【解決手段】発光装置は、導電部12を有する基体11と、発光素子14と、蛍光体層16と、反射部材17と、を備えている。発光素子の上面には、蛍光体層が設けられ、蛍光体層の上に、蛍光体層の一部が露出するように反射部材が設けられている。換言すると、反射部材が、蛍光体層の表面の全面を覆うのではなく、部分的に覆うように設けられていることを特徴とする。
前記蛍光体層は、電着法、スパッタリング法、蒸着法、沈降法、ポッティング法、印刷法、電着法、静電塗装法、スプレー法から選択される方法により形成される請求項4又は5に記載の発光装置の製造方法。
前記反射部材は、電着法、スパッタリング法、蒸着法、沈降法、ポッティング法、印刷法、電着法、静電塗装法、スプレー法から選択される方法により形成される請求項4乃至6のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための発光装置について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る発光装置の一例を示す概略平面図である。
図2は、
図1に示す発光装置のI−I’線における概略断面図である。
本実施形態に係る発光装置10は、導電部12を有する基体11と、発光素子14と、蛍光体層16と、反射部材17を備えている。
【0013】
基体11は、絶縁性の母材(セラミック等)と、発光素子への給電のための配線である導電部12とを有しており、発光素子などが載置可能な平面を有する平板状などの部材である。
【0014】
発光素子14は、基体上に実装されている。発光素子14は、対向する一対の主面を有する透光性の基板14aの一方の主面に、発光層を含む半導体層14bが形成され、さらに半導体層14bの表面に正電極及び負電極(以下、電極14cともいう)が形成されている。本実施形態の発光装置において、発光素子14は、電極形成面と対向する基板14a側を主光取り出し面として配置する(フリップチップ実装)。発光素子の電極14cは、基体11に形成された導電部12の上に接合部材13を介して接続される。
【0015】
発光素子の上面には、蛍光体層16が設けられている。そして、蛍光体層の上に、蛍光体層の一部が露出するように反射部材17が設けられている。換言すると、反射部材17が、蛍光体層の表面の全面を覆うのではなく、部分的に覆うように設けられている。
【0016】
発光素子からの光と、蛍光体からの光と、を混色して白色光を得る発光装置は、発光素子からの光の一部は、そのままの光、つまり、波長変換されない光として外部に取り出される必要がある。そのため、蛍光体層の上面に、反射部材が設けられていない領域(露出領域)を設けることで、蛍光体層内に戻されることなく、外部に取り出し易くすることができる。
【0017】
また、発光素子からの光は、蛍光体を励起するための光も必要である。蛍光体層の上に反射部材を設けない場合も、発光素子からの光の一部は、蛍光体を励起する光として用いられる。ここで、本願の実施形態に示すように、蛍光体層の上に、部分的に反射部材を設けることで、蛍光体層内に光を戻すことができ、その戻り光を、新たに蛍光体を励起する光として用いることができる。つまり、蛍光体層の上に反射部材が無ければ、青色光として外部に放出された光が、反射部材をもけることで、蛍光体を励起するための光として用いられることになる。これにより、蛍光体の量を少なくしても、波長変換した光を効率よく取り出すことができる。
以下、本実施形態に係る発光装置の各構成について簡単に説明する。
【0018】
(基体)
基体は、発光素子や保護素子等の電子部品を配置するためのものである。基体の形状は、特に限定されないが、上面(発光素子等の載置面)が平坦であることが好ましい。基体の形状としては、例えば、矩形や多角形等の平板状や、凹部を有する形状とすることができる。
基体の母材は、絶縁性のものを用いることができ、例えば、アルミナや窒化アルミニウム等のセラミックスを用いることが好ましいが、この限りではなく、LTCC、ガラスエポシキ樹脂や熱可塑性樹脂も可能である。
基体の導電部は、発光素子等への給電のためのものであり、Cu、Ni、Ag、Snが挙げられる。
