【課題】基板の両面に対して同時に配線層を形成する方法において、基板の一方の面には微細な配線が形成可能な構造、他方の面には微細な配線には対応していないが安価である構造を形成することができる配線基板の製造方法を提供する。
【解決手段】コア基板32の一方の面側に第1絶縁層64と第1保護層66とを積層、コア基板32の他方の面側に第2絶縁層60と第2保護層62とを積層、第1絶縁層64と第1保護層66に第1開口68を形成、第2絶縁層60と第2保護層62に第2開口70を形成、第2保護層62を剥離、第1保護膜66上及び第1開口68の内壁に第1導電層72を形成、第2絶縁層60上及び第2開口70の内壁に第2導電層74を形成、第1保護層66を第1導電層72と共に除去、第1絶縁層64上及び第1開口68の内壁に第3導電層76を形成、第3導電層上に第1配線層86を形成、第2導電層74上に第2配線層88を形成する。
コア基板の一方の面側に、積層された第1の絶縁層と第1の保護層とを前記第1の絶縁膜が前記コア基板と対向するように積層し、前記コア基板の他方の面側に、積層された第2の絶縁層と第2の保護層とを前記第2の絶縁膜が前記コア基板と対向するように積層する第1の工程と、
前記第1の絶縁層と前記第1の保護層に第1の開口を形成し、前記第2の絶縁層と前記第2の保護層に第2の開口を形成する第2の工程と、
前記第2の保護層を剥離する第3の工程と、
前記第1の開口の内壁、前記第2の絶縁層上及び前記第2の開口の内壁を同時に粗化する第4の工程と、
前記第1の保護膜上及び前記第1の開口の内壁に第1の導電層を形成し、同時に、前記第2の絶縁層上及び前記第2の開口の内壁に第2の導電層を形成する第5の工程と、
前記第1の保護層を、前記第1の保護層上に形成された前記第1の導電層と共に除去する第6の工程と、
ドライプロセスにより、前記第1の絶縁層上及び前記第1の開口の内壁に第3の導電層を形成する第7の工程と、
電解めっきにより、前記第3の導電層を給電層として、前記第3の導電層上に第1の配線層を形成し、同時に、前記第2の導電層を給電層として、前記第2の導電層上に第2の配線層を形成する第8の工程と
を有することを特徴とする配線基板の製造方法。
コア基板の一方の面側に、積層された第1の絶縁層と第1の保護層とを前記第1の絶縁膜が前記コア基板と対向するように積層し、前記コア基板の他方の面側に、積層された第2の絶縁層と第2の保護層とを前記第2の絶縁膜が前記コア基板と対向するように積層する第1の工程と、
前記第2の保護層を剥離する第2の工程と、
前記第1の絶縁層と前記第1の保護層に第1の開口を形成し、前記第2の絶縁層に第2の開口を形成する第3の工程と、
前記第1の開口の内壁、前記第2の絶縁層上及び前記第2の開口の内壁を同時に粗化する第4の工程と、
前記第1の保護膜上及び前記第1の開口の内壁に第1の導電層を形成し、同時に、前記第2の絶縁層上及び前記第2の開口の内壁に第2の導電層を形成する第5の工程と、
前記第1の保護層を、前記第1の保護層上に形成された前記第1の導電層と共に除去する第6の工程と、
ドライプロセスにより、前記第1の絶縁層上及び前記第1の開口の内壁に第3の導電層を形成する第7の工程と、
電解めっきにより、前記第3の導電層を給電層として、前記第3の導電層上に第1の配線層を形成し、同時に、前記第2の導電層を給電層として、前記第2の導電層上に第2の配線層を形成する第8の工程と
を有することを特徴とする配線基板の製造方法。
コア基板の一方の面側に、積層された第1の絶縁層と第1の導電層と第1の保護層とを前記第1の絶縁膜が前記コア基板と対向するように積層し、前記コア基板の他方の面側に、積層された第2の絶縁層と第2の保護層とを前記第2の絶縁膜が前記コア基板と対向するように積層する第1の工程と、
前記第1の絶縁層と前記第1の導電層と前記第1の保護層に第1の開口を形成し、前記第2の絶縁層と前記第2の保護層に第2の開口を形成する第2の工程と、
前記第2の保護層を剥離する第3の工程と、
前記第1の開口の内壁、前記第2の絶縁層上及び前記第2の開口の内壁を同時に粗化する第4の工程と、
前記第1の保護膜上及び前記第1の開口の内壁に第2の導電層を形成し、同時に、前記第2の絶縁層上及び前記第2の開口の内壁に第3の導電層を形成する第5の工程と、
前記第1の保護層を、前記第1の保護層上に形成された前記第2の導電層と共に除去する第6の工程と、
