【解決手段】基板Wを保持して回転させる基板保持部1と、基板保持部1に保持されている基板Wの周縁部にマスキングテープ7を貼り付けるテープ貼り付けユニット8と、を備えるテープ貼り付け装置であり、テープ貼り付けユニットは、マスキングテープ7を基板Wの外周側面に押し付けるサイドローラー23と、基板Wの外周側面に押し付けられたマスキングテープ7をその長手方向に沿って折り曲げ、マスキングテープ7の折り曲げられた部分を基板Wの周縁部の上面に貼り付ける第1のローラー26と、基板Wの外周側面に押し付けられたマスキングテープ7をその長手方向に沿って折り曲げ、マスキングテープ7の折り曲げられた部分を基板Wの周縁部の下面に貼り付ける第2のローラー27と、を有するテープ貼り付け装置。
前記テープ貼り付けユニットは、前記マスキングテープの始端を保持して該始端を前記基板の外周側面に貼り付けるテープ保持ヘッドをさらに有することを特徴とする請求項2に記載のテープ貼り付け装置。
前記テープ貼り付けユニットは、前記基板の表面と垂直な方向における前記マスキングテープの位置決めを行う位置決め部材をさらに有することを特徴とする請求項2に記載のテープ貼り付け装置。
前記テープ貼り付けユニットは、前記マスキングテープの終端が前記基板の周縁部から突出した状態で前記マスキングテープを切断するテープカッターをさらに有することを特徴とする請求項2に記載のテープ貼り付け装置。
前記基板を回転させる前に、前記マスキングテープの始端を保持して該始端を前記基板の外周側面に貼り付ける工程をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のテープ貼り付け方法。
前記マスキングテープを前記基板の外周側面に押し付ける前に、前記基板の表面と垂直な方向における前記マスキングテープの位置決めを行うことを特徴とする請求項9に記載のテープ貼り付け方法。
前記マスキングテープの終端が前記基板の周縁部から突出した状態で前記マスキングテープを切断する工程をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のテープ貼り付け方法。
前記基板の周縁部の上面に貼り付けられた前記マスキングテープの折り曲げられた部分の幅は、前記基板の周縁部の下面に貼り付けられた前記マスキングテープの折り曲げられた部分の幅と異なることを特徴とする請求項9に記載のテープ貼り付け方法。
前記基板の周縁部の上面に貼り付けられた前記マスキングテープの折り曲げられた部分の幅は、前記基板の周縁部の下面に貼り付けられた前記マスキングテープの折り曲げられた部分の幅よりも大きいことを特徴とする請求項9に記載のテープ貼り付け方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたもので、ウェハなどの基板の周縁部を保護するマスキングテープを貼るためのテープ貼り付け装置を提供することを目的とする。また、該マスキングテープを基板の周縁部に貼り付けるテープ貼り付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するための本発明の一態様は、基板を保持して回転させる基板保持部と、前記基板保持部に保持されている基板の周縁部にマスキングテープを貼り付けるテープ貼り付けユニットと、を備えたことを特徴とするテープ貼り付け装置である。
【0008】
本発明の好ましい態様は、前記テープ貼り付けユニットは、前記マスキングテープを前記基板の外周側面に押し付けるサイドローラーと、前記基板の外周側面に押し付けられた前記マスキングテープをその長手方向に沿って折り曲げ、前記マスキングテープの折り曲げられた部分を前記基板の周縁部の上面に貼り付ける第1のローラーと、前記基板の外周側面に押し付けられた前記マスキングテープをその長手方向に沿って折り曲げ、前記マスキングテープの折り曲げられた部分を前記基板の周縁部の下面に貼り付ける第2のローラーと、を有することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記テープ貼り付けユニットは、前記マスキングテープの始端を保持して該始端を前記基板の外周側面に貼り付けるテープ保持ヘッドをさらに有することを特徴とする。
【0009】
