【課題】低熱膨張性に優れ、高弾性であり、そして積層板のプレス成形時の成形性に優れる熱硬化性樹脂組成物、これを用いたプリプレグ、積層板及びプリント配線板を提供することである。
【解決手段】(A)150℃におけるICI粘度が0.1Pa・s以下のエポキシ樹脂、(B)1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物、(C)シリコーン化合物、(D)少なくとも1個のアミノ基を有する化合物、(E)無機充填剤を配合する熱硬化性樹脂組成物、およびこれを用いたプリプレグ、積層板およびプリント配線板である。
(A)150℃におけるICI粘度が0.1Pa・s以下のエポキシ樹脂、(B)1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物、(C)シリコーン化合物、(D)少なくとも1個のアミノ基を有する化合物、(E)無機充填剤を配合する熱硬化性樹脂組成物。
(B)1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物が、1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有し、かつフェノキシ基を有するマレイミド化合物である請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明について詳細に説明する。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(A)150℃におけるICI粘度が0.1Pa・s以下のエポキシ樹脂(以下、(A)成分と呼ぶことがある)、(B)1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(以下、(B)成分と呼ぶことがある)、(C)シリコーン化合物(以下、(C)成分と呼ぶことがある)、(D)少なくとも1個のアミノ基を有する化合物(以下、(D)成分と呼ぶことがある)、(E)無機充填剤(以下、(E)成分と呼ぶことがある)を配合する熱硬化性樹脂組成物である。
【0011】
本発明における(A)150℃におけるICI粘度が0.1Pa・s以下のエポキシ樹脂は、150℃におけるICI粘度が0.1Pa・s以下であれば、特に限定されるものではない。本発明の(A)成分としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、ナフタレン型エポキシ樹脂〔DIC(株)製、商品名:EXA−7311−G4、150℃におけるICI粘度:0.05Pa・s〕、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂〔DIC(株)製、商品名:HP−7200L、150℃におけるICI粘度:0.03Pa・s〕、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂〔DIC(株)製、商品名:HP−7200、150℃におけるICI粘度:0.06Pa・s〕、ナフタレン型エポキシ樹脂〔DIC(株)製、商品名:HP−5000L、HP−5000、150℃におけるICI粘度:0.06Pa・s〕、ビスフェノールS型エポキシ樹脂〔DIC(株)製、商品名:EXA-1514、150℃におけるICI粘度:0.08Pa・s〕、ビスフェノールF型エポキシ樹脂〔新日鉄住金化学(株)製、商品名:YSLV−70XY、150℃におけるICI粘度:0.01Pa・s〕等が挙げられる。これらは1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明におけるICI粘度は、ICIコーンプレート粘度計で測定される粘度である。
【0012】
本発明における(B)1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物は、N−置換マレイミド基を1分子中に2個以上有していれば、特に限定されるものではない。(B)成分としては、例えば、N,N′−エチレンビスマレイミド、N,N′−ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N′−(1,3−フェニレン)ビスマレイミド、N,N′−[1,3−(2−メチルフェニレン)]ビスマレイミド、N,N′−[1,3−(4−メチルフェニレン)]ビスマレイミド、N,N′−(1,4−フェニレン)ビスマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルフィド、ビス(4−マレイミドフェニル)ケトン、ビス(4−マレイミドシクロヘキシル)メタン、1,4−ビス(4−マレイミドフェニル)シクロヘキサン、1,4−ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(マレイミドメチル)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ビフェニル、4,4−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]ケトン、2,2′−ビス(4−マレイミドフェニル)ジスルフィド、ビス(4−マレイミドフェニル)ジスルフィド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、ポリフェニルメタンマレイミド(例えば、大和化成(株)製、商品名:BMI−2300等)が挙げられる。これらは1種を用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、有機溶媒に対する溶解性の点から、1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有し、かつフェノキシ基を有するマレイミド化合物が好ましい。このようなマレイミド化合物としては、例えば、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンが挙げられる。
