【解決手段】ビームスプリッタは、光源から放出された第1光線束を、第1分割平面で測定光と参照光に分離する。第1結合平面の結合位置で再結合されるまで、測定光は測定用アーム内を伝搬し、参照用光は参照用アーム内を伝搬する。第1結合平面は第1分割平面に対して平行に配向される。測定用光線束が少なくとも2回垂直方向に入射する測定用反射器が測定用アーム内に配置され、測定方向に移動する測定対象物に結合される。参照用光が入射する参照用逆反射器が参照用アーム内に配置される。検出装置によって、結合位置で重ね合わされた干渉する測定用光および参照用光から、測定対象物の位置に関する距離信号が検出可能である。透明な2平板が、光路間に平行に配置され、第1平板には参照用逆反射器が形成され、第2平板にはビームスプリッタが配置される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、できるだけ簡単に作製できる光学構成素子を備える小型に構成された干渉計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、本発明によれば、請求項1に記載の特徴を有する干渉計によって解決される。
【0008】
本発明による干渉計の有利な構成が、従属請求項に記載された手段により得られる。
【0009】
本発明による干渉計は、光源、ビームスプリッタ、測定用反射器、参照用反射器、検出装置、および2つの透明な平板を含む。ビームスプリッタは、光源から放出された第1光線束を、少なくとも1つの測定用光線束と少なくとも1つの参照用光線束とに分離し、両光線束にわたって第1分割平面が拡がっている。第1結合平面の結合位置で再結合されるまで、測定光線束は測定用アーム内を伝搬し、参照用光線束は参照用アーム内を伝搬する。第1結合平面は、第1分割平面に対して平行に配向されている。測定用反射器が測定用アーム内に配置されており、測定方向に沿って移動する測定対象物に結合されている。測定用光線束が測定用反射器に少なくとも2回垂直方向に入射する。参照用逆反射器が参照用アーム内に配置されており、参照用光線束は参照用逆反射器に少なくとも1回入射する。検出装置を介して、結合位置で重ね合わされた干渉する測定用光線束および参照用光線束から測定対象物の位置に関する少なくとも1つの距離信号を検出可能である。透明な第1平板および透明な第2平板が、光源と検出装置との間の光路に互いに平行に配置されている。測定用反射器が、測定方向に沿って2つの平板に対して移動可能に配置されている。第1平板には参照用逆反射器が形成されており、第2平板にはビームスプリッタが配置されている。
【0010】
有利な一実施形態では、参照用逆反射器が第1平板に回折逆反射器として形成されており、第1平板の一方の面に配置された少なくとも1つの格子レンズと、第1平板の向かい合った面に配置された少なくとも1つの平面反射器とを含み、平面反射器の反射面は格子レンズの方向に向けられており、少なくとも1つの格子レンズを介して、格子レンズに入射した参照用光線束が偏光され、平面反射器に焦点を合わせられる。
【0011】
第1平板はさらに少なくとも1つの遅延ユニットを備え、この遅延ユニットに沿って参照用光線束は伝搬し、遅延ユニットは、第1平板の向かい合った面に配置された少なくとも2つの平面反射器を含み、この場合、これらの平面反射器の反射面は、それぞれ第1平板の向かい合った面の方向に向けられている。
【0012】
この場合、第1平板で参照用光線束を通過する少なくとも1つの遅延ユニットは、参照用光線束および測定用光線束が分割と再結合との間に2つの平板において同一の経路を通過するように形成されていることが可能である。
【0013】
好ましくは、第2平板のビームスプリッタは、第2平板の第1面に配置された偏光光学的なビームスプリッタ層として形成されており、この第1面は第1平板の方向に向けられている。
【0014】
さらに回折逆反射器の形態の少なくとも1つの測定用逆反射器が第2平板に形成されており、第2平板の一方の面に配置された少なくとも1つの格子レンズと、第2平板の向かい合った面に配置された少なくとも1つの平面反射器とを含み、この平面反射器の反射面は格子レンズの方向に向けられており、格子レンズに入射した測定用光線束が格子レンズを介して偏向され、平面反射器に焦点を合わされる。
【0015】
さらに、可能な一実施形態では、第1分割平面に対して垂直方向に離間して少なくとも1つの第2光線束が第2分割平面で第1平板に入射し、2つの平板は、他の領域では、第2光線束に関して、第2分割平面および第2結合平面で第1分割平面および第1結合平面の場合と同一の光路が生じ、さらに測定方向に沿った測定対象物の移動に関する第2距離信号が生成可能となるように形成されている。
【0016】
他の可能な実施形態では、第1分割平面に、第1光線束に対して離間して少なくとも1つの第2光線束が第1平板に入射し、2つの平板は、他の領域では、第2光線束に関して、第1分割平面および第1結合平面で第1光線束の場合と同一の光路が生じ、さらに測定方向に沿った測定対象物の移動に関する第2距離信号が生成可能となるように形成されている。
【0017】
最後に、さらに他の実施形態では、
‐第2平板がさらに第1結像素子を備え、第1結像素子は、
‐少なくとも1つの第1格子レンズおよび第2格子レンズを備え、これら2つの格子レンズがいずれも第2平板の一方の面に配置されており、
‐第2平板の向かい合った面に配置された少なくとも1つの第1平面反射器を備え、第1平面反射器の反射面が第1および第2格子レンズの方向に向けられており、
‐第1結像素子に入射した測定用光線束の光線直径が第1結像素子を介して拡大され、
‐第1平板がさらに第2結像素子を備え、第2結像素子は、
‐少なくとも1つの第3格子レンズおよび第4格子レンズを備え、これら2つの格子レンズがいずれも第1平板の一方の面に配置されており、
‐第1平板の向かい合った面に配置された第2平面反射器を備え、第2平面反射器の反射面が第3および第4格子レンズの方向に向けられており、
‐第2結像素子に入射した測定用光線束の光線直径が第2結像素子を介して縮小される。
