【解決手段】コイル基板1は、第1の絶縁層20と、前記第1の絶縁層20上に形成されたコイルの一部となる配線30と、を備えた構造体1A〜1Gを複数個積層した積層体と、前記積層体の表面を被覆する絶縁膜70と、を有し、隣接する前記構造体の前記配線同士を直列に接続して螺旋状のコイルを形成した。
前記積層体を貫通する貫通孔が形成され、前記配線の端面の一部は前記貫通孔の内壁面から露出し、前記内壁面から露出する前記端面は前記絶縁膜で被覆されている請求項1乃至3の何れか一項記載のコイル基板。
前記構造体を複数個作製する工程では、第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層上に形成された金属層と、前記第1の絶縁層上に前記金属層を被覆して形成された第2の絶縁層と、を備えた構造体を作製し、
前記積層体を形成する工程では、夫々の前記構造体を接着層を介して順次積層する請求項10記載のコイル基板の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
[コイル基板の構造]
まず、本実施の形態に係るコイル基板の構造について説明する。
図1は、本実施の形態に係るコイル基板を例示する図である。なお、
図1(c)は平面図であり、
図1(a)は
図1(c)のA−A線に沿う断面図、
図1(b)は
図1(c)のB−B線に沿う断面図である。
図2は、本実施の形態に係るコイル基板を構成する各構造体の配線の形状を模式的に例示する斜視図である。
【0011】
図1及び
図2を参照するに、コイル基板1は、大略すると、第1構造体1Aと、第2構造体1Bと、第3構造体1Cと、第4構造体1Dと、第5構造体1Eと、第6構造体1Fと、第7構造体1Gと、接着層50
1〜50
7と、絶縁膜70とを有する。なお、
図1(c)において、絶縁層20
7、接着層50
7、及び接着層50
7上の絶縁膜70の図示は省略されている。又、
図1(c)において、便宜上、一部の部位を梨地模様で示している。
【0012】
又、以下の説明では、適宜、製造工程を示す図を参照するものとする。又、
図1では、便宜上、各開口部の符号を省略し、適宜、製造工程を示す図中の符号を参照するものとする。
【0013】
なお、本実施の形態では、便宜上、接着層50
7側を上側又は一方の側、絶縁層20
1側を下側又は他方の側とする。又、各部位の接着層50
7側の面を上面又は一方の面、絶縁層20
1側の面を下面又は他方の面とする。但し、コイル基板1は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。又、平面視とは対象物を絶縁層20
1の一方の面の法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物を絶縁層20
1の一方の面の法線方向から視た形状を指すものとする。
【0014】
コイル基板1の平面形状は、例えば、コイル基板1を用いて後述のインダクタ100(
図3参照)を作製した際に、インダクタ100の平面形状が1.6mm×0.8mm程度の略矩形状となる程度の大きさとすることができる。コイル基板1の厚さは、例えば、0.5mm程度とすることができる。
【0015】
コイル基板1の平面形状(外縁)は、単純な矩形状ではなく、コイル基板1を構成する各配線(第7配線30
7等)の外縁に近い平面形状とされている。これは、コイル基板1を用いて後述のインダクタ100(
図3参照)を作製した際に、コイル基板1の周囲により多くの封止樹脂110を形成するためである。又、コイル基板1の略中央部には、貫通孔1xが形成されている。これも同様に、コイル基板1を用いて後述のインダクタ100(
図3参照)を作製した際に、コイル基板1の周囲により多くの封止樹脂110を形成するためである。封止樹脂110として、例えば、フェライト等の磁性体のフィラーを含有する絶縁樹脂(例えば、エポキシ系絶縁樹脂等)を用い、貫通孔1x内を含むコイル基板1の周囲のより多くの部分を封止することで、インダクタ100のインダクタンスを大きくできる。
【0016】
第1構造体1Aは、絶縁層20
1と、第1配線30
1と、接続部35と、絶縁層40
1とを有する。絶縁層20
1は、コイル基板1の最外層(
図1では最下層)に形成されている。絶縁層20
1の材料としては、例えば、エポキシ系絶縁性樹脂等を用いることができる。絶縁層20
1の厚さは、例えば、8〜12μm程度とすることができる。
【0017】
第1配線30
1及び接続部35は、絶縁層20
1上に形成されている。第1配線30
1及び接続部35の材料としては、例えば、銅(Cu)や銅合金等を用いることできる。第1配線30
1及び接続部35の厚さは、例えば、12〜50μm程度とすることができる。第1配線30
1の幅は、例えば、50〜130μm程度とすることができる。第1配線30
1はコイルの一部となる1層目の配線(約1巻)であり、
図2に示す方向に略楕円形にパターニングされている。第1配線30
1の短手方向の断面形状は、略矩形状とすることができる。なお、渦巻きに沿う方向(Y方向)を長手方向、それに垂直な幅方向(X方向)を短手方向とする。
【0018】
接続部35は、第1配線30
1の一端部に形成されている。接続部35の側面は、コイル基板1の一方の側面1yから露出しており、露出部がインダクタの電極と接続される部分となる。なお、接続部35は、第1配線30
1と一体に形成されている。
【0019】
絶縁層40
1は、第1配線30
1及び接続部35を被覆するように、絶縁層20
1上に形成されている。言い換えれば、第1構造体1Aは、絶縁層20
1と、絶縁層20
1上に形成されたコイルの一部となる第1配線30
1及び接続部35と、絶縁層20
1上に第1配線30
1及び接続部35を被覆して形成された絶縁層40
1とを備えた構造体である。但し、接続部35の側面の一部は、絶縁層40
1から露出している。絶縁層40
1は、第1配線30
1の上面を露出する開口部(
図5の開口部40
11)を備え、開口部内にはビア配線60
1の一部が充填され第1配線30
1と電気的に接続されている。絶縁層40
1の材料としては、例えば、感光性のエポキシ系絶縁性樹脂等を用いることができる。絶縁層40
1の厚さ(第1配線30
1の上面からの厚さ)は、例えば、5〜30μm程度とすることができる。
【0020】
第2構造体1Bは、接着層50
1を介して、第1構造体1A上に積層されている。第2構造体1Bは、絶縁層20
2と、第2配線30
2と、絶縁層40
2とを有する。接着層50
1としては、例えば、エポキシ系接着剤又はポリイミド系接着剤等の絶縁性樹脂製の耐熱性接着剤を用いることができる。接着層50
1の厚さは、例えば、10〜40μm程度とすることができる。なお、絶縁層20n、絶縁層40n、及び接着層50n(nは2以上の自然数)の形状や厚さ、材料等は、特に説明しない場合には、絶縁層20
1、絶縁層40
1、及び接着層50
1と同様である。
【0021】
なお、絶縁層20nを第1絶縁層、絶縁層40nを第2絶縁層と称する場合がある。又、絶縁層20nと絶縁層40nとは便宜上別符号としているが、何れも配線を被覆する絶縁層として機能する。そこで、絶縁層20nと絶縁層40nとを合わせて、単に絶縁層と称する場合がある。但し、接着層50nにより確実に各構造体の配線間の絶縁を確保できる場合、絶縁層40nを省くことが可能である。
【0022】
絶縁層40
2は、接着層50
1上に積層されている。第2配線30
2は、底面及び側面を絶縁層40
2に被覆され、上面を絶縁層40
2から露出するように形成されている。第2配線30
2の材料や厚さ等は、第1配線30
1と同様とすることができる。第2配線30
