特開2015-232547(P2015-232547A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友金属鉱山株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2015232547-試料切り替え装置 図000003
  • 特開2015232547-試料切り替え装置 図000004
  • 特開2015232547-試料切り替え装置 図000005
  • 特開2015232547-試料切り替え装置 図000006
  • 特開2015232547-試料切り替え装置 図000007
  • 特開2015232547-試料切り替え装置 図000008
  • 特開2015232547-試料切り替え装置 図000009
  • 特開2015232547-試料切り替え装置 図000010
  • 特開2015232547-試料切り替え装置 図000011
  • 特開2015232547-試料切り替え装置 図000012
  • 特開2015232547-試料切り替え装置 図000013
  • 特開2015232547-試料切り替え装置 図000014
  • 特開2015232547-試料切り替え装置 図000015
  • 特開2015232547-試料切り替え装置 図000016
  • 特開2015232547-試料切り替え装置 図000017
  • 特開2015232547-試料切り替え装置 図000018
  • 特開2015232547-試料切り替え装置 図000019
  • 特開2015232547-試料切り替え装置 図000020
  • 特開2015232547-試料切り替え装置 図000021
  • 特開2015232547-試料切り替え装置 図000022
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-232547(P2015-232547A)
(43)【公開日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】試料切り替え装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/10 20060101AFI20151201BHJP
【FI】
   G01N23/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-50663(P2015-50663)
(22)【出願日】2015年3月13日
(31)【優先権主張番号】特願2014-98701(P2014-98701)
(32)【優先日】2014年5月12日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(72)【発明者】
【氏名】窪内 裕太
(72)【発明者】
【氏名】押村 信満
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA18
2G001CA01
2G001PA06
2G001PA13
(57)【要約】
【課題】ラミネートセルを対象としたX線分析において、ラミネートセルの膨れを抑制しながらX線分析の測定データを効率良く得られるようにする。
【解決手段】セパレータを間に挟んで正極と負極を積層してなる電池要素を含むラミネートセル10を試料とし、ラミネートセル10にX線を照射して分析データを得るin−situX線分析に用いられる試料切り替え装置であって、4つのラミネートセル10を保持する試料ホルダー31と、X線の通過位置Pに配置するラミネートセルを試料ホルダー31の移動によって切り替えるホルダー移動装置32を備える。試料ホルダー31は、4つのラミネートセル10を平面的に並べて配置可能な第1支持部材41と、第1支持部材41との間にラミネートセル10を挟んで支持する4つの第2支持部材42と、これらの支持部材41,42を互いに離間しないように押さえる押さえ部43と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータを間に挟んで正極と負極を積層してなる電池要素を、電解液とともにラミネートフィルムにより密封したラミネートセルを試料とし、前記ラミネートセルにX線を照射して分析データを得るin−situX線分析に用いられる試料切り替え装置であって、
複数のラミネートセルを保持することができる試料ホルダーと、前記試料ホルダーを移動可能に支持するとともに、前記試料ホルダーで保持した前記複数のラミネートセルのうち、前記X線の通過位置に配置するラミネートセルを前記試料ホルダーの移動によって切り替えるホルダー移動装置と、を備え、
前記試料ホルダーは、
前記複数のラミネートセルを平面的に並べて配置可能な第1支持部材と、
前記第1支持部材に並べて配置された前記複数のラミネートセルをそれぞれ前記第1支持部材との間に挟んで支持する複数の第2支持部材と、
前記ラミネートセルを挟んで支持する前記第1支持部材と前記第2支持部材とを互いに離間しないように押さえる押さえ部と、を備える
ことを特徴とする試料切り替え装置。
【請求項2】
前記第1支持部材は、前記複数のラミネートセルを放射状に並べて配置できるように正面視扇形に形成されており、
前記ホルダー移動装置は、前記試料ホルダーの回転移動によって、前記X線の通過位置に配置するラミネートセルを切り替えるものである
ことを特徴とする請求項1に記載の試料切り替え装置。
【請求項3】
前記試料ホルダーの回転軸は、前記X線の光軸よりも下方に配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載の試料切り替え装置。
【請求項4】
前記第1支持部材は、前記複数のラミネートセルを放射状に並べて配置できるように正面視円形に形成されており、
前記ホルダー移動装置は、前記試料ホルダーの回転移動によって、前記X線の通過位置に配置するラミネートセルを切り替えるものである
ことを特徴とする請求項1に記載の試料切り替え装置。
【請求項5】
前記試料ホルダーの回転軸は、前記X線の光軸よりも上方に配置されている
ことを特徴とする請求項4に記載の試料切り替え装置。
【請求項6】
前記ホルダー移動装置は、前記試料ホルダーを回転移動させる回転部材と、前記X線の光軸方向と直交する方向で前記回転部材の位置を調整可能な位置調整機構と、を備える
ことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の試料切り替え装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電過程における二次電池の電子状態や構造変化などを測定するために用いて好適な試料切り替え装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池のなかでも、特にリチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高く、作動電圧が高い電池として知られている。リチウムイオン二次電池は、携帯電話やノート型パーソナルコンピュータといった携帯型の電子機器のほか、ハイブリッド自動車や電気自動車の電源などに広く用いられている。
【0003】
一般に、リチウムイオン二次電池は、正極活物質を主要構成成分とする正極と、負極活物質を主要構成成分とする負極と、正極と負極を分離するセパレータと、非水系電解質などから構成されている。これらの構成要素は、金属缶やアルミラミネートフィルムなどの外装材で封止されている。外装材に金属缶を用いたものはハードパック型と呼ばれ、アルミラミネートフィルムを用いたものはソフトパック型またはラミネートセルとも呼ばれている。
【0004】
電池材料の開発においては、電池材料を評価するためにX線分析が採用されている。X線分析のなかでも、特に、X線回折(X−ray Diffraction:以下、XRD)測定や、X線吸収微細構造(X‐ray Absorption Fine Structure:以下、XAFSと略す)測定は、結晶構造、構成元素それぞれの価数や局所構造(配位数、原子間距離)といった情報を与える分析手法であり、電池材料の評価に広く利用されている。
