【解決手段】エポキシ樹脂及び硬化剤よりなるエポキシ樹脂組成物の製造方法において、硬化剤の一部又は全部として、下記一般式(1)で表される多価ヒドロキシ樹脂を必須成分としてなり、該多価ヒドロキシ樹脂は、多価ヒドロキシ化合物のヒドロキシ基1モルに対し、スチレン類0.1〜1.0モルを、10〜400wtppmの酸触媒の存在下、反応温度40〜120℃で付加反応させて、スチレン類を多価ヒドロキシ化合物のベンゼン環に置換させることにより得られ、この付加反応での副反応により生成する単価ヒドロキシ化合物がゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;RI)で検出した時の面積%で3%以下である。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂は工業的に幅広い用途で使用されてきているが、その要求性能は近年ますます高度化している。例えば、エポキシ樹脂を主剤とする樹脂組成物の代表的分野に半導体封止材料があるが、半導体素子の集積度の向上に伴い、パッケージサイズは大面積化、薄型化に向かうとともに、実装方式も表面実装化への移行が進展しており、半田耐熱性に優れた材料の開発が望まれている。従って、封止材料としては、低吸湿化に加え、リードフレーム、チップ等の異種材料界面での接着性・密着性の向上が強く求められている。回路基板材料においても同様に、半田耐熱性向上の観点から低吸湿性、高耐熱性、高密着性の向上に加え、誘電損失低減の観点から低誘電性に優れた材料の開発が望まれている。これらの要求に対応するため、様々な新規構造のエポキシ樹脂及び硬化剤が検討されている。更に最近では、環境負荷低減の観点から、ハロゲン系難燃剤排除の動きがあり、より難燃性に優れたエポキシ樹脂及び硬化剤が求められている。
【0003】
従って、上記背景から種々のエポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤が検討されている。エポキシ樹脂硬化剤の一例として、ナフタレン系樹脂が知られており、特許文献1にはナフトールアラルキル樹脂を半導体封止材への応用が示されており、難燃性、低吸湿性、低熱膨張性等に優れることが記載されている。また、特許文献2にはビフェニル構造を有する硬化剤が提案され、難燃性向上に有効であることが記載されている。しかし、ナフトールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂ともに、硬化性に劣る欠点があり、また、難燃性向上の効果についても十分ではない場合があった。
【0004】
一方、エポキシ樹脂についても、これらの要求を満足するものは未だ知られていない。例えば、周知のビスフェノール型エポキシ樹脂は、常温で液状であり、作業性に優れていることや、硬化剤、添加剤等との混合が容易であることから広く使用されているが、耐熱性、耐湿性の点で問題がある。また、耐熱性を改良したものとして、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が知られているが、難燃性に関しては不十分である。
【0005】
ハロゲン系難燃剤を用いることなく難燃性を向上させるための方策として、リン酸エステル系の難燃剤を添加する方法が開示されている。しかし、リン酸エステル系の難燃剤を用いる方法では、耐湿性が十分ではない。また、高温、多湿な環境下ではリン酸エステルが加水分解を起こし、絶縁材料としての信頼性を低下させる問題があった。
【0006】
リン原子やハロゲン原子を含むことなく、難燃性を向上させるものとして、特許文献2及び3ではビフェニル構造を有するアラルキル型エポキシ樹脂を半導体封止材へ応用した例が開示されている。特許文献4には、ナフタレン構造を有するアラルキル型エポキシ樹脂を使用する例が開示されている。しかしながら、これらのエポキシ樹脂は、難燃性、耐湿性又は耐熱性のいずれかにおいて性能が十分でない。
【0007】
一方、耐熱性、耐湿性、耐クラック性の向上に着目した例として、特許文献5にはベンジル化ポリフェノール及びそのエポキシ樹脂が開示されているが、これらは難燃性に着目したものではない。また、これらはフェノールノボラックを出発原料として用い、続いてベンジルクロライドを付加反応させることにより得られる樹脂であるが、反応時に生じる塩酸を触媒として活用する強酸性条件下での反応であるため、フェノールノボラックのメチレン架橋結合が一部開裂し、フェノールを副生する問題があった。すなわち、単官能のフェノール体を副生物として含有することにより、硬化性および耐熱性を低下させる問題があった。
【0008】
さらには、スチレン変性ノボラックの製造方法の例として、特許文献6にはフェノールノボラックとスチレンとを酸触媒の存在下に反応させる方法が開示されているが、高温で強酸性の硫酸触媒を用いているため、本製法においてもフェノールノボラックのメチレン架橋結合が一部開裂しフェノールを副生する問題があった。
