【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成24年度、独立行政法人情報通信研究機構「高度通信・放送研究開発委託研究/低消費電力高速光スイッチング技術の研究開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【解決手段】本発明の光導波路デバイスは、基板と、基板上に形成された光導波路と、光導波路の入力側端部が設けられた入力面に入力される光のうち、光導波路に入力されない非入力光が、光導波路の出力側端部が設けられた出力面に到達することを抑制する抑制手段と、を備えることを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図を参照しながら、本発明の実施形態に係る光導波路デバイスについて説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0016】
(第1実施形態)
図1から
図3は、本実施形態の光導波路デバイス10を示す図である。
図1は、斜視図である。
図2は、側断面図である。
図3は、正面図である。
図3においては、光ファイバ30を二点鎖線で示している。
【0017】
なお、以下の説明においてはXYZ座標系を設定し、このXYZ座標系を参照しつつ各部材の位置関係を説明する。この際、基板11(
図1参照)の厚み方向をZ軸方向、基板11の長手方向をX軸方向、基板11の幅方向をY軸方向とする。
【0018】
本実施形態の光導波路デバイス10は、
図1及び
図2に示すように、基板11と、クラッド層12と、光導波路13と、入力側部材20と、出力側部材21と、反射膜22と、反射膜23と、光ファイバ(光射出手段)30と、光ファイバ31とを備える。
【0019】
基板11は、直方体形状の部材であり、例えば、シリコン基板、ガラス基板、セラミックス基板、ニオブ酸リチウム(LiNbO
3:LN)基板等である。基板11の厚み(Z軸方向長さ)は、例えば、0.5mm程度である。基板11の長さは、例えば、5mm以上、30mm以下程度である。基板11上には、内部に光導波路13が設けられたクラッド層12が形成されている。
【0020】
光導波路13は、本実施形態の場合、クラッド層12の内部における入力側(−X側)の端部から出力側(+X側)の端部まで、直線的に形成されている。すなわち、光導波路13は、いわゆるストレート型の光導波路である。光導波路13の入力側端部13aは、光導波路デバイス10の入力面14に設けられている。光導波路13の出力側端部13bは、光導波路デバイス10の出力面15に設けられている。光導波路13は、光ファイバ30及び光ファイバ31と、光学的に接続されている。
【0021】
光導波路13の断面形状は、
図3に示すように、光ファイバ30のコア32から射出される入力光と比較して同程度か、小さくなっている。光導波路13の断面における短軸方向長さ(Z軸方向長さ)は、例えば、2μm以上、10μm以下である。光導波路13の断面における長軸方向長さ(Y軸方向長さ)は、例えば、2μm以上、10μm以下である。
【0022】
光導波路13は、少なくとも2種類以上の有機ポリマー、無機ポリマー、または有機無機複合材料などのポリマーで構成されている。
これらのポリマーとしては、光導波路13を伝搬する光に対して高い透過率を有するものであれば用いることが可能である。これらのポリマーとしては、例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリキノリン系樹脂、ポリキノキサリン系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂、ポリベンゾチアゾール系樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂等が挙げられる。
【0023】
また、上記ポリマーには必要に応じて、有機色素や無機微粒子など、他の成分を加えることで光導波路13の特性を調整したり、機能性を付与することが可能である。これらの成分についても、ポリマー同様、光導波路13を伝搬する光に対して高い透過率を有するものであれば、特に種類を限定せずに用いることができる。
【0024】
クラッド層12は、基板11の上面(+Z側の面)に形成された有機ポリマーの層である。クラッド層12の内部には、光導波路13が設けられている。クラッド層12は、例えば、光導波路13に用いられる有機ポリマーと同様の有機ポリマーによって構成されている。クラッド層12の厚み(Z軸方向長さ)は、例えば、2μm以上、20μm以下である。
【0025】
入力面14は、光導波路デバイス10における光ファイバ30が接続されている側面である。入力面14は、本実施形態においては、入力側部材20の入力側面(一側面)20aと、基板11の入力側面11aと、クラッド層12の入力側(−X側)の側面とで構成される面である。
