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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-227560(P2015-227560A)
(43)【公開日】2015年12月17日
(54)【発明の名称】融雪機能を有する防雪システム
(51)【国際特許分類】
   E01F 7/02 20060101AFI20151120BHJP
   H02S 40/12 20140101ALI20151120BHJP
   E04H 17/16 20060101ALI20151120BHJP
   H02S 20/21 20140101ALI20151120BHJP
【FI】
   E01F7/02
   H02S40/12
   E04H17/16 104
   H02S20/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-113220(P2014-113220)
(22)【出願日】2014年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】501095473
【氏名又は名称】理研興業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】508337259
【氏名又は名称】PVG Solutions株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001085
【氏名又は名称】株式会社クラレ
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(72)【発明者】
【氏名】柴尾 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】内海 博行
(72)【発明者】
【氏名】石川 直揮
(72)【発明者】
【氏名】鹿野 康行
(72)【発明者】
【氏名】杉渕 康一
(72)【発明者】
【氏名】秋庭 英治
【テーマコード(参考)】
2D001
2E142
5F151
【Fターム(参考)】
2D001PA01
2D001PB05
2D001PD05
2D001PF05
2E142AA03
2E142EE02
2E142HH01
2E142HH14
2E142HH21
2E142JJ00
2E142MM12
5F151JA13
5F151JA15
(57)【要約】
【課題】防雪柵下部の積雪を融解させて、防雪柵の本来持つ能力を維持し、道路交通安全を確保できる防雪システム提供する。
【解決手段】防雪すべき地面に複数の支柱が設けられ、支柱の上部では、支柱と支柱との間に複数の防雪板が柵状に掛け渡された防雪柵を備えた防雪システムにおいて、前記防雪システムは、前記防雪板に設けられた太陽電池モジュールと、防雪柵下部近傍に積雪された雪を融解するための、電気ヒーターが内蔵された融雪体と、を具備しており、前記太陽電池により発電された電力により、前記融雪体に内蔵された電気ヒーターが加熱されて、地面上に積雪された雪の融解を可能とすることを特徴とする防雪システム。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防雪すべき地面に複数の支柱が設けられ、支柱の上部では、支柱と支柱との間に複数の
防雪板が柵状に掛け渡された防雪柵を備えた防雪システムにおいて、
前記防雪システムは、前記防雪板に設けられた太陽電池モジュールと、前記防雪柵下部近傍に積雪された雪を融解するための、電気ヒーターが内蔵された融雪体と、を具備しており、
前記太陽電池により発電された電力により、前記融雪体に内蔵された電気ヒーターが加熱されて、地面上に積雪された雪の融解を可能とすることを特徴とする防雪システム。
【請求項2】
前記防雪柵が、支柱の上部では、支柱と支柱との間に複数の防雪板が柵状に掛け渡されるとともに、支柱の下部では、支柱と支柱の間に空隙を有する防雪柵を備えた吹き払い柵である、請求項1に記載の防雪システム。
【請求項3】
前記防雪すべき地面が、道路側端である、請求項1または2に記載の防雪システム。
【請求項4】
前記太陽電池モジュールが、両面受光型である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の防雪システム。
【請求項5】
前記融雪体が、前記電気ヒーターを内蔵している、請求項1〜4のいずれか一項に記載の防雪システム。
【請求項6】
前記電気ヒーターが、導電性繊維を含む面状発熱体である、請求項5に記載の防雪システム。
【請求項7】
前記面状発熱体が、前記防雪柵下部近傍の地面上に配設されている融雪マットである、請求項6に記載の防雪システム。
