【課題】受信モードにおける利得可変時の入出力インピーダンスを良好に保ち、かつ、利得可変時の通過損失を抑圧可能としつつ、送信モード時におけるアンテナ端子と受信信号出力端子間のアイソレーションを高く維持可能とする。
増幅器バイパススイッチ103、受信経路スイッチ104、及び、送信経路スイッチ105は、単極3投スイッチ106を構成し、いずれか1つが選択的にオンとされるようになっている一方、信号増幅器101と増幅器出力スイッチ102の間に、送信経路スイッチ105がオン状態の際に、受信信号出力端子12へ伝搬、漏洩する送信信号を減衰可能とするアイソレーション改善素子としての電源電圧給電用インダクタ19及び第2のバイパスキャパシタ17が、受信信号出力端子12に対して並列接続されて設けられたものとなっている。
前記信号増幅器は、第1及び第2の信号増幅器用FETを有してなり、前記増幅器バイパススイッチは、第1の増幅器バイパススイッチ用FETを有してなり、前記受信経路スイッチは、受信経路スイッチ用FETを有してなり、前記送信経路スイッチは、送信経路スイッチ用FETを有してなり、前記増幅器出力スイッチは、増幅器出力スイッチ用FETを有してなり、
前記第1の信号増幅器用FETのゲートは、増幅器用DCカットキャパシタ及び入力インピーダンス整合回路を介して受信経路スイッチ用FETのドレインに接続されると共に、第1のゲートバイアス印加用バイアス回路からのバイアスが印加可能とされ、
前記受信経路スイッチ用FETのソースが入力用DCカットキャパシタを介して前記アンテナ端子に接続され、前記受信経路スイッチ用FETのソース・ドレイン間には受信用ソース・ドレイン間抵抗器が接続され、前記受信経路スイッチ用FETのゲートは、受信用ゲート抵抗器を介して外部からの第3のコントロール電圧が印加可能とされ、
前記第2の信号増幅用FETのゲートは、第2のゲートバイアス印加用バイアス回路からのバイアスが印加可能とされると共に、第1のバイパスキャパシタを介してグランドに接続され、
前記第1の信号増幅用FETのドレインと前記第2の信号増幅用FETのソースとが接続され、前記第1の信号増幅用FETのソースはグランドに接続され、前記第2の信号増幅用FETのドレインは、出力インピーダンス整合回路を介して前記増幅器出力スイッチ用FETのソースに接続されると共に、アイソレーション改善素子としての電源電圧給電用インダクタ及び第2のバイパスキャパシタを介してグランドに接続され、
前記電源電圧給電用インダクタと第2のバイパスキャパシタの相互の接続点には、外部から電源電圧が印加可能とされ、
前記増幅器出力スイッチ用FETのゲートは、増幅器出力用ゲート抵抗器を介して外部からの第1のコントロール電圧が印加可能とされ、前記増幅器出力スイッチ用FETのドレインは、出力用DCカットキャパシタを介して前記受信信号出力端子に接続され、前記増幅器出力スイッチ用FETのソース・ドレイン間には増幅器出力用ソース・ドレイン間抵抗器が接続され、
前記第1の増幅器バイパススイッチ用FETのソースは、前記入力用DCカットキャパシタと前記受信経路スイッチ用FETのソースとの接続点に接続され、前記第1の増幅器バイパススイッチ用FETのドレインは、前記増幅器出力スイッチ用FETのドレインと前記出力用DCカットキャパシタの接続点に接続され、前記第1の増幅器バイパススイッチ用FETのゲートは、バイパス用ゲート抵抗器を介して外部からの第2のコントロール電圧が印加可能とされ、前記第1の増幅器バイパススイッチ用FETのソース・ドレイン間には、バイパス用ソース・ドレイン間抵抗器が接続され、前記第1の増幅器バイパススイッチ用FETのソースは、第1のバイパス電源印加用抵抗器を介して、前記第1の増幅器バイパススイッチ用FETのドレインは、第2のバイパス電源印加用抵抗器を介して、共に外部からのスイッチ用電源電圧が印加可能とされ、前記第1の増幅器バイパススイッチ用FETのドレインは、ドレイン用抵抗器を介してグランドに接続され、
