(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-70823(P2015-70823A)
(43)【公開日】2015年4月16日
(54)【発明の名称】果実又は野菜の糖度向上剤及びその製造方法、ならびに糖度向上方法
(51)【国際特許分類】
A01G 7/00 20060101AFI20150320BHJP
A01P 21/00 20060101ALI20150320BHJP
A01N 65/20 20090101ALI20150320BHJP
A01N 65/00 20090101ALI20150320BHJP
A01N 43/16 20060101ALI20150320BHJP
【FI】
A01G7/00 604Z
A01P21/00
A01N65/20
A01N65/00 A
A01N43/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-208987(P2013-208987)
(22)【出願日】2013年10月4日
(71)【出願人】
【識別番号】591082421
【氏名又は名称】丸善製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079304
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100114513
【弁理士】
【氏名又は名称】重松 沙織
(74)【代理人】
【識別番号】100120721
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 克成
(74)【代理人】
【識別番号】100124590
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100157831
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 克彦
(72)【発明者】
【氏名】大野 裕和
【テーマコード(参考)】
2B022
4H011
【Fターム(参考)】
2B022AB11
2B022AB13
2B022AB15
2B022AB20
2B022EA10
4H011AB03
4H011BA01
4H011BB08
4H011BB22
4H011BC06
4H011BC18
4H011DC01
4H011DC11
4H011DD03
4H011DD04
4H011DF04
(57)【要約】
【課題】果実又は野菜の糖度を向上させる糖度向上剤及びその製造方法、ならびに糖度向上方法を提供する。
【解決手段】甘草の中性乃至アルカリ性水抽出液より得られるグリチルリチン酸を晶析させた後の晶析母液を有効成分として含有する、果実又は野菜の糖度向上剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
甘草の中性乃至アルカリ性水抽出液より得られるグリチルリチン酸を晶析させた後の晶析母液を有効成分として含有する、果実又は野菜の糖度向上剤。
【請求項2】
甘草を中性乃至アルカリ性下で水抽出し、この抽出液より得られるグリチルリチン酸を晶析させ、その晶析母液を採取することを特徴とする、果実又は野菜の糖度向上剤の製造方法。
【請求項3】
甘草の中性乃至アルカリ性水抽出液より得られるグリチルリチン酸を晶析させた後の晶析母液を、果樹又は野菜に適用することを特徴とする果実又は野菜の糖度向上方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果実又は野菜の糖度向上剤及びその製造方法、ならびに糖度向上方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
果実又は野菜の嗜好は年々高まる傾向にある。消費者はさらに美味しいものを求め、生産者は様々な工夫をしている。一方、植物の成長を促す成分として、植物ホルモン等を含め、様々な成長促進成分が提案されている。しかしながら、収穫物である果実又は野菜の成長が促され、収穫量は増えるが、これにより味が向上するものではなかった。また、経口摂取するものであるから、合成物ではなく、天然由来のものが望まれていた。
【0003】