【0018】
このような実施形態では、
‐第1および第3格子レンズに入射した測定用光線束が第1および第3格子レンズを介してそれぞれ焦点を合わせられ、
‐第2および第4格子レンズに入射した測定用光線束が第2および第4格子レンズを介してそれぞれコリメートされる。
【0019】
さらに、このような実施形態では、
‐測定用光線束が、第1結像素子の通過後に中間平面で測定用反射器の方向に伝搬し、中間平面が、第1分割平面と1結合平面との間に配置されており、これらの平面に対して平行に配向されおり、
‐測定用光線束が、第2結像素子の通過後に第1結合平面を伝搬する。
【0020】
最後に、この実施形態では、第1平板の参照用逆反射器は回折逆反射器として形成されており、第1平板の一方の面に配置された2つの格子レンズならびに1つの平面反射器、および第1平板の向かい合った面に配置された2つの平面反射器を含み、平面反射器の反射面が、それぞれ向かい合った面に向けられており、これにより、第1分割平面で、第1平板に入射した参照用光線束はまず第1平板の光学的に無効な領域を通過し、第1格子レンズに入射し、第1格子レンズを介して、参照用光線束は向かい合った第1平面反射器の方向に偏向され、第1平面反射器によって、参照用光線束は中間平面で向かい合った第2平面反射器の方向に偏向され、第2平面反射器によって、参照用光線束は向かい合った第3平面反射器の方向に偏向され、第3平面反射器によって、参照用光線束は第1結合平面で第2格子レンズの方向に偏向される。
【0021】
さらに、使用される格子レンズがそれぞれ反射格子レンズとして形成されていることも可能である。
【0022】
特に好ましくは、本発明による干渉計では、ビームスプリッタキューブの手間をかけた作製や、1つまたは複数のコーナキューブプリズムは不要になる。本発明によれば、光路におけるこれらの素子の光学的機能を実施するためには、適宜な格子パターンおよび反射器が配置された平板のみが必要となる。このような平板は、平板に配置される素子を含めて、適宜なリソグラフィ方法によって安価に、簡単に作製することができる;この場合、特に、手間のかかる90°の角度の研磨はもはや必要がない。さらに従来技術では必要な、光路の光学関連領域における接着は不要となり、手間をかけてドリフトが少なくなるように光学構成部材を光路に配置する必要もなくなる。
【0023】
回折軸外格子パターンとして形成された格子レンズが使用されることにより、生成された距離信号の不都合な妨害作用が低減されることが本発明のさらなる利点である。特に、これにより、信号生成時に妨害となる回折次数が分離され、したがって得られた距離信号に調和振動または倍数調和振動が生じない。
【0024】
最後に、本発明に基づいて、必要に応じた多数の測定軸のための干渉計を構成できることにさらに述べておく。この場合、光学的に機能が関連した構成部材としては、適宜な格子パターンおよび反射器を上面および仮面に配置した平板のみが実質的に必要である。
【0025】
次に本発明のさらなる詳細および利点を、本発明による装置の実施例に基づいて図面を参照して説明する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本発明による干渉計の第1実施例を
図1a〜1c、
図2a〜2d、
図3、および
図4a〜4cに基づいて説明する。
図1a〜1cは、異なる方向から見た光路を示し、
図2a〜2dは種々異なる干渉計構成部材を測定用反射器の方向から見た平面図である。
図3および
図4a〜4cは、第1実施例の代替的な概略図を示す。これについては光路の具体的な説明に続いて詳述する。
【0028】
本発明による干渉計は、少なくとも1つの光源10、ビームスプリッタ23、測定用反射器30、参照用逆反射器、検出装置40、および2つの透明な平板21,22を含む。例えば、適宜なガラス材からなる2つの平板21,22は、光源10と検出装置40との間の光路に互いに平行に配置されている。
図1aおよび
図1bに見られるように、本実施例では2つの平板21,22は測定反射器30に対して非平行に配置されており、光線束Sの入射方向に対して90°に等しくない角度で配置されている。測定用反射器30は測定対象物31に結合されており、測定対象物31は、残りの干渉計構成部材に対して測定方向に沿って移動できるように配置されている。以下では、測定方向を座標yによって示す。測定対象物31は、例えば測定方向yに沿って変位可能な機械部品である。本発明による干渉計によって、測定方向yに沿った測定対象物31の変位に関する少なくとも1つの距離信号が検出される。この距離信号は、例えば位置決めのために制御ユニット(図示しない)で用いることができる。
【0029】
以下に
図1a〜1cおよび
図2a〜2dに基づいた第1実施例における少なくとも1つの距離信号を生成する光路を説明する。
【0030】
図1aに示すように、例えば適宜なレーザなどの光源10によって放出される光線束Sが、第1平面で、まず透明な第1平板21を通過する。第1平面は、
図1aの図平面と一致し、以下では第1分割平面AE1と呼ばれる。この場合、光線束Sは直線偏光を有する;偏光平面はxもしくはy軸に対して45°に配向されている。光線束Sは、平板21を通過する場合に第1平板21の空気‐ガラス境界面もしくはガラス‐空気境界面で単に屈折させられ、入射方向に対してxにより示す方向に平行に変位されて第2平板22の方向に伝搬する。
図2aおよび
図2bは、第1平板21の第1面21_Aおよび第2面21_Bの平面図を示す。光線束Sが第1平板21に入射し、再び第1平板21から出射する領域がARにより示されている;領域ARには、好ましくは反射防止層が被覆されている。
【0031】