【0026】
出力面15は、光導波路デバイス10における光ファイバ31が接続されている側面である。出力面15は、本実施形態においては、出力側部材21の出力側面(一側面)21aと、基板11の出力側面11bと、クラッド層12の出力側(+X側)の側面とで構成される面である。
【0027】
入力側部材20は、クラッド層12上における入力側(−X側)の端部に設けられている。本実施形態においては、入力側部材20は、直方体形状である。入力側部材20の入力側面20aは、入力面14に含まれている。すなわち、入力側部材20は、入力側面20aが、基板11の入力側面11aと面一となるように設けられている。「面一」とは、面と面とが、段差なく連続する平坦面を形成した状態である。入力側部材20の出力側面20bには、反射膜(反射素子,抑制手段)22が形成されている。
【0028】
入力側部材20は、基板11と同等の材料で構成されている。すなわち、入力側部材20は、例えば、シリコン基板、ガラス基板、セラミックス基板、LN基板等で構成されている。入力側部材20は、基板11と同一の材料でなくてもよいが、同一の材料で構成されていることがより好ましい。入力側部材20と基板11とを同一の材料とすることにより、入力側部材20と基板11との強度や、熱膨張係数を揃えることができる。
【0029】
出力側部材21は、クラッド層12上における出力側(+X側)の端部に設けられている。本実施形態においては、出力側部材21は、直方体形状である。出力側部材21の出力側面21bは、出力面15に含まれている。すなわち、出力側部材21は、出力側面21bが、基板11の出力側面11bと面一となるように設けられている。出力側部材21の入力側面21aには、反射膜(反射素子,抑制手段)23が形成されている。
【0030】
出力側部材21は、入力側部材20と同様に、基板11と同一の材料で構成されている。すなわち、出力側部材21は、例えば、シリコン基板、ガラス基板、セラミックス基板、LN基板等で構成されている。
【0031】
入力側部材20及び出力側部材21は、光ファイバ30及び光ファイバ31を光導波路13と接続させることを容易にする機能を有している。すなわち、入力側部材20の入力側面20aによって、光導波路デバイス10の入力面14を拡張することができ、光ファイバ30の接合端面全体を入力面14に接合することができる。これにより、光ファイバ30と入力面14との接着強度を増加することができる。また、出力側部材21の出力側面21bによって、光導波路デバイス10の出力面15を拡張することができ、光ファイバ31の接合端面全体を出力面15に接合することができる。これにより、光ファイバ31と出力面15との接着強度を増加することができる。
【0032】
光ファイバ30は、光信号を伝送するためのケーブルである。光ファイバ30は、
図2及び
図3に示すように、光を伝搬するコア32と、コア32の外側に設けられたクラッド33とを備える。光ファイバ30は、
図3に示すように、コア32が光導波路13の入力側端部13aと正面視(YZ面視)において重なるようにして、入力面14に接続されている。
【0033】
光ファイバ30の直径は、例えば、125μm程度である。コア32の直径は、例えば、10μm程度である。コア32及びクラッド33は、例えば、石英ガラスやプラスチックにより構成されている。
【0034】
光ファイバ31は、光ファイバ30と同様のケーブルである。光ファイバ31は、
図2及び
図3に示すように、コア34と、クラッド35とを備えている。光ファイバ31は、出力面15に、光ファイバ30と同様にして接続されている。
【0035】
反射膜22は、入力側部材20の出力側面20bの全体に形成されている。反射膜23は、出力側部材21の入力側面21aの全体に形成されている。反射膜22及び反射膜23は、光ファイバ30から射出される光の少なくとも一部を反射する性質を有する。反射膜22及び反射膜23は、例えば、金や、銀、錫で構成されている。
【0036】
本実施形態によれば、反射膜22及び反射膜23を備えているため、光導波路13に入力されなかった光が出力面15に到達することを抑制でき、光導波路13の出力側端部13bに光ファイバ31を接続することが容易である。以下、詳細に説明する。
【0037】
図4は、光導波路デバイス10の部分拡大側断面図である。
図4に示すように、光ファイバ30のコア32から光Lがクラッド層12中に形成された光導波路13に入力される。このとき、コア32の直径に対して、光導波路13の直径が小さいため、光導波路13に入力されない非入力光Leが生じる。非入力光Leは、入力側部材20及び基板11に入射され、出力側(+X側)へと進む。そして、光導波路デバイスに反射膜が設けられていない場合においては、非入力光Leは、光導波路デバイスの出力面から射出される場合がある。
