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特開2015-50405電磁コイルの冷却構造、及び電磁アクチュエータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-50405(P2015-50405A)
(43)【公開日】2015年3月16日
(54)【発明の名称】電磁コイルの冷却構造、及び電磁アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20150217BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20150217BHJP
【FI】
   H01L21/30 503B
   H01L21/30 516E
   G03F7/20 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-182810(P2013-182810)
(22)【出願日】2013年9月4日
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 彰浩
(72)【発明者】
【氏名】纐纈 雅之
(72)【発明者】
【氏名】森本 樹
(72)【発明者】
【氏名】吉元 宏充
(72)【発明者】
【氏名】田中 幸次
【テーマコード(参考)】
2H097
5F146
【Fターム(参考)】
2H097BA02
2H097LA10
5F146CC01
5F146CC02
5F146CC03
5F146CC19
5F146DA26
5F146DB02
(57)【要約】
【課題】電磁コイルの軸線方向の端面を冷却する構造において、複数の電磁コイルを並列に任意に配置することを可能とする。
【解決手段】第1電磁コイル30の冷却構造は、所定軸線Z方向に延びる空間32が内部に形成された第1電磁コイル30と、第1電磁コイル30の所定軸線Z方向の端面30eに取り付けられ、内部に流体の流路が形成された冷却部材20と、空間52の内部において冷却部材20の流路の入口21及び出口26にそれぞれ接続され、空間32を通じて電磁コイル30の外部まで延びた入口配管22及び出口配管27と、を備える。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定軸線方向に延びる空間が内部に形成された電磁コイルと、
前記電磁コイルの前記所定軸線方向の端面に取り付けられ、内部に流体の流路が形成された冷却部材と、
前記空間の内部において前記冷却部材の前記流路の入口及び出口にそれぞれ接続され、前記空間を通じて前記電磁コイルの外部まで延びた入口配管及び出口配管と、
を備えることを特徴とする電磁コイルの冷却構造。
【請求項2】
所定軸線方向に延びる空間が内部に形成され、前記所定軸線方向を並列にして複数配置された電磁コイルと、
前記複数配置された電磁コイルの前記所定軸線方向の端面に取り付けられ、内部に流体の流路が形成された冷却部材と、
前記複数配置された電磁コイルのうちいずれかの電磁コイルの前記空間の内部において前記冷却部材の前記流路の入口に接続され、前記空間を通じて前記電磁コイルの外部まで延びた入口配管と、
前記複数配置された電磁コイルのうちいずれかの電磁コイルの前記空間の内部において前記冷却部材の前記流路の出口に接続され、前記空間を通じて前記電磁コイルの外部まで延びた出口配管と、
を備えることを特徴とする電磁コイルの冷却構造。
【請求項3】
前記入口配管及び前記出口配管は、共通の前記電磁コイルの前記空間の内部において前記入口及び前記出口にそれぞれ接続されている請求項2に記載の電磁コイルの冷却構造。
【請求項4】
所定軸線方向に延びる空間が内部に形成され、前記所定軸線方向を一致させて配置された第1電磁コイル及び第2電磁コイルと、
前記第1電磁コイルの前記所定軸線方向の端面のうち前記第2電磁コイルと反対側の端面に取り付けられ、内部に流体の流路が形成された第1冷却部材と、
前記第1電磁コイルの前記所定軸線方向の端面のうち前記第2電磁コイル側の端面に取り付けられ、且つ前記第2電磁コイルの前記所定軸線方向の端面のうち前記第1電磁コイル側の端面に取り付けられ、内部に流体の流路が形成された第2冷却部材と、
前記第1電磁コイルの前記空間の内部において前記第1冷却部材の前記流路の入口及び出口にそれぞれ接続され、前記第1電磁コイルの前記空間を通じて前記第2冷却部材を貫通し、前記第2電磁コイルの前記空間を通じて前記第2電磁コイルの外部まで延びた第1入口配管及び第1出口配管と、
を備えることを特徴とする電磁コイルの冷却構造。
【請求項5】
前記第2電磁コイルの前記空間の内部において前記第2冷却部材の前記流路の入口及び出口にそれぞれ接続され、前記第2電磁コイルの前記空間を通じて前記第2電磁コイルの外部まで延びた第2入口配管及び第2出口配管を備える請求項4に記載の電磁コイルの冷却構造。
【請求項6】
所定軸線方向に延びる空間が内部に形成され、前記所定軸線方向を並列にして複数配置された第1電磁コイルと、
所定軸線方向に延びる空間が内部に形成され、前記第1電磁コイルと前記所定軸線方向を一致させて複数配置された第2電磁コイルと、
前記複数配置された第1電磁コイルの前記所定軸線方向の端面のうち前記第2電磁コイルと反対側の端面に取り付けられ、内部に流体の流路が形成された第1冷却部材と、
前記複数配置された第1電磁コイルの前記所定軸線方向の端面のうち前記第2電磁コイル側の端面に取り付けられ、且つ前記複数配置された第2電磁コイルの前記所定軸線方向の端面のうち前記第1電磁コイル側の端面に取り付けられ、内部に流体の流路が形成された第2冷却部材と、