【0013】
(B)成分の使用量は、(A)成分100質量部に対して30〜500質量部が好ましく、75〜200質量部がより好ましい。30質量部以上とすることにより良好な耐薬品性が得られ、500質量部以下とすることにより良好な耐熱性が得られる。
【0014】
本発明における(C)シリコーン化合物としては、特に限定されるものではないが、分子構造中に少なくとも1個の反応性官能基を有していることが好ましく、分子構造中に2個以上の反応性官能基を有していることがより好ましい。反応性官能基としては、例えば、エポキシ基、アミノ基、水酸基、(メタ)アクリル基、メルカプト基、カルボキシル基、アルコキシ基等が挙げられる。これらの中でも、アミノ基、及び水酸基が好ましい。
(C)成分としては市販品を用いてもよい。分子構造中にエポキシ基を有するシリコーン化合物の市販品としては、例えば、両末端にエポキシ基を有する「X−22−163」(官能基当量200)、「KF−105」(官能基当量490)、「X−22−163A」(官能基当量1000)、「X−22−163B」(官能基当量1750)、「X−22−163C」(官能基当量2700)、両末端に脂環式エポキシ基を有する「X−22−169AS」(官能基当量500)、「X−22−169B」(官能基当量1700)、一方の末端にエポキシ基を有する「X−22−1730X」(官能基当量4500)、側鎖及び両末端にエポキシ基を有する「X−22−9002」(官能基当量5000)、側鎖にエポキシ基を有する「X−22−343」(官能基当量525)、「KF−101」(官能基当量350)、「KF−1001」(官能基当量3500)、「X−22−2000」(官能基当量620)、「X−22−4741」(官能基当量2500)、「KF−1002」(官能基当量4300)、側鎖に脂環式エポキシ基を有する「X−22−2046」(官能基当量600)、「KF−102」(官能基当量3600、以上、信越化学工業(株)製)が挙げられる。これらは1種を用いても、2種以上を併用してもよい。また、各種エポキシ樹脂と混合して使用してもよい。これらの分子構造中にエポキシ基を有するシリコーン化合物の中でも、耐熱性の点から「X−22−163A」、「X−22−163B」、「X−22−343」、「X−22−9002」、「KF−101」が好ましく、「X−22−163A」、「X−22−163B」がより好ましく、低熱膨張率の点から「X−22−163B」が特に好ましい。
【0015】
分子構造中にアミノ基を有するシリコーン化合物の市販品としては、例えば、両末端にアミノ基を有する「KF−8010」(官能基当量430)、「X−22−161A」(官能基当量800)、「X−22−161B」(官能基当量1500)、「KF−8012」(官能基当量2200)、「KF−8008」(官能基当量5700)、「X−22−9409」(官能基当量700)、「X−22−1660B−3」(官能基当量2200)(以上、信越化学工業(株)製)、「BY−16−853U」(官能基当量460)、「BY−16−853」(官能基当量650)、「BY−16−853B」(官能基当量2200)(以上、東レダウコーニング(株)製)、側鎖にアミノ基を有する「KF−868」(官能基当量8800)、「KF−865」(官能基当量5000)、「KF−864」(官能基当量3800)、「KF−880」(官能基当量1800)、「KF−8004」(官能基当量1500)(以上、信越化学工業(株)製)が挙げられる。これらは1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
分子構造中にアミノ基を有するシリコーン化合物の中でも、低吸水率の点から「X−22−161A」、「X−22−161B」、「KF−8012」、「KF−8008」、「X−22−1660B−3」、「BY−16−853B」が好ましく、低熱膨張性の点から「X−22−161A」、「X−22−161B」、「KF−8012」が特に好ましい。
【0016】
分子構造中に水酸基を有するシリコーン化合物の市販品としては、例えば、両末端に水酸基を有する「KF−6001」(官能基当量900)、「KF−6002」(官能基当量1600)、両末端にフェノール性水酸基を有する「X−22−1821」(官能基当量1470)(以上、信越化学工業(株)製)、「BY−16−752A」(官能基当量1500)(以上、東レダウコーニング(株)製)、一方の末端に水酸基を有する「X−22−170BX」(官能基当量2800)、「X−22−170DX」(官能基当量4670)、側鎖に水酸基を有する「X−22−4039」(官能基当量970)「X−22−4015」(官能基当量1870)(以上、信越化学工業(株)製)が挙げられる。これらは1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
【0017】
