特開2015-233051(P2015-233051A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-233051(P2015-233051A)
(43)【公開日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】ウェーハの分割方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20151201BHJP
   B23K 26/53 20140101ALN20151201BHJP
【FI】
   H01L21/78 V
   H01L21/78 Q
   B23K26/53
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-118686(P2014-118686)
(22)【出願日】2014年6月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(74)【代理人】
【識別番号】100137903
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 稔
【テーマコード(参考)】
4E168
5F063
【Fターム(参考)】
4E168AE01
4E168HA01
4E168JA12
4E168JA13
4E168JA14
4E168JA15
5F063AA02
5F063BA33
5F063BA43
5F063BA47
5F063CB07
5F063CB23
5F063CB28
5F063DD59
5F063DD81
5F063DF12
5F063EE03
5F063EE81
5F063FF04
(57)【要約】
【課題】反りの激しいウェーハであっても分割予定ラインに沿って良好に分割すること。
【解決手段】本発明のウェーハの分割方法は、柔軟性がある多孔性フィルム(21)上にウェーハ(W)を重ねた状態で、ウェーハを覆うようにして保持テープ(25)を貼着してウェーハと多孔質フィルムを一体的に保持するステップと、保持テーブル(31)上に多孔質フィルムを介してウェーハを載置し、多孔質フィルムを通じて保持テーブルの吸引力をウェーハに作用させて、ウェーハを保持テーブル上に吸引保持するステップと、ウェーハの分割予定ライン(13)に押圧刃(41)を当接させて、ウェーハを個々のデバイスチップ(C)に分割するステップとを有する構成にした。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に分割予定ラインによって区画された複数の領域にデバイスが形成されたウェーハを該分割予定ラインに沿って分割するウェーハの分割方法であって、
ウェーハの外径より大きい外径の薄板形状で且つ柔軟性を有する多孔性フィルムの表面にウェーハ表面側を載置して、ウェーハ裏面とウェーハ外側に延在する該多孔性フィルムの該表面とに保持テープを貼着して、ウェーハと該多孔性フィルムとを一体的に該保持テープで保持するテープ貼着ステップと、
該テープ貼着ステップを実施した後に、ウェーハの外径以上で該多孔性フィルムの外径と同等かそれ以下の外径の吸引領域を有する保持テーブルに、該吸引領域全面を該多孔性フィルムで覆った状態で該多孔性フィルム側を載置して、該保持テーブルに該多孔性フィルムを通してウェーハを吸引保持する保持ステップと、
該保持ステップを実施した後に、該保持テープの露呈するウェーハの裏面側から、押圧刃をウェーハに予め形成された該分割予定ラインに位置付けて押圧して該分割予定ラインに沿って分割する分割ステップと、
を備えるウェーハの分割方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハを個々のデバイスに分割するウェーハの分割方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDウェーハやサファイアウェーハを個々のチップに分割する装置として、分割予定ラインに沿ってスクライブラインや改質層を形成した後に、ブレーキングによってウェーハを破断して、個々のチップを製造するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。