前記複数配置された第1電磁コイルのうちいずれかの第1電磁コイルの前記空間の内部において前記第1冷却部材の前記流路の入口に接続され、前記第1電磁コイルの前記空間を通じて前記第2冷却部材を貫通し、前記第2電磁コイルの前記空間を通じて前記第2電磁コイルの外部まで延びた第1入口配管と、
前記複数配置された第1電磁コイルのうちいずれかの第1電磁コイルの前記空間の内部において前記第1冷却部材の前記流路の出口に接続され、前記第1電磁コイルの前記空間を通じて前記第2冷却部材を貫通し、前記第2電磁コイルの前記空間を通じて前記第2電磁コイルの外部まで延びた第1出口配管と、
を備えることを特徴とする電磁コイルの冷却構造。
【請求項7】
前記第1入口配管及び前記第1出口配管は、共通の前記第1電磁コイルの前記空間の内部において前記入口及び前記出口にそれぞれ接続されている請求項6に記載の電磁コイルの冷却構造。
【請求項8】
前記複数配置された第2電磁コイルのうちいずれかの第2電磁コイルの前記空間の内部において前記第2冷却部材の前記流路の入口に接続され、前記第2電磁コイルの前記空間を通じて前記第2電磁コイルの外部まで延びた第2入口配管と、
前記複数配置された第2電磁コイルのうちいずれかの第2電磁コイルの前記空間の内部において前記第2冷却部材の前記流路の出口に接続され、前記第2電磁コイルの前記空間を通じて前記第2電磁コイルの外部まで延びた第2出口配管と、
を備える請求項6又は7に記載の電磁コイルの冷却構造。
【請求項9】
前記第2入口配管及び前記第2出口配管は、共通の前記第2電磁コイルの前記空間の内部において前記入口及び前記出口にそれぞれ接続されている請求項8に記載の電磁コイルの冷却構造。
【請求項10】
前記配管において前記冷却部材と反対側の端部の外周には、第1シール部材を介して中継管が接続されており、
前記中継管において前記冷却部材と反対側の端部の外周は、第2シール部材を介して支持されている請求項1〜9のいずれか1項に記載の電磁コイルの冷却構造。
【請求項11】
前記冷却部材はアルミナにより形成されており、
前記配管はチタンにより形成されており、
前記冷却部材の表面に拡散形成された金属層を介して、前記冷却部材に前記配管が銀ろうにより接続されている請求項1〜10のいずれか1項に記載の電磁コイルの冷却構造。
【請求項12】
前記電磁コイルは、前記所定軸線の周りに複数回巻かれた帯状の導体により形成された導体巻体を備え、
前記冷却部材は、前記導体巻体の前記所定軸線方向の端面に取り付けられている請求項1〜11のいずれか1項に記載の電磁コイルの冷却構造。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の電磁コイルの冷却構造を備えることを特徴とする電磁アクチュエータ。
【請求項14】
前記冷却部材に対して前記電磁コイルと反対側に配置され、前記電磁コイルに発生する磁束に基づいて前記冷却部材に沿って二次元に駆動される被駆動部を備える請求項13に記載の電磁アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁アクチュエータ等で用いられる電磁コイルを冷却する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電磁コイルの冷却構造において、電磁コイルの中心軸線方向の端面に板状の冷却要素を取り付けたものがある(特許文献1参照)。特許文献1に記載のものでは、冷却要素において電磁コイルの径方向の両端部に、冷媒の入口配管と出口配管とをそれぞれ接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許4022181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のものでは、冷却要素の取り付けられた電磁コイルを並列に複数配置する場合に、入口配管や出口配管が互いに干渉するおそれがある。このため、電磁コイルを並列に複数配置したユニットを形成することや、そのユニットを更に並列に複数配置することが困難である。
【0005】
本発明は、こうした課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、電磁コイルの軸線方向の端面を冷却する構造において、複数の電磁コイルを並列に任意に配置することを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
【0007】
第1の手段は、電磁コイルの冷却構造であって、所定軸線方向に延びる空間が内部に形成された電磁コイルと、前記電磁コイルの前記所定軸線方向の端面に取り付けられ、内部に流体の流路が形成された冷却部材と、前記空間の内部において前記冷却部材の前記流路の入口及び出口にそれぞれ接続され、前記空間を通じて前記電磁コイルの外部まで延びた入口配管及び出口配管と、を備えることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、電磁コイルの内部には、所定軸線方向に延びる空間が形成されている。そして、電磁コイルの所定軸線方向の端面に冷却部材が取り付けられ、この冷却部材の内部に流体の流路が形成されている。
【0009】
ここで、上記空間の内部において、冷却部材の流路の入口及び出口に、それぞれ入口配管及び出口配管が接続されている。そして、入口配管及び出口配管は、上記空間を通じて電磁コイルの外部まで延びている。したがって、電磁コイルの内部の空間を利用して、冷却部材の流路の入口及び出口に入口配管及び出口配管をそれぞれ接続し、流路に流体を流通させることができる。このため、複数の電磁コイルにおいて互いの配管が干渉することがなく、複数の電磁コイルを並列に任意に配置することができる。