分子構造中に(メタ)アクリル基を有するシリコーン化合物の市販品としては、例えば、両末端にメタクリル基を有する「X−22−164A」(官能基当量860)、「X−22−164B」(官能基当量1630)、一方の末端にメタクリル基を有する「X−22−174DX」(官能基当量4600)(以上、信越化学工業(株)製)等が挙げられる。これらは1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
分子構造中にメルカプト基を有するシリコーン化合物の市販品としては、例えば、両末端にメルカプト基を有する「X−22−167B」(官能基当量1670)、側鎖にメルカプト基を有する「KF−2001」(官能基当量1900)、「KF−2004」(官能基当量30000)(以上、信越化学工業(株)製)等が挙げられる。これらは1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
分子構造中にカルボキシル基を有するシリコーン化合物の市販品としては、例えば、両末端にカルボキシル基を有する「X−22−162C」(官能基当量2300)、一方の末端にカルボキシル基を有する「X−22−3710」(官能基当量1450)、側鎖にカルボキシル基を有する「X−22−3701E」(官能基当量4000)(以上、信越化学工業(株)製)等が挙げられる。これらは1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
分子構造中にアルコキシ基を有するシリコーン化合物の市販品としては、例えば、側鎖にアルコキシ基を有する「FZ−3704」(官能基当量150)(以上、東レダウコーニング(株)製)要が挙げられる。
上記のシリコーン化合物これらは1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
【0018】
(C)成分の配合量は、(B)成分100質量部に対して1〜100質量部が好ましく、5〜80質量部がより好ましい。1質量部以上とすることにより低熱膨張率化が可能となる。100質量部以下とすることにより銅箔密着性や成形性を確保することができ、さらにはシリコーン化合物による弾性率の低下を防ぐことができる。
また、(C)成分がアミノ基を有する場合の配合量は、下記に説明する(D)少なくとも1個のアミノ基を有する化合物との兼ね合いからアミノ基の総量を考慮する必要がある。
【0019】
本発明における(D)少なくとも1個のアミノ基を有する化合物は、1個以上アミノ基を有する化合物であれば特に限定されるものではないが、酸性置換基とアミノ基の両方の官能基を有している化合物、2個以上のアミノ基を有している化合物が好ましく、酸性置換基とアミノ基の両方の官能基を有している化合物と2個以上のアミノ基を有している化合物を併用することがより好ましい。例えば、酸性置換基とアミノ基の両方の官能基を有している化合物としては、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、o−アミノ安息香酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−アミノベンゼンスルホン酸、p−アミノベンゼンスルホン酸、3,5−ジヒドロキシアニリン、3,5−ジカルボキシアニリン等が挙げられる。これらは1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの中で、溶解性や合成の収率の点からm−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、及び3,5−ジヒドロキシアニリンが好ましく、耐熱性の点からm−アミノフェノール及びp−アミノフェノールがより好ましく、低熱膨張性の点からp−アミノフェノールが特に好ましい。
【0020】
2個以上のアミノ基を有している化合物としては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,6−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン、2,3,5,6−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノメシチレン、m−キシレン−2,5−ジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,4−ビス(アミノ−t−ブチル)トルエン、2,4−ジアミノキシレン、2,4−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、2,5−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノデュレン、4,5−ジアミノ−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン、3−ビス(3−アミノベンジル)ベンゼン、4−ビス(4−アミノベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、4−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、3−ビス(3−(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、4−ビス(4−(4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