通常、このようなブレーキング装置では、長尺の一対の支持台が間を空けて配置されており、一対の支持台の上方には押圧刃が配置されている。そして、押圧刃がウェーハに対して上方から当接することで、ウェーハの分割予定ラインに曲げ応力が加わり、強度が低下したスクライブラインや改質層等の分割起点に沿ってウェーハが分割される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−148982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、サファイアウェーハ等の剛性が高いウェーハが薄化されると、ウェーハに激しい反りが生じてしまう場合がある。特許文献1に記載のブレーキング装置の一対の支持台に、反りが生じたウェーハが載置されると、ウェーハの反りが矯正される反動でウェーハが予期しない位置で割れてしまうという問題がある。
【0005】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、反りの激しいウェーハであっても分割予定ラインに沿って良好に分割することができるウェーハの分割方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のウェーハの分割方法は、表面に分割予定ラインによって区画された複数の領域にデバイスが形成されたウェーハを該分割予定ラインに沿って分割するウェーハの分割方法であって、ウェーハの外径より大きい外径の薄板形状で且つ柔軟性を有する多孔性フィルムの表面にウェーハ表面側を載置して、ウェーハ裏面とウェーハ外側に延在する該多孔性フィルムの該表面とに保持テープを貼着して、ウェーハと該多孔性フィルムとを一体的に該保持テープで保持するテープ貼着ステップと、該テープ貼着ステップを実施した後に、ウェーハの外径以上で該多孔性フィルムの外径と同等かそれ以下の外径の吸引領域を有する保持テーブルに、該吸引領域全面を該多孔性フィルムで覆った状態で該多孔性フィルム側を載置して、該保持テーブルに該多孔性フィルムを通してウェーハを吸引保持する保持ステップと、該保持ステップを実施した後に、該保持テープの露呈するウェーハの裏面側から、押圧刃をウェーハに予め形成された該分割予定ラインに位置付けて押圧して該分割予定ラインに沿って分割する分割ステップと、を備える。
【0007】
この構成によれば、柔軟性のある多孔性フィルムを介してウェーハが保持テーブルに吸引保持される。ウェーハに激しい反りが生じていても、多孔性フィルムが保持テーブルとウェーハとの間でウェーハの反りを吸収するように変形するため、反りを矯正し過ぎることなくウェーハを保持テーブルに吸引保持させることができる。このため、多孔性フィルムを通じてウェーハに吸引力が作用しても、ウェーハが矯正される反動でウェーハが予期しない位置で割れることがない。また、押圧刃による分割ステップでは、多孔性フィルムによってウェーハの破断時の変位が吸収されるため、ウェーハを良好に分割することが可能である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、柔軟性のある多孔性フィルムを介してウェーハを保持テーブルに吸引保持したことで、反りの激しいウェーハであっても分割予定ラインに沿って良好に分割することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ウェーハを保持テーブルに吸引保持した状態を示す図である。
図2】本実施の形態に係るテープ貼着ステップの一例を示す図である。
図3】本実施の形態に係るウェーハ及び多孔性フィルムの断面模式図である。
図4】本実施の形態に係る保持ステップの一例を示す図である。
図5】本実施の形態に係る分割ステップの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施の形態に係るウェーハの分割方法は、サファイアウェーハ等の薄化によって激しい反りが生じたウェーハを、保持テーブル上でブレーキングによって良好に分割する方法である。通常、保持テーブル上でウェーハをブレーキングするためには、改質層等の分割起点が形成されたウェーハを保持テーブル上で吸引保持する必要がある。しかしながら、図1Aに示すように、反りの激しいウェーハWを保持テーブル51上に載置すると、保持テーブル51の吸引力によってウェーハWの反りが矯正され、この矯正時の反動によってウェーハW内に強い曲げ応力が生じる。