【0010】
第2の手段は、電磁コイルの冷却構造であって、所定軸線方向に延びる空間が内部に形成され、前記所定軸線方向を並列にして複数配置された電磁コイルと、前記複数配置された電磁コイルの前記所定軸線方向の端面に取り付けられ、内部に流体の流路が形成された冷却部材と、前記複数配置された電磁コイルのうちいずれかの電磁コイルの前記空間の内部において前記冷却部材の前記流路の入口に接続され、前記空間を通じて前記電磁コイルの外部まで延びた入口配管と、前記複数配置された電磁コイルのうちいずれかの電磁コイルの前記空間の内部において前記冷却部材の前記流路の出口に接続され、前記空間を通じて前記電磁コイルの外部まで延びた出口配管と、を備えることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、電磁コイルは所定軸線方向を並列にして複数配置されており、複数配置された電磁コイルの所定軸線方向の端面に冷却部材が取り付けられている。そして、複数配置された電磁コイルのうち、いずれかの電磁コイルの上記空間の内部において冷却部材の流路の入口に入口配管が接続され、いずれかの電磁コイルの上記空間の内部において冷却部材の流路の出口に出口配管が接続されている。したがって、冷却部材の流路に流体を流通させることにより、複数の電磁コイルを冷却することができる。
【0012】
第3の手段では、前記入口配管及び前記出口配管は、共通の前記電磁コイルの前記空間の内部において前記入口及び前記出口にそれぞれ接続されている。
【0013】
上記構成によれば、所定軸線方向を並列にして複数配置された電磁コイルにおいて、第1の手段と同様の構成を備えることにより、1つの電磁コイル内に入口配管及び出口配管をまとめることができる。
【0014】
第4の手段は、電磁コイルの冷却構造であって、所定軸線方向に延びる空間が内部に形成され、前記所定軸線方向を一致させて配置された第1電磁コイル及び第2電磁コイルと、前記第1電磁コイルの前記所定軸線方向の端面のうち前記第2電磁コイルと反対側の端面に取り付けられ、内部に流体の流路が形成された第1冷却部材と、前記第1電磁コイルの前記所定軸線方向の端面のうち前記第2電磁コイル側の端面に取り付けられ、且つ前記第2電磁コイルの前記所定軸線方向の端面のうち前記第1電磁コイル側の端面に取り付けられ、内部に流体の流路が形成された第2冷却部材と、前記第1電磁コイルの前記空間の内部において前記第1冷却部材の前記流路の入口及び出口にそれぞれ接続され、前記第1電磁コイルの前記空間を通じて前記第2冷却部材を貫通し、前記第2電磁コイルの前記空間を通じて前記第2電磁コイルの外部まで延びた第1入口配管及び第1出口配管と、を備えることを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、所定軸線方向に延びる空間が内部に形成され、所定軸線方向を一致させて配置された第1電磁コイル及び第2電磁コイルを備えている。第1の手段の冷却部材に相当する第1冷却部材に加えて、第1電磁コイルと第2電磁コイルとの間に取り付けられた第2冷却部材を備えている。そして、第1電磁コイル及び第2電磁コイルの内部の空間を利用し、第2冷却部材を貫通させて、第1冷却部材の流路の入口及び出口に第1入口配管及び第1出口配管をそれぞれ接続することができる。このため、所定軸線方向を一致させて第1電磁コイル及び第2電磁コイルを配置する構成であっても、第1電磁コイル及び第2電磁コイルの複数の組を並列に任意に配置することができる。
【0016】
第5の手段では、前記第2電磁コイルの前記空間の内部において前記第2冷却部材の前記流路の入口及び出口にそれぞれ接続され、前記第2電磁コイルの前記空間を通じて前記第2電磁コイルの外部まで延びた第2入口配管及び第2出口配管を備える。
【0017】
上記構成によれば、所定軸線方向を一致させて第1電磁コイル及び第2電磁コイルが配置される構成であっても、第1冷却部材及び第2冷却部材にそれぞれ流体を流通させることができる。
【0018】
第6の手段は、電磁コイルの冷却構造であって、所定軸線方向に延びる空間が内部に形成され、前記所定軸線方向を並列にして複数配置された第1電磁コイルと、所定軸線方向に延びる空間が内部に形成され、前記第1電磁コイルと前記所定軸線方向を一致させて複数配置された第2電磁コイルと、前記複数配置された第1電磁コイルの前記所定軸線方向の端面のうち前記第2電磁コイルと反対側の端面に取り付けられ、内部に流体の流路が形成された第1冷却部材と、前記複数配置された第1電磁コイルの前記所定軸線方向の端面のうち前記第2電磁コイル側の端面に取り付けられ、且つ前記複数配置された第2電磁コイルの前記所定軸線方向の端面のうち前記第1電磁コイル側の端面に取り付けられ、内部に流体の流路が形成された第2冷却部材と、前記複数配置された第1電磁コイルのうちいずれかの第1電磁コイルの前記空間の内部において前記第1冷却部材の前記流路の入口に接続され、前記第1電磁コイルの前記空間を通じて前記第2冷却部材を貫通し、前記第2電磁コイルの前記空間を通じて前記第2電磁コイルの外部まで延びた第1入口配管と、前記複数配置された第1電磁コイルのうちいずれかの第1電磁コイルの前記空間の内部において前記第1冷却部材の前記流路の出口に接続され、前記第1電磁コイルの前記空間を通じて前記第2冷却部材を貫通し、前記第2電磁コイルの前記空間を通じて前記第2電磁コイルの外部まで延びた第1出口配管と、を備えることを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、第2の手段及び第4の手段の構成を備え、第2の手段及び第4の手段の双方の作用効果を奏することができる。