【0005】
電池材料のX線分析の方法は、大別すると、ex−situ測定と、in−situ測定とに分かれる。ex−situ測定は、充放電を行った電池セルを分解し、正極などの構成材料を取り出してX線分析を行うものである。in−situ測定は、電池を分解せずに充放電を行ったままX線分析を行うものである。リチウムイオン二次電池などの非水系電解質を用いる二次電池の場合、ex−situ測定では、電池の外装材の中から正極などの構成材料を取り出して大気中に暴露すると、正極中の正極活物質の状態が変化してしまうことがある。このため近年では、実際の電池反応に近い状態を評価できるin−situ測定が主流になりつつある。
【0006】
in−situでのX線分析に関しては、たとえば非特許文献1に記載されているように、金属ベリリウムを用いたX線分析用の特殊な電気化学セルが開発され、電池材料の評価に利用されている。金属ベリリウムは、導電性があり、かつ、X線の透過率が高いことから、X線を透過する窓部の材料に用いられている。しかしながら、金属ベリリウムを窓部の材料に用いる場合は、(1)ベリリウムの酸化物が毒物であるため取り扱いが難しい、(2)電気化学セルの構造が複雑であるためセルの作製コストが高くなる、といった問題があった。
【0007】
一方、特許文献1に記載されているように、アルミラミネートフィルムなどで外装した薄板状の電池(ラミネートセル)を対象に、直接、X線分析をする手法も採用されている。ラミネートセルは、正極、負極、外装などが十分に薄いため、X線を照射したときの透過率が高い。このため、ラミネートを分解せずに、そのままX線分析を実施することができる。この手法では、ラミネートセルの取り扱いが簡便であり、かつ、セルの作製コストが低いため、複数のセルを容易に作製できるというメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−230919号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】M. N. Richard et al, J. Electrochem. Soc. 144, 554, (1997)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来においては、in−situでのX線分析に際して、単にラミネートセルを試料台等の上に立ててX線を透過させていたため、測定条件によっては次のような不具合が生じることがあった。すなわち、全体的に薄くて形状が変化しやすいラミネートセルを用いて、in−situでのX線分析により二次電池の性能を評価する場合に、たとえば、4.8V程度の高い電圧で充放電を行うと、測定の途中で充放電が適切に行えなくなることがあった。具体的には、X線分析の分析データとして、たとえば、ラミネートセルのX線吸光度を示す測定データを取得する場合に、ラミネートセルの充放電を行っても、その充放電の状態が測定データに正しく反映されず、信頼性の高いX線分析を行うことができなくなる。その結果、ある時間以降は、電池の性能を正しく評価できないという不都合があった。
【0011】
そこで本発明者は、測定の途中で充放電が適切に行えなくなる原因が次の点にあることを実験により確認した。すなわち、上記の高い電圧領域で充放電を行った場合は、電解液の分解や、正極活物質からの酸素の放出などにより、ラミネートセル内にガスが発生する。そうすると、電池内の圧力の上昇によってラミネートセルが膨らむ。その結果、正極と負極の電気的な接続状態が悪化し、充放電が適切に行えなくなる。本発明者は、この原因を取り除くために、X線分析の対象試料であるラミネートセルを保持する試料ホルダーを新たに提案した。この試料ホルダーは、ラミネートセルを一対の支持部材で挟むように支持することにより、ラミネートセルの膨れを抑制するものである。
【0012】
しかしながら、上記試料ホルダーを用いたX線分析の測定においては、一対の支持部材で支持した一つのラミネートセルだけを対象に、予め決められた充放電試験時間(たとえば、20時間前後)にわたって充放電を行っている。このため、複数のラミネートセルについてX線分析の測定結果を得るには、少なくともラミネートセルの個数に充放電試験時間を乗算した分の時間がかかっていた。したがって、すべてのラミネートセルの測定結果が得られるまでに長い時間がかかるという改善すべき点があった。
【0013】
本発明の主な目的は、ラミネートセルを対象としたX線分析において、ラミネートセルの膨れを抑制しながらX線分析の測定データを効率良く得ることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の態様は、
セパレータを間に挟んで正極と負極を積層してなる電池要素を、電解液とともにラミネートフィルムにより密封したラミネートセルを試料とし、前記ラミネートセルにX線を照射して分析データを得るin−situX線分析に用いられる試料切り替え装置であって、
複数のラミネートセルを保持することができる試料ホルダーと、前記試料ホルダーを移動可能に支持するとともに、前記試料ホルダーで保持した前記複数のラミネートセルのうち、前記X線の通過位置に配置するラミネートセルを前記試料ホルダーの移動によって切り替えるホルダー移動装置と、を備え、
前記試料ホルダーは、
前記複数のラミネートセルを平面的に並べて配置可能な第1支持部材と、
前記第1支持部材に並べて配置された前記複数のラミネートセルをそれぞれ前記第1支持部材との間に挟んで支持する複数の第2支持部材と、
前記ラミネートセルを挟んで支持する前記第1支持部材と前記第2支持部材とを互いに離間しないように押さえる押さえ部と、を備える
ことを特徴とする試料切り替え装置である。
【0015】
本発明の第2の態様は、
前記第1支持部材は、前記複数のラミネートセルを放射状に並べて配置できるように正面視扇形に形成されており、
前記ホルダー移動装置は、前記試料ホルダーの回転移動によって、前記X線の通過位置に配置するラミネートセルを切り替えるものである
ことを特徴とする上記第1の態様に記載の試料切り替え装置である。
【0016】
本発明の第3の態様は、
前記試料ホルダーの回転中心は、前記X線の通過位置の直下に設定されている
ことを特徴とする上記第2の態様に記載の試料切り替え装置である。
【0017】
本発明の第4の態様は、
前記第1支持部材は、前記複数のラミネートセルを放射状に並べて配置できるように正面視円形に形成されており、
前記ホルダー移動装置は、前記試料ホルダーの回転移動によって、前記X線の通過位置に配置するラミネートセルを切り替えるものである
ことを特徴とする上記第1の態様に記載の試料切り替え装置である。
【0018】
本発明の第5の態様は、
前記試料ホルダーの回転中心は、前記X線の通過位置の直上に設定されている
ことを特徴とする上記第4の態様に記載の試料切り替え装置である。
【0019】
本発明の第6の態様は、
前記ホルダー移動装置は、前記試料ホルダーを回転移動させる回転部材と、前記X線の光軸方向と直交する方向で前記回転部材の位置を調整可能な位置調整機構と、を備える
ことを特徴とする上記第2〜第5の態様のいずれかに記載の試料切り替え装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ラミネートセルを対象としたX線分析において、ラミネートセルの膨れを抑制しながらX線分析の測定データを効率良く得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】X線分析装置の構成例を示す概略図である。
図2】X線分析の対象試料となるラミネートセルの構成例を示す概略断面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る試料切り替え装置の構成例を示す正面図である。
図4図3に示す試料切り替え装置の斜視図である。
図5】第1支持部材の正面図である。
図6】第1支持部材の斜視図である。
図7】第2支持部材の斜視図である。
図8】第1支持部材に窓部材を貼り付けた状態を示す正面図である。
図9】第2支持部材に窓部材を貼り付けた状態を示す正面図である。
