【解決手段】この集電体用クラッド材1(電池集電体用クラッド材)は、表面1aに配置され、Al基合金から構成されるAl層11と、表面1bに配置され、Cu基合金から構成されるCu層12とが圧延により接合された、2層構造を有するクラッド材からなる。また、Al層11とCu層12との合計の厚み(t1)に対するAl層11の厚みt2の比率は、35%以下である。
一方表面に配置され、Al基合金から構成される第1層と、他方表面に配置され、Cu基合金から構成される第2層とが圧延により接合された、2層構造を有するクラッド材からなり、
前記第1層と前記第2層との合計の厚みに対する前記第1層の厚みの比率は、35%以下である、電池集電体用クラッド材。
一方表面に配置され、Al基合金から構成される第1層と、他方表面に配置され、Cu基合金から構成される第2層と、前記第1層と前記第2層との間に配置され、150GPa以上のヤング率を有する芯材層とが圧延により接合されたクラッド材からなり、
前記第1層と前記第2層との合計の厚みに対する前記第1層の厚みの比率は、60%以下である、電池集電体用クラッド材。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
(第1実施形態)
まず、
図1および
図2を参照して、本発明の第1実施形態による集電体用クラッド材1の構成について説明する。なお、集電体用クラッド材1は、本発明の「電池集電体用クラッド材」の一例である。
【0023】
図1に示すように、本発明の第1実施形態による集電体用クラッド材1は、二次電池101(
図2参照)の集電体としての機能を有している。具体的には、集電体用クラッド材1は、厚み方向(Z方向)の一方側(Z1側)の表面1a上に正極活物質層2が形成されるとともに、他方側(Z2側)の表面1b上に負極活物質層3が形成されるように構成されている。そして、集電体用クラッド材1は、正極活物質層2または負極活物質層3のいずれか一方から発生した電気を他方に流すように構成されている。つまり、この集電体用クラッド材1は、正極活物質層2および負極活物質層3が形成された状態で、バイポーラ型電極100として機能するように構成されている。なお、表面1aおよび1bは、それぞれ、本発明の「一方表面」および「他方表面」の一例である。また、バイポーラ型電極100は、本発明の「電極」の一例である。
【0024】
このバイポーラ型電極100は、
図2に示すような二次電池101の中間電極として用いられるように構成されている。具体的には、二次電池101では、複数のバイポーラ型電極100は、ポリマー、酸化物または硫化物から構成された固体電解質104を介して厚み方向に積層されている。この際、バイポーラ型電極100同士は、固体電解質104を介して、互いに異なる極が厚み方向に対向するように配置されている。そして、最外層に配置された電極105および106から放電時に外部に電気(電力)が取り出されるとともに、充電時に外部から電気(電力)が供給されるように構成されている。これにより、バスバーを用いて電極同士を接続する必要がないので、複数の電池セルをバスバーを介して接続する場合と比べて、電気的損失を小さくすることが可能である。
【0025】
集電体用クラッド材1は、
図1に示すように、約100μm以下の厚みt1を有する箔状の部材である。なお、集電体用クラッド材1の厚みt1は、バイポーラ型電極100の厚みおよびそれを用いた二次電池101の厚みを小さくすることができるため、約50μm以下である方がより好ましい。集電体用クラッド材1の厚みt1が小さい場合には反りが生じやすくなるため、より本発明の効果(反りの発生を抑制する効果)が大きくなる。
【0026】
また、集電体用クラッド材1は、Al基合金から構成されるAl層11と、Cu基合金から構成されるCu層12とが厚み方向に積層された状態で圧延されることによって互いに接合されている。つまり、集電体用クラッド材1は、2層構造のクラッド材からなる。なお、Al層11は、厚み方向の一方側(Z1側、正極活物質層2側)の表面1a側に配置されているとともに、Cu層12は、厚み方向の他方側(Z2側、負極活物質層3側)の表面1b側に配置されている。また、Al層11およびCu層12は、それぞれ、本発明の「第1層」および「第2層」の一例である。
【0027】
また、Al層11を構成するAl基合金としては、A1050などの約99質量%以上のAlを含む純Alや、A3003などのAl−Mn合金、A5052などのAl−Mg合金、A6061などのAl−Mg−Si合金などを用いることが可能である。また、Cu層12を構成するCu基合金としては、C1020(無酸素銅)などの約99質量%以上のCuを含む純Cuや、C1940などのCu−Fe合金、Cu−Zr合金などを用いることが可能である。
【0028】
また、Al層11を構成するAl基合金は、Cu層12を構成するCu基合金と比べて、耐力が小さく塑性変形しやすい。また、Al基合金は、Cu基合金と比べて電気抵抗が大きい。具体的には、Al基合金の一例としてのA1050の20℃の電気抵抗率は、約28nΩ・mであり、Cu基合金の一例としてのC1020の20℃の電気抵抗率は、約17nΩ・mである。さらに、Al基合金は、Cu基合金と比べて熱膨張係数が大きい。具体的には、Al基合金の一例としてのA1050の熱膨張係数は、約23×10
