(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-222795(P2015-222795A)
(43)【公開日】2015年12月10日
(54)【発明の名称】放熱板を備えた電子部品の実装構造
(51)【国際特許分類】
H01L 23/29 20060101AFI20151113BHJP
H01L 23/34 20060101ALI20151113BHJP
【FI】
H01L23/36 A
H01L23/34 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2014-107397(P2014-107397)
(22)【出願日】2014年5月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】新日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098372
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 保人
(72)【発明者】
【氏名】藤井 芳雄
(72)【発明者】
【氏名】原 慎治
【テーマコード(参考)】
5F136
【Fターム(参考)】
5F136BA03
5F136BC07
5F136DA07
5F136DA41
(57)【要約】
【課題】放熱板の配置を工夫することにより高放熱化を図ることができ、しかも製造が容易となるようにする。
【解決手段】リード1を接続した回路素子全体の下面側に樹脂フィルム2を設けることにより、リード側面部と回路素子及びその接続部とを含むリード下面位置から上側片面にモールド樹脂を成形し、かつ裏面が略平面とされた片面樹脂モールド素子10を複数用い、この複数の片面樹脂モールド素子10の裏面が同一水平面に並ぶように、そのリード1を基板11の電極13に接続し、この複数の片面樹脂モールド素子10の裏面に単一の放熱板を実装する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リード部と樹脂モールド部で形成される電子部品の一方の面が略平面とされる電子部品を用い、上記リード部を電気回路基板の電極に接続すると共に、複数の上記電子部品の一方の面が同一水平面に並ぶように実装し、
この複数の電子部品の上記一方の面上に単一の放熱板を実装する放熱板を備えた電子部品の実装構造。
【請求項2】
上記電子部品は、上記一方の面から反対の面側に樹脂モールドが形成された片面樹脂モールド素子とし、上記樹脂モールド部は上記電気回路基板に形成された開口内又は凹部内に配置することを特徴とする請求項1記載の放熱板を備えた電子部品の実装構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイオードや半導体集積回路のような電子回路を半田により電気回路基板に接続すると共に、放熱板を実装する電子部品の実装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ダイオード等の電子部品を電気回路基板に実装する場合、電子部品のアウターリードと電気回路基板を半田により接合することが行われるが、近年においては、実装技術が向上し、高密度実装品が増えており、実装基板サイズの小型化、集積化が進んでいる。
【0003】
また、複数の電子部品を電気回路基板に実装して電気回路を製作する場合、過加熱を防止するために放熱板が取付け・配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−171656号公報
【特許文献2】特開2013−42030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両搭載、産業機械等で使用される電気回路では、小型化・集積化と共に高放熱化の要求がある。
即ち、複数の電子部品を電気回路基板に実装する場合、小型化・集積化が推進されることで、狭い範囲での加熱が問題となり、放熱板等の取付け・配置においては、電気部品からの放熱が効率よく行われるような工夫が必要であり、放熱板の配置を含めた電気回路トータルでの実装レイアウトの検討が要請されている。
【0006】
また、複数の電子部品に対して放熱板を設ける際には、その製造が容易であることも求められる。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、放熱板の配置を工夫することにより高放熱化を図ることができ、しかも製造が容易となる放熱板を備えた電子部品の実装構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明に係る放熱板を備えた電子部品の実装構造は、リード部と樹脂モールド部で形成される電子部品の一方の面が略平面とされる電子部品を用い、上記リード部を電気回路基板の電極に接続すると共に、複数の上記電子部品の一方の面が同一水平面に並ぶように実装し、この複数の電子部品の上記一方の面上に単一の放熱板を実装することを特徴とする。
