【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
【0007】
第1の手段は、電磁コイルの冷却構造であって、所定軸線方向に延びる空間が内部に形成された電磁コイルと、前記電磁コイルの前記所定軸線方向の端面に取り付けられ、内部に流体の流路が形成された冷却部材と、前記空間の内部において前記冷却部材の前記流路の入口及び出口にそれぞれ接続され、前記空間を通じて前記電磁コイルの外部まで延びた入口配管及び出口配管と、を備えることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、電磁コイルの内部には、所定軸線方向に延びる空間が形成されている。そして、電磁コイルの所定軸線方向の端面に冷却部材が取り付けられ、この冷却部材の内部に流体の流路が形成されている。
【0009】
ここで、上記空間の内部において、冷却部材の流路の入口及び出口に、それぞれ入口配管及び出口配管が接続されている。そして、入口配管及び出口配管は、上記空間を通じて電磁コイルの外部まで延びている。したがって、電磁コイルの内部の空間を利用して、冷却部材の流路の入口及び出口に入口配管及び出口配管をそれぞれ接続し、流路に流体を流通させることができる。このため、複数の電磁コイルにおいて互いの配管が干渉することがなく、複数の電磁コイルを並列に任意に配置することができる。
【0010】
第2の手段は、電磁コイルの冷却構造であって、所定軸線方向に延びる空間が内部に形成され、前記所定軸線方向を並列にして複数配置された電磁コイルと、前記複数配置された電磁コイルの前記所定軸線方向の端面に取り付けられ、内部に流体の流路が形成された冷却部材と、前記複数配置された電磁コイルのうちいずれかの電磁コイルの前記空間の内部において前記冷却部材の前記流路の入口に接続され、前記空間を通じて前記電磁コイルの外部まで延びた入口配管と、前記複数配置された電磁コイルのうちいずれかの電磁コイルの前記空間の内部において前記冷却部材の前記流路の出口に接続され、前記空間を通じて前記電磁コイルの外部まで延びた出口配管と、を備えることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、電磁コイルは所定軸線方向を並列にして複数配置されており、複数配置された電磁コイルの所定軸線方向の端面に冷却部材が取り付けられている。そして、複数配置された電磁コイルのうち、いずれかの電磁コイルの上記空間の内部において冷却部材の流路の入口に入口配管が接続され、いずれかの電磁コイルの上記空間の内部において冷却部材の流路の出口に出口配管が接続されている。したがって、冷却部材の流路に流体を流通させることにより、複数の電磁コイルを冷却することができる。
【0012】
第3の手段では、前記入口配管及び前記出口配管は、共通の前記電磁コイルの前記空間の内部において前記入口及び前記出口にそれぞれ接続されている。
【0013】
上記構成によれば、所定軸線方向を並列にして複数配置された電磁コイルにおいて、第1の手段と同様の構成を備えることにより、1つの電磁コイル内に入口配管及び出口配管をまとめることができる。
【0014】
第4の手段は、電磁コイルの冷却構造であって、所定軸線方向に延びる空間が内部に形成され、前記所定軸線方向を一致させて配置された第1電磁コイル及び第2電磁コイルと、前記第1電磁コイルの前記所定軸線方向の端面のうち前記第2電磁コイルと反対側の端面に取り付けられ、内部に流体の流路が形成された第1冷却部材と、前記第1電磁コイルの前記所定軸線方向の端面のうち前記第2電磁コイル側の端面に取り付けられ、且つ前記第2電磁コイルの前記所定軸線方向の端面のうち前記第1電磁コイル側の端面に取り付けられ、内部に流体の流路が形成された第2冷却部材と、前記第1電磁コイルの前記空間の内部において前記第1冷却部材の前記流路の入口及び出口にそれぞれ接続され、前記第1電磁コイルの前記空間を通じて前記第2冷却部材を貫通し、前記第2電磁コイルの前記空間を通じて前記第2電磁コイルの外部まで延びた第1入口配管及び第1出口配管と、を備えることを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、所定軸線方向に延びる空間が内部に形成され、所定軸線方向を一致させて配置された第1電磁コイル及び第2電磁コイルを備えている。