(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-231654(P2015-231654A)
(43)【公開日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】加工装置設置用治具及び加工装置の設置方法
(51)【国際特許分類】
B23Q 1/00 20060101AFI20151201BHJP
【FI】
B23Q1/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-119475(P2014-119475)
(22)【出願日】2014年6月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(72)【発明者】
【氏名】片山 巌男
【テーマコード(参考)】
3C048
【Fターム(参考)】
3C048AA03
(57)【要約】
【課題】 加工装置を容易に所望の場所に設置し得る加工装置設置用治具及び該治具を使用した加工装置設置方法を提供することである。
【解決手段】 加工装置を設置する際に使用する加工装置設置用治具であって、加工装置の足が載置される第一面と、該第一面の背面の第二面とを有する第一プレートと、該第一プレートの下に配設され、該第一プレートの該第二面に当接する第三面と、該第三面の背面で床に当接する第四面とを有する第二プレートと、を備え、該第一プレートの該第二面と、該第二プレートの該第三面はそれぞれ平滑処理が施されていることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工装置を設置する際に使用する加工装置設置用治具であって、
加工装置の足が載置される第一面と、該第一面の背面の第二面とを有する第一プレートと、
該第一プレートの下に配設され、該第一プレートの該第二面に当接する第三面と、該第三面の背面で床に当接する第四面とを有する第二プレートと、を備え、
該第一プレートの該第二面と、該第二プレートの該第三面はそれぞれ平滑処理が施されていることを特徴とする加工装置設置用治具。
【請求項2】
請求項1記載の加工装置設置用治具を用いて加工装置を設置する加工装置の設置方法であって、
設置する加工装置の足と床との間に、該床に該第二プレートの該第四面が当接するとともに、該第二プレートの該第三面に該第一プレートの該第二面が対面する状態で、該第一プレートと該第二プレートを介在させる治具配設ステップと、
該治具配設ステップを実施した後、該第一プレートと該第二プレートと互いに摺動させて該加工装置を所望の位置に位置付ける位置づけステップと、
を備えたことを特徴とする加工装置の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加工装置を所定場所に設置するために使用する加工装置設置用治具及び該治具を用いた加工装置の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、切削装置、研削装置又はレーザ加工装置等の加工装置は、装置の外形を形成する骨組み(骨格)を有し、この骨組みや骨組みの内部に駆動部や制御部が組み付けられて構成される。これらの駆動部や制御部を保護する目的、駆動部が駆動中に作業者が駆動部にアクセスすることを防止する目的、又は装置の外観性を確保する目的等により、骨組みの外側には外装カバーが装着される。
【0003】
このような加工装置は工場、事業所等の設置場所に搬入されて設置される。設置された後、特開2008−183201号公報で開示される転倒防止金具等を用いて設置場所の床に固定されることもある。加工装置を設置する際、設置する部屋に重機で加工装置を搬入して大まかな設置位置に加工装置を載置した後、設置位置を微調整するようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−183201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の加工装置の設置方法では、加工装置を設置する部屋に重機で搬入して大まかな設置位置に加工装置を載置した後、設置位置を微調整するようにしたため、非常に手間が掛かるという問題があった。特に、加工装置を他の加工装置と接続して連続的に被加工物に加工を施すインラインシステムにおいては、ミリ単位での加工装置の位置合わせが必要であり、非常に苦労していた。
【0006】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、加工装置を容易に所望の場所に設置し得る加工装置設置用治具及び該治具を使用した加工装置設置方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明によると、加工装置を設置する際に使用する加工装置設置用治具であって、加工装置の足が載置される第一面と、該第一面の背面の第二面とを有する第一プレートと、該第一プレートの下に配設され、該第一プレートの該第二面に当接する第三面と、該第三面の背面で床に当接する第四面とを有する第二プレートと、を備え、該第一プレートの該第二面と、該第二プレートの該第三面はそれぞれ平滑処理が施されていることを特徴とする加工装置設置用治具が提供される。
【0008】
請求項2記載の発明によると、請求項1記載の加工装置設置用治具を用いて加工装置を設置する加工装置の設置方法であって、設置する加工装置の足と床との間に、該床に該第二プレートの該第四面が当接するとともに、該第二プレートの該第三面に該第一プレートの該第二面が対面する状態で、該第一プレートと該第二プレートを介在させる治具配設ステップと、該治具配設ステップを実施した後、該第一プレートと該第二プレートと互いに摺動させて該加工装置を所望の位置に位置付ける位置づけステップと、を備えたことを特徴とする加工装置の設置方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の加工装置設置用治具は、加工装置の足と床との間に配設される第一プレートと第二プレートとを備え、第一プレートと第二プレートの互いに対面するそれぞれの面が平滑処理されているため、治具上に加工装置を設置した状態で第一プレートと第二プレートとを摺動させることで、治具上に設置された加工装置を簡単に所望の位置に位置合わせでき、加工装置を容易に所望の位置に設置し得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】実施形態に係る加工装置設置用治具の斜視図である。