【0020】
第7の手段では、前記第1入口配管及び前記第1出口配管は、共通の前記第1電磁コイルの前記空間の内部において前記入口及び前記出口にそれぞれ接続されている。
【0021】
上記構成によれば、第3の手段と同様に、1つの第1電磁コイル内に第1入口配管及び第1出口配管をまとめることができる。
【0022】
第8の手段では、前記複数配置された第2電磁コイルのうちいずれかの第2電磁コイルの前記空間の内部において前記第2冷却部材の前記流路の入口に接続され、前記第2電磁コイルの前記空間を通じて前記第2電磁コイルの外部まで延びた第2入口配管と、前記複数配置された第2電磁コイルのうちいずれかの第2電磁コイルの前記空間の内部において前記第2冷却部材の前記流路の出口に接続され、前記第2電磁コイルの前記空間を通じて前記第2電磁コイルの外部まで延びた第2出口配管と、を備える。
【0023】
上記構成によれば、所定軸線方向を並列にして第1電磁コイルが複数配置され、且つ所定軸線方向を一致させて第1電磁コイル及び第2電磁コイルが配置される構成であっても、第1冷却部材及び第2冷却部材にそれぞれ流体を流通させることができる。
【0024】
第9の手段では、前記第2入口配管及び前記第2出口配管は、共通の前記第2電磁コイルの前記空間の内部において前記入口及び前記出口にそれぞれ接続されている。
【0025】
上記構成によれば、第3の手段と同様に、1つの第2電磁コイル内に第2入口配管及び第2出口配管をまとめることができる。
【0026】
第10の手段では、前記配管において前記冷却部材と反対側の端部の外周には、第1シール部材を介して中継管が接続されており、前記中継管において前記冷却部材と反対側の端部の外周は、第2シール部材を介して支持されている。
【0027】
上記構成によれば、配管において冷却部材と反対側の端部の外周に、第1シール部材を介して中継管が接続されている。そして、中継管において冷却部材と反対側の端部の外周が、第2シール部材を介して支持されている。このため、第1シール部材、中継管、及び第2シール部材により、配管に作用する力を緩衝することができ、冷却部材と配管との接続部に負荷がかかることを抑制することができる。さらに、第1シール部材及び第2シール部材により、配管や中継管の若干の移動が許容されるため、配管や中継管の組み付け誤差を吸収することもできる。
【0028】
第11の手段では、前記冷却部材はアルミナにより形成されており、前記配管はチタンにより形成されており、前記冷却部材の表面に拡散形成された金属層を介して、前記冷却部材に前記配管が銀ろうにより接続されている。
【0029】
上記構成によれば、アルミナ及びチタンは非磁性体であるため、冷却部材及び配管が電磁コイルに発生する磁束に影響を及ぼすことを抑制することができる。そして、冷却部材の表面に拡散形成された金属層を介することで、アルミナ製の冷却部材にチタン製の配管を銀ろうにより接続することができる。
【0030】
第12の手段では、前記電磁コイルは、前記所定軸線の周りに複数回巻かれた帯状の導体により形成された導体巻体を備え、前記冷却部材は、前記導体巻体の前記所定軸線方向の端面に取り付けられている。
【0031】
上記構成によれば、電磁コイルは、所定軸線の周りに複数回巻かれた帯状の導体により形成された導体巻体を備えている。そして、冷却部材は、導体巻体の所定軸線方向の端面に取り付けられている。このため、導体巻体は、軸線方向の全長を通じて端面から冷却部材へ熱を伝達することができ、導体巻体の冷却効率を向上させることができる。
【0032】
第13の手段は、電磁アクチュエータであって、第1〜第12の手段のいずれか1つの電磁コイルの冷却構造を備えることを特徴とする。
【0033】
上記構成によれば、電磁アクチュエータにおいて、上記の各手段と同様の作用効果を奏することができる。
【0034】
第14の手段では、前記冷却部材に対して前記電磁コイルと反対側に配置され、前記電磁コイルに発生する磁束に基づいて前記冷却部材に沿って二次元に駆動される被駆動部を備える。
【0035】
上記構成によれば、電磁アクチュエータは、冷却部材に対して電磁コイルと反対側に配置され、電磁コイルに発生する磁束に基づいて冷却部材に沿って二次元に駆動される被駆動部を備えている。このため、冷却部材に流体を流通させるための入口配管及び出口配管を、冷却部材の側方においていずれの位置にも接続することができず、また冷却部材に対して電磁コイルと反対側においていずれの位置にも接続することができない。この点、第1〜第12の手段のいずれか1つにおける電磁コイルの冷却構造を備えるため、こうした電磁アクチュエータであっても冷却部材に流体を流通させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】コイルユニットの斜視図。
図2】恒温プレート取り付け前のコイルユニットの斜視図。
図3】恒温プレート取り付け前のコイルユニットの平面図。
図4図3の4−4線断面図。
図5】コイルユニットの平面図。
図6図5の6−6線断面図。
図7】冷却プレートの組立図。
図8】上板取り付け前の冷却プレートの斜視図。
図9】恒温プレートの組立図。
図10】上板取り付け前の恒温プレートの斜視図。
図11】第1入口配管の接続構造を示す断面図。
図12】XYリニアアクチュエータを示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、リソグラフ装置(ステッパ)等に用いられるXYリニアアクチュエータとして具体化している。
【0038】