2はコイルの一部となる2層目の配線(1巻の約3/4)であり、
図2に示す方向に略半楕円形の一部をなすようにパターニングされている。第2配線30
2の短手方向の断面形状は、略矩形状とすることができる。
【0023】
絶縁層20
2は、第2配線30
2上及び絶縁層40
2上に積層されている。言い換えれば、第2構造体1Bは、絶縁層20
2と、絶縁層20
2上に形成されたコイルの一部となる第2配線30
2と、絶縁層20
2上に第2配線30
2を被覆して形成された絶縁層40
2とを備えた構造体を上下反転したものである。
【0024】
第2構造体1Bには、絶縁層20
2、第2配線30
2、及び絶縁層40
2を貫通する開口部が設けられ、開口部の下側は、接着層50
1の開口部及び絶縁層40
1の開口部と連通している。連通する開口部(
図7の開口部10
23)内にはビア配線60
1が充填されている。第2配線30
2は、ビア配線60
1を介して、第1配線30
1と直列に接続されている。又、第2構造体1Bには、絶縁層20
2を貫通し、第2配線30
2の上面を露出する開口部(
図7の開口部10
21)が設けられ、開口部内にはビア配線60
2が充填されている。第2配線30
2は、ビア配線60
2と電気的に接続されている。
【0025】
第3構造体1Cは、接着層50
2を介して、第2構造体1B上に積層されている。第3構造体1Cは、絶縁層20
3と、第3配線30
3と、絶縁層40
3とを有する。
【0026】
絶縁層40
3は、接着層50
2上に積層されている。第3配線30
3は、底面及び側面を絶縁層40
3に被覆され、上面を絶縁層40
3から露出するように形成されている。第3配線30
3の材料や厚さは、第1配線30
1と同様とすることができる。第3配線30
3はコイルの一部となる3層目の配線(約1巻)であり、
図2に示す方向に略半楕円形にパターニングされている。第3配線30
3の短手方向の断面形状は、略矩形状とすることができる。
【0027】
絶縁層20
3は、第3配線30
3上及び絶縁層40
3上に積層されている。言い換えれば、第3構造体1Cは、絶縁層20
3と、絶縁層20
3上に形成されたコイルの一部となる第3配線30
3と、絶縁層20
3上に第3配線30
3を被覆して形成された絶縁層40
3とを備えた構造体を上下反転したものである。
【0028】
第3構造体1Cには、絶縁層20
3、第3配線30
3、及び絶縁層40
3を貫通し、下側が接着層50
2の開口部と連通する開口部が設けられ、連通する開口部(
図9の開口部10
33)内にはビア配線60
3が充填されている。ビア配線60
3は、第2構造体1Bの絶縁層20
2の開口部に形成されたビア配線60
2と電気的に接続されている。第3配線30
3は、ビア配線60
2及び60
3を介して、第2配線30
2と直列に接続されている。又、第3構造体1Cには、絶縁層20
3を貫通し、第3配線30
3の上面を露出する開口部(
図8の開口部10
31)が設けられ、開口部内にはビア配線60
4が充填されている。第3配線30
3は、ビア配線60
4と電気的に接続されている。
【0029】
第4構造体1Dは、接着層50
3を介して、第3構造体1C上に積層されている。第4構造体1Dは、絶縁層20
4と、第4配線30
4と、絶縁層40
4とを有する。
【0030】
絶縁層40
4は、接着層50
3上に積層されている。第4配線30
4は、底面及び側面を絶縁層40
4に被覆され、上面を絶縁層40
4から露出するように形成されている。第4配線30
4の材料や厚さは、第1配線30
1と同様とすることができる。第4配線30
4はコイルの一部となる4層目の配線(1巻の約3/4)であり、
図2に示す方向に略半楕円形の一部をなすようにパターニングされている。
【0031】
絶縁層20
4は、第4配線30
4上及び絶縁層40
4上に積層されている。言い換えれば、第4構造体1Dは、絶縁層20
4と、絶縁層20
4上に形成されたコイルの一部となる第4配線30
4と、絶縁層20
4上に第4配線30
4を被覆して形成された絶縁層40
4とを備えた構造体を上下反転したものである。
【0032】
第4構造体1Dには、絶縁層20
4、第4配線30
4、及び絶縁層40
4を貫通し、下側が接着層50
3の開口部と連通する開口部が設けられ、連通する開口部内にはビア配線60
5が充填されている。ビア配線60
5は、第3構造体1Cの絶縁層20
3の開口部に形成されたビア配線60
4と電気的に接続されている。第4配線30
4は、ビア配線60
4及び60
5を介して、第3配線30
3と直列に接続されている。又、第4構造体1Dには、絶縁層20
4を貫通し、第4配線30
4の上面を露出する開口部が設けられ、開口部内にはビア配線60
6が充填されている。第4配線30
4は、ビア配線60
6と電気的に接続されている。
【0033】
なお、第4構造体1Dは、第2構造体1Bと同一構造であり、第2構造体1BをXY平面の法線を軸に180°回転させたものに相当する。開口部10
41及び10
42は夫々開口部10
21及び10
22に対応する。
【0034】
第5構造体1Eは、接着層50
4を介して、第4構造体1D上に積層されている。第5構造体1Eは、絶縁層20
5と、第5配線30
5と、絶縁層40
5とを有する。
【0035】
絶縁層40
5は、接着層50
4上に積層されている。第5配線30
5は、底面及び側面を絶縁層40
5に被覆され、上面を絶縁層40
5から露出するように形成されている。第5配線30
5の材料や厚さは、第1配線30
1と同様とすることができる。第5配線30
5はコイルの一部となる5層目の配線(約1巻)であり、
図2に示す方向に略半楕円形にパターニングされている。第5配線30
5の短手方向の断面形状は、略矩形状とすることができる。
【0036】
絶縁層20
5は、第5配線30
5上及び絶縁層40
5上に積層されている。言い換えれば、第5構造体1Eは、絶縁層20
5と、絶縁層20
5上に形成されたコイルの一部となる第5配線30
5と、絶縁層20
5上に第5配線30
5を被覆して形成された絶縁層40
5とを備えた構造体を上下反転したものである。
【0037】
第5構造体1Eには、絶縁層20
5、第5配線30
5、及び絶縁層40
5を貫通し、下側が接着層50
4の開口部と連通する開口部が設けられ、連通する開口部(
図13の開口部10
53)内にはビア配線60
7が充填されている。ビア配線60
7は、第4構造体1Dの絶縁層20
4の開口部に形成されたビア配線60
6と電気的に接続されている。第5配線30
5は、ビア配線60
6及び60
7を介して、第4配線30
4と直列に接続されている。又、第5構造体1Eには、絶縁層20
5を貫通し、第5配線30
5の上面を露出する開口部(
図12の開口部10
51)が設けられ、開口部内にはビア配線60
8が充填されている。第5配線30
5は、ビア配線60
8と電気的に接続されている。
【0038】
なお、第5構造体1Eは、第3構造体1Cと同一構造であり、第3構造体1CをXY平面の法線を軸に180°回転させたものに相当する。開口部10
51及び10
52は夫々開口部10
31及び10
32に対応する。
【0039】
第6構造体1Fは、接着層50
5を介して、第5構造体1E上に積層されている。第6構造体1Fは、絶縁層20
6と、第6配線30
6と、絶縁層40
6とを有する。
【0040】
絶縁層40
6は、接着層50
5上に積層されている。第6配線30
6は、底面及び側面を絶縁層40
6に被覆され、上面を絶縁層40
6から露出するように形成されている。第6配線30
6の材料や厚さは、第1配線30
1と同様とすることができる。第6配線30