図10】押さえ部の断面図である。
図11】複数のラミネートセルを充放電装置に電気的に接続した状態を示す模式図である。
図12】試料ホルダーの移動に伴うラミネートセルの切り替え動作を説明する図(その1)である。
図13】試料ホルダーの移動に伴うラミネートセルの切り替え動作を説明する図(その2)である。
図14】試料ホルダーの移動に伴うラミネートセルの切り替え動作を説明する図(その3)である。
図15】試料ホルダーの移動に伴うラミネートセルの切り替え動作を説明する図(その4)である。
図16】第2支持部材をL字形に形成した例を示す斜視図である。
図17】本発明の他の実施形態に係る試料切り替え装置の構成例を示す斜視図である。
図18】第1支持部材の斜視図である。
図19】試料ホルダーの正面図である。
図20】(A)は第1支持部材の平面図、(B)は第1支持部材の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明の実施の形態においては、次の順序で説明を行う。
1.X線分析装置の構成
2.ラミネートセルの構成
3.試料切り替え装置の構成
4.試料切り替え装置の動作
5.X線分析方法
6.実施の形態の効果
7.変形例等
8.他の実施の形態
【0023】
<1.X線分析装置の構成>
図1はX線分析装置の構成例を示す概略図である。
図示したX線分析装置は、X線放射光源1と、モノクロメータ2と、第1のX線検出部3と、試料設置部4と、第2のX線検出部5と、を備えている。X線放射光源1は、高エネルギーのX線を放射するものである。X線分析では、実験室系X線装置または放射光施設から発生するX線を用いることができる。モノクロメータ2は、試料に照射されるX線のエネルギー(波長)を、Braggの条件式に基づく回折によって調整するものである。具体的には、モノクロメータ2は、X線放射光源1から放射されたX線を取り込むとともに、取り込んだX線を回折させることにより、特定のエネルギー(波長)のX線を取り出す。モノクロメータ2としては、二結晶モノクロメータを用いることができる。二結晶モノクロメータを用いた場合は、二つの分光結晶の角度に応じて、特定のエネルギー(波長)のX線を取り出すことができ、出射ビームの位置を一定に保つことができる。また、モノクロメータ2の動作をBraggの条件式にしたがって制御することにより、モノクロメータ2の角度を連続的または断続的に変化させることができる。
【0024】
モノクロメータ2でエネルギーが調整されたX線の出射方向には、第1のX線検出部3と、試料設置部4と、第2のX線検出部5とが順に配置されている。試料設置部4は、X線分析の対象となる試料を設置する部分である。本実施の形態においては、X線分析の対象試料としてラミネートセル10を用いる。第1のX線検出部3は、ラミネートセル10に入射するX線の強度を検出するものである。第2のX線検出部5は、ラミネートセル10を透過したX線の強度を検出するものである。
【0025】
上記構成からなるX線分析装置においては、試料設置部4にラミネートセル10を設置した後、X線放射光源1からX線を放射させる。X線放射光源1から放射したX線は、モノクロメータ2でエネルギーが調整された状態でラミネートセル10に入射する。このとき、ラミネートセル10に入射するX線の強度を第1のX線検出部3で検出する。また、ラミネートセル10を透過したX線の強度を第2のX線検出部5で検出する。これにより、第1のX線検出部3で検出した入射X線強度と第2のX線検出部5で検出した透過X線強度との比によって、ラミネートセル10のX線吸光度を求めることができる。
【0026】
<2.ラミネートセルの構成>
図2はX線分析の対象試料となるラミネートセルの構成例を示す概略断面図である。図示したラミネートセル10は、正極11と、負極12と、セパレータ13とを含む電池要素14を備えた構成となっている。正極11は、たとえばアルミニウム箔を用いて、全体的に正面視矩形のシート状に形成されている。正極11の片面には正極活物質層15が形成されている。正極活物質層15は、正極11の一部を構成するものであって、たとえば、ニッケル酸リチウムと、導電助剤と、結着剤とを用いた塗膜によって形成されている。負極12は、たとえば銅箔を用いて、全体的に正面視略矩形のシート状に形成されている。負極12の片面には負極活物質層16が形成されている。負極活物質層16は、負極12の一部を構成するものであって、たとえば、グラファイトと、結着剤とを用いた塗膜によって形成されている。セパレータ13は、正面視矩形のシート状に形成されている。電池要素14は、セパレータ13を間に挟んで正極11と負極12を積層した構造になっている。この積層構造においては、正極11の正極活物質層15と負極12の負極活物質層16とが、セパレータ13を介して対向する状態に配置されている。
【0027】
また、電池要素14は、電解液17とともにラミネートフィルム18によって密封されている。ただし、正極11の端子部分Taと負極12の端子部分Tbは、充放電のための端子(不図示)を接続するために、それぞれラミネートフィルム18の外側に引き出される。ラミネートフィルム18は、電池要素14よりも一回り大きい、正面視矩形の袋状に形成されている。ラミネートフィルム18の内部には、非水系電解液からなる適量の電解液17が注入されている。これにより、ラミネートセル10は、ラミネートシート型のリチウムイオン二次電池を構成している。また、ラミネートセル10は、X線分析に必要とされる程度にX線を透過するように、正極11、負極12およびセパレータ13をそれぞれ単一のシートで構成した薄板状の構造になっている。
【0028】
<3.試料切り替え装置の構成>
図3は本発明の実施の形態に係る試料切り替え装置の構成例を示す正面図であり、図4図3に示す試料切り替え装置の斜視図である。試料切り替え装置23は、大きくは、試料ホルダー31と、この試料ホルダー31を移動可能に支持するホルダー移動装置32と、を備えた構成となっている。
【0029】
(ホルダー移動装置)
ホルダー移動装置32は台座33に搭載されている。台座33は、X線分析装置の試料設置部4に設けられるものである。ホルダー移動装置32は、図示しないモータと、このモータを駆動源として回転する回転板34と、この回転板34を支持するステージ機構39と、を有している。駆動源となるモータとしては、たとえば、ステッピングモータやサーボモータなどを用いることができる。回転板34は、試料ホルダー31を回転移動させる回転部材に相当する。回転板34は円板形に形成され、その中心が回転中心35になっている。回転板34の前面には複数(図例では4つ)のネジ孔36が設けられている。これらのネジ孔36は、回転板34に試料ホルダー31を取り付けるためのものである。
【0030】
ホルダー移動装置32のステージ機構39は、ラミネートセル10に入射(照射)するX線の光軸方向と直交する方向で回転板34の位置を調整可能な位置調整機構に相当するものである。ステージ機構39は、XYステージを用いて構成されている。ステージ機構39は、X線分析装置の試料設置部4にホルダー移動装置32を設置した場合に、上記X線の光軸方向と直交する面内で垂直方向(縦方向)および水平方向(横方向)に回転板34を移動可能に支持する。ステージ機構39を構成するXYステージのうち、一方のステージは、マイクロメータヘッド37の回転にしたがって回転板34を垂直方向に移動させ、他方のステージは、マイクロメータヘッド38の回転にしたがって回転板34を水平方向に移動させる。このため、各々のマイクロメータヘッド37,38を適宜回転させることにより、回転板34の位置を、上述した垂直方向および水平方向で独立に調整することが可能である。
【0031】
(試料ホルダー)
試料ホルダー31は、上述したラミネートセル10を対象試料としてX線分析を行う際に、ラミネートセル10を保持するために用いられるものである。本実施の形態においては、「X線分析」の一例として、ラミネートセル10にX線を照射して分析データを得るin−situX線分析に適用する場合について説明する。「in−situX線分析」とは、リチウムイオン二次電池を構成するラミネートセル10を分解することなくX線分析を行うことをいう。