【0019】
(発光素子)
発光素子は、基体上(導電部上又は母材上)に、接合部材を介して、もしくは、更に別部材を介して接合される。発光素子は、同一面側に正負一対の電極を備えた発光素子や、上下面に電極を有するバーティカルタイプの発光素子を用いてもよい。
【0020】
発光素子としては、可視光領域の光を発光する発光ダイオードを用いるのが好ましい。例えば、基板上に、InN、AlN、GaN、InGaN、AlGaN、InGaAlN等の窒化物半導体、III−V族化合物半導体、III−VI族化合物半導体等、種々の半導体によって、発光層を含む積層構造が形成されたものが挙げられる。発光素子の基板としては、サファイア等の絶縁性基板や、SiC、GaN、GaAs等の導電性基板等が挙げられる。尚、発光素子の基板は、必ずしも必要ではなく、基体上に実装後又は実装前に除去してもよい。
【0021】
(接合部材)
接合部材は、基体上に、発光素子を接合させるための部材である。
【0022】
まず、フリップチップ実装の場合、及びバーティカルタイプの発光素子を用いる場合について説明する。接合部材は、少なくとも発光素子の電極と導電部との間に介在するように配置される。接合部材としては、発光素子と導電部とを導通させることができる導電性材料を用いる。例えば、Sn−Cu、Sn−Ag−Cu、Au−Sn等のハンダ材料やAu等の金属バンプ、異方性導電ペースト等を用いることができる。
【0023】
発光素子は、この接合部材によって、導電部の上に支持されるので、発光素子の半導体層の下面と基体の上面とは、接合部材の厚さと、発光素子の電極の厚さと、基体上面から露出する導電部の厚さの総和に相当する距離だけ離間して、空隙を有している。
【0024】
接合部材の厚みと発光素子の電極の厚みの総和は、1μm〜150μmであることが好ましい。
【0025】
フェイスアップ実装の場合は、上記のような導電性材料の接合部材を用いることができることに加え、絶縁性材料も用いることができる。例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
【0026】
(蛍光体層)
蛍光体層は、発光素子からの光を、異なる波長に変換させるものであり、発光素子からの光をより短波長に変換させるもの、または、長波長に変換させるものを用いることができる。光取り出し効率の観点からは、発光素子からの光を長波長に変換させるものが好ましい。蛍光体層は、少なくとも、発光素子の上面に配置されている。蛍光体層は、発光素子の上面の80%〜100%を覆うように設けるのが好ましく、特に、全面(100%)を覆うのが好ましい。
【0027】
また、発光素子の上面以外の面上を覆うように設けられてもよく、例えば、発光素子の側面を覆ってもよい。さらに、蛍光体層は、発光素子と直接接して設けてもよく、あるいは、透光性の別部材を介して間接的に覆ってもよい。
蛍光体層は、任意の厚みで形成することができ、その上面が平坦状、凸状、凹状等とすることができる。特に、上面が平坦状な蛍光体層とするのが好ましく、さらに、略均一な厚みの蛍光体層とするのが好ましい。略均一な厚みの蛍光体層とする場合は、0.1μm〜100μm程度の厚みとするのが好ましい。
【0028】
蛍光体は、当該分野で公知のものを使用することができる。例えば、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)系蛍光体、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット(LAG)、ユウロピウム及び/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム(CaO−Al
2O
3−SiO
2)系蛍光体、ユウロピウムで賦活されたシリケート((Sr,Ba)
2SiO
4)系蛍光体、βサイアロン蛍光体、CASN系又はSCASN系蛍光体等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(K
2SiF
