【解決手段】圧力差を利用して、粒度分布を有する粉体が気体に混合された混合物を搬送する気体輸送の輸送経路の上流側が混合物入口に接続され、下流側が排気管に接続されている旋回渦流式分級機で、混合物が気体輸送されて供給され粉体を粗粉と微粉とに分級する。混合物入口での気体の流入量、排気管での気体の流出量、混合物入口と排気管との圧力差、分級場の温度および分級場の圧力のうち、少なくとも1つを計測する計測部を有する。計測部による各計測値と、各計測値に対して予め設定された目標値とを比較し、計測値が目標値から外れる場合、計測値を目標値に近づけるように制御する制御部を有する。
圧力差を利用して前記粉体が前記気体に混合された前記混合物を搬送する気体輸送の輸送経路の上流側が前記混合物入口に接続され、下流側が前記排気管に接続されている請求項1に記載の旋回渦流式分級機。
前記計測部による各計測値と、前記各計測値に対して予め設定された目標値とを比較し、前記計測値が前記目標値から外れる場合、前記計測値を前記目標値に近づけるように制御する制御部を有する請求項1または2に記載の旋回渦流式分級機。
圧力差を利用して前記粉体が前記気体に混合された前記混合物を搬送する気体輸送の輸送経路の上流側が前記混合物入口に接続され、下流側が前記排気管に接続されている請求項8に記載の分級方法。
前記各計測値と、前記各計測値に対して予め設定された目標値とを比較し、前記計測値が前記目標値から外れる場合、前記計測値を前記目標値に近づけるように制御する工程を有する請求項8または9に記載の分級方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の粉体分級装置では、周縁に空気導入口が形成されており、排気管に接続されたファンにより接続管内が負圧にされると、空気導入口から外部の空気が導入され、外部の空気が分級に利用される。このため、特許文献1の粉体分級装置については、圧力差を利用して、粒度分布を有する粉体が気体に混合された混合物を搬送する気体輸送の輸送経路に粉体投入口と、排気管とが接続されるような形態(インライン方式)に用いることができない。
また、何らかの外的変化により、装置内の状態が変化した場合でも把握することができず、装置自体で何らかの対処をすることができない。
【0005】
本発明の目的は、圧力差を利用して、粒度分布を有する粉体が気体に混合された混合物を搬送する気体輸送路中に挿入して用いることができる旋回渦流式分級機を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、前記従来技術に基づく問題点を解消し、装置の状態を計測し、その計測結果に基づいて種々のパラメータを制御して粒度分布を持つ粉体を所望の粒径(分級点)において分級する旋回渦流式分級機および分級方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、粒度分布を有する粉体が気体に混合された混合物が気体輸送されて供給され、粉体を粗粉と微粉とに分級する旋回渦流式分級機であって、円錐体と、円錐体を覆うように設けられ、円錐体の頂部から広がる円錐面に沿って混合物の通路を形成し、かつ円錐体の頂部に相当する位置に形成された、混合物が供給される混合物入口を備えるカバーと、円錐体の下端に、円錐体の下端の周縁部から、その中心軸方向に向かって所定の角度で伸びるように、周縁部に沿って配置された複数のガイドベーンと、複数のガイドベーンで囲まれる領域の略中央に設けられた排気管と、排気管と二重配管状に配置された回収管とを有し、複数のガイドベーンで囲まれる領域が粉体を粗粉と微粉とに分級する分級場であり、排気管で微粉が回収され、回収管で粗粉が回収され、混合物入口での気体の流入量、排気管での気体の流出量、混合物入口と排気管との圧力差、分級場の温度、および分級場の圧力のうち、少なくとも1つを計測する計測部を有することを特徴とする旋回渦流式分級機を提供するものである。
【0007】
圧力差を利用して、粒度分布を有する粉体が気体に混合された混合物を搬送する気体輸送の輸送経路の上流側が混合物入口に接続され、下流側が排気管に接続されていることが好ましい。
計測部による各計測値と、各計測値に対して予め設定された目標値とを比較し、計測値が目標値から外れる場合、計測値を目標値に近づけるように制御する制御部を有することが好ましい。
混合物入口の上流側から輸送補助気体を供給する第1の気体供給部を備え、制御部は、計測値を目標値に近づけるように、第1の気体供給部により輸送補助気体を混合物入口に導入することが好ましい。
【0008】
第1の気体供給部は、輸送補助気体の温度を調整する機能を備え、制御部は、計測値を目標値に近づけるように、第1の気体供給部で輸送補助気体の温度を調整させることが好ましい。
