特開2015-231949(P2015-231949A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-231949(P2015-231949A)
(43)【公開日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】光学材料
(51)【国際特許分類】
   C01G 25/02 20060101AFI20151201BHJP
   C01B 13/36 20060101ALI20151201BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20151201BHJP
   C08K 9/00 20060101ALI20151201BHJP
【FI】
   C01G25/02
   C01B13/36
   C08L101/00
   C08K9/00
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-153474(P2015-153474)
(22)【出願日】2015年8月3日
(62)【分割の表示】特願2012-48714(P2012-48714)の分割
【原出願日】2012年3月6日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成23年度独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構「超ハイブリッド材料技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
(71)【出願人】
【識別番号】000006644
【氏名又は名称】新日鉄住金化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132230
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100082739
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 勝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(74)【代理人】
【識別番号】100088203
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 英一
(74)【代理人】
【識別番号】100100192
【弁理士】
【氏名又は名称】原 克己
(74)【代理人】
【識別番号】100198269
【弁理士】
【氏名又は名称】久本 秀治
(72)【発明者】
【氏名】中川 孝行
【テーマコード(参考)】
4G042
4G048
4J002
【Fターム(参考)】
4G042DA01
4G042DB12
4G042DB15
4G042DC03
4G042DD04
4G042DD08
4G042DE04
4G042DE05
4G042DE14
4G048AA02
4G048AB02
4G048AC08
4G048AD04
4G048AD06
4G048AD10
4G048AE05
4G048AE06
4J002BB021
4J002BB121
4J002BC031
4J002BD121
4J002CD001
4J002CF001
4J002CF051
4J002CF061
4J002CF161
4J002CF181
4J002CH071
4J002CH091
4J002CL001
4J002CM021
4J002CM041
4J002CN031
4J002CP031
4J002DE096
4J002DE106
4J002DE136
4J002FB236
4J002FB246
4J002GP00
(57)【要約】
【課題】高屈折率樹脂用途向けに重要な表面修飾金属酸化物ナノ粒子の合成を短時間かつ温和な条件下で行うことができる表面修飾金属酸化物ナノ粒子の製造方法、及びこれにより得られた表面修飾金属酸化物ナノ粒子を提供する。
【解決手段】金属酸化物前駆体と表面修飾剤とを含む混合物に、マイクロ波を照射して、金属酸化物を生成させると共に、金属酸化物表面の少なくとも一部に、表面修飾剤で修飾した部分を形成することを特徴とする表面修飾金属酸化物ナノ粒子の製造方法であり、また、これによって得られた表面修飾金属酸化物ナノ粒子である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物の少なくとも一部が表面修飾剤で修飾された部分を有する表面修飾金属酸化物ナノ粒子を樹脂と混合してなり、屈折率が1.65以上であることを特徴とする、光学材料。
【請求項2】
金属酸化物に対する表面修飾剤の修飾量が、2〜70重量%であることを特徴とする請求項1に記載の光学材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学用途向けなどに重要な有機無機ハイブリッド材料の原料として有用な表面修飾金属酸化物ナノ粒子およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年における電子デバイス類の急速な進化に伴い、従来のガラス等に代表される無機系光学材料に比較して、更に軽量かつ易加工性の高屈折率樹脂系光学部材へのニーズが高まってきている。