第2平板22において光線束Sはビームスプリッタ23に入射する。ビームスプリッタ23は、この実施形態では、偏光光学的なビームスプリッタ層として形成されており、第2平板22の、第1平板の方向に向いた面に配置されている;以下ではこの面を第2平板22の第1面22_Aと呼ぶ。代替的には、使用される光源10の波長よりも小さい格子周期を有する格子としてビームスプリッタ23を形成することも基本的には可能である。ビームスプリッタ23は、光線束Sを少なくとも1つの測定用光線束Mと少なくとも1つの参照用光線束Rとに分割する。これらの光線束は、選択された光線束Sの偏光に基づいて等しい強度を有し、それぞれ直線偏光を示し、偏光方向は互いに直交方向に配向されている。これらの光線束M,Rにわたって、既に言及したように
図1aの図平面と一致する第1分割平面AE1が拡がっている。
図1a〜
図1cには、ビームスプリッタ23で生じた分割後の測定光線束Mが実線により示されており、参照光線束Rが破線により示されている。
図1bの図平面と一致する第1結合平面VE1の結合位置Vにおいて再結合されるまで、測定用光線束Mは測定用アーム内を伝搬し、参照用光線束Rは参照用アーム内を伝搬する。第1結合平面VE1は、z方向に変位されており、第1分割平面AE1に対して平行に配置されている。
【0032】
本実施例では、ビームスプリッタ23によって通過させられる直線偏光された光線束は測定用光線束Mを形成する;ビームスプリッタ23によって反射され、ビームスプリッタ23に対して直交方向に直線配向された光線束は、参照用光線束Rとして機能する。
【0033】
参照用光線束Rはビームスプリッタ23によって第1平板21の方向に反射され、そこで屈折格子28に入射する。屈折格子28は、透過格子として形成され、第2平板22の方向に向けられた第1平板21の第2面21_Bに配置されている。屈折格子28を介して、参照用光線束Rは平面反射器25.1の方向に偏向される。反射器25.1は、第1平板21の向かい合った第1面21_Aに配置されており、反射器25.1の反射面は、第1平板21の向かい合った第2面21_Bの方向に向けられている。反射器25.1を介して、参照用光線束Rは、第1平板21の向かい合った第2面21_Bの他の平面反射器25.2の方向に偏向され、そこで再び最初に衝突した反射器25.1の方向に偏向される。反射器25.1における2回目の反射後に、参照用光線束Rは最後に参照用逆反射器に到達する。参照用逆反射器は、他の平面で入射方向とは逆方向に、参照用逆反射器に入射した参照用光線束Rの反射をもたらす。
【0034】
このために使用される参照用逆反射器は回折逆反射器として形成されており、少なくとも1つの格子レンズ24.1および平面反射器24.2を含む。本実施例では反射格子レンズとして形成された格子レンズ24.1は、第1平板21の第2面21_Bに配置されており、向かい側の第1面21_Aには平面反射器24.2が配置されており、平面反射器24.2の反射面は格子レンズ24.1の方向に向けられている。使用される反射格子レンズはいわゆる「軸外レンズ」として形成されており、焦点は、レンズに対して垂直方向にレンズの中心を通る仮想線上に位置しない。格子レンズ24.1がこのように形成されていることにより、コーナキューブプリズムに類似して入射する光線束の所望の偏向が得られる。
【0035】
第1分割平面AE1で格子レンズ24.1に入射し、コリメートされた参照用光線束Rは格子レンズ24.1により偏向され、平面反射器24.2に焦点を合わされる。
図1cもしくは
図2aには、格子レンズ24.1を介して焦点を合わされた参照用光線束Rの反射器24.2における入射点がF1によって示されている。yz平面で参照用光線束Rにもたらされた偏向作用に関しては、例えば
図1cを参照されたい。参照用逆反射器の反射器24.2によって、参照用光線束Rは最後に第1結合平面VE1に偏向され、再び格子レンズ24.1を通過する;発散して格子レンズ24.1に入射した参照用光線束Rは、格子レンズ24.1を介して再びコリメートされ、次いで結合平面VE1で反射素子25.2,25.1を介して第1平板21の第2面21_Bの屈折格子28の方向に、入射方向とは逆方向に伝搬する。屈折格子28によって参照用光線束Rはさらに偏向され、これにより参照用光線束Rは、最後に結合平面VE1でビームスプリッタ23の結合位置Vの方向にさらに伝搬する。
【0036】
上述した本発明による干渉計の実施例では、別個の反射器25.1,24.2が第1平板21の第1面21_Aに設けられており、これらの反射器に参照用光線束Rが経路に沿って衝突する。代替的には、第1平板21のこの面の十分に大きい領域にわたって延在する単一の平面反射器のみを配置することも当然ながら可能である。
【0037】
ビームスプリッタ23で透過され、直線偏光された光線束は、既に述べたように測定用光線束Mとして機能し、まず第2平板22を通過し、第2面22_Bでx方向に沿って平行に変位されて第2平板22を離れる。測定用光線束Mは、次いで1回目に、平面鏡として形成された測定用反射器30の方向に伝搬し、測定用反射器30に垂直方向に入射する。第2平板22と測定用反射器30との間の測定用光線束Mの光路にはλ/4板29.1が配置されている。測定用反射器30における反射およびλ/4板29.1の2回目の通過後に、測定用光線束Mは90°だけ回転された偏光を示し、ビームスプリッタ23によって第2平板22の第2面22_Bの方向に反射される。第2面22_Bには平面反射器26が配置されており、平面反射器26の反射面は、第2平板22の向かい合った第1面22_Aの方向に向けられている。反射器26における反射後に、測定用光線束Mは、同様に回折逆反射器として形成された測定用反射器に到達する。測定用逆反射器に入射した測定用光線束Mは、測定用逆反射器を介して、他の平面、すなわち第1結合平面VE1で入射方向とは反対方向に反射される。
【0038】
回折型の測定用逆反射器は、少なくとも1つの格子レンズ27.1と平面反射器27.2とを含み、格子レンズ27.1は、第2平板22の一方の面22_Aに配置され、ここでは反射格子レンズもしくは軸外格子レンズとして形成されおり、平面反射器27.2は、第2平板22の向かい合った面22_Bに配置され、平面反射器27.2の反射面は格子レンズ27.1の方向に向けられている。測定用逆反射器は、参照用逆反射器と同様に、第1分割平面AE1で測定用逆反射器に入射する光線束、すなわち、この場合には測定用光線束Mを、他の平面、すなわち第1結合平面VE1で入射方向とは逆方向に反射させる。
