【解決手段】赤色光を出力する第1光源4と、赤色光と異なる光を出力する第2光源6と、第2光源6から出力された光により、赤色の成分及び赤色以外の成分を含む光を出力する蛍光部材8と、蛍光部材8から出力された光のうち赤色の成分の光を透過または反射するフィルタ10と、を備えた光源装置2を提供する。
前記第2光源は青色光を出力する光源であり、前記蛍光部材は少なくとも黄色蛍光体または緑色蛍光体のいずれか一方を含むことを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る光源装置及び光源装置を備えたプロジェクタの実施形態について説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明を以下に限定するものではない。また、各図面が示す部材の位置や大きさ等は、説明を明確にするため誇張していることがある。同一の名称、符号については、原則として同一もしくは同質の部材を示しており、重複した説明は省略する。
【0010】
図1は、本発明に係る光源装置の一実施形態の概要を示す模式図である。
図1に示すように、本実施形態の光源装置2は、赤色光を出力する第1光源4と、赤色光と異なる光を出力する第2光源6と、第2光源6から出力された励起光により赤色の成分及び赤色以外の成分を含む光を出力する蛍光部材8と、蛍光部材8から出力された光のうち赤色の成分の光を透過または反射するフィルタ10と、を備える。
【0011】
第1光源4から出力される「赤色光」とは、赤色波長域(620nm〜750nm)の光を意味する。第2光源6から出力される「赤色光と異なる光」は、赤色波長域以外の任意の波長域の光が含まれ、可視光には限らない。
「赤色の成分の光」は、例えば、色度x=0.56(波長587nmに対応)以上の光を意味する。つまり、「赤色の成分の光」には、赤色波長域よりも短波長の光(例えば、黄色波長域に含まれる光)を含んでもよい。また、蛍光体から出力される「赤色の成分及び赤色以外の成分を含む光」には、広い波長帯域の光が含まれるが、例えば、主に黄色波長帯域の光を含む光(波長が主に570nm以上の光)や緑色波長帯域の光を含む光(波長が主に495nm以上の光)を挙げることができる。
【0012】
第1光源4及び第2光源6として、半導体レーザ素子(LD)を用いることができる。これにより、小型で高出力の光源を低コストで得ることができる。ただし、光源4、6としてこれに限られるものではなく、光学系で取り込み可能であれば、発光ダイオード素子(LED)をはじめとする任意の発光素子を用いることができる。
【0013】
本実施形態では、第2光源6から出力された光が蛍光体8に入射し、蛍光部材8から赤色の成分及び赤色以外の成分を含む光が出力される。そして、蛍光部材8から出力された光は、フィルタ10に入射する。このとき蛍光部材8から出力された光のうち、主に赤色の成分の光が透過し、他の波長域の光は反射される。一方、第1光源4から出力された赤色光は、波長変換されることなく、蛍光体8を透過し、フィルタ10も透過する。これにより、フィルタ10から、第1光源4から出力された赤色光と、第2光源6から出力された光に基づく赤色の成分の光とが合成された光を出力することができる。なお、
図1では、第1光源4から出力された光と、第2光源6から出力された光とが所定の間隔で並行に進むように記載されているが、実際には
図4に示すように、第1光源4及び第2光源6から出力された光は、光学系により集光され、コリメートされた合成光が出力される。
なお、
図1に示す実施形態では、蛍光部材8から出力された光のうち、赤色の成分の光を透過するフィルタ10により赤色の成分の光を取り出しているが、これに限られるものではなく、蛍光部材8から出力された光のうち赤色の成分の光を反射するフィルタ10により、赤色の成分の光を取り出すこともできる。これに関し、
図2を参照しながら、追って詳細に説明する。
【0014】
以上のような構成により、本実施形態では、第1光源4から出力された赤色光と、第2光源6から出力された光に基づく赤色の成分の光とが合成されることで、所望の赤色光の色調が得られ、高出力な光源装置2を実現できる。また、赤色光を出力する第1光源4を多数備える必要はないので、小型プロジェクタに搭載可能である。
更に、第1光源4及び第2光源6を1つのユニット内に配置することにより、出力光の光路を共通化することができ、部品点数を削減することができるので、省スペース化に繋げることができる。