本発明の好ましい態様は、前記テープ貼り付けユニットは、前記基板の表面と垂直な方向における前記マスキングテープの位置決めを行う位置決め部材をさらに有することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記テープ貼り付けユニットは、前記マスキングテープの終端が前記基板の周縁部から突出した状態で前記マスキングテープを切断するテープカッターをさらに有することを特徴とする。
【0010】
本発明の好ましい態様は、前記基板の周縁部から前記マスキングテープを剥離させるテープ剥離ユニットをさらに備えたことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記テープ剥離ユニットは、前記マスキングテープを前記基板から剥がしながら、前記基板の回転速度と同期した速度で前記マスキングテープを送り出すテープ送りローラーと、前記テープ送りローラーから送り出された前記マスキングテープを巻き取る巻き取りローラーと、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の他の態様は、基板を回転させながら、前記基板の周縁部にマスキングテープを貼り付けることを特徴とするテープ貼り付け方法である。
【0012】
本発明の好ましい態様は、前記基板の周縁部にマスキングテープを貼り付ける前記工程は、前記基板を回転させながら、前記マスキングテープを前記基板の外周側面に押し付け、前記基板を回転させながら、前記基板の外周側面に押し付けられた前記マスキングテープをその長手方向に沿って折り曲げ、前記マスキングテープの折り曲げられた部分を前記基板の周縁部の上面に貼り付け、前記基板を回転させながら、前記基板の外周側面に押し付けられた前記マスキングテープをその長手方向に沿って折り曲げ、前記マスキングテープの折り曲げられた部分を前記基板の周縁部の下面に貼り付ける工程であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記基板を回転させる前に、前記マスキングテープの始端を保持して該始端を前記基板の外周側面に貼り付ける工程をさらに含むことを特徴とする。
【0013】
本発明の好ましい態様は、前記マスキングテープを前記基板の外周側面に押し付ける前に、前記基板の表面と垂直な方向における前記マスキングテープの位置決めを行うことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記マスキングテープの終端が前記基板の周縁部から突出した状態で前記マスキングテープを切断する工程をさらに含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の好ましい態様は、前記基板の周縁部の上面に貼り付けられた前記マスキングテープの折り曲げられた部分の幅は、前記基板の周縁部の下面に貼り付けられた前記マスキングテープの折り曲げられた部分の幅と異なることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記基板の周縁部の上面に貼り付けられた前記マスキングテープの折り曲げられた部分の幅は、前記基板の周縁部の下面に貼り付けられた前記マスキングテープの折り曲げられた部分の幅よりも大きいことを特徴とする。
【0015】
本発明の好ましい態様は、基板を回転させながら、前記基板の周縁部からマスキングテープを剥離させる工程をさらに含むことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記基板の周縁部からマスキングテープを剥離させる前記工程は、前記マスキングテープを前記基板から剥がしながら、前記基板の回転速度と同期した速度で前記マスキングテープを送り出し、前記基板の回転速度と同期した速度で送り出された前記マスキングテープを巻き取る工程であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の構成によれば、テープ貼り付けユニットにより基板の周縁部にマスキングテープが貼られ、該マスキングテープにより基板の周縁部が保護される。その結果、例えば、裏面全面に貼られた保護膜の外周部がマスキングテープで覆われる。したがって、この基板をめっき液などの処理液に浸漬しても、保護膜の外周部が剥がれることがなくなり、処理液が基板の裏面に接触することが防止される。また、マスキングテープが周縁部に貼られた基板をドライエッチングしたときに、該周縁部にブラックシリコンが発生しない。したがって、基板表面に形成されたデバイスの不具合を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係るテープ貼り付け装置について図面を参照しながら説明する。