【請求項8】
さらに前記融雪マットを地面に固定するための固定具を備える、請求項7に記載の防雪システム。
【請求項9】
前記固定具が、前記支柱と一体化されている、請求項8に記載の防雪システム。
【請求項10】
前記融雪体が、防草機能を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の防雪システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、降雪地帯の道路交通安全のために設置する防雪柵(防雪・防風柵と称することもある)に、融雪機能を付与した防雪システムに関する。
【背景技術】
【0002】
降雪地帯において使用する防雪柵は道路交通安全を確保するために、道路面に雪を積もらせないよう、また視程障害を緩和させるよう、様々な工夫がなされてきた。この防雪柵には、吹溜柵、吹止柵、吹き払い柵などがあり、この中の代表的な柵である吹き払い柵についてその基本構造が非特許文献1に示されている(図6参照)。
【0003】
吹き払い柵とは、防雪板で風を制御し、柵の下部間隙から加速されて吹き抜ける強い風で道路の路側や路面の雪を吹き払うことによって、視程障害を緩和することができる防雪柵である。柵の機能を維持するためには、常に下部間隙を開けておくことが大切であるとされ、降積雪が多い地方では下部間隙が積雪で塞がるため路面に吹き溜まりができやすくなるなどの問題があり、下部間隙の確保に努める必要があることが指摘されている。しかし、雪で閉塞した下部間隙の機械除雪が難しいなどの問題も指摘されている。
【0004】
吹き払い柵の具体的一例が特許文献1に示されている(図7参照)。一定間隔(通常、約3.5〜4.0m)おいて立設された支柱1間に防雪板2が上下方向に数段平行して均等に架け渡すように配設され、防雪板2両端の水平軸芯21を中心として回動可能なように前記支柱1に取り付けられている。また隣接する支柱上端には間隔材12が架け渡されて支柱間隔が常に保たれるようになされている。そして、この支柱1に沿うようにして1本のリンク棒3が設けられ、前記それぞれ防雪板2端部の水平軸芯21から離れた位置にこのリンク棒3が遊嵌されて、リンク棒3の上下動に連れて各防雪板2の角度が同調して変化するようになされている。
【0005】
特許文献1に示されている吹き払い柵においては、さらに防雪板2の上面となる一面側に太陽電池パネル4がはめ込まれて、各防雪板2に端子箱22が設けられて、太陽電池パネル4からその端子箱22を経由して外部の受電器に導くためのリード線が防雪板2のフレーム内を通って配線されている。
【0006】
特許文献1においては、このような太陽電池パネルを取り付けることによって、冬季は防雪機能を有しつつフルシーズンに亘って南東面からの太陽光を受けて効率よい太陽光発電をすることが出来る。またその電力を近傍の施設や商用電源に有効に活用することが出来るようになる。また前記防雪板が両面発電仕様の太陽電池セルを内部に収めた透明板を使うことによって、防雪板の下面に受ける地面の反射光で発電することが出来るので、積雪期でも雪面に反射する強い光によって発電量が得られる。さらに防雪柵が設置される場所は往々にして商用電源が採れず、その反面日照に優れているので、発電能力は高くまたその電力を利用する価値も高い。即ち周辺に照明灯や自発光保安施設などを設置して電力を供給することによって、車などの安全な走行が可能となり、交通事故を未然に防止できるなどの効果を奏している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3958518号公報(図2
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】独立行政法人土木研究所 寒地土木研究所道路吹雪対策マニュアル(平成23年改訂版、平成23年3月発行)[P3−2−13〜14]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
非特許文献1に示されている吹き払い柵は、下部間隙が雪で塞がれると道路の吹き払い能力を維持できないという問題がある。この吹き払い柵の吹き払い能力を維持するためには、除雪機や人力によって下部間隙を塞いだ雪を除雪する必要があるが、経費・人件費が掛かるため現実的には除雪されないこともある。また短期間で大量の積雪が発生した場合は除雪が間に合わないこともある。ゆえに、吹き払い柵が本来持つ吹き払い能力を維持できない状況が発生し、冬期の道路交通安全を確保できないという問題が発生することがある。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みて、防雪柵近傍の積雪を溶かすことにより除去し、除雪