以上のことから、収穫物である食用の果実又は野菜の糖度を向上させる向上剤、及び糖度向上方法が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−298877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、果実又は野菜の糖度を向上させる糖度向上剤及びその製造方法、ならびに糖度向上方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定の甘草抽出物が、果実又は野菜の糖度を顕著に向上させることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0007】
従って、本発明は下記糖度向上剤及びその製造方法、ならびに糖度向上方法を提供する。
[1].甘草の中性乃至アルカリ性水抽出液より得られるグリチルリチン酸を晶析させた後の晶析母液を有効成分として含有する、果実又は野菜の糖度向上剤。
[2].甘草を中性乃至アルカリ性下で水抽出し、この抽出液より得られるグリチルリチン酸を晶析させ、その晶析母液を採取することを特徴とする、果実・野菜の糖度向上剤の製造方法。
[3].甘草の中性乃至アルカリ性水抽出液より得られるグリチルリチン酸を晶析させた後の晶析母液を、果樹又は野菜に適用することを特徴とする果実又は野菜の糖度向上方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、安全で効果の高い、糖度向上剤及びその製造方法、ならびに糖度向上方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明につき、さらに詳しく説明する。
本発明は、甘草の中性乃至アルカリ性水抽出液より得られるグリチルリチン酸を晶析させた後の晶析母液を有効成分として含有する、果実又は野菜の糖度向上剤である。
【0010】
本発明の果実又は野菜の糖度向上剤の原料となる甘草は、マメ科Glycyrrhiza属に属する植物で、例えば、G.glabra、G.uralensis、G.inflata等が使用可能であるが、本発明においては、G.glabra若しくはG.inflataを使用することが好ましい。また、使用部位は根、根茎、葉、茎のいずれの部位でも原料として使用することができるが、根及び/又は根茎を原料として使用することが好ましい。また、これらは、生のものを使用しても乾燥させたものを使用してもよいが、工業的に製造されているグリチルリチン酸の抽出原料となっている乾燥根及び乾燥根茎を原料として使用することができる。なお、甘草は生産地の名前を冠して呼ばれることが多く、例えば、東北甘草、西北甘草、新疆甘草、モンゴル産甘草、ロシア産甘草、アフガニスタン産甘草等を挙げることができる。
【0011】
本発明の果実又は野菜の糖度向上剤を得るための抽出条件としては、上記の甘草に対し中性乃至アルカリ性下で水抽出するが、通常、水抽出液のpHは6〜11、特に9〜10が好ましく、抽出温度は、冷水、温水又は熱水いずれでもよいが、5〜100℃、特に50〜100℃が好ましい。pHの調製には、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を用いることができる。抽出時間は抽出温度によって異なるが、通常1〜72時間であり、特に2〜24時間が好ましい。
【0012】
次に、グリチルリチン酸を晶析させその結晶母液を得る。例えば、上記抽出液を酸処理することにより得られる沈殿物をエタノール抽出し、得られたエタノール抽出液に対し活性炭脱色処理を施した後、グリチルリチン酸を晶析させ、その結晶母液を得ることが好ましい。具体的には下記方法が挙げられる。
【0013】
酸処理は、硫酸、塩酸、硝酸等の酸性溶液にて、pH2〜4の酸性で析出処理を行い、グリチルリチン等を沈殿させる。濾過により沈殿物と濾液に分ける。得られた沈殿物100質量部に対して1〜10質量部、好ましくは2〜5質量部のエタノールを加え、エタノール抽出液を得る。この抽出液を撹拌して濾過する。得られた濾液に対して1〜10質量%、好ましくは2〜5質量%の活性炭を加え、活性炭処理を行う。その後、セライト、珪藻土、パーライト等の濾過助剤を用いて濾過を行い、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ水を加えてpH4.0〜7.0、好ましくはpH5.0〜5.5に調製する。さらに、3〜10℃、好ましくは5〜7℃で1〜5日間、好ましくは2日間静置することでグリチルリチン酸を晶析させた後、濾過して、晶析したグリチルリチン酸を除去する。