6はコイルの一部となる6層目の配線(1巻の約3/4)であり、
図2に示す方向に略半楕円形の一部をなすようにパターニングされている。第6配線30
6の短手方向の断面形状は、略矩形状とすることができる。
【0041】
絶縁層20
6は、第6配線30
6上及び絶縁層40
6上に積層されている。言い換えれば、第6構造体1Fは、絶縁層20
6と、絶縁層20
6上に形成されたコイルの一部となる第6配線30
6と、絶縁層20
6上に第6配線30
6を被覆して形成された絶縁層40
6とを備えた構造体を上下反転したものである。
【0042】
第6構造体1Fには、絶縁層20
6、第6配線30
6、及び絶縁層40
6を貫通し、下側が接着層50
5の開口部と連通する開口部が設けられ、連通する開口部(
図14の開口部10
63)内にはビア配線60
9が充填されている。ビア配線60
9は、第5構造体1Eの絶縁層20
5の開口部に形成されたビア配線60
8と電気的に接続されている。第6配線30
6は、ビア配線60
8及び60
9を介して、第5配線30
5と直列に接続されている。又、第6構造体1Fには、絶縁層20
6を貫通し、第6配線30
6の上面を露出する開口部(
図14の開口部10
61)が設けられ、開口部内にはビア配線60
10が充填されている。第6配線30
6は、ビア配線60
10と電気的に接続されている。
【0043】
なお、第6構造体1Fは、便宜上別符合としているが、第2構造体1Bと同一構造であり、開口部10
61及び10
62は夫々開口部10
21及び10
22に対応する。
【0044】
第7構造体1Gは、接着層50
6を介して、第6構造体1F上に積層されている。第7構造体1Gは、絶縁層20
7と、第7配線30
7と、接続部37と、絶縁層40
7とを有する。
【0045】
絶縁層40
7は、接着層50
6上に積層されている。第7配線30
7及び接続部37は、底面及び側面を絶縁層40
7に被覆され、上面を絶縁層40
7から露出するように形成されている。第7配線30
7及び接続部37の材料や厚さは、第1配線30
1と同様とすることができる。第7配線30
7は最上層の配線であり、
図2に示す方向に略半楕円形にパターニングされている。
【0046】
接続部37は、第7配線30
7の一端部に形成されている。接続部37の側面は、コイル基板1の他方の側面1zから露出しており、露出部がインダクタの電極と接続される部分となる。なお、接続部37は、第7配線30
7と一体に形成されている。絶縁層20
7は、第7配線30
7上、接続部37上、及び絶縁層40
7上に積層されている。言い換えれば、第7構造体1Gは、絶縁層20
7と、絶縁層20
7上に形成された第7配線30
7及び接続部37と、絶縁層20
7上に第7配線30
7及び接続部37を被覆して形成された絶縁層40
7とを備えた構造体を上下反転したものである。
【0047】
第7構造体1Gには、絶縁層20
7、第7配線30
7、及び絶縁層40
7を貫通し、下側が接着層50
6の開口部と連通する開口部が設けられ、連通する開口部(
図16の開口部10
72)内にはビア配線60
11が充填されている。ビア配線60
11は、第6構造体1Fの絶縁層20
6の開口部に形成されたビア配線60
10と電気的に接続されている。第7配線30
7は、ビア配線60
10及び60
11を介して、第6配線30
6と直列に接続されている。このように、コイル基板1では、隣接する構造体の配線同士を直列に接続して、接続部35から接続部37に至る螺旋状のコイルを形成している。
【0048】
接着層50
7は、第7構造体1G上に積層されている。接着層50
7には、開口部は形成されていない。つまり、第1構造体1Aから第7構造体1Gが積層された積層体の上側は、絶縁層である接着層50
7に被覆されており、導電体は露出していない。
【0049】
第1構造体1Aから第7構造体1Gが積層された積層体において、底面並びに側面1y及び1zを除く表面は絶縁膜70に被覆されている。貫通孔1xの内壁面も絶縁膜70に被覆されている。絶縁膜70は、積層体から露出する各配線の端面が、インダクタ100(
図3参照)を作製した際に、封止樹脂110に含有される場合がある導電体(磁性体のフィラー等)と短絡することを防止するために設ける。絶縁膜70としては、例えば、エポキシ系やアクリル系絶縁性樹脂等を用いることができる。絶縁膜70は、シリカ等のフィラーを含有しても構わない。絶縁膜70の厚さは、例えば、20〜50μm程度とすることができる。
【0050】
図3は、本実施の形態に係るインダクタを例示する断面図である。
図3を参照するに、インダクタ100は、コイル基板1を封止樹脂110で封止し、電極120及び130を形成したチップインダクタである。インダクタ100の平面形状は、例えば、1.6mm×0.8mm程度の略矩形状とすることができる。インダクタ100の厚さは、例えば、1.0mm程度とすることができる。インダクタ100は、例えば、小型の電子機器の電圧変換回路等に用いることができる。
【0051】
インダクタ100において、封止樹脂110は、コイル基板1の一方の側面1y及び他方の側面1zを除く部分を封止している。つまり、封止樹脂110は、コイル基板1の接続部35及び37が露出する側面の一部を除いてコイル基板1を被覆している。なお、封止樹脂110は、貫通孔1x内にも形成されている。封止樹脂110としては、例えば、フェライト等の磁性体のフィラーを含有する絶縁樹脂(例えば、エポキシ系絶縁樹脂等)を用いることができる。磁性体は、インダクタ100のインダクタンスを大きくする機能を有する。
【0052】
このように、コイル基板1には貫通孔1xが形成されており、貫通孔1xも磁性体を含有するエポキシ系絶縁樹脂等の絶縁樹脂で充填されるため、インダクタンスをより向上できる。貫通孔1x内に、フェライト等の磁性体のコアを配置し、コアを含めて封止樹脂110を形成してもよい。コアの形状は、例えば、円柱状や直方体状等とすることができる。
【0053】
電極120は、封止樹脂110の外側に形成され、接続部35の一部と電気的に接続されている。具体的には、電極120は、封止樹脂110の一方の側面、並びに上面及び下面の一部に連続的に形成されている。電極120の内壁面は、コイル基板1の一方の側面1yから露出する接続部35の側面と接し、両者は電気的に接続されている。
【0054】
電極130は、封止樹脂110の外側に形成され、接続部37の一部と電気的に接続されている。具体的には、電極130は、封止樹脂110の他方の側面、並びに上面及び下面の一部に連続的に形成されている。電極130の内壁面は、コイル基板1の他方の側面1zから露出する接続部37の側面と接し、両者は電気的に接続されている。電極120及び130の材料としては、例えば、銅(Cu)や銅合金等を用いることができる。電極120及び130は、例えば、銅ペーストの塗布、銅のスパッタ、又は無電解めっき等により形成することができる。なお、電極120及び130は、複数の金属層を積層した構造としてもよい。
【0055】
[コイル基板の製造方法]
次に、本実施の形態に係るコイル基板の製造方法について説明する。
図4〜
図21は、本実施の形態に係るコイル基板の製造工程を例示する図である。まず、
図4に示す工程について説明する。
図4(a)は平面図であり、
図4(b)は
図4(a)の1つの個別領域C(後述)の近傍についての
図4(a)のYZ平面に平行な方向の断面を示している。
図4に示す工程では、まず、基板10
1(第1基板)として例えばリール状(テープ状)の可撓性を有する絶縁樹脂フィルムを準備する。
【0056】
そして、プレス加工法等により、基板10
1の短手方向(図中の縦(Y)方向)の両端部に、スプロケットホール10zを、基板10