請求項2の発明は、上記電子部品は、上記一方の面から反対の面側に樹脂モールドが形成された片面樹脂モールド素子とし、上記樹脂モールド部は上記電気回路基板に形成された開口内又は凹部内に配置することを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、電気回路基板に実装された複数の電子部品の裏面が同一水平面に並んでおり、この裏面に単一の放熱板が実装される。この電子部品として、片面樹脂モールド素子が用いられた場合は、放熱板がモールド素子に効率よく取り付けられる。即ち、片面樹脂モールド素子は、その裏面に放熱板を直接実装することができる。また、電気回路基板に開口又は凹部を形成し、この開口内又は凹部内にモールド部を配置することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の構成によれば、複数の片面樹脂モールド素子に対して単一の放熱板を取り付けるように、放熱板の配置を工夫することにより高放熱化を図ることができると共に、放熱板を備えた回路部品の製造を容易にすることが可能となる。また、薄型化(小型化)も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る実施例の放熱板を備えた電子部品の実装構造を示す一部断面図である。
【
図2】
図1の電子部品におけるモールド素子の構成を示す一部断面図である。
【
図3】実施例で用いられる電気回路基板の構成を示す上面図である。
【
図4】実施例で用いられる片面樹脂モールド素子の構成を示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1,
図2には、実施例の放熱板を備えた電子部品の実装構造が示され、
図3には、電気回路基板の構成が示され、
図4には、実施例の片面樹脂モールド素子の構成が示されており、まずこの片面樹脂モールド素子10について説明する。
図4に示されるように、リード(又はリードフレーム)1の下面に、樹脂フィルム(薄膜)2が貼着され、このリード1の上側にダイヤタッチ材等で回路素子(半導体素子)3が接続されており、この回路素子3の上面端子はリード1に金属のワイヤ4にて接続(ワイヤボンディング)される。なお、リード1の厚さは、統一されている。
【0013】
実際の製造では、複数の回路素子3をリードフレームに接続した集合体において、上側モールド金型により片面樹脂モールドが行われることで、図示されるように、リード1の側面部(各リード間)、回路素子3の周囲、そして回路素子3とワイヤ4との接続部に樹脂5が成形される。
【0014】
このような片面樹脂モールド素子10を、実施例では
図3の電気回路基板に接続することで、
図2のような配置となる。即ち、
図3のように、電気回路基板11には、片面樹脂モールド素子10を配置するための開口(又は凹部)12が設けられると共に、必要な配線パターン(電極や配線の導体パターン)13が形成される。そして、片面樹脂モールド素子10の裏面を上側にしてその樹脂モールド部を上記開口12内に挿入・配置し、配線パターン13の電極に、片面樹脂モールド素子10のリード1を半田14により接続することで、
図2の状態とする。
【0015】
図1に示されるように、本実施例では、電気回路基板11に設けられた複数組の開口12及び配線パターン13に対し、複数の片面樹脂モールド素子10が実装されており、これら片面樹脂モールド素子10の裏面は同一水平面に並ぶ状態となる。そして、複数の片面樹脂モールド素子10の裏面に絶縁のための樹脂フィルム2を介して、放熱フィンを有する放熱板16が接着剤等で接着される。
【0016】
以上の実施例によれば、複数の片面樹脂モールド素子10に対し1個の放熱板16を容易に配置することができ、放熱板を備えた電子部品を簡単に製造できる。即ち、上記リード1及び樹脂フィルム2の厚さを均一にすることで、複数の片面樹脂モールド素子10に対してもフラットな面に放熱板16を容易に配置することが可能である。半導体回路の製造では、リード(又はリードフレーム)の厚さは統一されているので、複数の片面樹脂モールド素子10の高さはほぼ同じとなる。
【0017】
このように本実施例では、複数の片面樹脂モールド素子10に対する放熱板16による高放熱化を良好に図ることが可能となる。なお、上記放熱板16は、複数の複数の片面樹脂モールド素子10にまたがり配置されているが、電気回路基板に実装されている全ての片面樹脂モールド素子10に対して1個の放熱板16を配置することに限定されるものではなく、複数の片面樹脂モールド素子にまたがって配置された放熱板16が、複数配置されていても良いことは言うまでもない。
【0018】
更に、本実施例では、片面樹脂モールド素子を用いることで、更に効率よく放熱板16が回路素子へ取り付けられる。一般に、リード1が設けられた片面樹脂モールド素子10に対し放熱板を設ける際には、リード1と他の部品との導通(電気的接触)を防ぐために、絶縁性の接着剤等をリード1が設けられた片面樹脂モールド素子10の裏面(下面)に配置する必要がある。
【0019】
一方、上述のように、片面樹脂モールド素子の製造では、モールド樹脂がリードフレームの下側へ漏れないようにするため、リード(リードフレーム)を接続した回路素子全体の下面(裏面)側に樹脂フィルムが配置され、この樹脂フィルムは樹脂モールド後に剥がされる。そこで、本実施例では、この樹脂フィルム2を剥がさずそのまま用い、この樹脂フィルム2に放熱板16を直接実装することで、この樹脂フィルム2を他の部品との導通を防ぐものとして配置することができる。
【0020】
また、実施例では、開口(又は凹部)12に片面樹脂モールド素子10を配置しており、これにより、回路部品の薄型化を図ることも可能である。
【符号の説明】
【0021】
1…リード、 2…樹脂フィルム、
3…回路素子、 5…モールド樹脂、
10…片面樹脂モールド素子、
12…開口、 14…半田、
16…放熱板。