【0009】
一方、耐湿性、低応力性の向上に着目したエポキシ樹脂組成物の例として、特許文献7及び8にはスチレン化フェノールノボラック樹脂及びそのエポキシ樹脂を用いるエポキシ樹脂組成物が開示されているが、これらも難燃性に着目したものではない。また、これらはスチレン化フェノールを出発原料として用い、その後ノボラック化する製法であることから、高沸点であるスチレン化フェノールが樹脂中に残存することにより、硬化性および耐熱性を低下させる問題があった。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、本発明の多価ヒドロキシ樹脂(以下、STPNと略す)について説明する。本発明のStPNは一般式(1)で表され、これは一般式(3)で表される多価ヒドロキシ化合物(多価ヒドロキシ化合物(3)ともいう)とスチレン類を反応させることにより得ることができる。
【0019】
多価ヒドロキシ化合物に対しスチレン類を付加させる方法として、塩酸などの酸触媒の存在下、120〜170℃の高温で反応を行うことが一般的である。しかし、酸触媒下において高温で反応させる場合、多価ヒドロキシ化合物の連結基部分であるメチレン結合の開烈を伴い、単価フェノールを副生する問題があった。このような副反応を抑制するため、40〜120℃の範囲に反応温度を低下させ、かつ10〜400ppmの範囲に触媒量を低減させることにより、単価フェノール体の副生を低減させることができる。すなわち、得られた多価ヒドロキシ樹脂をエポキシ樹脂の硬化剤として用いた場合、硬化性、耐熱性に優れた物性が発現される。
【0020】
副反応により生成する上記一般式(2)で表される単価ヒドロキシ化合物(単価ヒドロキシ化合物(2)ともいう)の多価ヒドロキシ樹脂成分中における含有量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;RI)で検出した時の面積%で3%以下であることが好ましい。これより多い場合は、多価ヒドロキシ樹脂をエポキシ樹脂硬化剤として用いた場合、副生物として含まれる単価ヒドロキシ化合物が硬化性を低下させる傾向がある。また、エポキシ樹脂硬化物においても、単価ヒドロキシ化合物が架橋密度を低下させるため、耐熱性にも劣る傾向がある。
【0021】
多価ヒドロキシ樹脂中に含まれる副生物として、単価ヒドロキシ化合物以外の成分として、スチレンオリゴマーが挙げられる。これは、スチレン自体の重合反応によって生成する副生物であり、特に低分子量成分としてスチレンダイマーが含まれる。このスチレンダイマー成分も、単価ヒドロキシ化合物と同様に硬化性および耐熱性を低下させる傾向にある。
【0022】
また、エポキシ樹脂硬化物においては、エポキシ基と水酸基との反応により生成するヒドロキシプロピル基が燃え易いとされているが、多価ヒドロキシ化合物に対してスチレン類を付加させ水酸基当量を高くすることで、エポキシ基由来の易燃成分の脂肪族炭素率は低くなり、高度な難燃性を発現させることができる。また、芳香族性に富んだスチレン類の付加により、多価ヒドロキシ樹脂の芳香族性はより一層向上し、難燃性に加え耐湿性の向上にも効果的である。
【0023】
よって、これらを用いて高難燃性のエポキシ樹脂組成物、特に半導体封止用エポキシ樹脂組成物が得られる。すなわち、それらの組成物における優れた硬化性とともに、高難燃性、耐湿性や低弾性に優れた物性が発現され、この材料を用いて信頼性の高い電気・電子部品類の封止、回路基板材料等が得られる。
【0024】
本発明のStPNは、一般式(3)で表される多価ヒドロキシ化合物(3)とスチレン類とを付加反応させることにより得られる。この際、多価ヒドロキシ化合物(3)とスチレン類との割合としては、得られる硬化物の難燃性と硬化性のバランスを考慮すると、多価ヒドロキシ化合物1モルに対するスチレン類の使用割合が0.1〜2.5モルの範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜1.0モル、更に好ましくは0.3〜0.8モルの範囲である。この範囲より少ない場合は、原料の多価ヒドロキシ化合物の性質が改良されないままの状態であり、この範囲より多い場合は、官能基密度が低くなり過ぎて硬化性が低下する傾向がある。
【0025】
この反応では、スチレン類が多価ヒドロキシ化合物(3)中のOH基を有する芳香族環に付加して上記式(a)で表わされるスチレニル基が置換する。また、スチレン類の付加位置は、多価ヒドロキシ化合物の空位のオルソ及び/又はパラ位であるが、主としてパラ位である。
【0026】
また、本発明のStPNの150℃における溶融粘度は0.01〜10.0Pa・sの範囲のものが好ましい。作業性の面から、溶融粘度は上記範囲において低い程好ましい。
【0027】