【0003】
しかしながら、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート等の所謂汎用透明樹脂の屈折率は1.49〜1.58程度であり、そのまま利用可能な分野は限定されていると言える。また、ポリチオフェン等の特殊な構造を有する樹脂では2以上の屈折率も可能といわれているものの、分子構造に起因する着色や各種溶媒への難溶性、高い軟化温度といった難加工性等から、樹脂単独での屈折率1.8を超える材料設計は実用上困難であるとも言われている。
【0004】
従って、ベースとする透明樹脂と無機系の高屈折率粒子との有機無機ハイブリッド材料に注目が集まり、その開発が活発化してきている。その際に重要な点は、散乱による光透過性低下を回避する為にナノオーダー粒子径を有する無機粒子を用いる事と樹脂との親和性を高める表面処理技術である。
【0005】
この様な目的の為に様々な手法が検討されてきている。中でもゾルゲル反応を応用してナノ粒子合成とハイブリッド構造形成を同時に行う手法と、無機ナノ粒子をシランカップリング剤で表面処理した後にベース樹脂と複合化する手法に関する報告例が最も多い。
【0006】
非特許文献1〜3は前者のゾルゲル反応を応用したハイブリッド材料の報告例である。本手法では一般的に硬化反応の過程収縮が大きく、アルコールなどの副生物が材料中に残存しやすく、生成する無機ナノ粒子が屈折率の低いアモルファス状態になるという課題があると言われている。
【0007】
また、特許文献1〜3は後者のシランカップリング剤による表面処理手法の報告例である。一般的にシランカップリング剤を用いる場合は原子屈折が低い珪素を含むことから高屈折ハイブリッド材料には必ずしも最適ではないと言われている。また、入手可能なシランカップリング剤の分子構造は現実的には限定されており、必ずしも所望の構造を有する試剤が入手できるわけではない。
【0008】
更に近年においては、特許文献4〜7に示す様な超臨界水を反応場として、ナノ粒子を合成しつつ同時にナノ粒子の表面修飾を行う合成手法も開発されてきており、大量生産に適した手法であることから注目を浴びてきている。本手法においては修飾剤がより強固に結合するため修飾粒子の安定性に優れていると言われている。但し、超臨界水を用いるため、高温高圧に対応した特殊な設備が必要であり、また修飾剤の分解等の副反応も生じ易いという点が指摘されている。従って、必ずしも所望の構造を有する表面修飾剤による直接修飾が可能とは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−195646号公報
【特許文献2】特開2009−29931号公報
【特許文献3】特開2008−303299号公報
【特許文献4】特許3663408号公報
【特許文献5】特許3925932号公報
【特許文献6】特許3925936号公報
【特許文献7】特開2006−282503号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Chem. Mater., 2010, 22, 3549
【非特許文献2】Chem. Lett., 2009, 38, 828
【非特許文献3】Eur. Polym. J., 2009, 45, 2749
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする問題点は、高屈折率樹脂用途向けに重要な表面修飾金属酸化物ナノ粒子の合成を短時間かつ温和な条件下で行うことが困難な点である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、加熱源としてマイクロ波を用いて、表面修飾剤の共存下で金属酸化物前駆体から金属酸化物ナノ粒子を合成し、同時に当該ナノ粒子の表面処理を行うことが出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
本発明に係る表面修飾金属酸化物ナノ粒子の製造方法は、金属酸化物前駆体と表面修飾剤とを含む混合物に、マイクロ波を照射して、金属酸化物を生成させると共に、金属酸化物表面の少なくとも一部に、表面修飾剤で修飾した部分を形成することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る表面修飾金属酸化物ナノ粒子の製造方法は、好ましくは、金属酸化物に対する表面修飾剤の修飾量が、2〜70重量%であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る表面修飾金属酸化物ナノ粒子の製造方法は、好ましくは、表面修飾剤が部分構造として下記式(1)を有することを特徴とする。
−Ar−R (1)
〔式中、Arは環骨格を構成する原子数3〜20の芳香環または当該芳香環の複数が直結した構造、Rは炭素数1〜20の脂肪族基を表し、芳香環および脂肪族基は更に置換されていてもよく、芳香環は複素環であってもよい。〕
【0016】
また、本発明に係る表面修飾金属酸化物ナノ粒子の製造方法は、好ましくは、表面修飾剤が、金属酸化物と下記式(2)の官能基を介して結合することを特徴とする。
−NH2、−OH、−CO2H、−CONH2、−SH、−SOH、−SO2H、−SO3H、−POH、−PO2H、−PO3H、−B(OH)2 (2)
