【解決手段】第1クラッド層20と、第1の光路長の第1光路用コア層22aと、第1光路用コア層22aの端側に形成されて傾斜面Sを備えた第1溝部22xと、第1の光路長より長い第2光路用コア層22bと、第2光路用コア層22bの端側に形成されて第1溝部22xより外側に配置された傾斜面Sを備えた第2溝部22yと、各々の傾斜面Sに形成された光路変換ミラーMと、第1光路用コア層22aと平行に配置された位置合わせ用パターンと、第1溝部22xと直交するライン上の位置の位置合わせ用パターンに形成され、第1溝部22xと同一形状のアライメント用溝部と、第2クラッド層24とを含み、第2光路用コア層22bの第2溝部22yは、第1光路用コア層22a及び位置合わせ用パターンよりも外側に配置されている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0015】
実施形態を説明する前に関連技術(予備的事項)について説明する。
図1には、光路の異なる2系統の光導波路の一端側に、2つの発光素子を2列に配置してそれぞれ光結合させた光導波路装置が示されている。実際には光導波路の両端側に発光素子及び受光素子がそれぞれ光結合されるが、
図1では、光導波路の光入力側の領域が示されている。
【0016】
図1に示すように、下側に複数の第1光導波路100が並んで配置され、第1光導波路100の上に第2光導波路200が積層されている。第2光導波路200は第1光導波路100の間の領域上に並んで配置されている。
【0017】
第1光導波路100は、コア層140が第1クラッド層120及び第2クラッド層160で囲まれた構造を有する。同様に、第2光導波路200は、コア層240が第1クラッド層220及び第2クラッド層260で囲まれた構造を有する。
【0018】
下側の第1光導波路100の一端側には第2クラッド層160からコア層140を分断するように傾斜面Sを備えた溝100aが形成されている。溝100aの傾斜面Sには光反射性の金属層からなる光路変換ミラーMが設けられている。
【0019】
上側の第2光導波路200は下側の第1導波路100より光路長が短く設定されている。また同様に、第2光導波路200の一端側には第2クラッド層260からコア層240を分断するように傾斜面Sを備えた溝200aが形成されている。溝200aの傾斜面Sには光反射性の金属層からなる光路変換ミラーMが設けられている。
【0020】
このようにして、下側の第1光導波路100の光路変換ミラーMの位置は、上側の第2光導波路200の光路変換ミラーMの位置より外側に配置されている。
【0021】
そして、第1光導波路100の光路変換ミラーMに発光部400aが光結合されるように第1発光素子400が実装されている。また、第2光導波路200の光路変換ミラーMに発光部420aが光結合されるように第2発光素子420が実装される。
【0022】
これにより、第1発光素子400及び第2発光素子420が異なる光路の第1、第2光導波路100,200にそれぞれ光結合される。
【0023】
関連技術では、第1光導波路100の上に第2光導波路200を積層しているため、第1光導波路100に光結合される第1光発光素子400の光経路の距離d1は、第2発光素子420の光経路の距離d2より第2光導波路200の厚み分だけ遠くなってしまう。このため、第1発光素子400に係る光の結合損失の悪化の原因となり、光特性の十分な信頼性が得られなくなる。
【0024】
図示されていないが、光導波路の光出力側に光結合される2つの受光素子においても、下側の第1光導波路100に光結合される受光素子は光経路が遠くなり、同様な問題が発生する。
【0025】
図2には、
図1と同一の積層構造の光導波路に2列の第1、第2発光部を内蔵する発光素子500が光結合された例が示されている。
図2に示すように、発光素子500には、第1発光部500a及び第2発光部500bが2列に並んで配置されている。
【0026】
発光素子500は、その第1発光部500aが第1光導波路100の光路変換ミラーMに光結合され、その第2発光部500bが第2光導波路200の光路変換ミラーMに光結合されるようにして実装される。
【0027】
そのような2列の第1、第2発光部500a,500bを内蔵する発光素子500を実装する場合は、第1発光部500aの光経路の距離d1は第2発光部500bの光経路の距離d2より第2光導波路200の厚み分だけ遠くなる。このため、
