特開2015-229815(P2015-229815A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-229815(P2015-229815A)
(43)【公開日】2015年12月21日
(54)【発明の名称】不織布シート
(51)【国際特許分類】
   D06M 15/53 20060101AFI20151124BHJP
   D04H 3/12 20060101ALI20151124BHJP
   D06M 13/165 20060101ALI20151124BHJP
   D06M 15/568 20060101ALI20151124BHJP
【FI】
   D06M15/53
   D04H3/12
   D06M13/165
   D06M15/568
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-117620(P2014-117620)
(22)【出願日】2014年6月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000195661
【氏名又は名称】住友精化株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小澤 仁
(72)【発明者】
【氏名】宮原 亮
【テーマコード(参考)】
4L033
4L047
【Fターム(参考)】
4L033AA05
4L033AB07
4L033AC02
4L033AC09
4L033BA14
4L033CA48
4L047BA12
4L047CA02
4L047CA05
4L047CA07
4L047DA00
(57)【要約】
【課題】柔軟性、初期濡れ性、吸水時の水の拡散性に優れ、吸水時の表面の潤滑性に優れたシートを提供すること。
【解決手段】ポリアルキレンオキシド変性物が不織布表面に溶融コーティングされてなる不織布シート。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアルキレンオキシド変性物が不織布表面に溶融コーティングされてなる不織布シート。
【請求項2】
ポリアルキレンオキシド変性物が、ポリアルキレンオキシド化合物、ジオール化合物、及びジイソシアネート化合物を反応させて得られるポリアルキレンオキシド変性物である請求項1に記載の不織布シート。
【請求項3】
ポリアルキレンオキシド変性物及び熱可塑性樹脂を含む組成物が不織布表面に溶融コーティングされてなる請求項1または2に記載の不織布シート。
【請求項4】
前記組成物における熱可塑性樹脂の割合が、ポリアルキレンオキシド変性物100質量部に対して、200〜500質量部である請求項3に記載の不織布シート。
【請求項5】
ポリアルキレンオキシド変性物が不織布表面に30〜300g/m溶融コーティングされてなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の不織布シート
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の不織布シートを備えた積層シート。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の不織布シート及び離型シートを備えた請求項6に記載の積層シート。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の不織布シートが複数積層しており、当該不織布シートにおけるポリアルキレンオキシド変性物層どうしが熱融着されて積層している、請求項6又は7に記載の積層シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は不織布シートに関する。さらに詳しくは、柔軟性、初期濡れ性、吸水時の水の拡散性に優れ、吸水時の表面の潤滑性に優れた、ポリアルキレンオキシド変性物が不織布表面に溶融コーティングされてなる不織布シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸水性を有するシートとしては、イオン性吸水性樹脂、活性炭、モレキュラシーブス等の吸水性成分を、基材の間に保持、あるいは基材の表面に接着したシートが知られている(例えば、特許文献1および2参照)。このようなシートは、一般に、吸水性成分を基材上に散布する方法、溶剤にバインダーを溶解した溶液に吸水性成分を分散させたスラリーを基材に塗布後、溶剤を除去する方法により製造される。しかしながら、前者の方法においては、吸水性成分がそれ自身接着性や熱可塑性を有さないため、出来上がったシートにおいて吸水性成分の偏在化や基材からの脱落という問題がある。また後者の方法においては、溶剤の回収等に大型の設備と多大なエネルギーを要する。
【0003】
一方、上記吸水性成分に接着性と熱可塑性を付与する目的で、吸水性成分に熱可塑性樹脂を混合し、基材に溶融接着する方法も知られている(例えば、特許文献3および4参照)。しかしながら、基材との接着性を付与するために多量の熱可塑性樹脂が必要となり、その結果、吸水性成分の表面が熱可塑性樹脂で覆われてしまい、充分な吸水性能が発揮できないという問題がある。また、吸水性を向上する目的で、吸水成分と熱可塑性樹脂との混合物を基材全体に塗布する方法が知られているが、シートの柔軟性が損なわれ、初期濡れ性、吸水時の水の拡散性が悪いという問題がある。
【0004】
これらの問題を解決するために、ポリアルキレンオキシド変性物を基材にモールド印刷成型する方法やドット状にコーティングする方法が提案されている(特許文献5、特許文献6)。これらの方法においては柔軟性や吸放湿性には優れるものの、基材全体に吸液した成分が広がらないことや、基材全体が吸水した後の表面が凸凹するためその潤滑性が悪いことから、例えばフェーシャルペーパー等の用途に使用するには課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−322668号公報
【特許文献2】特開平11−167049号公報
【特許文献3】特開平5−31856号公報
【特許文献4】特開平7−186338号公報
【特許文献5】特開2003−334419号公報
【特許文献6】特開2004−276241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、柔軟性、初期濡れ性、吸水時の水の拡散性に優れ、吸水時の表面の潤滑性に優れたシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、不織布表面に、ポリアルキレンオキシド変性物を溶融コーティングすることで、柔軟性、初期濡れ性、吸水時の拡散性に優れるともに、吸水時の表面の潤滑性にも優れるシートが得られることを見出し、さらに改良を重ねて本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、たとえば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
ポリアルキレンオキシド変性物が不織布表面に溶融コーティングされてなる不織布シート。
項2.