〔上記式中で、ヘテロ原子は更に置換されていてもよく、また水素はプロトンとして解離した状態であってもよい。〕
【0017】
また、本発明に係る表面修飾金属酸化物ナノ粒子の製造方法は、好ましくは、金属酸化物の屈折率が1.9〜2.6であることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は上記表面修飾金属酸化物ナノ粒子を樹脂に混合して屈折率調整材料として使用することを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上記表面修飾金属酸化物ナノ粒子を樹脂に混合して屈折率が1.65以上になるようにしたことを特徴とする光学材料である。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、従来法と比べて低温かつ低圧力下での表面修飾金属酸化物ナノ粒子の合成が可能となる。また、従来に比較してより穏やかな反応条件の適用が可能であることから、ガラス製等の反応容器使用が可能となり、金属容器使用時に見られるような金属腐食による製品中への不純物混入現象の低減が図られる。この様に反応器の金属腐食問題から解放されるため、無機酸化物原料の選択範囲も広がり、より安価な原料などの使用も可能となる。更にマイクロ波照射を用いない通常加熱方法との比較においては、反応時間の大幅な短縮が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】比較例1のTEM像
図2】比較例1のXRDデータ
図3】比較例2のXRDデータ
図4】実施例1のTEM像
図5】実施例1のXRDデータ
図6】実施例1のIRデータ
図7】実施例1のTG−DTAデータ
図8】実施例2のXRDデータ
図9】実施例2のIRデータ
図10】実施例2のTG−DTAデータ
図11】実施例3のXRDデータ
図12】実施例3のIRデータ
図13】実施例3のTG−DTAデータ
図14】実施例4のXRDデータ
図15】実施例4のIRデータ
図16】実施例4のTG−DTAデータ
図17】実施例5のTEM像
図18】実施例5のXRDデータ
図19】実施例5のIRデータ
図20】実施例5のTG−DTAデータ
図21】実施例6のXRDデータ
図22】実施例6のIRデータ
図23】実施例6のTG−DTAデータ
図24】実施例7のXRDデータ
図25】実施例7のIRデータ
図26】実施例7のTG−DTAデータ
図27】実施例8のXRDデータ
図28】実施例8のIRデータ
図29】実施例8のTG−DTAデータ
図30】実施例9のXRDデータ
図31】実施例9のIRデータ
図32】実施例9のTG−DTAデータ
図33】実施例10のIRデータ
図34】実施例10のTG−DTAデータ
図35】実施例11のIRデータ
図36】実施例11のTG−DTAデータ
図37】実施例12のIRデータ
図38】実施例12のTG−DTAデータ
図39】実施例13のIRデータ
図40】実施例13のTG−DTAデータ
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の構成は、以下の本実施の形態例の内容に限定されるものではない。
【0023】
本発明に係る表面修飾金属酸化物ナノ粒子の製造方法は、金属酸化物前駆体と表面修飾剤とを含む混合物に、マイクロ波を照射して、金属酸化物を生成させると同時に、金属酸化物表面の少なくとも一部に、表面修飾剤で修飾した部分を形成することを有する。
【0024】
本発明において、使用するマイクロ波は周波数300MHz〜300GHzの電磁波を指し、915MHz〜2.45GHzの使用が好ましい。マイクロ波の照射密度は反応温度に達するのに必要なエネルギーであり、0.1〜100W/cm3であることが好ましい。0.1W/cm3より小さいと反応温度まで加熱することが困難である。また、100W/cm3より大きい場合は反応温度以上に容易に加熱され、反応温度を一定に保つことが困難である。
【0025】
反応温度は、100℃以上250℃未満が好ましく、150℃以上250℃未満が更に好ましい。反応時間は、使用する金属酸化物前駆体の種類、濃度、溶媒、照射エネルギー量にも依存するが、10秒〜60分が好ましく、1分〜10分が更に好ましい。本発明では、ガラス製の反応容器等に金属酸化物前駆体と表面修飾剤とを含んだ混合物を入れ、蓋をするなどして密閉にした状態で反応させるようにすればよく、特に金属製オートクレーブを使用するような高温・高圧条件を必要とせずに、表面修飾金属酸化物ナノ粒子を得ることができる。
【0026】
本発明において、使用可能な金属酸化物前駆体は、水熱反応により金属酸化物類を生成するものであれば使用可能であるが、高屈折を有する金属酸化物類を使用することが、好ましい。具体的には屈折率が2.52〜2.71の酸化チタン、屈折率が2.40の酸化ジルコニウム、屈折率が2.20の酸化セリウム、屈折率が1.95の酸化亜鉛の各金属酸化物前駆体を使用することが特に好ましい。
【0027】
酸化チタン合成用途としては、水酸化チタン、チタンアルコキシド、チタンハロゲン化物、チタニウムオキシサルフェート等を用いることが可能である。チタンアルコキシドの有機部としては炭素数6以下が好ましく、具体的にはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトシキ、t−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、シクロペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ等が好ましい。チタンハロゲン化物としては、4塩化チタン、4臭化チタン、4ヨウ化チタン等を用いることが可能である。