図1,2に示すように、XYリニアアクチュエータの構成要素であるコイルユニット10は、恒温プレート20、第1電磁コイル30(30A,30B,30C)、冷却プレート40、第2電磁コイル50(50A,50B,50C)、支持プレート60、本体70等を備えている。コイルユニット10は、全体として直方体状に形成されている。
【0039】
図3は、恒温プレート20取り付け前のコイルユニット10の平面図である。同図を併せて参照して、第1電磁コイル30は、軸線Z(所定軸線)の周りに複数回巻かれた帯状(フィルム状)の導体により形成された導体巻体31を備えている。帯状の導体の一端は電極ピン33に接続され、帯状の導体の他端は電極ピン34に接続されている。導体巻体31は、長円筒状(円筒状)に形成されている。導体巻体31(第1電磁コイル30)の内部には、軸線Zの方向に延びる空間32が形成されている。導体巻体31は、帯状の導体と接着層とが交互に重なるように巻かれており、帯状導体同士の間が接着層により接着されている。接着層は、電気的に絶縁性の材料により形成されている。なお、帯状導体同士の間を接着層により接着せず、絶縁層により絶縁するだけの構成とすることもできる。
【0040】
第1電磁コイル30A,30B,30Cは、Z軸線方向を平行(並列)にして配置されている。詳しくは、第1電磁コイル30A,30B,30Cは、長円状断面の短辺が延びる方向(図3の左右方向)に隣接して配置されている。
【0041】
第1電磁コイル30の軸線Z方向の端面のうち第2電磁コイル50と反対側の端面30eには、上記恒温プレート20が取り付けられている。恒温プレート20(第1冷却部材)は、アルミナ等の非磁性の絶縁材料により、矩形板状に形成されている。恒温プレート20の内部には、冷却水(流体)の流路が形成されている。
【0042】
第1電磁コイル30の軸線Z方向の端面のうち第2電磁コイル50側の端面30fには、上記冷却プレート40が取り付けられている。冷却プレート40(第2冷却部材)は、アルミナ等の非磁性の絶縁材料により、矩形板状に形成されている。冷却プレート40において、第1電磁コイル30と反対側の面には、第2電磁コイル50が取り付けられている。すなわち、第2電磁コイル50の軸線Z方向の端面のうち第1電磁コイル30側の端面50gに、冷却プレート40が取り付けられている(図4参照)。冷却プレート40の内部には、冷却水(流体)の流路が形成されている。
【0043】
第2電磁コイル50は、第1電磁コイル30と同一の構成となっている。第1電磁コイル30と第2電磁コイル50とは、軸線Z方向を一致させて配置されている。詳しくは、第1電磁コイル30Aと第2電磁コイル50Aとが軸線Z方向を一致させて配置され、第1電磁コイル30Bと第2電磁コイル50Bとが軸線Z方向を一致させて配置され、第1電磁コイル30Cと第2電磁コイル50Cが軸線Z方向を一致させて配置されている。
【0044】
図4は、図3の4−4線断面図である。同図に示すように、第2電磁コイル50C(50)は、絶縁部材51を介して支持プレート60に取り付けられている。支持プレート60は、アルミナ等の非磁性の絶縁材料により、矩形板状に形成されている。支持プレート60には、軸線Z方向に突出するスペーサ60aが形成されている。支持プレート60は、本体70に取り付けられている。本体70は、ステンレスやアルミ等の金属により、矩形板状に形成されている。
【0045】
第2電磁コイル50C(50)の空間52の内部において冷却プレート40の流路の入口41に、円筒状の第2入口配管42が接続されている。第2入口配管42は、第2電磁コイル50Cの空間52を通じて第2電磁コイル50Cの外部まで延びている。また、第2電磁コイル50C(50)の空間52の内部において冷却プレート40の流路の出口46に、円筒状の第2出口配管47が接続されている。第2出口配管47は、第2電磁コイル50Cの空間52を通じて第2電磁コイル50Cの外部まで延びている。すなわち、第2入口配管42及び第2出口配管47は、共通の第2電磁コイル50Cの空間52の内部において、入口41及び出口46にそれぞれ接続されている。
【0046】
配管42,47において冷却プレート40と反対側の端部42a,47aの外周には、それぞれ第1シール部材43を介して中継管44,49が接続されている。第1シール部材43は、樹脂等により形成されたOリングである。中継管44,49は、ステンレス等の金属により、円筒状に形成されている。このため、配管42,47と中継管44,49とは、それぞれ第1シール部材43により径方向でシールされている。
【0047】
中継管44,49において冷却プレート40と反対側の端部44a,49aの外周は、それぞれ第2シール部材61を介して本体70により支持されている。第2シール部材61は、樹脂等により形成されたOリングである。本体70の内部には、冷却水の流路72,73が形成されている。流路72,73の流路断面は、円形状となっている。そして、流路72に中継管44が接続され、流路73に中継管49が接続されている。流路72,73と中継管44,49とは、それぞれ第2シール部材61により径方向でシールされている。
【0048】
電極ピン34,53には、それぞれ配線35,55が接続されている。配線35,55は、支持プレート60及び本体70を通じて、軸線Z方向に本体70の外部まで延びている。
【0049】
なお、第2電磁コイル50C(50)、冷却プレート40、第2入口配管42、第2出口配管47、中継管44,49、及び流路72,73により、第2電磁コイル50C(50)の冷却構造が構成されている。
【0050】