電解めっきにより、前記第1の導電層及び前記第1の開口の内壁に形成された前記第2の導電層を給電層として、前記第1の導電層上及び前記第2の導電層上に第1の配線層を形成し、同時に、前記第3の導電層を給電層として、前記第3の導電層上に第2の配線層を形成する第7の工程と
を有することを特徴とする配線基板の製造方法。
コア基板の一方の面側に、積層された第1の絶縁層と第1の導電層と第1の保護層とを前記第1の絶縁膜が前記コア基板と対向するように積層し、前記コア基板の他方の面側に、積層された第2の絶縁層と第2の保護層とを前記第2の絶縁膜が前記コア基板と対向するように積層する第1の工程と、
前記第2の保護層を剥離する第2の工程と、
前記第1の絶縁層と前記第1の導電層と前記第1の保護層に第1の開口を形成し、前記第2の絶縁層に第2の開口を形成する第3の工程と、
前記第1の開口の内壁、前記第2の絶縁層上及び前記第2の開口の内壁を同時に粗化する第4の工程と、
前記第1の保護膜上及び前記第1の開口の内壁に第2の導電層を形成し、同時に、前記第2の絶縁層上及び前記第2の開口の内壁に第3の導電層を形成する第5の工程と、
前記第1の保護層を、前記第1の保護層上に形成された前記第2の導電層と共に除去する第6の工程と、
電解めっきにより、前記第1の導電層及び前記第1の開口の内壁に形成された前記第2の導電層を給電層として、前記第1の導電層上及び前記第2の導電層上に第1の配線層を形成し、同時に、前記第3の導電層を給電層として、前記第3の導電層上に第2の配線層を形成する第7の工程と
を有することを特徴とする配線基板の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
(配線基板)
第1実施形態による配線基板について
図1を用いて説明する。
図1は本実施形態による配線基板に半導体チップを搭載した状態の断面図である。
【0015】
本実施形態の配線基板10は、
図1に示すように、樹脂により形成されたコア基板12を有する。コア基板12は、例えば、約100〜400μm厚である。
【0016】
コア基板12を形成する樹脂としては、紙フェノール基板、紙エポキシ基板、ガラエポキシ基板、ガラスコンポジット基板、フレキシブル材等を使用することができる。
【0017】
コア基板12には複数の貫通電極14が形成されている。貫通電極14は、例えば、中心に樹脂14aが充填され、樹脂14aの周囲及び両端に導電層14b、14c、14dが形成されている。貫通電極14は、例えば、約100〜200μm径である。
【0018】
樹脂14aは、例えば、UV硬化インク、熱硬化性樹脂、導電性樹脂、金属により形成されている。樹脂14aは、例えば、約80〜180μm径である。
【0019】
導電層14b、14c、14dは、例えば、銅により形成されている。導電層14b、14c、14dは、それぞれ、例えば、約5〜15μm厚である。
【0020】
コア基板12の上側の面には、絶縁層16と配線層18が交互に積層され、コア基板12の下側の面には、絶縁層17と配線層19とが交互に積層されている。
【0021】
絶縁層16、17は、例えば、エポキシ、ポリイミド等を使用することができる。絶縁層16、17は、例えば、約20〜70μm厚である。
【0022】
配線層18、19は、例えば、銅により形成されている。配線層18、19は、例えば、約5〜15μm厚である。
【0023】
本実施形態の配線基板10は、上側の面に半導体チップ28が搭載され、下側の面を介して他の配線基板(図示せず)に搭載される。
【0024】
配線基板10の上側の面の配線層18は、半導体チップ28の接続端子(図示せず)に接続するために微細であることが要求される。それに対し、配線基板10の下側の面の配線層19は、他の配線基板(図示せず)に接続するので、上側の面の配線層18ほど微細ではない。
【0025】
このように、本実施形態の配線基板10は、上側の面と下側の面とで、配線層18、19の微細度が異なる。
【0026】
コア基板12の上下両面の最外層の絶縁層16、17と配線層18、19は、ソルダレジスト層20、21により被覆されている。ソルダレジスト層20には、配線層18に達する開口20aが形成されている。ソルダレジスト層21には、配線層19に達する開口21aが形成されている。ソルダレジスト層20、21は、例えば、約10〜30μm厚である。
【0027】
