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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-69162(P2015-69162A)
(43)【公開日】2015年4月13日
(54)【発明の名称】光変調器
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/01 20060101AFI20150317BHJP
【FI】
   G02F1/01 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-205650(P2013-205650)
(22)【出願日】2013年9月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】細川 洋一
(72)【発明者】
【氏名】日隈 薫
【テーマコード(参考)】
2K102
【Fターム(参考)】
2K102AA22
2K102BA03
2K102BB01
2K102BB04
2K102BC04
2K102CA20
2K102DA04
2K102DB05
2K102DD04
2K102DD05
2K102DD07
2K102EA02
2K102EA08
2K102EA09
2K102EB10
2K102EB11
2K102EB12
2K102EB29
2K102EB30
(57)【要約】
【課題】複数のマッハツェンダー型光導波路を並列させた場合においてチップ面積の増大を抑制できる光変調器を提供する。
【解決手段】本発明の光変調器は、素子形成面上に、それぞれ光導波路と、光導波路内を伝搬する光を変調するための変調電極と、が形成された第1基板及び第2基板と、光を分岐させ、第1基板及び第2基板にそれぞれ分岐された光を入力する光分岐手段と、第1基板及び第2基板から出力された光を合波する光合波手段と、を備え、第1基板と第2基板とは、少なくとも一部が互いに重なることを特徴とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子形成面上に、それぞれ光導波路と、前記光導波路内を伝搬する光を変調するための変調電極と、が形成された第1基板及び第2基板と、
光を分岐させ、前記第1基板及び前記第2基板にそれぞれ分岐された光を入力する光分岐手段と、
前記第1基板及び前記第2基板から出力された光を合波する光合波手段と、
を備え、
前記第1基板と前記第2基板とは、少なくとも一部が互いに重なることを特徴とする光変調器。
【請求項2】
前記第1基板は、前記第2基板と全体が重なる、請求項1に記載の光変調器。
【請求項3】
前記第1基板及び前記第2基板の前記素子形成面の一辺端部には、前記変調電極に電気的に接続された信号電極が形成されており、
前記信号電極は、前記第1基板と前記第2基板との同じ側を向いた辺端部に設けられる、請求項1または2に記載の光変調器。
【請求項4】
前記第1基板と前記第2基板とを保持する筐体と、
前記筐体の一側面に設けられ、前記信号電極と接続された入力端子と、
を備え、
前記第1基板の前記信号電極に接続された前記入力端子と、前記第2基板の前記信号電極に接続された前記入力端子とは、前記筐体の前記側面にジグザグに配置されている、請求項3に記載の光変調器。
【請求項5】
前記第1基板の前記素子形成面と、前記第2基板の前記素子形成面とは、互いに対向しないように配置される、請求項1から4のいずれか一項に記載の光変調器。
【請求項6】
前記光合波手段は、前記第1基板及び前記第2基板から出力された光を、互いに異なる偏光方向となるように変調する偏波回転素子を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の光変調器。
【請求項7】
素子形成面上に、それぞれ光導波路と、前記光導波路内を伝搬する光を変調するための変調電極と、が形成された第1基板及び第2基板と、
光を分岐させ、前記第1基板及び前記第2基板にそれぞれ分岐された光を入力する光分岐手段と、
前記第1基板及び前記第2基板から出力された光を合波する光合波手段と、
を備え、
前記第1基板の前記素子形成面と、前記第2基板の前記素子形成面とは、それぞれ異なる平面上に配置されることを特徴とする光変調器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光変調器に関する。
【背景技術】
【0002】
高速多値変調を行うため、複数のマッハツェンダー型光導波路を並列に配置する光変調器が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−94988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような光変調器では、並列するマッハツェンダー型光導波路の数が増加する程、チップ面積が増大し、光変調器が大型化してしまうという問題があった。
【0005】
本発明の一つの態様は、上記問題点に鑑みて成されたものであって、複数のマッハツェンダー型光導波路を並列させた場合においてチップ面積の増大を抑制できる光変調器を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光変調器の一つの態様は、素子形成面上に、それぞれ光導波路と、前記光導波路内を伝搬する光を変調するための変調電極と、が形成された第1基板及び第2基板と、光を分岐させ、前記第1基板及び前記第2基板にそれぞれ分岐された光を入力する光分岐手段と、前記第1基板及び前記第2基板から出力された光を合波する光合波手段と、を備え、前記第1基板と前記第2基板とは、少なくとも一部が互いに重なることを特徴とする。
【0007】
前記第1基板は、前記第2基板と全体が重なる構成としてもよい。
【0008】
前記第1基板及び前記第2基板の前記素子形成面の一辺端部には、前記変調電極に電気的に接続された信号電極が形成されており、前記信号電極は、前記第1基板と前記第2基板との同じ側を向いた辺端部に設けられる構成としてもよい。
【0009】
前記第1基板と前記第2基板とを保持する筐体と、前記筐体の一側面に設けられ、前記信号電極と接続された入力端子と、を備え、前記第1基板の前記信号電極に接続された前記入力端子と、前記第2基板の前記信号電極に接続された前記入力端子とは、前記筐体の前記側面にジグザグに配置されている構成としてもよい。
【0010】
前記第1基板の前記素子形成面と、前記第2基板の前記素子形成面とは、互いに対向しないように配置される構成としてもよい。
【0011】