−6/Kであり、Cu基合金の一例としてのC1020の熱膨張係数は、約17×10
−6/Kである。
【0029】
ここで、第1実施形態では、Al層11の厚みt2とCu層12の厚みt3との合計の厚み(集電体用クラッド材1の厚みt1)に対するAl層11の厚みt2の比率が、35%以下になるように形成されている。これにより、後述するように集電体用クラッド材1に反りが生じるのを抑制することが可能である。また、電気抵抗の小さなCu基合金から構成されるCu層12の厚みt3を大きくすることができるので、集電体用クラッド材1の電気抵抗を小さくすることも可能である。なお、Al層11の厚みt2の比率は、約25%以下であるのがより好ましい。
【0030】
次に、
図1を参照して、第1実施形態における集電体用クラッド材1の製造プロセスについて説明する。
【0031】
まず、Al基合金から構成される長尺のAl板材(図示せず)と、Cu基合金から構成される長尺のCu板材(図示せず)とを準備する。なお、Al板材およびCu板材は、共に焼鈍されている。この際、圧延後において、Al層11の厚みt2とCu層12の厚みt3との合計の厚み(集電体用クラッド材1の厚みt1)に対するAl層11の厚みt2(
図1参照)の比率が、35%以下になるように、Al板材の厚みとCu板材の厚みとを調整する。
【0032】
そして、長尺のAl板材とCu板材とを厚み方向(Z方向)に積層した状態で、Al板材およびCu板材の延びる方向に沿って所定の圧下率で圧延を行う。その後、圧延材を約500℃で拡散焼鈍する。これにより、Al板材とCu板材との界面に原子拡散や化合物形成などにより強固な接合が形成されて、Al層およびCu層が接合されたクラッド材が形成される。そして、クラッド材を約100μm以下の厚みt1になるように冷間圧延する。これにより、
図1に示すように、Al層11とCu層12とが接合された、厚みt1を有する長尺の集電体用クラッド材1が製造される。なお、この冷間圧延の際に、塑性変形による残留応力がAl層11およびCu層12に発生する。
【0033】
ここで、圧延時において、Al基合金はCu基合金よりも塑性変形しやすいため、Al層11はCu層12よりも延ばされる。しかしながら、第1実施形態の集電体用クラッド材1では、圧延後のAl層11の厚み比率が35%以下であることによって、圧延時においてAl基合金に起因する反りの影響が小さくなる。これにより、幅方向(X方向)および長手方向(Y方向)の両方において、集電体用クラッド材1のAl層11側(Z1側)が凸になるように反るのが抑制される。
【0034】
次に、
図1および
図2を参照して、第1実施形態における二次電池101の製造プロセスについて説明する。
【0035】
まず、長尺の集電体用クラッド材1のAl層11側(Z1側、
図1参照)の表面1a上に、正極活物質、バインダーおよび溶媒が混合されたスラリーを塗布する。ここで、スラリー塗布時に、長尺の集電体用クラッド材1には長手方向(Y方向)に張力が加えられるため、長手方向の反りがある程度矯正される。したがって、このように長尺の集電体用クラッド材1にスラリーを塗布する場合においては、集電体用クラッド材1の幅方向(X方向)の反りの影響は長手方向の反りの影響よりも大きくなるので、特に、スラリー塗布時に影響の大きい幅方向の反りを十分に小さくするのがよい。一方で、予め切断した集電体用クラッド材1にスラリーを塗布する場合においては、集電体用クラッド材1の幅方向の反りの影響だけでなく、長手方向の反りの影響も大きくなると考えられるので、幅方向および長手方向の双方の反りを十分に小さくする必要がある。なお、第1実施形態の集電体用クラッド材1では、幅方向および長手方向の双方の反りの発生が抑制されているので、集電体用クラッド材1の表面1a上に均一にスラリーを塗布することが可能である。
【0036】
その後、所定の温度(約150℃)で熱処理を行うことによって、スラリーを乾燥させる。この熱処理時に、Al層11を構成するAl基合金が焼鈍されることによって、冷間圧延時に生じた残留応力が除去される。この結果、集電体用クラッド材1のAl層11側が凸の反りが小さくなる。
【0037】
そして、熱処理後、集電体用クラッド材1を室温まで冷却する。これにより、
図1に示すように、表面1a上に正極活物質層2が形成される。この冷却時に、Al基合金とCu基合金との熱収縮の差に起因して、Al層11がCu層12よりも収縮する。しかしながら、Al層11の厚み比率が35%以下であることによって、熱処理後の冷却時においてAl基合金の大きな熱収縮に起因する反りの影響が小さくなる。これにより、集電体用クラッド材1のAl層11側(Z1側)が凹になるように反るのが抑制される。
【0038】