【0015】
第2光源6、蛍光部材8及びフィルタ10の配置に関しては、様々な実施形態が考えられる。具体的には、フィルタ10が、蛍光部材8における第2光源6から出力された光が入射する側に設けられる場合と、フィルタ10が、蛍光部材8における第2光源4から出力された光が入射する側とは反対側に設けられる場合とがある。また、蛍光部材8及びフィルタ10が隣接して配置されている場合と、蛍光部材8及びフィルタ10が離間して配置されている場合とがある。また、フィルタ10が赤色の成分の光(取り出したい波長の光)を透過する場合と、フィルタ10が赤色の成分の光(取り出したい波長の光)を反射する場合とがある。以上の場合を組み合わせると、2×2×2=8通りのパターンがあり得るが、以下に
図2を参照しながら、代表的な4つのパターンを説明する。
【0016】
図2(a)には、フィルタ10が、蛍光部材8における第2光源4から出力された光が入射する側とは反対側に設けられ、蛍光部材8及びフィルタ10が隣接して配置され、フィルタ10が赤色の成分の光(取り出したい波長の光)を透過する場合を示す。つまり、
図2(a)に示す実施形態は、
図1に示す実施形態と同様の配置を有する。第2光源6から出力された光が蛍光体8に入射し、蛍光部材8から赤色の成分及び赤色以外の成分を含む光が出力される。蛍光部材8から出力された光は、蛍光部材8における第2光源4から出力された光が入射する側とは反対側に隣接して設けられたフィルタ10に入射する。このとき、蛍光部材8から出力された光のうち、主に赤色の成分の光が透過し、他の波長帯域の光は反射される。これにより、フィルタ10(光源装置2)から赤色の成分の光が出力される。
【0017】
フィルタ10が、蛍光部材8における第2光源6から出力された光が入射する側とは反対側に設けられているので、蛍光部材8から出力された光を、反射部材等を介さずにフィルタ10に入射できるので、赤色の成分の光を効率良く出力できる。
更に、フィルタ10が蛍光部材8に隣接して配置されているので、蛍光部材8から出力された光を直接フィルタ10に入射できるので、より効率を高めることができる。また、蛍光部材8及びフィルタ10が隣接して配置されているので、両部材の間に光学系が配置されないため、光源装置2を小型化することができる。
フィルタ10は、赤色の成分の光を透過させるので、赤色の成分の光を容易に取り出すことができる。
【0018】
なお、
図2(a)に示す実施形態では、蛍光部材8及び赤色成分の光を透過するフィルタ10が、隣接して配置されているが、これに限られるものではなく、蛍光部材8及び赤色成分の光を透過するフィルタ10が、離間して配置される場合もあり得る。
この場合には、フィルタ10が蛍光部材8から離間して配置されているので、フィルタ10が蛍光部材8で生じた熱の影響を受けず、フィルタ10が劣化しにくい。また、蛍光部材8とフィルタ10との間に光学系(レンズ等)を配置することができ、光学系(レンズ等)によって、蛍光部材8からフィルタ10に入射する光の角度を調節できるため、フィルタ10の特性精度が高まる。
更に、蛍光部材8及びフィルタ10が、他の部材を介して接続されている場合も考えられる。この場合にも、光源装置2を小型化することができる。他の部材としては、断熱性を有する透明な部材を例示することができる。このような部材を介することで、蛍光部材8から発生する熱でフィルタ10が劣化すること未然に防ぐことができる。なお、フィルタ10が、蛍光部材8における第2光源6から出力された光が入射する側に設けられる場合においても、同様に、蛍光部材8及びフィルタ10を他の部材を介して接続する形態が実現できる。
【0019】
図2(b)には、フィルタ10が、蛍光部材8における第2光源6から出力された光が入射する側とは反対側に設けられ、蛍光部材8及びフィルタ10が離間して配置され、フィルタ10が赤色の成分の光(取り出したい波長の光)を反射する場合を示す。
このような構成において、第2光源6から出力された光が蛍光体8に入射し、蛍光部材8から赤色の成分及び赤色以外の成分を含む光が出力される。蛍光部材8から出力された光は、蛍光部材8における第2光源6から出力された光が入射する側とは反対側に進み、離間して配置されたフィルタ10に入射する。このとき蛍光部材8から出力された光のうち、主に赤色の成分の光が反射され、他の波長域の光は透過する。透過した他の波長域の光は、吸収膜18に吸収される。これにより、フィルタ10から赤色の成分の光が出力される。