図5はコイルユニット10の平面図であり、図6図5の6−6線断面図である。同図に示すように、第1電磁コイル30A(30)の空間32の内部において恒温プレート20の流路の入口21に、円筒状の第1入口配管22が接続されている。第1入口配管22は、第1電磁コイル30Aの空間32を通じて冷却プレート40を貫通し、第2電磁コイル50Aの空間52を通じて第2電磁コイル50Aの外部まで延びている。また、第1電磁コイル30A(30)の空間32の内部において恒温プレート20の流路の出口26に、円筒状の第1出口配管27が接続されている。第1出口配管27は、第1電磁コイル30Aの空間32を通じて冷却プレート40を貫通し、第2電磁コイル50Aの空間52を通じて第2電磁コイル50Aの外部まで延びている。すなわち、第1入口配管22及び第1出口配管27は、共通の第1電磁コイル30Aの空間32の内部において、入口21及び出口26にそれぞれ接続されている。
【0051】
配管22,27において恒温プレート20と反対側の端部22a,27aの外周には、それぞれ第1シール部材43を介して中継管24,29が接続されている。中継管24,29は、ステンレス等の金属により、円筒状に形成されている。このため、配管22,27と中継管24,29とは、それぞれ第1シール部材43により径方向でシールされている。
【0052】
中継管24,29において恒温プレート20と反対側の端部24a,29aの外周は、それぞれ第2シール部材61を介して本体70により支持されている。本体70の内部には、冷却水の流路76,77が形成されている。流路76,77の流路断面は、円形状となっている。そして、流路76に中継管24が接続され、流路77に中継管29が接続されている。流路76,77と中継管24,29とは、それぞれ第2シール部材61により径方向でシールされている。
【0053】
電極ピン34,53には、それぞれ配線35,55が接続されている。配線35,55は、支持プレート60及び本体70を通じて、軸線Z方向に本体70の外部まで延びている。
【0054】
なお、第1電磁コイル30A(30)、恒温プレート20、第1入口配管22、第1出口配管27、中継管24,29、及び流路76,77により、第1電磁コイル30A(30)の冷却構造が構成されている。
【0055】
図7は冷却プレート40の組立図であり、図8は上板取り付け前の冷却プレート40の斜視図である。同図に示すように、冷却プレート40は、上板40a、中板40b、及び下板40cを備えている。
【0056】
上板40a、中板40b、及び下板40cは、互いに寸法形状の等しい矩形板状に形成されている。上板40a、中板40b、及び下板40cには、支持プレート60のスペーサ60aを挿入可能な貫通孔40dがそれぞれ形成されている。上板40a、中板40b、及び下板40cには、配管22,27を挿入可能な貫通孔40eがそれぞれ形成されている。貫通孔40eは、第2電磁コイル50Aの空間52に対応する位置に形成されている。
【0057】
中板40bには、冷却プレート40の流路40gを規定する蛇行した貫通孔40fが形成されている。そして、上板40aと下板40cとで中板40bを挟んで一体化することにより、冷却プレート40の流路40gが形成されている。下板40cには、流路40gの上記入口41及び上記出口46が形成されている。入口41及び出口46は、第2電磁コイル50Cの空間52に対応する位置に形成されている。
【0058】
図9は恒温プレート20の組立図であり、図10は上板取り付け前の恒温プレート20の斜視図である。同図に示すように、恒温プレート20は、上板20a、中板20b、及び下板20cを備えている。
【0059】
上板20a、中板20b、及び下板20cは、互いに寸法形状の等しい矩形板状に形成されている。
【0060】
中板20bには、恒温プレート20の流路20gを規定する蛇行した貫通孔20fが形成されている。そして、上板20aと下板20cとで中板20bを挟んで一体化することにより、恒温プレート20の流路20gが形成されている。下板20cには、流路20gの上記入口21及び上記出口26が形成されている。入口21及び出口26は、第1電磁コイル30Aの空間32に対応する位置に形成されている。
【0061】
図11は、第1入口配管22の接続構造を示す断面図である。配管22,27,42,47は、いずれもチタンにより形成されており、同様の接続構造を持っている。ここでは、第1入口配管22の接続構造を例にして説明する。
【0062】
恒温プレート20の下板20cにおいて、流路20gの入口21の周囲には、金属材料を拡散させた金属層23が形成されている。金属層23は、銀、銅、及びチタンにより形成されている。第1入口配管22の端部22aには、フランジ22bが形成されている。そして、金属層23に第1入口配管22のフランジ22bを当接させて、銀ろう25により金属層23と第1入口配管22とが接続されている。すなわち、金属層23を介して、恒温プレート20に第1入口配管22が銀ろう25により接続されている。
【0063】
図12は、XYリニアアクチュエータ11を示す模式図である。同図に示すように、XYリニアアクチュエータ11(電磁アクチュエータ)は、二次元に配置された複数のコイルユニット10を備えている。複数のコイルユニット10は、互いに隣接するコイルユニット10同士の向きが90°異なるように配置されている。なお、ここでは、コイルユニット10の恒温プレート20を省略して示している。
【0064】
XYリニアアクチュエータ11は、恒温プレート20に対して電磁コイル30,50と反対側に配置されたテーブル12を備えている。テーブル12(被駆動部)は、矩形板状に形成されており、内部に磁石が組み込まれている。テーブル12上には、基板Wが取り付けられる。そして、電磁コイル30,50に発生する磁束に基づいて、テーブル12が恒温プレート20に沿って二次元に駆動される。
【0065】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