ポリアルキレンオキシド変性物が、ポリアルキレンオキシド化合物、ジオール化合物、及びジイソシアネート化合物を反応させて得られるポリアルキレンオキシド変性物である項1に記載の不織布シート。
項2a.
前記ポリアルキレンオキシド化合物が、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド、エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体、エチレンオキシド/ブチレンオキシド共重合体、プロピレンオキシド/ブチレンオキシド共重合体、及びエチレンオキシド/プロピレンオキシド/ブチレンオキシド共重合体からなる群より選択される少なくとも1種である、項2に記載の不織布シート。
項2b.
前記ジオール化合物が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、及び1,9−ノナンジオールからなる群より選択される少なくとも1種である、項2又は2aに記載の不織布シート。
項2c.
前記ジイソシアネート化合物が、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネ−ト(HMDI)、3−イソシアナ−トメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネ−ト(IPDI)、1,8−ジメチルベンゾール−2,4−ジイソシアネート、及び2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)からなる群より選択される少なくとも1種である、項2、2a又は2bに記載の不織布シート。
項3.
ポリアルキレンオキシド変性物及び熱可塑性樹脂を含む組成物が不織布表面に溶融コーティングされてなる項1、2、2a、2b又は2cに記載の不織布シート。
項4.
前記組成物における熱可塑性樹脂の割合が、ポリアルキレンオキシド変性物100質量部に対して、200〜500質量部である項3に記載の不織布シート。
項5.
ポリアルキレンオキシド変性物が不織布表面に30〜300g/m溶融コーティングされてなる項1、2、2a、2b、2c、3又は4に記載の不織布シート
項6.
項1、2、2a、2b、2c、3、4又は5に記載の不織布シートを備えた積層シート。
項7.
項1、2、2a、2b、2c、3、4又は5に記載の不織布シート及び離型シートを備えた項6に記載の積層シート。
項8.
項1、2、2a、2b、2c、3、4又は5に記載の不織布シートが複数積層しており、当該不織布シートにおけるポリアルキレンオキシド変性物層どうしが熱融着されて積層している、項6又は7に記載の積層シート。
【発明の効果】
【0009】
本発明の不織布シートは、柔軟性、初期濡れ性、吸水時の拡散性に優れるともに、吸水時の表面の潤滑性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】平均摩擦係数(MIU)を求める方法を示す概略図である。
図2】平均摩擦係数の変動(MMD)を求める方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の不織布シートは、不織布の表面にポリアルキレンオキシド変性物を所要量熱コーティング(溶融コーティング)したものである。なお、不織布の「表面」とは、片面であっても両面であってもよい。すなわち、本発明の不織布シートは、不織布の片面又は両面にポリアルキレンオキシド変性物が溶融コーティングされてなる。
【0012】
本発明に用いるポリアルキレンオキシド変性物の吸水能は、好ましくは10〜40g/g、より好ましくは15〜35g/gである。ポリアルキレンオキシド変性物の吸水能が10g/g以上であることで、これを不織布表面に溶融コーティングしてなる不織布シートが吸水したときの潤滑性が好ましく得られる。また、ポリアルキレンオキシド変性物の吸水能が40g/g以下であると、不織布シートとした時にポリアルキレンオキシド変性物が吸水して膨れあがり不織布から剥がれ落ちるおそれが好ましく低減される。
【0013】
なお、本発明において吸水能とは、1gのポリアルキレンオキシド変性物を秤量(A[g])した後、100mLのイオン交換水に、室温下(22℃)で、24時間浸漬してゲル化させ、200mesh(孔径:75μm)の金網にてゲルを濾過した後の、濾物(残渣)である当該ゲルの質量(B[g])を測り、次式により、算出される値(Aが1なのでつまるところ、B)である。
吸水能(g/g)=B/A=B/1=B
【0014】