をしていない、またはできない状況においても防雪柵の本来の機能を維持させ、冬期の道路交通安全を確保可能な防雪システムの提供を解決すべき課題として設定した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討の結果、本発明に到達した。
本発明は、防雪すべき地面に複数の支柱が設けられ、支柱の上部では、支柱と支柱との間に複数の防雪板が柵状に掛け渡される防雪柵を備えた防雪システムにおいて、
前記防雪システムは、前記防雪板に設けられた太陽電池モジュールと、防雪柵下部に積雪された雪を融解するための、電気ヒーターが内蔵された融雪体と、を具備しており、
前記太陽電池により発電された電力により、前記融雪体に内蔵された電気ヒーターが加熱されて、地面上に積雪された雪の融解を可能とすることを特徴とする防雪システムである。
【0012】
前記防雪柵が、支柱の上部では、支柱と支柱との間に複数の防雪板が柵状に掛け渡されるとともに、支柱の下部では、支柱と支柱の間に空隙を有する防雪柵を備えた吹き払い柵であってもよく、前記防雪すべき地面が道路側端(路傍)であってもよい。
【0013】
前記太陽電池モジュールとしては、一般的な片面型の太陽電池を用いることができるが、両面受光型を用いてもよい。
【0014】
前記融雪体が、前記電気ヒーターを内蔵していることが好ましく、前記電気ヒーターは
融雪機能を有する一般的な発熱体を用いることができ、なかでも特許第512983号公報に記載の導電性繊維を含む面状発熱体を用いてもよい。
【0015】
前記面状発熱体が、前記防雪柵下部の地面上に配設されている融雪マットであってもよい。前記融雪マットは、地面上に設置されるような形状(好ましくは、平面状)を有し、内部に加熱手段を備えて、融雪機能を有している。さらに前記融雪マットを地面に固定するための固定具を備えていてもよい。前記固定具が、前記支柱と一体化されていてもよい。
【0016】
前記融雪体として、地面への設置により防草機能を発揮する仕様のものを用いることが好ましい。前記電気ヒーターは、融雪機能だけでなく、防草機能を発揮する仕様のものを用いることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る防雪システムによれば、防雪板に設置した太陽電池から、電気ヒーターが内蔵された融雪体に電力が供給され、前記防雪柵下部に積雪した雪を融解させることができる。その結果、積雪が除去されて防雪柵の本来持つ機能を維持することができ、冬期の道路交通安全を確保することができる。
【0018】
防雪柵に取り付ける防雪板は地面に対して水平から約60°〜90°に設置されることが多いため、片面受光型太陽電池モジュールでは太陽光を十分に受光できず発電されない時間帯が発生してしまうが、本発明に係る防雪システムの好ましい態様として、両面受光型太陽電池モジュールを使用することにより、発電されない時間帯を少なくすることができる。
【0019】
本発明に係る防雪システムにおいて、電気ヒーターとして汎用の線状発熱体であるニクロム線ヒーターを用いることも可能であるが、好ましい態様として、面状発熱体を用いることにより(例えば、特許第5512983号公報に記載の面状発熱体)積雪に対して均一に熱を供給することが出来ることにより、より効率的に積雪を融雪させ除去することができる。
【0020】
さらに、防雪柵の近傍の地面には防草用部材を設置することが多いが、本発明に係る防雪システムにおいて地面上に配設される融雪体(面状発熱体)を防草用部材として利用して、別途防草用部材を用意・施工する必要がなくなり、夏季においての除草作業が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施態様に係る防雪システムを道路側から見た斜視図である。
図2】本発明の実施態様に係る防雪システムを風上側から見た斜視図である。
図3】本発明の実施態様に係る防雪システムの側面図である。
図4】本発明の実施態様に係る両面受光型太陽電池モジュール内蔵防雪板の斜視図である。
図5】本発明の実施態様に係る防雪システムの風上側から見た斜視図である。
図6】吹き払い柵の概略を示す説明図である。
図7】(イ)は文献1に示された吹き払い柵の例を示す正面図、(ロ)は特許文献1に示された吹き払い柵の例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(防雪システム)
本発明の防雪システムは、(1)防雪すべき地面に複数の支柱が設けられ、支柱の上部では、支柱と支柱との間に複数の防雪板が柵状に掛け渡されるとともに、支柱の下部では、支柱と支柱の間に空隙を有する防雪柵と、
(2)前記防雪板に設けられた、太陽電池モジュールと、