前記光合波手段は、前記第1基板及び前記第2基板から出力された光を、互いに異なる偏光方向となるように変調する偏波回転素子を備える構成としてもよい。
【0012】
本発明の光変調器の一つの態様は、素子形成面上に、それぞれ光導波路と、前記光導波路内を伝搬する光を変調するための変調電極と、が形成された第1基板及び第2基板と、光を分岐させ、前記第1基板及び前記第2基板にそれぞれ分岐された光を入力する光分岐手段と、前記第1基板及び前記第2基板から出力された光を合波する光合波手段と、を備え、前記第1基板の前記素子形成面と、前記第2基板の前記素子形成面とは、それぞれ異なる平面上に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一つの態様によれば、複数のマッハツェンダー型光導波路を並列させた場合においてチップ面積の増大を抑制できる光変調器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態の光変調器を示す斜視図である。
図2】第1実施形態の光変調器を示す図であって、図1におけるA−A断面図である。
図3】第1実施形態の光変調器を示す図であって、図1におけるB−B断面図である。
図4】第1実施形態の光変調器を示す平面図である。
図5】第1実施形態の信号生成部を示す斜視図である。
図6】第1実施形態の信号生成部を模式的に示す図である。
図7】第1実施形態の信号生成部における光信号を示す信号空間ダイヤグラムである。
図8】第1実施形態の信号生成部の他の一例を模式的に示す図である。
図9】第1実施形態の信号生成部の他の一例における光信号を示す信号空間ダイヤグラムである。
図10】第2実施形態の信号生成部を模式的に示す図である。
図11】第2実施形態の信号生成部における光信号を示す信号空間ダイヤグラムである。
図12】第3実施形態の信号生成部を示す側面図である。
図13】(A)は、第3実施形態の光変調器を示す側面図であり、(B)は、第1実施形態の光変調器を示す側面図である。
図14】第4実施形態の光変調器を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図を参照しながら、本発明の実施形態に係る光変調器について説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0016】
(第1実施形態)
図1から図4は、本実施形態の光変調器10を示す図である。図1は、斜視図である。図2は、図1におけるA−A断面図である。図3は、図1におけるB−B断面図である。図4は、平面図である。図5は、光変調器10の信号生成部90を示す斜視図である。図4においては、上蓋部13の図示を省略している。図5においては、第1集光光学系40a及び第2集光光学系40bの図示を省略している。
【0017】
なお、以下の説明においてはXYZ座標系を設定し、このXYZ座標系を参照しつつ各部材の位置関係を説明する。この際、筐体11(図1参照)の厚さ方向をZ軸方向、筐体11の長手方向をX軸方向、筐体11の幅方向をY軸方向とする。
【0018】
本実施形態においては、光変調器10が偏波多重16値直交位相振幅変調(DP−16QAM:Quadrature Amplitude Modulation)方式の光変調器である場合について例示する。
本実施形態の光変調器10は、図1及び図2に示すように、筐体11と、信号生成部90と、光入力端子50と、光出力端子51と、第1入力端子52と、第2入力端子53とを備える。
信号生成部90は、図2に示すように、第1基板20と、第2基板21と、第1支持基板22と、第2支持基板23と、第1集光光学系40aと、第2集光光学系40bと、入力光分岐手段(光分岐手段)30と、偏波合成素子(光合波手段)31とを備える。
【0019】
筐体11は、第1基板20と第2基板21とを保持する。筐体11は、本実施形態においては、直方体である。筐体11は、本体部12と、上蓋部13と、下蓋部14とを備える。
本体部12の上側(+Z側)には、図2に示すように、第1凹部12aが形成されている。本体部12の下側(−Z側)には、第2凹部12bが形成されている。第1凹部12aと、第2凹部12bとに挟まれた部分を仕切部15とする。仕切部15は、第1凹部12aと第2凹部12bとに共通の底壁である。第1凹部12aは、図4に示すように、平面視(XY面視)矩形状である。第2凹部12bは、第1凹部12aと同様に、平面視矩形状である。第1凹部12aと第2凹部12bとは、平面視(XY面視)で互いに全体が重なるように形成されている。
【0020】
第1凹部12aの底面15a(仕切部15の上面)には、図2に示すように、仕切部15を厚さ方向(Z軸方向)に貫通する入射側貫通孔15cと、射出側貫通孔15dとが形成されている。第1凹部12aと第2凹部12bとは、入射側貫通孔15cと射出側貫通孔15dとをそれぞれ介して、連通している。入射側貫通孔15c及び射出側貫通孔15dは、図4に示すように、平面視(XY面視)矩形状である。入射側貫通孔15c及び射出側貫通孔15dの大きさは、入力光分岐手段30と偏波合成素子31とが、それぞれ挿入可能な大きさに設定されている。
【0021】
本体部12の一つの側面12cには、図1に示すように、第1入力端子52と第2入力端子53とが設けられている。第1入力端子52は、4つの第1入力端子52a,52b,52c,52dを含む。第2入力端子53は、4つの第2入力端子53a,53b,53c,53dを含む。第1入力端子52a,52b,52c,52dは、それぞれ筐体11の長手方向(X軸方向)に沿って並んで配置されている。第2入力端子53a,53b,53c,53dは、第1入力端子52よりも下方側(−Z側)に、それぞれ筐体11の長手方向(X軸方向)に沿って並んで配置されている。
【0022】
各第1入力端子52a,52b,52c,52dと、各第2入力端子53a,53b,53c,53dとは、それぞれ、筐体11の長手方向(X軸方向)位置が同一となるようにして設けられている。
第1入力端子52は、図4に示すように、接続ケーブル152を介して、第1基板20と接続されている。第2入力端子53は、接続ケーブル153を介して、第2基板21と接続されている。
【0023】
本体部12の前面12dには、光信号S0が入力される光入力端子50が設けられている。本体部12の後面12eには、光信号S7が出力される光出力端子51が設けられている。
【0024】
上蓋部13と下蓋部14とは、それぞれ本体部12に接着されている。上蓋部13と下蓋部14とによって、第1凹部12a及び第2凹部12bが共に封止される。
【0025】
入力光分岐手段30は、図2に示すように、入射側貫通孔15cに挿入されて固定されている。入力光分岐手段30は、ビームスプリッター32と、全反射ミラー33とを備える。