前記送信経路スイッチ用FETのドレインは、送信用DCカットキャパシタを介して前記送信信号入力端子に接続され、前記送信経路スイッチ用FETのゲートは、送信用ゲート抵抗器を介して外部からの第4のコントロール電圧が印加可能とされ、前記送信路スイッチ用FETのソース・ドレイン間には送信用ソース・ドレイン間抵抗器が接続され、前記送信路スイッチ用FETのソースは、ソース用抵抗器を介してグランドに接続されると共に、前記入力用DCカットキャパシタと前記受信経路スイッチ用FETのソースの接続点に接続されてなることを特徴とするスイッチ回路付き利得可変型増幅器。
増幅器バイパススイッチ用FETのドレインと増幅器出力スイッチ用FETのドレインの接続点に、増幅器出力シャントスイッチ用FETのドレインが接続され、前記増幅器出力シャントスイッチ用FETのゲートが出力シャント用ゲート抵抗器を介して第6のコントロール電圧が印加可能とされ、前記増幅器出力シャントスイッチ用FETのソースが出力シャント用DCカットキャパシタを介してグランドに接続され、前記増幅器出力シャントスイッチ用FETのソース・ドレイン間には、出力シャント用ソース・ドレイン間抵抗器が接続されてなることを特徴とする請求項2記載のスイッチ回路付き利得可変型増幅器。
前記第2の信号増幅用FETのドレインに、増幅器出力シャントスイッチ用FETのドレインが接続され、前記増幅器出力シャントスイッチ用FETのゲートが出力シャント用ゲート抵抗器を介して第6のコントロール電圧が印加可能とされ、前記増幅器出力シャントスイッチ用FETのソースが出力シャント用DCカットキャパシタを介してグランドに接続され、前記増幅器出力シャントスイッチ用FETのソース・ドレイン間には、出力シャント用ソース・ドレイン間抵抗器が接続されてなることを特徴とする請求項2記載のスイッチ回路付き利得可変型増幅器。
前記増幅器出力シャントスイッチ用FETに代えて、前記第2の信号増幅用FETのドレインとグランドとの間に、シャント用キャパシタが接続されてなることを特徴とする請求項5記載のスイッチ回路付き利得可変型増幅器。
【背景技術】
【0002】
移動体通信機器等の無線通信受信部に用いられる増幅器においては、増幅器に入力される高周波信号(受信信号)電力が微弱な場合だけでなく、強電界の高周波信号が入力されることも想定する必要がある。
一般的には、増幅器に利得可変機能を付加し、高周波入力信号が微弱な場合には、増幅器の利得を最大にし、逆に、高周波入力信号が強電界の場合には、増幅器の利得を最小に設定することで、増幅器での信号の歪みを低減させ、さらには、増幅器の後段における入力信号の歪みを抑制するなどの方策が採られる。
【0003】
この種の利得可変型増幅器として、信号増幅器と並列に増幅器バイパススイッチを設け、さらに、信号増幅器の入出力端子に利得可変時の入出力インピーダンスを補正するための回路を設けることが公知・周知となっている(例えば、特許文献1等参照)。
ところで、上述のような従来の利得可変型増幅器を各種無線通信機器に搭載する場合、利得可変型増幅器の前段に高周波信号受信用のアンテナが接続されることが一般的である。また、各種無線通信機器の小型化のため、その受信のためのアンテナは、高周波信号の送信用として兼用されることもある。
【0004】
このように、1つのアンテナを高周波信号の送受信に兼用する場合、アンテナと利得可変型増幅器の間には、信号の伝搬経路を切り替えるための切り替えスイッチが必要となる。
図9には、そのような場合の従来の回路構成例が示されており、以下、同図を参照しつつ、その回路構成について説明する。
まず、利得可変型増幅器は、信号増幅器101Aと、入力インピーダンス整合回路7Aと、出力インピーダンス整合回路8Aと、入力インピーダンス補正回路53Aと、出力インピーダンス補正回路54Aと、増幅器バイパススイッチ55Aとを主たる構成要素として構成されたものとなっている。
【0005】