【0032】
試料ホルダー31は、複数のラミネートセル10を保持することができる構成になっている。本実施の形態においては、一つの試料ホルダー31を用いて最多で4つのラミネートセル10を同時に保持できる構成になっている。以下、4つのラミネートセル10を個々に区別して説明する場合は、適宜、個々のラミネートセル10に符号10A,10B,10C,10Dを付すことにする。
【0033】
試料ホルダー31は、一つの第1支持部材41と、4つの第2支持部材42と、第1支持部材41と第2支持部材42とを押さえる押さえ部43と、を備えた構成になっている。第1支持部材41は、4つのラミネートセル10に共通に対応する部材である。第2支持部材42は、4つのラミネートセル10に個別に対応する部材である。
【0034】
(第1支持部材)
図5は第1支持部材の正面図であり、図6は第1支持部材の斜視図である。
第1支持部材41は、適度な厚み(たとえば、5〜10mm程度の厚み)を有する平らな板状に形成されている。また、第1支持部材41は、正面視扇形に形成されている。具体的には、第1支持部材41は、主に、一つの円弧44と、この円弧44の両端に一端を接続した二つの辺45,46とによって扇形に形成されている。第1支持部材41を形作っている扇形の中心角は180°未満(本形態例では125°程度)になっている。二つの辺45,46の他端には、第1支持部材41の基部47が形成されている。基部47の一部は、上述した円弧44よりも曲率半径が小さく、かつ、円弧44とは向きが反対の円弧状(半円形)に形成されている。
【0035】
第1支持部材41の一方の主面(以下、単に「主面」ともいう。)48は、4つのラミネートセル10を平面的に並べて配置できる大きさになっている。第1支持部材41の主面48は、上述した第2支持部材42との間でラミネートセル10を挟んで支持するための支持面となっている。第1支持部材41の主面48には、仮想的に4つの試料取付領域49が区画されている。試料取付領域49は、ラミネートセル10を取り付けるために確保された領域である。4つの試料取付領域49は、第1支持部材41の主面48上に4つのラミネートセル10を放射状に並べて配置できるように、隣り合う試料取付領域49の間に適度な間隔をあけて放射状に並んでいる。
【0036】
各々の試料取付領域49には、一つのX線透過用孔51と、4つのネジ取付用孔52とが設けられている。X線透過用孔51は、一つの試料ホルダー31で保持できるラミネートセル10の個数にあわせて、第1支持部材41全体で合計4つ設けられている。X線透過用孔51と各々のネジ取付用孔52は、いずれも第1支持部材41を厚み方向に貫通する状態で形成されている。X線透過用孔51は、X線を透過させるためのX線透過部として第1支持部材41に設けられたものである。X線透過用孔51は、試料取付領域49の中央部に設けられている。ネジ取付用孔52は、試料取付領域49の四隅に一つずつ設けられている。ネジ取付用孔52は、後述するネジ43(図10参照)を取り付けるためのものである。
【0037】
第1支持部材41の基部47の中心には試料ホルダー31の回転中心53が設定されている。基部47における回転中心53の周りには4つの連結用孔54が設けられている。これらの連結用孔54は、ホルダー移動装置32の回転板34に試料ホルダー31を連結するためのものである。先述した4つのX線透過用孔51は、上記回転中心53から等距離を隔てた位置で、かつ、互いに等しい角度間隔θ1(本形態例ではθ1=40°間隔)をあけた位置に形成されている。
【0038】
第1支持部材41および各第2支持部材42は、機械的には高い剛性を有し、電気的には絶縁性を有し、光学的には高い光透過性を有する材料によって構成されている。ここで記述する「高い剛性」とは、第1支持部材41と第2支持部材42でラミネートセル10を挟んで支持した場合に、ラミネートセル10内でのガスの発生に伴う圧力に屈して変形しない程度の剛性をいう。また、「高い光透過性」とは、試料ホルダー31の板厚方向の一方から他方を透かして見たときに、他方側に存在する物を目視で確認できる程度の光透過性をいう。上記の性質を満足する第1支持部材41および第2支持部材42の構成材料としては、たとえばアクリル樹脂を挙げることができる。
【0039】
(第2支持部材)
図7は第2支持部材の斜視図である。
第2支持部材42は、適度な厚み(たとえば、5〜10mm程度の厚み)を有する平らな板状に形成されている。また、第2支持部材42は、正面視矩形に形成されている。第2支持部材42の一方の主面(以下、単に「主面」ともいう。)55は、上述した第1支持部材41との間でラミネートセル10を挟んで支持するための支持面となっている。
【0040】
第2支持部材42には、一つのX線透過用孔56と、4つのネジ取付用孔57とが設けられている。X線透過用孔56と各々のネジ取付用孔57は、いずれも第2支持部材42を厚み方向に貫通する状態で形成されている。X線透過用孔56は、X線を透過させるためのX線透過部として第2支持部材42に設けられたものである。X線透過用孔56は、第2支持部材42の中央部に設けられている。また、X線透過用孔56は、第1支持部材41に設けられたX線透過用孔51と同じ大きさ(たとえば、直径が5mm)で円形に形成されている。ネジ取付用孔57は、第2支持部材42の四隅に一つずつ設けられている。ネジ取付用孔57は、後述するネジ43(図10参照)を取り付けるためのものである。
【0041】
第2支持部材42を正面視したときの外形寸法は、第1支持部材41に区画された試料取付領域49の外形寸法とほぼ同じ寸法に設定されている。第2支持部材42のネジ取付用孔57は、第1支持部材41のネジ取付用孔52と同じ大きさ(たとえば、直径が4mm)で円形に形成されている。また、第2支持部材42におけるX線透過用孔56と4つのネジ取付用孔57との位置関係は、第1支持部材41におけるX線透過用孔51と4つのネジ取付用孔52との位置関係と同一に設定されている。
【0042】
(窓部材)
上記構成からなる第1支持部材41および第2支持部材42のうち、第1支持部材41の主面48には、図8に示すように4つの窓部材58が貼り付けられ、これに対応して第2支持部材42の主面55には、図9に示すように窓部材59が貼り付けられている。窓部材58は、X線透過用孔51の開口を塞ぐように貼り付けられ、窓部材59は、X線透過用孔56の開口を塞ぐように貼り付けられている。窓部材58,59は、第1支持部材41と第2支持部材42との間にラミネートセル10を挟んで支持する場合に、ラミネートセル10に直接、面接触する部材である。窓部材58は、それぞれに対応する試料取付領域49に一つずつ貼り付けられている。各々の窓部材58,59は、互いに同じ材料を用いて、同じ形状および寸法に形成されている。さらに記述すると、各々の窓部材58,59は、薄いシート状をなして平面視矩形に形成されている。また、各々の窓部材58,59は、X線分析の測定に支障のない程度のX線透過率と、機械的な剛性とを併せ持つ材料で構成されている。窓部材58,59の材料としては、たとえば、炭素繊維強化プラスチックを好適に用いることができる。
【0043】
ここで、ラミネートセル10、第2支持部材42および窓部材58,59の寸法例について記述する。ラミネートセル10の寸法は、たとえば、長手寸法=80mm、短手寸法=60mm、厚み寸法=1mmに設定することができる。この場合、第2支持部材42の寸法は、たとえば、長手寸法=100mm、短手寸法=40mm、厚み寸法=10mmに設定することができる。また、窓部材58,59の各部の寸法は、たとえば、長手寸法=80mm、短手寸法=20mm、厚み寸法=0.2mmに設定することができる。
【0044】
(押さえ部)
押さえ部43は、第1支持部材41と第2支持部材42との間にラミネートセル10を挟んで支持する場合に、第1支持部材41と第2支持部材42が互いに離間しないように両者を押さえるものである。押さえ部43は、第1支持部材41と第2支持部材42の各X線透過用孔51,56を通過するX線と干渉しないように、X線透過用孔51,56の形成部位以外の箇所で第1支持部材41と第2支持部材42を押さえる。
【0045】