第1の手段の冷却部材に相当する第1冷却部材に加えて、第1電磁コイルと第2電磁コイルとの間に取り付けられた第2冷却部材を備えている。そして、第1電磁コイル及び第2電磁コイルの内部の空間を利用し、第2冷却部材を貫通させて、第1冷却部材の流路の入口及び出口に第1入口配管及び第1出口配管をそれぞれ接続することができる。このため、所定軸線方向を一致させて第1電磁コイル及び第2電磁コイルを配置する構成であっても、第1電磁コイル及び第2電磁コイルの複数の組を並列に任意に配置することができる。
【0016】
第5の手段では、前記第2電磁コイルの前記空間の内部において前記第2冷却部材の前記流路の入口及び出口にそれぞれ接続され、前記第2電磁コイルの前記空間を通じて前記第2電磁コイルの外部まで延びた第2入口配管及び第2出口配管を備える。
【0017】
上記構成によれば、所定軸線方向を一致させて第1電磁コイル及び第2電磁コイルが配置される構成であっても、第1冷却部材及び第2冷却部材にそれぞれ流体を流通させることができる。
【0018】
第6の手段は、電磁コイルの冷却構造であって、所定軸線方向に延びる空間が内部に形成され、前記所定軸線方向を並列にして複数配置された第1電磁コイルと、所定軸線方向に延びる空間が内部に形成され、前記第1電磁コイルと前記所定軸線方向を一致させて複数配置された第2電磁コイルと、前記複数配置された第1電磁コイルの前記所定軸線方向の端面のうち前記第2電磁コイルと反対側の端面に取り付けられ、内部に流体の流路が形成された第1冷却部材と、前記複数配置された第1電磁コイルの前記所定軸線方向の端面のうち前記第2電磁コイル側の端面に取り付けられ、且つ前記複数配置された第2電磁コイルの前記所定軸線方向の端面のうち前記第1電磁コイル側の端面に取り付けられ、内部に流体の流路が形成された第2冷却部材と、前記複数配置された第1電磁コイルのうちいずれかの第1電磁コイルの前記空間の内部において前記第1冷却部材の前記流路の入口に接続され、前記第1電磁コイルの前記空間を通じて前記第2冷却部材を貫通し、前記第2電磁コイルの前記空間を通じて前記第2電磁コイルの外部まで延びた第1入口配管と、前記複数配置された第1電磁コイルのうちいずれかの第1電磁コイルの前記空間の内部において前記第1冷却部材の前記流路の出口に接続され、前記第1電磁コイルの前記空間を通じて前記第2冷却部材を貫通し、前記第2電磁コイルの前記空間を通じて前記第2電磁コイルの外部まで延びた第1出口配管と、を備えることを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、第2の手段及び第4の手段の構成を備え、第2の手段及び第4の手段の双方の作用効果を奏することができる。
【0020】
第7の手段では、前記第1入口配管及び前記第1出口配管は、共通の前記第1電磁コイルの前記空間の内部において前記入口及び前記出口にそれぞれ接続されている。
【0021】
上記構成によれば、第3の手段と同様に、1つの第1電磁コイル内に第1入口配管及び第1出口配管をまとめることができる。
【0022】
第8の手段では、前記複数配置された第2電磁コイルのうちいずれかの第2電磁コイルの前記空間の内部において前記第2冷却部材の前記流路の入口に接続され、前記第2電磁コイルの前記空間を通じて前記第2電磁コイルの外部まで延びた第2入口配管と、前記複数配置された第2電磁コイルのうちいずれかの第2電磁コイルの前記空間の内部において前記第2冷却部材の前記流路の出口に接続され、前記第2電磁コイルの前記空間を通じて前記第2電磁コイルの外部まで延びた第2出口配管と、を備える。