また、ポリアルキレンオキシド変性物の水溶出分は、好ましくは10〜40質量%であり、より好ましくは15〜35質量%である。ポリアルキレンオキシド変性物の水溶出分が10質量%以上であることで、得られる不織布シートの吸水時の潤滑性がより良好になり得る。ポリアルキレンオキシド変性物の水溶出分が40質量%以下であることで、乾燥、吸水を繰り返した時の潤滑性の持続性がより向上し得る。なお、本発明における水溶出分とは、上記吸水能測定後のゲルを、50℃の熱風乾燥機にて8時間乾燥させた後の重量を秤量し(C[g])、次式により求められる値である。
水溶出分(%)={(A−C)/A}×100=100(1−C)
【0015】
本発明に用いるポリアルキレンオキシド変性物は、ポリアルキレンオキシド化合物、ジオール化合物、及びジイソシアネート化合物を反応させて得られるものが好ましい。
【0016】
前記ポリアルキレンオキシド化合物としては、具体的には、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド、エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体、エチレンオキシド/ブチレンオキシド共重合体、プロピレンオキシド/ブチレンオキシド共重合体、及びエチレンオキシド/プロピレンオキシド/ブチレンオキシド共重合体等を例示できる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、ここでの「/」は各オキシドの共重合体であることを示すため用いた記号である。例えば、エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体を表す。
【0017】
また、前記ポリアルキレンオキシド化合物としては、エチレンオキシド基を90質量%以上有するポリアルキレンオキシド化合物が好ましく、エチレンオキシド基を95質量%以上有するポリアルキレンオキシド化合物がより好ましい。エチレンオキシド基が90質量%以上であると、得られるポリアルキレンオキシド変性物を不織布に溶融コーティングしてなる不織布シートの吸水時の潤滑性が好ましく向上し得る。
【0018】
また、前記ポリアルキレンオキシド化合物としては、数平均分子量5,000〜50,000のポリアルキレンオキシド化合物が好ましく、数平均分子量10,000〜30,000のポリアルキレンオキシド化合物がより好ましい。数平均分子量が5,000以上であると、得られる不織布シートの吸水時の潤滑性が好ましく向上し得る。また、数平均分子量が50,000以下であると、得られる不織布シートの耐久性が好ましく向上し得る。
【0019】
前記ジオール化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよび1,9−ノナンジオール等が挙げられる。これらのジオール化合物の中でも、得られる吸水性ポリアルキレンオキシド変性物を用いた不織布シートが吸水した時の潤滑性に優れるという観点から、エチレングリコール及び/又は1,4−ブタンジオールが好適に用いられる。これらのジオール化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
前記ジオール化合物の使用割合は、前記ポリアルキレンオキシド化合物1モルに対して、好ましくは0.8〜2.5モル、より好ましくは1.0〜2.0モルである。なお、ポリアルキレンオキシド化合物のモル数は、その質量を数平均分子量で除することにより求めることができる。
【0021】
前記ジイソシアネート化合物としては、同一分子内にイソシアネート基(−NCO)を2個有する化合物であれば特に限定されず、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネ−ト(HMDI)、3−イソシアナ−トメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネ−ト(IPDI)、1,8−ジメチルベンゾール−2,4−ジイソシアネート、および、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)等が挙げられる。これらのジイソシアネート化合物の中でも、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネ−ト(HMDI)および1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)が好適に用いられる。これらのジイソシアネート化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