配線基板10の上側の面のソルダレジスト層20の開口20aには、半導体チップ28に接続するためのバンプ(接続端子)22が形成されている。配線基板10の下側の面のソルダレジスト層21の開口21aには、他の配線基板(図示せず)に接続するためのバンプ(接続端子)24が形成されている。バンプ(接続端子)22及びバンプ(接続端子)24は、例えば、はんだにより形成されている。
【0028】
配線基板10の上側の面には半導体チップ28が搭載され、バンプ(接続端子)22により電気的に接続されている。配線基板10と半導体チップ28との間にはアンダーフィル樹脂26が充填されている。
【0029】
(配線基板の製造方法)
第1実施形態による配線基板の製造方法について
図2乃至
図12を用いて説明する。
図2乃至4及び
図6乃至
図12は第1実施形態による配線基板の製造方法を示す工程断面図である。
図5は第1実施形態による配線基板の製造方法で使用する層間絶縁材料を示す図である。
【0030】
まず、配線基板のコア基板となる銅張積層板30を用意する(
図2(a))。銅張積層板30は、コア基板32の両面に導電層34、36が張り付けられた積層板である。
【0031】
コア基板32は、例えば、ガラス繊維から作ったガラスクロスに、エポキシ等の樹脂を主成分とするワニスを含浸させたものである。コア基板32は、例えば、約200μm厚である。
【0032】
導電層34、36は、例えば、銅により形成されている。導電層34、36は、例えば、約10〜20μm厚である。
【0033】
次に、銅張積層板30に、例えば、ドリル加工により、貫通電極用の開口38を形成する(
図2(b))。開口38は、例えば、約100〜200μm径である。
【0034】
続いて、開口38が形成された銅張積層板30に対して、デスミア処理を行う。ドリル加工により銅張積層板30に開口38を形成すると、開口38の内壁にドリル加工により溶けた樹脂(スミア)が残るので、このスミアをデスミア処理により除去する。
【0035】
デスミア処理として、ウエットデスミア処理又はドライデスミア処理が可能である。
【0036】
ウエットデスミア処理では、例えば、過マンガン酸カリウム溶液等の薬液に、60℃〜80℃の処理温度で、10〜30分間、被処理物を浸漬させる。
【0037】
ドライデスミア処理では、プラズマ装置(図示せず)に、例えば、酸素(O
2)と四フッ化炭素(CF
4)の混合ガスを導入してプラズマを発生させ、1〜10分間、被処理物をプラズマ中に曝す。
【0038】
次に、開口38が形成された銅張積層板30に導電層40を形成する。銅張積層板30の上面及び下面上並びに開口38の内壁に、無電解めっきの後に電解めっきを施すことにより導電層40を形成する(
図2(c))。導電層40は、例えば、無電解銅めっき及び電解銅めっきによる銅層である。導電層40は、例えば、約0.5〜1.5μm厚である。
【0039】
次に、導電層40が形成された銅張積層板30の開口38内に樹脂42を充填する(
図3(a))。樹脂42は、例えば、UV硬化インク、熱硬化性樹脂、導電性樹脂、金属等である。
【0040】
銅張積層板30の開口38内の導電層40及び樹脂42が、コア基板32の上面と下面とを電気的に接続する貫通電極43となる。
【0041】
続いて、樹脂42が充填された銅張積層板30に対して、デスミア処理を行う。このデスミア処理により、貫通電極43の樹脂42上面及び下面を粗化する。
【0042】
デスミア処理としては、上述したような、ウエットデスミア処理又はドライデスミア処理が可能である。
【0043】
次に、樹脂42が充填された銅張積層板30に導電層46を形成する。銅張積層板30の上面及び下面上に、無電解めっきの後に電解めっきを施すことにより導電層46を形成する(
図3(b))。導電層46は、例えば、無電解銅めっき及び電解銅めっきによる銅層である。導電層46は、例えば、約0.5〜1.5μm厚である。
【0044】
次に、銅張積層板30の上面及び下面の導電層46上に、感光性樹脂フィルム48を貼り付ける。感光性樹脂フィルム48は、例えば、光硬化性レジスト、化学増幅型レジスト等のフィルムである。感光性樹脂フィルム48は、例えば、約10〜25μm厚である。
【0045】
続いて、感光性樹脂フィルム48を露光、現像することにより、所定の形状にパターニングする(
図3(c))。
【0046】