さらに、分級場の近傍に分級補助気体を供給する第2の気体供給部を備え、制御部は、計測値を目標値に近づけるように、第2の気体供給部により分級場の近傍に分級補助気体を供給することが好ましい。
【0009】
ガイドベーンは角度を調整可能に設けられており、ガイドベーンの角度を調整する調整部を備え、制御部は、計測値を目標値に近づけるように、調整部によりガイドベーンの角度を調整することが好ましい。
【0010】
本発明の第2の態様は、粒度分布を有する粉体が気体に混合された混合物が気体輸送されて供給され、粉体を粗粉と微粉とに分級する旋回渦流式分級機を用いた分級方法であって、旋回渦流式分級機は、円錐体と、円錐体を覆うように設けられ、円錐体の頂部から広がる円錐面に沿って混合物の通路を形成し、かつ円錐体の頂部に相当する位置に形成された、混合物が供給される混合物入口を備えるカバーと、円錐体の下端に、円錐体の下端の周縁部から、その中心軸方向に向かって所定の角度で伸びるように、周縁部に沿って配置された複数のガイドベーンと、複数のガイドベーンで囲まれる領域の略中央に設けられた排気管と、排気管と二重配管状に配置された回収管とを有し、複数のガイドベーンで囲まれる領域が粉体を粗粉と微粉とに分級する分級場であり、排気管で微粉が回収され、回収管で粗粉が回収されるものであり、混合物入口での気体の流入量、排気管での気体の流出量、混合物入口と排気管との圧力差、分級場の温度、および分級場の圧力のうち、少なくとも1つを計測して、粉体を粗粉と微粉とに分級することを特徴とする分級方法を提供するものである。
【0011】
圧力差を利用して、粒度分布を有する粉体が気体に混合された混合物を搬送する気体輸送の輸送経路の上流側が混合物入口に接続され、下流側が排気管に接続されていることが好ましい。
各計測値と、各計測値に対して予め設定された目標値とを比較し、計測値が目標値から外れる場合、計測値を目標値に近づけるように制御する工程を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、装置の状態に変動があっても、その変動の影響を抑制して、粒度分布を持つ粉体を所望の粒径(分級点)において分級することができる。
本発明の旋回渦流式分級機は、例えば、圧力差を利用して、粒度分布を有する粉体が気体に混合された混合物を搬送する気体輸送路中に挿入して用いることができる。しかも、この場合、前後に設けられる機器の圧力変動および流量変動等の影響を受けても、その影響を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の旋回渦流式分級機および分級方法を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態の旋回渦流式分級機を備えた分級システムを示す模式図である。
【0015】
図1に示す分級システム10(以下、単にシステムという)は、前段装置12と、旋回渦流式分級機14(以下、単に分級機という)と、回収部16と、吸引部18とを有し、それぞれ配管で接続されている。システム10において、分級機14に対して前段装置12側を上流側といい、回収部16側を下流側という。
システム10では、吸引部18を用いて吸引排気することにより、圧力差が生じ、この圧力差により粉体が気体に混合された混合物が気体輸送されて分級機14に供給され、分級機14では旋回空気流が形成され、粉体に旋回運動を与えて粗粉と微粉とに分離する。分級機14にはシステム10の系外の空気等の気体は取り入られておらず、分級機14は気体輸送路中に挿入される形で接続されている。なお、分級機14の設置方法は、気体輸送路中に挿入される形で接続される形態に限定されるものではない。
【0016】
分級機14の詳細について、
図2および
図3に示す。後述するように混合物入口40での気体の流入量、排気管53での気体の流出量、混合物入口40と排気管53との圧力差、分級場Bの温度、および分級場Bの圧力のうち、少なくとも1つを計測し、各計測値と、各計測値に対して予め設定された目標値とを比較し、計測値が目標値から外れる場合、計測値を目標値に近づけるように制御される。
【0017】
分級機14に流入する流入量および分級機14から流出する流出量を計測する流量計測部20と、分級機14の流入部の圧力および分級機14の流出部の圧力を計測する圧力計測部22とが設けられている。さらに、分級機14の分級場Bの温度を計測する温度センサ24および分級場Bの圧力を計測する圧力センサ26を有する。
また、分級機14の上流側の配管、および分級機14に気体を供給する気体供給部30と、分級機14の上段ガイドベーン49a、下段ガイドベーン49bの角度を調整するアクチュエータ32とを有する。
システム10の各部は図示されていない場合であっても制御部34に接続されており、システム10の各部は制御部34で制御される。