前記ポリアルキレンオキシド化合物、ジオール化合物、及びジイソシアネート化合物のそれぞれの使用割合は、ポリアルキレンオキシド化合物の末端水酸基およびジオール化合物の水酸基の合計モル数に対する、ジイソシアネート化合物のイソシアネート基のモル数の比[R値=(−NCO基/−OH基)]が、好ましくは0.7〜1.2、より好ましくは0.8〜1.05である。R値が0.7以上であると、得られるポリアルキレンオキシド変性物を含む不織布シート吸水時の拡散性がより向上し得る。(つまり、吸収された水がシートに広く拡散し得る。)また、R値が1.2以下であると、得られるポリアルキレンオキシド変性物の吸水能が高まり、当該ポリアルキレンオキシド変性物を含む不織布シートの潤滑性がより向上し得る。
【0023】
ポリアルキレンオキシド化合物、ジオール化合物、及びジイソシアネート化合物を反応させる方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、これらをトルエン、キシレン、又はジメチルホルムアミド等の反応溶媒に溶解あるいは分散させて反応させる方法;粉末状または固体状のこれらを均一に混合した後、所定の温度に加熱して反応させる方法;等が挙げられる。工業的実施の見地からは、各原料を溶融状態で連続的に供給し多軸押出機中で混合して反応させる方法が好ましい。この場合、前記反応の温度としては、70〜210℃であることが好ましい。
【0024】
また、ポリアルキレンオキシド変性物を製造する際、反応を促進させる観点から、反応系内に、触媒を添加してもよい。例えば、触媒として、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、2−エチルヘキサン酸スズ、トリエチレンジアミン等を適当量添加することもできる。
【0025】
このような方法により、ポリアルキレンオキシド変性物を得ることができる。このような方法によれば、ポリアルキレンオキシド変性物は、通常、例えばペレット、シート、又はフィルム等の形態で得られる。本発明においてはペレット状の形態で用いることが好ましい。
【0026】
本発明の不織布シートは、不織布の表面に前記ポリアルキレンオキシド変性物を溶融コーティングすることにより得られる。コーティング方法が溶融コーティングであることは重要であり、例えば不織布にポリアルキレンオキシド変性物シート(例えば溶融させシート状に押出して冷やして製造したもの)をあわせて加圧し、エンボス加工することによって積層させた場合には、本発明の効果(優れた柔軟性や、吸水時の優れた拡散性)は奏されない。
【0027】
限定的な解釈を望むものではないが、溶融コーティングによれば不織布の柔軟性を損なうことがないうえ、不織布の繊維間隙に溶融したポリアルキレンオキシド変性物の一部が入り込むこととなり、吸水時には当該ポリアルキレンオキシド変性物が優れた潤滑性をシートに付与するのではないかと考えられる。また、不織布の片面にポリアルキレンオキシド変性物が溶融コーティングされたシートでは、吸水時にコーティングされていない不織布表面にもポリアルキレンオキシド変性物が作用して優れた触感や潤滑性を付与することができると考えられる。特に、不織布側から水が吸いこまれた場合に、逆面にコーティングされたポリアルキレンオキシド変性物が不織布側にも作用することで、優れた触感や潤滑性を付与し得ると考えられる。また、不織布の繊維に沿って水が移動するため拡散性にも優れる。
【0028】
本発明は、上記不織布シートを備えた積層シートも包含する。このような積層シートとしては、特に制限はされないが、例えば、上記不織布シートに離型シートが積層されてなるシート等が好ましく例示される。離型シートとしては、例えば離型フィルムや離型紙が挙げられる。離型シートは、上記不織布シートの不織布面側又はポリアルキレンオキシド変性物コーティング側、あるいはその両方に積層されていてよい。またあるいは、上記不織布シートが複数(2又はそれ以上)積層されてなる積層シートも例示できる。例えば、同種または異種の方法で得られた不織布シート(特に吸水性不織布シート)を積層することができる。積層の仕方としては、不織布どうし、ポリアルキレンオキシド変性物面どうし、あるいは不織布とポリアルキレンオキシド変性物面とを接合させる仕方が挙げられる。接合する方法としては、不織布どうしであれば熱や接着剤、あるいは粘着剤等で接合する方法が例示される。ポリアルキレンオキシド変性物面どうしであれば、熱融着する方法が例示される。特に、2枚の前記不織布シートにおけるポリアルキレンオキシド変性物コーティング層どうしが熱融着されてなる積層シートが好ましく例示できる。このシートの外側(両面とも不織布)にさらに離型シートが積層されていてもよい。