1の長手方向(図中の横(X)方向)に沿って略一定間隔で連続的に形成する。その後、スプロケットホール10zが形成された基板10
1の両端部を除く領域において、基板10
1の一方の面に絶縁層20
1及び金属箔300
1を順次積層する。具体的には、例えば、基板10
1の一方の面に半硬化状態の絶縁層20
1及び金属箔300
1を順次積層し、加熱して半硬化状態の絶縁層20
1を硬化させる。
【0057】
スプロケットホール10zが形成された基板10
1の両端部の内側の点線で示した複数の領域Cは、最終的に点線に沿って切断されて個片化され、各々がコイル基板1となる領域(以降、個別領域Cとする)である。複数の個別領域Cは、例えば、縦横に配列することができる。その際、複数の個別領域Cは、
図4(a)に示すように所定の間隔を介して配列されてもよいし、互いに接するように配列されてもよい。又、個別領域Cの数やスプロケットホール10zの数は、任意に決定できる。なお、Dは、後工程でリール状(テープ状)の基板10
1等を切断してシート状とするための切断位置(以降、切断位置Dとする)を示している。
【0058】
基板10
1としては、例えば、ポリフェニレンサルファイドフィルムやポリイミドフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等を用いることができる。基板10
1の厚さは、例えば、50〜75μm程度とすることができる。
【0059】
絶縁層20
1としては、例えば、フィルム状のエポキシ系絶縁性樹脂等を用いることができる。或いは、絶縁層20
1として、液状又はペースト状のエポキシ系絶縁性樹脂等を用いてもよい。絶縁層20
1の厚さは、例えば、8〜12μm程度とすることができる。金属箔300
1は、パターニングされて金属層301
1及び接続部35となる部位であり、例えば、銅箔を用いることができる。金属箔300
1の厚さは、例えば、12〜50μm程度とすることができる。
【0060】
なお、スプロケットホール10zは、コイル基板1を作製する過程で基板10
1が各種製造装置等に装着された際、モータ等により駆動されるスプロケットのピンと噛み合って、基板10
1をピッチ送りするための貫通孔である。基板10
1の幅(スプロケットホール10zの配列方向に垂直な方向(Y方向))は、基板10
1が装着される製造装置に対応するように決定される。
【0061】
基板10
1の幅は、例えば、40〜90mm程度とすることができる。一方、基板10
1の長さ(スプロケットホール10zの配列方向(X方向))は、任意に決定することができる。
図4(a)では、個別領域Cは5行10列とされている。しかし、基板10
1をより長くして個別領域Cを例えば数100列程度とすることも可能である。
【0062】
次に、
図5に示す工程(
図5(b)は平面図、
図5(a)は
図5(b)のA−A線に沿う断面図)では、基板10
1上に、金属層301
1が形成された第1構造体1Aを作製する。金属層301
1は、最終的に成形(型抜き等)されて、コイルの一部となる1層目の配線(約1巻)である第1配線30
1となる部分である。 具体的には、
図4(b)に示す金属箔300
1をパターニングして、絶縁層20
1上に金属層301
1形成する。又、金属層301
1の一端部に接続部35を形成する。又、接続部35に接続するバスライン36を形成する。バスライン36は後工程において電解めっきの給電に使用するものであり、各個別領域Cの金属層301
1及び接続部35と電気的に接続される。なお、後工程において電解めっきを行わない場合にはバスライン36は形成しなくてもよい。金属層301
1には切れ込み部301xが形成されている。切れ込み部301xは、後工程でコイル基板を成形(型抜き等)する際に、コイルを構成する渦巻き形状を形成しやすくするために設けるものである。
【0063】
金属箔300
1のパターニングは、例えば、フォトリソグラフィ法により行うことができる。すなわち、金属箔300
1上に感光性のレジストを塗布し、所定の領域を露光及び現像してレジストに開口部を形成し、開口部内に露出する金属箔300
1をエッチングで除去することでパターニングできる。なお、金属層301
1、接続部35、及びバスライン36は一体に形成されている。
【0064】
その後、金属層301
1、接続部35、及びバスライン36を絶縁層40
1で被覆する。絶縁層40
1は、例えば、フィルム状の感光性のエポキシ系絶縁性樹脂等をラミネートすることで形成できる。或いは、液状又はペースト状の感光性のエポキシ系絶縁性樹脂等を塗布することで形成してもよい。絶縁層40
1の厚さ(金属層301
1の上面からの厚さ)は、例えば、5〜30μm程度とすることができる。
【0065】
その後、第1構造体1Aの絶縁層40
1に、金属層301
1の上面を露出する開口部40
11を形成する。開口部40
11の平面形状は、例えば、直径150μm程度の円形状とすることができる。開口部40
11は、例えば、プレス加工法やレーザ加工法等により形成できる。開口部40
11は、感光性の絶縁層40
1の露光及び現像で形成してもよい。なお、
図5(b)において、絶縁層40
1の図示は省略されている。又、
図5(b)において、金属層301
1の開口部40
11に対応する領域を破線で示している。
【0066】
次に、
図6に示す工程(
図6(b)は平面図、
図6(a)は
図6(b)のA−A線に沿う断面図)では、基板10
2(第2基板)上に、金属層301
2が形成された第2構造体1Bを作製する。金属層301
2は、最終的に成形(型抜き等)されて、コイルの一部となる2層目の配線(1巻の約3/4)である第2配線30
2となる部分である。具体的には、
図4に示す工程と同様にして、基板10
2にスプロケットホール10zを形成後、スプロケットホール10zが形成された基板10
2の両端部を除く領域において、基板10
2上に絶縁層20
2及び金属箔300
2(図示せず)を順次積層する。
【0067】
そして、
図5に示す工程と同様にして金属箔300
2をパターニングし、絶縁層20
2上に、
図6(b)に示すようにパターニングされた金属層301
2を形成する。その後、金属層301
2を絶縁層40
2で被覆する。そして、基板10
2及び第2構造体1Bの絶縁層20
2に、金属層301
2の下面を露出する開口部10
21を形成する。又、基板10
2、第2構造体1Bの絶縁層20
2、金属層301
2、及び絶縁層40
2を貫通する開口部10
22(貫通孔)を形成する。
【0068】
開口部10
21及び10
22の夫々の平面形状は、例えば、直径150μm程度の円形状とすることができる。開口部10
21及び10
22は、例えば、プレス加工法やレーザ加工法等により形成できる。開口部10
22は、第1構造体1Aと第2構造体1Bが所定方向に積層された際に開口部40
11と平面視で重複する位置に形成する。なお、
図6(b)において、絶縁層40
2の図示は省略されている。又、
図6(b)において、金属層301
2の開口部10
21に対応する領域を破線で示している。
【0069】
なお、基板10n及び金属箔300
n(nは2以上の自然数)の形状や厚さ、材料等は、特に説明しない場合には、基板10
1及び金属箔300
1と同様である。
【0070】
次に、
図7(a)〜
図7(c)に示す工程について説明する。なお、
図7(a)〜
図7(c)は、
図6(a)に対応する断面図である。まず、
図7(a)に示す工程では、接着層50
1を準備し、接着層50
1を貫通する開口部50
11(貫通孔)を形成する。開口部50
11は、第1構造体1Aと第2構造体1Bが接着層50