【0039】
第1分割平面AE1に入射した測定用光線束Mは格子レンズ27.1を介して偏向され、向かい合った平面反射器27.2に焦点を合わされる。
図1cおよび2dには、焦点を合わされた測定用光線束Mの反射器27.2における入射点がF2により示されている。測定光線束Mにもたらされた偏向作用に関しては、再び
図1cを参照されたい。反射器27.2によって、測定用光線束Mは最後に第1結合平面VE1に反射もしくは偏向され、次いで再び格子レンズ27.1を通過する。発散して入射した測定用光線束Mは格子レンズ27.1を介して偏向され、再びコリメートされ、入射時とは逆方向に反射素子26を介してビームスプリッタ23の方向に伝搬する。ビームスプリッタ23では、直線偏光された測定用光線束Mが第1結合平面VE1で測定用反射器30の方向に反射され、測定用反射器30は、次いで2回目に測定用光線束Mによって衝突され、この場合に測定用光線束Mは再び測定用反射器30に垂直方向に入射する。測定用反射器30で2回目に反射され、再びλ/4板29.1を2回通過した後に、測定用光線束Mは第1結合平面VE1でビームスプリッタ23の結合位置Vに伝搬する。測定用光線束Mは90°だけ回転された偏光を示すので、ビームスプリッタ23によって透過され、参照用光線束Rと重ね合わされて検出装置40の方向に伝搬する。検出装置40によって、結合位置Vで重ね合わされ、干渉する測定用光線束Mおよび参照用光線束Mから、測定対象物31の位置に関する少なくとも1つの第1距離信号が検出可能である。
【0040】
検出装置40の構成に関しては既知の様々な可能性を以下に簡潔に示す。第1変化態様では、検出装置は入口側にλ/4板を含み;λ/4板の後方にはビームスプリッタが配置されており、ビームスプリッタは、ビームスプリッタに入射した光を同じ強度の3つの光線束に分割する。これらの分割された光線束の光路にはそれぞれ偏光フィルタが配置されており、この場合、偏光フィルタの偏光方向はそれぞれ120°だけ互いに回転されている。偏光フィルタの後方にはそれぞれ1つの電気光学式検出素子が配置されている。これらの検出素子では、最終的に120°だけ位相をずらされた3つの距離信号が生じ、これらの距離信号は、それぞれ後続の電子機器によってさらに処理可能である。
【0041】
もちろん、同一線上に重ね合わされ、直交方向に偏光された2つの部分光線束から、位相をずらされた複数の距離信号を生成するためには、検出装置の他の変化態様を用いることもできる。この場合、λ/4板によって互いに移行することができる直交した直線偏光または直交した円偏光を用いてもよい。
【0042】
第1平板21に類似して、第2平板22の第2面22_Bの側にも、2つの反射器26,27.2の代わりに、十分に大きい面を有する単一の反射器のみを配置してもよい。
【0043】
本発明による干渉計の第1実施例を
図3および
図4a〜4cに基づいてさらに説明する。この場合、
図3は、光路をさらに説明する図を示し、
図4a〜4cは、
図3の重要な光学機能素子を詳細に示す。
【0044】
図3は、光源LQ、2つの平板P1,P2、測定用反射器MR、および検出装置DETを極めて概略的に示す。2つの平板P1,P2の面には、光学構成素子PBS,VE,RR1,RR2が概略的にのみ示されている。光学構成素子PBSは第2平板P2のビームスプリッタであり、VEはそれぞれ第1平板P1の遅延ユニットを示し、RR1,RR2は、それぞれ第1および第2平板P2,P1の逆反射器を示し、この場合、RR1は測定用逆反射器であり、RR2は参照用逆反射器であり;符号λ/4は、測定用アームのλ/4板を示す。上述した分割平面AE1および第1結合平面VE1が
図3にも示されている。
【0045】
図3から分かるように、光源LQによって放出される光線束Sは第2平板P2のビームスプリッタPBSに入射し、さらに測定用光線束Mと参照用光線束Rとに分割され、続いて再結合されるまで測定用アームおよび参照用アーム内を伝搬する。
【0046】
参照用光線束Rは、分割後に第1平板P1の方向に伝搬し、第1平板P1でまず第1分割平面AE1で遅延ユニットVEを第1通過方向に通過し、次いで参照用逆反射器RR2を介して逆反射され、第1結合平面VE1に偏向される。続いて参照用光線束Rは第1結合平面VE1で第1通過方向とは反対方向に遅延ユニットVEを通過し、ビームスプリッタPBSの再結合位置Vに到達する。
【0047】
測定用光線束Mは、第1分割平面AE1における分割後に1回目にλ/4板を通って測定用反射器MRの方向に伝搬し、測定用反射器MRによって第2平板P2の方向に反射される。第2平板P2で測定用光線束Mは測定用逆反射器RR1に到達し、測定用逆反射器RR1により逆反射され、結合平面VE1に偏向される。続いて測定用光線束Mは2回目に測定用反射器MRの方向に伝搬し、第1結合平面VE1において結合位置Vの方向にビームスプリッタPBSで反射され、そこで干渉により参照用光線束Rと重ね合される。次いで重ね合わされた光線束M,Rの対は検出装置DETの方向に伝搬し、検出装置DETによって少なくとも1つの距離信号が生成可能である。
【0048】
図4aは、第2平板P2に形成された偏光光学的なビームスプリッタ層PSを含むビームスプリッタPBSおよびビームスプリッタPBSで生じる重要な光路を詳細図で示す。入射方向INに入射した光線束はまず参照用光線束と測定用光線束とに分割される。これらの光線束の伝搬方向はこの図面ではOUT
1(参照用光線束)およびOUT
2(測定用光線束)により示されている。測定用光線束は、測定用反射器(図示しない)における1回目の反射後に再びビームスプリッタPBSもしくは偏光光学的なビームスプリッタ層PSに入射し、伝搬方向OUT
1′に反射され;測定用反射器における2回目の反射後に再びビームスプリッタPBSもしくは偏光光学的なビームスプリッタ層PSに到達し、測定用光線束と共に入射方向INとは反対方向に出射方向OUT
2′に沿って検出器(図示しない)の方向に透過される。
【0049】