(3)防雪柵下部に積雪された雪を融解するための、電気ヒーターが内蔵された融雪体と、を具備しており、前記太陽電池により発電された電力により、前記融雪体に内蔵された電気ヒーターが加熱されて、地面上に積雪された雪の融解が行われることを特徴としている。
【0023】
(防雪柵)
防雪柵とは、非特許文献1において定義されているとおり、吹雪対策のために鋼板等の材料で作られた防雪板で柵前後(風上、風下)の風速や風の流れを制御して、道路の吹きだまり防止や視程障害の緩和を図ることを目的とした吹雪対策施設を言い、防雪柵の型式としては、吹きだめ柵、吹き止め柵、吹き払い柵及び吹き上げ防止柵などが挙げられるが、本明細書では、そのうちの代表的な吹き払い柵について具体的に説明する。ただし、吹き払い柵に限定されるものではない。
【0024】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1〜3は、本発明に係る防雪システムの一例が示されている。図1は、本発明に係る防雪システムにおける防雪柵として代表的な吹き払い柵を道路側から見た斜視図であり、図2は風上側からみた斜視図であり、図3は、側面図である。
図1〜3において、支柱101に、4枚の防雪板102、103が掛け渡されて防雪柵を形成しており、上側2枚の防雪板102には、両面受光型の太陽電池モジュールが内蔵されており、下側2枚の防雪板103は通常の防雪板である。本図面では両面受光型太陽電池モジュール内蔵防雪板102と防雪板103は2枚ずつで構成されているが、設置されている状況により必要な電力は変動するため、必要な太陽光モジュールも変動する。よってこの枚数構成はあくまで一例である。
本発明の防雪システムにおいては、降雪または積雪が上記の防雪柵の下部空隙を塞ぐのを防ぐために、防雪板102に取り付けられた太陽電池により発電される電気を、図1〜3に示されているように、防雪柵下部に設けられた融雪体(面状発熱体等の電気ヒーター内蔵)104に供給して、雪を融解することにより、下部空隙の確保を可能としている。
【0025】
図3の態様においては、両面受光型太陽電池モジュール内蔵防雪板102と通常の防雪板103が支柱101に対して約20°(水平から約70°)になるように固定されている。 これは吹き払い柵として一般的な角度であるが、この角度に限定されることなく、また、角度可変型にしてもよい。また、防雪板103の最下部と地面との距離である下部間隙は通常約1200mmであり、これも吹き払い柵として一般的な距離であるが、設置場所の状況に応じて適宜選択される。
【0026】
(太陽電池モジュール)
本発明において、太陽電池モジュールとしては、両面から受光して発電できることで、例えば一方の面に直接太陽光が当たるようにし、且つ他方の面に散乱光が受光できるようにする等、片面受光型のものより太陽電池としての発電効率を高めることができることから、両面受光型のものが好ましく用いられる。図4には両面受光型太陽電池モジュール内蔵防雪板2の構成が示されている。両面受光型太陽電池モジュール内蔵防雪板102は両面受光型太陽電池モジュール1021、フレーム1022、電源コード1023から構成されている。太陽電池で発電された電気は、後述の融雪体に導電されて、吹き払い柵下部
の積雪を除去し、下部間隙が塞がれていない状況を維持することにより、冬期の道路交通安全を確保することができる。なお、太陽電池による発電量が融雪体の必要電力を賄えない場合には、外部電源からの電力と併用されるようにしてもよく、また、夏季のように融雪体に供給する必要の場合には、太陽電池による発電電力を外部に供給するようにしてもよい。
【0027】
(太陽電池モジュールと融雪体内蔵電気ヒーターとの接続)
両面受光型太陽電池モジュール内蔵防雪板102と融雪体(電気ヒーター内蔵)104は、電源コードで接続されており、両面受光型太陽電池モジュール内蔵防雪板102にて発電された電力が融雪体104の電気ヒーター(面状発熱体など)を発熱させ、融雪体104に接する雪を加熱する。この熱により吹き払い柵下部の積雪を融雪し、除去することが可能となる。
【0028】
また接続にあたっては、太陽光モジュールと電気ヒーターの間に、MPPT(最大電力点追尾装置)を入れて発電電力を最大化することもでき、さらにMPPTと電気ヒーターの間にDC/DCコンバータを接続し、電気ヒーターへの供給電圧を電気ヒーターの仕様に合わせて最適化することもできる。さらに、MPPTとDC/DCコンバータの間に蓄電池と連携した充放電コントローラを接続し、MPPTから来る電力を、必要に応じてDC/DCコンバータもしくは蓄電池に通電することもできる。蓄電池に蓄えられた電力は、必要に応じて、外部負荷体に接続して利用することもでき、その際、タイマーを介して外部負荷体へ適時に電力使用することもできる。また、DC/DCコンバータから電気ヒーターへの接続の間にタイマーを介して、適時に電気ヒーターへの通電を行うこともできる。