さらには、軟化点は40〜150℃であることがよく、好ましくは50〜100℃の範囲である。ここで、軟化点は、JIS−K−2207の環球法に基づき測定される軟化点を指す。これより低いと、これをエポキシ樹脂に配合したとき、硬化物の耐熱性が低下し、これより高いと成形時の流動性が低下する。
【0028】
R
2は上記式(a)で表されるスチレニル基を示す。pは0.1〜2.5の数を示すが、これは1個のフェノール環に置換するスチレニル基の平均の数(数平均)を意味する。pは0.1〜2、0.1〜1.0モル、0.3〜1、0.3〜0.8モルの順に好ましい。なお、両末端のフェノール環には最大4個のスチレニル基が置換でき、中間のフェノール環には最大3個のスチレニル基が置換できるので、nが1の場合は最大8個のスチレニル基が置換できる。
別の観点からは、本発明のStPNは、1分子あたりのスチレニル基の置換数(数平均)は、1以上であることが好ましく、より好ましくは2以上、更に好ましくは2.6〜4である。
【0029】
式(a)において、R
3は水素又は炭素数1〜6の炭化水素基を示すが、好ましくは水素又は炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくは水素である。このR
3は反応原料として使用するスチレン類によって定まる。
【0030】
一般式(1)において、nは1〜20の数を示すが、好ましくは、平均として1.5〜5.0の範囲である。
【0031】
次に、本発明のStPNの製造方法について説明する。本発明のStPNを製造する方法で用いる多価ヒドロキシ化合物(3)としてフェノールノボラック類が用いられる。
【0032】
この多価ヒドロキシ化合物(3)を得るために用いられるフェノール類は、フェノール又は炭素数1〜6の炭化水素基置換フェノールであり、炭化水素基置換フェノールとしては、クレゾール類、エチルフェノール類、イソプロピルフェノール類、ターシャリーブチルフェノール類、アリルフェノール類、フェニルフェノール類等が挙げられる。好ましくはフェノール又は炭素数1〜3のアルキル置換フェノール類であり、より好ましくはフェノールである。
このフェノール類は少量の他のフェノール成分を含んでもよい。例えば、フェノール類としてフェノールを使用する場合、他のフェノール成分としては、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、エチルフェノール類、イソプロピルフェノール類、ターシャリーブチルフェノール類、アリルフェノール類、フェニルフェノール類、2,6−キシレノール、2,6−ジエチルフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、1−ナフトール、2−ナフトール、1,5−ナフタレンジオール、1,6−ナフタレンジオール、1,7−ナフタレンジオール、2,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオールなどが挙げられる。これらのフェノール類又はナフトール類は2種以上を含んでもよい。
【0033】
多価ヒドロキシ化合物との反応に用いるスチレン類は、スチレン又は炭素数1〜6の炭化水素基が置換したスチレンである。このスチレン類は少量の他の反応成分を含んでもよい。他の反応成分として、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、インデン、クマロン、ベンゾチオフェン、インドール、ビニルナフタレン等の不飽和結合含有成分を含む場合、得られる多価ヒドロキシ樹脂にはこれらから生ずる基が芳香環上に置換した化合物が含まれることになる。本発明の多価ヒドロキシ樹脂の製造方法で得られるフェノール樹脂は、このような置換基を有する多価ヒドロキシ樹脂を含み得る。同様に、本発明のエポキシ樹脂の製造方法で得られるエポキシ樹脂は、このような置換基を有するエポキシ樹脂を含み得る。
【0034】
この反応は酸触媒の存在下に行うことができ、その触媒量は10〜400ppmの範囲で用いられ、好ましくは100〜350ppmの範囲である。これより多いとフェノールノボラックのメチレン架橋結合が開裂し易くなり、開列反応により副生した単価フェノール成分により、硬化性および耐熱性を低下させる。一方、これより少ないと反応性が低下し、未反応スチレンモノマーを多く残存させる。また、ここでいう触媒量とは反応に用いる多価ヒドロキシ化合物およびスチレン類の合計重量に対する触媒の量を意味する。
【0035】
この反応は酸触媒の存在下に行うことができる。この酸触媒としては、周知の無機酸、有機酸より適宜選択することができる。例えば、塩酸、硫酸、燐酸等の鉱酸や、ギ酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等の有機酸や、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化鉄、三フッ化ホウ素等のルイス酸あるいはイオン交換樹脂、活性白土、シリカ−アルミナ、ゼオライト等の固体酸等が挙げられる。