【0020】
フィルタ10が蛍光部材8から離間して配置されているので、フィルタ10が蛍光部材8で生じた熱の影響を受けず、フィルタ10が劣化しにくい。また、蛍光部材8とフィルタ10との間に光学系(レンズ等)を配置することができ、光学系(レンズ等)によって、蛍光部材8からフィルタ10に入射する光の角度を調節できるため、フィルタ10の特性精度が高まる。
【0021】
図2(c)には、フィルタ10が蛍光部材8における第2光源6から出力された光が入射する側に設けられ、蛍光部材8及びフィルタ10が隣接して配置され、フィルタ10が赤色の成分の光(取り出したい波長の光)を透過する場合を示す。この場合には、第2光源6とフィルタ10との間に、ダイクロイックミラー14が設けられている。このダイクロイックミラー14は、赤色の成分の光を反射し、それ以外の波長域の光を透過するようになっている。また、蛍光部材8における第2光源6から出力された光が入射する側とは反対側には、反射膜12が設けられている。
【0022】
このような構成において、第2光源6から出力された光は、まずダイクロイックミラー14に入射して透過し、続いてフィルタ10に入射して透過する。なお、本実施形態では、青色光及び赤色成分の光を透過させ、その他の波長域の光を反射するフィルタ10を用いている。
フィルタ10から出力された光は、蛍光体8に入射し、蛍光部材8から赤色の成分及び赤色以外の成分を含む光が出力される。そして、蛍光部材8から出力された光は、反射膜12で反射され、180度方向転換をして、蛍光体8を透過しフィルタ10に入射する。このとき蛍光部材8から出力された光のうち、主に赤色の成分の光が透過し、他の波長域の光(青色光は蛍光体で波長変換されている)は反射される。フィルタ10から出力された赤色の成分の光は、更に進んで、ダイクロイックミラー14で反射されて、90度進行方向を替えて出力される。なお、本実施形態では、蛍光部材8及びフィルタ10が隣接して配置されているが、これに限られるものでなく、蛍光部材8及びフィルタ10が離間して配置される場合もあり得る。
【0023】
このような構成により、赤色の成分の光は、蛍光部材8における第2光源6から出力された光が入射する側に出力されるので、各部材をコンパクトに配置したプロジェクタを実現できる。
【0024】
図2(d)には、フィルタ10が、蛍光部材8における第2光源6から出力された光が入射する側に設けられ、蛍光部材8及びフィルタ10が離間して配置され、フィルタ10が赤色の成分の光(取り出したい波長の光)を反射する場合を示す。この場合、蛍光部材8における第2光源6から出力された光が入射する側とは反対側に、反射膜12が設けられている。
【0025】
このような構成において、第2光源6から出力された光は、赤色成分の光を反射し、その他の波長域の光を透過するフィルタ10に入射して透過する。更に光が進んで、蛍光体8に入射し、蛍光部材8から赤色の成分及び赤色以外の成分を含む光が出力される。そして、蛍光部材8から出力された光は、反射膜12で反射され、180度方向転換をして、蛍光体8を透過して、第2光源6側へ出力される。出力された光は、更に進んでフィルタ10に入射する。このとき蛍光部材8から出力された光のうち、主に赤色の成分の光が反射されて、進行方向を90度変えて、フィルタ10から赤色の成分の光が出力される。また、他の波長域の光は、フィルタ10を透過する。
【0026】
このような構成により、赤色の成分の光は、蛍光部材8における第2光源6から出力された光が入射する側に出力されるので、各部材をコンパクトに配置したプロジェクタを実現できる。また、部材の数も少ないので、光源装置の小型化も実現できる。
【0027】
図1や
図2では、第2光源6から出力された光が入射する領域(蛍光体8やフィルタ10が設けられた領域)が固定配置された態様で示されているが、第2光源6から出力された光が入射する領域が時間の経過とともに変化する可動部材上に配置される場合もあり得る。この場合、可動部材が、蛍光部材が配置された領域を有することになる。更にこの可動部に、異なる色の光を出力する複数の蛍光部材が配置された領域や、光源4、6から出力された光がそのまま透過する領域が備えられている場合もあり得る。