、3−ビス(α,α−ジメチル−3−アミノベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(α,α−ジメチル−3−アミノベンジル)ベンゼン、3−ビス(α,α−ジメチル−4−アミノベンジル)ベンゼン、ビス(4−メチルアミノペンチル)ベンゼン、p−ビス(2−メチル−4−アミノペンチル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、ビス[(4−アミノフェニル)−2−プロピル]1,4−ベンゼン、2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメチル、5,5′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、3,3′−ジアミノジフェニルエタン、4,4′−ジアミノジフェニルエタン、2,2′−ジアミノジフェニルプロパン、3,3′−ジアミノジフェニルプロパン、4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、2,2′−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2′−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3−(2′,4′−ジアミノフェノキシ)プロパンスルホン酸、ビス(4−アミノフェニル)ジエチルシラン、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノ−t−ブチルフェニル)エ−テル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル−2,2′−ジスルホン酸、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ベンジジン、2,2′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル−6,6′−ジスルホン酸、2,2′,5,5′−テトラクロロ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノビフェニル、4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノ−3,3′−ビフェニルジオール、1,5−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、9,9′−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9′−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン−2,7−ジスルホン酸、9,9′−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)フルオレン、ジアミノアントラキノン、3,7−ジアミノ−2,8−ジメチルジベンゾチオフェンスルホン等の芳香族アミン類、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、2,5−ジアミノ−1,3,4−オキサジアゾ−ル、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン等の脂肪族アミン類、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−アリル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−アクリロイルオキシエチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−s−トリアジンのグアナミン化合物類などが挙げられる。
【0021】
これらのうち、良好な反応性や耐熱性を有する芳香族アミン類であるm−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、2,2′−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ベンジジン、4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノ−3,3′−ビフェニルジオール及びグアナミン化合物類であるベンゾグアナミンが好ましく、安価である点からp−フェニレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジメチル−4、4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、ベンゾグアナミンがより好ましく、毒性や溶剤への溶解性の点から3、3′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタンが特に好ましい。
【0022】
上記の少なくとも2個以上のアミノ基を有する化合物は単独で、または2種類以上混合して用いることもできる。
【0023】
ここで、(C)成分と、(D)成分の配合量は、−NH
2基当量の総和と、(B)成分のC=C基当量との関係が、
0.1≦〔C=C基当量〕/〔−NH
2基当量の総和〕≦10.0、
に示す範囲となることが好ましい。より好ましくは、この関係が、
1.0≦〔C=C基当量〕/〔−NH