ビームスプリッター32は、入射する光のうち半分の光を透過させ、残りの半分の光を射出する性質を有する。ビームスプリッター32は、図2及び図5に示すように、光入力端子50に入力された光信号S0が入射するように設けられている。ビームスプリッター32は、光信号S0の光軸に対して斜め45°の角度となるように設けられている。ビームスプリッター32に入力された光信号S0のうち半分の光信号は、透過して第2集光光学系40bに入射され、残りの半分の光信号は90°折り曲げられて上方側(+Z側)に反射され、全反射ミラー33に入射する。
【0026】
全反射ミラー33は、ビームスプリッター32から射出された光信号の光軸に対して斜め45°の角度となるようにして設けられている。全反射ミラー33に入射された光信号は、90°折り曲げられて反射され、第1集光光学系40aに入射される。
【0027】
第1集光光学系40aは、図2及び図4に示すように、直方体状の透明な基体42aと、基体42aの入力光分岐手段30側(−X側)の面に設けられたマイクロレンズ41aとを備えている。マイクロレンズ41aの光軸は、入力光分岐手段30の全反射ミラー33から射出された光信号の光軸と同軸に配置されている。基体42aのマイクロレンズ41aが設けられている側と反対側(+X側)の面は、後述する第1基板20の光導波路素子60と光学的に接着されている。
【0028】
基体42aは、マイクロレンズ41aの焦点距離に相当する厚さを有する。マイクロレンズ41aに入射した光信号は、第1基板20に形成された後述する光導波路素子60における入力導波路61の入力端(−X側端部)に集光される。
【0029】
同様に、第2集光光学系40bは、図2に示すように、直方体状の透明な基体42bと、基体42bの入力光分岐手段30側(−X側)の面に設けられたマイクロレンズ41bとを備えている。マイクロレンズ41bの光軸は、入力光分岐手段30のビームスプリッター32を透過して射出された光信号の光軸と同軸に配置されている。基体42bのマイクロレンズ41bが設けられている側と反対側(+X側)の面は、後述する第2基板21の光導波路素子60と光学的に接着されている。
【0030】
基体42bは、マイクロレンズ41bの焦点距離に相当する厚さを有する。マイクロレンズ41bに入射した光は、第2基板21に形成された後述する光導波路素子60における入力導波路61の入力端(−X側端部)に集光される。
【0031】
第1基板20は、第1支持基板22を介して、第1凹部12aの底面15a上に設置されている。第1基板20は、図4に示すように、平面視(XY面視)矩形状である。本実施形態においては、第1基板20の幅(Y軸方向長さ)は、第1凹部12aの幅(Y軸方向長さ)と同じ長さに設定されている。第1基板20における第1凹部12aの開口側(+Z側)の素子形成面20a上には、光導波路素子60と、電気配線54a,54b,54c,54dと、信号電極55a,55b,55c,55dとが形成されている。素子形成面20aとは、第1基板20の主面である。
【0032】
第2基板21は、図2に示すように、第2支持基板23を介して、第2凹部12bの底面15b上に設置されている。第2基板21の形状及び大きさは、第1基板20と同様である。第2基板21における第2凹部12bの開口側(−Z側)の素子形成面21a上には、図示は省略するが、第1基板20と同様にして、光導波路素子60と、電気配線54a,54b,54c,54dと、信号電極55a,55b,55c,55dとが形成されている。第2基板21における各電気配線54a,54b,54c,54dは、第1基板20と同様にして設けられている。素子形成面21aとは、第2基板21の主面である。
【0033】
第1基板20の素子形成面20aは、第2基板21の素子形成面21aと全体が重なっている。すなわち、平面視(XY面視)において、第1基板20の素子形成面20aと第2基板21の素子形成面21aとが、全体で重なるようにして、第1基板20と第2基板21とが設けられている。第1基板20の素子形成面20aと、第2基板21の素子形成面21aとは、平行に設けられている。
【0034】
素子形成面20a上と、素子形成面21a上とに、それぞれ形成された光導波路素子60、電気配線54a,54b,54c,54d、及び信号電極55a,55b,55c,55dは、平面視(XY面視)において、互いに重なっていても、重なっていなくてもよい。また、素子形成面20a上と、素子形成面21a上とに、それぞれ形成された光導波路素子60、電気配線54a,54b,54c,54d、及び信号電極55a,55b,55c,55dが、平面視(XY面視)において、互いに重なっている場合には、全体で重なっていてもよく、一部で重なっていてもよい。
【0035】
また、第1基板20の素子形成面20aと、第2基板21の素子形成面21aとは、互いに対向しないようにして配置されている。より詳細には、図2に示すように、第1基板20の素子形成面20aは、上方側(+Z側)を向いており、第2基板21の素子形成面21aは、下方側(−Z側)を向いている。
【0036】
第1基板20及び第2基板21は、本実施形態の場合、ニオブ酸リチウム(LiNbO:LN)基板である。第1基板20及び第2基板21としては、タンタル酸リチウム、PLZT(ジルコン酸チタン酸鉛ランタン)、石英系の材料、及びこれらの組み合わせが利用可能である。
【0037】
図6は、信号生成部90を模式的に示す図である。図6においては、説明のため素子形成面20aと素子形成面21aとを幅方向に並べて示している。また、図6においては、適宜図示を省略している。
なお、第1基板20の素子形成面20a上に形成された光導波路素子60と、第2基板21の素子形成面21a上に形成された光導波路素子60とは、同一の構成であるため、以下の説明においては、代表して第1基板20の素子形成面20a上に形成された光導波路素子60についてのみを説明する場合がある。
【0038】
光導波路素子60は、図6に示すように、入力導波路(光導波路)61と、光分岐部66と、光変調部70と、光合成部80とを備える。
入力導波路61は、第1基板20の第1集光光学系40aと接合された辺端から延びて、光分岐部66と接続している。第1集光光学系40aから射出された光信号は、入力導波路61に第1集光光学系40a側の端部から入力される。そして、入力導波路61に入力された光信号は、光分岐部66によって2つの光信号に分岐され、分岐された光信号は、それぞれ後述するマッハツェンダー導波路64,65から光変調部70に入力される。
【0039】
光変調部70は、マッハツェンダー導波路(光導波路)64,65と、位相変調部71,72,73,74と、バイアス電極部64a,65aとを備える。