【0029】
溶融コーティングの方法としては、例えば、150〜200℃に設定された押出機(例えば単軸もしくは2軸押出機)にてポリアルキレンオキシド変性物をシート状に押し出し、これに不織布をあわせたうえで、冷却水(例えば10℃水)が循環しているドラム型チラーに通して挟み込みながら冷却する方法が挙げられる。さらに例えば、ドラム型チラーに適用する際に、ポリアルキレンオキシド変性物の片面に離型紙、もう片面に不織布をあわせておくことで、ポリアルキレンオキシド変性物が不織布に溶融コーティングされた不織布シートを備え、かつポリアルキレンオキシド変性物側に離型紙が備えられた積層シートを製造することもできる。冷却時には不織布の内部に前記ポリアルキレンオキシド変性物が一部融着して成型されると考えられる。なお、離型紙は通常使用時に取り除かれる。
【0030】
不織布表面に溶融コーティングされるポリアルキレンオキシド変性物量は、特に限定されないが、好ましくは20〜300g/m、より好ましくは30〜200g/mである。この好ましいポリアルキレンオキシド変性物量は、例えば下述するように、ポリアルキレンオキシド変性物及び熱可塑性樹脂を含む組成物を用いて溶融コーティングを行った場合でも同様である。ポリアルキレンオキシド変性物量が20g/m以上の場合、得られる不織布シートの吸水性、吸水後の潤滑性が好ましく向上する。また、ポリアルキレンオキシド変性物の塗布量が300g/m以下の場合、得られる不織布シートの柔軟性が好ましく保持される。
【0031】
本発明に用いる不織布は、公知の不織布を用いることができる。原料としては、例えば、綿、麻、絹、羊毛等の天然繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル等の合成繊維を挙げることができる。これらを公知の方法、例えば化学的方法、機械的方法、またはそれらの組合せにより絡み合わせて、ウエッブとしたものを用いることができる。
【0032】
本発明の不織布シートは、溶融コーティング時に、ポリアルキレンオキシド変性物及び熱可塑性樹脂を含む組成物を用いることで得ることもできる。
【0033】
前記熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等とエチレン、酢酸ビニル、アクリル酸等との共重合体);6−ナイロン、6,6−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、あるいはこれらの共重合体等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、および熱可塑性エラストマー(スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、塩化ビニル系)等が挙げられる。特にエチレン/酢酸ビニル共重合体や各種ナイロンが好ましい。熱可塑性樹脂は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0034】
前記組成物における熱可塑性樹脂の混合割合は、ポリアルキレンオキシド変性物100質量部に対して、好ましくは200〜500質量部、より好ましくは300〜400質量部である。熱可塑性樹脂の当該混合割合が200質量部以上の場合、不織布との接着性向上の効果が好ましく向上する。
【0035】
また、熱可塑性樹脂の混合割合が500質量部以下の場合、得られる不織布シートの吸水性、吸水時の潤滑性が好ましく向上する。
【0036】
前記ポリアルキレンオキシド変性物と熱可塑性樹脂とを混合する方法としては、例えば、所要量のポリアルキレンオキシド変性物と熱可塑性樹脂を、ヘンシェルミキサーやブレンダー等の混合機を用いて混合し、混合物を調製する方法等が挙げられる。また、さらに、得られた混合物を、ニーダー、ロール、押出機等の各種混練機を用いて溶融混練し、所望の形状、例えばペレット状に成型する方法等も挙げられる。得られた組成物の不織布へ溶融コーティングは、上記のポリアルキレンオキシド変性物の溶融コーティング方法に準じて行うことができる。
【0037】
本発明においては、ポリアルキレンオキシド変性物に、無機フィラー、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、殺菌剤、抗菌剤、芳香剤、消臭剤、着色剤等を添加することもできる。