【0038】
なお、以下の説明において非入力光Leとは、光導波路13に入力されない光のうち、例えば、本実施形態の反射膜22,23のような抑制手段がない場合において、光導波路デバイスの出力面から射出される光のことを、特に意味するものとする。
【0039】
図5は、反射膜が設けられていない光導波路デバイス110の側断面図である。
図6は、光導波路デバイス110の背面図である。
図6においては、光ファイバ31を省略している。光導波路デバイス110は、反射膜が設けられていない点を除けば、光導波路デバイス10と同様の構成である。
【0040】
図5に示すように、光導波路デバイス110の入力側部材20及び出力側部材21には、反射膜が形成されていないため、上記説明した非入力光Leの少なくとも一部は、入力側部材20を介して出力側部材21に入射される。そして、出力側部材21に入射された非入力光Leは、出力面15、より詳細には、出力側部材21の出力側面21bから射出される。これにより、出力面15には、
図6に示すように、多数の光源像Lmが視認されることとなる。
【0041】
ここで、出力側部材21から射出される非入力光Leが、多数の光源像Lmを形成する原理については、詳細は不明ではあるものの、以下のような原理に基づくものと考えられる。すなわち、出力側部材21に入射された非入力光Leは、
図5に示すように、出力側部材21内において多重反射され、その結果、光同士が干渉して、光の強弱が生じる。これにより、
図6に示すように、出力面15には、多重反射した光同士が干渉して強め合う部分である多数の光源像Lmが視認されることとなると考えられる。また、場合によっては、入力側部材20内においても非入力光Leが多重反射して、出力面15における多数の光源像Lmの形成に影響を与えていることも考えられる。
【0042】
以上のようにして、反射膜が設けられていない光導波路デバイス110においては、出力面15に多数の光源像Lmが視認される結果、光導波路13の出力側端部13bの光が判別しにくくなり、光導波路13の出力側端部13bに光ファイバ31を接続することが困難であるという問題があった。
【0043】
上記のような問題は、入力側の光ファイバ30の導波路形状と基板11上の光導波路13の形状とが異なる場合、つまり入力側の光ファイバ30を伝播する光のモードフィールドと基板11上の光導波路13を伝播する光のモードフィールドとが異なる場合に発生する。特に、上記のような問題は、光導波路デバイスの長さを短くした場合において、顕著に発生する。これは、非入力光Leが出力面に到達するまでに減衰される度合いが低く、出力面から射出される非入力光の強度が大きいためである。
【0044】
これに対して、本実施形態によれば、入力側部材20及び出力側部材21にそれぞれ反射膜22及び反射膜23が設けられているため、
図2に示すように、非入力光Leは、反射膜22及び反射膜23によって反射され、出力面15に到達することが抑制される。その結果、出力面15から非入力光Leが射出されることを抑制でき、光導波路13の出力側端部13bの位置を判別することが容易である。したがって、本実施形態によれば、製造時において、光導波路13の出力側端部13bに光ファイバ31を光学的に接続することが容易な光導波路デバイスが得られる。
【0045】
なお、本実施形態においては、以下の構成を採用することもできる。
【0046】
上記説明した実施形態においては、入力側部材20の出力側面20bの全体に反射膜22が形成され、出力側部材21の入力側面21aの全体に反射膜23が形成されている構成としたが、これに限られない。本実施形態においては、例えば、反射膜22は、非入力光Leの少なくとも一部が反射膜22に入射される範囲内において、入力側部材20の出力側面20bの一部に形成されていてもよいし、反射膜23は、非入力光Leの少なくとも一部が反射膜23に入射される範囲内において、出力側部材21の入力側面21aの一部に形成されていてもよい。
【0047】
また、上記説明した実施形態においては、入力側部材20と出力側部材21とに、反射膜22と反射膜23とが設けられている構成としたが、いずれか一方の反射膜は設けられていなくてもよい。
また、反射膜22及び反射膜23は、入射する光の一部を透過させてもよい。
【0048】
また、本実施形態においては、反射膜22,23の代わりに、吸収膜(吸収素子,抑制手段)が設けられていてもよい。吸収膜は、入射する光の少なくとも一部を吸収する。これにより、非入力光Leが出力面15に到達することを抑制できる。
【0049】
また、本実施形態においては、反射膜22,23の代わりに、散乱膜(光散乱素子,抑制手段)が設けられていてもよい。散乱膜は、入射する光を散乱させる。これにより、非入力光Leが散乱されて強度が弱まり、非入力光Leが出力面15に到達することを抑制できる。散乱膜としては、光を散乱させる性質を有する範囲内において、特に限定されない。本実施形態においては、散乱膜の構成として、例えば、透明樹脂内に屈折率の異なる微粒子が含まれているような構成を採用することができる。
