上面は、エポキシ樹脂等からなる封止樹脂17で覆われる。封止樹脂17は、例えば半導体基板10の再配線層16および半田バンプ19等が形成される側の面にのみ形成され、反対側の面は、半導体基板10が露出する構造とすることができる。封止樹脂17内部には、再配線層16の端部に接続されたCu等からなる柱状電極(Cuポスト)18が埋め込まれている。柱状電極18の上面は封止樹脂17の上面において露出しており、この露出した柱状電極18の表面に半田バンプ19が接続される。半田バンプ19は、外部接続端子としての役割を担い、実装基板との接合部を構成する。実装基板への実装は、リフロー処理によって実装基板の導体パターンに半田バンプ19を溶着させることにより行われる。
【0022】
このように、本実施例の半導体装置においては、電極パッド11は、再配線層16が接続されるコンタクト用領域11aと、ウエハ検査時において検査プローブが当接される検査用領域11bとが別個に画定されており、コンタクト用領域11aにはプローブ痕が形成されることはないので、電極パッド11と再配線層16との接合部において密着性が低下したり、再配線層が均一に形成されないといった不具合を回避できる。
【0023】
ここで、
図2に、半導体基板10の製造工程においてウエハ検査が行われた結果、電極パッド11に突起状のプローブ痕100が形成された場合における本実施例に係る半導体装置の構造例を示す。
図2(a)は、半導体装置の電極パッド形成部の構成を示す平面図、
図2(b)は、
図2(a)における2b−2b線に沿った断面図である。尚、
図2(a)においては、
図2(b)に示されている半田バンプ19、柱状電極18およびモールド樹脂17等の構成部分は図示されていない。半導体基板10の製造工程において複数回に亘って電気検査が行われると電極パッド11には繰り返し検査プローブが当接されることとなる。すると、電極パッド11の検査用領域11bは、プローブの押圧によって隆起し、突起状のプローブ痕100が形成される。プローブ痕100の突起部の高さは、検査回数を重ねる毎に高くなり、例えば膜厚5μm程度で形成される絶縁膜13を貫通し、突起部の先端部分が絶縁膜13の表面から突出する場合がある。この場合、プローブ痕100の突起部の下部は、絶縁膜13によって覆われているので、突起部の上部のみ(先端部分)が絶縁膜13の表面から突出することになる。そして、絶縁膜13の表面からは突起部の先端部分が僅かに突出しているだけなので、この先端部分は、電極パッド11の検査用領域11bの上方にまで伸張している再配線層16によって覆われることになる。すなわち、電極パッド11上に形成された突起状のプローブ痕100は、絶縁膜13および再配線層16によって完全に覆われて、突起部が封止樹脂17と直接接するのを防止する。従って、パッケージ内部に水分等が侵入した場合でも突起部を介して電極パッドの腐食が進行するのを防止することが可能となる。
【0024】
ここで、仮に再配線層16が電極パッド11の検査用領域11bの上方に形成されていない場合、絶縁膜13の表面から突出したプローブ痕100は、封止樹脂17と直接接することとなり、水分等がパッケージ内部に浸入した場合に、プローブ痕100の先端部分を介して電極パッド11の腐食が進行し、これによって電極パッド11と再配線層16とのコンタクト抵抗が変動し、ひいては半導体装置の動作特性が変動してしまうおそれがある。すなわち、電極パッド11の検査用領域11bを絶縁膜13のみで覆う構造では、検査用領域11bに絶縁膜13の膜厚よりも高い突起状のプローブ痕が形成されると、信頼性を確保するのが困難となる。また、絶縁膜13の構成材料として耐吸水性に優れるPBOを使用してもPBO膜から突出したプローブ痕の先端部分を介して水分が吸収され、電極パッドの腐食が進行するので、PBO膜を導入した効果が薄れてしまうこととなる。本実施例では、突起状のプローブ痕100が絶縁膜13を貫通する場合をも想定し、電極パッド11の検査用領域11bの上方まで再配線層16を伸長させる構造とし、プローブ痕100が絶縁膜13の表面から突出した場合でも突出した部分が再配線層16で覆われる構造としているので、高い信頼性を確保することが可能となる。