テープ貼り付け装置は、ウェハなどの基板の周縁部にマスキングテープを貼り付け、該マスキングテープで基板の周縁部を保護するための装置である。本明細書では、基板の周縁部を、基板の最外周に位置するベベル部と、このベベル部の半径方向内側に位置するトップエッジ部およびボトムエッジ部とを含む領域として定義する。
【0019】
図1(a)および
図1(b)は、基板の一例であるウェハの周縁部を説明するための拡大断面図である。より詳しくは、
図1(a)はいわゆるストレート型のウェハWの断面図であり、
図1(b)はいわゆるラウンド型のウェハWの断面図である。
図1(a)のウェハWにおいて、ベベル部は、上側傾斜部(上側ベベル部)P、下側傾斜部(下側ベベル部)Q、および側部(アペックス)Rから構成される最も外側の部分(符号Bで示す)である。
図1(b)のウェハWにおいては、ベベル部は、ウェハWの最も外側に位置する、湾曲した断面を有する部分(符号Bで示す)である。トップエッジ部は、ベベル部Bよりも半径方向内側に位置する平坦部E1である。ボトムエッジ部は、トップエッジ部とは反対側に位置し、ベベル部Bよりも半径方向内側に位置する平坦部E2である。
【0020】
これらベベル部B、トップエッジ部E1、およびボトムエッジ部E2を、総称して周縁部と称する。周縁部は、デバイスが形成された領域を含むこともある。以下の説明において、ウェハWの周縁部の外周側面とはベベル部Bの表面をいい、ウェハWの周縁部の上面はトップエッジ部E1の表面をいい、ウェハWの周縁部の下面はトップエッジ部E2の表面をいう。
【0021】
図2(a)および
図2(b)は、ウェハなどの基板を保持して回転させる基板保持部1を示す図である。より具体的には、
図2(a)は基板保持部1の側面図であり、
図2(b)は基板保持部1の平面図である。基板保持部1は、テープ貼り付け装置に組み込まれている。
図2(a)に示すように、基板保持部1は、ウェハWを水平に保持する基板ステージ2と、基板ステージ2の下面の中央部に固定される回転軸3と、回転軸3および基板ステージ2を回転させるためのステージモータ5とを備えている。基板ステージ2は、図示しない真空源に接続されており、この真空源によって発生される真空吸引力により、ウェハWが基板ステージ2の上面(すなわち基板保持面)に保持される。ステージモータ5を駆動させると、回転軸3が図中の矢印で示す方向に回転し、それに伴って、基板ステージ2および該基板ステージ2上のウェハWが回転する。
【0022】
基板保持部1は、
図2(b)に示すように、真空吸引力によりウェハWを基板ステージ2に保持する前に、ウェハWをセンタリングするセンタリング機構6を有している。センタリング機構6は、ウェハWの周方向に沿って等間隔に配置された複数の(図示して例では3つの)センタリングフィンガー12から構成される。センタリングフィンガー12は、その先端部にウェハWの周縁部に接触可能な2本の突出部(フィンガー部)13を有している。また、センタリングフィンガー12は、図示しない移動機構(例えば、エアシリンダ)により、ウェハWの中心に向かって前進およびウェハWから後退できるように構成されている。センタリングフィンガー12がウェハWの中心に向かって前進すると、突出部13がウェハWの周縁部に接触し、この突出部13によって、ウェハWは、当該ウェハWの中心に向かって押圧される。3つのセンタリングフィンガー12をウェハWの中心に向けて同時に移動させると、ウェハWの周縁部が3方向から同時にウェハWの中心に向けて押圧される。これにより、ウェハWのセンタリングが行われる。ウェハWのセンタリングが完了すると、回転軸3の中心とウェハWの中心とが同軸上に位置することになる。
【0023】