【0028】
酸化ジルコニウム合成用途としては、水酸化ジルコニウム、ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムハロゲン化物、ジルコニウムオキシ塩等を用いることが可能である。ジルコニウムアルコキシドの有機部としては上述のチタンアルコキシドと同様なものが使用可能である。ジルコニウムハロゲン化物としては、4塩化ジルコニウム、4臭化ジルコニウム、4ヨウ化ジルコニウム等を用いることができる。ジルコニウムオキシ塩としては、塩化ジルコニル、臭化ジルコニル、ヨウ化ジルコニル、硝酸ジルコニル、硫酸ジルコニル、酢酸ジルコニル、酸塩化ジルコニウム等を用いることができる。
【0029】
酸化セリウム合成用途としては、水酸化セリウム、硝酸アンモニウムセリウム、硫酸セリウム等を用いることができる。
酸化亜鉛合成用途としては、水酸化亜鉛、亜鉛ハロゲン化物、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛等が使用可能である。
【0030】
本発明において、使用可能な表面修飾剤は、金属酸化物ナノ粒子と結合する官能基(X)を有するものであれば使用可能である。その好ましい官能基としては、−NH2、−OH、−CO2H、−CONH2、−SH、−SOH、−SO2H、−SO3H、−POH、−PO2H、−PO3H、−B(OH)2〔前述式中で、ヘテロ原子は更に置換されていてもよく、また水素はプロトンとして解離した状態であってもよい。〕等が挙げられる。
【0031】
表面修飾剤の部分構造について、高屈折率を発現させるために好ましい部分構造としては下記式(1)で示される構造があげられる。
−Ar−R (1)
【0032】
式(1)において、Arは環骨格を構成する原子数3〜20の芳香環または当該芳香環の複数が直結した構造、Rは炭素数1〜20の脂肪族基を表し、芳香環および脂肪族基は更に置換されていてもよく、芳香環は複素環であってもよい。
【0033】
更に好ましい部分構造としては、式(1)において、Arは環骨格を構成する原子数5〜12の芳香環または当該芳香環の複数が直結した構造、Rは炭素数1〜10の脂肪族基を表し、芳香環および脂肪族基は更に置換されていてもよく、芳香環は複素環であってもよい構造が挙げられる。
【0034】
最も好ましい部分構造としては、式(1)において、Arは環骨格を構成する原子数5〜6の芳香環、Rは炭素数1〜10の脂肪族基を表し、芳香環および脂肪族基は更に置換されていてもよく、芳香環は複素環であってもよい構造が挙げられる。
【0035】
これら部分構造の具体例は以下の通りである。
式(1)において、Arとしては、シクロプロペニルカチオン環等の環骨格を構成する原子数3の芳香環、シクロペンタジエニルアニオン環、チオフェン環、フラン環、2H−ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、イソチアゾール環、イソキサゾール環、フラザン環等の環骨格を構成する原子数5の芳香環、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環等の環骨格を構成する原子数6の芳香環、シクロヘプタトリエニルカチオン環等の環骨格を構成する原子数7の芳香環、ペンタレン環、チエノフラン環、ピラゾロオキサゾール環、イミダゾチアゾール環、オキサチオロピロール環、ジオクソロイミダゾール環等の環骨格を構成する原子数8の芳香環、インデン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、インドリジン環、イソインドール環、インドール環、3H−インドール環、1H−インダゾール環、プリン環、インドリン環、イソインドリン環、2,3−ジチア−1,5−ジアザインダン等の環骨格を構成する原子数9の芳香環、ナフタレン環、クロメン環、4H−キノリジン環、イソキノリン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、プテリジン環、イソクロマン環、クロマン環、ピリドオキサジン環、ピラジノピリダジン環、モノチアナフタレン環、ジチアナフタレン環、トリチアナフタレン環、テトラチアナフタレン環、モノアザナフタレン環、ジアザナフタレン環、トリアザナフタレン環、テトラアザナフタレン環、モノオクサナフタレン環、ジオクサナフタレン環、トリオクサナフタレン環、テトラオクサナフタレン環、モノホスファナフタレン環、ジホスファナフタレン環、トリホスファナフタレン環、テトラホスファナフタレン環等の環骨格を構成する原子数10の芳香環、アズレン環、ベンゾキセピン環等の環骨格を構成する原子数11の芳香環、ヘプタレン環、ビフェニレン環、インダセン環、アセナフテン環等の環骨格を構成する原子数12の芳香環、フルオレン環、ナフトチオフェン環、ナフトフラン環、カルバゾール環、ペリミジン環、フロシンノリン環等の環骨格を構成する原子数13の芳香環、フェナンスレン環、アントラセン環、チアンスレン環、キサンテン環、フェノキサリン環、フェナンスリジン環、アクリジン環、フェナンスロリン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサジン環等の環骨格を構成する原子数14の芳香環、アセフェナンスリレン環、オクサアセフェナンスリレン環、チアアセフェナンスリレン環、アザアセフェナンスリレン環等の環骨格を構成する原子数15の芳香環、フルオランセン環、アセアンスリレン環、ピレン環、オクサフルオランセン環、オクサアセアンスリレン環、オクサピレン環、チアフルオランセン環、チアアセアンスリレン環、チアピレン環、アザフルオランセン環、アザアセアンスリレン環、アザピレン環等の環骨格を構成する原子数16の芳香環、ベンゾフルオレン環、ピリドカルバゾール環、ピリドイミダゾキノキサリン環等の環骨格を構成する原子数17の芳香環、トリフェニレン環、クリセン環、ナフタセン環、プレイダセン環、ターフェニル環、オクサトリフェニレン環、オクサクリセン環、オクサナフタセン環、オクサプレイダセン環、オクサターフェニル環、チアトリフェニレン環、チアクリセン環、チアナフタセン環、チアプレイダセン環、チアターフェニル環、アザトリフェニレン環、アザクリセン環、アザナフタセン環、アザプレイダセン環、アザターフェニル環等の環骨格を構成する原子数18の芳香環、ナフチルインデン環、ナフチルインドール環、ナフチルインダゾール環、ナフチルプリン環、ナフチルベンゾフラン環、ナフチルベンゾフラン環、ナフチルベンゾフラン環、ナフチルベンゾフラン環、ナフチルベンゾチオフェン環、ナフチルベンゾオフェン環、ナフチルベンゾオフェン環、ナフチルベンゾオフェン環、キノリルインデン環、キノリルインドール環、キノリルインダゾール環、キノリルプリン環、キノリルベンゾフラン環、キノリルベンゾフラン環、キノリルベンゾフラン環、キノリルベンゾフラン環、キノリルベンゾチオフェン環、キノリルベンゾオフェン環、キノリルベンゾオフェン環、キノリルベンゾオフェン環等の環骨格を構成する原子数19の芳香環、ペリレン環、ビナフタレン環、ナフチルアズレン環、オクソペリレン環、オクソビナフタレン環、オクソナフチルアズレン環、チアペリレン環、チアビナフタレン環、チアナフチルアズレン環、アザペリレン環、アザビナフタレン環、アザナフチルアズレン環等の環骨格を構成する原子数20の芳香環等が挙げられる。
【0036】
式(1)において、Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、シクロオクチル基、ノニル基、シクロノニル基、デシル基、シクロデシル基、ウンデシル基、シクロウンデシル基、ドデシル基、シクロドデシル基、トリデシル基、シクロトリデシル基、テトラデシル基、シクロテトラデシル基、ペンタデシル基、シクロペンタデシル基、ヘキサデシル基、シクロヘキサデシル基、ヘプタデシル基、シクロヘプタデシル基、オクタデシル基、シクロオクタデシル基、ノナデシル基、シクロノナデシル基、エイコサニル基、シクロエイコサニル基等およびこれらが部分的に脱水素された脂肪族基類が挙げられる。これらは更に、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、シクロオクチル基、ノニル基、シクロノニル基、デシル基、シクロデシル基、ウンデシル基、シクロウンデシル基、ドデシル基、シクロドデシル基、トリデシル基、シクロトリデシル基、テトラデシル基、シクロテトラデシル基、ペンタデシル基、シクロペンタデシル基、ヘキサデシル基、シクロヘキサデシル基、ヘプタデシル基、シクロヘプタデシル基、オクタデシル基、シクロオクタデシル基、ノナデシル基、シクロノナデシル基等およびこれらが部分的に脱水素された脂肪族基類、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオキシ基、チオール基、アルケニルチオ基、アルキニルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルケニルアミノ基、アルキニルアミノ基、アリールアミノ基等で置換されていてもよい。
【0037】
上述した内容から、本発明における表面修飾剤はX−Ar−Rとして表記することができ、上記式(2)で示したような官能基Xを介して金属酸化物の表面の少なくとも一部を修飾する。この表面修飾剤の修飾原理については十分解明されていないが、官能基Xの水素がプロトンとして解離して金属酸化物表面のルイス酸点に配位するような状態で修飾したり、プロトンとして解離せずに金属酸化物表面の水酸基との間で水素結合するような状態で修飾すると考えられる。
【0038】
本発明において、金属酸化物ナノ粒子に対する表面修飾剤の修飾量が、2〜70重量%であることが好ましい。また、金属酸化物ナノ粒子が部分的に露出して弊害を生じない限り、金属酸化物ナノ粒子の全表面を完全に被覆するものでなくてもよい。なお、表面修飾剤の修飾量は、熱重量分析により求めることが出来る。
【0039】
本発明による表面修飾金属酸化物ナノ粒子は種々の樹脂類と相溶性が高く、良好な有機無機ナノハイブリッド材料の製造に有用である。利用可能な樹脂は当該表面修飾金属酸化物ナノ粒子の表面修飾基に依存するが、一般的には以下の様な樹脂類が利用可能である。
【0040】