【0018】
前段装置12は、分級機14に粉体を供給するものである。前段装置12としては、粉体を供給する他、粉体となる前の原料を粉砕する粉砕機(図示せず)を設け、粉砕機で原料を粉砕して粉体を作製し、これを分級機14に供給するようにしてもよい。前段装置12による粉体の分級機14への搬送は、吸引部18で吸引排気された際に生じる圧力差によりなされるか、前段装置12側に設置された圧力源(図示せず)によって、生じる圧力差によってなされる。以下の説明は、吸引部18によって生じる圧力差によって粉体を輸送する場合を例にとって説明する。
【0019】
分級機14は、前段装置12に配管を介して接続されており、粒度分布を有する粉体が気体に混合された混合物が気体輸送されて供給され、粉体を粗粉と微粉とに分級するものである。なお、分級機14については、後に詳細に説明する。
【0020】
回収部16は、分級機14で分級された粒子を回収するものであり、内部にバグフィルター(図示せず)が設けられている。回収部16も、その構成は、特に限定されるものではなく、公知のものを利用することができる。このため、回収部16の構成の詳細な説明は省略する。回収部16としては、例えば、特許第4640961号公報に記載の回収部を用いることができる。
【0021】
回収部16の下流側に吸引部18が設けられている。吸引部18は、吸引排気することにより、回収部16を負圧にしてシステム10の前段装置12側を相対的に正圧にして、その圧力差により粉体を気体輸送し、分級するためのものである。吸引部18による吸引によって生じる負圧により、粉体の気体輸送、分級機14での分級、および回収部16での粒子の回収がなされる。
吸引部18は、上述の気体輸送および分級ができれば、その構成は特に限定されるものではなく、ターボ式ブロア等を用いることができる。
【0022】
次に、分級機14について説明する。
図2は本発明の実施形態の旋回渦流式分級機を示す模式的断面図であり、
図3は本発明の実施形態の旋回渦流式分級機を一部切欠いて示す平面図である。
図2に示すように、分級機14では、カバー43の混合物入口40のすぐ下に頂部42aが位置するように粉体分散用の円錐体42が設けられている。この円錐体42を覆うように円錐体42の円錐面からわずかに離間して円錐状のカバー43が設けられる。カバー43と円錐体42の円錐面との間の隙間が粉体の分散経路44になり、円錐体42の頂部42aから広がる円錐面に沿って混合物の分散経路44が形成される。分散経路44は下端でくの字状に内側に曲げてある。すなわち、分散経路44は下端で内側に折曲っている。なお、前段装置12が配管を介して混合物入口40に接続されており、混合物入口40から混合物が供給される。
【0023】
円錐体42の下端外周部にはリング状のケーシング45が取り付けられている。このケーシング45は上下2段の上段リング45a、下段リング45bからなり、上段リング45aはカバー43の下端に固定されている。
ケーシング45の上段リング45a、下段リング45bとの間にはリング状の仕切板48が設けられており、この仕切板48で上下2段に分割された多数の上段ガイドベーン49aおよび下段ガイドベーン49bが円周方向に沿って略平行に配置されている。上段ガイドベーン49aおよび下段ガイドベーン49bは、円錐体42の中心軸D方向に向かって所定の角度で伸びている。
分散経路44のくの字状下端が上段ガイドベーン49aの略中央に開口している。仕切板48の外周近くには円周方向に沿って等間隔に半径方向に延びる長孔48aが形成された上段ガイドベーン49a、下段ガイドベーン49bの外側端部に設けられたピン50がそれぞれ長孔48aに係合している。
一方、上段ガイドベーン49a、下段ガイドベーン49bの内側端部に設けられたピン51は、ケーシング45の上段リング45aに枢着されている。上段ガイドベーン49aおよび下段ガイドベーン49bは、仕切板48を回動させることで、その角度を調整することができる。
【0024】
ケーシング45の下段リング45bの中央開口部には別の円板52が取り付けられ、その中央開口52aに排気管53が接続されている。すなわち、複数の上段ガイドベーン49aおよび下段ガイドベーン49bで囲まれる領域の略中央に排気管53が設けられている。排気管53の後段に回収部16が接続されている。
ケーシング45の下側には分級された粗粉を収集する粗粉回収管60(回収管)が設けられている。粗粉回収管60は、排気管53と二重配管状に設けられている。
この粗粉回収管60の下端にはロータリーバルブ(図示せず)を介してホッパー62が設けられている。なお、ガイドベーンは2段構成としたが、1段構成であってもよい。また、混合物入口40の上流側にサイトグラスを設けてもよい。
【0025】
図1に示すように、システム10には、分級機14について、混合物入口40での気体の流入量および排気管53での気体の流出量を計測する流量計測部20と、混合物入口40と排気管53との圧力差を計測する圧力計測部22と、分級場Bの温度を計測する温度センサ24と、分級場Bの圧力を計測する圧力センサ26との各種の計測部を有する。
混合物入口40での気体の流入量、排気管53での気体の流出量、混合物入口40と排気管53との圧力差、分級場Bの温度、および分級場Bの圧力のうち、少なくとも1つを計測すればよいため、流量計測部20、圧力計測部22、温度センサ24および圧力センサ26のうち、少なくとも1つを設ければよい。
【0026】
流量計測部20は、気体の流入量および排気管53での気体の流出量を計測することができれば、その構成および計測位置は、特に限定されるものではない。流量計測部20の計測位置は、混合物や、特にそれに含まれる微粉の影響が少ない位置であることが好ましい。
圧力計測部22は、混合物入口40の圧力と排気管53の圧力を計測し、混合物入口40と排気管53との圧力差を求めることができれば、その構成および計測位置は、特に限定されるものではない。圧力計測部22の計測位置は、混合物や、特にそれに含まれる微粉の影響が少ない位置であることが好ましい。
【0027】
温度センサ24は、分級場Bの温度を計測できれば、その構成および計測位置は、特に限定されるものではない。例えば、熱電対を用いることができる。
圧力センサ26は、分級場Bの圧力を計測できれば、その構成および計測位置は、特に限定されるものではない。例えば、歪みゲージを用いたもの等を用いることができる。
【0028】
分級機14の混合物入口40の上流側の配管から輸送補助気体を供給する気体供給部30が設けられている。この気体供給部30は、配管70を介して混合物入口40の上流側に接続されている。これにより、混合物入口40の上流側に気体供給部30から輸送補助気体を混合物入口40に供給することができる。気体供給部30は、輸送補助気体を、その温度を変えて供給する機能も有する。気体供給部30による輸送補助気体の混合物入口40への供給の有無、供給量、および輸送補助気体の温度は、いずれも制御部34で制御される。混合物入口40の上流側に輸送補助気体を供給することにより、混合物入口40への混合物、特に気体の供給圧力を高くすることができる。また、輸送補助気体の温度を変えることにより、混合物、特に気体を適正な温度で気体輸送することができる。
【0029】
また、気体供給部30は、分級機14のケーシング45に配管72を介して接続されている。気体供給部30は、分散経路44を経て、分級場Bの近傍に分級補助気体を供給することができる。気体供給部30による分級場Bの近傍への分級補助気体の供給の有無および供給量は、いずれも制御部34で制御される。分級場Bの近傍への分級補助気体を供給することにより、分級精度を向上させることができる。
【0030】
輸送補助気体および分級補助気体は、例えば、空気であるが、分級機14の使用状況に応じて、空気以外の気体が適宜使用される。
なお、気体供給部30は、混合物入口40への輸送補助気体の供給、および分級場の近傍への分級補助気体の供給をするものを兼ねるものとしたが、これに限定されるものではなく、それぞれ別々の気体供給部を設ける構成でもよい。
気体供給部30の構成としては、空気等の気体を供給でき、かつ空気等の気体の温度を変えることができる機能を有するものであれば、特に限定されるものではなく、公知のものを適宜用いることができる。
【0031】
アクチュエータ32(調整部)は、上段ガイドベーン49a、下段ガイドベーン49bの角度を調整するためのものである。
アクチュエータ32は仕切板48に接続されており、アクチュエータ32により仕切板48が回動される。アクチュエータ32は、仕切板48を回動させることができれば、その構成は、特に限定されるものではない。例えば、サーボモータ、ステッピングモータ等を用いることができる。
【0032】
分級点は粉体に与えられる遠心力の大きさ、すなわち、上段ガイドベーン49a、下段ガイドベーン49bの角度と吸引部18による吸引力とによって決まる。しかしながら、吸引部18による吸引力は変えずに一定にしておけば、上段ガイドベーン49a、下段ガイドベーン49bの角度だけを調整するだけで分級点を変えることができる。
以下、上段ガイドベーン49a、下段ガイドベーン49bの角度調整について説明する。
アクチュエータ32により仕切板48が回動させると、その長孔48aにピン係合した上段ガイドベーン49a、下段ガイドベーン49bがピン51を中心に回動するので、上段ガイドベーン49a、下段ガイドベーン49bの角度を変えることができる。
上段ガイドベーン49a、下段ガイドベーン49bの先端が排気管53からより離れる方向に角度を変えたとき、分級点を小さくすることができる。