また、正極活物質層2と同様に、Cu層12側(Z2側)の表面1b上に、負極活物質、バインダーおよび溶媒が混合されたスラリーを塗布して熱処理および冷却を行うことによって、表面1b上に負極活物質層3が形成される。なお、正極活物質層2および負極活物質層3を、集電体用クラッド材1の異なる表面1aおよび1bに同時に形成してもよい。これにより、長尺のバイポーラ型電極100が製造される。その後、長尺のバイポーラ型電極100を所定の大きさに切断する。なお、長尺のバイポーラ型電極100(集電体用クラッド材1)の切断は、集電体用クラッド材1にスラリーを塗布する前に行ってもよい。
【0039】
最後に、複数のバイポーラ型電極100とポリマー、酸化物または硫化物から構成された固体電解質104とを交互に積層させるとともに、Z1側の最外層に電極105を配置し、Z2側の最外層の電極106を配置する。これにより、
図2に示す二次電池101が製造される。
【0040】
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0041】
第1実施形態では、上記のように、圧延により接合された2層構造を有する集電体用クラッド材1において、Al基合金から構成されるAl層11とCu基合金から構成されるCu層12との合計の厚み(t1)に対するAl層11の厚みt2の比率を、35%以下にする。これにより、塑性変形しやすいAl基合金からなるAl層11の厚みt2の比率が35%以下で小さいので、圧延時においてAl基合金に起因する反りの影響を小さくすることができる。この結果、集電体用クラッド材1のAl層11側(Z1側)が凸になるように大きく反るのを抑制することができる。また、熱処理後の冷却時においてもAl基合金の大きな熱収縮に起因する反りの影響を小さくすることができるので、集電体用クラッド材1のAl層11側が凹になるように大きく反るのを抑制することができる。これらの結果、集電体用クラッド材1に大きな反りが生じるのを抑制することができる。
【0042】
また、第1実施形態では、集電体用クラッド材1の表面1aに柔軟なAl基合金から構成されるAl層11を配置し、表面1bに柔軟なCu基合金から構成されるCu層12を配置する。これにより、表面1a上に正極活物質が配置される際に、従来のステンレスよりも柔軟なAl基合金によって表面1aに正極活物質を十分に密着させることができるので、正極活物質と集電体用クラッド材1との接触面積を大きくすることができる。また、表面1b上に負極活物質が配置される際に、従来のステンレスよりも柔軟なCu基合金によって表面1bに負極活物質を十分に密着させることができるので、負極活物質と集電体用クラッド材1との接触面積を大きくすることができる。この結果、集電体用クラッド材がSUSなどの硬質な金属材料からなる場合と比べて、集電体用クラッド材1と活物質(正極活物質および負極活物質)との接触抵抗が大きくなるのを抑制することができる。
【0043】
また、第1実施形態では、厚みt1が約100μm以下であり、反りが生じやすい集電体用クラッド材1において、Al層11の厚みt2の比率を35%以下にすることによって、集電体用クラッド材1に大きな反りが生じるのを抑制することができる。
【0044】
また、第1実施形態では、表面1a上に正極活物質層2が配置され、表面1b上に負極活物質層3が配置されるように集電体用クラッド材1を構成することによって、集電体用クラッド材1を、正極活物質層2および負極活物質層3がそれぞれ異なる表面1aおよび1b上に形成された、バイポーラ型電極100を形成することができる。また、正極活物質層2および負極活物質層3の形成時における熱処理後の冷却時において、集電体用クラッド材1(バイポーラ型電極100)に大きな反りが生じるのを抑制することができる。
【0045】
(第1実施例)
次に、
図1および
図3〜
図5を参照して、本発明の効果を確認するために行った第1実施例を説明する。
【0046】
第1実施例では、Al層とCu層との厚み比率を異ならせた2層構造を有する集電体用クラッド材を複数作製した。そして、圧延後における、集電体用クラッド材の幅方向の反りと長手方向の反りとを測定した。また、集電体用クラッド材を熱処理して冷却した後(熱処理後)における、集電体用クラッド材の幅方向の反りを測定した。
【0047】
ここで、第1実施例の実施例1の集電体用クラッド材1(
図1参照)を、上記第1実施形態における製造プロセスに沿って作製した。具体的には、まず、A1050(純Al)から構成される長尺のAl板材と、C1020(純Cu)から構成される長尺のCu板材とを準備した。なお、Al板材およびCu板材は、共に焼鈍されている。この際、Al板材の厚みとCu板材の厚みとの合計の厚みに対するAl板材の厚みの比率が20%になるように、Al板材の厚みとCu板材の厚みとを調整した。
【0048】
そして、長尺のAl板材とCu板材とを厚み方向(Z方向)に積層した状態で、Al板材およびCu板材の延びる方向に沿って50%の圧下率で圧延を行った。その後、圧延材を500℃で拡散焼鈍した。そして、クラッド材を50μmの厚みt1になるように冷間圧延することによって、長尺の集電体用クラッド材1を作製した。最後に、長尺の集電体用クラッド材1を、幅方向(X方向)に40mmの幅W(
図4参照)で、長手方向(Y方向)に100mmの長さL(
図4参照)の矩形状に切断した。
【0049】