位相変調部71,72は、マッハツェンダー導波路64の間に設けられている。位相変調部73,74は、マッハツェンダー導波路65の間に設けられている。バイアス電極部64aは、マッハツェンダー導波路64の出力端側に設けられている。バイアス電極部65aは、マッハツェンダー導波路65の出力端側に設けられている。
マッハツェンダー導波路64,65に入力された光信号は、それぞれさらに分岐され、位相変調部71,72,73,74に入力される。
【0040】
位相変調部71,72,73,74は、それぞれマッハツェンダー導波路(光導波路)と変調電極71a,72a,73a,74aとを備える。
変調電極71a,72a,73a,74aは、光導波路素子60における導波路を伝搬する光信号を変調する。図4に示すように、位相変調部71の変調電極71aには、電気配線54aを介して、信号電極55aが電気的に接続されている。位相変調部72の変調電極72aには、電気配線54bを介して、信号電極55bが電気的に接続されている。位相変調部73の変調電極73aには、電気配線54cを介して、信号電極55cが電気的に接続されている。位相変調部74の変調電極74aには、電気配線54dを介して、信号電極55dが電気的に接続されている。
【0041】
信号電極55a,55b,55c,55dは、電気配線54a,54b,54c,54dを介して、それぞれ変調電極71a,72a,73a,74aに光信号に施す変調に応じた変調信号を入力する。図5に示すように、信号電極55a,55b,55c,55dは、平面視(XY面視)において、第1基板20と第2基板21との同じ側(−Y側)を向いた辺端部に設けられている。電気配線54a,54b,54c,54dは、それぞれ同じ長さとなるように形成されている。
【0042】
各信号電極55a,55b,55c,55dには、図4に示すように、接続ケーブル152a,152b,152c,152dが接続されている。各信号電極55a,55b,55c,55dは、接続ケーブル152a,152b,152c,152dを介して、各第1入力端子52a,52b,52c,52dと接続されている。各接続ケーブル152a,152b,152c,152dは、同一の長さに設定されている。
【0043】
また、同様に、第2基板21においても、各信号電極55a,55b,55c,55dは、接続ケーブル153a,153b,153c,153dを介して、各第2入力端子53a,53b,53c,53dと接続されている。各接続ケーブル153a,153b,153c,153dは、同一の長さに設定されている。
【0044】
各第1入力端子52a,52b,52c,52dから、各接続ケーブル152a,152b,152c,152dと、各信号電極55a,55b,55c,55dと、各電気配線54a,54b,54c,54dとを介して、変調電極71a,72a,73a,74aに変調信号が入力されることで、位相変調部71,72,73,74によって、入力された光信号に所望の位相変調を施すことができる。
【0045】
本実施形態においては、位相変調部71,72に入力された光信号は、それぞれ分岐され、分岐された光信号は互いに位相が180°反転した光信号に変調されるように設定されている。これにより、図6に示すように、位相変調部71,72から、それぞれ二位相偏移変調(BPSK:Binary Phase Shift Keying)された光信号S1a,S1bが出力される。位相変調部73,74においても、同様にして、二位相偏移変調された光信号が出力される。
【0046】
図7(A)〜(E)は、信号生成部90における光信号を示す信号空間ダイヤグラムである。図7(A)〜(E)において、それぞれ縦軸は直交位相軸Q、横軸は同相軸Iである。図7(E)における黒丸と白丸とは、それぞれ光信号の偏光方向が異なることを示している。後述する、図9(D),(E)及び図11(D),(E),(F)においても同様である。
図7(A)に示すように、二位相偏移変調された光信号S1a,S1bは、2値(1ビット)の情報を有する光信号である。
【0047】
位相変調部71,72から出力された光信号S1a,S1bに含まれる各信号は、図6に示すように、マッハツェンダー導波路64の出力端側に設けられたバイアス電極部64aによって、互いの位相関係が直交となるように位相変調される。そして、光信号S1aと光信号S1bとは、マッハツェンダー導波路64の出力端で合成され光信号S2aとなって、マッハツェンダー導波路64から出力される。同様にして、位相変調部73,74から出力された光信号は、マッハツェンダー導波路65の出力端側に設けられたバイアス電極部65aによって、互いに直交するように位相変調された後に合成され、マッハツェンダー導波路65から光信号S2bとして出力される。
【0048】
図7(B)に示すように、光信号S2a,S2bは、4値(2ビット)の情報を有する信号である。すなわち、マッハツェンダー導波路64,65は、入力された光信号をそれぞれ四位相偏移変調(QPSK:Quadrature Phase Shift Keying)して出力する。
マッハツェンダー導波路64,65から出力された光信号S2a,S2bは、光合成部80に入力される。
【0049】
光合成部80は、図6に示すように、マッハツェンダー導波路64,65の出力端からそれぞれ延びる光導波路を合流させる光結合部81と、光結合部81から第1基板20の辺端に延びる出力導波路(導波路)82と、マッハツェンダー導波路65の出力端に接続され、マッハツェンダー導波路65から出力された光信号S2bの振幅を調整する光振幅調整部83とを備える。
本実施形態においては、マッハツェンダー導波路65から出力された光信号S2bは、光振幅調整部83によって振幅が調整され、図7(C)に示すように、光信号S2a,S2bよりも振幅が小さい光信号S3となる。光信号S2aと光信号S3との振幅比(強度比)は、例えば、2:1(4:1)である。
【0050】
光結合部81は、方向性結合器やマルチモード干渉(MMI:Multi Mode Interference)カプラなどの光の振幅比(強度比)が調整可能な導波路構成である。図6に示すように、マッハツェンダー導波路64から出力された光信号S2aと、マッハツェンダー導波路65から出力され、光振幅調整部83によって振幅調整された光信号S3とは、それらの振幅比(強度比)を維持するように光結合部81において合成され光信号S4となる。
【0051】
光信号S4は、図7(D)に示すように、16値(4ビット)の情報を有する信号である。すなわち、光導波路素子60は、入力された光信号を直角位相振幅変調(QAM:Quadrature Amplitude Modulation)して、16値のQAM信号(以下、16QAM信号)を生成する。生成された16QAM信号は、出力導波路82を介して、第1基板20から出力される。