【0011】
このため、図1Bに示すように、改質層16が形成された分割予定ラインとは異なる位置でウェーハWが破断されてしまう。そこで、本実施の形態では、反りの激しいウェーハWと保持テーブル51の間に柔軟性のある多孔性フィルム21(図3参照)を挟んで、ウェーハWを保持テーブル51に吸引保持させるようにしている。これにより、多孔性フィルム21がウェーハWの反りを吸収するように変形するため、ウェーハWの反りを矯正させ過ぎることなく、保持テーブル51の吸引力をウェーハWに対して作用させることが可能になっている。
【0012】
以下、添付図面を参照して、本実施の形態に係るウェーハの分割方法について詳細に説明する。図2は、本実施の形態に係るテープ貼着ステップの一例を示す図である。図3は、本実施の形態に係るウェーハ及び多孔性フィルムの断面模式図である。図4は、本実施の形態に係る保持ステップの一例を示す図である。図5は、本実施の形態に係る分割ステップの一例を示す図である。
【0013】
図2に示すように、先ずテープ貼着ステップが実施される。テープ貼着ステップでは、多孔性フィルム21の表面22にウェーハWの表面11(図3参照)側が載置される。ウェーハWは、略円板状のサファイアウェーハであり、薄化に起因した反りが生じている。ウェーハWの表面11は、格子状の分割予定ライン13によって複数の領域に区画され、各領域にデバイスDが形成されている。また、ウェーハWの外縁14には、結晶方位を示すノッチ15が形成されている。なお、ウェーハWは、セラミック、ガラス等の光デバイスウェーハでもよいし、シリコン、ガリウム砒素等の半導体ウェーハでもよい。
【0014】
多孔性フィルム21は、柔軟性を有するポリエチレン等の円形状の薄板形状のフィルムであり、フィルム内の連続気泡によって多孔質に形成されている。多孔性フィルム21は、柔軟性、通気性に優れており、ウェーハWの表面11側を保護するだけでなく、詳細は後述するがウェーハWの表面11側に保持テーブル31(図4参照)の吸引力を作用させるようにしている。なお、多孔性フィルム21としては、日東電工社製のサンマップLC(登録商標)の厚さ0.3[mm]を用いてもよい。多孔性フィルム21の表面22にウェーハWが載置されると、保持テープ25によってウェーハWと多孔性フィルム21が一体的に保持される。
【0015】
この場合、環状フレーム29の内側で多孔性フィルム21上にウェーハWが載置され、ウェーハWを覆うようにして環状フレーム29に保持テープ25が貼着される。図3に示すように、ウェーハWの外径W1よりも多孔性フィルム21の外径W3が大きいため、ウェーハWの裏面12全体とウェーハWの外側に延在する多孔性フィルム21の表面22に保持テープ25が貼着される。このように、ウェーハWと多孔性フィルム21を段状に重ねた状態で、保持テープ25によって環状フレーム29に一体的に支持される。この場合、多孔性フィルム21とウェーハWは接着されておらず、多孔性フィルム21とウェーハWの間に部分的に隙間が生じている。なお、テープ貼着ステップは、オペレータによる手作業で実施されてもよいし、不図示の貼着装置で実施されてもよい。
【0016】
また、ウェーハWの内部には、レーザー加工装置によるレーザービームの照射によって前段の工程で、分割起点となる改質層16が分割予定ライン13(図2参照)に沿って形成されている。なお、改質層16は、レーザービームの照射によってウェーハWの内部の密度、屈折率、機械的強度やその他の物理的特性が周囲と異なる状態となり、周囲よりも強度が低下する領域のことをいう。改質層16は、例えば、溶融処理領域、クラック領域、絶縁破壊領域、屈折率変化領域であり、これらが混在した領域でもよい。ウェーハWは、多孔性フィルム21と一体化された状態でブレーキング装置に搬入される。
【0017】
図4Aに示すように、テープ貼着ステップを実施した後には、保持ステップが実施される。保持ステップでは、多孔性フィルム21とウェーハWが一体化された状態で保持テーブル31上に載置され、ウェーハWの周囲の環状フレーム29がクランプ部32によって挟持固定される。保持テーブル31の吸引領域33の外径W2は、ウェーハWの外径W1よりも大きく、多孔性フィルム21の外径W3以下に形成されている。保持テーブル31の吸引領域33全面が多孔性フィルム21に覆われるように、多孔性フィルム21側が保持テーブル31に載置され、多孔性フィルム21を介してウェーハWが保持テーブル31上に載置される。