これにより、Al層11の厚みt2とCu層12の厚みt3との合計の厚み(集電体用クラッド材1の厚みt1)に対するAl層11の厚みt2の比率が20%である、実施例1の集電体用クラッド材1を作製した。
【0050】
また、Al層11の厚みt2の比率が30%である点以外は、実施例1と同様にして、実施例2の集電体用クラッド材1を作製した。また、Al層11の厚みt2の比率が40%である点以外は、実施例1と同様にして、比較例1の集電体用クラッド材を作製した。また、Al層11の厚みt2の比率が50%である点以外は、実施例1と同様にして、比較例2の集電体用クラッド材を作製した。
【0051】
そして、実施例1、2、比較例1および2の集電体用クラッド材において、圧延後における幅方向(X方向)の反りと、長手方向(Y方向)の反りとを測定した。
【0052】
具体的には、幅方向の反り測定においては、
図3に示すように、矩形状の集電体用クラッド材を、平面の基準となる水平な定盤7上に配置した。そして、長手方向の反りが矯正されるように、矩形状の集電体用クラッド材の4隅を図示しない冶具を用いて固定(白抜き矢印)した。また、固定は、できる限りピンポイントに近い状態になるように行った。その状態で、一般的なレーザ変位計を用いてレーザ光を幅方向に走査させることによって、幅方向に沿った厚み方向(Z方向)の変位を測定した。そして、長手方向(Y方向)に延びる端辺1cの長手方向の反りを矯正して変位量を0(ゼロ)とした際の最大の変位量を幅方向の反りとして求めた。
【0053】
また、長手方向の反り測定においては、
図4に示すように、矩形状の集電体用クラッド材を定盤7上に配置した。そして、冶具による固定を行わない状態で、レーザ光を長手方向に走査させることによって、長手方向に沿った厚み方向の変位を測定した。そして、最大の変位量を長手方向の反りとして求めた。
【0054】
また、実施例1、2、比較例1および2の集電体用クラッド材を、150℃の温度環境下の乾燥器内に30分保持することによって、熱処理を行った。そして、集電体用クラッド材を室温まで冷却した後に、上記圧延後の幅方向の測定と同様にして、熱処理後における幅方向の反りを測定した。
【0055】
なお、反りについては、Al層11側(Z1側、
図1参照)が凸になるように反る場合には、正(+)とし、Al層11側が凹になるように反る場合には、負(−)として
図5に記載した。つまり、正負に拘わらず、反りが0に近い場合(絶対値が小さい場合)には集電体用クラッド材の反りが小さくなり、反りが0から遠ざかる(絶対値が大きくなる)につれて、集電体用クラッド材の反りが大きくなる。
【0056】
図5に示す第1実施例の結果としては、実施例1および2の集電体用クラッド材1のいずれにおいても、比較例1および2の集電体用クラッド材よりも反りが小さくなった。具体的には、圧延後において、実施例1および2の集電体用クラッド材1の幅方向(X方向)の反りおよび長手方向(Y方向)の反りは、共にAl層11側が凸で、それぞれ、1.2mm以下および7.0mm以下になった。一方、圧延後において、比較例1および2の集電体用クラッド材の幅方向の反りは、Al層11側が凸で、1.2mmより大きくなるとともに、長手方向の反りは、Al層11側が凸で、7.0mmより大きくなった。これにより、圧延後において、実施例1および2の集電体用クラッド材1では、反りの発生を十分に抑制することができることが確認できた。なお、これは、塑性変形しやすいA1050(Al基合金)からなるAl層11の厚みt2がCu層12の厚みt3よりも十分に小さいので、圧延時においてA1050に起因する反りの影響を小さくすることができたからであると考えられる。
【0057】
また、熱処理後においても、実施例1および2の集電体用クラッド材1の幅方向の反りは、Al層11側が凹で、1.4mm以下になった。一方、熱処理後において、比較例1および2の集電体用クラッド材の幅方向の反りは、Al層11側が凹で、1.4mmより大きくなった。これにより、熱処理後においても、実施例1および2の集電体用クラッド材1では、反りの発生を十分に抑制することができることが確認できた。なお、これは、熱処理時に、Al層11を構成するA1050が焼鈍されることによって、冷間圧延時に生じた残留応力が除去される。その残留応力が除去されて集電体用クラッド材1のAl層11側における凸の反りが低減された状態で室温まで冷却されることにより、熱収縮量が大きなAl層11が大きく収縮する。しかしながら、塑性変形しやすいA1050からなるAl層11の厚みt2がCu層12の厚みt3よりも十分に小さいことにより、Al層11側に凹の反りが生じるのを抑制することができたと考えられる。
【0058】
これらの結果、実施例1および2のようにAl層11の厚みt2とCu層12の厚みt3との合計の厚み(集電体用クラッド材1の厚みt1)に対するAl層11の厚みt2の比率を35%以下にすることによって、比較例1および2のようにAl層11の厚みt2の比率が35%より大きい場合と比べて、反りを十分に抑制することが可能であることが確認できた。また、反りを効果的に抑制するためには、実施例1のように、Al層11の厚みt2の比率を25%以下(20%)にするのがよりよいことも確認できた。