また、図6に示すように、同様にして、第2基板21から、16QAM信号である光信号S5が出力される。出力された光信号S4,S5は、偏波合成素子31に入射する。
【0052】
偏波合成素子31は、図2に示すように、筐体11の射出側貫通孔15dに挿入されて設けられている。偏波合成素子31は、図2及び図6に示すように、全反射ミラー34と、偏波回転素子36と、偏光ビームスプリッター35とを備えている。
全反射ミラー34は、第2基板21から射出された光信号S5が入射される位置に設けられている。全反射ミラー34は、入射される光の光軸に対して斜め45°の角度となるようにして設けられている。全反射ミラー33に入射された光信号S5は、90°折り曲げられて上方側(+Z側)に反射され、偏波回転素子36に入射される。
【0053】
偏波回転素子36は、入射された光信号S5の偏光方向を回転させて射出する。偏波回転素子36によって回転される偏光方向の角度は、例えば、90°である。偏波回転素子36としては、例えば、λ/2板を用いることができる。偏波回転素子36に入射された光信号S5は、偏光方向が回転され、第1基板20から出力された光信号S4と異なる偏光を有する光信号S6(図7(E)参照)となって、偏光ビームスプリッター35に入射する。
【0054】
偏波回転は、光が入力側のビームスプリッター32を通過してから、偏光ビームスプリッター35に入射する前までに行われていればよい。そのため、例えば、導波路上に偏波回転素子を形成する、もしくは、導波路上に波長板を挿入する事で、光導波路伝搬中に入射される光信号を偏波回転させてもよい。
【0055】
偏光ビームスプリッター35は、第1基板20から射出された光信号S4が入射される位置に設けられている。偏光ビームスプリッター35は、入射される光信号S4の光軸に対して斜め45°の角度となるようにして設けられている。偏光ビームスプリッター35は、第1基板20から射出された光信号S4、すなわち、光入力端子50から入力された光信号S0の偏光方向と同一の偏光方向を有する光信号を透過させ、偏波回転素子36によって偏光方向が回転された光信号を反射させる性質を有する。
【0056】
偏光ビームスプリッター35に入射された光信号S6は、偏波回転素子36によって偏光方向が回転されているため、90°折り曲げられて第1基板20から出力された光信号の方向と同一の向きに反射される。これにより、第1基板20から出力された光信号S4と第2基板21から出力された光信号S6とが偏波合成され、光信号S7として光出力端子51から出力される。
【0057】
光信号S7は、図7(E)に示すように、偏光方向が異なる2つの16QAM信号である光信号S4と光信号S6とを含む。これにより、光信号S7は、32値(5ビット)の情報を有する。すなわち、本実施形態の光変調器10は、入力された光信号S0を32値の情報を有する光信号S7として出力するDP−16QAM方式の光変調器である。
【0058】
本実施形態によれば、第1基板20と第2基板21とは、素子形成面20aと素子形成面21aとが、互いに全体が重なるようにして設けられている。そのため、平面視(XY面視)において、第1基板20と第2基板21とを幅方向(Y方向)に並べて配置する場合に比べて、チップ面積、すなわち、光導波路素子60が形成されている面積を小さくすることができる。したがって、本実施形態によれば、複数のマッハツェンダー型光導波路を並列させた場合においてチップ面積の増大を抑制できる光変調器が提供される。
【0059】
また、本実施形態によれば、第1基板20と第2基板21とを鉛直方向(Z軸方向)に重ねて配置しているため、それぞれの素子形成面20a,21a上に形成された信号電極55a,55b,55c,55dを平面視(XY面視)において同じ側、すなわち、本実施形態においては、図5に示すように、各素子形成面20a,21aの手前側(−Y側)の辺端部に設けることができる。
【0060】
これにより、第1基板20に接続された第1入力端子52と、第2基板21に接続された第2入力端子53とを筐体11の同じ側(本実施形態においては、側面12c)に設ける場合、第1基板20の信号電極55a,55b,55c,55dから第1入力端子52a,52b,52c,52dまでの距離と、第2基板21の信号電極55a,55b,55c,55dから第2入力端子53a,53b,53c,53dまでの距離とを同一にすることが容易である。すなわち、信号電極55a,55b,55c,55dと第1入力端子52a,52b,52c,52d及び第2入力端子53a,53b,53c,53dとを接続する接続ケーブル152及び接続ケーブル153の長さをそれぞれ同一に設定することが容易である。
【0061】
したがって、本実施形態によれば、第1入力端子52及び第2入力端子53から入力される変調信号が、接続ケーブル152,153を介して変調電極71a,72a,73a,74aに到達するまでの時間のずれを低減することが容易である。
【0062】
また、本実施形態によれば、第1基板20と接続される接続ケーブル152と、第2基板21と接続される接続ケーブル153とを、共に第1基板20及び第2基板21の同じ側(−Y側)に接続することができる。そのため、第1基板20及び第2基板21における接続ケーブル152,153を接続した側に近い側の筐体11の側面(本実施形態においては、側面12c)に、第1入力端子52及び第2入力端子53を共に設置することで、接続ケーブル152及び接続ケーブル153の長さを共に短くできる。これにより、本実施形態によれば、第1入力端子52及び第2入力端子53から入力された変調信号が、変調電極71a,72a,73a,74aに入力されるまでの長さを短くでき、変調信号が帯域劣化してしまうことを抑制できる。
【0063】
以上より、本実施形態によれば、光変調器を、マッハツェンダー型光導波路を8並列以上集積化する必要がある400Gbps対応の光変調器とした場合であっても、小型で、かつ、出力信号品質に優れた光変調器が得られる。
【0064】
また、本実施形態によれば、第1基板20の素子形成面20aと、第2基板21の素子形成面21aとは、互いに対向しないように配置されている。そのため、素子形成面20a,21aが筐体の外側(第1凹部12a及び第2凹部12bの開口側)に向いており、筐体11を上下方向(Z軸方向)に反転させることにより、素子形成面20a,21a上におけるボンディングを容易にできる。
【0065】
