【解決手段】本配線基板は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に形成されたコイルと、を有し、前記コイルは、前記第1絶縁層上にめっき膜で形成された第1磁性体層と、前記第1磁性体層上に形成されたコイル部と、前記第1磁性体層及び前記コイル部を覆うように前記第1絶縁層上に形成された第2絶縁層と、前記第2絶縁層上にめっき膜で形成された第2磁性体層と、を含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係る配線基板の構造]
まず、第1の実施の形態に係る配線基板の構造について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る配線基板を例示する図である。なお、
図1(b)は平面図であり、
図1(a)は
図1(b)のA−A線に沿う断面図である。但し、
図1(b)では、絶縁層44より上側の層の図示は省略されている。
【0011】
図1を参照するに、配線基板1は、コア基板10と、配線層20と、絶縁層30と、コイル(インダクタ)40と、絶縁層50と、配線層60と、配線層70と、貫通電極80と、絶縁層90と、絶縁層100と、配線層110とを有する。
【0012】
なお、本実施の形態では、便宜上、絶縁層50側を上側又は一方の側、絶縁層100側を下側又は他方の側とする。又、各部位の絶縁層50側の面を上面又は一方の面、絶縁層100側の面を下面又は他方の面とする。但し、配線基板1は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。又、本実施の形態では、平面視とは対象物をコア基板10の一方の面の法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物をコア基板10の一方の面の法線方向から視た形状を指すものとする。
【0013】
コア基板10は、例えば、ガラス布基材をエポキシ樹脂に含浸させた基板である。コア基板10の厚さは、例えば、0.2〜1.6mm程度とすることができる。コア基板10の一方の面には配線層20が形成され、他方の面には配線層70が形成されている。配線層20と配線層70とは、コア基板10を貫通する貫通電極80を介して、電気的に接続されている。配線層20、配線層70、及び貫通電極80の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層20及び70の厚さは、例えば、10〜20μm程度とすることができる。
【0014】
絶縁層30は、コア基板10の一方の面に、配線層20を覆うように形成されている。絶縁層30の材料としては、例えば、熱硬化性のエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等の絶縁性樹脂を主成分とする材料(例えば、樹脂フィルム)を用いることができる。絶縁層30は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。絶縁層30の厚さは、例えば15〜35μm程度とすることができる。なお、絶縁層30は、本発明に係る第1絶縁層の代表的な一例である。
【0015】
絶縁層30の上面にはコイル40が形成されている。言い換えれば、配線基板1には、絶縁層30と絶縁層50との間に挟まれるように、コイル40が内蔵されている。コイル40は、第1磁性体層41、絶縁膜42、コイル部43、絶縁層44、絶縁膜45、第2磁性体層46、及び絶縁膜47を有する。
【0016】
第1磁性体層41は、絶縁層30の上面に形成されている。第1磁性体層41は、平面視において、
図1(b)に示すように略矩形状にパターニングされている。第1磁性体層41は、絶縁層30よりも平面視で小さく、コイル部43よりも平面視で大きく、かつ、平面視でコイル部43を内包するように配置されている。第1磁性体層41の大きさは、例えば、膜厚約10μm、平面視で約0.85mm(縦方向:
図1(b)の上下方向)×約2mm(横方向:
図1(b)の左右方向)とすることができる。
【0017】
第1磁性体層41の材料としては、例えば、亜鉛とフェライトの合金(Zn−Fe)を用いることができる。この場合、第1磁性体層41は、例えば、亜鉛とフェライトの合金めっき膜で形成することができる。めっき処理によって形成される亜鉛とフェライトの合金(Zn−Fe)は、比較的高抵抗(100Ω程度)であるため、上側にコイル部43を形成するのに適している。第1磁性体層41の厚さは、例えば、5〜10μm程度とすることができる。
【0018】