なお、散乱膜は、入力側部材20と出力側部材21とのいずれか一方のみに設けられていてもよい。特に、散乱光は指向性を失い単位面積あたりの光強度が低下するため、散乱膜は出力面15から遠い入力側部材20に設けると効果的である。
【0050】
また、本実施形態においては、散乱膜の代わりに、入力側部材20の出力側面20b及び出力側部材21の入力側面21aを凹凸形状に加工することによって、非入力光Leを散乱させるような構成としてもよい。凹凸形状は、例えば、サンドブラストによる砂目や、スリット形状等である。また、例えば、入力側部材20及び出力側部材21を母材から切り出して製造するような場合においては、入力側部材20の出力側面20b及び出力側部材21の入力側面21aを粗切りの状態とすることによって、凹凸形状を形成してもよい。
【0051】
また、上記説明した実施形態においては、光導波路13は、直線的に形成されたストレート型の光導波路としたが、これに限られない。本実施形態においては、例えば、光導波路が、曲率を持っていてもよいし、分岐形状を有していてもよい。本実施形態においては、光導波路は、例えば、マッハツェンダー干渉計型光導波路であってもよい。
【0052】
また、本実施形態においては、入力側の光ファイバ30と出力側の光ファイバ31とが一直線に並んでいなくてもよい。
また、上記説明した実施形態においては、出力側の光ファイバ31が1つだけ設けられている構成としたが、これに限られない。本実施形態においては、例えば、光導波路13が分岐し、出力面15に複数の出力側端部13bが設けられるような場合に、出力側端部13bの数に応じた複数の光ファイバ31が、出力面15に接続される構成であってもよい。
【0053】
また、上記説明した実施形態においては、光ファイバ30が直接光導波路13に接続され、光ファイバ30からの光Lが光導波路13に入力される構成としたが、これに限られない。本実施形態においては、例えば、光ファイバ30と、光導波路13との間にレンズが設けられ、レンズを介して、光ファイバ30からの光Lが光導波路13に入力される構成としてもよい。
この場合、レンズにより集光された光のモードフィールドと基板11上の光導波路13を伝播する光のモードフィールドとが異なる場合や、光の結合の調整が不十分な場合に非入力光Leが発生する。
【0054】
また、本実施形態においては、基板11上に、複数のポリマー材料を塗布して、積層構造の光導波路を形成してもよい。
【0055】
また、上記説明した実施形態においては、光導波路として有機ポリマーを用いているが、これに限られない。本実施形態においては、例えば、基板11をLN基板とし、LN基板表面からTi等を熱拡散させることによって光導波路を形成するような構成としてもよい。
なお、光導波路13を形成する基板11としては、電気光学効果を有するものであればLN基板以外でもよく、例えば、PLZT((Pb,La)(Zr,Tr)O
3)や、LT(LiTaO
3)などを形成材料とする基板を用いてもよい。
【0056】
また、本実施形態においては、基板11上に、さらに光導波路が形成された厚みが10μm程度のLN基板等の電気光学効果を有する基板を接合するような構成としてもよい。この場合、基板11は、LNや、シリコン、ガラス、セラミックス等で構成されていてもよい。
なお、基板11上に接合された光導波路が形成される基板としては、電気光学効果を有するものであればLN基板以外でもよく、例えば、PLZT((Pb,La)(Zr,Tr)O
3)や、LT(LiTaO
3)などを形成材料とする基板を用いてもよい。
【0057】
(第2実施形態)
第2実施形態は、第1実施形態に対して、基板に吸収素子が設けられている点において異なる。
なお、以下の説明においては、上記実施形態と同様の構成については、適宜同一の記号を付す等により、説明を省略する場合がある。
【0058】
図7は、第2実施形態の光導波路デバイス210を示す側断面図である。
本実施形態の光導波路デバイス210は、
図7に示すように、基板211に凹部224が形成され、凹部224の内部に吸収剤(吸収素子,抑制手段)225が充填されている。
【0059】
凹部224は、非入力光Leの少なくとも一部が、凹部224の内部に入射する範囲内において、基板211の幅方向(Y軸方向)または、基板211の厚み方向(Z軸方向)の一部に形成されていてもよいし、全体に亘って形成されていてもよい。また、凹部224の基板211における長さ方向(X軸方向)の位置は、非入力光Leが凹部224の内部に入射する範囲内において、特に限定されない。本実施形態においては、例えば、凹部224は、基板211の長さ方向(X軸方向)の中央に形成されている。
【0060】