【0014】
この場合、上記エタノール抽出液を乾燥して得られた抽出物中のグリチルリチン酸量は、固形換算として10〜30質量%である。上記晶析工程で、このグリチルリチン酸の20〜50質量%、特に30〜40質量%が晶析され、除去されるように晶析を行い、晶析工程後の晶析母液を乾燥して得られた抽出物中のグリチルリチン酸含有量は、固形換算として2〜20質量%、特に5〜15質量%であることが好ましい。
【0015】
本発明の果実又は野菜の糖度向上剤は上記晶析母液からなるものであるが、晶析母液をそのまま使用することもでき、さらに、常法により濃縮して使用することもできる。また、適当な方法で抽出液を乾燥させることにより、褐色の甘草抽出物の粉末又は固形物として用いることもできる。
【0016】
本発明の果実又は野菜の糖度向上剤中のグリチルリチン酸含有量は、固形換算として1〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましく、5〜15質量%がさらに好ましい。フラボノイド類(リクイリチン、イソリクイリチン、リクイリチゲニン、イソリクイリチゲニン)の含有量は、固形換算として2〜50質量%が好ましく、3〜25質量%がより好ましく、5〜20質量%がさらに好ましい。本発明の果実又は野菜の糖度向上剤のフラボノイド類含量は従来の甘草抽出物と比較して2〜20倍程度であり高含量である。本発明は、グリチルリチン酸含量としては、従来の甘草抽出物と比較して同程度であるが、高含量のフラボノイド類を含有しているため、抗菌活性が高いものである。なお、グリチルリチン酸含有量、フラボノイド類含有量は後述の実施例記載の測定法による。
【0017】
本発明の糖度向上剤は、果実・野菜の糖度を向上させるものであるが、果実又は野菜の大きさは同等もしくは大きいのにも関わらず、糖度を上げることができる。
【0018】
果実としては特に限定されず、イチゴ、モモ、サクランボ、ブドウ、ウメ、柿、ナシ、リンゴ、メロン、ミカン、パイナップル、スイカ、ブルーベリー、プラム、マンゴー等が挙げられる。中でも、イチゴ、モモ、サクランボ、ブドウが好ましい。
【0019】
野菜としては特に限定されず、ダイコン、ニンジン、ゴボウ等の根菜類、タマネギ、アスパラガス等の茎菜類、コマツナ、ホウレンソウ、キャベツ等の葉菜類、トマト、ナス、キュウリ、カボチャ等の果菜類、ミョウガ等の花菜類等が挙げられ、特に果菜類、トマト、コマツナが好ましい。
【0020】
本発明の糖度向上剤を、果樹又は野菜に適用することにより果実又は野菜の糖度向上が発揮される。適用の方法としては、例えば、果樹又は野菜を生育させる土壌に与える、果樹又は野菜の葉面散布等の方法が挙げられる。果樹又は野菜を生育させる土壌へ糖度向上剤を与える場合、直接土壌に散布する、土壌と混合する、水で希釈した希釈液を株元潅水して使用することができる。晶析母液の使用量としては特に限定されないが、晶析母液固形換算として、土壌に散布する場合には、果樹1本あたり0.1〜20kgが好ましく、0.3〜5kgがより好ましく、0.5〜3kgがさらに好ましい。野菜1本あたり0.01〜3kgが好ましく、0.05〜1kgがより好ましく、0.1〜0.5kgがより好ましい。土壌に混合する場合には、0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜3質量%がより好ましく、0.1〜1質量%がさらに好ましい。水で希釈する株元潅水の場合には、0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜3質量%がより好ましく、0.1〜1質量%がさらに好ましい。作付面積10アールあたり1〜1000リットルが好ましく、10〜500リットルがより好ましく、50〜300リットルがさらに好ましい。与える回数としては特に限定されないが、1週間〜3ヶ月間隔で1〜5回が好ましい。与える時間については特に限定されないが、涼しい時間帯の朝夕が好ましい。
【0021】