6:Mn)、硫化物系蛍光体などが挙げられる。これにより、可視波長の一次光及び二次光の混色光(例えば、白色系)を出射する発光装置とすることができる。発光装置が液晶ディスプレイのバックライト等に用いられる場合、青色光によって励起され、赤色発光する蛍光体(例えば、KSF系蛍光体)と、緑色発光する蛍光体(例えば、βサイアロン蛍光体)を用いることが好ましい。これにより、発光装置を用いたディスプレイの色再現範囲を広げることができる。照明等に用いられる場合、青緑色に発光する素子と赤色蛍光体とを組み合わせて用いることができる。
【0029】
蛍光体は、例えば、中心粒径が50μm以下、30μm以下、10μm以下であるものが好ましい。中心粒径は、市販の粒子測定器又は粒度分布測定器等によって測定及び算出することができる。なお、上記の粒径は、F.S.S.S.No(Fisher Sub Sieve Sizer’s No)における空気透過法で得られる粒径を指す。特に、蛍光体としてYAG等を用いる場合には、これらの超微粒子を均一に分散して焼結されたバルク体(例えば、板状体)であることが好ましい。このような形態によって、単結晶構造及び/又は多結晶構造として、ボイド、不純物層を低減し、高い透明性を確保することができる。
【0030】
蛍光体は、例えば、いわゆるナノクリスタル、量子ドットと称される発光物質でもよい。これらの材料としては、半導体材料、例えば、II−VI族、III−V族、IV−VI族半導体、具体的には、CdSe、コアシェル型のCdS
xSe
1−x/ZnS、GaP等のナノサイズの高分散粒子が挙げられる。このような蛍光体は、例えば、粒径1nm〜20nm程度(原子10個〜50個)程度が挙げられる。このような蛍光体を用いることにより、内部散乱を抑制することができ、光の透過率をより一層向上させることができる。内部散乱を抑制することにより、上面に対して垂直な方向への光の配光成分を増加させることができ、同時に、発光装置の側面又は下面に向かう光を抑制することができ、よって、光取り出し効率をより向上させることができる。例えば、バックライトに適用する場合に、バックライトへの入光効率をさらに増加させることができる。
量子ドット蛍光体は、不安定であるため、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)などの樹脂で表面修飾又は安定化してもよい。これらは透明樹脂(例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等)に混合されて成形されたバルク体(例えば、板状体)であってもよいし、ガラス板の間に透明樹脂とともに封止された板状体であってもよい。
【0031】
(反射部材)
反射部材は、蛍光体層の上に、蛍光体層の一部が露出するように設けられ、主として発光素子からの光を蛍光体層内に向けて反射させるものである。この反射された光(戻り光)を、蛍光体の励起光として用いることができる。そのため、蛍光体層に近い位置に設けるのが好ましく、特に、蛍光体層上に接して設けるのが好ましい。これにより、蛍光体層からの光を効率よく蛍光体層内に向けて反射する(戻す)ことができ、蛍光体層中で拡散させて蛍光体の励起光として利用し、光の取り出し効率を上げることが出来る。尚、蛍光体層の上に、電着法で反射部材を含む層を形成する場合は、蛍光体層と反射部材とを接着させる被覆層(蛍光体層を電着で形成させる場合に用いられる層)を介することもできる。このように、反射部材の固定に必要な接着部材を介する場合も、蛍光体層と反射部材とが接しているものとする。
【0032】
反射部材の面積は、蛍光体層の面積の1%〜90%が好ましい。特に好ましくは、20%〜50%である。
【0033】
反射部材は、発光素子の上面に加え、側面(周り)に配置されていてもよい。この場合、発光素子の側面に蛍光体層が設けられている場合は、その表面に設けるのが好ましい。また、発光素子の側面に蛍光体層が設けられていない場合であっても、反射部材を設けることで、発光素子からの光を、発光素子の内部に向けて反射して戻すことができる。なお、このように発光素子の側面に蛍光体層を有しない場合は、発光素子の側面の全面を覆うように反射部材を設けることが好ましい