この可動部材としては、例えば、回転運動を行なうホイールや、並進運動や往復運動を行なうシャッターが挙げられる。なお、可動部材としてホイールを用いる場合については、
図3、
図4を用いて後述する。
可動部材としてシャッターを用いる場合には、光の反射/透過を機械的に制御するシャッターを使用することが考えられる。例えば、
図1において図面の水平方向にスライドさせたり、往復移動させたりすることが考えられる。
【0028】
以上のような構成により、例えば、青色、緑色、赤色成分の光を時分割で出力する光源装置を実現できる。
【0029】
次に、
図3及び
図4を用いて、ホイール20を備え、時分割で複数の色成分の光を出力可能な光源装置2について、詳細に説明する。
図3は、本発明に係る光源装置に用いられるホイールの一実施形態を示す斜視図である。
図3、4に示す実施形態では、
図2(a)に示す場合と同様に、フィルタ10が蛍光部材8における第1、第2光源4、6から出力された光が入射する側とは反対側に設けられ、蛍光部材8及びフィルタ10が隣接して配置され、フィルタ10が赤色の成分の光(取り出したい波長の光)を透過する場合を示す。
第1光源4から赤色光が出力され、第2光源6から赤色光と異なる光として青色光が出力される。ホイール20には、光源から出力された光が入射して、赤色光が得られる領域、青色光が得られる領域、及び緑色光が得られる領域を有する。ホイール20が回転して、光源4、6から出力された光の光路を、順次、赤色光が得られる領域、青色光が得られる領域、及び緑色光が得られる領域が横切るので、時分割で、赤色、青色及び緑色を出力することができる。
【0030】
次に、
図3のホイール20を側面方向から見た模式図である
図4を用いて、更に詳細に説明する。
図4(a)は、ホイール20の赤色光が得られる領域が、光源から出力された光の光路を横切るところを示す。
図4(b)は、ホイール20の青色光が得られる領域が、光源から出力された光の光路を横切るところを示す。
図4(c)は、ホイール20の緑色光が得られる領域が、光源から出力された光の光路を横切るところを示す。
何れの場合においても、光源装置2は、赤色光を出力する第1光源4と、青色光を出力する第2光源6と、ホイール20と、光源2、4とホイール20との間の光路上に配置された光学系(例えば、集光レンズ)22と、ホイール20の出力側に配置された光学系(例えば、集光レンズ)24とを備える。
赤色光を出力する第1光源4としては、ピーク波長640nmの赤色半導体レーザ素子(LD)を例示することができる。青色光を出力する第2光源6としては、ピーク波長445nmの青色半導体レーザ素子(LD)を例示することができる。ただし、これに限られるものではなく、その他の任意の光源を用いることができる。
ホイール20としては、透明なガラスを例示できる。ただし、透過率が十分であり、耐熱性を有すれば、透明な樹脂材料も適用可能であり、この場合にはホイール20の重量を軽減できる。
また、光源装置2の出力側には、光源装置2から出射された複数の波長の光を順次変調して画像を形成する投影素子30が配置されている。この投影素子30については、
図8を参照しながら後述する。
【0031】
まず、
図4(a)の赤色光が得られる領域が、光源4、6から出力された光の光路を横切るところを説明する。
図4(a)に示すホイール20には、ホイール20の光源4、6から出力された光が入射する側とは反対側に、ホイール20側から(つまり光の進む方向で)順に、バンドパスフィルタ(蛍光体光反射用フィルタ)16、蛍光部材8、及びフィルタ10が隣接して設けられている。一方、ホイール20の光源4、6から出力された光が入射する側に、反射防止膜14が設けられている。なお、蛍光部材8の配置は、ホイール20において光源4、6から出力された光の光入射側または光出射側(光入射側とは反対側)のどちらでも可能であるが、
図4(a)に示すように、光出射側に設けるのが好ましい。これにより、光学系24と蛍光部材8とが近い状態で配置され、蛍光体8から出力された光を光学系24へ効率を高く取り込むことができる。
【0032】
ここで、蛍光部材8は、励起光として青色光が入射すると黄色光を発する黄色蛍光体を含んでいる。更に詳細に述べれば、蛍光体として、Y
3Al
5O
12Ceを例示でき、この場合には550nm程度の波長帯域の光を発する。