吸収剤225は、入射する光の少なくとも一部を吸収する性質を有している。
吸収剤225の材料は、光を吸収する性質を有する範囲内において、特に限定されず、例えば、カーボンブラック等、光を吸収するいかなる公知の材料を用いてもよい。
【0061】
また、以上の実施形態においては、非入力光Leが出力面15に到達することを抑制するための機能を設ける構成について説明したが、本実施形態においては、入力側部材20及び出力側部材21に反射防止膜を形成して積極的に非入力光Leを出力面15に透過させる構成であってもよい。これにより、入力側部材20及び出力側部材21での多重反射が抑制されるため、出力面15には、
図6に示すような多数の光源像Lmが発生しづらくなり、光導波路13の出力側端部13bに光ファイバ等を容易に接続することが可能となる。反射防止膜としては、誘電体多層膜などを用いることができる。
【0062】
本実施形態によれば、光ファイバ30から射出され、基板211に入射された非入力光Leが吸収剤225によって吸収されるため、非入力光Leが出力面215、より詳細には、基板211の出力側面211bに到達することを抑制できる。これにより、本実施形態によれば、製造時において、光導波路13の出力端部側に光ファイバを接続することが容易な光導波路デバイスが得られる。
【0063】
なお、本実施形態においては、以下の構成を採用することもできる。
【0064】
本実施形態においては、吸収剤225は、凹部224の内部に充填されていなくてもよく、一部に設けられていてもよい。本実施形態においては、例えば、凹部224の内壁に吸収剤225が塗布されて、吸収膜を形成しているような構成であってもよい。
【0065】
また、本実施形態においては、凹部224の内部、もしくは、内壁に、光を反射する反射膜を設ける構成であってもよい。
また、本実施形態においては、基板211の屈折率が空気に比べて、十分に大きいような場合には、基板211に凹部224のみを形成する構成であってもよい。この場合においては、基板211から凹部224の内部、すなわち、空気中に非入力光Leが射出される際に、非入力光Leが大きく屈折するため、再び基板211に入射することを抑制できる。また、空気と基板211との屈折率差が大きいため、空気中と基板211との境界面での反射率が大きくなり、境界面が反射部として機能する。その結果、非入力光Leが出力面215に到達することを抑制できる。すなわち、凹部224が、非入力光Leが出力面215に到達することを抑制する抑制手段として機能する。
【0066】
また、本実施形態においては、凹部224の内壁に凹凸形状を形成する等により、凹部224に入射する光が散乱されるような構成としてもよい。
【0067】
(第3実施形態)
第3実施形態は、第1実施形態に対して、反射膜の代わりに、入力側部材及び出力側部材に形成された凹部に吸収剤が充填されている点において異なる。
なお、以下の説明においては、上記実施形態と同様の構成については、適宜同一の記号を付す等により、説明を省略する場合がある。
【0068】
図8は、本実施形態の光導波路デバイス310を示す側断面図である。
本実施形態の光導波路デバイス310は、
図8に示すように、入力側部材320と、出力側部材321とを備えている。
入力側部材320には、基板11側(−Z側)に開口する凹部322が形成されている。出力側部材321には、基板11側(−Z側)に開口する凹部324が形成されている。凹部322及び凹部324の側面視(ZX面視)形状は、特に限定されず、本実施形態においては、例えば、矩形状である。凹部322及び凹部324は、非入力光Leの少なくとも一部が、凹部322及び凹部324の内部に入射する範囲内において、光導波路デバイス310の幅方向(Y軸方向)の一部に形成されていてもよいし、全体に亘って形成されていてもよい。
【0069】
入力側部材320の凹部322の内部には、吸収剤(吸収素子,抑制手段)323が充填されている。出力側部材321の凹部324の内部には、吸収剤(吸収素子,抑制手段)325が充填されている。吸収剤323及び吸収剤325は、第2実施形態における吸収剤225と同様であり、入射する光の少なくとも一部を吸収する性質を有する。
【0070】
入力側部材320及び出力側部材321の外形状、配置等は、第1実施形態の入力側部材20及び出力側部材21と同様である。
【0071】
本実施形態によれば、非入力光が吸収剤323及び吸収剤325によって吸収され、出力面315に到達することを抑制できる。これにより、本実施形態によれば、製造時において、光導波路13の出力端部側に光ファイバを接続することが容易な光導波路デバイスが得られる。
【0072】
なお、本実施形態においては、以下の構成を採用することもできる。
【0073】