【0034】
反射部材は、発光素子から出射された光、または蛍光体層で波長変換された光を効率よく反射させることができる材料が好ましく、90%以上反射させることができる材料がより好ましい。また、発光素子から出射された光、または蛍光体層で波長変換された光が透過、吸収しにくい材料が好ましい。
【0035】
反射材料としては、屈折率が1.6以上の高い材料、例えば、TiO
2、ZrO
2、BaSO
4、MgO等の粉末を用いることで、効率よく光を反射させることができる。加えてSiO
2、ZnOも可能である。これらの材料は単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に、屈折率が高い反射部材17とすることで発光素子からの光(例えば青色光)をより効率よく拡散させることができ、取り出し効率を向上させることができる。
【0036】
このように、反射部材17を設けることにより、発光素子からの光が蛍光体層内に戻ってくるため、その戻ってきた光によって励起された蛍光体からの光が外部に多く出ることが可能になり、取り出し効率を向上させることができる。
【0037】
(その他の部材)
上記の発光装置は、更に、別部材を有していてもよい。例えば、発光素子と、その上面を覆う蛍光体層と、その上に設けられる反射部材と、を覆う封止部材を有していてもよい。例えば、
図7、
図8に示すように、封止部材20は、基板の上面の一部を覆うとともに、上記の部材を覆うことで、これらを保護することができる。
【0038】
封止部材は、反射部材やフィラーなどを、実質的に含まないものが好ましく、つまり、透明のものが好ましく、また、耐光性及び絶縁性を有するものが好ましい。封止部材の好ましい材料としては、シリコーン樹脂組成物、変性シリコーン樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、変性エポキシ樹脂組成物、アクリル樹脂組成物等、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、フッ素樹脂及びこれらの樹脂を少なくとも1種以上含むハイブリッド樹脂等の樹脂によって形成することができる。
【0039】
また、封止部材の大きさは、特に限定されず、発光装置の輝度、指向性等を考慮して適宜調整することができる。また、封止部材の上面は、凸状、凸レンズ状、凹状、凹レンズ状、平面状等の形状とすることができる。
【0040】
また、発光素子を、フリップチップ実装する場合は、発光素子と基板との間に、樹脂(アンダーフィル)を介在させることができる。さらに、この樹脂は、発光素子の側面を覆うように設けられてもよい。
【0041】
(発光装置の変形例)
図3は、本発明の実施形態に係る発光装置の変形例を示す概略断面図である。
この変形例の発光装置では、蛍光体層16が、発光素子の側面に設けられていることを除いては
図2に示す実施形態と同じである。この変形例においても、光取り出し効率を向上させることができる。このように、発光素子の側面にも蛍光体層を設ける場合、発光素子の上面に設ける蛍光体と、同じ組成又は異なる組成のものを用いることができる。また、上面と側面とに、同時に形成してもよく、あるいは別工程で設けてもよい。さらに、形成方法についても、同じ又は異なる方法で設けることができる。
【0042】
図4は、本発明の実施形態に係る発光装置の変形例を示す概略断面図である。
この変形例の発光装置では、反射部材17が、発光素子の側面に設けられた蛍光体層の表面にもあることを除いては
図2に示す実施形態と同じである。この変形例においても、光取り出し効率を向上させることができる。このように、発光素子の側面にも反射部材を設ける場合、発光素子の上面に設ける反射部材と、同じ部材又は異なる部材を用いることができる。また、上面と側面とに、同時に形成してもよく、あるいは別工程で設けてもよい。さらに、形成方法についても、同じ又は異なる方法で設けることができる。
【0043】
図5は、本発明の実施形態に係る発光装置の変形例を示す概略断面図である。