次に、パターニングされた感光性樹脂フィルム48をマスクとして、導電層46、40及び導電層34、36をエッチングして、所定の形状にパターニングする(
図4(a))。
【0047】
次に、感光性樹脂フィルム48を除去する。このようにしてコア基板32の上面及び下面に、所定の形状にパターニングされた導電層34、36、40、46が形成される(
図4(b))。
【0048】
パターニングされた導電層34、40、46のうちのコア基板32の上面側に位置する部分は、コア基板32の貫通電極43に直接接続される、上面側の最下層の配線層50となる。
【0049】
パターニングされた導電層36、40、46のうちのコア基板32の下面側に位置する部分は、コア基板32の貫通電極43に直接接続される、下面側の最下層の配線層51となる。
【0050】
次に、
図5に示すように、保護層52に絶縁層54と保護フィルム56とが積層された三層構造の層間絶縁材料58を用意する。層間絶縁材料58は、ロール59に巻かれて提供されている。
【0051】
保護層52は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタラート:Polyethylene terephthalate)である。絶縁層54は、例えば、ABF(Ajinomoto Build-Up Film)である。保護フィルム56は、例えば、ORP(延伸ポリプロピレン:oriented polypropylene)である。
【0052】
本実施形態では、絶縁層54の厚さの異なる複数種類の層間絶縁材料58を用意する。保護層52は、例えば、約30〜40μm厚である。絶縁層54は、例えば、約20〜70μm厚である。保護フィルム56は、例えば、約10〜20μm厚である。
【0053】
次に、三層構造の層間絶縁材料58から保護フィルム56を剥がして、コア基板32の下面に、絶縁層54と保護層52とを仮付けする。絶縁層54は、例えば、約40μm厚である。また、コア基板32の上面に、絶縁層54と保護層52とを仮付けする。絶縁層54は、例えば、約40μm厚である(
図6(a))。
【0054】
なお、コア基板32の下面とコア基板32の上面への絶縁層54と保護層52の仮付けは、片面ずつ行ってもよいし、両面同時に行ってもよい。
【0055】
続いて、
図6(a)に示すように、例えば、真空ラミネーターを用いて、コア基板32を加圧、加熱すると、コア基板32の上面側の配線層50上に絶縁層64と保護層66とが積層され、下面側の配線層51上に絶縁層60と保護層62とが積層される(
図6(b))。
【0056】
次に、上面側の絶縁層64と保護層66に、例えば、レーザ加工により、配線層50に達する開口68を形成する(
図7(a))。開口68はテーパー形状であり、その底部は、例えば、約10〜50μm径である。
【0057】
このように保護膜66上からレーザ加工により保護膜66と絶縁層64に開口68を形成すると、保護膜66を剥がしてからレーザ加工により絶縁層64に開口68を形成する場合よりも、小さな径の開口68を形成することができる。
【0058】
同様に、下面側の絶縁層60と保護層62に、例えば、レーザ加工により、配線層51に達する開口70を形成する(
図7(a))。開口70はテーパー形状であり、その底部は、例えば、約10〜50μm径である。
【0059】
このように保護膜62上からレーザ加工により保護膜62と絶縁層60に開口70を形成すると、保護膜62を剥がしてからレーザ加工により絶縁層60に開口70を形成する場合よりも、小さな径の開口70を形成することができる。
【0060】
次に、下面側の保護層62を剥離する(
図7(b))。例えば、自動フィルムピーラーを用いて保護層62を剥離する。または、作業者が手により保護層62を剥離する。
【0061】
続いて、デスミア処理を行う。デスミア処理としては、上述したような、ウエットデスミア処理又はドライデスミア処理が可能である。
【0062】
これにより、レーザ加工により生じたスミア(樹脂残渣)を除去すると共に、下面側の絶縁層60の表面、及び開口70の内壁を粗化する。また、上面側の開口68の内壁を粗化する。上面側の絶縁層64の表面は、保護層66で覆われているので粗化されない。
【0063】
なお、上記実施形態では、上面側の絶縁層64と保護層66に開口68を形成し、下面側の絶縁層60と保護層62に開口70を形成した後に、下面側の保護層62を剥離している。