1を介して所定方向に積層された際に開口部40
11及び10
22と平面視で重複する位置に形成する。接着層50
1としては、例えば、エポキシ系接着剤又はポリイミド系接着剤等の絶縁性樹脂製の耐熱性接着剤(熱硬化性)を用いることができる。接着層50
1の厚さは、例えば、10〜40μm程度とすることができる。
【0071】
次に、基板10
2及び第2構造体1Bを
図6に示す状態から反転させ、接着層50
1を介して、第1構造体1A上に積層する。つまり、第1構造体1Aと第2構造体1Bとを、接着層50
1を介して、対向配置し、基板10
1と基板10
2が外側になるように積層する。その後、接着層50
1を硬化させる。このとき、開口部40
11、開口部50
11、及び開口部10
22が連通して1つの開口部10
23が形成され、底部に金属層301
1の上面が露出する。
【0072】
但し、
図6及び
図7(a)に示す工程において、各開口部を設ける前に第2構造体1Bを接着層50
1を介して第1構造体1A上に積層し、その後、開口部10
21、10
22、及び50
11を設けてもよい。
【0073】
次に、
図7(b)に示す工程では、基板10
2を第2構造体1Bの絶縁層20
2から除去(剥離)する。例えば、基板10
2は第2構造体1Bの絶縁層20
2から機械的に剥離できる。
【0074】
次に、
図7(c)に示す工程では、開口部10
23の底部に露出する金属層301
1上に、例えば銅(Cu)等からなるビア配線60
1を形成する。金属層301
1と金属層301
2とは、ビア配線60
1を介して直列に接続される。又、開口部10
21の底部に露出する金属層301
2上に、例えば銅(Cu)等からなるビア配線60
2を形成する。金属層301
2とビア配線60
2とは電気的に接続される。
【0075】
ビア配線60
1及び60
2は、例えば、金属層301
1及び301
2側から夫々バスライン36を給電に使用する電解めっき法により銅(Cu)等を析出させることで形成できる。又、ビア配線60
1及び60
2は、例えば、開口部10
23の底部に露出する金属層301
1上に銅(Cu)等の金属ペーストを充填し、開口部10
21の底部に露出する金属層301
2上に銅(Cu)等の金属ペーストを充填して形成してもよい。ビア配線60
1及び60
2の夫々の上面は、絶縁層20
2の上面と略面一とすることができる。この工程により、第1構造体1A上に第2構造体1Bが積層された積層体において、金属層301
1、ビア配線60
1、及び金属層301
2が直列に接続される。この直列に接続された部分は、最終的に成形(型抜き等)されて約1巻きと3/4のコイルとなる。
【0076】
次に、
図8に示す工程では、
図6に示す工程と同様にして、基板10
3上に、金属層301
3が形成された第3構造体1Cを作製する。なお、
図8(c)は平面図、
図8(a)は
図8(c)のA−A線に沿う断面図、
図8(b)は
図8(c)のE−E線に沿う断面図である。金属層301
3は、最終的に成形(型抜き等)されて、コイルの一部となる3層目の配線(約1巻)である第3配線30
3となる部分である。金属層301
3には切れ込み部301yが形成されている。切れ込み部301yは、後工程でコイル基板を成形(型抜き等)する際に、コイルを構成する渦巻き形状を形成しやすくするために設けるものである。
【0077】
次に、基板10
3及び第3構造体1Cの絶縁層20
3に、金属層301
3の下面を露出する開口部10
31を形成する。又、基板10
3、第3構造体1Cの絶縁層20
3、金属層301
3、及び絶縁層40
3を貫通する開口部10
32(貫通孔)を形成する。
【0078】
開口部10
31及び10
32の平面形状や加工法は、例えば、開口部10
21等と同様とすることができる。開口部10
32は、第2構造体1Bと第3構造体1Cが所定方向に積層された際に開口部10
21と平面視で重複する位置に形成する。なお、
図8(c)において、絶縁層40
3の図示は省略されている。又、
図8(c)において、金属層301
3の開口部10
31に対応する領域を破線で示している。
【0079】
次に、
図9(a)〜
図9(c)に示す工程について説明する。なお、
図9(a)〜
図9(c)は、
図7(a)に対応する断面図である。まず、
図9(a)に示す工程では、接着層50
2を準備し、接着層50
2を貫通する開口部50
21(貫通孔)を形成する。開口部50
21は、第2構造体1Bと第3構造体1Cが接着層50
2を介して所定方向に積層された際にビア配線60
2と平面視で重複する位置に形成する。なお、接着層50n(nは2以上の自然数)の形状や厚さ、材料等は、特に説明しない場合には、接着層50
1と同様である。
【0080】
次に、基板10
3及び第3構造体1Cを
図8に示す状態から反転させ、接着層50
2を介して、第2構造体1B上に積層する。つまり、第2構造体1Bと第3構造体1Cとを、接着層50
2を介して、対向配置し、基板10
1と基板10
3が外側になるように積層する。その後、接着層50
2を硬化させる。このとき、開口部50
21及び開口部10
32が連通して1つの開口部10
33が形成され、底部にビア配線60
2の上面が露出する。
【0081】
但し、
図8及び
図9(a)に示す工程において、各開口部を設ける前に第3構造体1Cを接着層50
2を介して第2構造体1B上に積層し、その後、開口部10
31、10
32、及び50
21を設けてもよい。
【0082】
次に、
図9(b)に示す工程では、基板10
3を第3構造体1Cの絶縁層20
3から除去(剥離)する。
【0083】
次に、
図9(c)に示す工程では、開口部10
33の底部に露出するビア配線60
2上にビア配線60
3を形成する。金属層301
2と金属層301
3とは、ビア配線60
2及び60
3を介して直列に接続される。又、開口部10
31(図示せず)の底部に露出する金属層301
3上にビア配線60
4(図示せず)を形成する。金属層301
3とビア配線60
4とは電気的に接続される。
【0084】
ビア配線60
3及び60
4は、例えば、ビア配線60
1等と同様に、バスライン36を給電に使用する電解めっき法や金属ペーストの充填により形成できる。ビア配線60
3及び60
4の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。ビア配線60
3及び60
4の夫々の上面は、絶縁層20
3の上面と略面一とすることができる。この工程により、第1構造体1Aから第3構造体1Cが積層された積層体において、金属層301
1、301
2、及び301
3がビア配線を介して直列に接続される。この直列に接続された部分は、最終的に成形(型抜き等)されて約2巻きと3/4のコイルとなる。
【0085】
次に、
図10に示す工程(
図10(b)は平面図、
図10(a)は
図10(b)のF−F線に沿う断面図)では、
図6に示す工程と同様にして、基板10
4上に、金属層301
4が形成された第4構造体1Dを作製する。金属層301
4は、最終的に成形(型抜き等)されて、コイルの一部となる4層目の配線(1巻の約3/4)である第4配線30
4となる部分である。
【0086】
次に、基板10
4及び第4構造体1Dの絶縁層20
4に、金属層301
4の下面を露出する開口部10
41を形成する。又、基板10
4、第4構造体1Dの絶縁層20
4、金属層301
4、及び絶縁層40
4を貫通する開口部10
42(貫通孔)を形成する。
【0087】
開口部10
41及び10
42の平面形状や加工法は、例えば、開口部10
21等と同様とすることができる。開口部10
42は、第3構造体1Cと第4構造体1Dが所定方向に積層された際にビア配線60