絶縁膜42は、絶縁層30の上面外縁部、第1磁性体層41の上面及び側面を連続的に被覆するように形成されている。絶縁膜42の材料としては、例えば、ポリイミド系樹脂やエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁膜42の厚さは、例えば、3〜10μm程度とすることができる。
【0019】
コイル部43は、第1磁性体層41上に絶縁膜42を介して形成されている。コイル部43は、平面視で矩形渦状に巻回された平面状のコイル(平面コイル)であり、一端43A及び他端43Bを有する。コイル部43は、スパイラル型のコイル(インダクタ)と称することもできる。コイル部43の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。この場合、コイル部43は、例えば、銅めっき膜で形成することができる。コイル部43の厚さは、例えば、10〜20μm程度とすることができる。コイル部43は、例えば、ライン/スペース=120μm/20μmとすることができる。
【0020】
本実施の形態では、コイル部43は、一端43Aから時計回りに矩形状に2回巻回されて他端43Bに至っている。このように、本実施の形態では、巻数が2.5巻のコイル部43を示すが、コイル部43の巻数は、用途によって必要になるインダクタンスに合わせて決定すればよい。コイル部43の巻数は、例えば、100巻程度であってもよく、更に多くてもよい。
【0021】
絶縁層44は、絶縁層30上に第1磁性体層41、絶縁膜42、及びコイル部43を覆うように形成されている。絶縁層44は、第1磁性体層41、絶縁膜42、及びコイル部43の形成する凹凸を吸収し、上面が平坦面とされている。なお、ここでいう平坦面とは、絶縁膜42のコイル部43が形成されている面を基準としたときに、絶縁層44の上面の最も高い(厚い)部分と最も低い(薄い)部分との差が1μm以下の面を指すものとする。
【0022】
絶縁層44の材料は、例えば、絶縁層30と同様とすることができる。絶縁層44の厚さは、例えば、40〜55μm程度とすることができる。絶縁層44は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。絶縁層44に磁性体のフィラー(例えば、フェライト系のフィラー等)を含有させると、コイル40のインダクタンスを向上させることができ好適である。なお、絶縁層44は、本発明に係る第2絶縁層の代表的な一例である。
【0023】
絶縁膜45は、絶縁層44の上面に形成されている。絶縁膜45の材料や厚さは、例えば、絶縁膜42と同様とすることができる。絶縁膜45の上面も平坦面である。なお、絶縁層44の上面に直接第2磁性体層46を形成すると、絶縁層44の表面粗さの関係から、第2磁性体層46に安定的な結晶方向が得られない場合がある。又、第2磁性体層46の厚さに平面的な分布が生じて厚さの制御が困難になるような場合がある。そこで、第2磁性体層46の安定的な結晶方向を得るためや、第2磁性体層46の膜厚を均一化するために、絶縁層44より表面粗度の小さな絶縁膜45を設けている。
【0024】
第2磁性体層46は、絶縁層44よりも上層であって、コイル部43上に形成されている。より詳しくは、第2磁性体層46は、略矩形状にパターニングされて絶縁膜45の上面に形成されており、平面視で第1磁性体層41と略重複する位置に形成されている。つまり、コイル部43は、第1磁性体層41及び第2磁性体層46によって上下から挟まれている。但し、第1磁性体層41とは異なり、第2磁性体層46には、開口部46x及び46yが形成されている。開口部46xは、平面視でコイル部43の一端43Aと略重複する位置に形成されており、開口部46yは、平面視でコイル部43の他端43Bと略重複する位置に形成されている。開口部46x及び46yの平面形状は、例えば、矩形状や円形状等とすることができる。第2磁性体層46の材料や厚さ、形成方法は、例えば、第1磁性体層41と同様とすることができる。
【0025】
なお、コイル部43の一端43A及び他端43Bを除く部分のコイル部43は、全て第2磁性体層46に覆われている。本実施の形態では、コイル部43の他端43Bの一部も第2磁性体層46に覆われているが、この部分は必ずしも第2磁性体層46に覆われていなくてもよい。
【0026】
第2磁性体層46の大きさ(開口部46x及び46yも含む)は、例えば、膜厚約10μm、平面視で約0.85mm(縦方向:
図1(b)の上下方向)×約2mm(横方向:
図1(b)の左右方向)とすることができる。なお、コイル部43をライン/スペース=120μm/20μmで巻数2.5とし、第1磁性体層41及び第2磁性体層46を上記寸法例のようにすると、コイル40のインダクタンスを7nH程度とすることができる。
【0027】
絶縁膜47は、絶縁膜45の上面外縁部、開口部46x及び46yの内壁を含む第2磁性体層46の上面及び側面を連続的に被覆するように形成されている。絶縁膜47の材料や厚さは、例えば、絶縁膜42と同様とすることができる。なお、絶縁膜47の表面には微少な凹凸が形成されるため、第2磁性体層46と絶縁層50との密着性を向上できる。
【0028】
絶縁層50は、コイル40上に形成されている。具体的には、絶縁層50は、コイル40を構成する絶縁膜47上に形成されている。絶縁層50の材料や厚さは、例えば、絶縁層30と同様とすることができる。絶縁層50は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。なお、絶縁層50は、第2磁性体層46及び絶縁膜47の形成する凹凸を吸収し、上面が平坦面とされている。
【0029】
配線層60は、配線61、62、及び63を有する。配線61は、絶縁層30、絶縁膜42、絶縁層44、絶縁膜45、絶縁膜47、及び絶縁層50を連続的に貫通し、配線層20の上面を露出するビアホール60x内に充填されたビア配線、及び絶縁層50の上面に形成された配線パターンを含んでいる。配線61は、ビアホール60xの底部に露出した配線層20と電気的に接続されている。ビアホール60xは、絶縁層50側に開口されている開口部の径が配線層20の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大となる逆円錐台状の凹部とされている。
【0030】
配線62は、絶縁層44、絶縁膜45、絶縁膜47、及び絶縁層50を連続的に貫通し、コイル部43の一端43Aの上面を露出するビアホール60y内に充填されたビア配線、及び絶縁層50の上面に形成された配線パターンを含んでいる。配線62は、ビアホール60yの底部に露出したコイル部43の一端43Aと電気的に接続されている。つまり、配線62の配線パターンの部分は、コイル部43の一端43Aに接続される端子として機能する。ビアホール60yは、絶縁層50側に開口されている開口部の径がコイル部43の一端43Aの上面によって形成された開口部の底面の径よりも大となる逆円錐台状の凹部とされている。
【0031】
配線63は、絶縁層44、絶縁膜45、絶縁膜47、及び絶縁層50を連続的に貫通し、コイル部43の他端43Bの上面を露出するビアホール60z内に充填されたビア配線、及び絶縁層50の上面に形成された配線パターンを含んでいる。配線63は、ビアホール60zの底部に露出したコイル部43の他端43Bと電気的に接続されている。つまり、配線63の配線パターンの部分は、コイル部43の他端43Bに接続される端子として機能する。ビアホール60zは、絶縁層50側に開口されている開口部の径がコイル部43の他端43Bの上面によって形成された開口部の底面の径よりも大となる逆円錐台状の凹部とされている。
【0032】
配線層60の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。配線層60を構成する配線61、62、及び63の夫々の配線パターンの厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。
【0033】
絶縁層90は、コア基板10の他方の面に、配線層70を覆うように形成されている。絶縁層90の材料や厚さは、例えば、絶縁層30と同様とすることができる。絶縁層100は、絶縁層90の下面に形成されている。絶縁層100の材料や厚さは、例えば、絶縁層44と同様とすることができる。絶縁層100は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0034】
配線層110は、絶縁層90及び100を連続的に貫通し、配線層70の下面を露出するビアホール100x内に充填されたビア配線、及び絶縁層100の下面に形成された配線パターンを含んでいる。配線層110は、ビアホール100xの底部に露出した配線層70と電気的に接続されている。ビアホール100xは、絶縁層100側に開口されている開口部の径が配線層70の下面によって形成された開口部の底面の径よりも大となる円錐台状の凹部とされている。
【0035】
配線基板1は、例えば、絶縁層50上にCPU及びキャパシタを実装することができる。この場合、配線基板1のコイル40は、CPUに内蔵されるIC及びスイッチング素子並びにキャパシタと電気的に接続され、電源供給回路を構築できる。このようにして、CPUの直近に電源供給回路を配置することができ、電源供給の効率を改善できる。