【0036】
また、この反応における反応温度は40〜120℃の範囲で行われる。これより低いと、反応性が低下し反応時間が長時間となる。また、これより高いとフェノールノボラックのメチレン架橋結合が一部開裂し易くなり、開裂反応により副生した単価フェノール成分により、硬化性および耐熱性を低下させる。
【0037】
また、この反応は通常、1〜20時間行われる。更に、反応の際には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のアルコール類や、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族化合物等を溶媒として使用することができる。
【0038】
この反応を実施する具体的方法としては、全原料を一括装入し、そのまま所定の温度で反応させるか、又は、多価ヒドロキシ化合物と触媒を装入し、所定の温度に保ちつつ、スチレン類を滴下させながら反応させる方法が一般的である。この際、滴下時間は、5時間以下が好ましく、通常、1〜10時間である。反応後、溶媒を使用した場合は、必要により、触媒成分を取り除いた後、溶媒を留去させて本発明の樹脂を得ることができ、溶媒を使用しない場合は、直接熱時排出することによって目的物を得ることができる。
【0039】
次に、本発明のエポキシ樹脂について述べる。
本発明のエポキシ樹脂(StPNEと略す)は一般式(4)で表される。また、多価ヒドロキシ樹脂(StPN)は一般式(1)で表される。StPNEは、StPNをエポキシ化することにより得ることができる。
【0040】
一般式(4)において、一般式(1)と共通な記号は同じ意味を有する。Gはグリシジル基を表すが、一般式(1)の水酸基が反応して生じる。R
1はスチレニル基である。
【0041】
本発明のStPNEは、上記一般式(1)で表されるStPNと、エピクロルヒドリンを反応させることより製造することが有利であるが、この反応に限らない。しかし、StPNは、上記単価ヒドロキシ化合物を、3%を超えて含まない。これにより、上記一般式(5)で表される単価エポキシ樹脂(単価エポキシ樹脂(5)ともいう)を3%以下とすることができる。
【0042】
StPNをエピクロルヒドリンと反応させる反応の他、StPNとハロゲン化アリルを反応させ、アリルエーテル化合物とした後、過酸化物と反応させる方法をとることもできる。上記StPNをエピクロルヒドリンと反応させる反応は、通常のエポキシ化反応と同様に行うことができる。
【0043】
例えば、上記StPNを過剰のエピクロルヒドリンに溶解した後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の存在下に、20〜150℃、好ましくは、30〜80℃の範囲で1〜10時間反応させる方法が挙げられる。この際のアルカリ金属水酸化物の使用量は、StPNの水酸基1モルに対して、0.8〜1.5モル、好ましくは、0.9〜1.2モルの範囲である。また、エピクロルヒドリンはStPN中の水酸基1モルに対して過剰に用いられるが、通常、StPN中の水酸基1モルに対して、1.5〜30モル、好ましくは、2〜15モルの範囲である。反応終了後、過剰のエピクロルヒドリンを留去し、残留物をトルエン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解し、濾過し、水洗して無機塩を除去し、次いで溶剤を留去することにより目的のエポキシ樹脂を得ることができる。
【0044】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、少なくともエポキシ樹脂及び硬化剤を含むものであるが、次の3種類がある。
1)エポキシ樹脂の一部又は全部として前記StPNEを配合した組成物。
2)硬化剤の一部又は全部として前記StPNを配合した組成物。
3)エポキシ樹脂及び硬化剤の一部又は全部として前記SPEとStPNを配合した組成物。
【0045】
上記2)及び3)の組成物の場合、StPNを必須の成分として含む。StPNの配合量は、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して2〜200重量部、好ましくは5〜80重量部の範囲である。これより少ないと難燃性及び耐湿性向上の効果が小さく、これより多いと成形性及び硬化物の強度が低下する問題がある。
【0046】
硬化剤の全量としてStPNを用いる場合、通常、StPNの配合量は、StPNのOH基とエポキシ樹脂中のエポキシ基の当量バランスを考慮して配合する。エポキシ樹脂及び硬化剤の当量比は、通常、0.2〜5.0の範囲であり、好ましくは0.5〜2.0の範囲である。これより大きくても小さくても、エポキシ樹脂組成物の硬化性が低下するとともに、硬化物の耐熱性、力学強度等が低下する。