2基当量の総和〕≦9.0、
特に好ましくは、
2.0≦〔C=C基当量〕/〔−NH
2基当量の総和〕≦8.0、
の範囲とする。
該当量比を0.1以上とすることによりゲル化及び耐熱性の低下が抑制される。また、10.0以下とすることにより有機溶剤への溶解性、及び耐熱性の低下が抑制される。
また一般的には、(C)成分と、(D)成分の合計配合量は、(B)成分100質量部に対して1〜200質量部が好ましく、5〜100質量部が好ましく、10〜30質量部が特に好ましい。1質量部以上とすることにより銅箔密着性や成形性を確保することができ、200質量部以下とすることにより有機溶剤への溶解性、耐熱性が低下することがない。
【0024】
(E)無機充填剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、水酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、EガラスまたはTガラス、Dガラス等のガラス粉や中空ガラスビーズなどが挙げられる。これらは1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
【0025】
(E)無機充填剤としては、誘電特性、耐熱性、低熱膨張性の点からシリカが特に好ましい。シリカとしては、例えば、湿式法で製造され含水率の高い沈降シリカと、乾式法で製造され結合水等をほとんど含まない乾式法シリカが挙げられ、乾式法シリカとしてはさらに、製造法の違いにより破砕シリカ、フュームドシリカ、溶融球状シリカ等が挙げられる。これらの中で、低熱膨張性及び樹脂に充填した際の高流動性から溶融球状シリカが好ましい。
(E)無機充填剤として溶融球状シリカを用いる場合、その平均粒子径は0.1〜10μmであることが好ましく、0.3〜8μmであることがより好ましい。該溶融球状シリカの平均粒子径を0.1μm以上にすることで、樹脂に高充填した際の流動性を良好に保つことができ、さらに10μm以下にすることで、粗大粒子の混入確率を減らし粗大粒子起因の不良の発生を抑えることができる。ここで、平均粒子径とは、粒子の全体積を100%として粒子径による累積度数分布曲線を求めた時、体積50%に相当する点の粒子径であり、レーザ回折散乱法を用いた粒度分布測定装置等で測定することができる。また、異なる粒径のシリカを組み合わせて充填することで、さらなる高充填化が可能となり、流動性を維持したまま充填率の向上が可能となる。
(E)無機充填剤の配合量は、固形分換算の(A)〜(D)成分の総和100質量部当たり10〜300質量部であることが好ましく、50〜250質量部であることがより好ましい。無機充填剤の含有量を樹脂成分の総和100質量部当たり10〜300質量部にすることで、樹脂組成物の成形性と低熱膨張性を良好に保つことができる。
【0026】
本発明の熱硬化性樹脂組成物では、(B)1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物、(C)シリコーン化合物、(D)少なくとも1個のアミノ基を有する化合物をそれぞれ配合してもよく、必要によりこれらの(B)〜(D)成分を反応させてもよい。当該反応で得られる、アミノ基、イミド基及びN−置換マレイミド基を有する変性シリコーン化合物を、本発明の熱硬化性樹脂組成物に配合することができる。
この反応の際の(B)成分の配合量は、ゲル化の防止と耐熱性の観点から、(B)成分のマレイミド基の当量が、アミノ基を有する場合の(C)成分と(D)成分のアミノ基の当量を超える範囲であることが好ましい。
また、その他の反応条件も特に限定されるものではないが、当該反応温度は70〜200℃とすることが好ましく、反応時間は0.5〜10時間とすることが好ましい。
【0027】
以上の反応で使用される有機溶媒は、特に制限されないが、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の窒素原子含有溶剤、ジメチルスルホキシド等の硫黄原子含有溶剤などが挙げられる。これらは1種を用いても、2種以上を併用してもよい。 これらの中で、溶解性の点からシクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、γ−ブチロラクトン、及びジメチルアセトアミドが好ましく、低毒性であることや揮発性が高くプリプレグの製造時に残溶剤として残りにくい点から、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びジメチルアセトアミドがより好ましい。
【0028】
前述の反応における有機溶媒の配合量は、溶解性と反応時間の観点から、例えば、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分の合計100質量部に対して、25〜1000質量部とすることが好ましく、40〜700質量部とすることがより好ましい。
また、上記反応には、必要により反応触媒を使用することができる。反応触媒は、特に限定されないが、トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン等のアミン類、メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン等のリン系触媒などが挙げられる。これらは1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
【0029】