4と平面視で重複する位置に形成する。なお、
図10(b)において、絶縁層40
4の図示は省略されている。又、
図10(b)において、金属層301
4の開口部10
41に対応する領域を破線で示している。
【0088】
次に、
図11(a)〜
図11(c)に示す工程について説明する。なお、
図11(a)〜
図11(c)は、
図10(a)に対応する断面図である。まず、
図11(a)に示す工程では、接着層50
3を準備し、接着層50
3を貫通する開口部50
31(貫通孔)を形成する。開口部50
31は、第3構造体1Cと第4構造体1Dが接着層50
3を介して所定方向に積層された際にビア配線60
4と平面視で重複する位置に形成する。
【0089】
次に、基板10
4及び第4構造体1Dを
図10に示す状態から反転させ、接着層50
3を介して、第3構造体1C上に積層する。つまり、第3構造体1Cと第4構造体1Dとを、接着層50
3を介して、対向配置し、基板10
1と基板10
4が外側になるように積層する。その後、接着層50
3を硬化させる。このとき、開口部50
31及び開口部10
42が連通して1つの開口部10
43が形成され、底部にビア配線60
4の上面が露出する。
【0090】
但し、
図10及び
図11(a)に示す工程において、各開口部を設ける前に第4構造体1Dを接着層50
3を介して第3構造体1C上に積層し、その後、開口部10
41、10
42、及び50
31を設けてもよい。
【0091】
次に、
図11(b)に示す工程では、基板10
4を第4構造体1Dの絶縁層20
4から除去(剥離)する。
【0092】
次に、
図11(c)に示す工程では、開口部10
43の底部に露出するビア配線60
4上にビア配線60
5を形成する。金属層301
3と金属層301
4とは、ビア配線60
4及び60
5を介して直列に接続される。又、開口部10
41の底部に露出する金属層301
4上にビア配線60
6を形成する。金属層301
4とビア配線60
6とは電気的に接続される。
【0093】
ビア配線60
5及び60
6は、例えば、ビア配線60
1等と同様に、バスライン36を給電に使用する電解めっき法や金属ペーストの充填により形成できる。ビア配線60
5及び60
5の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。ビア配線60
5及び60
6の夫々の上面は、絶縁層20
4の上面と略面一とすることができる。この工程により、第1構造体1Aから第4構造体1Dが積層された積層体において、金属層301
1、301
2、301
3、及び301
4がビア配線を介して直列に接続される。この直列に接続された部分は、最終的に成形(型抜き等)されて約3巻きのコイルとなる。
【0094】
次に、
図12に示す工程では、
図6に示す工程と同様にして、基板10
5上に、金属層301
5が形成された第5構造体1Eを作製する。なお、
図12(c)は平面図、
図12(a)は
図12(c)のF−F線に沿う断面図、
図21(b)は
図12(c)のG−G線に沿う断面図である。金属層301
5は、最終的に成形(型抜き等)されて、コイルの一部となる5層目の配線(約1巻)である第5配線30
5となる部分である。金属層301
5には切れ込み部301yが形成されている。切れ込み部301yは、後工程でコイル基板を成形(型抜き等)する際に、コイルを構成する渦巻き形状を形成しやすくするために設けるものである。
【0095】
次に、基板10
5及び第5構造体1Eの絶縁層20
5に、金属層301
5の下面を露出する開口部10
51を形成する。又、基板10
5、第5構造体1Eの絶縁層20
5、金属層301
5、及び絶縁層40
5を貫通する開口部10
52(貫通孔)を形成する。
【0096】
開口部10
51及び10
52の平面形状や加工法は、例えば、開口部10
21等と同様とすることができる。開口部10
52は、第4構造体1Dと第5構造体1Eが所定方向に積層された際に開口部50
41と平面視で重複する位置に形成する。なお、
図12(c)において、絶縁層40
5の図示は省略されている。又、
図12(c)において、金属層301
5の開口部10
51に対応する領域を破線で示している。
【0097】
次に、
図13(a)〜
図13(c)に示す工程について説明する。なお、
図13(a)〜
図13(c)は、
図12(a)に対応する断面図である。まず、
図13(a)に示す工程では、接着層50
4を準備し、接着層50
4を貫通する開口部50
41(貫通孔)を形成する。開口部50
41は、第4構造体1Dと第5構造体1Eが接着層50
4を介して所定方向に積層された際にビア配線60
6と平面視で重複する位置に形成する。
【0098】
次に、基板10
5及び第5構造体1Eを
図12に示す状態から反転させ、接着層50
4を介して、第4構造体1D上に積層する。つまり、第4構造体1Dと第5構造体1Eとを、接着層50
4を介して、対向配置し、基板10
1と基板10
5が外側になるように積層する。その後、接着層50
4を硬化させる。このとき、開口部50
41及び開口部10
52が連通して1つの開口部10
53が形成され、底部にビア配線60
6の上面が露出する。
【0099】
但し、
図12及び
図13(a)に示す工程において、各開口部を設ける前に第5構造体1Eを接着層50
4を介して第4構造体1D上に積層し、その後、開口部10
51、10
52、及び50
41を設けてもよい。
【0100】
次に、
図13(b)に示す工程では、基板10
5を第5構造体1Eの絶縁層20
5から除去(剥離)する。
【0101】
次に、
図13(c)に示す工程では、開口部10
53の底部に露出するビア配線60
6上にビア配線60
7を形成する。金属層301
5と金属層301
4とは、ビア配線60
6及び60
7を介して直列に接続される。又、開口部10
51(図示せず)の底部に露出する金属層301
5上にビア配線60
8(図示せず)を形成する。金属層301
5とビア配線60
8とは電気的に接続される。
【0102】
ビア配線60
7及び60
8は、例えば、ビア配線60
1等と同様に、バスライン36を給電に使用する電解めっき法や金属ペーストの充填により形成できる。ビア配線60
7及び60
8の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。ビア配線60
7及び60
8の夫々の上面は、絶縁層20
5の上面と略面一とすることができる。この工程により、第1構造体1Aから第5構造体1Eが積層された積層体において、金属層301
1、301
2、301
3、301
4、及び301
5がビア配線を介して直列に接続される。この直列に接続された部分は、最終的に成形(型抜き等)されて約4巻きのコイルとなる。
【0103】
次に、
図14(a)〜
図14(c)に示す工程について説明する。なお、
図14(a)〜
図14(c)は、
図7(a)に対応する断面図である。まず、
図14(a)に示す工程では、基板10
6上に、金属層301
6が形成された第6構造体1Fを作製する。金属層301
6は、最終的に成形(型抜き等)されて、コイルの一部となる6層目の配線(1巻の約3/4)である第6配線30
6となる部分である。そして、基板10
6及び第6構造体1Fの絶縁層20
6に、金属層301
6の下面を露出する開口部10
61を形成する。又、基板10
6、第6構造体1Fの絶縁層20
6、金属層301
6、及び絶縁層40
6を貫通する開口部10
62(貫通孔)を形成する。なお、第6構造体1Fは、便宜上別符合としているが、
図6に示す第2構造体1Bと同一構造であり、開口部10