【0025】
また、本実施例の半導体装置の構造とは異なり、電極パッド11の検査用領域11b上に絶縁膜13が形成されず、検査用領域11bを直接再配線層16で覆う構造とした場合に想定される不具合について
図3を参照しつつ説明する。このような構造の半導体装置において、電極パッド11の検査用領域11bに
図2に示す場合と同程度の高さを有する突起状のプローブ痕100が形成されると、電極パッド11上に再配線層16を均一に形成するのが困難となる。すなわち、検査プローブの押圧によって形成されるプローブ痕100は、
図2および
図3に示す如く、その中腹部分が内側に入り込む形状となる。すると、スパッタ法等によって形成されるUBM膜15をプローブ痕100の突起部の中腹部分に堆積させるのが困難となる。再配線層16は、UBM膜15を基層として電界めっき法によって形成されるため、UBM膜15が堆積されない部分には、再配線層16を成長させることができない。すると、再配線層16に
図3に示す如き空隙が形成され、この空隙に封止樹脂11が入り込む構造となる。その結果、プローブ痕100の突起部は、封止樹脂17と直接接することとなり、水分等がパッケージ内部に浸入した場合にこの突起部を介して電極パッド11の腐食が進行し、ひいては半導体装置の動作特性が変動してしまうおそれがある。
【0026】
そこで、本実施例では、電極パッド11の検査用領域11bの上に絶縁膜13および再配線層16を形成し、プローブ痕100の突起部の下方部分を絶縁膜13で覆い、絶縁膜13の表面から突出した上方部分(先端部分)のみを再配線層16で覆う構造としている。これにより、UBM膜15がプローブ痕100をカバーする部分は、突起部先端に限られるため当該部分にUBM膜15を均一に形成することが可能となり、再配線層16に
図3に示す如き空隙が生じるのを防止することができる。
【0027】
図4に本実施例に係る半導体装置の信頼性評価結果を示す。尚、いずれの評価サンプルの電極パッド11にも
図2に示す如く絶縁膜13を貫通する突起状のプローブ痕100が形成されている。試験項目は、高温高湿バイアス試験(THB:Thermal Humidity Bias Test)、超加速寿命試験(HAST:Highly Accelerated Stress Test)、飽和蒸気加圧試験(PCT:Pressure Cooker Test)であり、いずれの試験項目も半導体装置の耐湿性に関するものである。試験数はいずれも22ヶとした。故障数はいずれの試験項目においても0であった。すなわち、電極パッド11上に絶縁膜13を貫通するような突起部を有するプローブ痕が形成されている場合でも突起部先端が再配線層16によってカバーされるので十分な耐湿性を得ることができ、高信頼性を実現できる。
【0028】
図5に、本実施例の半導体装置において電極パッド11の検査用領域11bに形成されるプローブ痕のパターンバリエーションを示す。
図5(a1)および(a2)は、それぞれ第1のパターンに係る上面図および5a―5aに沿った断面図である。
図5(b1)および(b2)は、それぞれ第2のパターンに係る上面図および5b―5bに沿った断面図である。尚、
図5(a2)および(b2)においては、絶縁膜13および再配線層16等の構成部分は省略されて示されている。
【0029】
第1のパターンに係るプローブ痕100aは、
図5(a1)および(a2)に示すように図中左側に伸長する再配線層16と接続する電極パッド11に形成される。これは、電極パッド11の形成位置に対して図中左側に外部接続端子である半田バンプ19が存在していることを意味しており、この場合、再配線の配線長を可能な限り短く形成する観点から電極パッド11の左側がコンタクト用領域11aとされ、右側が検査用領域11bとされる。検査プローブは、
図5(a2)に示すように、図中右斜め上方から電極パッド11の検査用領域11bに当接される。従って、第1のパターンに係る突起状のプローブ痕100aは、電極パッド11のコンタクト領域11aに近接して形成されることとなる。