【0036】
[第1の実施の形態に係る配線基板の製造方法]
次に、第1の実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明する。
図2〜
図5は、第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図である。
【0037】
まず、
図2(a)に示す工程では、一方の面に配線層20が形成され、他方の面に配線層70が形成され、配線層20と配線層70とが貫通電極80を介して電気的に接続されたコア基板10を準備する。そして、コア基板10の一方の面に配線層20を覆うように絶縁層30を積層し、コア基板10の他方の面に配線層70を覆うように絶縁層90を積層する。絶縁層30及び90は、例えば、真空ラミネータで半硬化状態の樹脂フィルムを加熱及び加圧することで、コア基板10の一方の面及び他方の面に積層することができる。樹脂フィルムとしては、例えば、エポキシ系又はポリイミド系等の樹脂製のフィルムを用いることができる。
【0038】
次に、
図2(b)に示す工程では、絶縁層30の上面の外縁部に、例えば、額縁状にマスク300を形成する。マスク300は、例えば、絶縁層30の上面に感光性レジスト材料を塗布し、塗布した感光性レジスト材料をフォトリソグラフィー工程で硬化させることにより形成できる。
【0039】
次に、
図2(c)に示す工程では、絶縁層30の上面のマスク300が形成されていない部分に、第1磁性体層41を形成する。第1磁性体層41は、例えば、スプレーめっき処理によって形成することができる。このスプレーめっき処理は、例えば、Zn−Feめっき液を用いて行うことができる。第1磁性体層41の大きさは、例えば、膜厚約10μm、平面視で約0.85mm(縦方向:
図2(c)を貫通する方向)×約2mm(横方向:
図2(c)の左右方向)とすることができる。
【0040】
第1磁性体層41として用いることのできるZn−Fe合金の組成は、例えば、Zn
0.36−Fe
2.54O
4である。第1磁性体層41として、Zn−Fe合金の代わりに、例えば、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、及びマンガン(Mn)等とフェライト(Fe)との合金を用いてもよい。
【0041】
次に、
図2(d)に示す工程では、
図2(c)に示すマスク300を除去した後、絶縁層30の上面外縁部、第1磁性体層41の上面及び側面を連続的に被覆する絶縁膜42を形成する。マスク300の除去は、例えば、剥離液を用いたエッチング処理によって行うことができる。絶縁膜42の形成は、例えば、ワニス状のポリイミド系樹脂やエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂をスピンコート法で塗布することによって行うことができる。絶縁膜42の厚さは、例えば、3〜10μm程度とすることができる。なお、絶縁膜42の表面には微少な凹凸が形成されるため、第1磁性体層41とコイル部43との密着性を向上できる。
【0042】
次に、
図3(a)に示す工程では、絶縁膜42の上面に、シード層310を形成する。シード層310は、後に上面に電解めっき処理が行われることにより、コイル部43になる種(シード)の部分である。シード層310は、例えば、銅をスパッタリングすることにより形成できる。シード層310は、無電解めっき処理によって銅製の薄膜を形成することによって作製してもよい。シード層310の膜厚は、例えば、0.5〜0.8μm程度とすることができる。
【0043】
次に、
図3(b)に示す工程では、感光性レジスト材料を用いて、シード層310の上面にマスク320を形成する。マスク320は、例えば、シード層310の上面に感光性レジスト材料を塗布し、塗布した感光性レジスト材料をフォトリソグラフィー工程で硬化させることにより形成できる。マスク320は、後に電解めっき処理によってコイル部43を形成する際に用いられる。このため、マスク320は、コイル部43(
図1(b)参照)を形成できるようにパターニングすればよい。
【0044】
次に、
図3(c)に示す工程では、電解めっき処理により、例えば銅製のコイル部43を形成する。電解めっき処理は、シード層310に給電しながら行うことができる。コイル部43の厚さは、例えば、10〜20μm程度とすることができる。例えば、最終製品の配線基板1として残さない部分(後に除去する部分)にもシード層310を形成し、この部分を給電用のパターンとして用いてもよい。
【0045】