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、硬化促進剤を配合してもよい。硬化促進剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、イミダゾール類及びその誘導体、有機リン系化合物、第二級アミン類、第三級アミン類、及び第四級アンモニウム塩等が挙げられる。これらは1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
【0030】
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、その他の成分として、熱可塑性樹脂、エラストマー、有機充填材、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤及び接着性向上剤等を配合してもよい。
【0031】
熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、キシレン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、シリコーン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂が挙げられる。
エラストマーの例としては、ポリブタジエン、アクリロニトリル、エポキシ変性ポリブタジエン、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、フェノール変性ポリブタジエン及びカルボキシ変性アクリロニトリルが挙げられる。
有機充填材の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル樹脂、シリコーン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂等よりなる構造の樹脂フィラー、アクリル酸エステル系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂、共役ジエン系樹脂等よりなるゴム状態のコア層と、アクリル酸エステル系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂、芳香族ビニル系樹脂、シアン化ビニル系樹脂よりなるガラス状態のシェル層を持つコアシェル構造の樹脂フィラーが挙げられる。
難燃剤の例としては、臭素や塩素を含有する含ハロゲン系難燃剤、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、リン酸エステル系化合物、赤リン等のリン系難燃剤、スルファミン酸グアニジン、硫酸メラミン、ポリリン酸メラミン、メラミンシアヌレート等の窒素系難燃剤、シクロホスファゼン、ポリホスファゼン等のホスファゼン系難燃剤、三酸化アンチモン等の無機系難燃剤などが挙げられる。
その他、紫外線吸収剤の例としてはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、酸化防止剤の例としてはヒンダードフェノール系あるいはヒンダードアミン系酸化防止剤、光重合開始剤の例としてはベンゾフェノン類、ベンジルケタール類、チオキサントン系の光重合開始剤、蛍光増白剤の例としてはスチルベン誘導体の蛍光増白剤、接着性向上剤の例としては尿素シラン等の尿素化合物やシラン系、チタネート系、アルミネート系等のカップリング剤などが挙げられる。
【0032】
また、(E)成分を配合する際に、(E)成分をシラン系、チタネート系等のカップリング剤、シリコーンオリゴマー等の表面処理剤で前処理、あるいはインテグラルブレンド処理することも好ましい。
【0033】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、通常、希釈溶媒として有機溶媒を使用し、各成分が有機溶媒中に溶解又は分散されたワニスの状態として使用される。該有機溶媒は特に制限されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メチルセロソルブ等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶媒などが挙げられる。これらは1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
【0034】
最終的に得られるワニス中の熱硬化性樹脂組成物は、ワニス全体の40〜90質量%であることが好ましく、50〜80質量%であることがより好ましい。ワニス中の熱硬化性樹脂組成物の含有量を40〜90質量%にすることで、塗工性を良好に保ち、適切な樹脂組成物付着量のプリプレグを得ることができる
【0035】
本発明のプリプレグは、本発明の熱硬化性樹脂組成物を、基材に含浸又は塗工してなるものである。例えば、本発明の熱硬化性樹脂組成物を、基材に含浸又は、吹付け、押出し等の方法で塗工した後、加熱等により半硬化(Bステージ化)して本発明のプリプレグを製造することができる。以下、本発明のプリプレグについて詳述する。
【0036】
本発明のプリプレグに用いられる基材として、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている周知のものが使用できる。その材質の例としては、Eガラス、Dガラス、Sガラス及びQガラス等の無機物繊維、ポリイミド、ポリエステル及びテトラフルオロエチレン等の有機繊維、並びにそれらの混合物が挙げられる。