本実施の形態においては、一例として、上記図3に示すように、第2支持部材42の四隅を、それぞれ押さえ部43としている。押さえ部43は、たとえば図10に示すように、ネジ61とナット62からなる連結具を用いて構成される。ネジ61は、第1支持部材41に設けられたネジ取付用孔52と、これに対応して第2支持部材42に設けられたネジ取付用孔57とに挿入されるものである。ナット62は、ネジ61の雄ネジ部分に螺合するものである。このような連結具を用いて押さえ部43を構成した場合は、ネジ取付用孔52,57に挿入したネジ61にナット62を螺合させて締め付けることにより、第1支持部材41と第2支持部材42を互いに結合(連結)するように押さえることができる。
【0046】
(試料ホルダーにラミネートセルを取り付ける場合の手順)
次に、上記構成からなる試料ホルダー31にラミネートセル10を取り付ける場合の手順について説明する。ここでは一例として、試料ホルダー31にラミネートセル10を一つずつ取り付ける場合の手順を記述する。
【0047】
まず、第1支持部材41の主面48を上向きにして第1支持部材41を水平に支持し、この状態で第1支持部材41の主面48上にラミネートセル10を置く。このとき、一つの試料取付領域49に一つのラミネートセル10を置く。次に、ラミネートセル10の上に第2支持部材42を重ねて置く。このとき、光透過性を有する材料(典型的には透明な材料)で第1支持部材41と第2支持部材42を構成しておけば、それらの支持部材41,42の間にラミネートセル10を挟んだ状態でも、支持部材41,42の外側からラミネートセル10と窓部材58,59の位置関係を把握することができる。次に、第1支持部材41のネジ取付用孔52の位置と第2支持部材42のネジ取付用孔57の位置を合わせる。これにより、第1支持部材41のX線透過用孔51と第2支持部材42のX線透過用孔56とがほぼ同軸に配置される。
【0048】
次に、第1支持部材41と第2支持部材42とを互いに離間しないように押さえるべく、第2支持部材42の四隅にそれぞれネジ61とナット62を取り付ける。具体的には、互いに位置合わせされたネジ取付用孔52,57に第2支持部材42側からネジ61を挿入した後、ネジ61にナット62を螺合させる。このとき、第2支持部材42の四隅にそれぞれネジ61とナット62を取り付けて仮締めしてから、4つのナット62を徐々に締め付けて本締めすることにより、第1支持部材41と第2支持部材42を均等な力でバランス良く押さえることができる。ナット62による締め付け力は、少なくとも、第1支持部材41と第2支持部材42の間に挟んだラミネートセル10が落下しない程度の強さで、かつ、第1支持部材41や第2支持部材42が歪まない程度の強さとするのがよい。
【0049】
以上の手順で第1支持部材41に一つのラミネートセル10を取り付けたら、これと同様の手順で残り3つのラミネートセル10を取り付ける。これにより、上記図3に示すように、第1支持部材41に4つの第2支持部材42を用いてラミネートセル10A〜10Dが放射状に並べて装着される。各々のラミネートセル10は、第1支持部材41と第2支持部材42の間にサンドイッチ状に挟んで支持される。このとき、上記図10に示すように、第1支持部材41の主面48がラミネートセル10の一方の主面に対向するように配置されるとともに、第2支持部材42の主面55がラミネートセル10の他方の主面に対向するように配置される。また、第1支持部材41の主面48に貼り付けられている窓部材58がラミネートセル10の一方の主面に接触し、第2支持部材42の主面55に貼り付けられている窓部材59がラミネートセル10の他方の主面に接触した状態となる。
【0050】
(ホルダー移動装置に試料ホルダーを取り付ける場合の手順)
次に、ホルダー移動装置32に試料ホルダー31を取り付ける場合の手順について説明する。まず、第1支持部材41の基部47をホルダー移動装置32の回転板34に接触させる。このとき、第1支持部材41の基部47に設けられている4つの連結用孔54を、これに対応してホルダー移動装置32の回転板34に設けられている4つのネジ孔36に位置合わせする。また、回転板34の回転中心35の位置と基部47に設定された回転中心53の位置を合わせる。次に、4つの連結用孔54を通してホルダー取付用のネジ(不図示)をネジ孔36に螺合させた後、各々のネジを徐々に締め付ける。これにより、第1支持部材41の基部47がホルダー移動装置32の回転板34に固定される。以上の手順により、上記図3に示すようにホルダー移動装置32に試料ホルダー31を取り付けることができる。
【0051】
なお、試料ホルダー31にラミネートセル10を取り付ける場合や、ホルダー移動装置32に試料ホルダー31を取り付ける場合の手順は、上述した手順に限らない。たとえば、第1支持部材41に第2支持部材42を取り付けたままで、ナット62を適度に緩めてラミネートセル10の着脱を行ってもよい。また、ホルダー移動装置32の回転板34に試料ホルダー31を取り付けたままで、ラミネートセル10の着脱を行ってもよい。
【0052】
<4.試料切り替え装置の動作>
次に、上記構成からなる試料切り替え装置23の動作について説明する。
まず、試料ホルダー31に4つのラミネートセル10を装着した状態で、ホルダー移動装置32のモータを回転駆動させると、回転中心35,53を中心に試料ホルダー31が回転板34と一体に回転する。また、試料ホルダー31が回転すると、各々のラミネートセル10の位置が円周方向に変化する。このため、X線の通過位置P(図3参照)に配置するラミネートセル10を試料ホルダー31の回転移動によって切り替えることができる。ここで記述するX線の通過位置Pとは、上記図1においてX線放射光源1から放射されたX線がモノクロメータ2を経由して試料設置部4を通過するときの、当該試料設置部4におけるX線の通過位置、より具体的には上記図4に矢印で示すように、試料設置部4に設けられた台座33の上方をX線が通過するときの当該X線の通過位置をいう。これに対して、試料ホルダー31の回転軸は、試料設置部4を通過するX線の光軸と平行に配置されている。また、試料ホルダー31の回転軸は、X線の光軸よりも下方に配置されている。本実施の形態においては、好ましい形態の一つとして、試料ホルダー31の回転軸がX線の光軸の直下に設定されている。また、試料ホルダー31の回転方向、回転速度および回転量(回転角度)は、ホルダー移動装置32のモータの回転方向、回転速度および回転量に依存する。このため、たとえば、ホルダー移動装置32の駆動源にステッピングモータを用いた場合は、ステッピングモータに入力する駆動パルスの順序、周波数および個数によって、試料ホルダー31の回転方向、回転速度および回転量を制御することが可能となる。
【0053】
<5.X線分析方法>
次に、本発明の実施の形態に係る試料切り替え装置を用いたX線分析方法について説明する。本実施の形態においては、X線分析方法の一例として、予め決められた充放電条件でラミネートセル10の充放電を行うとともに、この充放電中のラミネートセル10にX線を照射して分析データを得るX線分析方法について説明する。より具体的には、充放電中のラミネートセル10のX線吸光度に関する分析データ(測定データ)を得る方法について説明する。
【0054】
(準備工程)
まず、準備工程として、次のような作業を行う。
すなわち、4つのラミネートセル10A〜10Dを装着した試料ホルダー31をホルダー移動装置32の回転板34に取り付ける。4つのラミネートセル10A〜10Dは、異なる材料(元素の種類など)や条件で製造したものでもよいし、同じ材料や条件で製造したものでもよい。
【0055】
次に、試料設置部4において、試料ホルダー31のいずれかのX線透過用孔51,56をX線が通過するように、回転板34の位置を調整する。回転板34の位置調整は、ステージ機構39のマイクロメータヘッド37,38を適宜回転させて行う。これにより、たとえば、ホルダー移動装置32のモータの駆動によってラミネートセル10AをX線の通過位置Pに配置したときに、ラミネートセル10Aを支持している支持部材41,42のX線透過用孔51,56とX線の通過位置Pとに相対的な位置ずれが生じていた場合でも、この位置ずれをマイクロメータヘッド37,38の回転操作により簡単かつ高精度に解消することができる。