【0066】
・第1電磁コイル30Aの空間32の内部において、恒温プレート20の流路20gの入口21及び出口26に、それぞれ第1入口配管22及び第1出口配管27が接続されている。そして、第1入口配管22及び第1出口配管27は、上記空間32を通じて第1電磁コイル30Aの外部まで延びている。したがって、第1電磁コイル30Aの内部の空間32を利用して、恒温プレート20の流路20gの入口21及び出口26に第1入口配管22及び第1出口配管27をそれぞれ接続し、流路20gに冷却水を流通させることができる。このため、複数の第1電磁コイル30において互いの配管が干渉することがなく、複数の第1電磁コイル30を並列に任意に配置することができる。
【0067】
・第1電磁コイル30は軸線Z方向を並列にして複数配置されており、複数配置された第1電磁コイル30の軸線Z方向の端面30eに恒温プレート20が取り付けられている。そして、複数配置された第1電磁コイル30のうち、第1電磁コイル30Aの上記空間32の内部において恒温プレート20の流路20gの入口21に第1入口配管22が接続され、第1電磁コイル30Aの上記空間32の内部において恒温プレート20の流路20gの出口26に第1出口配管27が接続されている。したがって、恒温プレート20の流路20gに流体を流通させることにより、複数の第1電磁コイル30を冷却することができる。
【0068】
・第1入口配管22及び第1出口配管27は、共通の第1電磁コイル30Aの空間32の内部において入口21及び出口26にそれぞれ接続されている。このため、軸線Z方向を並列にして複数配置された第1電磁コイル30において、1つの第1電磁コイル30A内に第1入口配管22及び第1出口配管27をまとめることができる。
【0069】
・軸線Z方向に延びる空間32,52が内部に形成され、軸線Z方向を一致させて配置された第1電磁コイル30及び第2電磁コイル50を備えている。恒温プレート20に加えて、第1電磁コイル30と第2電磁コイル50との間に取り付けられた冷却プレート40を備えている。そして、第1電磁コイル30及び第2電磁コイル50の内部の空間32,52を利用し、冷却プレート40を貫通させて、恒温プレート20の流路20gの入口21及び出口26に第1入口配管22及び第1出口配管27をそれぞれ接続することができる。このため、軸線Z方向を一致させて第1電磁コイル30及び第2電磁コイル50を配置する構成であっても、第1電磁コイル30及び第2電磁コイル50の複数の組を並列に任意に配置することができる。
【0070】
・第2電磁コイル50Cの空間52の内部において冷却プレート40の流路40gの入口41及び出口46にそれぞれ接続され、第2電磁コイル50Cの空間52を通じて第2電磁コイル50Cの外部まで延びた第2入口配管42及び第2出口配管47を備えている。このため、軸線Z方向を一致させて第1電磁コイル30C及び第2電磁コイル50Cが配置される構成であっても、恒温プレート20及び冷却プレート40にそれぞれ冷却水を流通させることができる。
【0071】
・軸線Z方向を並列にして第1電磁コイル30が複数配置され、且つ軸線Z方向を一致させて第1電磁コイル30及び第2電磁コイル50が配置される構成であっても、恒温プレート20及び冷却プレート40にそれぞれ冷却水を流通させることができる。
【0072】
・第1入口配管22において恒温プレート20と反対側の端部22aの外周に、第1シール部材43を介して中継管24が接続されている。そして、中継管24において恒温プレート20と反対側の端部24aの外周が、第2シール部材61を介して本体70により支持されている。このため、第1シール部材43、中継管24、及び第2シール部材61により、第1入口配管22に作用する力を緩衝することができ、恒温プレート20と第1入口配管22との接続部に負荷がかかることを抑制することができる。さらに、第1シール部材43及び第2シール部材61により、第1入口配管22や中継管24の若干の移動が許容されるため、第1入口配管22や中継管24の組み付け誤差を吸収することもできる。なお、第1出口配管27、第2入口配管42、第2出口配管47においても、同様の効果を奏することができる。
【0073】
・恒温プレート20はアルミナにより形成されており、第1入口配管22(第1出口配管27)はチタンにより形成されている。アルミナ及びチタンは非磁性体であるため、恒温プレート20及び第1入口配管22(第1出口配管27)が電磁コイルに発生する磁束に影響を及ぼすことを抑制することができる。そして、恒温プレート20の表面に拡散形成された金属層23を介することで、アルミナ製の恒温プレート20にチタン製の第1入口配管22(第1出口配管27)を銀ろう25により接続することができる。なお、冷却プレート40及び第2入口配管42(第2出口配管47)においても、同様の作用効果を奏することができる。
【0074】
・第1電磁コイル30は、軸線Zの周りに複数回巻かれた帯状の導体により形成された導体巻体31を備えている。そして、恒温プレート20は、導体巻体31の軸線Z方向の端面30eに取り付けられている。このため、導体巻体31は、軸線Z方向の全長を通じて端面30eから恒温プレート20へ熱を伝達することができ、導体巻体31の冷却効率を向上させることができる。また、冷却プレート40は、導体巻体31の軸線Z方向の端面30fに取り付けられている。このため、導体巻体31は、軸線Z方向の全長を通じて端面30fから冷却プレート40へも熱を伝達することができる。なお、第2電磁コイル50、冷却プレート40、及び支持プレート60においても、同様の効果を奏することができる。
【0075】