また、基板保持部1は、ウェハWのノッチを検出することができるノッチ検出機構4を有している。ノッチ検出機構4を用いてウェハWのノッチを検出することにより、ウェハWの回転位置の基準が明確になるので、後述するマスキングテープをウェハに貼り始める位置や、貼り終わる位置を所望の位置に決定することができる。
【0024】
図3は、テープ貼り付け装置の一実施形態を示す平面図である。テープ貼り付け装置は、
図2(a)および
図2(b)に示される基板保持部1と、この基板保持部1に保持されて、回転するウェハWの周縁部にマスキングテープを貼り付けるテープ貼り付けユニット8とを備えている。
図3に示されるように、基板ステージ2に保持されたウェハWが図中の矢印で示す方向に回転しながら、テープ貼り付けユニット8によってマスキングテープ7がウェハWに貼り付けられる。
【0025】
テープ貼り付けユニット8に供給されるマスキングテープ7は、繰り出しローラー10に保持されている。繰り出しローラー10から繰り出されたマスキングテープ7は、複数のローラーを有するテンションユニット11を通過し、その間に、テンションユニット11によってマスキングテープ7に所望のテンションが与えられる。テンションユニット11を通過したマスキングテープ7は、ガイドローラー14を経由してテープ貼り付けユニット8に供給される。マスキングテープ7の接着面に貼られているセパレーションフィルム9は、マスキングテープ7がガイドローラー14を通過すると同時にマスキングテープ7から剥離され、フィルム巻き取りローラー15に巻き取られる。
【0026】
マスキングテープ7は、柔軟な基材テープと、基材テープの片面に形成された粘着層とを備えている。基材テープの材料としては、ポリオレフィン(PO)、ポリエチレン(PET)、あるいはポリイミドなどの合成樹脂が使用できる。マスキングテープ7の厚さは、例えば、60μm〜80μmである。
【0027】
テープ貼り付けユニット8は、マスキングテープ7の始端を保持して、該始端をウェハWの外周側面(
図1(a)および
図1(b)の符号B参照)に貼り付けるテープ保持ヘッド20と、ウェハWの表面と垂直な方向におけるマスキングテープ7の位置決めを行う位置決め部材としての位置決めローラー22と、マスキングテープ7をウェハWの外周側面に押し付けるサイドローラー23とを備えている。
【0028】
さらに、テープ貼り付けユニット8は、ウェハWの外周側面に押し付けられたマスキングテープ7をその長手方向に沿って折り曲げ、さらにマスキングテープ7の折り曲げられた部分をウェハWの周縁部の上面(
図1(a)および
図1(b)の符号E1参照)に貼り付ける第1のローラー26と、ウェハWの外周側面に押し付けられたマスキングテープ7をその長手方向に沿って折り曲げ、さらにマスキングテープ7の折り曲げられた部分をウェハWの周縁部の下面(
図1(a)および
図1(b)の符号E2参照)に貼り付ける第2のローラー27とを有している。
【0029】
第1のローラー26は第2のローラー27の上方に配置されており、ウェハWの周縁部は、これら第1のローラー26と第2のローラー27の間に位置している。第1のローラー26の下方に第2のローラー27が位置しているため、
図3では、第1のローラー26のみが示されている。第2のローラー27は
図5(a)乃至
図5(c)および
図6に示されている。
【0030】
テープ保持ヘッド20は、ヘッドアクチュエータとしての電動シリンダ21に連結されており、この電動シリンダ21によって、ウェハWの周縁部に近接および離間する方向に移動可能に構成される。テープ保持ヘッド20は、マスキングテープ7の始端を着脱自在に保持できるように構成されている。より具体的には、テープ保持ヘッド20は真空ライン19に接続されており、この真空ライン19によって発生される真空吸引力でマスキングテープ7の始端を保持することができるようになっている。
【0031】
図4(a)乃至
図4(c)は、テープ保持ヘッド20でマスキングテープ7の始端をウェハWの外周側面に貼り付ける工程を示した斜視図である。テープ保持ヘッド20の前面には、ウェハWの表面と平行に延びるテープ保持溝20aが形成されている。このテープ保持溝20aの底面には、テープ保持ヘッド20がマスキングテープ7の始端を着脱可能に保持することを可能とする真空吸引口20bが形成されている。この真空吸引口20bは、上述した真空ライン19に連通している。