図4bには、第1平板P1に設けられた遅延ユニットVEの光路が概略的に示されている。入射方向INに遅延ユニットVEに入射した参照用光線束は、第1平板P1で1回目に遅延ユニットVEに沿って、もしくは遅延ユニットVEを通って伝搬し;逆反射後に、参照用光線束は2回目に反対方向に遅延ユニットVEを通過する。遅延ユニットVEは、第1平板P1の向かい合った側に配置された少なくとも2つの平面反射器PRを含む。この場合、平面反射器PRの反射面はそれぞれ第1平板の向かい合った面の方向に向けられている。もちろん3つ以上のPRが遅延ユニットに設けられていてもよい;さらに遅延ユニットVEの光路には、参照用光線束を適宜に偏向する屈折格子が設けられていてもよい。
【0050】
遅延ユニットVEを介して、平板P1もしくはガラスを通過する参照用光線束の光路を調節することができる。このような調節は、好ましくは参照用光線束および測定用光線束が分割と再結合との間に2つの平板P1,P2もしくはガラス内の同一の経路を通過することにより行われる。このようにして本発明による干渉計の温度安定化が得られる。すなわち、場合によって生じる温度変化は、空気中およびガラス中の測定用光線束および参照用光線束の光路に同一の影響を及ぼす。温度変動が均一な場合にも測定誤差は生じない。さらにこの関連で、適宜な構成により、両方の平板が例えば同じ温度を示すように設定された場合、有利であることが判明した。
【0051】
図4cは、測定用逆反射器RR1の測定用光線束の光路を詳細に示す。原則的には、参照用逆反射器RR2の参照用光線束の光路もこれに類似しているので説明を省略する。
【0052】
図4cの左側部分には、第2平板P2の測定用逆反射器RR1における光路が第1分割平面AE1および第1結合平面VE1で示されており、右側部分には、測定用逆反射器RR1の光路の側面図が示されている。第1分割平面AE1では、入射方向INから入射した測定光線束は、平面反射器PRにおける偏向後に第1格子レンズL1に入射する。第1格子レンズL1は焦点距離fを有し、反射格子レンズとして形成されている。右側の側面図に示すように、第1格子レンズL1は、入射した測定光線束を下方に偏向し、向かい合った平面反射器PRに焦点を合わせる。次いで平面反射器PRは向かい合った第2格子レンズL2の方向に測定用光線束を偏向する。発散して第2格子レンズL2に入射した測定用光線束は第2格子レンズL2によって偏向され、これにより測定用光線束は、入射方向INとは反対方向に向いた出射方向OUTに測定用逆反射器RR1を離れる。さらに第2格子レンズL2は、発散して第2格子レンズL2に入射する測定用光線束が再びコリメートされるように作用する。測定用逆反射器RR1を介して、入射した測定用光線束の逆反射および同時的な変位が、この場合にはz方向にもたらされる。
図4cの左側部分に示すように測定光線束が斜めに入射することにより、反射格子レンズの異なる回折次数が空間的に分離される。したがって、格子製造時の公差により完全には抑制できない妨害をもたらす回折次数を機械的処理によって完全に除去することができる。このことは、干渉による微弱な妨害光線束でさえ測定用光線束に著しい妨害をもたらす場合があるので、特に重要である。
【0053】
原則的にはこれに類似して、第1平板P1の参照用逆反射器RR2も回折逆反射器として形成されている。参照用逆反射器RR2は、第1平板P1の一方の面に配置された反射格子レンズの形態の2つの格子レンズと、向かい合った面に配置された平面反射器とを含む。
【0054】
詳細に説明した第1実施例を本発明の範囲で変更および修正できることは自明である。
【0055】
したがって、例えば第2平板22において測定用逆反射器の構成部材の配置を広範囲に変更し、2つの格子レンズを第2平板の第2面に配置し、平面反射器を第1面に配置することも可能である。この場合、測定反射器によって反射された測定用光線束は、第2平板の第1面のビームスプリッタによって第2面の格子レンズに偏向され、次いで反射器の方向に偏向され、焦点を合わせされ、次いで第2面の格子レンズで反射され、さらに入射方向とは反対方向に偏向され、再びコリメートされる。
【0056】
さらに、第2平板22において、参照用光線束Rの光路を代替的に案内することも可能である。上述の実施例では、ビームスプリッタ23から1回目に入射した参照用光線束Rは、第1平板21の第2面21_Bの屈折格子28を介して光源10の方向に屈折され、次いで遅延ユニットの反射器25.1,25.2における複数回の反射後に参照用逆反射器に入射する。これとは異なり、屈折格子を除去し、参照用光線束が第1平板でまず他の方向に、すなわち、光源から離れる方向に伝搬するようにしてもよい。このような変化態様の利点として、さらに複数の干渉計を構成したい場合に小型の構成が得られることに言及しておく。
【0057】
以下にいわゆる「2軸干渉計」として形成された本発明による干渉計の第2実施例を
図5に基づいて説明する。図面は、既に説明した第1実施例の
図1cに類似した光路図を示す。以下には、第1実施例との重要な相違点のみを説明する。
【0058】
本発明による干渉計の第2実施例では、第1測定軸線の他に、第1軸線に対して図示のz方向に距離をおいて測定方向yに沿って延在する第2測定軸線が設けられている。この場合、第1測定軸線は、第1参照用光線束R1に関連して第1実施例と同一の光線経路を示す第1測定用光線束M1によって形成される。第2測定軸線は、第1分割平面AE1に対して垂直方向に距離をおいて形成され、この場合、第2光線束S2はz方向に距離をおいて第2分割平面AE2で第1平板121に入射し、第2測定用光線束M2および第2参照用光線束R2が生じ;両方の測定用光線束M1,M2は、第2平板122と測定用反射器130との間のそれぞれの経路においてそれぞれ再びλ/4板129.1,129.2を通過する。したがって、第2測定用光線束M2によってこの実施例の第2測定軸線が画定されている。このために2つの平板121,122は、他の領域では、第2入射光線束S2に関して、第2分割平面AE2および第2結合平面VE2で、第1入射光線束S1のための第1分割平面AE1および第1結合平面VE1と同一の光路が生じ、さらに第2距離信号が生成可能であるように形成されている。したがって、測定方向yに沿った第2測定軸線に関しても、付加的な光学構成素子による著しい付加コストは生じない。第2測定軸線は、提供されている2つの平板によって実現することができ、平板の他の領域は、第1測定軸線に関して同一に形成されていればよい。これら他の領域では、ビームスプリッタ、反射器、格子レンズなどの形態の適宜な干渉計構成部材が、適宜なリソグラフィ方法によって取り付けられる。