【0033】
次に、分級機14による粉体の分級について説明する。
前段装置12から、粒度分布を有する粉体が気体に混合された混合物が分級機14の混合物入口40に供給される。このとき、吸引部18で吸引されることで、システム10の系内に圧力差が生じ、粉体が空気に混合された混合物として分級機14に空気輸送される。
混合物入口40から投入された粉体は、円錐体42の頂部42aに当って八方に分散され分散経路44を通って下方に落下する。そして、空気が粉体とともに分散経路44を通って導入され、くの字状の分散経路44下端から上段ガイドベーン49a、下段ガイドベーン49bの略中央に流入する。上段ガイドベーン49a、下段ガイドベーン49b間を流れる空気流は上段ガイドベーン49a、下段ガイドベーン49bの向きと円板52の中央開口の位置との関係により
図3に示す矢印Aで示すような旋回流となり、渦流状となって中央開口に向かい排気管53に流れ込む。
【0034】
ところで、円錐体42の底面42bと上段ガイドベーン49a、下段ガイドベーン49bの内周側空気通路との間の領域は分級場Bを形成しており、分散経路44を通って上段ガイドベーン49a、下段ガイドベーン49b間に落下した粉体は空気流に乗って一気に加速され分級場Bに運ばれ、ここで遠心力を与えられる。この分級場Bにおいて粉体は遠心力と空気流による抗力とのバランスで粒径の比較的小さい微粉は中心近くまで運ばれて円板52の中央開口52aから排気管53に吸収され、粒径の比較的大きい粗粉はケーシング45の下段リング45bと円板52との間の開口部Cから粗粉回収管60内に落下する。このようにして微粉と粗粉とが分級される。分級された微粉は、回収部16で回収される。
【0035】
本実施形態では、分級機14により分級の際に、上述のように、流量計測部20で混合物入口40での気体の流入量および排気管53での気体の流出量、圧力計測部22で混合物入口40と排気管53との圧力差、温度センサ24で分級場Bの温度、圧力センサ26で分級場Bの圧力のうち、少なくとも1つを計測する。制御部34に計測値が入力される。
制御部34では、各計測部の各計測値に対して、予め設定された目標値が記憶されている。なお、目標値は所定の範囲を有する。
【0036】
制御部34で計測値と目標値とを比較して、計測値が目標値から外れる場合、計測値を目標値に近づけるように制御する。分級機14では、装置の状態を計測し、その計測結果に基づいて種々のパラメータを制御して粒度分布を持つ粉体を所望の粒径(分級点)において分級する。
例えば、混合物入口40と排気管53との圧力差が目標値よりも小さければ、制御部34が気体供給部30から輸送補助気体を所定の流量で混合物入口40に供給させる。また、分級場Bの温度が目標値よりも高ければ、制御部34が気体供給部30から温度が低い輸送補助気体を所定の流量で混合物入口40に供給させる。
分級場Bの圧力が目標値よりも低ければ、制御部34が気体供給部30から所定の流量で分級場Bの近傍に分級補助気体を供給させる。このように、装置の状態を計測し、その計測結果に基づいて種々のパラメータを制御することで、粒度分布を持つ粉体を所望の粒径(分級点)において分級することができる。
【0037】
なお、上述の計測値以外にも、計測値として計測してもよいことはもちろんであり、計測された値に基づいて、制御部34により目標値となるように制御する。
本発明では、例えば、分級機14を気体輸送路中に挿入される形で接続される形態で用いた場合、前後に設けられる機器、例えば、前段装置12または回収部16の圧力変動および流量変動等の影響を受けても、分級機14の状態を計測し、その計測結果に基づいて分級機14の種々のパラメータを制御することで、その影響を抑制することができる。このため、気体輸送路中に挿入される形で接続される形態で使用することができる。
ここで、例えば、分級機のような装置を気体輸送経路内に設置するためには、一度、粉体を回収して常圧に戻した後、分級機に投入し、分級処理をした後、新たに気体輸送をする必要がある。具体的には、粉体を回収するための回収装置、分級機に供給するための供給装置を設置し、さらに処理した後の粉体を気体輸送するための圧力源等を新たに設ける必要があり、工業的にはコストアップの要因となる。しかしながら、本発明の分級機14では気体輸送路中に挿入される形で接続される形態で使用することができるため、上述のような装置が不要であり、複雑な装置の設置の必要がなく、装置構成を簡素化できる。このため、コストアップを抑制することができる。
【0038】
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の旋回渦流式分級機および分級方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。