【0038】
本発明の不織布シート及び積層シートは、ヒートシール性、接着性、柔軟性、初期濡れ性、吸水時の水の拡散性に優れ、吸水性、吸放湿性を有するため、例えば衛生材料(紙オムツ、失禁パット、生理用品、母乳パット)、化粧料用途(フェーシャルペーパー)、通信・電力ケーブル用止水テープ、食品包装材料(トレーライナー、除湿材料、輸送用コンテナー内張、保冷梱包材、ドリップ吸収シート、抗菌シート、鮮度保持シート)、防災材料(土嚢代替、消防服、消火用資材)、フィルター材料(油水分離フィルター、除湿フィルター、洗浄液分離フィルター)、医療用材料(手術用シーツ、メディカルウェア、血液吸収体、薬品吸収体、創傷治療用品、医療用テープ)、電気材料(モーターハウジング、エアコン用熱交換器、液晶包材、電池用セパレーター)、農業・園芸材料(保水シート、結露防止シート、屋上緑化シート、育苗シート)、土木・建築材料(コンクリート養生シート、法面緑化シート、結露防止シート、壁材、化粧用シート、住宅材料(防湿、調湿)、止水シート)、日用雑貨品(お手拭き、スポーツグッズ、洗車用品、マスク、帽子(吸汗シート、ムレ防止)、ハンガーカバー、寝具マット、インソール、ペットシート、押入・タンスシート、押し花シート、芳香・消臭・脱臭・防虫・防かびシート、乾燥剤・芳香剤の包装材、使い捨てカイロの外装、食器棚シート、冷蔵庫シート)等の幅広い分野で使用できる。
【実施例】
【0039】
以下に、本発明を製造例、実施例および比較例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、R値は、ポリアルキレンオキシド化合物の末端水酸基およびジオール化合物の水酸基の合計モル数に対する、ジイソシアネート化合物のイソシアネート基のモル数の比(−NCO基/−OH基)を表す。
【0040】
[評価方法]
下記製造例に記載のポリアルキレンオキシド変性物について、(1)吸水能、(2)水溶出分を以下の方法に従って測定した。また、下記実施例にて作製した不織布シートについて(3)柔軟性、(4)吸い上げ速度、(5)吸水能、(6)保水性、(7)すべり性 を以下の方法に従って測定した。
【0041】
(1)吸水能
ポリアルキレンオキシド変性物の吸水能については、以下の方法により測定した。
約1gのポリアルキレンオキシド変性物を秤量(A[g])した後、200mL容のビーカーに計りとった100mLのイオン交換水に、室温下(22℃)で、24時間浸漬してゲル化させた。その後、200mesh(孔径:75μm)の金網にてゲルをろ過し、その質量(B[g])を測り、次式により、吸水能を算出した。
吸水能(g/g)=B/A
【0042】
(2)水溶出分
上記吸水能測定後のゲルを、50℃の熱風乾燥機にて8時間乾燥させた後の質量を秤量し(C[g])、次式により水溶出分を求めた。
水溶出分(質量%)=(A−C)/A ×100
【0043】
(3)柔軟性
30cm×30cmのシートを両手で丸め以下の2段階で評価した。
○:容易に丸めることができ、手触りも柔らかい。
×:丸めるのに抵抗があり、ゴワゴワ感がある。
【0044】
(4)吸い上げ速度
実施例および比較例により得られた不織布シートを2cm×30cmの短冊状に切断して、垂直に吊るした。短冊の下から5mmの位置までを青色に着色した水に浸し、10分間での吸い上げた距離を測定した(cm)。
10分間での距離が3cm以上であれば良好と判断できる。
【0045】
(5)吸水能
実施例および比較例にて得られた不織布シートを5cm×10cmの大きさに切断してその重量(A[g])を測定した。不織布シートを200mL容のビーカーに計りとった100mLのイオン交換水に、室温下(22℃)で、3時間浸漬した。(ポリアルキレンオキシド変性物部分は吸水してゲル化した。)不織布シートの両面をティシュで軽く拭き、吸収されていない水をとった後、その質量(B[g])を測り、次式により、吸水能を算出した。
吸水能[g/m]=(B−A)×200
【0046】
(6)保水性
(5)で測定した不織布シートを40℃の恒温槽に30分間放置した後にその質量(C[g])を測定した。
保水性[%]=(B−C)/B ×100
保水性が70%以上あれば良好と判断できる。
【0047】
(7)すべり性
実施例および比較例により得られた不織布シートを2cm(W)×5cm(L)に切断し、0.1mL水を滴下した。その後、摩擦感テスター(カトーテック株式会社製、型式:KES−SE)を用いて、以下の試験条件下、摩擦係数μをモニターした。
センサー:10mm角ピアノワイヤー
荷重 :50[g]