図1と同様に、発光素子500の第1発光部500aに係る光の結合損失の悪化の原因となり、光特性の十分な信頼性が得られなくなる。
【0028】
図示されていないが、光導波路の光出力側に光結合される2列の第1、第2受光部を内蔵する受光素子においても、下側の第1光導波路100に光結合される第1受光部の光経路が遠くなり、同様な問題が発生する。
【0029】
後述する実施形態では、光路長が異なる複数系統のコア層を同一面上に並べて形成できるようにしたので、前述したような光の結合損失が悪化する問題を解消することができる。
【0030】
(第1の実施の形態)
図3〜
図9は第1実施形態の光導波路の製造方法を示す断面図及び平面図、
図10は第1実施形態の光導波路を示す断面図及び平面図である。
【0031】
第1実施形態の光導波路の製造方法では、
図3(a)に示すように、まず、基板10を用意する。本実施形態の基板10は最終的に除去される仮基板として用意され、引き剥がして除去できるポリカーボネート樹脂などからなる。
【0032】
次いで、基板10の上に第1クラッド層を得るための感光性樹脂層(不図示)を形成し、フォトリソグラフィに基づいて露光/現像を行った後に、感光性樹脂層を100〜140℃程度の加熱処理によって硬化させる。これより、基板10上の光導波路形成領域に第1クラッド層20が形成される。第1クラッド層20の厚みは、例えば10〜20μm程度である。
【0033】
感光性樹脂層としては、UV硬化型エポキシ樹脂などが好適に使用される。感光性樹脂層の形成方法としては、半硬化状態(B−ステージ)の感光性樹脂シートを貼付してもよいし、あるいは、液状の感光性樹脂を塗布してもよい。
【0034】
後述する第1光路用コア層、第2光路用コア層及び第2クラッド層を形成する工程においても同様な樹脂が好適に使用される。
【0035】
次いで、
図3(b)に示すように、第1クラッド層20の上に第1光路用コア層を得るための感光性樹脂層(不図示)を形成する。さらに、フォトリソグラフィに基づいて露光/現像を行った後に、感光性樹脂層を100〜140℃程度の加熱処理によって硬化させる。これにより、第1クラッド層20の上に第1の光路長を有する第1光路用コア層22aが帯状パターンとして形成される。
【0036】
図3(b)の平面図に示すように、第1クラッド層20の上に横方向に延在する帯状の第1光路用コア層22aが縦方向に並んで配置される。第1光路用コア層22aはその屈折率が第1クラッド層20及び後述する第2クラッド層の屈折率よりも高くなるように設定される。第1光路用コア層22aの厚みは、例えば30〜80μm程度である。
【0037】
本実施形態では、第1クラッド層20の上に光路長の異なる2系統のコア層を形成するので、複数の第1光路用コア層22aの間に第2光路用コア層を配置するための領域Aが確保される。
【0038】
また同時に、第1クラッド層20の上に第1光路用コア層22aと同一層からなる位置合わせ用パターンPが形成される。位置合わせ用パターンPは第1光路用コア層22aと平行に配置され、第1光路用コア層22aの長手方向の両端部に対応する領域にそれぞれ配置される。
【0039】
次いで、
図4に示すように、第1光路用コア層22aの光路変換部になる部分を切削装置の回転ブレードにより厚み方向に分断するように切削して加工する。この加工方法はダイシングカットとも呼ばれる。
【0040】
これにより、第1光路用コア層22aの両端側に傾斜面Sを備えた溝部22xがそれぞれ形成される。傾斜面Sは第1光路用コア層22aの延在方向(光伝播方向)と所定の角度(好ましくは45°)で交差して傾斜するように形成される。
【0041】
このとき同時に、第1光路用コア層22aの溝部22xに対応する位置合わせ用パターンPの位置に回転ブレードによってアライメント用溝部AGが形成される。アライメント用溝部AGは第1光路用コア層22aの溝部22xと同一形状に加工される。
【0042】
溝部22x及びアライメント用溝部AGは、第1光路用コア層22aを分断してさらに第1クラッド層20の厚みの途中まで形成されるようにしてもよい。
【0043】
次いで、
図5に示すように、第1クラッド層20及び第1光路用コア層22aの上に第2光路用コア層を得るための感光性樹脂層(不図示)を形成する。さらに、フォトリソグラフィに基づいてフォトマスクを介して露光し、現像を行った後に、感光性樹脂層を100〜140℃程度の加熱処理によって硬化させる。
【0044】