【0056】
次に、図11に模式的に示すように、4つのラミネートセル10A〜10Dをそれぞれ接続コードを用いて充放電装置22に電気的に接続する。このとき、第1支持部材41と第2支持部材42をそれぞれ絶縁性の材料によって構成しておけば、万一、充放電中に接続コードの端子が第1支持部材41や第2支持部材42に接触してもショートするおそれがない。
【0057】
(測定工程)
次に、測定工程を行う。この測定工程においては、X線の通過位置Pに配置するラミネートセル10の順序を任意に設定または変更することが可能である。ここでは一例として、X線の通過位置Pに配置するラミネートセル10を、ラミネートセル10A→ラミネートセル10B→ラミネートセル10C→ラミネートセル10D→ラミネートセル10A→…(以下、同様の繰り返し)の順序で切り替えるものとする。
【0058】
まず、充放電装置22により、4つのラミネートセル10A〜10Dの充放電を開始した後、試料切り替え装置23の駆動により、図12に示すように、ラミネートセル10AをX線の通過位置Pに配置する。そして、この状態のもとでラミネートセル10AのX線分析の測定(分析データの取得)を行う。
【0059】
次に、上記ラミネートセル10AのX線分析の測定が終了すると、試料切り替え装置23の駆動により、図13に示すように、ラミネートセル10BをX線の通過位置Pに配置する。そして、この状態のもとでラミネートセル10BのX線分析の測定を行う。ラミネートセル10BをX線の通過位置Pに配置する場合は、ホルダー移動装置32の駆動にしたがって試料ホルダー31を一方向に所定角度(本形態例では40°)だけ回転移動させる。これにより、X線の通過位置Pに配置されるラミネートセル10が、ラミネートセル10Aからラミネートセル10Bに切り替わる。
【0060】
次に、上記ラミネートセル10BのX線分析の測定が終了すると、試料切り替え装置23の駆動により、図14に示すように、ラミネートセル10CをX線の通過位置Pに配置する。そして、この状態のもとでラミネートセル10CのX線分析の測定を行う。ラミネートセル10CをX線の通過位置Pに配置する場合は、ホルダー移動装置32の駆動にしたがって試料ホルダー31を一方向に所定角度(本形態例では40°)だけ回転移動させる。これにより、X線の通過位置Pに配置されるラミネートセル10が、ラミネートセル10Bからラミネートセル10Cに切り替わる。
【0061】
次に、上記ラミネートセル10CのX線分析の測定が終了すると、試料切り替え装置23の駆動により、図15に示すように、ラミネートセル10DをX線の通過位置Pに配置する。そして、この状態のもとでラミネートセル10DのX線分析の測定を行う。ラミネートセル10DをX線の通過位置Pに配置する場合は、ホルダー移動装置32の駆動にしたがって試料ホルダー31を一方向に所定角度(本形態例では40°)だけ回転移動させる。これにより、X線の通過位置Pに配置されるラミネートセル10が、ラミネートセル10Cからラミネートセル10Dに切り替わる。
【0062】
その後、上記ラミネートセル10DのX線分析の測定が終了すると、試料切り替え装置23の駆動により、上記図12に示すように、ラミネートセル10AをX線の通過位置Pに再度配置する。そして、この状態のもとでラミネートセル10AのX線分析の測定を再度実行する。ラミネートセル10AをX線の通過位置Pに配置する場合は、ホルダー移動装置32の駆動にしたがって試料ホルダー31をそれまでとは反対方向に所定角度(本形態例では120°)だけ回転移動させる。これにより、X線の通過位置Pに配置されるラミネートセル10が、ラミネートセル10Dからラミネートセル10Aに切り替わる。
【0063】
以降は、ラミネートセル10A〜10Dの充放電を開始してからの経過時間が、予め決められた充放電試験時間に達するまで、上記同様の動作が繰り返される。このため、たとえば、1サイクルあたりの充放電試験時間が18時間であって、一つのラミネートセル10のX線吸光度の測定を1回実施するのに必要な時間が4分であると仮定すると、単純計算で1サイクルあたり合計270個の分析データが得られる。また、個々のラミネートセル10A〜10D単位では、一つのラミネートセル10について、1サイクルあたり合計67個の分析データが得られる。このため、4つのラミネートセル10A〜10Dごとに、対応する67個の分析データを用いて、充放電中におけるラミネートセル10内の状態の変化を把握することが可能となる。
【0064】
<6.実施の形態の効果>
本発明の実施の形態においては、ラミネートセル10を保持する試料ホルダー31の構成として、第1支持部材41と第2支持部材42との間にラミネートセル10を挟んで支持するとともに、第1支持部材41と第2支持部材42とを互いに離間しないように押さえ部43で押さえる構成を採用している。このため、充放電によってラミネートセル10内にガスが発生しても、ラミネートセル10の膨らみが抑制される。したがって、正極11と負極12の相対的な位置関係がほとんど変化せず、両者の電気的な接続状態が良好に保たれる。これにより、測定中にラミネートセル10内にガスが発生するような条件であっても、ラミネートセル10の充放電を適切に行うことができる。したがって、ラミネートセル10のX線分析によって得られる分析データが、ラミネートセル10の充放電の状態を正しく反映したものとなる。その結果、ガス発生後においても、その影響をほとんど受けることなく、信頼性の高いX線分析を行うことが可能となる。
【0065】
また、本発明の実施の形態においては、一つの試料ホルダー31で4つのラミネートセル10を保持するとともに、その試料ホルダー31をホルダー移動装置32によって移動させることにより、X線の通過位置Pに配置するラミネートセル10を切り替え可能な構成を採用している。このため、4つのラミネートセル10についてX線分析の測定結果を得る場合に、X線の通過位置Pに配置するラミネートセル10を順に切り替えながらX線分析の測定を繰り返すことにより、予め決められた充放電試験時間内で、4つのラミネートセル10の測定を並行して行うことができる。したがって、1サイクルあたりの充放電試験時間で比較した場合、従来では一つのラミネートセルの分析データしか得られなかったものが、本実施の形態によれば、4つのラミネートセル10の分析データを同時に得ることができる。その結果、4つのラミネートセル10のX線分析を従来よりも効率良く行うことができる。
【0066】
以上のことから、本発明の実施の形態によれば、ラミネートセル10を対象としたX線分析において、ラミネートセル10の膨れを抑制しながらX線分析の測定データを効率良く得ることができる。
【0067】
また、上記実施の形態においては、正面視扇形に形成された第1支持部材41に4つのラミネートセル10を放射状に並べて配置し、ホルダー移動装置32の駆動に伴う試料ホルダー31の回転移動によって、X線の通過位置Pに配置するラミネートセル10を切り替える構成を採用している。このため、試料切り替え装置23をコンパクトに構成することができる。また、試料切り替え装置23の動作に必要なスペースも小さくて済む。
【0068】
また、上記実施の形態においては、第1支持部材41と第2支持部材42で直接ラミネートセル10を挟むのではなく、各々の支持部材41,42の支持面(48,55)に貼り付けた窓部材58,59で直接ラミネートセル10を挟むようにしている。このため、窓部材58,59を設けない場合は、ラミネートセル10内で発生したガスが、押さえの効かない貫通孔51,56の部分に溜まり、ラミネートセル10が局所的に膨れるおそれがあるのに対して、窓部材58,59を設けた場合は、そのようなおそれがなくなる。このため、ラミネートセル10の局所的な膨らみに伴う充放電の異常を回避することができる。
【0069】
また、上記実施の形態においては、第1支持部材41と第2支持部材42の各主面48,55に貼り付けた窓部材58,59を炭素繊維強化プラスチックで構成している。このため、ラミネートセル10のX線分析に必要なX線通過率を確保したうえで、充放電中のガスの発生に伴うラミネートセル10の膨らみを有効に抑制することができる。