本実施形態においては、吸収剤323及び吸収剤325は、凹部322及び凹部324の内部に充填されていなくてもよく、一部に設けられていてもよい。本実施形態においては、例えば、凹部322及び凹部324の内壁に吸収剤323及び吸収剤325が塗布されて、吸収膜を形成しているような構成であってもよい。
【0074】
また、本実施形態においては、吸収剤323と吸収剤325とは、異なる物質で構成されていてもよい。
また、本実施形態においては、吸収剤323及び吸収剤325の代わりに、光を反射する物質が凹部322及び凹部324の内部の少なくとも一部に設けられていてもよい。
【0075】
また、上記説明した実施形態においては、入力側部材320及び出力側部材321に基板11側(−Z側)に開口する凹部322及び凹部324が形成されているが、これに限られない。本実施形態においては、例えば、入力側部材320及び出力側部材321の内部に、閉塞された空間が形成されていてもよい。この場合においては、閉塞された空間内に吸収剤や反射剤等が充填される。
【0076】
また、本実施形態においては、例えば、入力側部材320及び出力側部材321に、光導波路デバイス310の厚み方向(Z軸方向)に貫通する貫通孔が形成されていてもよい。
【0077】
また、本実施形態においては、凹部322と凹部324とのうち、いずれか一方のみが形成されているような構成であってもよい。
【0078】
(第4実施形態)
第4実施形態は、第1実施形態に対して、入力側部材及び出力側部材に斜面が形成されている点において異なる。
なお、以下の説明においては、上記実施形態と同様の構成については、適宜同一の記号を付す等により、説明を省略する場合がある。
【0079】
図9及び
図10は、本実施形態の光導波路デバイス410を示す図である。
図9は、斜視図である。
図10は、平面図である。
本実施形態の光導波路デバイス410は、
図9及び
図10に示すように、入力側部材(光学素子,抑制手段)420と、出力側部材(光学素子,抑制手段)421と、反射膜(反射素子,抑制手段)424と、反射膜(反射素子,抑制手段)425とを備える。
【0080】
入力側部材420は、光ファイバ30から入力される光、より詳細には、非入力光Leの光路方向に対して、基板11における主面の法線軸(Z軸)回りに約45°傾いた斜面422を有する光学素子である。斜面422は、光導波路デバイス410の側面側(−Y側)に面している。斜面422には、反射膜424が形成されている。
【0081】
出力側部材421は、光ファイバ30から入力される光、より詳細には、非入力光Leの光路方向に対して、基板11における主面の法線軸(Z軸)回りに約45°傾いた斜面423を有する光学素子である。非入力光Leに対する斜面423の傾く向きは、斜面422と同様である。斜面423は、光導波路デバイス410の側面側(+Y側)に面している。斜面423には、反射膜425が形成されている。
【0082】
反射膜424及び反射膜425は、第1実施形態の反射膜22及び反射膜23と同様であり、
図10に示すように、非入力光Leの少なくとも一部を反射する性質を有する。本実施形態によれば、反射膜424及び反射膜425は、斜面422及び斜面423に形成されているため、反射膜424及び反射膜425に入射した非入力光Leの少なくとも一部は、光路方向が約90°折り曲げられて反射される。本実施形態においては、反射膜424に入射した非入力光Leと、反射膜425に入射した非入力光Leとは、同じ側(+Y側)に反射される。これにより、非入力光Leが出力面415に到達することが抑制される。
【0083】
本実施形態によれば、斜面422及び斜面423に反射膜424及び反射膜425が設けられているため、非入力光Leが出力面415に到達することが抑制される。これにより、本実施形態によれば、製造時において、光導波路13の出力端部側に光ファイバを接続することが容易な光導波路デバイスが得られる。
【0084】
なお、本実施形態においては、下記の構成を採用することもできる。
【0085】
本実施形態においては、反射膜424及び反射膜425が設けられていなくてもよい。この場合においては、非入力光Leが斜面422及び斜面423に入射する際に、屈折され、非入力光Leが出力面415に到達することを抑制できる。また、本実施形態においては、斜面422及び斜面423の形成される角度を調整して、入射される非入力光Leを全反射させるような構成としてもよい。
【0086】
また、上記説明した実施形態においては、斜面422及び斜面423は、光導波路デバイス410の側面側(±Y側:Z軸を回転軸とした場合)に面しているが、これに限られない。本実施形態においては、例えば、斜面が上面側(+Z側)、または底面側(−Z側)に面するように形成されていてもよい。
【0087】
また、本実施形態においては、斜面422及び斜面423は、いずれか一方のみが形成されていてもよい。
また、本実施形態においては、斜面422と斜面423との角度はそれぞれ異なっていてもよい。