【実施例】
【0044】
以下に実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0045】
(比較例1)
耐圧硝子株式会社製のステンレス製の200mLオートクレーブにテフロン(登録商標)内筒をセットし、その内部に0.1MのZrOCl
2水溶液40.54g、及びステアリン酸2.36gを入れて、内温190℃で60分間加熱攪拌した。冷却後に内容物を取り出し、アセトン等の貧溶媒を洗浄溶媒として未変の修飾剤等を除去した。
【0046】
得られた粗製粒子をトルエン等の良溶媒中に再分散させ、遠心分離機で粗大粒子を除去した後に減圧乾燥することにより、表面修飾ナノ粒子1.04gを得た。その粒子のTEM像を
図1、XRDデータを
図2に示す。XRDの結果からジルコニア結晶は確認されなかった。
【0047】
(比較例2)
耐圧硝子株式会社製のステンレス製の200mLオートクレーブにテフロン(登録商標)内筒をセットし、その内部に0.1MのZrO(OH)
2水溶液40.09g、及びステアリン酸2.32gを入れて、内温190℃で60分間加熱攪拌した。後処理は比較例1と同様に行い、表面修飾ナノ粒子0.24gを得た。その粒子のXRDデータを
図3に示す。XRDの結果からジルコニア結晶は確認されなかった。
【0048】
(実施例1)
20mLガラス製反応容器に0.1MのZrOCl
2水溶液19.93g、及びステアリン酸1.15gを入れて、バイオタージ社のマイクロ波加熱合成装置Initiator60を用いて周波数2.45GHzのマイクロ波を照射し、蓋をした密閉状態でもって190℃で1時間加熱攪拌を行った。後処理は比較例1と同様に行い、表面修飾金属酸化物ナノ粒子0.20gを得た。その粒子のTEM像を
図4、XRDデータを
図5、IRデータを
図6、TG−DTAデータを
図7に示す。TEM像から粒子径は約10nmであった。また、単離後の本ナノ粒子は白色粉末状態であり、トルエン等の良溶媒には容易に再分散させることが可能であり、再分散させた際には約10nmの1次粒子状態で分散していた。
【0049】
XRDの結果からは単斜晶ジルコニアと立方晶または正方晶ジルコニアの存在が確認された。IRデータからは表面修飾剤に由来するCH伸縮振動とカルボキシアニオンの吸収が見られ、ジルコニア粒子に有機修飾基が結合していることが確認された。また、TG−DTAデータから、得られた表面修飾金属酸化物ナノ粒子における表面修飾剤の修飾量は31質量%であった。
【0050】
(実施例2)
5mLガラス製反応容器に0.1MのZrOCl
2水溶液5.10g、及びステアリン酸0.30gを入れて、バイオタージ社のマイクロ波加熱合成装置Initiator60を用いて周波数2.45GHzのマイクロ波を照射し、蓋をした密閉状態でもって190℃で30分間加熱攪拌を行った。後処理は比較例1と同様に行い、表面修飾金属酸化物ナノ粒子0.24gを得た。XRDデータを
図8、IRデータを
図9、TG−DTAデータを
図10に示す。
【0051】
XRDの結果からは立方晶または正方晶ジルコニアの存在が確認された。IRデータからは表面修飾剤に由来するCH伸縮振動とカルボキシアニオンの吸収が見られ、ジルコニア粒子に有機修飾基が結合していることが確認された。また、TG−DTAデータから、得られた表面修飾金属酸化物ナノ粒子における表面修飾剤の修飾量は63質量%であった。
【0052】
(実施例3)
20mLガラス製反応容器に0.1MのZrOCl
2水溶液19.79g、及びステアリン酸1.13gを入れて、バイオタージ社のマイクロ波加熱合成装置Initiator60を用いて周波数2.45GHzのマイクロ波を照射し、蓋をした密閉状態でもって190℃で10分間加熱攪拌を行った。後処理は比較例1と同様に行い、表面修飾金属酸化物ナノ粒子0.27gを得た。その粒子のXRDデータを
図11、IRデータを
図12、TG−DTAデータを
図13に示す。
【0053】
XRDの結果からは単斜晶ジルコニアと立方晶または正方晶ジルコニアの存在が確認された。IRデータからは表面修飾剤に由来するCH伸縮振動とカルボキシアニオンの吸収が見られ、ジルコニア粒子に有機修飾基が結合していることが確認された。また、TG−DTAデータから、得られた表面修飾金属酸化物ナノ粒子における表面修飾剤の修飾量は41質量%であった。
【0054】
(実施例4)
20mLガラス製反応容器に0.1MのZrOCl