【0070】
<7.変形例等>
本発明の技術的範囲は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
【0071】
たとえば、上記実施の形態においては、試料ホルダー31の構成上、第2支持部材42の四隅をそれぞれ押さえ部43で押さえている。しかし、この構成では、支持部材41,42を更に強固に押さえるためにナット62の締め付け力を強くした場合、第1支持部材41や第2支持部材42に歪みが発生することが懸念される。そうした場合は、必要に応じて、各々の支持部材41,42のX線透過用孔51,56の近傍を別途、外側から挟むように押さえる構成を付加してもよい。具体的には、図示はしないが、バネ式のクランプ、あるいはクリップなどを用いて、各々の支持部材41,42のX線透過用孔51,56の近傍を押さえる構成を採用してもよい。また、第2支持部材42の歪みを抑制するために、たとえば第2支持部材42を図16に示すようにL字形に曲がった板状に形成してもよい。
【0072】
また、上記実施の形態においては、4つのラミネートセル10を保持する試料ホルダー31をホルダー移動装置32の回転板34に取り付けた場合に、回転中心35から大きく離れたところに試料ホルダー31の重心が位置する。このため、ホルダー移動装置32のモータの負荷が大きくなることが懸念される。そうした場合は、必要に応じて、ホルダー全体の質量バランスをとるための錘(不図示)を試料ホルダー31に取り付けてもよい。この構成を採用した場合は、試料ホルダー31に錘を取り付けない場合に比べて、試料ホルダー31の重心の位置を回転中心35に近づけることができる。このため、モータの負荷を軽減することができる。
【0073】
また、上記実施の形態においては、X線の通過位置Pに配置するラミネートセル10を試料ホルダー31の回転移動によって切り替える構成を採用している。しかし、本発明はこれに限らず、図示しない横長形状の試料ホルダーに複数のラミネートセルを並べて支持し、その試料ホルダーの直線移動によって、X線の通過位置に配置するラミネートセルを切り替える構成を採用してもよい。また、一つの試料ホルダーで同時に保持できるラミネートセルの個数を、2つ、3つ、または5つ以上としてもよい。
【0074】
<8.他の実施の形態>
以下に、本発明の他の実施の形態として、より多くのラミネートセルを同時に保持することが可能な試料ホルダーを備えた試料切り替え装置について説明する。
【0075】
図17は本発明の他の実施形態に係る試料切り替え装置の構成例を示す斜視図である。
本実施の形態においては、先述した実施の形態と比較して、特に、試料ホルダーの第1支持部材の構成と、ホルダー移動装置の構成が異なっている。以下、詳しく説明する。なお、本実施の形態においては、先述した実施の形態で記述した内容と重複する説明はできるだけ省略する。したがって、先述した実施の形態で記述した内容は、特に断らない限り、本実施の形態にも適用されるものとする。
【0076】
(試料ホルダー)
試料ホルダー100は、図18に示すように、一つの第1支持部材101と、最多で8つ(図17ではそのうちの2つだけを表示)の第2支持部材102と、第1支持部材101と第2支持部材102とを押さえる押さえ部103と、を備えた構成になっている。
【0077】
(第1支持部材)
図19は第1支持部材の斜視図である。また、図20(A)は第1支持部材の平面図、同(B)は第1支持部材の正面図である。
第1支持部材101は、正面視円形の板状(円盤状)に形成されている。第1支持部材101の中心部には突出部101Aが設けられている。突出部101Aは、第1支持部材101に一体に形成されている。突出部101Aは、第1支持部材101の他の部分よりも大きな厚み寸法を有することにより、第1支持部材101の厚み方向に突出した状態で形成されている。第1支持部材101の外周円と、突出部101Aの外周円とは、同心円になっている。突出部101Aには4つの連結用孔104が設けられている。これらの連結用孔104は、後述するホルダー移動装置120の回転板121に試料ホルダー100を連結するためのものである。
【0078】
第1支持部材101の一方の主面(以下、単に「主面」ともいう。)105は、最多で8つのラミネートセル10を平面的に並べて配置できる大きさになっている。第1支持部材101の主面105は、第2支持部材102との間でラミネートセル10を挟んで支持するための支持面となっている。上述した突出部101Aは、第1支持部材101の主面105とは反対側の主面から突出している。第1支持部材101に突出部101Aを設けた理由は、後述するホルダー移動装置120に試料ホルダー100を取り付けて、ホルダー移動装置120の駆動により試料ホルダー100を回転移動させたときに、ホルダー移動装置120と試料ホルダー100との干渉(接触)を避けるためである。
【0079】
第1支持部材101の主面105には、仮想的に8つの試料取付領域106が区画されている。8つの試料取付領域106は、第1支持部材101の主面105上に最多で8つのラミネートセル10を放射状に並べて配置できるように、隣り合う試料取付領域49の間に適度な間隔をあけて放射状に並んでいる。また、第1支持部材101の円周方向で隣り合う2つの試料取付領域106の間には、それぞれ抜き孔109が設けられている。抜き孔109は、第1支持部材101を厚み方向に貫通するように形成されている。抜き孔109は、第1支持部材101の円周方向に8つ並んで設けられている。また、抜き孔109は、第1支持部材101の円周方向に放射状に並んで設けられている。各々の抜き孔109は、正面視略三角形に形成されている。抜き孔109の2つの辺部は、第1支持部材101の円周方向で隣り合う両側2つの試料取付領域106の各長辺部に隣接するように形成されている。
【0080】
各々の試料取付領域106には、一つのX線透過用孔107と、4つのネジ取付用孔108とが設けられている。X線透過用孔107は、一つの試料ホルダー100で保持できるラミネートセル10の個数にあわせて、第1支持部材101全体で合計8つ設けられている。第1支持部材101の突出部101Aの中心には、試料ホルダー100の回転中心110が設定されている。先述した4つの連結用孔104は、突出部101Aにおける回転中心110の周りに設けられている。第1支持部材101の半径方向においては、8つのX線透過用孔107が上記回転中心110から等距離を隔てた位置(同一円周上)に形成されている。また、第1支持部材101の円周方向においては、8つのX線透過用孔107が互いに等しい角度間隔θ2(本形態例ではθ2=45°間隔)をあけて形成されている(図20(B)を参照)。
【0081】
(第2支持部材)
第2支持部材102は、第1支持部材101との間でラミネート10を挟んで支持するための支持面(不図示)と、一つのX線透過用孔112と、4つのネジ取付用孔113とを有する。第2支持部材102は、基本的に、先述した実施の形態の場合(図7に示す第2支持部材42)と同様の構成になっている。
【0082】
また、図示はしないが、第1支持部材101の主面105には窓部材が貼り付けられ、第2支持部材102の支持面(不図示)にも窓部材が貼り付けられている。
【0083】
(ホルダー移動装置)
ホルダー移動装置120は、先述したX線分析装置の試料設置部4に設けられる台座33に搭載されている。ホルダー移動装置120は、図示しないモータと、このモータを駆動源として回転する回転板121と、この回転板121を移動可能に支持するステージ機構122と、を有している。回転板121の前面には、試料ホルダー100を取り付けるためのネジ孔(不図示)が設けられている。
【0084】
ステージ機構122は、上部ステージ123と、下部ステージ124と、これら上部ステージ123と下部ステージ124を連結する複数(図例では4つ)のロッド125と、を備えている。上部ステージ123は、ロッド125の上端部に搭載されている。ロッド125は、下部ステージ124から垂直に起立するように設けられている。上部ステージ123は、マイクロメータヘッド126の回転にしたがって回転板121を垂直方向に移動させ、下部ステージ124は、マイクロメータヘッド127の回転にしたがって回転板121を水平方向に移動させる。このため、各々のマイクロメータヘッド126,127を適宜回転させることにより、回転板121の位置を、垂直方向および水平方向で独立に調整することが可能である。