【0047】
硬化剤としてStPN以外の硬化剤を併用することができる。その他の硬化剤の配合量は、StPNの配合量が、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して2〜200重量部、好ましくは5〜80重量部の範囲が保たれる範囲内で決定される。StPNの配合量がこれより少ないと低吸湿性、密着性及び難燃性向上の効果が小さく、これより多いと成形性及び硬化物の強度が低下する問題がある。この場合においても、エポキシ樹脂と硬化剤(合計)の当量比は上記の範囲とされる。
【0048】
StPN以外の硬化剤としては、一般にエポキシ樹脂の硬化剤として知られているものはすべて使用でき、ジシアンジアミド、酸無水物類、多価フェノール類、芳香族及び脂肪族アミン類等がある。これらの中でも、半導体封止材等の高い電気絶縁性が要求される分野においては、多価フェノール類を硬化剤として用いることが好ましい。以下に、硬化剤の具体例を示す。
【0049】
酸無水物硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル無水ハイミック酸、無水ドデシニルコハク酸、無水ナジック酸、無水トリメリット酸等がある。
【0050】
多価フェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4'−ビフェノール、2,2'−ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類、あるいは、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o-クレゾールノボラック、ナフトールノボラック、ポリビニルフェノール等に代表される3価以上のフェノール類がある。更には、フェノール類、ナフトール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4'−ビフェノール、2,2'−ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−キシリレンジクロライド、ビスクロロメチルビフェニル、ビスクロロメチルナフタレン等の縮合剤により合成される多価フェノール性化合物等がある。
【0051】
アミン類としては、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルプロパン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン等の芳香族アミン類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、リエチレンテトラミン等の脂肪族アミン類がある。
上記組成物には、これら硬化剤の1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0052】
上記組成物に使用されるエポキシ樹脂としては、1分子中にエポキシ基を2個以上有するもの中から選択される。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、3,3',5,5'−テトラメチル−ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、2,2' −ビフェノール、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシビフェノール、レゾルシン、ナフタレンジオール類等の2価のフェノール類のエポキシ化物、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック等の3価以上のフェノール類のエポキシ化物、ジシクロペンタジエンとフェノール類の共縮合樹脂のエポキシ化物、フェノール類とパラキシリレンジクロライド等から合成されるフェノールアラルキル樹脂類のエポキシ化物、フェノール類とビスクロロメチルビフェニル等から合成されるビフェニルアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物、ナフトール類とパラキシリレンジクロライド等から合成されるナフトールアラルキル樹脂類のエポキシ化物等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0053】