この利得可変型増幅器の前段には、信号経路を切り替えるための単極双投スイッチ(以下「SPDT」と称する)58Aが設けられており、利得可変型増幅器は、このSPDT58Aを介して図示されないアンテナに接続されるようになっている。
すなわち、SPDTの送信経路スイッチ57Aがオン、受信経路スイッチ56Aがオフと、それぞれ設定された場合には、アンテナ端子11Aと送信信号入力端子13が導通状態となる送信モードとなる。一方、SPDTの送信経路スイッチ57Aがオフ、受信経路スイッチ56Aがオンと、それぞれ設定された場合には、アンテナ端子11Aと受信信号出力端子12Aとが導通状態となる受信モードとなる。
【0006】
そして、受信モードにおいては、アンテナ端子11Aから入力される高周波信号の電界レベルに応じて増幅器バイパススイッチ55Aの動作状態を切り替えて利得可変を行うことが可能な構成となっている。
上述したような従来のスイッチ回路付き利得可変型増幅器においては、受信モード時に利得可変を行い増幅利得を最小とする場合に、アンテナ端子11Aと受信信号出力端子12Aのインピーダンス整合の劣化を抑制するために、入力インピーダンス補正回路53A及び出力インピーダンス補正回路54Aが設けられている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、
図1乃至
図8を参照しつつ説明する。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、本発明の実施の形態におけるスイッチ回路付き利得可変型増幅器の基本回路構成例について、
図1を参照しつつ説明する。
本発明の実施の形態におけるスイッチ回路付き利得可変型増幅器は、信号増幅器101と、増幅器出力スイッチ102と、入力インピーダンス整合回路7と、出力インピーダンス整合回路8と、単極3投スイッチ(SP3T)106とを主たる構成要素として構成されたものとなっている。
【0015】
高周波信号の増幅を行う信号増幅器101は、その入力段が増幅用DCカットキャパシタ15を介して入力インピーダンス整合回路7の出力段に接続される一方、信号増幅器101の出力段は、出力インピーダンス整合回路8の入力段に接続されると共に、電源電圧給電用インダクタ19を介して電源電圧印加端子20及び第2のバイパスキャパシタ17の一端に接続され、この第2のバイパスキャパシタ17の他端は、グランドに接続されている。本発明の実施の形態においては、電源電圧給電用インダクタ19及び第2のバイパスキャパシタ17が、後述するように、アンテナ端子11と受信信号出力端子12間のアイソレーションを改善するにアイソレーション改善素子として機能するものとなっている。
【0016】
単極3投スイッチ106は、増幅器バイパススイッチ103と、受信経路スイッチ104と、送信経路スイッチ105とを有して構成されてなり、これら3つのスイッチ103〜105のいずれか1つが選択的にオンとされるよう構成されたものとなっている。
【0017】
そして、各スイッチ103〜105の一端は、共に入力用DCカットキャパシタ14を介してアンテナ端子11に接続されている。一方、増幅器バイパススイッチ103の他端は、出力用DCカットキャパシタ18を介して受信信号出力端子12に接続されると共に、増幅器出力スイッチ102を介して出力インピーダンス整合回路8の出力段に接続されるようになっている。
また、受信経路スイッチ104の他端は、入力インピーダンス整合回路7の入力段に、送信経路スイッチ105の他端は、送信用DCカットキャパシタ36を介して送信信号入力端子13に、それぞれ接続されている。
【0018】
次に、上述の基本回路の具体的回路構成例の第1の実施例について、
図2を参照しつつ説明する。
なお、
図1に示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第1の実施例において、まず、単極3投スイッチ(SP3T)106を構成する増幅器バイパススイッチ103は、増幅器バイパススイッチ用FET4を中心に構成され、受信経路スイッチ104は、受信経路スイッチ用FET5を中心に構成され、送信経路スイッチ105は、送信経路スイッチ用FET6を中心に構成されたものとなっている。