【0018】
多孔性フィルム21が優れた通気性を有しているため、多孔性フィルム21が吸引領域33を覆うことで、多孔性フィルム21の表面22がウェーハWに対する吸引領域として機能する。多孔性フィルム21の外周部分23はウェーハWからはみ出しているが、外周部分23は保持テーブル31と保持テープ25によって覆われている。これにより、多孔性フィルム21から吸引力が漏れることなく、適切な吸引力を発生可能にしている。この吸引源35の非駆動時には、ウェーハWの反りによって多孔性フィルム21とウェーハWの間に部分的な隙間が残される場合もある。
【0019】
図4Bに示すように、吸引源35が駆動して保持テーブル31の吸引領域33に吸引力が発生すると、多孔性フィルム21を通じてウェーハWの表面11にも吸引力が作用する。多孔性フィルム21が柔軟性を有しているため、ウェーハWの表面11が引き付けられることで、ウェーハWからの反力を受けて多孔性フィルム21が潰れるように変形する。多孔性フィルム21がウェーハWの反りに沿うように変形することで、反りが生じたウェーハWを適切に吸引保持することが可能になっている。よって、ウェーハWの反りが平坦になるまで無理に矯正されることがない。
【0020】
また、保持テーブル31からの吸引力によってウェーハWの反りが無理に矯正されないため、ウェーハWに強い反動が生じることもなく、ウェーハWが予期しない位置で割れることもない。このように、通気性及び柔軟性のある多孔性フィルム21を介在させることで、多孔性フィルム21を通じて保持テーブル31の平坦な吸引領域33に反りのあるウェーハWを吸引保持することが可能になっている。なお、多孔性フィルム21は、ウェーハWを吸引保持可能な程度の通気性と、保持テーブル31とウェーハWとの間でウェーハWの反りを吸収できる程度の柔軟性とを有していれば、特に材質等は限定されない。
【0021】
図5Aに示すように、保持ステップを実施した後には、分割ステップが実施される。分割ステップでは、ウェーハWが多孔性フィルム21を介して保持テーブル31上に保持された状態で、保持テープ25が露呈するウェーハWの裏面12上方に押圧刃41が位置付けられる。押圧刃41は、ステンレス等の剛性板で長尺状に形成されており、保持テーブル31の移動方向であるX軸方向に直交するY軸方向に延在している。押圧刃41は、1回の押圧動作で1列の改質層16(分割予定ライン13(図2参照))を破断できるようにウェーハWの直径以上の長さを有している。
【0022】
また、押圧刃41の先端部分は、下方に向かって板厚が狭くなっており、ウェーハWに当接する先端面42は略平坦になっている。ウェーハWに対する押圧刃41のアライメントは、不図示の撮像手段等によって行われている。撮像手段の撮像画像に基づいて保持テーブル31が移動されることで、押圧刃41の真下にウェーハWの改質層16(分割予定ライン13(図2参照))が位置合わせされる。そして、押圧刃41が下降されることで、保持テープ25を介して押圧刃41がウェーハWの裏面12側から押し当てられて、ウェーハWの分割予定ライン13に沿った改質層16に曲げ応力が加えられる。
【0023】
図5Bに示すように、ウェーハWの改質層16に曲げ応力が作用することで、改質層16を分割起点としてウェーハWが分割予定ライン13(図2参照)に沿って破断される。このとき、押圧刃41の押圧によってウェーハWの下方の多孔性フィルム21が部分的に潰れることで、ウェーハWの破断時の変位が多孔性フィルム21に吸収される。このように、多孔性フィルム21は、上記したような反りのあるウェーハWを保持テーブル31に対して吸引保持させるだけでなく、押圧刃41によるウェーハ破断時の変位を吸収するためのクッション材としても機能している。
【0024】
一本の分割予定ライン13(図2参照)に沿ってウェーハWが破断されると、隣接する改質層16に押圧刃41が位置合わせされて、押圧刃41による破断動作が実施される。この破断動作が繰り返されて、ウェーハWの全ての改質層16に沿ってウェーハWが破断される。この結果、ウェーハWが改質層16を分割起点として個々のデバイスチップCに分割される。また、ウェーハWが保持テープ25に貼着された状態で破断されるため、ウェーハWの分割後の個々のデバイスチップCの位置ズレが抑えられている。