速度 :10[mm/秒]
【0048】
(i)平均摩擦係数(MIU)
表面をこする時に感じるすべりやすさ、すべりにくさと相関性がある。この値が大きくなるほどすべりにくくなる。
【0049】
摩擦係数μのモニター結果から平均摩擦係数(MIU)を求める概略図を、図1に示す。
【0050】
図1に示すように、測定サンプルの表面をスキャンして、表面の摩擦係数μをモニターする。次に、20mmのモニター幅において、摩擦係数μについて積分する(図1の斜線部分)。積分値をモニター幅(20mm)で除することによって、平均摩擦係数(MIU)を求める。なお、実施例及び比較例で用いた不織布そのもののMIUは次の通りであった。
PPスパンボンド不織布 MIU 0.25
レーヨン不織布 MIU 0.33
【0051】
(ii)平均摩擦係数の変動(MMD)
表面をこする時に感じるなめらかさ、ざらつき感と相関性がある。この値が大きいほど表面がざらざらしている。
【0052】
摩擦係数のモニター結果から平均摩擦係数の変動(MMD)を求める概略図を、図2に示す。
【0053】
図2に示すように、20mmのモニター幅において、平均摩擦係数(MIU)と摩擦係数μとの差異の絶対値について積分する(図2の斜線部分)。積分値をモニター幅(20mm)で除することによって、平均摩擦係数の変動(MMD)を求める。
【0054】
MMDの値が0.015以下のとき、表面のなめらかさが良好といえる。なお、実施例及び比較例で用いた不織布そのもののMMDは次の通りであった。
PPスパンボンド不織布 MMD 0.018
レーヨン不織布 MMD 0.025
【0055】
製造例1 ポリアルキレンオキシド変性物の製造
80℃に保温された攪拌機を備えた貯蔵タンクAに、十分に脱水した数平均分子量20,000のポリエチレンオキシド100質量部、1,4−ブタンジオール0.90質量部およびジオクチルスズジラウレート0.1質量部の割合で投入し、窒素ガス雰囲気下で攪拌して均一な混合物とした。これとは別に、30℃に保温された貯蔵タンクBにジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートを投入し、窒素ガス雰囲気下で貯蔵した。
【0056】
定量ポンプを用いて、貯蔵タンクAの混合物を500g/分の速度にて、貯蔵タンクBのジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートを19.4g/分の速度にて、110〜140℃に設定した2軸押出機に連続的に供給し(R値=1)、押出機中で混合して反応を行い、押出機出口からストランドを出し、ペレタイザーによりペレット化して、ポリアルキレンオキシド変性物を得た。
【0057】
得られたポリアルキレンオキシド変性物の吸水能は25g/g、水溶出分は19%であった。
【0058】
製造例2 ポリアルキレンオキシド変性物の製造
数平均分子量15,000のエチレンオキシド/プロピレンオキシド(質量比:90/10)共重合体を250g/分の速度にて、また、40℃に加熱したエチレングリコールを2.1g/分の速度にて、それぞれ40mmφ単軸押出機(L/D=40、設定温度:90℃)に供給して両者を溶融混合した。
【0059】
吐出口から得られる混合物(均一な溶融状態で吐出しており、HPLCにて分析して仕込み比で混合していることを確認した)を、30mmφの2軸押出機(L/D=41.5)のホッパー口(設定温度:80℃)へ連続的に供給した。同時に2軸押出機のホッパー口にはジオクチルスズジラウレートを0.5g/分の速度にて供給した。
【0060】
これとは別に、前記2軸押出機のホッパー口の下流側に位置するスクリューバレル部に、30℃に調整したジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートを12.4g/分の速度にて供給し(R値=0.95)、窒素雰囲気下で連続的に反応させた(設定温度:180℃)。2軸押出機出口から得られるストランドを冷却後、ペレタイザーによりペレット化してポリアルキレンオキシド変性物を得た。
【0061】
得られたポリアルキレンオキシド変性物の吸水能は20g/g、水溶出分は15%であった。
【0062】
実施例1