【0064】
しかしながら、下面側の保護層62を剥離した後に、上面側の絶縁層64と保護層66に開口68を形成し、下面側の絶縁層60に開口70を形成するようにしてもよい。
【0065】
次に、無電解めっきにより導電層72、74を形成する(
図8(a))。上面側の保護層66上と開口68内壁に導電層72を形成し、下面側の絶縁層60上と開口70内壁に導電層74を形成する。導電層72、74は、例えば、無電解銅めっきによる銅層である。導電層72、74は、例えば、約0.5〜1.5μm厚である。
【0066】
次に、上面側の保護層66を剥離して絶縁層64を露出させる(
図8(b))。例えば、自動フィルムピーラーを用いて保護層66を剥離する。または、作業者が手により保護層66を剥離する。保護層66と共に、保護層66上に形成された導電層72も剥離されるが、開口68内壁の導電層72は剥離されない。
【0067】
次に、上面側の絶縁層64上及び開口68内壁の導電層72上に、例えば、スパッタリング技術により、シード層76を形成する(
図9(a))。下面側には、シード層である導電層74があるので、更にシード層を形成することはない。スパッタリング技術により、上面側の微細な段差をシード層76で良好に被覆することができる。シード層76は、例えば、銅をターゲットとしたスパッタリング技術による銅層である。シード層76は、例えば、約0.1〜0.5μm厚である。
【0068】
なお、シード層76を形成する方法としては上記のスパッタリング技術に限らない。真空蒸着やイオンプレーティング等の他のドライプロセスによりシード層76を形成してもよい。
【0069】
次に、上面側及び下面側に、感光性ドライフィルムレジストのレジスト層78、80をそれぞれ積層する。ドライフィルムレジスト層78、80は、例えば、約10〜25μm厚である。
【0070】
続いて、レジスト層78、80に対して、2層目の配線層を形成するための所定のパターンを露光し、その後、現像する。これにより、レジスト層78、80が所定のパターンにパターニングされる(
図9(b))。
【0071】
次に、電解めっきにより、上面側及び下面側に、導電層82、84を形成する(
図10(a))。パターニングされたレジスト層78、80をマスクとして、上面側はシード層76を給電層として導電層82が電解めっきされ、下面側は導電層74を給電層として導電層84が電解めっきされる。導電層82、84は、例えば、電解銅めっきによる銅層である。導電層82、84は、例えば、約5〜15μm厚である。
【0072】
下面側は、粗化された導電層74を給電層として導電層84が電解めっきされる。導電層74は粗化されているので、微細なパターンの導電層84の形成には適していない。
【0073】
一方、上面側は、スパッタリングにより形成されたシード層76を給電層として導電層82を電解めっきするので、微細なパターンの導電層82を形成することができる。
【0074】
次に、上面側及び下面側のレジスト層78、80を剥離する(
図10(b))。
【0075】
次に、レジスト層78、80の剥離により、絶縁層60、64上に露出したシード層76、導電層74を、例えば、フラッシュエッチングにより、除去する(
図11(a))。
【0076】
その結果、上述したセミアディティブ工法により、コア基板32の上面側及び下面側に、それぞれ、2層目の配線層86、88が形成される(
図11(a))。
【0077】
上面側の配線層86は、半導体チップ28の接続端子(図示せず)に接続するために微細であることが要求される。それに対し、下面側の配線層88は、他の配線基板(図示せず)に接続するので、上面側の配線層86ほど微細ではない。
【0078】
次に、上面側及び下面側に3層目の配線層を形成するために、
図5に示す三層構造の層間絶縁材料58から保護フィルム56を剥がして、上面側に、絶縁層90と保護層92とを仮付けする。絶縁層90は、例えば、約30μm厚である。また、下面側に、絶縁層94と保護層96とを仮付けする。絶縁層94は、例えば、約30μm厚である(
図11(b))。
【0079】
続いて、
図11(b)に示すように、例えば、真空ラミネーターを用いて、コア基板32を加圧、加熱すると、コア基板32の上面側の配線層86上に絶縁層90と保護層92とが積層され、下面側の配線層88上に絶縁層94と保護層96とが積層される(