次に、
図3(d)に示す工程では、
図3(c)に示すマスク320を除去し、更にコイル部43から露出した部分のシード層310を除去し、コイル部43を露出させる。マスク320は、例えば、剥離液を用いたエッチング処理によって除去することができる。シード層310の除去は、例えば、逆スパッタリング法によって行うことができる。なお、この逆スパッタリング法では、シード層310のうち、コイル部43と絶縁膜42との間に形成された部分は、コイル部43と一体になっているため、除去されずに残存する。なお、
図3(d)以降では、コイル部43と一体になっている部分のシード層310の図示を省略している。
【0046】
このようにして得られるコイル部43は、例えば、ライン/スペース=120μm/20μmであり、巻数2.5である。なお、シード層310の除去は、逆スパッタリング法の代わりに、ウェットエッチング法によって行ってもよい。
【0047】
次に、
図4(a)に示す工程では、絶縁膜42上に、コイル部43を覆うように絶縁層44を形成する。絶縁層44は、例えば、真空ラミネータを用いて形成できる。具体的には、例えば、真空雰囲気中でコイル部43を覆うように半硬化状態の樹脂フィルムを配置し、半硬化状態の樹脂フィルムを加熱しながら絶縁層30側に加圧して硬化させる。これにより、コイル部43の巻線同士の間に形成される隙間部分を埋めて上面が平坦面である絶縁層44が形成される。つまり、絶縁層44の上面は、第1磁性体層41、絶縁膜42、及びコイル部43の形成する凹凸を吸収して平坦面とすることができる。
【0048】
樹脂フィルムとしては、例えば、エポキシ系又はポリイミド系等の樹脂製のフィルムを用いることができる。絶縁層44の厚さは、例えば、40〜55μm程度とすることができる。絶縁層44は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。なお、絶縁層44に磁性体のフィラー(例えば、フェライト系のフィラー等)を含有させると、コイル40のインダクタンスを向上させることができる。
【0049】
次に、
図4(b)に示す工程では、絶縁層44の上面を被覆するように絶縁膜45を形成する。絶縁膜45は、絶縁膜42と同様に、例えば、ワニス状のポリイミド系樹脂やエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂をスピンコート法で塗布することによって行うことができる。絶縁膜45の厚さは、例えば、3〜10μm程度とすることができる。
【0050】
次に、
図4(c)に示す工程では、絶縁膜45の上面の平面視で第1磁性体層41と略重複する位置に、開口部46x及び46yを有する第2磁性体層46を形成する。なお、開口部46xは、平面視でコイル部43の一端43Aと略重複する位置に形成し、開口部46yは、平面視でコイル部43の他端43Bと略重複する位置に形成する。第2磁性体層46を形成するには、まず、
図2(b)に示す工程と同様にして、絶縁膜45の上面に所定形状のマスクを形成する。そして、
図2(c)に示す工程と同様にして、絶縁膜45の上面のマスクが形成されていない部分に、例えば、スプレーめっき処理によって第2磁性体層46を形成する。その後、マスクを除去する。
【0051】
次に、
図5(a)に示す工程では、
図2(d)に示す工程と同様にして、絶縁膜45の上面外縁部、開口部46x及び46yの内壁を含む第2磁性体層46の上面及び側面を連続的に被覆する絶縁膜47を形成する。絶縁膜47は、絶縁膜42と同様に、例えば、ワニス状のポリイミド系樹脂やエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂をスピンコート法で塗布することによって行うことができる。絶縁膜47の厚さは、例えば、3〜10μm程度とすることができる。
図5(a)に示す工程により、絶縁層30の上面にコイル40が形成される。
【0052】
次に、
図5(b)に示す工程では、絶縁膜47の上面に絶縁層50を形成する。又、絶縁層90の下面に絶縁層100を形成する。絶縁層50及び100の形成方法、材料や厚さは、例えば、絶縁層44と同様とすることができる。
【0053】
次に、
図5(c)に示す工程では、絶縁層30、絶縁膜42、絶縁層44、絶縁膜45、絶縁膜47、及び絶縁層50を連続的に貫通し、配線層20の上面を露出するビアホール60xを形成する。又、絶縁層44、絶縁膜45、絶縁膜47、及び絶縁層50を連続的に貫通し、コイル部43の一端43Aの上面を露出するビアホール60yを形成する。又、絶縁層44、絶縁膜45、絶縁膜47、及び絶縁層50を連続的に貫通し、コイル部43の他端43Bの上面を露出するビアホール60zを形成する。又、絶縁層90及び100を連続的に貫通し、配線層70の下面を露出するビアホール100xを形成する。