上記1)及び3)の組成物の場合、StPNEを必須の成分として含む。このエポキシ樹脂組成物中には、エポキシ樹脂成分として、StPNE以外に別種のエポキシ樹脂を配合してもよい。この場合のエポキシ樹脂としては、分子中にエポキシ基を2個以上有する通常のエポキシ樹脂はすべて使用できる。例を挙げれば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4'−ビフェノール、2,2'−ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン等の2価のフェノール類、あるいは、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック等の3価以上のフェノール類、フェノール系アラルキル樹脂類、ビフェニルアラルキル樹脂類、ナフトール系アラルキル樹脂類又はテトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類から誘導されるグルシジルエーテル化物等がある。これらのエポキシ樹脂は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。そして、本発明のStPNEを必須成分とする組成物の場合、StPNEの配合量はエポキシ樹脂全体中、5〜100%、好ましくは60〜100%の範囲であることがよい。
【0054】
本発明のエポキシ樹脂組成物中には、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、石油樹脂、インデン樹脂、インデン・クマロン樹脂、フェノキシ樹脂等のオリゴマー又は高分子化合物を他の改質剤等として適宜配合してもよい。添加量は、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して、2〜30重量部の範囲である。
【0055】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、無機充填剤、顔料、難然剤、揺変性付与剤、カップリング剤、流動性向上剤等の添加剤を配合できる。無機充填剤としては、例えば、球状あるいは、破砕状の溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ粉末、アルミナ粉末、ガラス粉末、又はマイカ、タルク、炭酸カルシウム、アルミナ、水和アルミナ等が挙げられ、半導体封止材に用いる場合の好ましい配合量は70重量%以上であり、更に好ましくは80重量%以上である。
【0056】
顔料としては、有機系又は、無機系の体質顔料、鱗片状顔料等がある。揺変性付与剤としては、シリコン系、ヒマシ油系、脂肪族アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス、有機ベントナイト系等を挙げることができる。
【0057】
更に、本発明のエポキシ樹脂組成物には必要に応じて硬化促進剤を用いることができる。例を挙げれば、アミン類、イミダゾール類、有機ホスフィン類、ルイス酸等があり、具体的には、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの三級アミン、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−へプタデシルイミダゾールなどのイミダゾール類、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレートなどのテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレートなどのテトラフェニルボロン塩などがある。添加量としては、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して、0.2から5重量部の範囲である。
【0058】
更に必要に応じて、本発明の樹脂組成物には、カルナバワックス、OPワックス等の離型剤、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、カーボンブラック等の着色剤、三酸化アンチモン等の難燃剤、シリコンオイル等の低応力化剤、ステアリン酸カルシウム等の滑剤等を使用できる。
【0059】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、有機溶剤を溶解させたワニス状態とした後に、ガラスクロス、アラミド不織布、液晶ポリマー等のポリエステル不織布、等の繊維状物に含浸させた後に溶剤除去を行い、プリプレグとすることができる。また、場合により銅箔、ステンレス箔、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム等のシート状物上に塗布することにより積層物とすることができる。
【0060】
本発明のエポキシ樹脂組成物を加熱硬化させれば、エポキシ樹脂硬化物とすることができ、この硬化物は硬化性、難燃性、低吸湿性、低弾性等の点で優れたものとなる。この硬化物は、エポキシ樹脂組成物を注型、圧縮成形、トランスファー成形等の方法により、成形加工して得ることができる。この際の温度は通常、120〜220℃の範囲である。