【0059】
2軸干渉計として形成された本発明による干渉計のこのような実施形態により、y軸に沿った単に並進的な移動の他に、場合によって生じるx軸線を中心とした測定対象物131の傾斜を測定技術的に検出することも可能である。この場合、両方の自由度もしくは軸線を検出するために単一の光源を使用することもできる。光源から放出された光線束の分割および両方の軸線への供給は、この場合、光ファイバ、例えばいわゆる「ファイバスプリッタ」によって行うことができる。しかしながら、例えば薄膜ビームスプリッタ、ビームスプリッタキューブまたはビームスプリッタ格子として形成されたビームスプリッタまたは偏向ミラーなどの既知の光学素子による分割も同様に可能である。
【0060】
同様に2軸干渉計として形成された本発明による干渉計の第3実施例が
図6に示されている。
図6は、第1実施例の
図1aに類似した図で、第1分割平面AE1における光路を示している。以下に第1実施例との重要な相違点のみを説明する。
【0061】
本発明による干渉計の第3実施例においても測定用光線束Mおよび参照用光線束Rを有する第1測定軸線の他に、測定用光線束M′および参照用光線束R′を有する第2測定軸線がy軸に沿って形成される。しかしながら、第2測定軸線もしくは第2測定用光線束M′は、上記実施例とは異なり、第1測定用光線束Mを有する第1測定軸線に対してx方向に距離をおいて延在している。
【0062】
したがって、測定方向yに沿った第2測定軸線を形成するためには、第1分割平面AE1で第2光線束S2がx方向に距離をおいて第1平板221に入射する。両方の平板221,222の他の領域は、第2入射光線束に関して、第1分割平面AE1および第1結合平面における第1入射光線束S1の場合と同一の光路が得られ、さらに第2距離信号が生成可能となるようにそれぞれ形成されている。
【0063】
図6に示すように、第2平板222は、上述した光学構成素子223,226,227.1,227.2を左側部分に備え、これらの光学構成素子は、第1実施例の場合と同様に第1測定用光線束Mによって衝突される。第2組の同様な構成素子223′,226′227.1′227.2′が第2平板222の右側部分に配置されており、同様に第2測定用光線束M′によって衝突される。
【0064】
同様に第1平板221の左側部分には種々異なる構成素子228,225.1,225.2,224.1,224.2が第1参照用光線束Rのために設けられており、これらの構成素子は第1実施例の場合と同様に衝突される。第2組の同様な構成素子228′,225′224.1′224.2′が第2平板221の右側部分に配置されており、これらの構成素子も同様に第2参照用光線束R′によって衝突される。
【0065】
したがって、第1結合平面(図示しない)では、第2測定用光線束M′と第2参照用光線束R′とが干渉により重ね合されることにより、測定方向yに沿った対象物231の変位に関する第2距離信号を生成することができる。y方向に沿った単に並進的な移動の他に、本発明による干渉計のこの実施形態により、場合によって生じるz軸線を中心とした測定対象物231の傾斜を測定技術的に検出することもできる。光源および検出装置の構成に関しては、上述した実施例の構成を参照されたい。
【0066】
これまでに説明した単軸干渉計または2軸干渉計として形成された本発明による干渉計の変化態様もしくは実施例を、用途に応じて適宜に組み合せ、これにより3軸干渉計または4軸干渉計を形成することもできる。
【0067】
例えば、第2及び第3実施例を組み合わせて3軸干渉計を形成することもできる。この3軸干渉計は、測定方向yに沿った第1実施例による第1測定軸線と、z方向に離間された第2実施例による第2測定軸線と、x方向に離間された第3実施例による第3測定軸線とを有する。したがって、測定方向yに沿った並進的な対象物移動を検出するだけではなく、軸線xおよびzを中心とした対象物の回転運動を検出することもできる。
【0068】
必要に応じて第2実施例と第3実施例とを組み合せることにより4軸干渉計を形成することもでき、したがって、
図6に示すように互いにずらして配置された2本の測定軸線が
図5に示すように重ねて配置される組合せにより形成することもできる。
【0069】
さらに本発明による干渉計の第4実施例を、
図7ならびに
図8aおよび
図8bに基づいて説明する。この場合、
図7は、
図3で第1実施例を代替的に説明する際に用いた光路の図を示し;
図8a,8bは、
図7の個々の光学構成素子を詳細に示す。
【0070】
図7は、光源LQ、2つの平板P1,P2、測定用反射器MR、および検出装置DETを備える本発明による干渉計の第4実施形態を極めて概略的に示す。2つの平板P1,P2の面には、光学構成素子PBS,VE,RR,T1,T2が同様に概略的にのみ示されている;構成素子PBSは第2平板P2のビームスプリッタを示し、VEはそれぞれ第1平板P1の遅延ユニットを示し、RRは第1平板P1に設けられた参照用逆反射器を示し、T1,T2は第2および第1平板P2,P1の第1および第2結像素子を示す。さらに図面から分かるように異なる光路にλ/2板およびλ/4板が配置されている。同様に
図7には、第1分割平面AE1、中間平面ZE、および第1結合平面VE1が配置されている。
【0071】
図7に示すように、光源LQから放出された光線束Sは第2平板P2のビームスプリッタPBSに入射し、さらに測定用光線束Mと参照用光線束Rとに分割される。続いて光線束M,Rは、上述の実施例に類似して、ビームスプリッタPBSの結合位置Vで再結合されるまで測定用アームおよび参照用アーム内を伝搬する。