即ち、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾイミダゾール、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などである。
【0041】
更に樹脂が以下に例示する様な透明樹脂類であれば、本発明による表面修飾金属酸化物ナノ粒子を屈折率調整材料として使用することで、光学用途に利用可能な屈折率が1.65以上の屈折率が高い光学特性を有した光学材料を得ることが出来る。なお、この光学材料の屈折率は使用する表面修飾金属酸化物ナノ粒子の屈折率とその配合比に依存するため、その上限は理論的には金属酸化物ナノ粒子自体の屈折率である。
【0042】
即ち、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、MS樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、ポリ塩化ビニル、環状ポリオレフィン、脂環式アクリル樹脂、脂環式エポキシ樹脂、カルド型エポキシ樹脂、カルド型エポキシアクリレート樹脂、ポリ−4−メチルペンテン、シクロヘキサジエン系樹脂、非晶ポリエステル樹脂、透明ポリイミド、透明ポリアミド、透明ポリウレタン、透明フッ素樹脂、熱可塑性エラストマー、ポリ乳酸などである。
【0043】
これら屈折率が高い光学特性を有した光学材料の製造に用いる手法としては、本発明による表面修飾金属酸化物ナノ粒子を混練機等を使用して樹脂と直接混合する方法、溶媒中に本発明による表面修飾金属酸化物ナノ粒子と樹脂を溶解分散させた後に溶媒除去による方法ともに利用可能である。これら手法の利用に際しては、樹脂自体の代わりに樹脂モノマーまたは前駆体を用いて、本発明による表面修飾金属酸化物ナノ粒子と均一分散した後に重合反応を行なってもよい。また、樹脂に対する表面修飾金属酸化物ナノ粒子の添加量は、樹脂に完全混合した際の屈折率に合わせて、適宜調整すればよい。
【実施例】
【0044】
以下に実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0045】
(比較例1)
耐圧硝子株式会社製のステンレス製の200mLオートクレーブにテフロン(登録商標)内筒をセットし、その内部に0.1MのZrOCl2水溶液40.54g、及びステアリン酸2.36gを入れて、内温190℃で60分間加熱攪拌した。冷却後に内容物を取り出し、アセトン等の貧溶媒を洗浄溶媒として未変の修飾剤等を除去した。
【0046】
得られた粗製粒子をトルエン等の良溶媒中に再分散させ、遠心分離機で粗大粒子を除去した後に減圧乾燥することにより、表面修飾ナノ粒子1.04gを得た。その粒子のTEM像を図1、XRDデータを図2に示す。XRDの結果からジルコニア結晶は確認されなかった。
【0047】
(比較例2)
耐圧硝子株式会社製のステンレス製の200mLオートクレーブにテフロン(登録商標)内筒をセットし、その内部に0.1MのZrO(OH)2水溶液40.09g、及びステアリン酸2.32gを入れて、内温190℃で60分間加熱攪拌した。後処理は比較例1と同様に行い、表面修飾ナノ粒子0.24gを得た。その粒子のXRDデータを図3に示す。XRDの結果からジルコニア結晶は確認されなかった。
【0048】
(実施例1)
20mLガラス製反応容器に0.1MのZrOCl2水溶液19.93g、及びステアリン酸1.15gを入れて、バイオタージ社のマイクロ波加熱合成装置Initiator60を用いて周波数2.45GHzのマイクロ波を照射し、蓋をした密閉状態でもって190℃で1時間加熱攪拌を行った。後処理は比較例1と同様に行い、表面修飾金属酸化物ナノ粒子0.20gを得た。その粒子のTEM像を図4、XRDデータを図5、IRデータを図6、TG−DTAデータを図7に示す。TEM像から粒子径は約10nmであった。また、単離後の本ナノ粒子は白色粉末状態であり、トルエン等の良溶媒には容易に再分散させることが可能であり、再分散させた際には約10nmの1次粒子状態で分散していた。
【0049】
XRDの結果からは単斜晶ジルコニアと立方晶または正方晶ジルコニアの存在が確認された。IRデータからは表面修飾剤に由来するCH伸縮振動とカルボキシアニオンの吸収が見られ、ジルコニア粒子に有機修飾基が結合していることが確認された。また、TG−DTAデータから、得られた表面修飾金属酸化物ナノ粒子における表面修飾剤の修飾量は31質量%であった。
【0050】
(実施例2)
5mLガラス製反応容器に0.1MのZrOCl2水溶液5.10g、及びステアリン酸0.30gを入れて、バイオタージ社のマイクロ波加熱合成装置Initiator60を用いて周波数2.45GHzのマイクロ波を照射し、蓋をした密閉状態でもって190℃で30分間加熱攪拌を行った。後処理は比較例1と同様に行い、表面修飾金属酸化物ナノ粒子0.24gを得た。XRDデータを図8、IRデータを図9、TG−DTAデータを図10に示す。
【0051】
XRDの結果からは立方晶または正方晶ジルコニアの存在が確認された。IRデータからは表面修飾剤に由来するCH伸縮振動とカルボキシアニオンの吸収が見られ、ジルコニア粒子に有機修飾基が結合していることが確認された。また、TG−DTAデータから、得られた表面修飾金属酸化物ナノ粒子における表面修飾剤の修飾量は63質量%であった。
【0052】
(実施例3)