【0054】
ビアホール60x、60y、60z、及び100xは、例えばCO
2レーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。レーザ加工法により形成した60x、60y、及び60zは、絶縁層50側に開口されている開口部の径が配線層20等の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大となる逆円錐台状の凹部となる。又、レーザ加工法により形成したビアホール100xは、絶縁層100側に開口されている開口部の径が配線層70の下面によって形成された開口部の底面の径よりも大となる円錐台状の凹部となる。
【0055】
図5(c)に示す工程の後、配線61、62、及び63を有する配線層60、並びに、配線層110を形成することで
図1に示す配線基板1が完成する。配線層60を形成するには、まず、無電解めっき法又はスパッタ法により、ビアホール60x、60y、及び60zの内壁面及び底面、絶縁層50の上面を連続的に被覆する銅(Cu)等からなるシード層(図示せず)を形成する。更に、シード層上に配線層60に対応する開口部を備えたレジスト層(図示せず)を形成する。そして、シード層を給電層に利用した電解めっき法により、レジスト層の開口部に銅(Cu)等からなる導電層(図示せず)を形成する。続いて、レジスト層を除去した後に、導電層をマスクにして、導電層に覆われていない部分のシード層をエッチングにより除去する。これにより、シード層及び導電層を含む配線層60が形成される(セミアディティブ法)。配線層110も同様の方法により形成できる。
【0056】
ここで、比較例を示しながら、配線基板1が奏する特有の効果について説明する。
図6は、比較例に係るコイルを例示する部分断面図である。なお、
図6(b)は
図6(a)のBを拡大して例示する図である。
【0057】
図6を参照するに、比較例に係るコイル40Xは、第1の実施の形態に係るコイル40とは異なり、絶縁層44及び絶縁膜45を有していない。コイル40Xにおいて、コイル部43の巻線同士の間に形成される隙間部分は絶縁樹脂48で埋められ、コイル部43及び絶縁樹脂48を覆うように第2磁性体層46及び絶縁膜47が形成されている。コイル部43の巻線同士の間に形成される隙間部分に第2磁性体層46が入り込むと、コイル40Xのインダクタンスが低下してしまう。このような不具合が生じることを抑制するため、コイル部43の巻線同士の間に形成される隙間部分は絶縁樹脂48で穴埋めされている。
【0058】
しかしながら、絶縁樹脂48は、巻線同士の間に形成される隙間部分を含むコイル部43上に、液状又はペースト状の樹脂を塗布後硬化させて形成する。そのため、
図6(b)に示すように、絶縁樹脂48はコイル部43の上面の一部にも形成され、又、巻線同士の間に形成される隙間部分を埋める絶縁樹脂48には凹部が形成される。すなわち、絶縁樹脂48の上面(第2磁性体層46側の面)は平坦面とはならず凹凸面となる。絶縁膜42のコイル部43が形成されている面を基準としたときに、絶縁樹脂48の上面の最も高い(厚い)部分と最も低い(薄い)部分との差は、例えば、5〜10μm程度となる。
【0059】
これにより、絶縁樹脂48上に形成される第2磁性体層46も凹凸形状となるが、この凹凸形状は第2磁性体層46を構成する亜鉛とフェライトの合金(Zn−Fe)等の結晶性に悪影響を与え(結晶の方向が不均一となる)、透磁率等の磁性特性を悪化させる。
【0060】
一方、第1の実施の形態に係る配線基板1に内蔵されるコイル40では、比較例に係るコイル40Xとは異なり、コイル部43の巻線同士の間に形成される隙間部分を埋めるために液状又はペースト状の絶縁樹脂を用いていない。コイル40では、コイル部43の巻線同士の間に形成される隙間部分を埋めると共に、第1磁性体層41及びコイル部43の全体を覆うように絶縁層44を形成し、絶縁層44上に第2磁性体層46を形成している。
【0061】
絶縁層44は、コイル部43を覆うように半硬化状態の樹脂フィルムを配置し、半硬化状態の樹脂フィルムを加熱しながら絶縁層30側に加圧して形成する。そのため、樹脂フィルムがコイル部43の巻線同士の間に形成される隙間部分を埋めて上面が平坦面である絶縁層44が形成される。その結果、絶縁層44に形成される第2磁性体層46は凹凸形状とならないため、第2磁性体層46を構成する亜鉛とフェライトの合金(Zn−Fe)等の結晶性に悪影響を与えず(結晶の方向が均一となる)、透磁率等の磁性特性を良好な値とすることができる。