【実施例】
【0061】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
【0062】
(多価ヒドロキシ樹脂の合成)
合成例1A
1Lの4口フラスコに、多価ヒドロキシ化合物成分としてフェノールノボラック(昭和高分子製;BRG−555、水酸基当量105g/eq.、軟化点67℃、150℃での溶融粘度0.08Pa・s)を105g、トルエン5.3g、酸触媒としてp−トルエンスルホン酸0.078g(300ppm)を仕込み100℃に昇温した。次に、100℃にて攪拌しながら、スチレン156g(1.5モル)を3時間かけて滴下し反応させた。さらに、100℃にて2時間反応後、30%Na
2CO
30.071gを添加し中和を行った。次に、MIBK485gに溶解させ、80℃にて5回水洗を行った。続いて、MIBKを減圧留去した後、多価ヒドロキシ樹脂250gを得た。その水酸基当量は261g/eq.、軟化点は82℃、150℃での溶融粘度は0.21Pa・sであった。この樹脂をStPN−Aという。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;RI)測定において、単価ヒドロキシ化合物(2)の面積%は1.2%であった。StPN−AのGPCチャートを
図1に示す。
【0063】
合成例1
1Lの4口フラスコに、多価ヒドロキシ化合物成分としてフェノールノボラック(昭和高分子製;BRG−555)を105g、トルエン5.3g、酸触媒としてp−トルエンスルホン酸0.131g(500ppm)を仕込み150℃に昇温した。次に、150℃にて攪拌しながら、スチレン156g(1.5モル)を3時間かけて滴下し反応させた。さらに150℃にて2時間反応後、30%Na
2CO
30.118gを添加し中和を行った。次に、MIBK485gに溶解させ、80℃にて5回水洗を行った。続いて、MIBKを減圧留去した後、多価ヒドロキシ樹脂247gを得た。その軟化点は80℃、150℃での溶融粘度は0.19Pa・s、水酸基当量は261g/eq.であった。この樹脂をStPN−Bという。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;RI)測定において、単価ヒドロキシ化合物(2)の面積%は5.5%であった。また、スチレンダイマーの面積%は0.8%であった。StPN−BのGPCチャートを
図2に示す。
図1〜2において、Aは単価ヒドロキシ化合物(2)のピークを示し、Bはスチレンダイマーのピークを示す。
【0064】
(エポキシ樹脂の合成)
合成例2A
四つ口セパラブルフラスコに実施例1で得たStPN−A150g、エピクロルヒドリン319g、ジエチレングリコールジメチルエーテル48gを入れ撹拌溶解させた。均一に溶解後、130mmHgの減圧下65℃に保ち、48%水酸化ナトリウム水溶液47.9gを4時間かけて滴下し、この滴下中に還流留出した水とエピクロルヒドリンを分離槽で分離しエピクロルヒドリンは反応容器に戻し、水は系外に除いて反応した。反応終了後、濾過により生成した塩を除き、更に水洗したのちエピクロルヒドリンを留去し、エポキシ樹脂172gを得た(StPNE−A)。得られた樹脂のエポキシ当量は325g/eq.、軟化点は60℃、150℃における溶融粘度は0.19Pa・sであった。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;RI)測定において、単価エポキシ化合物(5)の面積%は1.1%であった。StPNE−AのGPCチャートを
図3に示す。
【0065】
合成例2
四つ口セパラブルフラスコに合成例1で得たStPN−B150g、エピクロルヒドリン319g、ジエチレングリコールジメチルエーテル48gを入れ撹拌溶解させた。均一に溶解後、130mmHgの減圧下65℃に保ち、48%水酸化ナトリウム水溶液47.9gを4時間かけて滴下し、この滴下中に還流留出した水とエピクロルヒドリンを分離槽で分離しエピクロルヒドリンは反応容器に戻し、水は系外に除いて反応した。反応終了後、濾過により生成した塩を除き、更に水洗したのちエピクロルヒドリンを留去し、エポキシ樹脂170gを得た(StPNE−B)。得られた樹脂のエポキシ当量は330g/eq.、軟化点は57℃、150℃における溶融粘度は0.18Pa・sであった。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;RI)測定において、単価エポキシ化合物(5)の面積%は5.0%であった。また、スチレンダイマーの面積%は0.6%であった。StPNE−BのGPCチャートを
図4に示す。
図3〜4において、Aは単価エポキシ化合物(5)のピークを示し、Bはスチレンダイマーのピークを示す。