また、本実施形態によれば、図2に示すように、光信号S0は、厚さ方向(Z軸方向)に重ねられた第1基板20及び第2基板21のうち、下方側(−Z側)に設けられた第2基板21の側から入力され、光信号S7は、上方側(+Z側)に設けられた第1基板20の側から出力される。そのため、入力光分岐手段30のビームスプリッター32によって分岐された光は、それぞれ、入力光分岐手段30から偏波合成素子31までの距離と、第2基板21から第1基板20までの距離とを足し合わせた距離だけ進んで合波される。したがって、本実施形態によれば、ビームスプリッター32によって分岐された光信号が再び合成されるまでの光路長がそれぞれ同一となり、光変調器10から各光信号がずれて出力されることが抑制される。
【0066】
また、本実施形態によれば、第1基板20及び第2基板21が、厚さ方向(Z軸方向)に重ねて設けられているため、一方の基板から漏れた光信号が、他方の基板に入力されることを抑制できる。すなわち、本実施形態によれば、第1基板20と第2基板21とのクロストークを抑制できる。
【0067】
なお、本実施形態においては、下記の構成を採用することもできる。
【0068】
上記説明した本実施形態においては、第1基板20の素子形成面20aは、第2基板21の素子形成面21aと互いに全体が重なっているが、これに限られない。本実施形態においては、第1基板20の素子形成面20aと第2基板21の素子形成面21aとが、平面視(XY面視)において、少なくとも一部で重なっていればよい。
【0069】
ここで、第1基板20の素子形成面20aと第2基板21の素子形成面21aとが、平面視(XY面視)において、少なくとも一部で重なっているとは、一方の基板の素子形成面に対する法線がもう一方の基板を通過する立体的な配置関係を意味する。
【0070】
また、上記説明した本実施形態においては、第1基板20の素子形成面20aと、第2基板21の素子形成面21aとは、平行であるが、これに限られない。一方の基板の素子形成面が、他方の基板の素子形成面に対して傾いて設けられていてもよい。
【0071】
また、上記説明した本実施形態によれば、光分岐手段として、ビームスプリッター32と全反射ミラー33とを組み合わせた入力光分岐手段30を用いたが、これに限られない。本実施形態においては、例えば、光分岐手段として、平面光波回路(PLC:Planar Lightwave Circuit)や、ファイバーカプラ等を用いてもよい。
【0072】
また、上記説明した本実施形態においては、信号生成部90を、第2基板21から出力された光信号S5の偏光方向を回転させて、第1基板20から出力された光信号S4と偏波合成することによって32値(5ビット)の情報を含む光信号S7を生成するような構成としたが、これに限られない。例えば、本実施形態の信号生成部90は、図8及び図9(A)〜(E)に記載するような構成であってもよい。
【0073】
図8は、本実施形態の他の一例である光変調器110の信号生成部190を模式的に示す図である。
信号生成部190は、図8に示すように、第1基板120と、第2基板121と、第1集光光学系40aと、第2集光光学系40bと、入力光分岐手段130と、偏波合成素子(光合波手段)131とを備える。
【0074】
入力光分岐手段130は、ビームスプリッター132と、全反射ミラー133とを備える。ビームスプリッター132は、入射する光のうち20%の光を透過させて、残りの80%の光を反射させる性質を有する。ビームスプリッター132は、光信号S10が入射するように設けられている。ビームスプリッター132は、光信号S10の光軸に対して斜め45°の角度となるように設けられている。ビームスプリッター132に入力された光信号S10のうち20%の光信号S10aは、透過して第2集光光学系40bに入射され、残り80%の光信号S10bは90°折り曲げられて上方側(+Z側)に反射され、全反射ミラー133を介して、第1集光光学系40aに入力される。
ここで、光の強度比は、振幅比の二乗に比例するため、1:4(20%:80%)の強度比を有する光信号S10aと光信号S10bとは、振幅比が1:2となる。
【0075】
第1基板120の素子形成面120a上及び第2基板121の素子形成面121a上には、それぞれ光導波路素子160が形成されている。
光導波路素子160は、入力導波路61と、光分岐部66と、光変調部70と、光合成部180とを備える。
光合成部180は、光結合部81と、出力導波路82と、偏波回転素子184とを備える。
偏波回転素子184は、第1実施形態における偏波回転素子36と同様に、入射した光信号の偏光方向を回転させる素子である。
【0076】
図9(A)〜(E)は、信号生成部90における光信号を示す信号空間ダイヤグラムである。図9(A)〜(E)において、それぞれ縦軸は直交位相軸Q、横軸は同相軸Iである。
第1基板120の光導波路素子160に光信号S10bが入射されると、第1実施形態と同様にして、位相変調部71から、図9(A)に示す光信号S11が出力され、マッハツェンダー導波路64から、光信号S12aが出力される(図9(B)参照)。同様にして、マッハツェンダー導波路65から、光信号S12bが出力される(図9(B)参照)。
【0077】
マッハツェンダー導波路65から出力された光信号S12bは、図8に示すように、偏波回転素子184に入力される。そして、光信号S12bは、偏光方向が回転され、光信号S12a,S12bと偏光方向が直交する光信号S13として出力される(図9(B)参照)。
【0078】
光信号S12aと光信号S13とは、光結合部81で合成され、光信号S14となって出力導波路82から出力される。光信号S14は、図9(B)に示すように、偏光方向が異なるQPSK信号である光信号S12a,S13を含む。これにより、光信号S14は、8値(3ビット)の情報を有する光信号となる。
【0079】
第2基板121における光導波路素子160においても同様にして、マッハツェンダー導波路64,65から、図9(C)に示すような4値(2ビット)のQPSK信号である光信号S15a,S15bが出力される。
ここで、第2基板121に入力された光信号S10aは、第1基板120に入力された光信号S10bに対して振幅が1/2であるため、光信号S15a,S15bの振幅も、光信号S12a,S12bの振幅の1/2である。光信号S15bは、第1基板120と同様にして、偏波回転素子184によって、偏光方向が回転され、光信号S15aと偏光方向が異なる光信号S16となる。そして、光信号S15aと光信号S16とは、合成され、図9(D)に示すような、8値(3ビット)の情報を有する光信号S17となって、第2基板121から出力される。
【0080】