また、バンドパスフィルタ(蛍光体光反射用フィルタ)16は、蛍光部材8の蛍光体から発する黄色成分の光を反射し、その他の波長帯域の光を透過するようになっている。また、反射防止膜14は、第1、第2光源4、6から出力された光が反射されるのを防止して、より多くの光がホイール20内を透過できるようにするものである。更に詳細には、SiO
2とNb
2O
5との多層膜といったような誘電体多層膜を例示することができる。
【0033】
赤色光が得られる領域が光源4、6から出力された光路を横切るタイミングにおいては、第1光源4及び第2光源6が同時にオンとなっている。第1光源4から出力された赤色光は、光学系22で略集光されて、ホイール20の入側に達し、反射防止膜14、ホイール20、バンドパスフィルタ(蛍光体光反射用フィルタ)16、蛍光部材8及びフィルタ10を透過して、光源4、6とは反対側に出力される。そして、出力された光が光学系24に入射し、光学系24で略集光されて、投影素子30に入射する。つまり、第1光源4から出力された赤色光は、波長変換されずに、そのまま各部材を透過して出力される。
なお、第1光源4や光学系の配置により、第1光源4から出力された赤色光がホイール20を通過しないで、投影素子30に入射するようにすることも可能である。
【0034】
一方、第2光源6から出力された青色光は、光学系22で略集光されて、ホイール20の入側に達し、反射防止膜14、ホイール20、バンドパスフィルタ(蛍光体光反射用フィルタ)16を透過して、蛍光部材8に入射する。蛍光部材8に含まれる蛍光体は、青色光により励起されて黄色光を発する。蛍光体は蛍光部材8内に分散されているため、黄色光は拡散して発光されるが、第2光源6側に戻る黄色光は、バンドパスフィルタ(蛍光体光反射用フィルタ)16により反射されるため、大半の黄色光がフィルタ10側に進んでフィルタ10に入射する。フィルタ10により、黄色光のうちの主に赤色成分の光が透過し、その他の波長帯域の光は反射される。これにより、主に赤色成分の光がフィルタ10から出力されて、光学系24で略集光されて、投影素子30に入射する。これにより、第2光源6から出力された光に基づく赤色の成分の光と、第1光源4から出力された赤色光とが合成されて出力される。
よって、第1光源4から出力された赤色光と、第2光源6から出力された光に基づく赤色の成分の光とが合成されることで、所望の赤色光の色調が得られ、高出力な光源装置2を実現できる。また、赤色光を出力する第1光源4を多数備える必要はないので、小型プロジェクタに搭載可能である。
【0035】
なお、本実施形態では、蛍光部材8が、励起光として青色光が入射されると黄色光を発する黄色蛍光体を含んでいるが、これに限られるものではなく、蛍光部材8が、励起光として青色光が入射されると緑色光を発する緑色蛍光体を含んでいる場合も考えられる。更に詳細には、蛍光体として、Lu
3Al
5O
12Ceを例示でき、この場合には520nm程度の波長帯域の光を発する。
また、蛍光部材8が、励起光として青色光が入射されると黄色光を発する黄色蛍光体、及び励起光として青色光が入射されると緑色光を発する緑色蛍光体の両方を含んでいる場合もあり得る。この場合においても、フィルタ10により赤色成分の光を取り出すことができるので、黄色蛍光体を含む場合と同様に、第1光源4から出力された赤色光と、第2光源6から出力された光に基づく赤色の成分の光が合成されることで、所望の赤色光の色調が得られ、高出力な光源装置2を実現できる。なお、黄色蛍光体であれば、緑色蛍光体よりも赤色の成分をより多く取り出すことができ、より高出力にすることができる。
【0036】
次に、
図4(b)の青色光が得られる領域が、光源6から出力された光の光路を横切るところを説明する。
図4(b)に示すホイール20には、ホイール20の第2光源6から出力された光が入射する側に、反射防止膜14が設けられている。この反射防止膜14は、第2光源6から出力された光が反射されるのを防止して、より多くの光がホイール20内を透過できるようにするものである。ホイール20の第2光源6から出力された光が入射する側とは反対側には、部材が設けられていない。
【0037】
青色光が得られる領域を光源6から出力された光路を横切るタイミングにおいては、第1光源4はオフとなり、第2光源6のみオンとなっている。第2光源6から出力された青色光は、光学系22で略集光されて、ホイール20の入側に達し、反射防止膜14、ホイール20を透過して、第2の光源6と反対側に出力される。そして、光学系24で略集光されて、投影素子30に入射する。つまり、第2光源6から出力された青色光は、波長変換されずに、そのまま出力される。