2水溶液20.00g、及びステアリン酸1.16gを入れて、バイオタージ社のマイクロ波加熱合成装置Initiator60を用いて周波数2.45GHzのマイクロ波を照射し、蓋をした密閉状態でもって190℃で5分間加熱攪拌を行った。後処理は比較例1と同様に行い、表面修飾ナノ粒子0.26gを得た。その粒子のXRDデータを
図14、IRデータを
図15、TG−DTAデータを
図16に示す。
【0055】
XRDの結果からは単斜晶ジルコニアと立方晶または正方晶ジルコニアの存在が確認された。IRデータからは表面修飾剤に由来するCH伸縮振動とカルボキシアニオンの吸収が見られ、ジルコニア粒子に有機修飾基が結合していることが確認された。また、TG−DTAデータから、得られた表面修飾金属酸化物ナノ粒子における表面修飾剤の修飾量は41質量%であった。
【0056】
(実施例5)
20mLガラス製反応容器に0.02MのZrOCl
2水溶液19.98g、及びステアリン酸0.27gを入れて、バイオタージ社のマイクロ波加熱合成装置Initiator60を用いて周波数2.45GHzのマイクロ波を照射し、蓋をした密閉状態でもって190℃で60分間加熱攪拌を行った。後処理は比較例1と同様に行い、表面修飾ナノ粒子0.10gを得た。その粒子のTEM像を
図17、XRDデータを
図18、IRデータを
図19、TG−DTAデータを
図20に示す。
【0057】
TEM像から粒子径は約5nmであった。XRDの結果からは単斜晶ジルコニアと立方晶または正方晶ジルコニアの存在が確認された。IRデータからは表面修飾剤に由来するCH伸縮振動とカルボキシアニオンの吸収が見られ、ジルコニア粒子に有機修飾基が結合していることが確認された。また、TG−DTAデータから、得られた表面修飾金属酸化物ナノ粒子における表面修飾剤の修飾量は58質量%であった。
【0058】
(実施例6)
20mLガラス製反応容器に0.02MのZrOCl
2水溶液20.07g、及びステアリン酸0.23gを入れて、バイオタージ社のマイクロ波加熱合成装置Initiator60を用いて周波数2.45GHzのマイクロ波を照射し、蓋をした密閉状態でもって190℃で30分間加熱攪拌を行った。後処理は比較例1と同様に行い、表面修飾ナノ粒子0.10gを得た。その粒子のXRDデータを
図21、IRデータを
図22、TG−DTAデータを
図23に示す。
【0059】
XRDの結果からは単斜晶ジルコニアと立方晶または正方晶ジルコニアの存在が確認された。IRデータからは表面修飾剤に由来するCH伸縮振動とカルボキシアニオンの吸収が見られ、ジルコニア粒子に有機修飾基が結合していることが確認された。また、TG−DTAデータから、得られた表面修飾金属酸化物ナノ粒子における表面修飾剤の修飾量は58質量%であった。
【0060】
(実施例7)
20mLガラス製反応容器に0.02MのZrO(OH)
2水溶液20.22g、及びステアリン酸1.23gを入れて、バイオタージ社のマイクロ波加熱合成装置Initiator60を用いて周波数2.45GHzのマイクロ波を照射し、蓋をした密閉状態でもって190℃で30分間加熱攪拌を行った。後処理は比較例1と同様に行い、表面修飾ナノ粒子0.26gを得た。その粒子のXRDデータを
図24、IRデータを
図25、TG−DTAデータを
図26に示す。
【0061】
XRDの結果からは単斜晶ジルコニアと立方晶または正方晶ジルコニアの存在が確認された。IRデータからは表面修飾剤に由来するCH伸縮振動とカルボキシアニオンの吸収が見られ、ジルコニア粒子に有機修飾基が結合していることが確認された。また、TG−DTAデータから、得られた表面修飾金属酸化物ナノ粒子における表面修飾剤の修飾量は75質量%であった。
【0062】
(実施例8)
20mLガラス製反応容器に0.1MのZrO(OH)
2水溶液20.25g、及びオレイン酸1.26gを入れて、バイオタージ社のマイクロ波加熱合成装置Initiator60を用いて周波数2.45GHzのマイクロ波を照射し、蓋をした密閉状態でもって190℃で10分間加熱攪拌を行った。後処理は比較例1と同様に行い、表面修飾ナノ粒子0.48gを得た。その粒子のXRDデータを
図27、IRデータを
図28、TG−DTAデータを
図29に示す。
【0063】
XRDの結果からは単斜晶ジルコニアと立方晶または正方晶ジルコニアの存在が確認された。IRデータからは表面修飾剤に由来するCH伸縮振動とカルボキシアニオンの吸収が見られ、ジルコニア粒子に有機修飾基が結合していることが確認された。また、TG−DTAデータから、得られた表面修飾金属酸化物ナノ粒子における表面修飾剤の修飾量は60質量%であった。
【0064】
(実施例9)