【0032】
テープ保持ヘッド20は次のように動作する。
図4(a)に示すように、マスキングテープ7の始端がテープ保持ヘッド20に真空吸引によって保持される。次に、
図4(b)に示されるように、電動シリンダ21を動作させて、マスキングテープ7の始端がウェハWの外周側面に接触するまで、テープ保持ヘッド20をウェハWの外周側面に向かって移動させる。次に、真空ライン19の真空吸引を遮断すると共に、テープ保持ヘッド20をウェハWの周縁部から離間させる。このようにテープ保持ヘッド20を動作させることで、
図4(c)に示されるように、マスキングテープ7の始端がウェハWの外周側面に貼り付けられる。
【0033】
図3に示すように、位置決めローラー22およびサイドローラー23は、共通の支持台24に回転自在に固定されている。位置決めローラー22およびサイドローラー23の軸心は、ウェハWの表面と垂直な方向(すなわち鉛直方向)に延びている。支持台24は、ローラーアクチュエータとしてのエアシリンダ25に連結されている。
【0034】
エアシリンダ25を動作させると、位置決めローラー22およびサイドローラー23がウェハWの外周側面に向かって同時に移動する。位置決めローラー22とサイドローラー23の移動方向は、ウェハWの表面と平行な方向である。位置決めローラー22とサイドローラー23は、その移動方向に対して異なる位置に配置されている。したがって、
図3に示すように、サイドローラー23はマスキングテープ7をウェハWの外周側面に押し付ける一方で、位置決めローラー22はマスキングテープ7の裏面(すなわち、粘着面とは反対の面)に接触するのみであり、マスキングテープ7をウェハWの外周側面に押し付けない。位置決めローラー22およびサイドローラー23は、それぞれ別々のエアシリンダに連結されていてもよい。
【0035】
第1のローラー26および第2のローラー27は、その軸心まわりに回転自在に構成されている。第1のローラー26および第2のローラー27のそれぞれの軸心は、ウェハWの表面と平行に延び、かつウェハWの半径方向に延びている。第1のローラー26と第2のローラー27とは、エアシリンダなどから構成される移動機構28に連結されている。この移動機構28を動作させると、第1のローラー26と第2のローラー27は、互い近接および離間する方向(すなわち、ウェハWの周縁部に近接および離間する方向)に移動する。第1のローラー26と第2のローラー27の移動方向は、ウェハWの表面と垂直な方向である。
【0036】
このような構成により、第1のローラー26と第2のローラー27は、マスキングテープ7をその長手方向に沿って折り曲げて、その折り曲げられた部分をウェハWの周縁部の上面および下面に押し付けることが可能となっている。本実施形態では、第1のローラー26と第2のローラー27とがウェハWの周縁部を挟み込むように配置されているが、第1のローラー26および第2のローラー27は、ウェハWの周方向において異なる位置に配置されていてもよい。
【0037】
位置決めローラー22、サイドローラー23、第1のローラー26、および第2のローラー27は回転自在に構成されているが、モータのような回転駆動機は接続されていない。したがって、これらローラー22,23,26,27は、ウェハWの回転によって移動するマスキングテープ7との接触によって回転される。
【0038】
次に、テープ貼り付けユニット8の動作について説明する。まず、
図4(a)乃至
図4(c)に示すように、マスキングテープ7の始端がテープ保持ヘッド20によりウェハWの外周側面に貼り付けられる。次に、サイドローラー23がウェハWの外周側面に接触するまで、位置決めローラー22およびサイドローラー23をウェハWに向かって移動させる。そして、外周側面にマスキングテープ7の始端が貼り付けられた状態で、ウェハWはその軸心を中心としてステージモータ5により回転させられる。
図5(a)に示すように、位置決めローラー22は、マスキングテープ7の進行方向においてサイドローラー23の上流側に配置されている。したがって、マスキングテープ7は、位置決めローラー22およびサイドローラー23の順にガイドされる。
【0039】