61及び10
62は夫々開口部10
21及び10
22に対応する。
【0104】
次に、接着層50
5を準備し、接着層50
5を貫通する開口部50
51(貫通孔)を形成する。開口部50
51は、第6構造体1Fと第5構造体1Eが接着層50
5を介して所定方向に積層された際にビア配線60
8と平面視で重複する位置に形成する。そして、
図7(a)と同様にして、基板10
6及び第6構造体1Fを
図6に示す状態から反転させ、接着層50
5を介して、第5構造体1E上に積層する。つまり、第5構造体1Eと第6構造体1Fとを、接着層50
5を介して、対向配置し、基板10
1と基板10
6が外側になるように積層する。その後、接着層50
5を硬化させる。このとき、開口部50
51及び開口部10
62が連通して1つの開口部10
63が形成され、底部にビア配線60
8の上面が露出する。
【0105】
但し、
図6及び
図14(a)に示す工程において、各開口部を設ける前に第6構造体1Fを接着層50
5を介して第5構造体1E上に積層し、その後、開口部10
61、10
62、及び50
51を設けてもよい。
【0106】
次に、
図14(b)に示す工程では、基板10
6を第6構造体1Fの絶縁層20
6から除去(剥離)する。
【0107】
次に、
図14(c)に示す工程では、開口部10
63の底部に露出するビア配線60
8上にビア配線60
9を形成する。金属層301
5と金属層301
6とは、ビア配線60
8及び60
9を介して直列に接続される。又、開口部10
61の底部に露出する金属層301
6上にビア配線60
10を形成する。金属層301
6とビア配線60
10とは電気的に接続される。
【0108】
ビア配線60
9及び60
10は、例えば、ビア配線60
1等と同様に、バスライン36を給電に使用する電解めっき法や金属ペーストの充填により形成できる。ビア配線60
9及び60
10の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。ビア配線60
9及び60
10の夫々の上面は、絶縁層20
6の上面と略面一とすることができる。この工程により、第1構造体1Aから第6構造体1Fが積層された積層体において、金属層301
1、301
2、301
3、301
4、301
5、及び301
6がビア配線を介して直列に接続される。この直列に接続された部分は、最終的に成形(型抜き等)されて約4巻きと3/4のコイルとなる。
【0109】
次に、
図15に示す工程では、
図6に示す工程と同様にして、基板10
7上に、金属層301
7が形成された第7構造体1Gを作製する。金属層301
7は、最終的に成形(型抜き等)されて、コイルの一部となる7層目の配線(約1巻)である第7配線30
7となる部分である。具体的には、絶縁層20
7上に金属層301
7を形成する。又、金属層301
7の一端部に接続部37を形成する。なお、金属層301
7及び接続部37は一体に形成されている。金属層301
7には切れ込み部301xが形成されている。切れ込み部301xは、後工程でコイル基板を成形(型抜き等)する際に、コイルを構成する渦巻き形状を形成しやすくするために設けるものである。
【0110】
次に、基板10
7、第7構造体1Gの絶縁層20
7、金属層301
7、及び絶縁層40
7を貫通する開口部10
72(貫通孔)を形成する。なお、
図15(b)は平面図、
図15(a)は
図15(b)のA−A線に沿う断面図である。開口部10
72の平面形状や加工法は、例えば、開口部10
21等と同様とすることができる。開口部10
72は、第6構造体1Eと第7構造体1Gが所定方向に積層された際にビア配線60
10と平面視で重複する位置に形成する。なお、
図15(b)において、絶縁層40
7の図示は省略されている。
【0111】
次に、
図16(a)〜
図16(c)に示す工程について説明する。なお、
図16(a)〜
図16(c)は、
図15(a)に対応する断面図である。まず、
図16(a)に示す工程では、接着層50
6を準備し、接着層50
6を貫通する開口部50
61(貫通孔)を形成する。開口部50
61は、第6構造体1Fと第7構造体1Gが接着層50
6を介して所定方向に積層された際にビア配線60
10と平面視で重複する位置に形成する。
【0112】
次に、基板10
7及び第7構造体1Gを
図15に示す状態から反転させ、接着層50
6を介して、第6構造体1F上に積層する。つまり、第6構造体1Fと第7構造体1Gとを、接着層50
6を介して、対向配置し、基板10
1と基板10
7が外側になるように積層する。その後、接着層50
6を硬化させる。このとき、開口部50
61及び開口部10
72が連通して1つの開口部10
73が形成され、底部にビア配線60
10の上面が露出する。
【0113】
但し、
図15及び
図16(a)に示す工程において、各開口部を設ける前に第7構造体1Gを接着層50
6を介して第6構造体1F上に積層し、その後、開口部10
72及び50
61を設けてもよい。
【0114】
次に、
図16(b)に示す工程では、基板10
7を第7構造体1Gの絶縁層20
7から除去(剥離)する。
【0115】
次に、
図16(c)に示す工程では、開口部10
73の底部に露出するビア配線60
10上にビア配線60
11を形成する。金属層301
6と金属層301
7とは、ビア配線60
10及び60
11を介して直列に接続される。
【0116】
ビア配線60
11は、例えば、ビア配線60
1等と同様に、バスライン36を給電に使用する電解めっき法や金属ペーストの充填により形成できる。ビア配線60
11の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。ビア配線60
11の上面は、絶縁層20
7の上面と略面一とすることができる。この工程により、第1構造体1Aから第7構造体1Gが積層された積層体において、金属層301
1、301
2、301
3、301
4、301
5、301
6、及び301
7がビア配線を介して直列に接続される。この直列に接続された部分は、最終的に成形(型抜き等)されて約5巻きと1/2のコイルとなる。
【0117】
次に、
図17(a)に示す工程では、第7構造体1G上に、開口部が形成されていない接着層50
7を積層する。次に、
図17(b)に示す工程では、
図17(a)に示す構造体を、
図4に示す切断位置Dで切断して個片化し、シート状の基板1Mとする。
図17の例では、基板1Mには、50個の個別領域Cが形成されている。但し、
図17(b)に示す工程を実行せず、
図21に示す工程が終了したリール状(テープ状)の構造体を、そのまま製品として出荷してもよい。
【0118】
次に、
図18〜
図21(a)に示す工程では、基板1Mを成形(型抜き等)して不要部分を除去し、各層に形成された金属層を螺旋状のコイルの一部を構成する形状の配線にする。
図18は、基板1Mを成形(型抜き等)する前の金属層301
7を例示する平面図である(金属層301
7よりも上層の図示は省略)。
図19は、基板1Mを成形(型抜き等)する前の各層に形成された金属層の形状を模式的に例示する斜視図である。
図18及び
図19に示した各金属層が形成された基板1Mを金型を用いたプレス加工法等により成形し、
図20及び
図21(a)に示す形状とする。なお、
図20は
図18に対応する平面図、
図21(a)は
図20のA−A線に沿う断面図である。なお、
図20及び
図21(a)に示す構造体の各層の配線の形状は、
図2のようになる。基板1Mを金型を用いたプレス加工法等に代えて、レーザ加工法等により成形してもよい。
【0119】