【0019】
すなわち、増幅器バイパススイッチ103の増幅器バイパススイッチ用FET4のソース、受信経路スイッチ104の受信経路スイッチ用FET5のソース、及び、送信経路スイッチ105の送信経路スイッチ用FET6のソースは、共に入力用DCカットキャパシタ14を介してアンテナ端子11に接続されると共に、ソース用抵抗器37を介してグランドに接続されている。
【0020】
増幅器バイパススイッチ103においては、増幅器バイパススイッチ用FET4のソースとドレイン間はバイパス用ソース・ドレイン間抵抗器30を介して接続されている。そして、増幅器バイパススイッチ用FET4のドレインは、出力用DCカットキャパシタ18を介して受信信号出力端子12に接続されると共に、ドレイン用抵抗器27を介してグランドに接続されている。
また、増幅器バイパススイッチ用FET4のドレインは、第2のバイパス電源印加用抵抗器38を介して、ソースは、第1のバイパス電源印加用抵抗器39を介して共にスイッチ用電源電圧端子22に接続されている。
一方、増幅器バイパススイッチ用FET4のゲートは、バイパス用ゲート抵抗器31を介して、第2のコントロール電圧印加端子24に接続されている。
【0021】
受信経路スイッチ104においては、受信経路スイッチ用FET5のソースとドレイン間は受信用ソース・ドレイン間抵抗器32を介して接続されると共に、ドレインは、入力インピーダンス整合回路7の入力段に接続されている。
一方、受信経路スイッチ用FET5のゲートは、受信用ゲート抵抗器33を介して、第3のコントロール電圧印加端子25に接続されている。
【0022】
送信経路スイッチ105においては、送信経路スイッチ用FET6のソースとドレイン間は、送信用ソース・ドレイン間抵抗器34を介して接続されると共に、ドレインは、送信用DCカットキャパシタ36を介して送信信号入力端子13に接続されている。
一方、送信経路スイッチ用FET6のゲートは、送信用ゲート抵抗器35を介して、第4のコントロール電圧印加端子26に接続されている。
【0023】
信号増幅器101は、第1及び第2の信号増幅用FET1,2,第1及び第2のゲートバイアス印加用バイアス回路9,10を主たる構成要素として構成されたものとなっている。
第1の信号増幅用FET1のゲートは、増幅用DCカットキャパシタ15を介して入力インピーダンス整合回路7の出力段に接続されると共に、第1のゲートバイアス印加用バイアス回路9によりゲートバイアス電圧が印加されるようになっている。
【0024】
また、第1の信号増幅用FET1のソースは、グランドに接続される一方、ドレインは、第2の信号増幅用FET2のソースに接続されている。
第2の信号増幅用FET2は、ゲートが第1のバイパスキャパシタ16を介してグランドに接続されると共に、第2のゲートバイアス印加用バイアス回路10によりゲートバイアス電圧が印加されるようになっている。
なお、第1及び第2のゲートバイアス印加用バイアス回路9,10は、共にバイアス回路用電源電圧印加端子21を介して外部から動作に必要な電源電圧が印加されるようになっている。
【0025】
一方、第2の信号増幅用FET2のドレインは、出力インピーダンス整合回路8の入力段に接続されると共に、電源電圧給電用インダクタ19を介して電源電圧印加端子20に接続されると共に、電源電圧給電用インダクタ19と電源電圧印加端子20の接続点は、第2のバイパスキャパシタ17を介してグランドに接続されている。
【0026】
出力インピーダンス整合回路8と出力用DCカットキャパシタ18との間には、増幅器出力スイッチ102が設けられている。
この増幅器出力スイッチ102は、増幅器出力スイッチ用FET3を中心に構成されたものとなっている。
すなわち、増幅器出力スイッチ用FET3のソースは、出力インピーダンス整合回路8の出力段に接続される一方、ドレインは、出力用DCカットキャパシタ18の一端に接続されている。