【0059】
また、幅方向の反りは、実施例2において比較例1よりも約31%(=(0.4/1.3)×100)に小さくなったとともに、長手方向の反りは、約27%(=(1.9/7.1)×100)に小さくなった。したがって、特に、実施例1および2の集電体用クラッド材1では、比較例1および2の集電体用クラッド材よりも、圧延後における幅方向の反りおよび長手方向の反りを顕著に抑制することができることが確認できた。
【0060】
また、Al層11の厚みt2の比率を小さくするに従い、圧延後および熱処理後における反りが小さくなることが判明した。これにより、Al層11の厚みt2は可能な限り小さい方が好ましいと考えられる。一方、製造工程においてAl層11に破れが発生する程度までAl層11の厚みを小さくする(たとえば、約1μm以下にする)のは、製造上好ましくないと考えられる。
【0061】
なお、第1実施例では、Al層11を構成するAl基合金としてA1050を用い、Cu層12を構成するCu基合金としてC1020を用いたものの、Al基合金としてAl−Mn合金、Al−Mg合金およびAl−Mg−Si合金などのAl合金を用いた場合や、Cu基合金としてCu−Fe合金およびCu−Zr合金などのCu合金を用いた場合にも、Al層11の厚みt2の比率を35%以下にすることによって、実施例1および2と同様に、集電体用クラッド材の反りを抑制することが可能であると考えられる。
【0062】
(第2実施形態)
次に、
図6を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、第1実施形態とは異なり、Al層211とCu層212との間に、ヤング率が150GPa以上の芯材層213を設けた例について説明する。なお、Al層211およびCu層212は、それぞれ、本発明の「第1層」および「第2層」の一例である。
【0063】
第2実施形態における集電体用クラッド材201は、
図6に示すように、正極活物質層2および負極活物質層3が形成された状態で、バイポーラ型電極200として機能するように構成されている。また、集電体用クラッド材201は、約100μm以下の厚みt1aを有する箔状の部材である。なお、集電体用クラッド材201は、本発明の「電池集電体用クラッド材」の一例であり、バイポーラ型電極200は、本発明の「電極」の一例である。
【0064】
ここで、第2実施形態では、集電体用クラッド材201は、Al基合金から構成されるAl層211と、Cu基合金から構成されるCu層212と、Al層211とCu層212との間に配置された芯材層213とが厚み方向(Z方向)に接合された状態で圧延されることによって互いに接合されている。つまり、集電体用クラッド材201は、3層構造のクラッド材からなる。なお、Al層211はZ1側の表面1a側に露出しているとともに、Cu層212はZ2側の表面1b側に露出している。
【0065】
また、芯材層213は、ヤング率が150GPa以上のNi基合金またはFe基合金から構成されており、Al層211を構成するAl基合金およびCu層212を構成するCu基合金と比べて、ヤング率が高い。また、芯材層213を構成するNi基合金またはFe基合金は、Al層211を構成するAl基合金およびCu層212を構成するCu基合金と比べて、耐力が大きい。つまり、芯材層213は、Al層211およびCu層212よりも耐力とヤング率とが共に大きいため、塑性変形も弾性変形もしにくい。
【0066】
なお、Ni基合金としては、NW2200(常炭素ニッケル、JISH4551参照)などの約99質量%以上のNiを含む純Ni、および、約3質量%以上約7質量%のNbと、Niと不可避的不純物元素とから構成されたNi−Nb合金などのNi合金を用いることが可能である。また、Fe基合金としては、約99質量%以上のFeを含む低炭素鋼(純Fe)や、SUS340などのステンレスを用いることが可能である。なお、芯材層213は、ヤング率が約150GPa以上の金属材料であればよい。また、Ni基合金の一例としてのNW2200のヤング率は、約195GPaである。
【0067】
また、Ni基合金は、Al基合金およびCu基合金と比べて熱膨張係数が小さい。具体的には、Ni基合金の一例としてのNW2200の熱膨張係数は、約13×10
−6/Kである。
【0068】
また、第2実施形態では、Al層211の厚みt2aとCu層212の厚みt3aとの合計の厚み(=t2a+t3a)に対するAl層11の厚みt2aの比率が、60%以下になるように形成されている。なお、Al層11の厚みt2aの比率は、約50%以下であるのがより好ましい。
【0069】
また、芯材204の厚みt4は、集電体用クラッド材201の厚みt1a(=t2a+t3a+t4)の約30%以上約80%以下になるように構成されている。なお、第2実施形態のその他の構成は、上記1実施形態と同様である。
【0070】
次に、
図6を参照して、第2実施形態における集電体用クラッド材201の製造プロセスについて説明する。
【0071】