【0038】
次に、
図4(c)の緑色光が得られる領域が、光源6から出力された光の光路を横切るところを説明する。
図4(c)に示すホイール20には、ホイール20の第2光源6から出力された光が入射する側とは反対側に、ホイール20側から(つまり光の進む方向で)順に、バンドパスフィルタ(蛍光体光反射用フィルタ)16、及び蛍光部材8が隣接して設けられている。一方、ホイール20の第2光源6から出力された光が入射する側に、反射防止膜14が設けられている。
【0039】
ここで、蛍光部材8は、励起光として青色光が入射されると緑色光を発する緑色蛍光体を含んでいる。また、バンドパスフィルタ(蛍光体光反射用フィルタ)16は、蛍光部材8の蛍光体から発する緑色成分の光を反射し、その他の波長帯域の光を透過するようになっている。また、反射防止膜14は、第2光源6から出力された光が反射されるのを防止して、より多くの光がホイール20内を透過できるようにするものである。
なお、
図4に示す実施形態では、反射防止膜14がホイール20において光源4、6から出力された光の光入射側に配置されているが、これに限られるものではなく、光出射側(光入射側とは反対側)に配置することも可能である。この場合、ホイール20に最も近い位置に配置することが好ましく、例えば、
図4(a)や(c)の場合であれば、ホイール20とバンドパスフィルタ(蛍光体光反射用フィルタ)16との間に配置することが好ましい。
【0040】
緑色光が得られる領域が光源6から出力された光の光路を横切るタイミングにおいては、第1光源4はオフとなり、第2光源6だけがオンとなっている。第2光源6から出力された青色光は、光学系22で略集光されて、ホイール20の入側に達し、反射防止膜14、ホイール20、バンドパスフィルタ(蛍光体光反射用フィルタ)16を透過して、蛍光部材8に入射する。蛍光部材8に含まれる蛍光体は、青色光により励起されて緑色光を発する。蛍光体は蛍光部材8内に分散されているため、緑色光は拡散して発光されるが、第2光源6側に戻る緑色光は、バンドパスフィルタ(蛍光体光反射用フィルタ)16により反射されるため、大半の緑色光がホイール20から出力される。出力された緑色光が、光学系24で略集光されて、投影素子30に入射する。
以上のように、
図3、4に示す光源装置2により、時分割で赤色光、青色光及び緑色光を出力して、投影素子30に入射する。これにより、時分割式のカラープロジェクタを実現できる。
なお、
図4(b)、(c)に示す実施形態では、第1光源4がオフとなっているが、これに限られるものではなく、常に第1光源4をオンの状態にすることもできる。この場合、青色光が得られる領域、及び緑色光が得られる領域のホイール20において、光源4から出力された光が入射する側に、赤色光を反射する反射膜を設けることにより、第1光源4をオンにしておいても、赤色光が不要に出力されることを防ぐことができる。
上述の実施形態では、第1光源4及び第2光源6を1個ずつ備えているが、スペースが許されれば、複数個備えることもできる。
【0041】
次に、
図5を参照しながら、ホイール20の一実施形態の更に詳細な構造を説明する。
図5では、
図4(a)の赤色光が得られる領域の構造を示す。本実施形態では、ホイール20と透明基板26とが接着された構造を示す。ホイール20の光源4、6から出力する光が入射する側とは反対側に、ホイール20側から(つまり光の進む方向で)順に、バンドパスフィルタ(蛍光体光反射用フィルタ)16、及び蛍光部材8が設けられている。ホイール20の光源4、6から出力された光が入射する側に、反射防止膜14が設けられている。
一方、透明基板26の光源4、6から出力された光が入射する側とは反対側に、フィルタ10が設けられ、透明基板26の光源4、6から出力された光が入射する側に、反射防止膜14が設けられている。そして、接着剤により、ホイール20の蛍光部材8を備えた面と、透明基板26の反射防止膜14を備えた面とが接合される。これにより、第1、第2光源4、6から出力された光が進む方向の順に、反射防止膜14、ホイール20、バンドパスフィルタ(蛍光体光反射用フィルタ)16、蛍光部材8、反射防止膜14、透明基板26及びフィルタ10が配置された構成が得られる
【0042】
(実施例の説明)
以上のような
図1〜