【0027】
また、増幅器出力スイッチ用FET3のソースとドレイン間は、増幅器出力用ソース・ドレイン間抵抗器28を介して接続されている。
さらに、増幅器出力スイッチ用FET3のゲートは、増幅器出力用ゲート抵抗器29を介して第1のコントロール電圧印加端子23に接続されている。
【0028】
次に、かかる構成における動作について説明する。
まず、増幅器出力スイッチ用FET3のピンチオフ電圧をVp3、増幅器バイパススイッチ用FET4のピンチオフ電圧をVp4、受信経路スイッチ用FET5のピンチオフ電圧をVp5、送信経路スイッチ用FET6のピンチオフ電圧をVp6、第1のコントロール電圧印加端子23に印加される電圧をV23、第2のコントロール電圧印加端子24に印加される電圧をV24、第3のコントロール電圧印加端子25に印加される電圧をV25、第4のコントロール電圧印加端子26に印加される電圧をV26、スイッチ用電源電圧端子22に印加される電圧をV22と定義する。
【0029】
かかる前提の下、最初に、受信モード時に利得可変を行わない場合(最大利得を得る場合)の各部の電圧設定は、以下のようになる。
電源電圧印加端子20には、第1及び第2の信号増幅用FET1,2が動作するような電源電圧を印加し、バイアス回路用電源電圧印加端子21には、第1及び第2の信号増幅用FET1,2に流れる動作電流が、所望の値となるようなバイアスを印加する。
また、スイッチ用電源電圧印加端子22には、V22>>Vp3、かつ、V22>>Vp4、かつ、V22>>Vp5、かつ、V22>>Vp6となるようなバイアスを印加する。
【0030】
また、第1のコントロール電圧印加端子23には、V23>Vp3となるようなバイアスを、第2のコントロール電圧印加端子24には、V24<Vp4となるようなバイアスを、第3のコントロール電圧印加端子25には、V25>Vp5となるようなバイアスを、第4のコントロール電圧印加端子26には、V26<Vp6となるようなバイアスを、それぞれ印加する。
かかる電圧設定により、第1及び第2の信号増幅用FET1,2を動作状態とすると共に、増幅器出力スイッチ用FET3及び受信経路スイッチ用FET5をオン状態とする一方、増幅器バイパススイッチ用FET4及び送信経路スイッチ用FET6を共にオフ状態とすることができる。
【0031】
この状態において、アンテナ端子11から入力された高周波信号は、入力用DCカットキャパシタ14及びオン状態にある受信経路スイッチ用FET5並びに、入力インピーダンス整合回路7及び増幅用DCカットキャパシタ15を介して第1の信号増幅用FET1のゲートに入力され、第2の信号増幅用FET2のドレインから増幅出力される。次いで、第2の信号増幅用FET2のドレインから出力された高周波信号は、出力インピーダンス整合回路8及びオン状態にある増幅器出力スイッチ用FET3、並びに、出力用DCカットキャパシタ18を介して受信信号出力端子12に出力されるため、通常の増幅器と同様な動作となり、増幅器の最大利得を得ることができる。
【0032】
次に、受信モード時に利得可変を行う(最小利得を得る)場合の各部の電圧設定は、以下の通りとなる。
まず、バイアス回路用電源電圧印加端子21には、第1及び第2の信号増幅用FET1,2がオフ状態となるようなバイアス(一般的には0V)を印加する。
また、第1のコントロール電圧印加端子23には、V23<Vp3となるようなバイアスを、第2のコントロール電圧印加端子24には、V24>Vp4となるようなバイアスを、第3のコントロール電圧印加端子25には、V25<Vp5となるようなバイアスを、第4のコントロール電圧印加端子26には、V26<Vp6となるようなバイアスを、それぞれ印加する。
【0033】
かかる電圧設定により、第1及び第2の信号増幅用FET1,2、並びに、増幅器出力スイッチ用FET3、受信経路スイッチ用FET5、及び、送信経路スイッチ用FET6をオフ状態とする一方、増幅器バイパススイッチ用FET4をオン状態とすることができる。