マスキングテープ7はその上下方向の位置が位置決めローラー22によって固定される。すなわち、位置決めローラー22は、その中央部がくびれたドラム形状を有しており、このくびれた部分でマスキングテープ7がガイドされることでマスキングテープ7の上下方向の位置決めがなされる。位置決めローラー22を通過したマスキングテープ7は、サイドローラー23によって所定の力でウェハWの外周側面に押し付けられ、これによりマスキングテープ7はウェハWの外周側面に貼り付けられる。
【0040】
サイドローラー23は、弾性を有する材料、例えばウレタンゴムから構成されており、サイドローラー23が所定の力でマスキングテープ7をウェハWの外周側面に押し付けると、サイドローラー23の外周面がウェハWの周縁部の形状に沿って窪む。その結果、
図5(b)に示すように、サイドローラー23の窪んだ外周面に倣って、マスキングテープ7の全体がウェハWの半径方向内側に撓められる。
【0041】
ウェハWの回転に伴ってマスキングテープ7は、第1のローラー26および第2のローラー27に到達する。サイドローラー23によって撓められたマスキングテープ7は、第1のローラー26および第2のローラー27によって所定の力で挟み込まれる。
図5(b)および
図6に示すように、第1のローラー26により、マスキングテープ7の上半分はその長手方向に沿って折り曲げられ、ウェハWの周縁部の上面に押し付けられる。同時に、第2のローラー27により、マスキングテープ7の下半分はその長手方向に沿って折り曲げられ、ウェハWの周縁部の下面に押し付けられる。このようにして、マスキングテープ7がウェハWの周縁部に貼り付けられる。この状態で、ウェハWを一回転させることにより、
図5(c)に示すように、ウェハWの周縁部全体にマスキングテープ7が貼り付けられる。
【0042】
ウェハWを一回転させて、ウェハWの周縁部全体にマスキングテープ7を貼り付けている間、第1のローラー26および第2のローラー27は、移動機構28により、マスキングテープ7をウェハWの周縁部に所定の押圧力で押し付けている。この第1のローラー26および第2のローラー27による押圧力を、ウェハWが一回転する間、周期的に変動させてもよい。すなわち、第1のローラー26および第2のローラー27による押圧力に強弱をつけながら、第1のローラー26および第2のローラー27は、マスキングテープ7を、回転するウェハWの周縁部に押し付ける。第1のローラー26および第2のローラー27による押圧力は、例えば、エアシリンダなどから構成される移動機構28の空気圧を変動させることで変動させることができる。このように、第1のローラー26および第2のローラー27による押圧力を変動させることにより、ウェハWの周縁部に貼り付けられるマスキングテープ7のしわの発生が防止される。
【0043】
なお、テープ貼り付けユニット8は、
図3に示されるように、第1のローラー26および第2のローラー27と同一の構成を有する第3のローラー34および第4のローラー35を有していてもよい。第3のローラー34は第4のローラー35の上方に配置されており、ウェハWの周縁部は、これら第3のローラー34と第4のローラー35の間に位置している。第3のローラー34の下方に第4のローラー35が位置しているため、
図3では、第3のローラー34のみが示されている。
【0044】
第3のローラー34および第4のローラー35は、その軸心まわりに回転自在に構成されている。第3のローラー34および第4のローラー35のそれぞれの軸心は、ウェハWの表面と平行に延び、かつウェハWの半径方向に延びている。第3のローラー34と第4のローラー35とは、エアシリンダなどから構成される移動機構36に連結されている。この移動機構36を動作させると、第3のローラー34と第4のローラー35は、互い近接および離間する方向(すなわち、ウェハWの周縁部に近接および離間する方向)に移動する。第3のローラー34と第4のローラー35の移動方向は、ウェハWの表面と垂直な方向である。
【0045】