偏波合成素子131は、光信号S17と光信号S14とを合成して、光信号S18として出力する。偏波合成素子131としては、平面光波回路(PLC)やファイバーカプラ等を用いることができる。光信号S18は、図9(E)に示すように、光信号S12aと光信号S15aとによって生成された16QAM信号である光信号S18aと、光信号S13と光信号S16とによって生成された16QAM信号である光信号S18bとによって構成される。これにより、この構成によれば、32値(5ビット)の情報を有する光信号S18が出力される光変調器が得られる。
【0081】
(第2実施形態)
第2実施形態は、第1実施形態に対して、光導波路素子が形成された基板が3つ備えられている点において異なる。
なお、以下の説明においては、上記実施形態と同様の構成については、適宜同一の記号を付す等により、説明を省略する場合がある。
【0082】
図10は、本実施形態の光変調器210の信号生成部290を模式的に示す図である。
信号生成部290は、第1基板120と、第2基板121と、第3基板122と、入力光分岐手段230と、偏波合成素子(光合波手段)231とを備える。第3基板122の素子形成面122a上には、第1基板120及び第2基板121と同様に、光導波路素子160が形成されている。また、第3基板122の信号が入力される側(入力光分岐手段230側)には、第1基板120及び第2基板121と同様に、マイクロレンズ41cと基体42cとを備える第3集光光学系40cが設けられている。
【0083】
図示は省略するが、第1基板120と、第2基板121と、第3基板122とは、第1実施形態における第1基板20と第2基板21との配置関係と同様に、平面視において、それぞれ互いに全体が重なって設けられている。また、第1基板120の素子形成面120aと、第2基板121の素子形成面121aと、第3基板122の素子形成面122aとは、それぞれ互いに対向しないようにして配置されている。
【0084】
入力光分岐手段230は、第1ビームスプリッター232と、第2ビームスプリッター233と、全反射ミラー234とを備えている。
第1ビームスプリッター232は、入射する光のうち約76%(16/21)の光を透過させて、残りの約24%(5/21)の光を反射させる性質を有する。第1ビームスプリッター232は、光信号S20が入射するように設けられている。第1ビームスプリッター232は、光信号S20の光軸に対して斜め45°の角度となるように設けられている。第1ビームスプリッター232に入力された光信号S20のうち約76%(16/21)の光信号S20aは、透過して第3集光光学系40cに入射され、残り約24%(5/21)の光信号S20bは、90°折り曲げられて上方側に反射され、第2ビームスプリッター233に入射される。
【0085】
第2ビームスプリッター233は、第1実施形態のビームスプリッター32と同様に、入射する光のうち20%の光を透過させ、残りの80%の光を反射させる性質を有する。第2ビームスプリッター233は、入射する光信号S20bの光軸に対して斜め45°の角度となるように設けられている。第2ビームスプリッター233に入力された光信号S20bのうち80%の光信号、すなわち、光信号S20に対して約19%(4/21)の強度を有する光信号S20cは、90°折り曲げられて第2基板121側に反射され、第2集光光学系40bに入射される。そして、光信号S20bのうち残り20%の光信号、すなわち、光信号S20に対して約5%(1/21)の強度を有する光信号S20dは、第2ビームスプリッター233を透過し、全反射ミラー234を介して、第1集光光学系40aに入射される。
【0086】
このようにして、第1基板120に入力される光信号S20dと、第2基板121に入力される光信号S20cと、第3基板122に入力される光信号S20aとの強度比が、1:4:16となる。言い換えると、第1基板120に入力される光信号S20dと、第2基板121に入力される光信号S20cと、第3基板122に入力される光信号S20aとの振幅比が、1:2:4となる。
【0087】
図11(A)〜(F)は、本実施形態における光導波路素子160の光信号を示す信号空間ダイヤグラムである。図11(A)〜(E)において、それぞれ縦軸は直交位相軸Q、横軸は同相軸Iである。
第1基板120におけるマッハツェンダー導波路64からは、図11(A)に示す4値のQPSK信号である光信号S21が出力される。第2基板121におけるマッハツェンダー導波路64からは、図11(B)に示す4値のQPSK信号である光信号S22が出力される。第3基板122におけるマッハツェンダー導波路64からは、図11(C)に示す4値のQPSK信号である光信号S23aが出力される。光信号S21と、光信号S22と、光信号S23aとの振幅比は、1:2:4である。
【0088】
第3基板122におけるマッハツェンダー導波路65からは、マッハツェンダー導波路64と同様に、4値のQPSK信号である光信号S23bが出力される(図11(C)参照)。出力された光信号S23bは、偏波回転素子184によって偏光方向が回転され、光信号S23a及び光信号S23bに対して偏光方向が異なる光信号S24となる(図11(D)参照)。光信号S23aと光信号S24とは、光結合部81によって合成され、図11(D)に示す8値(3ビット)の情報を有する光信号S25となる。第1基板120及び第2基板121からも、同様にして、8値の情報を有する光信号が出力される。
【0089】
偏波合成素子231は、第1基板120、第2基板121及び第3基板122から出力された光信号を合成する。偏波合成素子231としては、平面光波回路(PLC)やファイバーカプラ等を用いることができる。第2基板121から出力された光信号と第3基板122から出力された光信号S25とが合成されることで、図11(E)に示すように、偏光方向が互いに異なる16値のQAM信号である光信号S26aと光信号S26bとを有する光信号S26が生成される。そして、この光信号S26と第1基板120から出力された光信号とが合成されることにより、図11(F)に示すように、偏光方向が互いに異なる64値(6ビット)のQAM信号である光信号S27aと光信号S27bとを有する光信号S27が生成される。光信号S27は、128値(7ビット)の情報を有する。
【0090】
本実施形態によれば、基板を3つ備えているため、より光信号の情報を多値化できる。また、本実施形態によれば、第1基板120と、第2基板121と、第3基板122とが、平面視において、それぞれ互いに全体が重なって設けられているため、チップ面積の増大を抑制でき、光変調器が大型化することを抑制できる。
【0091】
(第3実施形態)
第3実施形態は、第1実施形態に対して、第1基板20と第2基板21とがずれて設けられている点において異なる。