【
図5】設置ステップの第1実施形態を説明する側面図である。
【
図6】設置ステップの第2実施形態を説明する側面図である。
【
図7】設置ステップの第3実施形態を説明する一部断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1を参照すると、加工装置2の外観斜視図が示されている。加工装置2は例えば切削装置から構成され、骨組み(骨格)4内に切削装置の機械的構成要素であるチャックテーブル、切削ブレードを備えた切削ユニット、ウェーハの切削すべき領域を検出する撮像装置を備えたアライメントユニット、スピンナ洗浄装置、ウェーハを搬送する搬送装置等が収容されている。
【0012】
符号6,8,10は加工装置2の骨組み4に取り外し可能に装着される外装カバーであり、これらの外装カバー4,8,10及び骨組み4に固定された複数のパネル12によりハウジング14が構成される。
【0013】
オペレータが加工装置2を操作する操作側には、オペレーション表示モニタ16が配設されている。このオペレーション表示モニタ16はタッチパネル式であり、オペレータはモニタ16に表示された情報にタッチすることにより、加工装置2にコマンドを入力することができるとともに、加工装置2の稼働状況がこのモニタ16上に表示される。
【0014】
18は加工装置2の稼働状況を表示する表示ランプであり、加工装置2が正常作動時には例えば緑色で点灯し、何らかの故障が生じた場合には赤色が点滅する。20は非常停止ボタンであり、オペレータがこの非常停止ボタン20を押すと加工装置2の作動を直ちに停止することができる。
【0015】
加工装置2の操作側には、観音開きに開閉可能な扉22,24が設けられている。例えば、加工装置2のチャックテーブルにウェーハを装着したり、又はスピンドルに装着された切削ブレードを交換したい場合には、これらの扉22,24を開閉して作業を実施する。
【0016】
加工装置2の底部には四個の足26が配設されており、これらの足26は伸縮可能な機構を有しており、設置場所に加工装置2を設置した後、足26の長さを調整することにより加工装置2を水平に設置することができる。
【0017】
次に、
図2乃至
図7を参照して、本発明実施形態に係る加工装置設置用治具及び該治具を使用した加工装置の設置方法について説明する。
図2を参照すると、加工装置設置用治具の斜視図が示されている。加工装置設置用治具は、第一プレート28と、第二プレート30とからなる。第一及び第二プレート28,30ともSUS等の金属から形成されている。
【0018】
第一プレート28は、加工装置2の足26が載置される第一面28aと第一面28aの背面の第二面28bとを有している。第二プレート30は、第一プレート28の第二面28bに当接する第三面30aと、第三面30aの背面で床に当接する第四面30bとを有している。治具として使用されるときには、第二プレート30は第一プレート28の下に配設される。
【0019】
第一プレート28の第二面28bと、第二プレート30の第三面30aとは、磨かれて平滑処理されている。又は、シリコンコーティング等のコーティングが施されている。代替実施形態として、第一プレート28の第二面28b及び第二プレート30の第三面30aにそれぞれ両面テープを貼着して剥離紙を剥がさない状態としておいてもよい。
【0020】
第一プレート28の第一面28aは加工装置2の足26の下面に対して摩擦係数の大きい状態に形成されており、第二プレート30の第四面30bは床に対して摩擦係数の大きい状態に形成されているのが好ましい。図示された第一プレート28及び第二プレート30は略正方形状をしているが、これらの形状は限定されるものではなく、ディスク形状等の形状でもよい。
【0021】
特に、
図3乃至
図7を参照して、
図2に示した加工装置設置用治具を用いた加工層の設置方法について説明する。加工装置の設置方法は、まず
図3に示すように、設置する加工装置2の足26と床32との間に、床32に第二プレート30の第四面30bが当接するとともに、第二プレート30の第三面30aに第一プレート28の第二面28bが対面する状態で、第一プレート28と第二プレート30を介在させる治具配設ステップを実施する。
【0022】
例えば、加工装置2の足26の配置状態が予め判明しているため、第一プレート28と第二プレート30とを重ねて加工装置2の足26を設置すべき床面に置き、重機を用いて加工装置2を搬入してそれぞれの足26を第一プレート28上に載置する。
【0023】
治具配設ステップを実施した後、第一プレート28と第二プレート30とを摺動させて加工装置2を所望の位置に位置付ける位置づけステップを実施する。第一プレート28の第二面28bと第二プレート30の第三面30aとは平滑処理されており、第一プレート28の第一面28aは足26の下面に対して摩擦係数の大きい状態に形成され、第二プレート30の第四面30bは床32の上面に対して摩擦係数の起きい状態に形成されているため、第一プレート28を第二プレート30に対して比較的容易に摺動させて加工装置2を所望の位置に位置付けることができる。
【0024】
位置づけステップを実施して加工装置2を所望の位置に位置付けた後、例えば加工装置2をジャッキアップして治具28,30を除去することで、
図5に示すように加工装置2を床32上に載置して設置する。設置後、アンカーボルトや転倒防止金具で加工装置を固設するようにしても良い。
【0025】
加工装置2の足26が伸縮可能となっている場合は、まず
図6(A)に示す位置づけステップ実施後、
図6(B)に示すように、足26を順に上げて治具28,30を除去するようにしても良い。この場合は、ジャッキアップ用のジャッキは不要である。
【0026】
代替実施形態として、
図7に示すように、位置づけステップ実施後、第一及び第二プレート28,30ごとボルト34で床32に固定するようにしても良い。この設置方法によると、ジャッキ使用時にずれるのを防止することができる。
【符号の説明】
【0027】
2 加工装置
26 足
28 第一プレート
28a 第一面
28b 第二面
30 第二プレート
30a 第三面
30b 第四面
32 床
34 ボルト