これらの基材は、例えば、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット及びサーフェシングマット等の形状を有するが、材質及び形状は、目的とする成形物の用途や性能により選択され、必要により、単独又は2種類以上の材質及び形状を組み合わせることができる。
基材の厚さは、特に制限されず、例えば、約0.03〜0.5mmのものを使用することができ、シランカップリング剤等で表面処理したもの又は機械的に開繊処理を施したものが、耐熱性や耐湿性、加工性の面から好適である。
該基材に対する熱硬化性樹脂組成物の付着量が、乾燥後のプリプレグの樹脂含有率で、20〜90質量%となるように、基材に含浸又は塗工した後、通常、100〜200℃の温度で1〜30分加熱乾燥し、半硬化(Bステージ化)させることで、本発明のプリプレグを得ることができる。
【0037】
本発明の積層板は、本発明のプリプレグを積層成形してなるものである。例えば、前述のプリプレグを、1〜20枚重ね、その片面又は両面に銅及びアルミニウム等の金属箔を配置した構成で積層成形することにより積層板を製造することができる。金属箔は、電気絶縁材料用積層板で用いるものであれば特に制限されない。また、成形条件は、例えば、電気絶縁材料用積層板及び多層板の手法が適用でき、例えば、多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、温度100〜250℃、圧力0.2〜3MPa、昇温速度1〜10℃/分、加熱時間0.1〜5時間の範囲で成形することができる。また、本発明のプリプレグと内層用配線板とを組合せ、積層成形して、多層板を製造することもできる。
【0038】
本発明のプリント配線板は、本発明の積層板を用いてなるものである。本発明の積層板における絶縁樹脂層の片面又は両面に配置された金属箔を回路加工して製造することができる。例えば、本発明の積層板に形成された導体層を通常のエッチング法によって配線加工し、前述のプリプレグを介して配線加工した積層板を複数積層し、加熱プレス加工することによって一括して多層化した後、ドリル加工又はレーザ加工によるスルーホール又はブラインドビアホールの形成と、メッキ又は導電性ペーストによる層間配線の形成を経て多層プリント配線板を製造することもできる。
【実施例】
【0039】
次に、下記の実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。なお、以下の実施例で得られた銅張積層板は以下の方法で性能を測定、評価した。
【0040】
使用した各成分は次のとおりのものである。
(A)150℃におけるICI粘度が0.1Pa・s以下のエポキシ樹脂
A−1:ナフタレン型エポキシ樹脂〔DIC(株)製、商品名:EXA−7311−G4〕、150℃におけるICI粘度:0.05Pa・s
A−2:ビスフェノールF型エポキシ樹脂〔新日鉄住金化学(株)製、商品名:YSLV−70XY〕、150℃におけるICI粘度:0.01Pa・s
【0041】
(B)1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物
B−1:2,2−ビス[(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)]プロパン〔大和化成工業(株)製;商品名BMI−4000〕
【0042】
(C)シリコーン化合物
C−1:両末端アミノ変性シリコーン〔信越化学工業(株)製;商品名:X−22−161B〕
【0043】
(D)少なくとも1個のアミノ基を有する化合物
D−1:p−アミノフェノール〔関東化学(株)製〕
D−2:3,3′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン〔日本化薬(株)製;商品名:KAYAHARD A−A〕
【0044】
(E)無機充填剤
E−1:シリカ:SO−G1(商品名、アドマテックス株式会社製)700gを、7gのKBM−903(商品名、信越化学工業製)を加えた300gのメチルイソブチルケトン溶液に攪拌しながら加え、シリカのメチルイソブチル溶液を作製した。
【0045】
(F)硬化促進剤:
F−1:イソシアネートマスクイミダゾール〔第一工業製薬(株)製;商品名:G8009L〕
【0046】
(G)150℃におけるICI粘度が0.1Pa・sを超えるエポキシ樹脂
G−1:α−ナフトール/クレゾールノボラック型エポキシ樹脂〔日本化薬(株)製、商品名:NC−7000L〕、150℃におけるICI粘度:0.25Pa・s
【0047】
実施例1
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容器2リットルの反応容器に、X−22−161B(C−1成分)58.0gと、p−アミノフェノール(D−1成分)15.6gと、3,3′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン(D−2成分)49.4gと、2,2−ビス[(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)]プロパン(B−1成分)650g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(有機溶媒)1160.0gを入れ、115℃で4時間反応させた後、固形分60wt%になるまで濃縮した。その後、ナフタレン型エポキシ樹脂(A−1成分)173g、シリカのメチルイソブチルケトン溶液(E−1成分)225.5g、イソシアネートマスクイミダゾール(F−1成分)0.3gを2時間混合して樹脂分65質量%のワニスを作製した。次に、上記ワニスを厚さ0.1mmのSガラスクロスに含浸し、160℃で3分30秒加熱乾燥して樹脂含有量47質量%、大きさ250×250mmのプリプレグを得た。このプリプレグを2枚重ね、12μmの電解銅箔を上下に配置し、圧力2.5MPa、成形温度240℃、昇温速度3℃/分、4.5℃/分、6℃/分の各条件で60分間プレスを行って、実施例1の銅張積層板(大きさ250×250mm)を得た。