この変形例の発光装置では、発光素子の半導体層側を上側にして実装(フェイスアップ実装)しており、発光素子の電極面が上側となり、ワイヤ19を用いてで基板の導電部と導通をとっている。このような場合も、発光素子の上に設けられた蛍光体層が、一部露出するように反射部材を設けることで、光の取り出し効率を向上させることができる。
【0044】
図7〜
図12は、上記の実施形態に係る発光装置の変形例に、更に封止部材を設けた例を示す概略断面図である。
この変形例の発光装置では、蛍光体層16と、その上に設けられる反射部材17を封止部材20が覆ったものである。この変形例においても、光取り出し効率を向上させることができる。
封止部材は、
図7に示すように、発光素子の上面のみを覆うように設けてもよく、あるいは、
図8〜
図10に示すように、発光素子の側面も覆うように設けてもよい。また、封止部材は、
図7〜
図11に示すように上面が平坦な面としてもよく、あるいは
図12に示すように凸状にしてもよい。また、封止部材は、基板にまで達するように設けることもできる。
【0045】
(発光装置の製造方法)
次に、本実施形態に係る発光装置の製造方法について説明する。
【0046】
図6a〜
図6cは、本実施形態に係る発光装置の製造工程の一例について説明する概略断面図である。ここでは、発光素子をフリップチップ実装する場合について説明する。
【0047】
まず、導電部12を有する基体11を準備し、導電部12の上に、接合部材13を介して発光素子14の電極14cを接続する。
図6aに示すように、発光素子14は、導電部12に接合部材13を介して発光素子14の電極14cが対向するように接続される。基体11の導電部12と発光素子14とを接続する工法は、接合部材13に応じて適宜選択することができるが、例えば、超音波、熱、荷重、光、フラックス等を用いて接続することができる。接合部材13としてハンダ材料を用いる場合、発光素子14の周囲に露出する導電部12は、余分なハンダ材料を逃がす効果がある。つまり、適量のハンダで接合することができるとともに、ハンダ量の過多から生じる不良を低減させ、安定した接合状態となる。
【0048】
次に、
図6bに示すように、基体11の上に、発光素子14を覆うように蛍光体層16を形成する。蛍光体層16を形成する方法としては1)スパッタリング法、2)蒸着法、3)沈降法、4)ポッティング法、5)印刷法、6)電着法、7)静電塗装法、8)スプレー法等を用いることができる。さらに、9)蛍光体板や蛍光体シートなど、予め成形された別部材を貼り付けるなどの方法を用いてもよい。このような場合、反射部材が設けられたものでもよく、あるいは発光素子を覆うように設けたあとに反射部材を設けてもよい。これらの方法を用いることにより、それぞれの部位に略均一な厚みで蛍光体層を形成することができる。1)2)3)の場合、発光素子14及び基体11全体に蛍光体層をバインダーレスで付着させることができる。4)5)の場合、透光性部材中に分散させた蛍光体を用いることで、選択的に蛍光体を付着させることが可能である。6)7)の場合、蛍光体を付着させたい部位に導電性を持った素材を使用することで、選択的に蛍光体を付着させることができる。8)の場合、透光性部材と溶剤中に分散させた蛍光体を用いることで、選択的に蛍光体を付着させることが可能である。9)の場合、蛍光体を付着させたい部位に選択的に蛍光体を付着させることができる。
【0049】
上述の6)電着法を用いて蛍光体層を形成する工程について、
図6a〜
図6cを用いて詳説する。蛍光体層16は、例えば、蛍光体を含む溶液(電着用の浴液)中に、発光素子14を載置した基体11を配置させ、溶液中における電気泳動により、蛍光体粒子を基体11の導電部12及び発光素子14の表面に堆積させることで形成される。
【0050】
発光素子の表面が導電性の材料とされている場合は、発光素子自体に電圧を印加することにより、帯電された蛍光体粒子を電気泳動させて発光素子上に堆積させることができる。また、サファイアなどの絶縁性基板に半導体を積層させてなる発光素子のように、発光素子の表面が非導電性の部位を有する場合は、