【0072】
参照用光線束RはビームスプリッタPBSにおいて分割された後に、まず第1平板P1の方向に伝搬し、第1平板P1においてまず第1分割平面AE1で第1通過方向に遅延ユニットVEを通過し、次いで参照用逆反射器RRによって逆反射され、第1結合平面VE1に偏向される。続いて参照用光線束Rは第1結合平面VE1で第1通過方向とは反対の第2通過方向に遅延ユニットVEを通過し、最後にλ/2板を通過した後に、平板P2の第1結合平面VE1でビームスプリッタPBSの再結合位置Vに到達する。λ/2板を介して、参照用光線束Rは90°だけ偏向方向を回転され、これにより、再結合位置Vでは、上述のように偏光光学的に評価することができる互いに直交方向に偏光された2つの光線束が得られる。
【0073】
測定用光線束Mは、第1分割平面AE1でビームスプリッタPBSにより分割された後に1回目に測定用反射器MRの方向に伝搬し、測定用反射器MRにより同じ平面で第2平板P2の方向に反射される。この場合、測定用光線束Mはλ/4板を2回通過し、2回目の通過後に90°だけ回転された偏光を示す。このように偏光された測定用光線束Mは、第2平板P2のビームスプリッタPBSによって反射され、第2平板P2の第1結像素子T1に到達する。第1分割平面AE1に対して平行に配向され、第1分割平面AE1と第1結合平面VE1との間に配置された中間平面ZEに、第1結像素子T1を介して測定光線束Mが結像され、屈折される。次いで中間平面ZEでは、測定用光線束MがビームスプリッタPBSを介して2回目に測定反射器MRの方向に偏向される。この場合、測定用反射器MRによって、第2平板P2の方向に2回目の反射が生じる。λ/4板を再び2回通過した後に、測定用光線束Mは、ビームスプリッタPBSによって第1平板P1の方向に透過されるように構成された偏向を有する。次いで中間平面ZEで測定用光線束Mは第1平板P1に伝搬し、第1平板P1で第2結像素子T2に入射する。第2結像素子T2を介して、測定用光線束Mが中間平面ZEから第2結合平面VE1へ結像および屈折され、第2結合平面VE1で結像光線束Mは第2平板P2のビームスプリッタPBSの方向に伝搬する。測定用光線束MはビームスプリッタPBSにより透過させられ、次いで第1結合平面VE1で3回目に測定反射器MRの方向に伝搬する。測定用反射器MRにおいて再び、もしくは3回目に反射され、再びλ/4板を2回通過した後に、測定用光線束Mは再び90°だけ回転された偏光を有し、ビームスプリッタPBSの結合位置Vで参照用光線束Rと共に検出装置DETの方向に反射される。重ね合わされ、干渉する光線束M,Rの対は、続いて検出装置DETの方向に伝搬し、検出装置DETによって少なくとも1つの距離信号が既に述べたような形式で生成可能である。
【0074】
本発明による干渉計の第4実施形態の光学構成素子のうち、第1実施例とは大きく異なる光学構成素子のみを以下に詳細に説明する。これらの光学構成素子は、実質的に第1平板P1の参照用逆反射器RR、および第2平板P2もしくは第1平板P1の結像素子T1,T2のみである。第2平板P2のビームスプリッタPBSおよび第1平板P1の遅延ユニットVEに関しては、
図4aおよび4bに関する上記説明を参照されたい。これらの構成素子は本発明による干渉計の第4実施形態においても類似して構成されている。
【0075】
図8aは、第4実施例の参照用逆反射器RRにおける参照用光線束の光路を詳細に示している。
図8aの左側部分には、第1分割平面AE1、中間平面ZE、および第1結合平面VE1における参照用逆反射器RRにおける光路が示されており、右側部分には、参照用逆反射器RRにおける参照用光線束の光路が側面図で示されている。上記実施例と同様に、参照用逆反射器RRの異なった素子が、この場合にも第1平板P1の向かい合った2つの面に形成されている。
【0076】
第1分割平面AE1では、入射方向INから入射する参照用光線束が、反射格子レンズとして形成された第1格子レンズL1に入射する。右側に示した側面図にしたがって、第1格子レンズL1は、入射する参照用光線束を、向かい合った第1平面反射器PR1に向けて下方に偏向する。次いで第1反射器PR1は、中間平面ZEに向かい合って配置された第2平面反射器PR2に参照用光線束を向ける。図面から分かるように、さらに第1格子レンズL1は、第2平面反射器PR2に参照用光線束の焦点を合わせる。第2平面反射器PR2に入射し、焦点を合わされた参照光線束は、向かい合った第3平面反射器PR3に再び偏向され、次いでこの第3平面反射器PR3によって、第2格子レンズL2に偏向される。第2格子レンズL2を介して、発散して入射した参照用光線束は偏向され、出射方向OUTに参照用逆反射器RRを離れる。この場合、出射方向OUTは、入射方向INとは反対方向に配向されており、x方向に変位されている。さらに第2格子レンズL2は、発散して第2格子レンズL2に入射した参照用光線束が再びコリメートされるように作用する。使用される2つの格子レンズL1,L2は、この場合、等しい焦点距離を有する。したがって、この実施例で使用された回折型の参照用逆反射器RRは、3つの平面反射器RR1,RR2,RR3を介して参照用光線束の複数回の偏向が行われ、2つの格子レンズL1,L2を介して第1分割平面AE1から中間平面ZEを経て第2結合平面VE1への結像および偏向が行われる点で、上記実施例の参照用逆反射器RRとは実質的に異なっている。しかしながら、上記変化態様と同様に、この逆反射器RRは、入射平面で逆反射器RRに入射した光線束を実質的に入射方向とは反対方向に反射し、この場合、反射された光線束は出射平面において伝搬し、入射平面と出射平面とは互いに変位されている。
【0077】
次に
図8bに基づいて、第2平板P2の第1結像素子T1の詳細な構成および光学機能を説明する;原則的には、第1平板P1の第2結像素子T2もこれに類似して形成されている。
【0078】
図8bの左側部分には、第1分割平面AE1および第1結合平面VE1の第1結像素子T1における測定用光線束の光路が示されており、右側部分には、第1結像素子T1における対応した光路の側面図が示されている。第1結像素子T1の種々異なる素子が、図面から分かるように、第2平板P2の向かい合った2つの面に形成されている。