図12(b))。
【0080】
次に、上面側の絶縁層90と保護層92に、例えば、レーザ加工により、配線層86に達する開口98を形成する(
図12(b))。開口98はテーパー形状であり、その底部は、例えば、約10〜50μm径である。
【0081】
同様に、下面側の絶縁層94と保護層96に、例えば、レーザ加工により、配線層88に達する開口100を形成する(
図12(b))。開口100はテーパー形状であり、その底部は、例えば、約10〜50μm径である。
【0082】
図12(b)の工程は、
図7(a)の工程に対応する。
図12(b)の工程以降、
図7(b)から
図11(a)と同様の工程を繰り返し、3層目の配線層を形成する。
【0083】
以降、上記した工程を繰り返し、必要に応じて、上述したセミアディティブ工法により、4層目、5層目、・・・の配線層を形成する。
【0084】
このようにして、基板の両面に対して同時に配線層を形成するプロセスを大きく変更することなく、配線基板の、半導体チップが搭載される側の面と、他の配線基板に接続される側の面とで、微細度の異なる配線層を形成することができる。
【0085】
[第2実施形態]
(配線基板の製造方法)
第2実施形態による配線基板の製造方法について
図13乃至
図20を用いて説明する。
図13は第2実施形態による配線基板の製造方法で使用する層間絶縁材料を示す図である。
図14乃至
図20は第2実施形態による配線基板の製造方法を示す工程断面図である。
【0086】
本実施形態では、第1実施形態と同様に、上側の面と下側の面とで、配線層の微細度が異なる配線基板を製造する。
【0087】
まず、第1実施形態と同様にして、
図2(a)乃至
図4(c)の工程を順次実行し、コア基板32の上面及び下面に、所定の形状にパターニングされた導電層34、36、40、46を形成する。
【0088】
パターニングされた導電層34、40、46のうちのコア基板32の上面側に位置する部分は、コア基板32の貫通電極43に直接接続される、上面側の最下層の配線層50となる。
【0089】
パターニングされた導電層36、40、46のうちのコア基板32の下面側に位置する部分は、コア基板32の貫通電極43に直接接続される、下面側の最下層の配線層51となる。
【0090】
次に、
図13に示すように、保護層102に転写銅層104と絶縁層106と保護フィルム108とが積層された四層構造の転写銅層付き層間絶縁材料110を用意する。転写銅付き層間絶縁材料110は、ロール111に巻かれて提供されている。
【0091】
保護層102は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタラート:Polyethylene terephthalate)である。絶縁層106は、例えば、ABF(Ajinomoto Build-Up Film)である。保護フィルム108は、例えば、ORP(延伸ポリプロピレン:oriented polypropylene)である。
【0092】
保護層102は、例えば、約30〜40μm厚である。転写銅層104は、例えば、約0.5〜1.5μm厚である。絶縁層106は、例えば、約20〜50μm厚である。保護フィルム108は、例えば、約10〜20μm厚である。
【0093】
また、
図5に示すように、保護層52に絶縁層54と保護フィルム56とが積層された三層構造の層間絶縁材料58を用意する。層間絶縁材料58は、ロール59に巻かれて提供されている。
【0094】
次に、
図5に示す、三層構造の層間絶縁材料58から保護フィルム56を剥がして、コア基板32の下面に、絶縁層54と保護層52とを仮付けする(
図14(a))。絶縁層54は、例えば、約40μm厚である。
【0095】
また、
図13に示す、四層構造の層間絶縁材料110から保護フィルム108を剥がして、コア基板32の上面に、絶縁層106と転写銅層104と保護層102とを仮付けする(
図14(a))。絶縁層106は、例えば、約40μm厚である。
【0096】
なお、コア基板32の下面への絶縁層54と保護層52の仮付けと、コア基板32の上面への絶縁層106と転写銅層104と保護層102の仮付けは、片面ずつ行ってもよいし、両面同時に行ってもよい。
【0097】
続いて、