図5に示す構成の本発明の光源装置について、各波長における発光強度を実際に測定した。
図6に測定結果である波長−発光強度グラフを示す。このグラフでは、横軸に波長(nm)を示し、縦軸に発光強度(a.u.)を示す。
ピーク波長445nmの青色半導体レーザ素子(LD)である第2光源6から出力された青色光が、黄色蛍光体(Y
3Al
5O
12Ce)を含む蛍光部材8に入射して、
図6の破線で示される黄色光が出力される。そして、フィルタ10により、赤色成分の光(波長590〜700nmの光)が取り出される。取り出された赤色成分の光と、ピーク波長640nmの赤色半導体レーザ素子(LD)である第1光源4から出力された赤色光が合成されて、
図6のグラフの実線で示す高出力な赤色光が得られる。640nm近傍でピークを有する
図6のグラフから、本発明の光源装置により、高出力な赤色光を出力可能なことが明らかとなった。
【0043】
一方、
図7に示す色度座標(x−y)により、所望の赤色光の色調を得られることが示される。
図7において、第2光源6から出力された青色光が黄色蛍光体(Y
3Al
5O
12Ce)を含む蛍光部材8に入射して、黄色光が出力される。この黄色光の色度が、「トリミング無し」と記載された着色された◇印のプロットで示される。そして、フィルタ10により、この黄色光から、590〜700nm以外の波長域の光を除去した赤色成分を含む光が得られる。この赤色成分を含む光の色度が、「590〜700nm」と記載された白抜き□印のプロットで示される。この赤色成分を含む光に、「640nmLD」と記載された白抜き△印のプロットで示される第1光源4から出力された赤色光が合成される。この合成された赤色光の色度が、「590〜700nm+640nmLD」として記載された着色■印のプロットで示される。これが、本発明の光源装置から出力された赤色光の色度となる。これにより、色調が良好な赤色(つまり所望の赤色光の色調)が得られることが明らかとなった。なお、色調が良好な赤色とは、REC709の規格(HDビデオの世界的標準仕様の色域)に近づくことを意味する。
【0044】
(本発明のプロジェクタの説明)
次に、
図8を用いて、本発明のプロジェクタの一実施形態の説明を行なう。本実施形態では、プロジェクタ50が、本発明の光源装置2と、画像データに基づいて、光源装置2から出力された複数の波長の光を順次変調して画像を形成する投影素子30と、その画像を拡大して投射する投射手段40とを備えている。光源装置2としては、上述の任意の実施形態のものを採用することができる。
【0045】
投影素子30は、光変調素子及びその駆動制御回路から構成され、本実施形態では、DMD(Digital Micro−mirror Device)素子を用いることができる。DMD素子は、各画素に相当する微細なミラーがマトリックス状に配列され、各ミラーの傾きを変えてオン/オフ切り替えを行なうことができる。つまり、入射した光が投射手段40へ反射するようにミラーを傾けた場合がオンの状態であり、入射した光が投射手段40へ反射しないようにミラーを傾けた場合がオフの状態である。
また、オンにしている時間とオフにしている時間の比率によって、投射手段40へ入射する光の階調を変化させることができるので、画像データに基づいた階調表示が可能になる。DMD素子は、マイクロ秒単位でオン/オフの切り替えが可能である。なお、本実施形態では、投影素子30の構成素子として、DMD素子を用いているが、これに限られるものではなく、用途に応じて、その他任意の光変調素子を用いることができる。
【0046】
投射手段40は、主に投射レンズから構成され、投影素子30で順次変調して形成された画像を、所定の大きさに拡大して投射することができる。
以上のように、本実施形態においては、所望の赤色光の色調が得られる、高出力でコンパクトなプロジェクタを、低い製造コストで提供することができる。
【0047】
<本発明プロジェクタのその他の実施形態の説明>
上述では、本発明の光源装置2を時分割のプロジェクタに用いる場合を示しているが、これに限られるものではなく、例えば、液晶表示装置や液晶式プロジェクタにおけるカラー光源として用いることができる。この場合、光源装置2から、赤色光、青色光及び緑色光を各画素に対応した位置に同時に出力する。よって、液晶装置側でカラーフィルタ等を備える必要はない。この場合においても、所望の赤色光の色調が得られ、高出力な表示装置やプロジェクタを実現できる。