果樹・野菜へ葉面散布する場合、水で希釈した希釈液を使用することができる。晶析母液の使用量としては特に限定されないが、晶析母液固形換算として、希釈液中0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜3質量%がより好ましく、0.1〜1質量%がさらに好ましい。作付面積10アールあたり1〜1000リットルが好ましく、10〜500リットルがより好ましく、50〜300リットルがさらに好ましい。与える回数としては特に限定されないが、3日〜2週間間隔で1〜5回が好ましい。与える時間については特に限定されないが、涼しい時間帯の朝夕が好ましい。
【0022】
本発明の糖度向上剤は上記製造方法により得ることができ、化学合成農薬による薬剤耐性菌の出現や副作用の問題がなく、安心して使用することができる。さらに、薬剤の残留による人体や環境に対する影響がないため、糖度向上に大きく貢献できる。本発明の糖度向上剤には、本願発明の効果を損なわない範囲で任意成分を適量配合することができる。
【0023】
また、本発明は甘草の中性乃至アルカリ性水抽出液より得られるグリチルリチン酸を晶析させた後の晶析母液を、果樹又は野菜に適用することを特徴とする果実又は野菜の糖度向上方法を提供するものであり、好適範囲等は上記と同様である。
【実施例】
【0024】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、特に明記がない場合、組成の「%」は質量%を示す。
【0025】
[実施例]
甘草(Glycyrrhiza glabra)の根茎を粉砕し、チップ状にした。この甘草チップ1.0kgを10Lの3%アンモニア水(pH10)で一晩抽出した後、固液分離した。得られた抽出液に対し、1%硫酸溶液により酸性析出処理を行い、グリチルリチン酸等を沈殿させ、濾過により沈殿物及び抽出濾液に分けた。この内、沈殿物にエタノール1Lを加え、常温で1時間撹拌し、セライトを用いて濾過を行った。得られた濾液に活性炭60gを加え、常温で1時間、活性炭処理を行った。その後、セライトを用いた濾過を行った。得られた濾液にアンモニア水を加えてpH5.0〜5.5に調整した。濾液を5℃で2日間、静置することでグリチルリチン酸を晶析させた後、遠心分離して結晶と濾液に分けた。得られた濾液を減圧濃縮し、炭酸ナトリウムを用いてpH7.0程度に中和し、さらに減圧濃縮、噴霧乾燥し、150gの褐色抽出物粉末である甘草抽出物を得た。この甘草抽出物についてHPLC分析を行った結果、グリチルリチン酸含量は9%であり、フラボノイド類(リクイリチン、イソリクイリチン、リクイリチゲニン、イソリクイリチゲニン)含量は10%であった。フラボノイド類含量10%のうち、リクイリチン4%、イソリクイリチン3%、リクイリチゲニン含量は2%、イソリクイチゲニン含量は1%であった。
【0026】
[比較例]
甘草(Glycyrrhiza glabra)の根茎を粉砕し、チップ状にした。この甘草チップ1.0kgを10Lの水で一晩抽出した後、固液分離し減圧濃縮後、噴霧乾燥させることで250gの褐色抽出物粉末である甘草抽出物を得た。この甘草抽出物についてHPLC分析を行った結果、グリチルリチン酸含量は10%であり、フラボノイド類(リクイリチン、イソリクイリチン、リクイリチゲニン、イソリクイリチゲニン)含量は1.2%であった。フラボノイド類含量1.2%のうち、リクイリチン0.7%、イソリクイリチン0.3%、リクイリチゲニン含量は0.1%、イソリクイチゲニン含量は0.1%であった。下記に、グリチルリチン含量、リクイリチゲニン含量、リクイリチン含量、イソリクイチゲニン及びイソリクイリチン含量のHPLC分析条件を示す。
【0027】
(1)グリチルリチン酸
<HPLC条件>
カラム:Nucleosil−II 5C18 HG
溶媒 :2%酢酸:アセトニトリル(体積比)=60:40
流速 :1.0mL/min
検出 :254n m
温度 :40℃
注入量:20μL
【0028】
(2)リクイリチゲニン、リクイリチン
<HPLC条件>
カラム:Nucleosil−II 5C18 HG
溶媒 :アセトニトリル:水:酢酸(体積比)=20:75:5
流速 :1.0mL/min
検出 :280nm
温度 :45℃
注入量:20μL
【0029】
(3)イソリクイリチン、イソリクイリチゲニン
<HPLC条件>
カラム:Nucleosil−II 5C18 HG