なお、以下の説明においては、上記実施形態と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により、説明を省略する場合がある。
【0092】
図12は、本実施形態の光変調器310の信号生成部390を示す側面図である。図13(A)は、本実施形態の光変調器310を示す側面図である。図13(B)は、第1実施形態の光変調器10を示す側面図である。
図12に示すように、本実施形態においては、第1基板20が第2基板21に対して、前側(−X側)にずれて設けられている。言い換えると、第1基板20と第2基板21とは、平面視(XY面視)において、一部のみが重なるようにして設けられている。
第1基板20と第2基板21とのずれている距離D4は、ビームスプリッター32と全反射ミラー33との距離D2と同一となるように設定されている。
【0093】
また、図13(A)に示すように、筐体311における本体部312の側面312cには、第1入力端子52a,52b,52c,52dと第2入力端子53a,53b,53c,53dとが設けられている。各第1入力端子52a,52b,52c,52dと各第2入力端子53a,53b,53c,53dとは、ジグザグに配置されている。また、一方の入力端子同士の間の領域には、他方の入力端子の一部が含まれるようにして配置されている。言い換えると、光入力端子50側から視た場合において(YZ面視において)、第1入力端子52a,52b,52c,52dと第2入力端子53a,53b,53c,53dとは、一部が重なり合うように配置されている。
【0094】
本実施形態によれば、第2基板21の鉛直方向上方側(+Z側)に設置されている第1基板20が、第2基板21よりも前側(−X側)にずれて配置されていることにより、第1基板20及び第2基板21に光信号が入力されるタイミングを合わせることができる。以下詳細に説明する。
【0095】
光変調器310に入力される光信号S30は、図12に示すように、ビームスプリッター32によって分岐され、それぞれ、第1基板20、第2基板21に入力される。このとき、第2基板21に入力される光信号は、ビームスプリッター32を透過し、距離D1だけ進んで第2基板21に入力される。一方、第1基板20に入力される光信号は、ビームスプリッター32から全反射ミラー33までの距離D2と、全反射ミラー33から第1基板20までの距離D3とを足し合わせた距離だけ進んで第1基板20に入力される。
【0096】
ここで、第1基板20は、第2基板21よりも前側(−X側)に距離D4だけずれているため、全反射ミラー33から第1基板20までの距離D3は、ビームスプリッター32から第2基板21までの距離D1よりも距離D4の分だけ短い。そして、第1基板20と第2基板21とのずれている距離D4は、ビームスプリッター32と全反射ミラー33との距離D2と同一に設定されているため、距離D1と、距離D2及び距離D3を足し合わせた距離とは、同一の大きさとなる。したがって、ビームスプリッター32によって分岐されてから各基板に入力されるまでの距離が、第1基板20、第2基板21共に同一となるため、第1基板20に光信号が入力されるタイミングと第2基板21に光信号が入力されるタイミングとが同時となる。
【0097】
これにより、本実施形態によれば、第1基板20及び第2基板21上に形成された光導波路素子の位相変調部に変調信号を入力するタイミングを同時とすることができるため、変調信号入力の制御が容易である。
【0098】
また、本実施形態によれば、第1入力端子52と第2入力端子53とがジグザグに配置され、一方の入力端子の間の領域に、他方の入力端子の一部が含まれるように第1入力端子52と第2入力端子53とを設けることができる。そのため、図13(B)に示すように、各第1入力端子52と各第2入力端子53との筐体11における長手方向(X軸方向)位置が同一となっている場合の筐体11の厚さW2と比べて、筐体311の厚さW1を小さくすることができる。
【0099】
また、本実施形態においては、表面実装技術を用いることで、入力端子を同一直線上に配置する事も出来る。この場合、さらに筐体311の厚さを薄くする事が可能である。
【0100】
(第4実施形態)
第4実施形態は、第1実施形態に対して、第1基板20と第2基板21との配置関係が異なる。
なお、以下の説明においては、上記実施形態と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により、説明を省略する場合がある。
【0101】
図14は、本実施形態の光変調器410を示す断面図(YZ面図)である。
図14に示すように、第1基板20と第2基板21とは、素子形成面20aと素子形成面21aとが、平面視(XY面視)において、重ならないように設けられている。第1基板20の素子形成面20aと第2基板21の素子形成面21aとは、平行である。すなわち、第1基板20の素子形成面20aと第2基板21の素子形成面21aとは、それぞれ異なる平面上に配置されている。
【0102】
第1基板20は、接続ケーブル452によって、筐体411の側面411aに設けられた第1入力端子52と接続されている。第2基板21は、接続ケーブル453によって、側面411aに設けられた第2入力端子53と接続されている。接続ケーブル452と接続ケーブル453とは、同一の長さに設定されている。
【0103】
本実施形態によれば、第1基板20の素子形成面20aと第2基板21の素子形成面21aとが異なる平面上に設けられているため、図14に示すようにして、それぞれの基板を平面視(XY面視)した際に同じ側(+Y側)から接続ケーブル452,453を取り回すことができる。これにより、接続ケーブル452,453の長さを同一とすることができ、第1入力端子52及び第2入力端子53から、第1基板20及び第2基板21にそれぞれ入力される変調信号のタイミングがずれることを抑制できる。
【符号の説明】
【0104】
10,110,210,310,410…光変調器、11,311,411…筐体、12c,312a,411a…側面、20,120…第1基板、21,121…第2基板、20a,21a,120a,121a…素子形成面、30,130,230…入力光分岐手段(光分岐手段)、31,131,231…偏波合成素子(光合波手段)、36…偏波回転素子、52a,52b、52c,53d…第1入力端子(入力端子)、53a,53b,53c,53d…第2入力端子(入力端子)、55a,55b,55c,55d…信号電極、61…入力導波路(光導波路)、64…マッハツェンダー導波路(光導波路)、71a,72a,73a,74a…変調電極
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