【0048】
実施例2
E−1のシリカのメチルイソブチルケトン溶液を344.9gに変えた以外は、実施例1と同様にして作製した。
【0049】
実施例3
E−1のシリカのメチルイソブチルケトン溶液を417.5gに変えた以外は、実施例1と同様にして作製した。
【0050】
実施例4
A−1成分のナフタレン型エポキシ樹脂をA−2成分のビスフェノールF型エポキシ樹脂173gに変えた以外は、実施例1と同様にして作製した。
【0051】
実施例5
シリカのメチルイソブチルケトン溶液を344.9gに変えた以外は、実施例4と同様にして作製した。
【0052】
実施例6
シリカのメチルイソブチルケトン溶液を417.5gに変えた以外は、実施例4と同様にして作製した。
【0053】
比較例1
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容器2リットルの反応容器に、X−22−161B(C−1成分)58.0gと、p−アミノフェノール(D−1成分)15.6gと、3,3′−ジエチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン(D−2成分)49.4gと、2,2−ビス[(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)]プロパン(B−1成分)650g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(有機溶媒)1160.0gを入れ、115℃で4時間反応させた後、固形分60wt%になるまで濃縮した。その後、α−ナフトール/クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(G−1成分)173g、シリカのメチルイソブチルケトン溶液(E−1成分)225.5g、イソシアネートマスクイミダゾール(F−1成分)0.3gを2時間混合して樹脂分65質量%のワニスを作製した。次に、上記ワニスを厚さ0.1mmのSガラスクロスに含浸塗工し、160℃で3分30秒加熱乾燥して樹脂含有量47質量%、大きさ250×250mmのプリプレグを得た。このプリプレグを2枚重ね、12μmの電解銅箔を上下に配置し、圧力2.5MPa、成形温度240℃、昇温速度3℃/分、4.5℃/分、6℃/分の各条件で60分間プレスを行って、比較例1の銅張積層板(大きさ250×250mm)を得た。
【0054】
比較例2
E−1のシリカのメチルイソブチルケトン溶液を344.9gに変えた以外は、比較例1と同様にして作製した。
【0055】
比較例3
E−1のシリカのメチルイソブチルケトン溶液を417.5gに変えた以外は、比較例1と同様にして作製した。
【0056】
得られた銅張積層板を次の方法により評価した。
(1)熱膨張率の測定
プレス温度:240℃で成形した銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(TA Instruments製、TMAQ400EM)を用いて圧縮法で熱機械分析をおこなった。評価基板を前記装置にX方向に装着後、昇温速度10℃/分の測定条件にて連続して2回測定した。2回目の測定における30℃から100℃までの平均熱膨張率を算出し、これを熱膨張率の値とした。
(2)曲げ弾性率の測定
プレス温度:240℃で成形した銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた25×40mm角の評価基板を作製し、曲げ弾性率試験装置((株)オリエンテック社製、5トンテンシロン)を用いて、クロスヘッド速度1mm/分スパン間距離20mmで測定した。
(3)成形性の確認
昇温速度3℃/分、4.5℃/分、6℃/分で得られた銅張積層板(大きさ250×250mm)の成形性を確認し、成形温度限界を観察した。また、成形性の確認法は銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除き、中心部分と端から10mmの部分の厚みの差で評価し、その差が0.05mm以下のとき成形できているとした。
なお、成形性については、成形できている場合には「○」、できていない場合には「×」として、それぞれ表中に示した。
【0057】
表1に実施例の評価結果を、表2に比較例の評価結果を示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
表1の実施例1と4、表2の比較例1の比較から、本発明を適用することで熱膨張率、曲げ弾性率に影響することなく成形性を向上できることがわかる。また、表1の実施例2と5、表2の比較例2の比較、表1の実施例3と6、表2の比較例3の比較においても同様の傾向が確認されており、本発明が成形性の向上に有効であることがわかる。