【0062】
又、第1の実施の形態に係る配線基板1は、以下のような効果も奏する。すなわち、配線基板1は、第1磁性体層41、コイル部43、及び第2磁性体層46を有するコイル40を含む。コイル40の第1磁性体層41、コイル部43、及び第2磁性体層46は、めっき処理で形成できるため、配線基板1の内部に容易に形成することができる。
【0063】
又、コイル部43は、一端43A及び他端43B以外の部分が第1磁性体層41及び第2磁性体層46によって覆われているため、コイル40を小型化しつつコイル40のインダクタンスを向上できる。
【0064】
又、第1磁性体層41及び第2磁性体層46で高インダクタンスを実現したコイル40を配線基板1の内部に、通常の配線基板を作製する場合と同様の工程で作製できるので、配線基板の製造コストを低減できる。
【0065】
又、コイル40のコイル部43は、第1磁性体層41及び第2磁性体層46によって挟まれていてノイズ耐性が高いため、周囲の配線等に与える影響が極めて低く、周辺回路の設計における自由度を向上できる。
【0066】
〈第1の実施の形態の変形例〉
第1の実施の形態の変形例では、配線基板1に更に絶縁膜を追加する例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する。
【0067】
図7は、第1の実施の形態の変形例に係る配線基板を例示する断面図であり、
図1(a)に対応する断面を示している。なお、平面図は
図1(b)と同様であるため、図示を省略する。
【0068】
図7を参照するに、配線基板1Aは、コイル40がコイル40Aに置換されている点が配線基板1(
図1参照)と相違する。コイル40Aは、コイル40に絶縁膜49を追加したものである。絶縁膜49は、絶縁層30の上面に形成されている。又、絶縁膜49の上面には、第1磁性体層41及び絶縁膜42が形成されている。言い換えれば、絶縁膜49は、絶縁層30と第1磁性体層41及び絶縁膜42との間に形成されている。絶縁膜49の形成方法、材料や厚さは、例えば、絶縁膜42と同様とすることができる。
【0069】
このように、絶縁層30と第1磁性体層41との間に絶縁膜49を形成してもよい。例えば、配線基板1のように絶縁層30上に直接第1磁性体層41を形成すると、絶縁層30の表面粗さの関係から、第1磁性体層41に安定的な結晶方向が得られない場合がある。又、第1磁性体層41の厚さに平面的な分布が生じて厚さの制御が困難になるような場合がある。このような場合に、絶縁層30より表面粗度の小さな絶縁膜49を形成すると好適である。
【0070】
以上、好ましい実施の形態及びその変形例について詳説したが、上述した実施の形態及びその変形例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及びその変形例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0071】
例えば、上記実施の形態及びその変形例では、配線基板1がビルドアップ基板である形態について説明したが、配線基板1はビルドアップ基板には限定されない。すなわち、絶縁層と配線層とを積層した基板であれば、配線基板1はどのような基板であってもよい。
【0072】
又、上記実施の形態及びその変形例では、配線基板1が所謂コア基板付きのビルドアップ基板である形態について説明したが、配線基板1は、コア基板を含まない所謂コアレスのビルドアップ基板であってもよい。
【0073】
又、上記実施の形態及びその変形例では、コイル40の一端43A及び他端43Bが配線基板1の上方向にある配線62及び63に接続される形態について説明した。しかしながら、一端43A及び他端43Bは、必ずしも配線基板1の上方向にある配線に接続されなくてもよい。例えば、一端43A又は他端43Bの少なくとも一方を配線層を介して、配線基板1の横方向に引き出してもよい。
【0074】
又、上記実施の形態及びその変形例では、コイル40のコイル部43の下面側に平面視でコイル部43よりも大きな第1磁性体層41があり、コイル部43の上面側に一端43A及び他端43B以外を被覆する第2磁性体層46を設ける形態について説明した。しかしながら、第2磁性体層46は、一端43A及び他端43B以外の部分を露出してもよく、第1磁性体層41は、コイル部43の下面の一部を露出してもよい。例えば、他の配線等との関係で、第1磁性体層41又は46を形成するスペースを十分に確保できない場合は、コイル部43の一部を露出するようにしてもよい。