これにより、第1クラッド層20上の第1光路用コア層22aの間の領域Aに、第2光路用コア層22bが第1光路用コア層22aと平行に配置されて形成される。第2光路用コア層22bは第1光路用コア層22aと同一材料から形成され、第1光路用コア層22a及び第2光路用コア層22bが混在する配置ピッチは例えば125μm程度に設定される。
【0045】
図5の例では、第1光路用コア層22a及び第2光路用コア層22bが交互に並んで配置されているが、第1クラッド層20上の第1光路用コア層22aの横領域に第2光路用コア層22bが配置されるようにすればよい。
【0046】
また、第2光路用コア層22bは、第1の光路長を有する第1光路用コア層22aより長い第2の光路長を有して形成され、第2光路用コア層22bの両端部E2が第1光路用コア層22aの両端部E1から外側にそれぞれ配置される。
【0047】
第2光路用コア層22bを形成する工程において、フォトリソグラフィで使用されるフォトマスクを位置合わせする際に、前述した位置合わせ用パターンPに形成されたアライメント用溝部AGを利用して位置合わせが行われる。位置合わせ用パターンPに形成されたアライメント用溝部AGは、第1光路用コア層22aの溝部22xに対応する位置に配置されている。
【0048】
従って、アライメント用溝部AGによって位置合わせされて形成された第2光路用コア層22bの両端部E2は、第1光路用コア層22aの溝部22xから所定寸法だけ外側の位置に配置される。つまり、第2光路用コア層22bの両端部E2は第1光路用コア層22aの溝部22xに精度よく位置合わせされて配置される。
【0049】
次いで、
図6に示すように、第2光路用コア層22bの両端側を切削装置の回転ブレードにより厚み方向に分断するように切削して加工する。これにより、第1光路用コア層22aと同様に、第2光路用コア層22bの両端側に傾斜面Sを備えた溝部22yがそれぞれ形成される。傾斜面Sは第2光路用コア層22bの延在方向(光伝播方向)と所定の角度(好ましくは45°)で交差して傾斜するように形成される。
【0050】
第2光路用コア層22bの光路長は第1光路用コア層22aの光路長より長く設定されており、第2光路用コア層22bの溝部22yは第1光路用コア層22aの溝部22xの位置より外側に配置される。
【0051】
前述したように、第2光路用コア層22bは、第1光路用コア層22aの溝部22xに位置合わせされて配置される。従って、切削装置の回転ブレードで第2光路用コア層22bの両端側の所定位置を切削することにより、第2光路用コア層22bの溝部22yを第1光路用コア層22aの溝部22xから所望寸法だけ外側の位置に精度よく配置することができる。
【0052】
このように、最初に、光路長が短い方の第1光路用コア層22aの両端側に溝部22xを形成し、その後に、光路長が長い方の第2光路用コア層22bの両端側に溝部22yを形成している。このため、第1光路用コア層22aに溝部22xを形成するときに、その溝部22xに対応する位置に第2光路用コア層22bが存在しないので、第2光路用コア層22bに不必要な溝部が形成されるおそれがない。
【0053】
図6では、光路長が異なる2系統の第1光路用コア層22a及び第2光路用コア層22bを順次形成する例を示すが、光路長が異なるn系統(nは2以上の整数)の第1〜第n光路用コア層を順次形成することができる。
【0054】
図7には、第1光路用コア層22a、第2光路用コア層22b及び第3光路用コア層22cを順次形成した例が示されている。第3光路用コア層22cにおいても、第2光路用コア層22bの両端から外側の位置に傾斜面Sを備えた溝部22zが形成される。
【0055】
このように、光路長が短い方から順にコア層の形成と溝の形成の一連の工程を繰り返すことにより、光路長が異なって両端側に溝部(傾斜面)を備えた複数のコア層を第1クラッド層の同一面上に並べて形成することができる。
【0056】
次の工程では、
図6の構造体を使用して光導波路を製造する方法について説明する。
図8に示すように、マスクを使用するスパッタ法又は蒸着法により、第1光路用コア層22aの溝部22xの傾斜面S及び第2光路用コア層22bの溝部22yの傾斜面Sのみに光反射性の金属層30を部分的にそれぞれ形成する。
【0057】
光反射性の金属層30としては、金(Au)層、アルミニウム(Al)層、又は銀(Ag)層などが使用され、その厚みは0.2〜0.5μmに設定される。
【0058】
第1光路用コア層22a及び第2光路用コア層22bの各傾斜面Sに形成された金属層30が光路変換ミラーMとして機能する。