このとき、第1及び第2の信号増幅用FET1,2、並びに、増幅器出力スイッチ用FET3、受信経路スイッチ用FET5、及び、送信経路スイッチ用FET6はオフ状態となっているため、アンテナ端子11から入力された高周波信号は、信号増幅器101を通過するのではなく、増幅器バイパススイッチ用FET4から構成されたバイパス経路を通過して受信信号出力端子12へ出力される。
【0034】
本発明の実施の形態におけるバイパス経路は、従来と異なり、インピーダンス補正回路が接続されていないため、バイパス経路を通過する高周波信号は、大きな減衰を伴うことなく受信信号出力端子12へ出力される。
また、バイパス経路が接続されている箇所が、アンテナ端子11及び受信信号出力端子12の直近であり、インピーダンスずれを招く回路素子の影響がないため、従来と異なり、インピーダンス補正回路を接続することなく利得可変時の入出力インピーダンスを良好に保つことができるものとなっている。
【0035】
次に、送信モードに設定する場合の各部の電圧設定は、以下の通りとなる。
まず、バイアス回路用電源電圧印加端子21には、第1及び第2の信号増幅用FET1,2がオフ状態となるようなバイアス(一般的には0V)を印加する。
また、第3のコントロール電圧印加端子25には、V25<Vp5となるようなバイアスを、第4のコントロール電圧印加端子26には、V26>Vp6となるようなバイアスを、それぞれ印加する。
【0036】
かかる電圧設定により、第1及び第2の信号増幅用FET1,2、並びに、受信経路スイッチ用FET5をオフ状態とする一方、送信経路スイッチ用FET6をオン状態とすることができる。
この状態において、アンテナ端子11と受信信号出力端子12との間の良好なアイソレーション特性を得るために、第2のコントロール電圧印加端子24に、V24<Vp4となるようなバイアスを印加することで、増幅器バイパススイッチ用FET4をオフ状態とし、さらに、第1のコントロール電圧印加端子23にV23>Vp3となるようなバイアスを印加することで、増幅器出力スイッチ用FET3をオン状態とすることができる。
【0037】
増幅器出力スイッチ用FET3をオン状態とすることで、受信信号出力端子12に対して電源電圧給電用インダクタ19及び第2のバイパスキャパシタ17から構成される経路が並列に接続され、また、オフ状態にある第1及び第2の信号増幅用FET1,2から構成される経路が同様に並列に接続されることになるため、送信信号入力端子13から入力された送信信号がオフ状態にある増幅器バイパススイッチ用FET4を介して漏洩した場合であっても、漏洩した送信信号が受信信号出力端子12に出力されることはなく、前述の並列に配置された経路を介してグランドに接地されることになるため、送信モード時のアンテナ端子11と受信信号出力端子12との間の良好なアイソレーション特性が得られるものとなっている。
【0038】
なお、本発明の実施の形態におけるスイッチ回路付き利得可変型増幅器は、送信モード時におけるアンテナ端子11と受信信号出力端子12との間のアイソレーションを確保するにあたっては、従来と異なり、特別に新たな回路素子を追加することなく、各素子の動作状態を選択することで特性改善が可能なものとなっている。
【0039】
このように、本発明の実施の形態におけるスイッチ回路付き利得可変型増幅器は、従来回路と異なり、インピーダンス補正回路のような回路規模が大きい回路を不要としながらも、受信モードにおける利得可変時の入出力インピーダンスを良好に保ち、利得可変時の通過損失を小さくでき、さらには、送信モード時におけるアンテナ端子11と受信信号出力端子12間の高いアイソレーションを得ることが可能なものとなっている。
【0040】
図7には、本発明の実施の形態における第1の実施例のスイッチ回路付き利得可変型増幅器において利得可変時の周波数に対する通過損失の変化特性例を示す特性線が、