この工程により、第1構造体1Aから第7構造体1Gが積層された積層体において、金属層301
1が成形されて第1配線30
1となる。同様に、金属層301
2、301
3、301
4、301
5、301
6、及び301
7が成形されて、夫々第2配線30
2、第3配線30
3、第4配線30
4、第5配線30
5、第6配線30
6、及び第7配線30
7となる。第1配線30
1、第2配線30
2、第3配線30
3、第4配線30
4、第5配線30
5、第6配線30
6、及び第7配線30
7はビア配線を介して直列に接続された、約5巻きと1/2の螺旋状のコイルである。
【0120】
なお、第1構造体1Aから第7構造体1Gが積層された積層体は各個別領域Cに形成され、隣接する個別領域C間に形成された絶縁層40
7等を含む連結部80を介して相互に連結している(電気的には接続されていない)。なお、各個別領域Cの積層体を構成する絶縁層40
7等も配線と略同形状に成形され、積層体の略中央部に、各層を貫通する貫通孔1xが形成される。
【0121】
次に、
図21(b)に示す工程では、第1構造体1Aから第7構造体1Gが積層された積層体の底面を除く表面を被覆する絶縁膜70を形成する。すなわち、各個別領域Cに形成された積層体の外壁面(側壁)、接着層50
7の上面、及び貫通孔1xの内壁面を連続的に被覆する絶縁膜70を形成する(平面形状は
図1(c)参照)。積層体の外壁面(側壁)や貫通孔1xの内壁面には各配線の端面が露出しているため、インダクタ100(
図3参照)を作製した際に、各配線が封止樹脂110に含有される場合がある導電体(磁性体のフィラー等)と短絡するおそれがある。そこで、積層体の表面に絶縁膜70を形成し、封止樹脂110に含有される場合がある導電体(磁性体のフィラー等)との短絡を防止する。
【0122】
絶縁膜70としては、例えば、エポキシ系やアクリル系絶縁性樹脂等を用いることができる。絶縁膜70は、シリカ等のフィラーを含有しても構わない。絶縁膜70は、例えば、スピンコート法やスプレーコート法等により形成できる。絶縁膜70として電着レジストを用いてもよい。この場合には、電着塗装法により、積層体の外壁面(側壁)や貫通孔1xの内壁面に露出する各配線の端面のみに電着レジストが被着される。絶縁膜70の厚さは、例えば、20〜50μm程度とすることができる。
【0123】
次に、
図21(c)に示す工程では、基板10
1を絶縁層20
1から剥離する。これにより、各個別領域Cにコイル基板1(
図1参照)が完成する。なお、各個別領域Cのコイル基板1は、隣接する個別領域C間に形成された連結部80を介して相互に連結している(電気的には接続されていない)。
【0124】
インダクタ100(
図3参照)を作製するには、
図22(a)に示すように、例えば、
図21(c)に示すコイル基板1を個別領域C毎に切断する。これにより、連結部80が除去されて、個片化された複数のコイル基板1が完成する。各コイル基板1の一方の側面1yからは接続部35の側面が露出し、他方の側面1zから接続部37の側面が露出する。
【0125】
次に、
図22(b)に示すように、各コイル基板1の一方の側面1y及び他方の側面1zを除く部分を封止するように、例えば、トランスファーモールド法等により、封止樹脂110を形成する。封止樹脂110としては、例えば、フェライト等の磁性体のフィラーを含有するエポキシ系絶縁樹脂等の絶縁樹脂を用いることができる。なお、
図21(c)に示す連結部80を介して相互に連結されたコイル基板1の状態で個別領域C全体に封止樹脂110を形成し、次いで、封止樹脂110ごとコイル基板1を個別領域C毎に切断し、
図22(b)の状態としてもよい。
【0126】
次に、
図22(c)に示すように、めっき法やペースト塗布により、封止樹脂110の一方の側面、並びに上面及び下面の一部に銅(Cu)等からなる電極120を連続的に形成する。電極120の内壁面は、コイル基板1の一方の側面1yから露出する接続部35の側面と接し、両者は電気的に接続される。同様に、めっき法やペースト塗布により、封止樹脂110の他方の側面、並びに上面及び下面の一部に銅(Cu)等からなる電極130を連続的に形成する。電極130の内壁面は、コイル基板1の他方の側面1zから露出する接続部37の側面と接し、両者は電気的に接続される。これにより、インダクタ100が完成する。
【0127】
このように、本実施の形態に係るコイル基板1では、螺旋状のコイルの一部となる配線を絶縁層で被覆した構造体を複数個作製し、それらを接着層を介して積層して、各層の配線間をビア配線を介して直列に接続して、1本の螺旋状のコイルを作製する。これにより、構造体の積層数を増やすことで、平面形状を変更することなく任意の巻き数のコイルを実現できる。つまり、従来よりも小さなサイズ(例えば、平面形状が1.6mm×0.8mm)で、コイルの巻き数(ターン数)を増やすことが可能となる。
【0128】
又、例えば、コイルの一部を構成する形状の配線を予め各構造体に形成し、その後各構造体を積層する方法も考えられる。しかし、この方法では、各配線が左右にずれて平面視で完全に重複するようには積層できない。その後、積層体に貫通孔等を形成すると、ずれた配線の一部が除去されるおそれがある。このような不具合は、予め各構造体に形成する配線を細くすることで解決できるが、結果としてコイルの直流抵抗が増加してしまう。
【0129】
一方、本実施の形態に係るコイル基板の製造方法では、各構造体に予め配線よりも大きな平面形状の金属層を形成し、各構造体を積層して積層体を形成し、この積層体を厚さ方向に成形して、各金属層を螺旋状のコイルの一部を構成する形状の配線に同時に加工する。そのため、各配線が左右にずれすることなく、平面視で重複するように高精度に積層された配線から螺旋状のコイルを形成できる。その結果、直流抵抗を小さくできる。すなわち、各配線の左右へのずれを考慮する必要がないため、各配線を太くすることが可能となり、直流抵抗を小さくできる。
【0130】
又、構造体の積層数を増やすことで、平面形状を変更しなくてもコイルの巻き数を増やせるため、小型でインダクタンスが大きなコイル基板を容易に形成できる。
【0131】
又、一の構造体(1層)に形成する配線をコイルの1巻き以下にできるため、構造体(1層)に形成する配線の幅を太くすることが可能である。つまり、配線の幅方向の断面積を増やすことが可能となり、インダクタの性能に直結する巻き線抵抗を低減できる。
【0132】
又、コイル基板1の製造工程では、基板10nとして可撓性を有する絶縁樹脂フィルム(例えば、ポリフェニレンサルファイドフィルム等)を用いるが、最終的には剥離され、製品には残存しないため、コイル基板1の薄型化が可能となる。
【0133】
又、基板10nとしてリール状(テープ状)の可撓性を有する絶縁樹脂フィルム(例えば、ポリフェニレンサルファイドフィルム等)を用いることで、コイル基板1を基板10n上にリールトゥリールで製造することが可能となる。これにより、大量生産によるコイル基板1の低コスト化を実現できる。
【0134】
以上、好ましい実施の形態について詳説したが、上述した実施の形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0135】
例えば、一の構造体(1層)に形成する配線の巻き数は任意に組み合わせることができる。上記の実施の形態のように、約1巻きの配線と約3/4巻きの配線を組み合わせてもよいし、約1巻きの配線と約1/2巻きの配線を組み合わせてもよい。約3/4巻きの配線を用いると4パターン(上記例では、第2配線30
2、第3配線30
3、第4配線30
4、第5配線30
5)の配線が必要となるが、約1/2巻きの配線を用いると2パターンの配線のみで構成できる。