また本システムの周辺に電力系統がある場合にはパワーコンディショナを介して系統連系させることにより、余剰電力の逆潮流が可能になり、夜間を含む不日照時にも電気ヒーターへ給電することもできる。
【0029】
(融雪体)
本発明に係る防雪システムを構成する融雪体104は、防雪柵下部の積雪を、前記の太陽電池モジュールからの電力により融解させる機能を備えておれば、その構造、設置場所(地面上、支柱周り、最下部の防雪板底面から下方にスライドダウン等)、形状(防雪柵下部の地面上を被覆する長尺物、つなぎ合わせで適宜の寸法の融雪体にすることのできる短尺物)を問わないが、好ましくは、防雪柵が設置されている地面上に面状の形状をした面状発熱体が配設される。
融雪体104は、太陽電池モジュールからの電力により発熱する電気ヒーター(発熱体)と、それを被覆する防水性の被覆材とから構成されている。
【0030】
(発熱体)
融雪体104に内蔵される発熱体としては、ニクロム線を紙やシート上に配線したもの、輻射発熱体(赤外線)などを用いた面状発熱体、フィルム、シート等の基材上に通電発熱体としてカーボンブラック等の導電性粒子を添加した塗料、インキ等をコーティング、又は印刷したもの、炭素繊維を必須成分として含む繊維に樹脂を含浸した導電性シート、導電性粒子等がコートされた導電性繊維を含む編織物などが挙げられ、これらはいずれも本発明における融雪体に内蔵される発熱体として用いられるが、なかでも、カーボンナノチューブで被覆された有機繊維を含む網織物から構成される面状発熱体が、広い面積で均一に発熱し、柔軟性・耐屈曲疲労性に優れる面状発熱体であることから本発明において好ましく用いられる。均一発熱ゆえに、従来のニクロムなどの線状発熱体と比べて対象物へ均一に熱伝導するため、特に融雪用途においては効率的な融雪機能を発揮することが可能である。
【0031】
上記の導電性繊維を用いる面状発熱体は、導電性繊維を含む編織物で形成された発熱部と、この発熱部を通電するための電極部とで構成されている。前記導電性繊維が、有機繊維と、この有機繊維の表面を被覆するカーボンナノチューブとを含む。前記カーボンナノチューブの割合は、有機繊維100質量部に対して、0.1〜50質量部程度であってもよい。前記有機繊維は、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂及びアクリル系樹脂からなる群から選択された少なくとも一種で構成されていてもよい。前記導電性繊維は、単糸繊度11dtex以下のマルチフィラメント糸又は紡績糸であってもよい。前記導電性繊維は、有機繊維に振動を与えながら、カーボンナノチューブを含む分散液中に有機繊維を浸漬して、導電層を有機繊維の表面に付着させた繊維であってもよい。前記導電性繊維の20℃における線電気抵抗値が1×10−1〜1×10Ω/cm程度であってもよい。前記編織物は、ポリエステル系繊維で構成された経糸と導電性ポリエステル系繊維で構成された緯糸とで構成された織布であってもよい。前記編織物は、電極部との接触部分を除いて、絶縁層で被覆された導電性ポリエステル系繊維で構成された編布であってもよい。
【0032】
電極部は、通電可能な導電材料で形成されており、導電性を有していれば特に限定されず、炭素材やセラミックなどであってもよいが、通常、金属が利用される。金属としては、例えば、タングステンなどの周期表第6A族金属、マンガンなどの周期表第7A族金属、鉄、ニッケル、コバルト、白金などの周期表第8族金属、銅、銀、金などの周期表第1B族金属、亜鉛などの周期表第2B族金属、アルミニウムなどの周期表第3B族金属、スズ、鉛などの周期表第4B族金属、ビスマスなどの周期表第5B族金属などが挙げられる。これらの金属のうち、クロム、ニッケル、銅、銀、金、アルミニウムなどの金属が汎用される。電極部の形状は、発熱部の形状に応じて適宜選択でき、特に限定されないが、通常、矩形状シートである発熱部の両端部に配設されるため、帯状又は線状(繊維状又は棒状)である。電極部のサイズは、発熱部の形状に応じて選択できる。
【0033】
(被覆材)
被覆材としては、疎水性の樹脂、ゴム、金属箔などからなる被覆材が挙げられる。シート状の被覆材が上記の発熱体を被覆して融雪体を構成している。
被覆材は、光遮蔽性、柔軟性、耐候性、防滑性に優れるシートを用いたものとすることにより、凹凸のある地面に密着して、光を遮断することにより長期にわたり防草機能を発揮することができ、またその上に人が乗っても滑ることなく安全に歩行することができる。このため、夏期の雑草の繁殖を防止でき、除草のための維持管理が軽減される。また本来であれば別途購入する必要のある防草パネルを購入する必要が無く、その費用を削減することができる。シートとしては、軟質塩化ビニル樹脂シート、ポリオレフィンシート、ポリエステルシートなどが挙げられる。