【0030】
一方、第2のパターンに係るプローブ痕100bは、
図5(b1)および(b2)に示すように図中右側に伸長する再配線層16と接続する電極パッド11に形成される。これは、電極パッド11の形成位置に対して図中右側に外部接続端子である半田バンプ19が存在していることを意味しており、この場合、再配線の配線長を可能な限り短く形成する観点から電極パッド11の右側がコンタクト用領域11aとされ、左側が検査用領域11bとされる。検査プローブは、
図5(b2)に示すように、図中右斜め上方から電極パッド11の検査用領域11bに当接される。従って、第2のパターンに係る突起状のプローブ痕100bは、電極パッド11のコンタクト領域11aに対して遠方位置に形成されることとなる。本実施例の半導体装置によれば、いずれのケースにおいても突起状のプローブ痕は絶縁膜13および再配線層16に覆われるので、信頼性を確保することが可能である。
【0031】
次に、上記した構造を有する本発明の半導体装置の製造方法について
図6を参照しつつ説明する。
図6(a)〜(f)は、本発明に係る半導体装置の製造工程におけるプロセスステップ毎の断面図である。
【0032】
まず、半導体素子、電極パッド11およびパッシベーション膜12が形成された半導体基板10を用意する。電極パッド11は、コンタクト領域11aと検査用領域11bとからなり検査用領域11bには、半導体基板10の検査工程において複数回に亘る電気検査が行われた結果、突起状のプローブ痕100が形成されている。尚、電極パッド11は、例えばスパッタ法によって半導体基板10上にAl膜を堆積した後、これに所望のパターニングを施すことにより形成される。パッシベーション膜12は、例えばシリコン窒化膜等からなり、CVD法等によって形成される。パッシベーション膜12は、電極パッド11上に開口部を有しており、電極パッド11は、この開口部において露出している(
図6(a))。
【0033】
次に、半導体基板10上に液状のPBOをスピンコート法によって塗布する。塗布されたPBOは、半導体基板10の表面上に均一に供給される。その後、半導体基板10を約300℃のN2雰囲気炉に搬入し、約1時間のキュア処理を行う。これらの工程を経て半導体基板10の表面に膜厚1〜10μm、好ましくは5μm程度の絶縁膜13を形成する。このとき、電極パッド11に形成された突起状のプローブ痕100の高さが絶縁膜13の膜厚を上回る場合には、プローブ痕100の先端部分が絶縁膜13の表面から突出することとなる。すなわち、プローブ痕100は、少なくともその下方部分が絶縁膜13に覆われる。その後、フォトリソおよびエッチング工程を経て絶縁膜13を部分的に除去することによって、電極パッド11のコンタクト用領域11aに対応する部分に開口部13aを形成する。電極パッド11のコンタクト領域11aは、この開口部13aにおいて露出する(
図6(b))。尚、絶縁膜13の材料としては、ポリイミドを使用することも可能である。この場合、半導体基板10上に液状のポリイミドをスピンコート法によって塗布した後、約350℃のN2雰囲気炉で約1時間のキュア処理を行う。これらの工程を経て半導体基板10の表面に膜厚1〜10μm、好ましくは4μm程度の絶縁膜13を形成する。
【0034】
次に絶縁膜13上にスパッタ法によりTi等からなるバリア層およびCu等からなるシード層を順次堆積させ、これらによってUBM膜15を形成する。UBM膜15は絶縁膜13の開口部13aにおいて露出している電極パッドのコンタクト領域11b、開口部13aの側壁部および絶縁膜13の表面から突出しているプローブ痕100の先端部分を覆う。UBM膜15がプローブ痕100をカバーする部分は、突起部先端に限られるため当該部分にUBM膜15を均一に形成することが可能である(
図6(c))。
【0035】