製造例1で得られたポリアルキレンオキシド変性物をφ30mm単軸押出機にて溶融(170℃)させ300mm幅のスリットから押出し、10℃の冷却水が循環しているドラム型チラーにて、押出されたポリアルキレンオキシド変性物の片面に離型紙、もう片面にポリプロピレン製スパンボンド不織布(目付け 15g/m)を通して、それらで挟み込みながら、ポリアルキレンオキシド変性物量が30g/mになるよう不織布に溶融コーティングした。得られた不織布シートの評価結果を表1に示す。なお、本例及び下記例において、ポリアルキレンオキシド変性物を溶融して押出したものをチラーにて不織布や離型紙とあわせているが、このときはまだポリアルキレンオキシド変性物は溶融しており、溶融コーティングがなされる。
【0063】
実施例2
製造例2で得られたポリアルキレンオキシド変性物をφ30mm単軸押出機にて溶融(170℃)させ300mm幅のスリットから押出し、10℃の冷却水が循環しているドラム型チラーにて、押出されたポリアルキレンオキシド変性物の片面に離型紙、もう片面にレーヨン不織布(目付け 25g/m)を通して、それらで挟み込みながら、ポリアルキレンオキシド変性物量が200g/mになるよう不織布に溶融コーティングした。得られた不織布シートの評価結果を表1に示す。
【0064】
実施例3
製造例1で得られたポリアルキレンオキシド変性物を5[kg/hr]、及び共重合ナイロン(エムスケミー・ジャパン株式会社製 グリルテックスD1500A)を15[kg/hr]の条件で、180℃に設定したφ30mmの2軸押出機にそれぞれ供給し溶融させ、300mm幅のスリットからこれらの混合物を押出し、10℃の冷却水が循環しているドラム型チラーにて、片面に離型紙、もう片面にポリプロピレン製スパンボンド不織布(目付け 15g/m)を通して、それらで挟み込みながら、当該混合物量が120g/mになるよう不織布に溶融コーティングした。得られた不織布シートの評価結果を表1に示す。
【0065】
実施例4
製造例1で得られたポリアルキレンオキシド変性物を5[kg/hr]、及びエチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)(住友化学株式会社製 エバテートD5021)を20[kg/hr]の条件で、180℃に設定したφ30mmの2軸押出機にそれぞれ供給し溶融させ、300mm幅のスリットからこれらの混合物を押出し、10℃の冷却水が循環しているドラム型チラーにて、片面に離型紙、もう片面にポリプロピレン製スパンボンド不織布(目付け 15g/m)を通して、それらで挟み込みながら、当該混合物量が300g/mになるよう不織布に溶融コーティングした。得られた不織布シートの評価結果を表1に示す。
【0066】
比較例1
製造例1で得られたポリアルキレンオキシド変性物をφ30mm単軸押出機にて溶融(170℃)させ300mm幅のスリットから押出し、10℃の冷却水が循環しているドラム型チラーにて、押出されたポリアルキレンオキシド変性物の片面に離型紙を通し、ポリアルキレンオキシド変性物量が10g/mのシート(離型紙とポリアルキレンオキシド変性物からなる)を製造した。当該シートの評価結果を表1に示す。
【0067】
比較例2
製造例1で得られたポリアルキレンオキシド変性物を10[kg/hr]、共重合ナイロン(エムスケミー・ジャパン株式会社製 グリルテックスD1500A)を10[kg/hr]の条件で、180℃に設定したφ30mmの2軸押出機にそれぞれ供給し溶融させ、300mm幅のスリットからこれらの混合物を押出し、10℃の冷却水が循環しているドラム型チラーにて、押出されたポリアルキレンオキシド変性物の片面に離型紙を通し、当該混合物量が20g/mのシート(離型紙並びにポリアルキレンオキシド変性物及び共重合ナイロンの混合物からなる)を製造した。当該シートの評価結果を表1に示す。
【0068】
比較例3
製造例1で得られたポリアルキレンオキシド変性物をφ30mm単軸押出機にて溶融(170℃)させ300mm幅のスリットから押出し、10℃の冷却水が循環しているドラム型チラーにて冷却して、厚み35μmのポリアルキレンオキシド変性物のみからなるシートを作製した。当該シートを各評価に供する際には、当該シート上にポリプロピレン製スパンボンド不織布(目付け 15g/m)を置き、周囲を5mm幅でヒートシールしたものを用いた。評価結果を表1に示す。
【0069】
比較例4
ポリプロピレン製スパンボンド不織布(目付け 13g/m)単独での評価結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
表1に示された結果から明らかなように、ポリアルキレンオキシド変性物又はポリアルキレンオキシド変性物と熱可塑性樹脂の混合物を不織布に溶融コーティングした不織布シート(さらには、これに例えば離型シートなどが積層されてなる積層シート)は、柔軟性、初期濡れ性、吸水時の拡散性に優れ、吸水時の表面の潤滑性に優れる。
図1
図2