【0085】
試料ホルダー100の回転中心110は、X線の通過位置P(図17図18参照)の直上に設定されている。X線の通過位置Pは、上記回転中心110の真下を通過するX線がステージ機構122と干渉しないように、次のように設定されている。すなわち、X線の通過位置Pは、試料ホルダー100を正面から見たときに水平方向で隣り合う2つのロッド125の間(中間位置)に設定されている。
【0086】
(取り付けの手順)
試料ホルダー100にラミネートセル10を取り付ける場合は、第1支持部材101の主面105を上向きにして、いずれかの試料取付領域106にラミネートセル10を置く。次に、ラミネートセル10の上に第2支持部材102を重ねて置く。次に、第1支持部材101と第2支持部材102を、押さえ部103によって押さえる。このような取り付け作業を繰り返すことにより、一つの試料ホルダー100に最多で8つのラミネートセル10を装着することができる。
【0087】
ホルダー移動装置120に試料ホルダー100を取り付ける場合は、第1支持部材101の突出部101Aをホルダー移動装置120の回転板121に固定する。具体的には、突出部101Aに設けられている4つの連結用孔104を、ホルダー移動装置120の回転板121に設けられている4つのネジ孔(不図示)に位置合わせし、その状態でホルダー取付用のネジ(不図示)を当該ネジ孔に螺合させて締め付ける。これにより、第1支持部材101の突出部101Aがホルダー移動装置120の回転板121に固定される。
【0088】
(試料切り替え装置の動作)
試料ホルダー100に8つのラミネートセル10を装着した状態で、ホルダー移動装置120のモータを回転駆動させると、回転中心110を中心に試料ホルダー100が回転板121と一体に回転する。また、試料ホルダー100が回転すると、各々のラミネートセル10の位置が円周方向に変化する。このため、X線の通過位置P(図17図18)に配置するラミネートセル10を試料ホルダー100の回転移動によって切り替えることができる。
【0089】
上記の試料切り替え装置によれば、先述した実施の形態と比較して、次のような効果が得られる。すなわち、一つの試料ホルダー100に最多で8つのラミネートセル10を保持することができるとともに、その試料ホルダー100をホルダー移動装置120によって回転移動させることにより、X線の通過位置Pに配置するラミネートセル10を切り替えることができる。このため、最多で8つのラミネートセル10について、予め決められた充放電試験時間内にX線分析の測定結果を得ることができる。
【0090】
また、上記他の実施の形態においては、ホルダー移動装置120に複数のロッド125を設けて、より高い位置に試料ホルダー100の回転軸を配置するとともに、この試料ホルダー100の回転軸をX線の光軸よりも上方に配置している。また、好ましい形態の一つとして、試料ホルダー100の回転軸をX線の光軸の直上に配置している。このため、試料ホルダー100を回転移動させるにあたって、ホルダー移動装置120が搭載される台座33とその上方を通過するX線の光軸との相対的な位置関係を変えることなく、台座33等と試料ホルダー100との位置的な干渉を回避することができる。
【0091】
また、上記他の実施の形態においては、試料取付領域106に隣接するように第1支持部材101に抜き孔109を設けているため、この抜き孔109の部分を利用して、第1支持部材101と第2支持部材102とを押さえるクリップ等を装着することが可能である。この効果は、先述した実施の形態において、第1支持部材41に抜き孔を設けた場合にも得られる。
【0092】
また、上記他の実施の形態においては、第1支持部材101を円盤状に形成し、第1支持部材101の中心を回転中心110として試料ホルダー100を回転させる構成になっている。このため、試料ホルダー100全体の質量バランスが良くなる。
【0093】
なお、上記他の実施の形態においては、より多くのラミネートセル10を取り付けられるように、正面視円形の試料ホルダー100を用いたが、これに代えて、先の実施の形態で採用した正面視扇形の試料ホルダー31、あるいは図示はしないが、正面視半円形の試料ホルダーを用いることも可能である。また、平板状の第2支持部材102に代えて、上記図16に示すL字形の第2支持部材42を用いることも可能である。
【0094】
また、上述した他の実施の形態においては、試料ホルダー100の回転軸をX線の光軸よりも上方(好ましくは、X線の光軸の直上)に配置したが、これらの位置関係については、試料ホルダー100の回転動作に支障がない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、台座33からX線の光軸までの高さ寸法や、ラミネートセル10の大きさ、あるいは試料ホルダー100の大きさなどによっては、試料ホルダー100の回転軸とX線の光軸を互いに同じ高さに配置した構成、あるいは、試料ホルダー100の回転軸をX線の光軸よりも下方に配置した構成を採用することも可能である。また、X線の通過位置Pに配置するラミネートセル10を試料ホルダー100の回転移動によって切り替える場合、試料ホルダー100の回転軸とX線の光軸とは、必ずしも平行である必要はなく、所定の傾きを有していてもよい。ちなみに、試料ホルダー100の回転軸とX線の光軸とを平行に配置した場合は、ラミネートセル10の主面にX線が垂直(真っ直ぐ)に入射することになる。また、試料ホルダー100の回転軸とX線の光軸とが所定の傾きを有している場合は、その傾き角度に応じてラミネートセル10の主面にX線が斜めに入射することになる。
以上の点は、先述した実施の形態における、試料ホルダー31の回転軸とX線の光軸との関係についても同様である。
【0095】
また、上記各実施の形態においては、第1支持部材と第2支持部材の両方を、高い光透過性を有する材料で構成するとしたが、これに限らず、いずれか一方の支持部材だけを、高い光透過性を有する材料で構成してもよい。また、第1支持部材と第2支持部材の両方を、不透明な材料で構成してもかまわない。
【0096】
また、X線回折測定に対応するために、たとえば図示はしないが、第1支持部材のX線透過用孔を外開きのすり鉢状(断面円錐台形状)に形成することにより、ラミネートセルで回折したX線と第1支持部材との干渉を回避してもよい。また、第1支持部材のX線透過用孔と第2支持部材のX線透過用孔の両方を、それぞれ外開きのすり鉢状に形成してもよい。
【0097】
また、第1支持部材101の抜き孔109は必要に応じて設けるようにすればよい。
【0098】
また、上記各実施の形態においては、特に好ましい形態として、第1支持部材の支持面と第2支持部材の支持面にそれぞれ窓部材を貼り付けた構成を採用しているが、これに限らず、窓部材を用いることなく、第1支持部材と第2支持部材で直接、ラミネートセルを挟み込む構成を採用してもよい。
【0099】
また、一つの試料ホルダーに装着可能なラミネートセルの個数は、試料ホルダーとラミネートセルの寸法関係に応じて適宜変更が可能である。また、実際に試料切り替え装置を使用する場合は、試料ホルダーに必ずしも最多の個数でラミネートセルを取り付ける必要はなく、最多の個数よりも少ない個数のラミネートセルを試料ホルダーに取り付けて使用することも可能である。
【0100】
1…X線放射光源
2…モノクロメータ
3…第1のX線検出部
4…試料設置部
5…第2のX線検出部
10…ラミネートセル(試料)
11…正極
12…負極
13…セパレータ
14…電池要素
22…充放電装置
23…試料切り替え装置
31、100…試料ホルダー
32、120…ホルダー移動装置
34、121…回転板(回転部材)
35、110…回転中心
39、122…ステージ機構(位置調整機構)
41、101…第1支持部材
42、102…第2支持部材
43、103…押さえ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20