このような構成により、第3のローラー34と第4のローラー35とは、第1のローラー26と第2のローラー27とでウェハWの周縁部に貼り付けられたマスキングテープ7を、再度ウェハWの周縁部に押し付ける。したがって、第3のローラー34と第4のローラー35とにより、マスキングテープ7がウェハWの周縁部に確実に貼り付けられる。第3のローラー34と第4のローラー35とがマスキングテープ7をウェハWの周縁部に押し付ける押圧力が、第1のローラー26と第2のローラー27とがマスキングテープ7をウェハWの周縁部に押し付ける押圧力よりも大きくなるように、移動機構36を調整してもよい。第3のローラー34と第4のローラー35とがマスキングテープ7をウェハWの周縁部に押し付ける押圧力は、例えば、エアシリンダなどから構成される移動機構36の空気圧を調整することで調整することができる。
【0046】
マスキングテープ7の折り曲げられた部分の幅は、2mm〜3mmである。ウェハWの周縁部の上面に貼り付けられるマスキングテープ7の折り曲げられた部分の幅(以下、上側のテープ幅という)は、ウェハWの周縁部の下面に貼り付けられるマスキングテープ7の折り曲げられた部分の幅(以下、下側のテープ幅という)と同じでもよく、または異なってもよい。通常、ウェハWは、その上に形成されたデバイスが上を向いた状態で基板保持部1の基板ステージ2上に保持される。この場合、上側のテープ幅は下側のテープ幅よりも大きくてもよい。上側のテープ幅と下側のテープ幅との割合は、位置決めローラー22の上下方向の位置によって調整することができる。
【0047】
テープ貼り付け工程が終了した後、マスキングテープ7は、
図5(c)に示すように、テープカッター30により切断される。マスキングテープ7の切断が行われる前に、位置決めローラー22とサイドローラー23はウェハWから離間して、それらの後退位置に移動する。テープカッター30は、マスキングテープ7の終端がウェハWの周縁部からやや突出した状態で該マスキングテープ7を切断する。マスキングテープ7が切断された後で、第1のローラー26と第2のローラー27とで該マスキングテープ7を挟み込んでウェハWを回転させると、
図7に示されるように、ウェハWの周縁部から突出したマスキングテープ7の終端である終端突出部32が形成される。
【0048】
テープカッター30によりマスキングテープ7が切断される前に、テープ保持ヘッド20がマスキングテープ7に向かって移動し、マスキングテープ7がテープ保持ヘッド20によって保持される。したがって、切断後のマスキングテープ7の始端がテープ保持ヘッド20によって保持される。
【0049】
このようにしてマスキングテープ7が貼り付けられたウェハWは、基板保持部1から取り出され、めっき処理などのウエット処理および/またはドライエッチングなどのドライ処理などの各種処理がウェハWに対して行われる。ウェハWの処理が終了した後、ウェハWは再びテープ貼り付け装置に搬送され、基板保持部1の基板ステージ2に保持される。
【0050】
図3に示すように、テープ貼り付け装置は、マスキングテープ7を剥離させるテープ剥離ユニット40をさらに備えている。このテープ剥離ユニット40について
図8を用いて詳細に説明する。テープ剥離ユニット40は、マスキングテープ7の終端を把持してウェハWからマスキングテープ7を引き出すチャッキング機構43を備えている。このチャッキング機構43は、マスキングテープ7の終端突出部32を把持する一対のチャッキング部材(例えばチャッキング爪)41,41を有している。チャッキング機構43は、ウェハWに向かって前進およびウェハWから後退が出来るように構成されている。
【0051】
テープ剥離ユニット40は、マスキングテープ7をウェハWから剥がしながら、該ウェハWの回転速度と同期した速度でマスキングテープ7を送り出す一対のテープ送りローラー45,45と、これらテープ送りローラー45,45から送り出されたマスキングテープ7を巻き取る巻き取りローラー46と、をさらに有する。一対のテープ送りローラー45,45の一方は、モータ47に連結され、巻き取りローラー46は、モータ49に連結され、これらモータ47,49によってローラー45,46はそれぞれ所定の速度で回転される。
【0052】
テープ剥離ユニット40の動作は、次のように行われる。まず、
図8に示されるように、終端突出部32がチャッキング機構43の正面に位置するまでウェハWが基板保持部1によって回転させられる。チャッキング機構43はウェハWに向かって移動し、そのチャッキング部材41,41で終端突出部32を把持する。そして、