まず、Al基合金から構成される長尺のAl板材(図示せず)と、Cu基合金から構成される長尺のCu板材(図示せず)と、ヤング率が150GPa以上のNi基合金またはFe基合金から構成される長尺板状の芯材(図示せず)とを準備する。なお、Al板材、Cu板材および芯材は、共に焼鈍されている。この際、圧延後において、Al層211の厚みt2aとCu層212の厚みt3aとの合計の厚み(=t2a+t3a)に対するAl層11の厚みt2aの比率が、60%以下になるとともに、芯材204の厚みt4が、集電体用クラッド材201の厚みt1a(=t2a+t3a+t4)の約30%以上約80%以下になる(
図6参照)ように、各々の板材の厚みを調整する。
【0072】
そして、長尺のAl板材と芯材とCu板材とを厚み方向(Z方向)に積層した状態で、Al板材、芯材およびCu板材の延びる方向に沿って所定の圧下率で圧延を行う。そして、圧延材を所定の温度で拡散焼鈍する。これにより、Al層、芯材層およびCu層が接合されたクラッド材が形成される。その後、クラッド材を約100μm以下の厚みt1aになるように冷間圧延する。これにより、
図6に示すように、Al層211と芯材層213とCu層212とが厚み方向(Z方向)にこの順で接合された、厚みt1aを有する集電体用クラッド材201が製造される。ここで、圧延時において、ヤング率が高く、集電体用クラッド材201の剛性の向上に寄与する芯材層213により、圧延時においてAl基合金に起因する反りの影響が小さくなる。これにより、集電体用クラッド材201のAl層211側(Z1側)が凸になるように反るのが抑制される。
【0073】
なお、第2実施形態における電池の製造プロセスは、上記第1実施形態と同様である。つまり、熱処理において冷間圧延時に生じたAl基合金の残留応力が除去されることにより、集電体用クラッド材201のAl層211側における凸の反りが小さくなる。そして、熱処理後の冷却時に、ヤング率が高く、かつ、熱膨張係数も小さな芯材層213により、Al層211が収縮するのが抑制されることによって、集電体用クラッド材201のAl層211側が凹になるように反るのが抑制される。
【0074】
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0075】
第2実施形態では、上記のように、集電体用クラッド材201のAl層211とCu層212との間に、150GPa以上のヤング率を有する芯材層213を配置する。これにより、塑性変形しやすいAl基合金からなるAl層211の厚み比率が60%以下で比較的大きい場合であっても、ヤング率が高く、集電体用クラッド材201の剛性の向上に寄与する芯材層213により、圧延時においてAl基合金に起因する反りの影響を小さくすることができる。この結果、集電体用クラッド材201のAl層211側(Z1側)が凸になるように大きく反るのを抑制することができる。また、熱処理後の冷却時においても、ヤング率が高く、集電体用クラッド材201の剛性の向上に寄与する芯材層213により、Al基合金の大きな熱収縮に起因する反りの影響を小さくすることができるので、集電体用クラッド材201のAl層211側が凹になるように大きく反るのを抑制することができる。これらの結果、集電体用クラッド材201に大きな反りが生じるのを抑制することができる。
【0076】
また、第2実施形態では、集電体用クラッド材201の表面1aに従来のステンレスよりも柔軟なAl基合金から構成されるAl層211を配置し、表面1bに従来のステンレスよりも柔軟なCu基合金から構成されるCu層212を配置することによって、上記第1実施形態と同様に、集電体用クラッド材201と活物質(正極活物質および負極活物質)との接触抵抗が大きくなるのを抑制することができる。さらに、柔軟なAl層211およびCu層212を設けることによって、集電体用材が硬質なステンレス単板のみからなる場合と比べて、圧延加工性が低下するのを抑制することができる。これにより、効率的に集電体用クラッド材201を製造することができるとともに、圧延加工によるコストを低減することができる。
【0077】
また、第2実施形態では、集電体用クラッド材201のAl層211とCu層212との間に、ヤング率が高く、集電体用クラッド材201の剛性の向上に寄与する芯材層213を配置することによって、二次電池に使用される場合に、充放電による活物質の膨張収縮が繰り返されることに起因して集電体用クラッド材201にしわなどの変形が生じるのを抑制することができる。これにより、変形した集電体用クラッド材201の表面1aおよび1bから活物質(正極活物質および負極活物質)が脱落することに起因して集電体用クラッド材201と活物質との接触抵抗が大きくなるのを抑制することができる。この結果、集電体用クラッド材201を、充放電による膨張収縮が大きなSi系の活物質などに対してより好適に用いることができる。
【0078】