【0059】
続いて、
図9に示すように、第1クラッド層20、第1光路用コア層22a、第2光路用コア層22b、及び金属層30の上に、第2クラッド層を得るための感光性樹脂層(不図示)を形成する。
【0060】
さらに、フォトリソグラフィに基づいて露光/現像を行った後に、感光性樹脂層を100〜140℃程度の加熱処理によって硬化させる。これにより、第1光路用コア層22a及び第2光路用コア層22bを被覆する第2クラッド層24が形成される。
図9の平面図では、第2クラッド層24が透視的に描かれている。
【0061】
以上により、第1光路用コア層22a及び第2光路用コア層22bが第1クラッド層20及び第2クラッド層24で囲まれた構造体が得られる。
【0062】
次いで、
図10に示すように、
図9の構造体から基板10を除去することにより第1クラッド層20の下面を露出させる。基板10はポリカーボネート樹脂などからなり、第1クラッド層20との界面から引き剥がすことにより、容易に除去することができる。
【0063】
以上により、本実施形態の光導波路1が得られる。なお、基板10を除去せずに基板10を含めて光導波路とすることも可能である。
【0064】
以上説明したように、第1実施形態の光導波路の製造方法では、光路長が短い方の第1光路用コア層22aの両端側に溝部22x(傾斜面S)を形成した後に、第1クラッド層20の同一面上に光路長が長い方の第2光路用コア層22bを形成し、その両端側に溝部22y(傾斜面S)を形成する手法を採用している。
【0065】
本実施形態と違って、光路長が異なる2系統のコア層を基板上に同時に形成する場合は、光路長が短い方のコア層に溝部を形成する際に、光路長の長い方のコア層にもそれに対応する位置に溝部が形成されるため、光路長の長い方のコア層が機能しなくなる。
【0066】
本実施形態では、光路長が短い方から順にコア層の形成及び溝部の形成を行い、内側から外側に順に溝部が配列されるようにするので、積層することなく第1クラッド層20の同一面上に光路長が異なる複数の系統のコア層を並べて形成することが可能になる。
【0067】
図10に示すように、第1実施形態の光導波路1では、第1クラッド層20の同一面上に第1光路用コア層22a及び第2光路用コア層22bが並んで配置されている。第2光路用コア層22bは第1光路用コア層22aの間の領域にそれと平行になって配置されている。第2光路用コア層22bの光路長は第1光路用コア層22aの光路長より長く設定されている。
【0068】
第1光路用コア層22aの両端側には傾斜面Sを備えた溝部22xがそれぞれ形成されている。また、第2光路用コア層22bの両端側に傾斜面Sを備えた溝部22yがそれぞれ形成されている。第2光路用コア層22bの溝部22yは第1光路用コア層22aの溝部22xより外側の位置に配置されている。
【0069】
さらに、第1光路用コア層22a及び第2光路用コア層22bを被覆する第2クラッド層24が形成されている。
【0070】
第1実施形態の光導波路1は、前述した製造方法で製造されるため、異なる位置に光路変換ミラーMを備える2系統の第1光路用コア層22a及び第2光路用コア層22bを積層することなく第1クラッド層20の同一面上に並べて配置することができる。
【0071】
このため、後述するように、第1光路用コア層22a及び第2光路用コア層22bに光結合される光デバイス(発光素子及び受光素子)は、共に光路変換ミラーMまでの光経路を最短に設定できるため、光の結合損失の悪化が回避され、光特性の十分な信頼性が得られる。
【0072】
次に、第1実施形態の光導波路1を使用する光導波路装置について説明する。
【0073】
図11には、第1実施形態の第1の光導波路装置2が示されている。
図11に示すように、第1の光導波路装置2では、前述した
図10の光導波路1の第1クラッド層20の外面側が配線基板5の上に接着されて配置されている。配線基板5では、ガラスエポキシ樹脂などの絶縁基板40の両面側に電気配線として機能する配線層42がそれぞれ形成されている。
【0074】
絶縁基板40にはスルーホールTHが設けられており、スルーホールTH内には金属が充填された貫通電極44が形成されている。両面側の配線層42は貫通電極44を介して相互接続されている。さらに、絶縁基板40上面側の周縁部にはソルダレジスト46が枠状に形成されている。
【0075】