20mLガラス製反応容器に0.1MのZrOCl2水溶液19.79g、及びステアリン酸1.13gを入れて、バイオタージ社のマイクロ波加熱合成装置Initiator60を用いて周波数2.45GHzのマイクロ波を照射し、蓋をした密閉状態でもって190℃で10分間加熱攪拌を行った。後処理は比較例1と同様に行い、表面修飾金属酸化物ナノ粒子0.27gを得た。その粒子のXRDデータを図11、IRデータを図12、TG−DTAデータを図13に示す。
【0053】
XRDの結果からは単斜晶ジルコニアと立方晶または正方晶ジルコニアの存在が確認された。IRデータからは表面修飾剤に由来するCH伸縮振動とカルボキシアニオンの吸収が見られ、ジルコニア粒子に有機修飾基が結合していることが確認された。また、TG−DTAデータから、得られた表面修飾金属酸化物ナノ粒子における表面修飾剤の修飾量は41質量%であった。
【0054】
(実施例4)
20mLガラス製反応容器に0.1MのZrOCl2水溶液20.00g、及びステアリン酸1.16gを入れて、バイオタージ社のマイクロ波加熱合成装置Initiator60を用いて周波数2.45GHzのマイクロ波を照射し、蓋をした密閉状態でもって190℃で5分間加熱攪拌を行った。後処理は比較例1と同様に行い、表面修飾ナノ粒子0.26gを得た。その粒子のXRDデータを図14、IRデータを図15、TG−DTAデータを図16に示す。
【0055】
XRDの結果からは単斜晶ジルコニアと立方晶または正方晶ジルコニアの存在が確認された。IRデータからは表面修飾剤に由来するCH伸縮振動とカルボキシアニオンの吸収が見られ、ジルコニア粒子に有機修飾基が結合していることが確認された。また、TG−DTAデータから、得られた表面修飾金属酸化物ナノ粒子における表面修飾剤の修飾量は41質量%であった。
【0056】
(実施例5)
20mLガラス製反応容器に0.02MのZrOCl2水溶液19.98g、及びステアリン酸0.27gを入れて、バイオタージ社のマイクロ波加熱合成装置Initiator60を用いて周波数2.45GHzのマイクロ波を照射し、蓋をした密閉状態でもって190℃で60分間加熱攪拌を行った。後処理は比較例1と同様に行い、表面修飾ナノ粒子0.10gを得た。その粒子のTEM像を図17、XRDデータを図18、IRデータを図19、TG−DTAデータを図20に示す。
【0057】
TEM像から粒子径は約5nmであった。XRDの結果からは単斜晶ジルコニアと立方晶または正方晶ジルコニアの存在が確認された。IRデータからは表面修飾剤に由来するCH伸縮振動とカルボキシアニオンの吸収が見られ、ジルコニア粒子に有機修飾基が結合していることが確認された。また、TG−DTAデータから、得られた表面修飾金属酸化物ナノ粒子における表面修飾剤の修飾量は58質量%であった。
【0058】
(実施例6)
20mLガラス製反応容器に0.02MのZrOCl2水溶液20.07g、及びステアリン酸0.23gを入れて、バイオタージ社のマイクロ波加熱合成装置Initiator60を用いて周波数2.45GHzのマイクロ波を照射し、蓋をした密閉状態でもって190℃で30分間加熱攪拌を行った。後処理は比較例1と同様に行い、表面修飾ナノ粒子0.10gを得た。その粒子のXRDデータを図21、IRデータを図22、TG−DTAデータを図23に示す。
【0059】
XRDの結果からは単斜晶ジルコニアと立方晶または正方晶ジルコニアの存在が確認された。IRデータからは表面修飾剤に由来するCH伸縮振動とカルボキシアニオンの吸収が見られ、ジルコニア粒子に有機修飾基が結合していることが確認された。また、TG−DTAデータから、得られた表面修飾金属酸化物ナノ粒子における表面修飾剤の修飾量は58質量%であった。
【0060】
(実施例7)
20mLガラス製反応容器に0.02MのZrO(OH)2水溶液20.22g、及びステアリン酸1.23gを入れて、バイオタージ社のマイクロ波加熱合成装置Initiator60を用いて周波数2.45GHzのマイクロ波を照射し、蓋をした密閉状態でもって190℃で30分間加熱攪拌を行った。後処理は比較例1と同様に行い、表面修飾ナノ粒子0.26gを得た。その粒子のXRDデータを図24、IRデータを図25、TG−DTAデータを図26に示す。
【0061】
XRDの結果からは単斜晶ジルコニアと立方晶または正方晶ジルコニアの存在が確認された。IRデータからは表面修飾剤に由来するCH伸縮振動とカルボキシアニオンの吸収が見られ、ジルコニア粒子に有機修飾基が結合していることが確認された。また、TG−DTAデータから、得られた表面修飾金属酸化物ナノ粒子における表面修飾剤の修飾量は75質量%であった。
【0062】
(実施例8)
20mLガラス製反応容器に0.1MのZrO(OH)2水溶液20.25g、及びオレイン酸1.26gを入れて、バイオタージ社のマイクロ波加熱合成装置Initiator60を用いて周波数2.45GHzのマイクロ波を照射し、蓋をした密閉状態でもって190℃で10分間加熱攪拌を行った。後処理は比較例1と同様に行い、表面修飾ナノ粒子0.48gを得た。その粒子のXRDデータを図27、IRデータを図28、TG−DTAデータを図29に示す。
【0063】
XRDの結果からは単斜晶ジルコニアと立方晶または正方晶ジルコニアの存在が確認された。IRデータからは表面修飾剤に由来するCH伸縮振動とカルボキシアニオンの吸収が見られ、ジルコニア粒子に有機修飾基が結合していることが確認された。また、TG−DTAデータから、得られた表面修飾金属酸化物ナノ粒子における表面修飾剤の修飾量は60質量%であった。