また、第2実施形態では、芯材層213をNi基合金またはFe基合金から構成することによって、NiおよびFeのイオン化傾向は共にAlとCuとの間であるため、芯材層213を主に構成する金属元素(NiまたはFe)とAl層211を主に構成するAlとのイオン化傾向の差と、芯材層213を主に構成する金属元素とCu層212を主に構成するCuとのイオン化傾向の差とを共に小さくすることができる。これにより、Ni基合金またはFe基合金からなる芯材層213と、Al基合金から構成されるAl層211との間で腐食が生じるのを抑制することができるとともに、芯材層213とCu基合金から構成されるCu層212との間で腐食が生じるのを抑制することができる。また、芯材層213としてNi基合金またはFe基合金を用いることによって、ヤング率が150GPa以上で、かつ、安価な芯材層213を容易に得ることができる。
【0079】
また、第2実施形態では、芯材層213を、純NiまたはNbを含有するNi−Nb合金であるNi基合金から構成すれば、純NiまたはNbを含有するNi−Nb合金はヤング率が高いので、集電体用クラッド材201の剛性の向上に十分に寄与することができる。したがって、集電体用クラッド材201に大きな反りが生じるのをより一層抑制することができる。
【0080】
また、第2実施形態では、芯材層213の厚みt4を、集電体用クラッド材201の厚みt1aの約30%以上にすることによって、芯材層213の厚みt4を十分に確保して、集電体用クラッド材201に大きな反りが生じるのを確実に抑制することができる。また、芯材層213の厚みt4を、集電体用クラッド材201の厚みt1aの約80%以下にすることによって、ヤング率が高い芯材層213の厚みt4が過度に大きくなるのを抑制することができるとともに、Al層211の厚みt2aおよびCu層212の厚みt3aが小さくなるのを抑制することができる。これにより、厚みt4が大きな芯材層213を圧延するために要する圧力が大きくなることに起因して厚みの小さいAl層211およびCu層212に破れが生じるのを抑制することができる。これにより、効率的に集電体用クラッド材201を製造することができる。
【0081】
また、第2実施形態では、厚みt1aが約100μm以下であり一般的に反りが生じやすく、かつ、Al層211の厚みt2aの比率が60%以下の集電体用クラッド材201において、150GPa以上のヤング率を有する芯材層213を設けることによって、集電体用クラッド材201に大きな反りが生じるのを抑制することができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0082】
(第2実施例)
次に、
図4および
図6〜
図7を参照して、本発明の効果を確認するために行った第2実施例を説明する。
【0083】
第2実施例では、Al層211と芯材層213とCu層212との3層構造を有する実施例11の集電体用クラッド材201を作製した。そして、上記第1実施例と同様に、圧延時における、集電体用クラッド材201の幅方向の反りと長手方向の反りとを測定するとともに、熱処理後における、集電体用クラッド材201の幅方向の反りを測定した。
【0084】
ここで、第2実施例の実施例11の集電体用クラッド材201を、上記第2実施形態における製造プロセスに沿って作製した。具体的には、まず、A1050(純Al)から構成される長尺のAl板材と、C1020(純Cu)から構成される長尺のCu板材と、NW2200(純Ni)から構成される長尺板状の芯材とを準備した。なお、Al板材、Cu板材および芯材は、共に焼鈍されている。この際、Al板材の厚みとCu板材の厚みとの合計の厚みに対するAl板材の厚みの比率が50%になるとともに、Al板材の厚みとCu板材の厚みと芯材の厚みとの合計に対する芯材の厚みが33%になるように各々の板材の厚みを調整した。
【0085】
そして、長尺のAl板材と芯材とCu板材とを厚み方向(Z方向)に積層した状態で、上記第1実施例と同様に圧延および拡散焼鈍を行った。そして、クラッド材を50μmの厚みt1aになるように冷間圧延することによって、長尺の集電体用クラッド材201を作製した。最後に、長尺の集電体用クラッド材201を、幅方向(X方向)に40mmの幅Wで、長手方向(Y方向)に100mmの長さLの矩形状(
図4参照)に切断した。これにより、Al層211の厚みt2aとCu層212の厚みt3aとの合計の厚み(=t2a+t3a)に対するAl層211の厚みt2aの比率が50%であるとともに、Al層211の厚みt2aとCu層212の厚みt3aと芯材層213の厚みt4との合計(=t1a)に対する芯材層213の厚みt4が33%である実施例11の集電体用クラッド材201を作製した。
【0086】
そして、実施例11の集電体用クラッド材201において、上記第1実施例と同様に、圧延後における幅方向(X方向)の反りと、長手方向(Y方向)の反りとを測定するとともに、熱処理後における幅方向の反りを測定した。なお、反りについては、上記第1実施例と同様に、Al層211(
図6参照)側が凸になるように反る場合には、正(+)とし、Al層211側が凹になるように反る場合には、負(−)として
図7に記載した。
【0087】