図9(a)に示されるように、チャッキング部材41,41で終端突出部32を把持した状態で、チャッキング機構43を後退させながら、ウェハWを回転させる。この際、ウェハWから剥離されたマスキングテープ7とウェハWの接線方向とがなす角度が90°となるように、チャッキング機構43の後退速度とウェハWの回転速度とが同期させられる。
【0053】
チャッキング機構43が後退を完了すると、
図9(b)に示されるように、テープ送りローラー45,45が互いに近づき、剥離したマスキングテープ7をその間に挟み込む。巻き取りローラー46は、マスキングテープ7の剥離された部分に当接するまで移動される。この状態で、テープ送りローラー45,45が回転し、剥離したマスキングテープ7を巻き取りローラー46に所定の速度で送り出す。同時に、マスキングテープ7に当接した巻き取りローラー46を回転させることにより、剥離したマスキングテープ7が巻き取りローラー46に巻き取られる。
【0054】
マスキングテープ7の巻き取りが開始されると同時に、チャッキング機構43が巻き取りローラー46に向かって移動する。ある程度マスキングテープ7が巻き取りローラー46に巻き取られると、チャッキング部材41,41は終端突出部32を解放し、これによって巻き取りローラー46がマスキングテープ7の巻き取りを継続することが許容される。テープ送りローラー45,45は、ウェハWから剥離されたマスキングテープ7とウェハWの接線方向とがなす角度が90°となるように、ウェハWの回転速度と同期した回転速度で回転する。
【0055】
マスキングテープ7の全体がウェハWの周縁部から剥離され、剥離されたマスキングテープ7が全て巻き取りローラー46に巻き取られるまで、巻き取りローラー46、およびテープ送りローラー45,45は回転し続ける。
図9(b)には図示していないが、テープ送りローラー45,45および巻き取りローラー46は、モータ47,49によってそれぞれ回転される。マスキングテープ7の巻き取りが完了すると、巻き取りローラー46は後退し、テープ送りローラー45,45は互いに離間する方向に移動する。
【0056】
次に、マスキングテープ7を用いてウェハWを処理するプロセスを、
図10を用いて説明する。
図10は、マスキングテープ7を用いたウェハWのプロセスフローの一例を示す図である。まず、表面にデバイスが形成されたウェハWが用意される(ステップ1)。このウェハWの裏面全面に保護膜50が貼り付けられる(ステップ2)。保護膜50が貼り付けられたウェハWはテープ貼り付け装置に搬送される。ウェハWは、その上に形成されたデバイスが上を向いた状態で基板保持部1の基板ステージ2上に保持される。そして、このウェハWの周縁部の全体に、上述したようにテープ貼り付けユニット8によりマスキングテープ7が貼り付けられる(ステップ3)。マスキングテープ7は、保護膜50の外周部およびウェハWの周縁部全体を覆い、ウェハWの周縁部を保護する。
【0057】
次に、マスキングテープ7が貼り付けられたウェハWにウェットプロセスが施される(ステップ4)。ウェットプロセスは、例えばめっきプロセスであり、マスキングテープ7で周縁部が保護されたウェハWがめっき液に浸漬される。マスキングテープ7は、ウェハWの周縁部および保護膜50の外周部を覆っているので、保護膜50の外周部がウェハWから剥がれることを防止することができる。したがって、めっき液がウェハWの裏面に接触することがない。
【0058】
ウェットプロセスが完了した後、ウェハWは、再度テープ貼り付け装置に搬送される。テープ貼り付け装置では、テープ剥離ユニット40を用いて、マスキングテープ7が剥離される(ステップ5)。このようにして、一連のウェハ処理が完了する。
【0059】
上述したウェットプロセスの例として、めっきプロセス以外に、ウェットエッチングプロセスが挙げられる。この場合は、エッチング液がウェハWの裏面に接触することが防止される。さらに、図示した例とは相違するが、ドライエッチングプロセスを、マスキングテープ7が貼り付けられたウェハWに適用してもよい。ドライエッチングプロセスでは、ウェハWの裏面を保護する保護膜50は存在しないが、ウェハWの周縁部はマスキングテープ7で保護されているので、該ウェハWの周縁部にブラックシリコンの発生が防止される。
【0060】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。