【0023】
上記構成によれば、所定軸線方向を並列にして第1電磁コイルが複数配置され、且つ所定軸線方向を一致させて第1電磁コイル及び第2電磁コイルが配置される構成であっても、第1冷却部材及び第2冷却部材にそれぞれ流体を流通させることができる。
【0024】
第9の手段では、前記第2入口配管及び前記第2出口配管は、共通の前記第2電磁コイルの前記空間の内部において前記入口及び前記出口にそれぞれ接続されている。
【0025】
上記構成によれば、第3の手段と同様に、1つの第2電磁コイル内に第2入口配管及び第2出口配管をまとめることができる。
【0026】
第10の手段では、前記配管において前記冷却部材と反対側の端部の外周には、第1シール部材を介して中継管が接続されており、前記中継管において前記冷却部材と反対側の端部の外周は、第2シール部材を介して支持されている。
【0027】
上記構成によれば、配管において冷却部材と反対側の端部の外周に、第1シール部材を介して中継管が接続されている。そして、中継管において冷却部材と反対側の端部の外周が、第2シール部材を介して支持されている。このため、第1シール部材、中継管、及び第2シール部材により、配管に作用する力を緩衝することができ、冷却部材と配管との接続部に負荷がかかることを抑制することができる。さらに、第1シール部材及び第2シール部材により、配管や中継管の若干の移動が許容されるため、配管や中継管の組み付け誤差を吸収することもできる。
【0028】
第11の手段では、前記冷却部材はアルミナにより形成されており、前記配管はチタンにより形成されており、前記冷却部材の表面に拡散形成された金属層を介して、前記冷却部材に前記配管が銀ろうにより接続されている。
【0029】
上記構成によれば、アルミナ及びチタンは非磁性体であるため、冷却部材及び配管が電磁コイルに発生する磁束に影響を及ぼすことを抑制することができる。そして、冷却部材の表面に拡散形成された金属層を介することで、アルミナ製の冷却部材にチタン製の配管を銀ろうにより接続することができる。
【0030】
第12の手段では、前記電磁コイルは、前記所定軸線の周りに複数回巻かれた帯状の導体により形成された導体巻体を備え、前記冷却部材は、前記導体巻体の前記所定軸線方向の端面に取り付けられている。
【0031】
上記構成によれば、電磁コイルは、所定軸線の周りに複数回巻かれた帯状の導体により形成された導体巻体を備えている。そして、冷却部材は、導体巻体の所定軸線方向の端面に取り付けられている。このため、導体巻体は、軸線方向の全長を通じて端面から冷却部材へ熱を伝達することができ、導体巻体の冷却効率を向上させることができる。
【0032】
第13の手段は、電磁アクチュエータであって、第1〜第12の手段のいずれか1つの電磁コイルの冷却構造を備えることを特徴とする。
【0033】
上記構成によれば、電磁アクチュエータにおいて、上記の各手段と同様の作用効果を奏することができる。
【0034】
第14の手段では、前記冷却部材に対して前記電磁コイルと反対側に配置され、前記電磁コイルに発生する磁束に基づいて前記冷却部材に沿って二次元に駆動される被駆動部を備える。
【0035】
上記構成によれば、電磁アクチュエータは、冷却部材に対して電磁コイルと反対側に配置され、電磁コイルに発生する磁束に基づいて冷却部材に沿って二次元に駆動される被駆動部を備えている。このため、冷却部材に流体を流通させるための入口配管及び出口配管を、冷却部材の側方においていずれの位置にも接続することができず、また冷却部材に対して電磁コイルと反対側においていずれの位置にも接続することができない。この点、第1〜第12の手段のいずれか1つにおける電磁コイルの冷却構造を備えるため、こうした電磁アクチュエータであっても冷却部材に流体を流通させることができる。