図7に示す第2実施例の結果としては、圧延後において、実施例11の集電体用クラッド材201の幅方向(X方向)の反りおよび長手方向(Y方向)の反りは、共にAl層211側が凸で、それぞれ、1.2mm以下および7.0mm以下になった。これにより、圧延後において、実施例11の集電体用クラッド材201では、反りの発生を十分に抑制することができることが確認できた。なお、これは、塑性変形しやすいA1050(Al基合金)からなるAl層211の厚みt2aの比率が50%で比較的大きいものの、ヤング率が195GPaで高いNW2200から構成される芯材層213により、圧延時においてA1050に起因する反りの影響を小さくすることができたからであると考えられる。
【0088】
また、熱処理後においても、実施例11の集電体用クラッド材201の幅方向の反りは、Al層211側が凹で、1.4mm以下になった。これにより、熱処理後においても、実施例11の集電体用クラッド材201では、反りの発生を十分に抑制することができることが確認できた。なお、これは、熱収縮量が大きなAl層211が大きく収縮するのを、ヤング率が高く、集電体用クラッド材201の剛性の向上に寄与する芯材層213により抑制することができたからであると考えられる。
【0089】
これらの結果、実施例11のように、Al層211の厚みt2aとCu層212の厚みt3aとの合計の厚みに対するAl層211の厚みt2aの比率を60%以下にした場合であっても、150GPa以上のヤング率を有する芯材層213を設けることによって、反りを十分に抑制することが可能であることが確認できた。
【0090】
さらに、Al層の厚みの比率が共に50%である、
図5の比較例2と
図7の実施例11とを比較しても、圧延後および熱処理後のいずれにおいても、芯材層213が設けられた実施例11において、反りの発生がより抑制されることが確認された。また、特に、圧延後における長手方向の反りは、約5%(=(0.5/10.1)×100)に顕著に小さくなることが判明した。
【0091】
なお、第2実施例の実施例11では、芯材層213を構成する金属材料としてNW2200を用いたものの、ヤング率が150GPa以上であるNi−Nb合金などのNi合金や、純Fe、ステンレスなどのFe合金などを芯材層213として用いた場合にも、Al層211の厚み比率が60%以下であれば、実施例11と同様に、集電体用クラッド材201の反りを抑制することが可能であると考えられる。
【0092】
また、第2実施例の実施例11では、Al層211の厚みt2aの比率を50%にしたものの、Al層211の厚みt2aの比率を50%以外で、かつ、60%以下の範囲の大きさにした場合にも、芯材層213のヤング率が150GPa以上であれば、実施例11と同様に、集電体用クラッド材201の反りを抑制することが可能であると考えられる。
【0093】
また、第2実施例の実施例11では、芯材層213の厚みt4を集電体用クラッド材201の厚みt1aの33%にしたものの、芯材層213の厚みt4を33%以外で、かつ、約30%以上約80%以下の範囲の大きさにした場合にも、Al層211の厚みt2aの比率が60%以下であれば、実施例11と同様に、集電体用クラッド材201の反りを確実に抑制することが可能であると考えられる。
【0094】
なお、今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0095】
たとえば、上記第2実施形態では、芯材層213が1層からなる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、芯材層を複数層から構成してもよい。この際、Al基合金から構成される第1層からCu基合金から構成される第2層に向かって、イオン化傾向が小さくなるように順に積層させるのがよい。これにより、集電体用クラッド材に腐食が生じるのを効果的に抑制することが可能である。なお、芯材層を複数層から構成する場合には、芯材層全体においてヤング率が150GPa以上である必要があるとともに、芯材層全体の厚みが集電体用クラッド材の厚みの約30%以上約80%以下であるのが好ましい。
【0096】
また、上記第1および第2実施形態では、集電体用クラッド材1および201を、それぞれ、バイポーラ型電極100および200として用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、集電体用クラッド材を、正極活物質層または負極活物質層のいずれか1方のみが形成されたモノポーラ型電極として用いてもよい。
【0097】
また、上記第2実施形態では、芯材層213を、ヤング率が150GPa以上のNi基合金またはFe基合金から構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、芯材層は、ヤング率が150GPa以上の金属材料であればよく、Ni基合金またはFe基合金以外の金属材料から構成してもよい。
【0098】
また、上記第1実施形態では、二次電池101において固体電解質104を用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、固体電解質の代わりに液体の電解質(電解液)を用いてもよい。この場合、バイポーラ型電極同士の間に電解液を配置するとともに、隣接する電解液同士が短絡しないように仕切る必要がある。