また、絶縁基板40の下面側に、配線層42の接続部上に開口部47aが設けられたソルダレジスト47が形成されている。絶縁基板40の下面側の配線層42の接続部を外部接続用ランドとしてもよいし、配線層42の接続部にはんだボールを搭載するなどして外側に突出する外部接続端子を設けてもよい。
【0076】
配線基板5としてリジット基板を例示するが、ポリイミドフィルムなどを基板に使用するフレキシブル基板を使用してもよい。
【0077】
そして、光導波路1の第1光路用コア層22aの一端側(左側)の光路変換ミラーMに光結合するように、第1発光素子50が配線基板5の接続パッド(不図示)に接続されて実装されている。第1発光素子50の裏面には複数の発光部50aが設けられており、各発光部50aが各第1光路用コア層22aの光路変換ミラーMに光結合される。
【0078】
また、光導波路1の第1光路用コア層22aの他端側(右側)の光路変換ミラーMに光結合するように、第1受光素子60が配線基板5の接続パッド(不図示)に接続されて実装されている。第1受光素子60の裏面には複数の受光部60aが設けられており、各受光部60aが各第1光路用コア層22aの光路変換ミラーMに光結合される。
【0079】
さらに、光導波路1の第2光路用コア層22bの一端側(左側)の光路変換ミラーMに光結合するように、第2発光素子52が配線基板5の接続パッド(不図示)に接続されて実装されている。第2発光素子52の裏面には複数の発光部52aが設けられており、各発光部52aが各第2光路用コア層22bの光路変換ミラーMに光結合される。
【0080】
また、光導波路1の第2光路用コア層22bの他端側(右側)の光路変換ミラーMに光結合するように、第2受光素子62が配線基板5の接続パッド(不図示)に接続されて実装されている。第2受光素子62の裏面には複数の受光部62aが設けられており、各受光部62aが各第2光路用コア層22bの光路変換ミラーMに光結合される。
【0081】
第1発光素子50及び第2発光素子52としては、面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)が好適に使用される。また、第1受光素子60及び第2受光素子62としては、フォトダイオードが好適に使用される。
【0082】
第1、第2発光素子50,52及び第1、第2受光素子60,62の下側の隙間に第2クラッド層24と同一樹脂又は光の屈折率が同一の樹脂からなるアンダーフィル樹脂(不図示)を充填してもよい。
【0083】
本実施形態の第1の光導波路装置2では、不図示の第1LSIチップ(ドライバなど)から出力される電気信号が第1発光素子50に供給され、第1発光素子50から下側に光が出射される。
【0084】
第1発光素子50から出射された光は、光導波路1の第1光路用コア層22aの一端側の光路変換ミラーMに到達する。さらに、光路変換ミラーM(金属層30)で光が反射され、光路が90°変換されて第1光路用コア層22aに入射する。
【0085】
次いで、第1光路用コア層22aに入射した光は、第1光路用コア層22a内で全反射を繰り返して伝播し、他端側の光路変換ミラーMに到達する。そして、他端側の光路変換ミラーM(金属層30)で光が反射されて光路が90°変換され、第1受光素子60に光が入射される。第1受光素子60は光信号を電気信号に変換し、不図示の第2LSIチップ(メモリなど)に電気信号が供給される。
【0086】
また同様に、電気信号が第2発光素子52に供給され、第2発光素子52から下側に光が出射される。第2発光素子52から出射された光は、光導波路1の第2光路用コア層22bの一端側の光路変換ミラーMに到達する。さらに、光路変換ミラーM(金属層30)で光が反射され、光路が90°変換されて第2光路用コア層22bに入射する。
【0087】
次いで、第2光路用コア層22bに入射した光は、第2光路用コア層22b内で全反射を繰り返して伝播し、他端側の光路変換ミラーMに到達する。そして、他端側の光路変換ミラーM(金属層30)で光が反射されて光路が90°変換され、第2受光素子62に光が入射される。
【0088】
本実施形態の第1の光導波路装置2では、所望の特性を有する2系統の光路をもつ光導波路1と位置精度よく配置された光路変換ミラーMとを備えているので、第1、第2発光素子50,52及び第1,第2受光素子60,62と光導波路1とを信頼性よく光結合させることができる。
【0089】
また、第1実施形態の第1の光導波路装置2では、第1光路用コア層22a及び第2光路用コア層22bが第1クラッド層20の同一面上に形成されている。このため、第1、第2発光素子50,52の各発光部50a,52a及び第1、第2受光素子60,62の各受光部60a,62aを共に光路変換ミラーMに接近させて光結合させることができる。