図14(a)に示すように、例えば、真空ラミネーターを用いて、コア基板32を加圧、加熱すると、コア基板32の上面側の配線層50上に絶縁層116と転写銅層118と保護層120とが積層され、下面側の配線層51上に絶縁層112と保護層114とが積層される(
図14(b))。
【0098】
次に、上面側の絶縁層116と転写銅層118と保護層120に、例えば、レーザ加工により、配線層50に達する開口122を形成する(
図15(a))。開口122はテーパー形状であり、その底部は、例えば、約10〜50μm径である。
【0099】
このように保護膜120上からレーザ加工により保護膜120と転写銅層118と絶縁層116に開口122を形成すると、保護膜120を剥がしてからレーザ加工により転写銅層118と絶縁層116に開口122を形成する場合よりも、小さな径の開口122を形成することができる。
【0100】
同様に、下面側の絶縁層112と保護層114に、例えば、レーザ加工により、配線層51に達する開口124を形成する(
図15(a))。開口124はテーパー形状であり、その底部は、例えば、約10〜50μm径である。
【0101】
このように保護膜112上からレーザ加工により保護膜114と絶縁層113に開口124を形成すると、保護膜112を剥がしてからレーザ加工により絶縁層113に開口124を形成する場合よりも、小さな径の開口124を形成することができる。
【0102】
次に、下面側の保護層114を剥離する(
図15(b))。例えば、自動フィルムピーラーを用いて保護層114を剥離する。または、作業者が手により保護層114を剥離する。
【0103】
続いて、デスミア処理を行う。デスミア処理としては、上述したような、ウエットデスミア処理又はドライデスミア処理が可能である。
【0104】
これにより、レーザ加工により生じたスミア(樹脂残渣)を除去すると共に、下面側の絶縁層112の表面、及び開口124の内壁を粗化する。また、上面側の開口122の内壁を粗化する。上面側の絶縁層116の表面は、転写銅層118と保護層120で覆われているので粗化されない。
【0105】
なお、上記実施形態では、上面側の絶縁層116と転写銅層118と保護層120に開口122を形成し、下面側の絶縁層112と保護層114に開口124を形成した後に、下面側の保護層114を剥離している。
【0106】
しかしながら、下面側の保護層114を剥離した後に、上面側の絶縁層116と転写銅層118と保護層120に開口122を形成し、下面側の絶縁層112に開口124を形成するようにしてもよい。
【0107】
次に、無電解めっきにより導電層126、128を形成する(
図16(a))。上面側の保護層120上と開口122内壁に導電層126を形成し、下面側の絶縁層112上と開口124内壁に導電層128を形成する。導電層126、128は、例えば、無電解銅めっきによる銅層である。導電層126、128は、例えば、約0.5〜1.5μm厚である。
【0108】
次に、上面側の保護層120を剥離して転写銅層118を露出させる(
図16(b))。例えば、自動フィルムピーラーを用いて保護層120を剥離する。または、作業者が手により保護層120を剥離する。
【0109】
保護層120と共に、保護層120上及び保護層120の側面である開口122内壁に形成された導電層126も剥離されるが、絶縁層116の側面である開口122内壁に形成された導電層126は剥離されない。その結果、上面側には、転写銅層118と、開口122内壁に形成された導電層126とが残存する(
図16(b))。
【0110】
次に、上面側及び下面側に、感光性ドライフィルムレジストのレジスト層129、130をそれぞれ積層する。レジスト層129、130は、例えば、約10〜25μm厚である。
【0111】
続いて、レジスト層129、130に対して、2層目の配線層を形成するための所定のパターンを露光し、その後、現像する。これにより、レジスト層129、130が所定のパターンにパターニングされる(
図17(a))。
【0112】
次に、電解めっきにより、上面側及び下面側に、導電層132、134を形成する(
図17(b))。パターニングされたレジスト層129、130をマスクとして、上面側は転写銅層118と導電層126を給電層として導電層132が電解めっきされ、下面側は導電層128を給電層として導電層134が電解めっきされる。導電層132、134は、例えば、電解銅めっきによる銅層である。導電層132、134は、例えば、約5〜15μm厚である。