図10には、従来回路における利得可変時の周波数に対する通過損失の変化特性例を示す特性線が、それぞれ示されており、以下、これらの図を参照しつつ、利得可変時の周波数に対する通過損失の変化特性について説明する。
最初に、従来回路における通過損失は、2.4GHzにおいて−6.2dB、5GHzにおいて−35.9dBとなっている(
図10参照)。
【0041】
これに対して、本発明の実施の形態におけるスイッチ回路付き利得可変型増幅器の通過損失は、2.4GHzにおいて−1.1dB、5GHzにおいて−2.1dBとなり(
図7参照)、従来回路に比して、2.4GHzで5.1dB、5GHzで33.8dBの改善がそれぞれ得られるものとなっており、顕著な改善効果が得られることが理解できる。
【0042】
次に、
図8には、本発明の実施の形態における第1の実施例のスイッチ回路付き利得可変型増幅器において送信モード時の周波数に対するアンテナ端子・受信信号出力端子間アイソレーションの変化特性例を示す特性線が、
図11には、従来回路における送信モード時の周波数に対するアンテナ端子・受信信号出力端子間アイソレーションの変化特性例を示す特性線が、それぞれ示されており、以下、これらの図を参照しつつ、アンテナ端子・受信信号出力端子間アイソレーションの変化について説明する。
【0043】
最初に、従来回路において、アンテナ端子・受信信号出力端子間アイソレーションは、2.4GHzで−14.5dB、5GHzで23.6dBとなっている(
図11参照)。
これに対して、本発明の実施の形態におけるスイッチ回路付き利得可変型増幅器におけるアンテナ端子・受信信号出力端子間アイソレーションは、2.4GHzで−41.2dB、5GHzで−29.0dBとなり(
図8参照)、従来回路に比して、2.4GHzで26.7dB、5GHzで5.4dBの改善がそれぞれ得られるものとなっており、顕著な改善効果が得られることが理解できる。
【0044】
次に、第2の実施例について、
図3を参照しつつ説明する。
なお、
図1、
図2に示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第2の実施例は、第1の増幅器バイパススイッチ用FET4と第2の増幅器バイパススイッチ用FET40が直列接続されて増幅器バイパススイッチ103Aが構成されており、後述するように、この増幅器バイパススイッチ103Aをシャント可能な構成としたものである。
【0045】
以下、具体的に説明すれば、最初に、第1の増幅器バイパススイッチ用FET4のドレインと出力用DCカットキャパシタ18の一端との間には、第2の増幅器バイパススイッチ用FET40が直列接続されて設けられたものとなっている。
すなわち、第1の増幅器バイパススイッチ用FET4のドレインと第2の増幅器バイパススイッチ用FET40のソースとが接続され、第2の増幅器バイパススイッチ用FET40のドレインは、出力用DCカットキャパシタ18の一端に接続されると共に、第2のバイパス電源印加用抵抗器38を介してスイッチ用電源電圧端子22に接続されている。
【0046】
そして、第2の増幅器バイパススイッチ用FET40のソース・ドレイン間には、第2のバイパス用ソース・ドレイン間抵抗器41が接続されている。
また、第2の増幅器バイパススイッチ用FET40のゲートは、第2のバイパス用ゲート抵抗器42を介して第2のコントロール電圧印加端子24に接続されている。
【0047】
一方、増幅器バイパスシャントスイッチ用FET44は、そのドレインが、増幅器バイパススイッチ用FET4のドレインと第2の増幅器バイパススイッチ用FET40のソースの接続点に接続される一方、増幅器バイパスシャントスイッチ用FET44のソースは、シャント用DCカットキャパシタ47を介してグランドに接続されている。
また、増幅器バイパスシャントスイッチ用FET44のソース・ドレイン間には、シャント用ソース・ドレイン間抵抗器46が接続される一方、ゲートは、シャント用ゲート抵抗器45を介して第5のコントロール電圧印加端子43に接続されている。
【0048】