【0090】
従って、第1、第2発光素子50,52及び第1、第2受光素子60,62に係る光の結合損失が悪化することが回避され、光特性の十分な信頼性が得られる。
【0091】
図12には第1実施形態の第2の光導波路装置2aが示されている。第2の光導波路装置2aでは、複数列の発光部(第1発光部70a及び第2発光部70b)を内蔵した発光素子70が光導波路1に光結合されるように配線基板5に実装される。
【0092】
発光素子70の第1発光部70aは光導波路1の第1光路用コア層22aの一端側(左側)の光路変換ミラーMに対応するように一列に並んで配置されている。また、発光素子70の第2発光部70bは光導波路1の第2光路用コア層22bの一端側(左側)の光路変換ミラーMに対応するように一列に並んで配置されている。
【0093】
また、複数列の受光部(第1受光部72a及び第2受光部72b)を内蔵した受光素子72が光導波路1に光結合されるように配線基板5に実装される。受光素子72の第1受光部72aは光導波路1の第1光路用コア層22aの他端側(右側)光路変換ミラーMに対応するように一列に並んで配置されている。
【0094】
また、受光素子72の第2受光部72bは光導波路1の第2光路用コア層22bの他端側(右側)の光路変換ミラーMに対応するように一列に並んで配置されている。
【0095】
発光素子70及び受光素子72の下側の隙間に第2クラッド層24と同一樹脂又は光の屈折率が同一の樹脂からなるアンダーフィル樹脂(不図示)を充填してもよい。
【0096】
そして、発光素子70の第1発光部70aから出射させる光は、前述した第1の光導波路装置2の第1発光素子50の光経路と同様な経路で受光素子72の第1受光部72aに光が入射される。
【0097】
また、発光素子70の第2発光部70bから出射させる光は、前述した第1の光導波路装置2の第2発光素子52の光経路と同様な経路で受光素子72の第2受光部72bに光が入射される。
【0098】
第2の光導波路装置2aにおいても、発光素子70の第1、第2発光部70a,70b及び受光素子72の第1、第2受光部72a,72bを共に光路変換ミラーMに接近させて光結合させることができるので、光の結合損失が悪化することが回避され、光特性の十分な信頼性が得られる。
【0099】
(第2の実施の形態)
図13〜
図15は第2実施形態の光導波路の製造方法を示す断面図及び平面図である。前述した第1実施形態では、第1光路用コア層22a及び第2光路用コア層22bの各溝部22x,22yの各傾斜面Sに金属層30を一括して形成して光路変換ミラーMを得ている。第2実施形態では、各コア層を形成した後に、各コア層の溝部の傾斜面に金属層を個別に形成する。
【0100】
第2実施形態では、第1実施形態と同一工程及び同一要素には同一符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0101】
第2実施形態の光導波路の製造方法では、
図13に示すように、前述した
図4の工程で得られる構造体を作成し、第2光路用コア層を形成する前に、第1光路用コア層22aの溝部22xの傾斜面Sにマスク蒸着などにより光反射性の金属層30を部分的に形成して光路変換ミラーMを得る。
【0102】
次いで、
図14に示すように、第1実施形態と同様な方法により、第1光路用コア層22aの間の領域に第2光路用コア層22bを形成する。さらに、第2光路用コア層22bの両端部に、傾斜面Sを備える溝部22yをそれぞれ形成する。
【0103】
その後に、
図15に示すように、第2光路用コア層22bの溝部22yの傾斜面Sにマスク蒸着などにより光反射性の金属層30を部分的に形成して光路変換ミラーMを得る。
【0104】
これにより、第1実施形態の
図8と同一の構造体が得られる。その後に、第1実施形態の
図9及び
図10の工程を遂行することにより、第1実施形態の光導波路1と同一の光導波路が得られる。
【0105】
第2実施形態の光導波路の製造方法においても、第1実施形態と同一の効果を奏する。これに加えて、第2実施形態では、第1光路用コア層22a及び第2光路用コア層22bの各傾斜面Sに個別に金属層30を形成するので、各系統のコア層ごとに金属層の金属材料や積層構造を変更することができ、各コア層に最適な光路変換ミラーを形成することができる。