【0079】
第1分割平面AE1で、入射方向INから入射した測定用光線束が第1格子レンズL1に入射する。第1格子レンズL1は反射格子レンズとして形成されており、焦点距離fを有する。右側部分に示された側面図にしたがって、第1格子レンズL1は、入射した測定用光線束を下方へ屈折させ、格子レンズL1を備える平板P2の面から距離2・D/3だけ離間された平面に測定用光線束の焦点を合わせる。Dは平板P2の厚さを示す。この場合、第1格子レンズL1の焦点距離fは、f=2・D/3に選択される。続いて測定用光線束は、第2平板P2の向かい合った面に配置された第1平面反射器PR1に入射する。第1平面反射器PR1の反射面は第1格子レンズL1の方向に向けられている。次いで平面反射器PR1は、向かい合った第2格子レンズL2の方向に測定用光線束を偏向する。第2格子レンズL2は中間平面ZEに配置されており、反射格子レンズとして形成されている。第2格子レンズL2は、第2格子レンズに発散して入射した測定用光線束をコリメートし、第1格子レンズL1の焦点距離fの2倍の大きさの、ガラスにおける焦点距離2fを有する。第2格子レンズL2に入射した測定用光線束は第2格子レンズL2によって偏向され、中間平面ZEで、入射方向INとは反対方向に向けられた出射方向OUTに第1結像素子T1を離れる。さらに第2格子レンズL2は、発散して第2格子レンズL2に入射した測定用光線束が再びコリメートされるように作用する。第1および第2格子レンズの選択された焦点距離により、特に入射した測定用光線束の光線直径が拡大される。すなわち、中間平面ZEで出射方向OUTに結像素子T1から出射した測定用光線束は、本実施例では結像素子T1に入射した測定用光線束に対して2倍の光線直径を有する。
【0080】
第1平板P1に配置された第2結像素子T2は、これと同様の構成を有する。したがって、第2結像素子T2は、第3および第4格子レンズならびに第2平面反射器を含み、一方の格子レンズおよび他方の平面反射器は第1平板P1の向かい合った面に配置されており、反射器の反射面は格子レンズの方向に向けられている。第2平板から入射した測定用光線束がまず衝突する第3格子レンズは、焦点距離f′=2・D′/3を備える第4格子レンズの2倍の、ガラスにおける焦点距離2f′を有し、この場合、D′は平板P2の厚さを表す。第3格子レンズは中間平面ZEに配置されており、第4格子レンズは第1結合平面VE1に配置されている。第3格子レンズは、第1結像素子の第1格子レンズに類似して、入射した測定用光線束の焦点を合わせ、第4格子レンズは、第2格子レンズに類似して、測定光線束を再びコリメートする。したがって、第2結像素子T2に入射した測定用光線束Mは、第2結像素子T2を介して、一方では第1結合平面VE1に偏向され、他方では光線直径が再び半減される。
【0081】
上記変化態様と本発明による干渉計の第4実施例との重要な相違点は、実質的に、測定用光線束Mが測定用反射器MRに全部で3回衝突し、測定用アームに2つの結像素子T1,T2が配置されていることである。結像素子T1,T2を介して、使用される格子レンズの選択された焦点距離寸法に基づいて測定用光線束Mの光線直径は倍増もしくは半減される。このようにして、測定用反射器MRが2回目に衝突された場合に、測定用反射器MRが目標位置に対して傾斜して配置されている場合にも、測定用光線束Mが測定反射器MRに垂直方向に衝突することが確保されている。したがって、特に傾斜に対してシステム全体が敏感ではなくなる。
【0082】
具体的に説明した実施例の他に、本発明の範囲において他の構成可能性が存在することは自明である。
【0083】
したがって、例えば、外部でファイバスプリッタおよび個々の測定軸への照射光線束の個別の供給によって異なる測定軸のために必要な光線分割が行われない多軸手段を構成することも可能である。このような変化態様では、光線分割は、平板に組み込まれたビームスプリッタ素子、例えば適宜な格子またはビームスプリッタ層を介して行われる。
【0084】
さらに、測定用アーム内の光路に設けたλ/4板によって引き起こされる光路長さの差を参照用アーム内の補正素子によって補正することも可能である。このために、例えば適宜に寸法決めされた補正ガラス、または厚さを調整した参照用板を設けてもよい。
【0085】
最後に、本発明による干渉計は、2つの平板を互いに接合し、場合によっては2つの平板の間にスペーサプレートを設けることにより一体的に構成してもよい。
【0086】
本発明による干渉計の種々異なる実施例は、ホモダイン方式の変化態様として形成してもよいし、ヘテロダイン方式の変化態様として形成してもよい。
【0087】
ホモダイン方式評価の場合には、検出装置は入力側に、λ/4板と、その後方に配置された分割格子とを含む。λ/4板に衝突し、互いに直交方向に偏光された部分光線束はさらに右回りまたは左回りに偏光された光に変換される。この光は再び直線偏光された光となるように重ね合わされ、光波の位相ずれによって互いに対して回転する。回転する直線偏光状態は、分割格子によって強度の等しい3つの光線束に分割される。これらの光線束は、互いに120°で配向された3つの偏光フィルタを通過し、次いで後方に配置された検出素子に入射し、これらの検出素子には120°だけ位相をずらされた距離信号が印加され、これらの距離信号は、位置評価のためにさらに処理可能することができる。距離信号は、本発明による干渉計で電気信号に変換することができ、あるいはマルチモード光ファイバを介して、遠隔配置された後続の電子機器に伝送される。
【0088】
ヘテロダイン方式の評価が望ましい場合には、異なる周波数および異なる偏光(p,s)を有する部分光線束が本発明による干渉計に供給される。これらの部分光線束は、測定用アームおよび参照用アーム内の異なる経路を通過し、出口側でマルチモード光ファイバに結合され、後続の電子機器に伝搬され、そこで局部発信機と重ね合わされることによって関連位相情報が得られる。