かかる構成においては、受信モードにおいて利得可変を行わない(最大利得を得る)場合、及び、送信モード時のそれぞれにおいて、第5のコントロール電圧印加端子43に増幅器バイパスシャントスイッチ用FET44をオンとするバイアスを印加し、増幅器バイパスシャントスイッチ用FET44をオン状態とすることで、受信モードにおいて最大利得として、増幅器の入出力帰還量の低減が可能となり、増幅特性の改善がなされることとなる。
また、送信モード時おいては、増幅器バイパスシャントスイッチ用FET44をオン状態とすることで、アンテナ端子11と受信信号出力端子12間のアイソレーションが更に改善されるものとなっている。
【0049】
次に、第3の実施例について、
図4を参照しつつ説明する。
なお、
図1乃至
図3のいずれかに示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第3の実施例は、受信信号出力端子12の近傍に増幅器出力シャントスイッチ用FET48を用いたシャント回路を設けたものである。
【0050】
以下、具体的に説明すれば、まず、増幅器出力シャントスイッチ用FET48は、そのドレインが、増幅器出力スイッチ用FET3のドレインと出力用DCカットキャパシタ18との接続点に接続される一方、ソースは、出力シャント用DCカットキャパシタ51を介してグランドに接続されると共に、ソース・ドレイン間には、出力シャント用ソース・ドレイン間抵抗器49が接続されている。
そして、増幅器出力シャントスイッチ用FET48のゲートは、出力シャント用ゲート抵抗器50を介して第6のコントロール電圧印加端子59に接続されている。
【0051】
かかる構成においては、送信モード時おいて、シャントコントロール電圧印加端子59に増幅器出力シャントスイッチ用FET48をオンとするバイアスを印加し、増幅器出力シャントスイッチ用FET48をオン状態とすることで、先の第2に実施例同様、アンテナ端子11と受信信号出力端子12間のアイソレーションが更に改善されるものとなっている。
【0052】
次に、第4の実施例について、
図5を参照しつつ説明する。
なお、
図1乃至
図4のいずれかに示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第4の実施例は、出力インピーダンス整合回路8の入力段に、増幅器出力シャントスイッチ用FET48を用いたシャント回路を設けたものである。
【0053】
以下、具体的に説明すれば、まず、増幅器出力シャントスイッチ用FET48は、そのドレインが、出力インピーダンス整合回路8の入力段と第2の信号増幅用FET2のドレインとの接続点に接続される一方、そのソースは、出力シャント用DCカットキャパシタ51を介してグランドに接続されると共に、ソース・ドレイン間には、出力シャント用ソース・ドレイン間抵抗器49が接続されている。
そして、増幅器出力シャントスイッチ用FET48のゲートは、出力シャント用ゲート抵抗器50を介して第6のコントロール電圧印加端子59に接続されている。
かかる構成における作用、効果は、
図4に示された第3の実施例と基本的に同様であり、ここでの再度の詳細な説明は省略する。
【0054】
次に、第5の実施例について、
図6を参照しつつ説明する。
なお、
図1乃至
図5のいずれかに示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第5の実施例は、
図5に示された増幅器出力シャントスイッチ用FET48を用いたシャント回路を、シャント用キャパシタ52に代えたものである。
【0055】
すなわち、シャント用キャパシタ52は、出力インピーダンス整合回路8の入力段とグランドとの間に直列接続されて設けられたものとなっている。
かかる構成における作用、効果は、
図5に示された第4の実施例と基本的に同様であり、ここでの再度の詳細な説明は省略するが、この第5の実施例は、第4に実施例に比して、回路規模が小さくなるという特徴を有するものである。