【0066】
実施例3及び比較例1、2
エポキシ樹脂成分としてo-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(OCNE;エポキシ当量200、軟化点65℃)を使用し、硬化剤として合成例1Aで得たSTPN−A、合成例1で得たSTPN−Bの他、フェノールノボラック(PN;PSM−4261(群栄化学製);OH当量103、軟化点 82℃)を使用した。充填剤としてシリカ(平均粒径18μm)、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン及びその他の添加剤を表1に示す配合で混練しエポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物を用いて175℃にて成形し、175℃にて12時間ポストキュアを行い、硬化物試験片を得た後、各種物性測定に供した。物性測定の詳細を次に示し、結果を表2に示す。
【0067】
1)多価ヒドロキシ樹脂、エポキシ樹脂の分子量分布
GPC測定装置(日本ウォーターズ製、515A型GPC)を用い、カラムにTSKgel SuperHZ2000(東ソー製)3本、TSKgel SuperHZ4000(東ソー製)1本を使用し、検出器をRIとし、溶媒にテトラヒドロフラン、流量0.6ml/min、カラム温度40℃として測定した。
【0068】
2)軟化点
自動軟化点装置(明峰社製、ASP−M4SP)を用い、JIS−K−2207に従い環球法にて測定した。
【0069】
3)溶融粘度
BROOKFIELD製、CAP2000H型回転粘度計を用いて、150℃にて測定した。
【0070】
4)水酸基当量の測定
電位差滴定装置を用い、1,4−ジオキサンを溶媒に用い、1.5mol/L塩化アセチルでアセチル化を行い、過剰の塩化アセチルを水で分解して0.5mol/L−水酸化カリウムを使用して滴定した。
【0071】
5)エポキシ当量の測定
電位差滴定装置を用い、溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、臭素化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液を加え、電位差滴定装置にて0.1mol/L過塩素酸−酢酸溶液を用いて測定した。
【0072】
6)ゲルタイム
175℃に加熱しておいたゲル化試験機(日新科学(株)製)のプレート上にエポキシ樹脂組成物を添加し、フッ素樹脂棒を用いて一秒間に2回転の速度で攪拌し、エポキシ樹脂組成物が硬化するまでに要したゲル化時間を調べた。
【0073】
7)線膨張係数(CTE、ガラス転移点(Tg)
セイコーインスツル製TMA120C型熱機械測定装置により、昇温速度10℃/分の条件で、Tgを求め、α1(Tg以下のCTE)は30〜50℃の範囲の平均値を、またα2(Tg以上のCTE)はTgプラス20℃〜40℃の範囲の平均値から求めた。
【0074】
8)曲げ強度及び曲げ弾性
JISK 6911に従い、3点曲げ試験法で常温にて測定した。
【0075】
9)接着強度
銅板2枚の間に25mm×12.5mm×0.5mmの成形物を圧縮成形機により175℃で成形し、180℃にて12時間ポストキュアを行った後、引張剪断強度を求めることにより評価した。
【0076】
10)吸水率
25℃、相対湿度50%の条件を標準状態とし、85℃、相対湿度85%の条件で100時間吸湿させた後の重量変化率とした。
【0077】
11)難燃性
厚さ1/16インチの試験片を成形し、UL94V-0規格によって評価し、5本の試験片での合計の燃焼時間で表した。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
参考例4、5及び比較例3〜5
エポキシ樹脂成分として、合成例2Aで得たStPNE−A、合成例2で得たStPNE−Bの他、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(OCNE;エポキシ当量200、軟化点65℃)を用い、硬化剤成分として、フェノールアラルキル樹脂(PA;MEH−7800SS(明和化成製)、OH当量175、軟化点67℃)又はフェノールノボラック(PN;PSM−4261(群栄化学製)、OH当量103、軟化点 82℃)を用いた。更に、充填剤として球状シリカ(平均粒径 18μm)、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンを用いた。表3に示す配合でエポキシ樹脂組成物を得た。表中の数値は配合における重量部を示す。
【0081】
このエポキシ樹脂組成物を用いて175℃で成形し、更に175℃にて12時間ポストキュアを行い、硬化物試験片を得た後、各種物性測定に供した。結果を表4に示す。
【0082】
【表3】
【0083】
【表4】