次に、UBM膜15上に再配線層16のパターンに対応したレジストマスクを形成し、電界めっき法によりUBM膜15上に所定の配線パターンを有するCuからなる再配線層16を形成する。続いて、レジストを剥離したのち、レジスト下部に残存するUBM膜15をエッチングにより除去する。再配線層16は、絶縁膜13の開口部13aにおいて電極パッド11に接続される。再配線層16は、上記のパターニングによって、電極パッド11とのコンタクト部を挟んで電極パッド11の検査用領域11b上を覆うように伸張する部分と、後の工程で形成される半田バンプ19の形成部の下方まで伸張する部分と、を有する。これにより、電極パッド11の検査用領域11bに形成されたプローブ痕100の突起部先端は、再配線層16によって覆われる(
図6(d))。
【0036】
次に、再配線層16の端部にCu等からなる柱状電極(Cuポスト)18を固着させる。続いて、柱状電極18を埋設するように半導体基板10の表面を封止樹脂17で覆う。封止樹脂17は、エポキシ樹脂等からなり一般的なモールド装置を使用して形成することができる。続いて、封止樹脂17の表面を研削して内部に埋め込まれた柱状電極18を露出させる。次に、封止樹脂17の表面上に露出した柱状電極(Cuポスト18)の上面に半田バンプ19を接続する(
図6(e))。以上の各工程を経て本実施例に係る半導体装置が完成する。
【0037】
以上の説明から明らかなように、本発明の半導体装置および半導体装置の製造方法によれば、半導体基板の検査工程において検査プローブが当接される電極パッドの検査用領域の上方には絶縁膜のみならず再配線層が形成されるので、複数回に亘るウエハ検査に起因して、電極パッドの検査用領域に比較的高さの高い突起状のプローブ痕が形成されプローブ痕の突起部先端が絶縁膜の表面から突出した場合でも、当該部分は再配線層によってカバーされる。従って、プローブ痕の突起部を介して電極パッドと封止樹脂とが直接接することを防止することができ、パッケージ内部に水分が侵入した場合でも、電極パッドの腐食の進行を抑制することができるので、高い信頼性を確保することが可能となる。
【0038】
また、少なくとも突起状のプローブ痕の下方部分は絶縁膜によって覆われるので、再配線層がカバーする部分はプローブ痕の先端部分に限られる。従って、プローブ痕の突起部の高さが高くなった場合でも、絶縁膜から突出したプローブ痕の先端部分を確実に再配線層で覆うことが可能となる。すなわち、電極パッドを再配線層のみで覆う
図4に示す構造と比較して、複数回に亘る半導体基板の電気検査が行われる状況下においては、より高い信頼性を確保することができる。
【0039】
図7および
図8に本発明の半導体装置の他の実施例を示す。
図7(a)および
図8(a)は、本発明の他の実施例に係る半導体装置の電極パッド形成部の構成を示す平面図、
図7(b)および
図8(b)は、それぞれ
図7(a)および
図8(a)における7b−7b線および8b−8b線に沿った断面図である。尚、
図7(a)および
図8(b)に示す平面図においては、半田バンプ19、柱状電極18およびモールド樹脂17等の構成部分は図示されていない。
【0040】
上記の実施例においては、コンタクト用領域11aと検査用領域11bとが一体的且つ連続的に形成された電極パッド11を有する場合の構造例を示したが、
図7(a)および(b)に示すようにコンタクト領域11aと検査用領域11bとが互いに離間して配置された電極パッド11を有する半導体基板にも適用することが可能である。すなわち、互いに離間して配置された電極パッド11のコンタクト用領域11aと検査用領域11bは、Al等からなる導体配線11cにより電気的に接続されている。かかる構成の電極パッド11を有する半導体基板10上には、絶縁膜13および再配線層16が電極パッドの各領域上を覆うように延在している。上記の実施例同様、コンタクト用領域11aは、絶縁膜13の開口部において再配線層16に接続される。かかる構造の半導体装置においても、上記の実施例と同様の作用効果を得ることができる。
【0041】
また、
図8(a)および(b)に示すように、再配線層は、コンタクト用領域11a上を覆う部分16aと検査用領域11b上を覆う部分16bとが分離されていてもよい。かかる構造の半導体装置においても、上記の実施例と同様の作用効果を得ることができる。