溶媒 :アセトニトリル:水:酢酸(体積比)=30:65:5
流速 :1.0mL/min
検出 :350nm
温度 :45℃
注入量:20μL
【0030】
(1)イチゴ
イチゴを用いたプランターでの栽培試験を実施した。実施例の甘草抽出物及び比較例の甘草抽出物の0.1%水溶液を調製し、1株あたり50mLを7日間間隔で4回株元潅水した。最終の株元潅水から5日後に実施例の無散布、実施例の甘草抽出物及び比較例の甘草抽出物施用のイチゴをそれぞれ10粒採取し、糖度計で糖度(Bx)を測定し、平均値をとった。
【0031】
【表1】
【0032】
(2)イチゴ
イチゴを用いたプランターでの栽培試験を実施した。実施例の甘草抽出物の0.2%水溶液を調製し、1株あたり50mLを10日間間隔で6回葉面散布した。最終の葉面散布から3日後に無散布及び実施例の甘草抽出物施用のイチゴをそれぞれ15粒採取し、糖度計で糖度(Bx)を測定し平均値をとった。
【0033】
【表2】
【0034】
(3)モモ
モモを用い露地での栽培試験を実施した。実施例の甘草抽出物を1樹(本)あたり500gの1ヶ月間隔で3回土壌散布した。最終の施用から20日後に無散布及び実施例の甘草抽出物施用のモモをそれぞれ10個採取し、糖度計で糖度(Bx)と果実質量を測定し、それぞれの平均値をとった。
【0035】
【表3】
【0036】
(4)サクランボ
サクランボを用いた露地での栽培試験を実施した。実施例の甘草抽出物を1樹(本)あたり500gの1ヶ月間隔で3回土壌散布した。最終の施用から28日後に無散布及び実施例の甘草抽出物施用のサクランボをそれぞれ10個採取し、糖度計で糖度(Bx)と果実質量を測定し、それぞれの平均値をとった。
【0037】
【表4】
【0038】
(5)サクランボ
サクランボを用いた露地での栽培試験を実施した。実施例の甘草抽出物の0.66%水溶液を調製し、1樹(本)あたり15Lを10日間間隔で3回葉面散布した。最終の葉面散布から3日後に無散布及び実施例の甘草抽出物施用のサクランボをそれぞれ8粒採取し、糖度計で糖度(Bx)を測定し平均値をとった。
【0039】
【表5】
【0040】
(6)ブドウ
ブドウを用いた露地での栽培試験を実施した。実施例の甘草抽出物の1樹(本)あたり500gを1ヶ月間隔で3回土壌散布した。最終の施用から10日後に無散布及び実施例の甘草抽出物施用のブドウ各3房からそれぞれ10粒を採取し、糖度計で糖度(Bx)を測定し、平均値をとった。
【0041】
【表6】
【0042】
(7)トマト
トマトを用いたプランターでの栽培試験を実施した。実施例の甘草抽出物の0.2%水溶液を調製し、1株あたり100mLを10日間間隔で6回株元潅水した。最終の株元潅水から5日後に無散布及び実施例の甘草抽出物施用のトマトをそれぞれ5個採取し、糖度計で糖度(Bx)及び果実質量を測定し、平均値をとった。
【0043】
【表7】
【0044】
(8)トマト
トマトを用いたプランターでの栽培試験を実施した。実施例の甘草抽出物及び比較例の甘草抽出物の0.1%水溶液を調製し、1株あたり100mLを7日間間隔で4回葉面散布した。最終の葉面散布から7日後に無散布、実施例の甘草抽出物及び比較例の甘草抽出物施用トマトをそれぞれ15個採取し、糖度計で糖度(Bx)を測定し平均値をとった。
【0045】
【表8】
【0046】
(9)コマツナ
実施例の甘草抽出物の0.1%水溶液を調製し、1aあたり10Lを5日間間隔で4回株元潅水した。最終の株元潅水から2日後に実施例の無散布及び実施例の甘草抽出物施用のコマツナをそれぞれ15束採取し、糖度計で糖度(Bx)を測定し、平均値をとった。また、8名のパネラーにて官能評価(良い方に1点)を行った。
【0047】
【表9】
【0048】
【表10】
【0049】
(1)〜(9)より、実施例の甘草抽出物施用による果実や野菜の糖度については、無散布及び比較例の甘草抽出物の野菜や糖度に比較して果実又は野菜の大きさは同等もしくは大きいのにも関わらず有意に高い結果であった。
【0050】
[処方例1]
下記組成の肥料(液体)を常法に基づいて調製した。
実施例1の甘草抽出物 30部
尿素 0.5部
リン酸カリウム 0.5部
エタノール 5部
水 64部
計 100部
【0051】
[処方例2]
下記組成の肥料(粉末)を常法に基づいて調製した。
実施例1の甘草抽出物 10部
魚粉 90部
計 100部