【0034】
(通電による除草機能)
上記の融雪体(面状発熱体)は、積雪のある場合には融雪機能を発揮する一方、積雪のない場合に通電発熱すると、地中の水分蒸発を促進するため、前記の光の遮蔽による効果とともに、雑草の繁殖をより効果的に防止する性能を発揮することもできる。
【0035】
本発明の防雪システムは、上記の融雪体(面状発熱体)は好ましくは地面上に配設されるが、強い風などで移動しないように、地面上にしっかり固定することが好ましい。融雪体の地面への固定具としては、防雪板を取り付けるための支柱の固定台を融雪体の浮き上がりを規制する押さえ板として利用してもよく、また、別途に、融雪体の浮き上がり押さえる押さえ板と地面に打ち込まれるアンカー部とを有する押さえ具を備えていてもよい。
図5には、支柱101の固定台105によって、融雪体(面状発熱体)104を固定した例が示されている。
【実施例】
【0036】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は本実施例により何ら限定されるものではない。
【0037】
(防雪システム)
図1(道路側)、図2(風上側)および図3(側面図)で示す型の防雪システムを、小樽市銭函の理研興業株式会社敷地内で、南東方向に設置して実験を行った。冬季の融雪状況を調べると共に、夏季における融雪体による防草効果を確認した。
【0038】
(太陽電池モジュール)
防雪柵の上部2段の防雪板102各々に、両面受光型太陽電池モジュール(SEBB36−156B、幅768mm、長さ1525mm、PVG Solutions社製)を2枚ずつ、合計4枚を設置した。4枚の両面受光型太陽電池モジュールを直列に接続し、発電ピーク時の容量0.64kW、電圧74.8Vの仕様とし、これを融雪体(面状発熱体)104に接続し、適宜通電できるように接続器を設置した。
【0039】
(融雪体)
面状発熱体として、まずクラレリビング社製「CNTEC」240T48(240dtex, 950Ω/cm)を緯糸に配置し、ポリエステル加工糸(クラレトレーディング(株)製、167dtex/48フィラメント)を経糸に配置した、平織組織で緯糸密度60本/インチの織物を用い、これに電極を接続して、幅75cm、長さ295cm、75Vの印加電圧にて250W/mのワット密度の生地発熱体とした。さらにこれをポリ塩化ビニルシートにて封止し、さらに表面に防滑シート(ロンマットMEジャスパーJP−27、ロンシール株式会社製)を取り付け、幅80cm、長さ300cmの融雪体104とした。防滑シートとして採用したロンマットは、光遮蔽性、柔軟性、耐候性に優れるポリ塩化ビニル製のシートである。
この融雪体104を防雪柵下部の地面上に配設して、3.5m間隔に立設されている支柱101の固定台105で固定した(図5参照)。
【0040】
(実験結果)
太陽光発電によって発電された電力を融雪体(面状発熱体)104に通電し、融雪状況および防草状況を一年間にわたり観察した。一か月毎の結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
表1の通り、太陽電池発電電力を融雪体(面状発熱体)に通電したところ、11、12、3、4月では晴天日1日の通電にて残雪がなくなり、良好な融雪状況を確認した。厳冬期の1、2月では一時的な積雪はあるものの数日の晴天時の通電により残雪がなくなることを確認した。また、年間を通じて融雪体(面状発熱体)で覆った地面からの雑草の発生はなく、特に夏場は面状発熱体による地面の乾燥の効果もあり、良好な防草性能を確認した。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係る防雪システムは、防雪柵下部に積雪した雪を融解させる機能を有することができ、特に吹払柵の下部に積雪して吹き払い柵の機能が失われるという事態を避けることができて、常にその機能を維持できるという特徴を有するので、産業上の利用可能性を有する。
【0044】
以上の通り、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1 支柱
2 防雪板
3 リンク棒
4 太陽電池パネル
12 間隔材
21 水平軸芯
22 端子箱
101 支柱
102 両面受光型太陽電池モジュール内蔵防雪板
1021 両面受光型太陽電池モジュール
1022 フレーム
1023 電源コード
103 防雪板
104 融雪体
105 固定台
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7