図6bのように発光素子14の非導電性の部位に導電性を有する被覆層15(例えばアルミニウム、亜鉛、ITO等)を設けた後、その被覆層15に電圧を印加することにより、帯電された蛍光体粒子を電気泳動させて被覆層15を介して絶縁性基板14a上に堆積させることができる。なお、蛍光体層16の厚みは、蛍光体粒子の堆積条件や時間により適宜調整することができる。
【0051】
また、このような被覆層が、上述のアルミニウムや亜鉛のように、光を透過させない部材からなる場合、透明化処理を施すことが必要である。具体的には、アルミニウムの場合は、酸化さえて酸化アルミニウムとすることで、透光性の被覆層とすることができ、これにより、発光素子からの光を外部に放出させることができる。このような透明化処理は、電着工程後に、水蒸気処理することで、容易に行うことができる。
【0052】
反射部材17は、蛍光体層16を覆うように形成する。反射部材の形成方法は、上述の蛍光体層と同様の方法を用いることができる。例えば、電着法を用いて反射部材を形成する場合、反射部材17を構成する反射材料を含む溶液中に、蛍光体層を形成した状態の発光装置(製造途中品)を配置させ、溶液中で帯電された反射材料を電気泳動させることで、蛍光体層16の上面に反射部材17を形成することができる。このように、電着により反射部材を形成する場合、予め、溶液中の反射材料の濃度と、電流や時間を調整して、対象物への電着量(付着速度)を調べておくことで、反射部材の付着量を制御することができる。これにより、蛍光体層の全面を覆うのではなく、部分的に覆うことを、容易に実施することができる。
【0053】
反射部材の厚みについても、堆積条件や時間により適宜調整することができる。
【0054】
他にも反射部材17を形成する方法としては、1)スパッタリング法、2)蒸着法、3)沈降法、4)ポッティング法、5)印刷法、7)静電塗装法、8)スプレー法等を用いることができ、蛍光体層16の表面に対して選択的に、反射部材17を形成することができる。尚、反射部材の形成方法によっては、マスクを用いてもよい。また、反射部材を蛍光体層に接着するための接着剤とともに用いるのが好ましい。結着剤としては、樹脂やガラスなどを用いることができる。
【実施例】
【0055】
以下、本発明に係る実施例について詳述する。
【0056】
図2は、本実施例に係る発光装置を示す概略断面図である。この発光装置は、導電部12を有する基体11、接合部材13、発光素子14、被覆層15、蛍光体層16、反射部材17を備えている。
【0057】
基体11の母材としては、アルミナセラミックスを用い、導電部12としては、Auを用いている。基体11には導電部12の一部が埋められており、Auよりも高融点の金属であるW(タングステン)が用いられている。導電部12は基体11の裏面にも露出している。これにより、発光素子14と外部電源とを電気的に接続する端子として機能する。
【0058】
発光素子14は、接合部材13としてAuバンプを用いて導電部12に接続されている。発光素子14としては、絶縁性のサファイアからなる基板14aの上に半導体層14bを形成したものを用いる。導電性を有する被覆層15はZn(亜鉛)を用い、発光素子14の基板14aを覆うように形成する。蛍光体層16は、例えばYAG系の蛍光体粒子(粒径は5μm)を用い、被覆層15の表面、発光素子14の半導体層14bの表面、及び発光素子14の周囲の導電部12上に付着させる。
蛍光体粒子は電着法により形成するため、被覆層15上及び発光素子14の半導体層14b上に略均一な厚みで付着させることができる。
【0059】
反射部材17は、TiO
2の粒子平均粒径は0.26μmを電着法により蛍光体層16上のみに付着させて形成する。
【0060】
これにより、取り出し効率が向上する。
【0061】
上記電着法に限らず、上述した方法によって蛍光体層16や反射部材17を形成してもよい。
【0062】
本実施例は比較例に比べ発光ムラが少なく、光の取り出し効率が良好な発光装置を得ることができる。また、光の取り出し量が増加するため、蛍光体量を減少することが可能であり、少量の蛍光体で色が狙えることが可能である。また拡散部材の量を変更することにより、色調を変えることも可能である。