【0025】
以上のように、本実施の形態によれば、柔軟性のある多孔性フィルム21を介してウェーハWが保持テーブル31に吸引保持される。ウェーハWに激しい反りが生じていても、多孔性フィルム21が保持テーブル31とウェーハWとの間でウェーハWの反りを吸収するように変形するため、反りを矯正し過ぎることなくウェーハWを保持テーブル31に吸引保持させることができる。このため、多孔性フィルム21を通じてウェーハWに吸引力が作用しても、ウェーハWが矯正される反動でウェーハが予期しない位置で割れることがない。また、押圧刃41による分割ステップでは、多孔性フィルム21によってウェーハWの破断時の変位が吸収されるため、ウェーハWを良好に分割することが可能である。
【0026】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0027】
例えば、上記した本実施の形態では、ウェーハWが改質層16を分割起点として分割される構成について説明したが、この構成に限定されない。ウェーハWは、アブレーション加工によって形成されたレーザー加工溝を分割起点として分割されてもよい。なお、アブレーションとは、レーザービームの照射強度が所定の加工閾値以上になると、固体表面で電子、熱的、光科学的及び力学的エネルギーに変換され、その結果、中性原子、分子、正負のイオン、ラジカル、クラスタ、電子、光が爆発的に放出され、固体表面がエッチングされる現象をいう。
【0028】
また、ウェーハWは、切削ブレードによる切削加工によって形成された切削溝を分割起点として分割されてもよい。この場合、例えば、切削装置のスピンドルに押圧刃を設けて、切削装置の保持テーブル上でウェーハWが分割されてもよい。これにより、切削装置の装置構成を利用してウェーハWを分割できるため、装置コスト及び装置の設置スペースを増大させることなく、同一の装置内でウェーハWに対する切削加工と分割加工を実施することができる。
【0029】
また、上記した本実施の形態では、ウェーハWの外径よりも長い押圧刃41により分割ステップを実施する構成にしたが、この構成に限定されない。押圧刃41は、ウェーハWを分割予定ライン13に沿って分割可能であれば、形状や長さが限定されない。
【0030】
また、上記した実施の形態では、保持テーブル31の吸引領域33の外径W2が、多孔性フィルム21の外径W3よりも小さく、ウェーハWの外径W1よりも大きい構成について説明したが、この構成に限定されない。保持テーブル31の吸引領域33の外径W2は、ウェーハWの外径W1よりも大きく、多孔性フィルム21の外径W3と同一の外径でもよい。
【0031】
また、上記した実施の形態では、反りの有するウェーハWを分割する構成について説明したが、この構成に限定されない。本実施の形態に係るウェーハWの分割方法は、反りの無いウェーハWについても良好に分割することができる。
【0032】
また、上記した実施の形態では、単一の多孔性フィルム21を介してウェーハWが保持テーブル31に吸引保持される構成にしたが、この構成に限定されない。ウェーハWは、複数枚の多孔性フィルム21を介して保持テーブル31に吸引保持されてもよい。
【0033】
また、上記した実施の形態では、保持テープ25を介してウェーハWと多孔性フィルム21が環状フレーム29に支持される構成にしたが、この構成に限定されない。ウェーハWと多孔性フィルム21は保持テーブル31によって一体化されればよく、環状フレーム29に支持されていなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上説明したように、本発明は、反りの激しいウェーハであっても分割予定ラインに沿って良好に分割することができるという効果を有し、特に、薄化されたサファイアウェーハを個々のデバイスに分割する場合に有用である。
【符号の説明】
【0035】
11 ウェーハの表面
12 ウェーハの裏面
13 分割予定ライン
16 改質層
21 多孔性フィルム
22 多孔性フィルムの表面
25 保持テープ
31 保持テーブル
33 吸引領域
41 押圧刃
D デバイス
W ウェーハ
W1 ウェーハの外径
W2 吸引領域の外径
W3 多孔性フィルムの外径
図1
図2
図3
図4
図5