【0064】
(実施例9)
20mLガラス製反応容器に0.1MのZrO(OH)2水溶液20.21g、及び4−オクチル安息香酸0.95gを入れて、バイオタージ社のマイクロ波加熱合成装置Initiator60を用いて周波数2.45GHzのマイクロ波を照射し、蓋をした密閉状態でもって190℃で10分間加熱攪拌を行った。後処理は比較例1と同様に行い、表面修飾ナノ粒子0.50gを得た。その粒子のXRDデータを図30、IRデータを図31、TG−DTAデータを図32に示す。
【0065】
XRDの結果からは単斜晶ジルコニアと立方晶または正方晶ジルコニアの存在が確認された。IRデータからは表面修飾剤に由来するCH伸縮振動とカルボキシアニオンの吸収が見られ、ジルコニア粒子に有機修飾基が結合していることが確認された。また、TG−DTAデータから、得られた表面修飾金属酸化物ナノ粒子における表面修飾剤の修飾量は63質量%であった。
【0066】
(実施例10)
20mLガラス製反応容器に0.1MのZrOCl2水溶液20.34g、及び4−ブロモ安息香酸0.83gを入れて、バイオタージ社のマイクロ波加熱合成装置Initiator60を用いて周波数2.45GHzのマイクロ波を照射し、蓋をした密閉状態でもって190℃で10分間加熱攪拌を行った。後処理は比較例1と同様に行い、表面修飾ナノ粒子を得た。その粒子のIRデータを図33、TG−DTAデータを図34に示す。
【0067】
IRデータからは表面修飾剤に由来するCH伸縮振動とカルボキシアニオンの吸収が見られ、ジルコニア粒子に有機修飾基が結合していることが確認された。また、TG−DTAデータから、得られた表面修飾金属酸化物ナノ粒子における表面修飾剤の修飾量は48質量%であった。
【0068】
(実施例11)
20mLガラス製反応容器に0.1MのZrOCl2水溶液20.33g、及び4−ヨード安息香酸1.01gを入れて、バイオタージ社のマイクロ波加熱合成装置Initiator60を用いて周波数2.45GHzのマイクロ波を照射し、蓋をした密閉状態でもって190℃で10分間加熱攪拌を行った。後処理は比較例1と同様に行い、表面修飾ナノ粒子を得た。その粒子のIRデータを図35、TG−DTAデータを図36に示す。
【0069】
IRデータからは表面修飾剤に由来するCH伸縮振動とカルボキシアニオンの吸収が見られ、ジルコニア粒子に有機修飾基が結合していることが確認された。また、TG−DTAデータから、得られた表面修飾金属酸化物ナノ粒子における表面修飾剤の修飾量は60質量%であった。
【0070】
(実施例12)
20mLガラス製反応容器に0.1MのZrOCl2水溶液20.29g、及び4−ビニル安息香酸0.61gを入れて、バイオタージ社のマイクロ波加熱合成装置Initiator60を用いて周波数2.45GHzのマイクロ波を照射し、蓋をした密閉状態でもって190℃で10分間加熱攪拌を行った。後処理は比較例1と同様に行い、表面修飾ナノ粒子を得た。その粒子のIRデータを図37、TG−DTAデータを図38に示す。
【0071】
IRデータからは表面修飾剤に由来するCH伸縮振動とカルボキシアニオンの吸収が見られ、ジルコニア粒子に有機修飾基が結合していることが確認された。また、TG−DTAデータから、得られた表面修飾金属酸化物ナノ粒子における表面修飾剤の修飾量は58質量%であった。
【0072】
(実施例13)
20mLガラス製反応容器に0.1MのZrOCl2水溶液20.48g、及び4−ヒドロキシ安息香酸0.56gを入れて、バイオタージ社のマイクロ波加熱合成装置Initiator60を用いて周波数2.45GHzのマイクロ波を照射し、蓋をした密閉状態でもって190℃で10分間加熱攪拌を行った。後処理は比較例1と同様に行い、表面修飾ナノ粒子0.42gを得た。その粒子のIRデータを図39、TG−DTAデータを図40に示す。
【0073】
IRデータからは表面修飾剤に由来するCH伸縮振動とカルボキシアニオンの吸収が見られ、ジルコニア粒子に有機修飾基が結合していることが確認された。また、TG−DTAデータから、得られた表面修飾金属酸化物ナノ粒子における表面修飾剤の修飾量は43質量%であった。
【0074】
(実施例14)
実施例9により得られた4−オクチル安息香酸修飾ZrO2粒子0.75gとMS樹脂0.25gをトルエン10gに溶解分散させ、スピンコーターでシリコンウエハー上に薄膜塗布した後に、120℃で乾燥させて膜厚が約1μmのナノハイブリッド膜を形成した。Metricon社製プリズムカップラーModel2010/Mを用いて評価した594nmにおける屈折率は1.66であった。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明によって得られた表面修飾金属酸化物ナノ粒子は種々の樹脂類と相溶性が高いため、良好な有機無機ナノハイブリッド材料の製造に利用でき、例えば、高屈折率が必要とされるレンズ、LED封止材、反射防止膜等の光学部材向けに有効に用いることができる。
図2
図3
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図7
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