・恒温プレート20によって、XYアクチュエータ11における恒温プレート20上方の空間の温度、すなわちリソグラフィ装置内の処理室(例えば露光空間)の温度が変化することを抑制することができる。この場合、恒温プレート20と第1電磁コイル30とをZ方向に離間して配置し、両者の間に熱の絶縁層として空気層を介在させる構成とすることが可能である。または、空気層に替えて、恒温プレート20と第1電磁コイル30との間に熱を絶縁する絶縁部材を配置してもよい。あるいは、恒温プレート20と第1電磁コイル30とを接着する接着剤の厚みを、冷却プレート40と第1電磁コイル30及び第2電磁コイル50とを接着する接着剤の厚みよりも厚くして各電磁コイルの熱が恒温プレート20に伝わり難くしてもよい。上記いずれの構成においても、冷却プレート40内を流れる冷却水(冷媒)の温度や流量等と、恒温プレート20内を流れる冷却水(冷媒)の温度や流量等を独立して調整することで、冷却プレート40によって第1電磁コイル30及び第2電磁コイル50の熱を効率的に奪い、恒温プレート20によって前記リソグラフィ装置内の処理室の温度変化を抑制する、ということが可能である。
【0076】
・XYリニアアクチュエータ11は、恒温プレート20に対して第1電磁コイル30及び第2電磁コイル50と反対側に配置され、第1電磁コイル30及び第2電磁コイル50に発生する磁束に基づいて恒温プレート20に沿って二次元に駆動されるテーブル12を備えている。このため、恒温プレート20(冷却プレート40)に冷却水を流通させるための第1入口配管22(第2入口配管42)及び第1出口配管27(第2出口配管47)を、恒温プレート20(冷却プレート40)の側方においていずれの位置にも接続することができない。また、第1入口配管22(第2入口配管42)及び第1出口配管27(第2出口配管47)を、恒温プレート20(冷却プレート40)に対して第1電磁コイル30及び第2電磁コイル50と反対側においていずれの位置にも接続することができない。この点、第1電磁コイル30及び第2電磁コイル50の上記冷却構造を備えるため、こうしたXYリニアアクチュエータ11であっても恒温プレート20(冷却プレート40)に冷却水を流通させることができる。
【0077】
上記実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。
【0078】
・第1電磁コイル30及び第2電磁コイル50の断面形状は、長円形状に限らず、円形状や、多角形状に変更することもできる。すなわち、第1電磁コイル30及び第2電磁コイル50の形状は、長円筒状に限らず、円筒状や多角筒状に変更することもできる。
【0079】
・恒温プレート20の流路20g、及び冷却プレート40の流路20gの形状は、第1電磁コイル30及び第2電磁コイル50の発熱特性に応じて任意に変更することができる。また、恒温プレート20及び冷却プレート40の形状も、第1電磁コイル30及び第2電磁コイル50の発熱特性に応じて任意に変更することができる。
【0080】
・第1入口配管22と第1出口配管27とを、それぞれ別の第1電磁コイル30の空間32の内部において、恒温プレート20の流路20gの入口と出口とにそれぞれ接続することもできる。その場合は、恒温プレート20の流路20gの入口及び出口の位置を変更すればよい。
【0081】
・第2入口配管42と第2出口配管47とを、それぞれ別の第2電磁コイル50の空間52の内部において、冷却プレート40の流路40gの入口と出口とにそれぞれ接続することもできる。その場合は、冷却プレート40の流路40gの入口及び出口の位置を変更すればよい。
【0082】
・第1電磁コイル30及び第2電磁コイル50のいずれか一方のみを備えるようにすることもできる。その場合は、省略した電磁コイルに対応する構成を省略すればよい。
【0083】
・恒温プレート20及び冷却プレート40を、アルミナに限らず、その他のセラミック等により形成することもできる。
【0084】
・第1入口配管22、第1出口配管27、第2入口配管42、及び第2出口配管47を、チタンに限らず、その他の金属等により形成することもできる。
【0085】
・導体巻体31は、帯状(フィルム状)の導体に限らず、円形断面を有する丸線や、矩形断面を有する角線等により構成することもできる。
【0086】
・第1電磁コイル30及び第2電磁コイル50の上記冷却構造は、XYリニアアクチュエータ11に限らず、第1電磁コイル30及び第2電磁コイル50の内部に空間32,52が形成されている電磁アクチュエータであれば適用することができる。また、リソグラフ装置に限らず、そのような電磁アクチュエータを備える装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0087】
10…コイルユニット、11…XYリニアアクチュエータ(電磁アクチュエータ)、12…テーブル(被駆動部)、20…恒温プレート(第1冷却部材)、20g…流路、21…入口、22…第1入口配管、22a…端部、23…金属層、24…中継管、24a…端部、25…銀ろう、26…出口、27…第1出口配管、27a…端部、29…中継管、29a…端部、30…第1電磁コイル、30e…端面、30f…端面、31…導体巻体、32…空間、40…冷却プレート(第2冷却部材)、40g…流路、41…入口、42…第2入口配管、42a…端部、43…第1シール部材、44…中継管、44a…端部、46…出口、47…第2出口配管、47a…端部、49…中継管、49a…端部、50…第2電磁コイル、50g…端面、52…空間、60…支持プレート、61…第2シール部材、70…本体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12