【0113】
下面側は、粗化された導電層128を給電層として導電層134が電解めっきされる。導電層128は粗化されているので、微細なパターンの導電層134の形成には適していない。
【0114】
一方、上面側は、転写銅層118を給電層として導電層132を電解めっきする。転写銅層118は、四層構造の層間絶縁材料110として提供されるものであるので、微細なパターンの導電層132を形成することができる。
【0115】
次に、上面側及び下面側のレジスト層129、130を剥離する(
図18(a))。
【0116】
次に、レジスト層129、130の剥離により、絶縁層116、112上に露出した転写銅層118、導電層128を、例えば、フラッシュエッチングにより、除去する(
図18(b))。
【0117】
その結果、上述したセミアディティブ工法により、コア基板32の上面側及び下面側に、それぞれ、2層目の配線層136、138が形成される(
図18(b))。上面側の配線層136は、半導体チップ28の接続端子(図示せず)に接続するために微細であることが要求される。それに対し、下面側の配線層138は、他の配線基板(図示せず)に接続するので、上面側の配線層136ほど微細ではない。
【0118】
次に、上面側及び下面側に3層目の配線層を形成するために、
図5に示す、三層構造の層間絶縁材料58から保護フィルム56を剥がして、コア基板32の下面に、絶縁層140と保護層142とを仮付けする(
図19(a))。絶縁層140は、例えば、約30μm厚である。
【0119】
また、
図13に示す、四層構造の層間絶縁材料110から保護フィルム108を剥がして、コア基板32の上面に、絶縁層144と転写銅層146と保護層148とを仮付けする(
図19(a))。絶縁層144は、例えば、約30μm厚である。
【0120】
続いて、
図19(a)に示すように、例えば、真空ラミネーターを用いて、コア基板32を加圧、加熱すると、コア基板32の上面側の配線層136上に絶縁層144と転写銅層146と保護層148とが積層され、下面側の配線層138上に絶縁層140と保護層142とが積層される(
図19(b))。
【0121】
次に、上面側の絶縁層144と転写銅層146と保護層148に、例えば、レーザ加工により、配線層136に達する開口150を形成する(
図20)。開口150はテーパー形状であり、その底部は、例えば、約10〜50μm径である。同様に、下面側の絶縁層140と保護層142に、例えば、レーザ加工により、配線層138に達する開口152を形成する(
図20)。開口152はテーパー形状であり、その底部は、例えば、約10〜50μm径である。
【0122】
図20の工程は、
図15(a)の工程に対応する。
【0123】
以降、上記した工程を繰り返し、必要に応じて、上述したセミアディティブ工法により、4層目、5層目、・・・の配線層を形成する。
【0124】
このようにして、基板の両面に対して同時に配線層を形成するプロセスを大きく変更することなく、配線基板の、半導体チップが搭載される側の面と、他の配線基板に接続される側の面とで、微細度の異なる配線層を形成することができる。
【0125】
[変形実施形態]
上記実施形態は一例であって、必要に応じて種々の変形が可能である。
【0126】
例えば、上記実施形態では、セミアディティブ工法により配線層を形成したが、フルアディティブ工法や、サブトラクティブ工法により配線層を形成してもよい。
【0127】
また、配線基板としては、両面にパターンがある両面基板、絶縁層と配線層を積み重ねた多層配線基板、半導体チップと回路基板の間を中継するインターポーザ等のあらゆる種類の配線基板であってもよい。
【0128】
また、配線基板としては、樹脂からなる絶縁層やコア基板を用いたビルドアップ基板に限らず、他の態様の各種配線基板であってもよい。
【0129】
また、上記実施形態は、配線基板がはんだバンプを介してマザーボード等の他の基板と接続されているが、配線基板を他のマザーボード等に他の基板に接続する方法としては、ピン接触や、ワイヤボンディング等の他の方法でもよい。
【0130】
以上、好適な実施形態について詳述したが、これら特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形や変更が可能である。