20mLガラス製反応容器に0.1MのZrO(OH)
2水溶液20.21g、及び4−オクチル安息香酸0.95gを入れて、バイオタージ社のマイクロ波加熱合成装置Initiator60を用いて周波数2.45GHzのマイクロ波を照射し、蓋をした密閉状態でもって190℃で10分間加熱攪拌を行った。後処理は比較例1と同様に行い、表面修飾ナノ粒子0.50gを得た。その粒子のXRDデータを
図30、IRデータを
図31、TG−DTAデータを
図32に示す。
【0065】
XRDの結果からは単斜晶ジルコニアと立方晶または正方晶ジルコニアの存在が確認された。IRデータからは表面修飾剤に由来するCH伸縮振動とカルボキシアニオンの吸収が見られ、ジルコニア粒子に有機修飾基が結合していることが確認された。また、TG−DTAデータから、得られた表面修飾金属酸化物ナノ粒子における表面修飾剤の修飾量は63質量%であった。
【0066】
(実施例10)
20mLガラス製反応容器に0.1MのZrOCl
2水溶液20.34g、及び4−ブロモ安息香酸0.83gを入れて、バイオタージ社のマイクロ波加熱合成装置Initiator60を用いて周波数2.45GHzのマイクロ波を照射し、蓋をした密閉状態でもって190℃で10分間加熱攪拌を行った。後処理は比較例1と同様に行い、表面修飾ナノ粒子を得た。その粒子のIRデータを
図33、TG−DTAデータを
図34に示す。
【0067】
IRデータからは表面修飾剤に由来するCH伸縮振動とカルボキシアニオンの吸収が見られ、ジルコニア粒子に有機修飾基が結合していることが確認された。また、TG−DTAデータから、得られた表面修飾金属酸化物ナノ粒子における表面修飾剤の修飾量は48質量%であった。
【0068】
(実施例11)
20mLガラス製反応容器に0.1MのZrOCl
2水溶液20.33g、及び4−ヨード安息香酸1.01gを入れて、バイオタージ社のマイクロ波加熱合成装置Initiator60を用いて周波数2.45GHzのマイクロ波を照射し、蓋をした密閉状態でもって190℃で10分間加熱攪拌を行った。後処理は比較例1と同様に行い、表面修飾ナノ粒子を得た。その粒子のIRデータを
図35、TG−DTAデータを
図36に示す。
【0069】
IRデータからは表面修飾剤に由来するCH伸縮振動とカルボキシアニオンの吸収が見られ、ジルコニア粒子に有機修飾基が結合していることが確認された。また、TG−DTAデータから、得られた表面修飾金属酸化物ナノ粒子における表面修飾剤の修飾量は60質量%であった。
【0070】
(実施例12)
20mLガラス製反応容器に0.1MのZrOCl
2水溶液20.29g、及び4−ビニル安息香酸0.61gを入れて、バイオタージ社のマイクロ波加熱合成装置Initiator60を用いて周波数2.45GHzのマイクロ波を照射し、蓋をした密閉状態でもって190℃で10分間加熱攪拌を行った。後処理は比較例1と同様に行い、表面修飾ナノ粒子を得た。その粒子のIRデータを
図37、TG−DTAデータを
図38に示す。
【0071】
IRデータからは表面修飾剤に由来するCH伸縮振動とカルボキシアニオンの吸収が見られ、ジルコニア粒子に有機修飾基が結合していることが確認された。また、TG−DTAデータから、得られた表面修飾金属酸化物ナノ粒子における表面修飾剤の修飾量は58質量%であった。
【0072】
(実施例13)
20mLガラス製反応容器に0.1MのZrOCl
2水溶液20.48g、及び4−ヒドロキシ安息香酸0.56gを入れて、バイオタージ社のマイクロ波加熱合成装置Initiator60を用いて周波数2.45GHzのマイクロ波を照射し、蓋をした密閉状態でもって190℃で10分間加熱攪拌を行った。後処理は比較例1と同様に行い、表面修飾ナノ粒子0.42gを得た。その粒子のIRデータを
図39、TG−DTAデータを
図40に示す。
【0073】
IRデータからは表面修飾剤に由来するCH伸縮振動とカルボキシアニオンの吸収が見られ、ジルコニア粒子に有機修飾基が結合していることが確認された。また、TG−DTAデータから、得られた表面修飾金属酸化物ナノ粒子における表面修飾剤の修飾量は43質量%であった。
【0074】
(実施例14)
実施例9により得られた4−オクチル安息香酸修飾ZrO2粒子0.75gとMS樹脂0.25gをトルエン10gに溶解分散させ、スピンコーターでシリコンウエハー上に薄膜塗布した後に、120℃で乾燥させて膜厚が約1μmのナノハイブリッド膜を形成した。Metricon社製プリズムカップラーModel2010/Mを用いて評価した594nmにおける屈折率は1.66であった。