【解決手段】この負極端子8(電池用端子)は、AlからなるAl層80と、CuからなるCu層81とを含み、厚み方向(Z方向)に接合されることにより形成されたオーバーレイ型のクラッド板材82を備えた負極端子8である。オーバーレイ型のクラッド板材82のAl層80の一部が除去されることによって、Cu層81が露出する露出面84が形成されている。
AlまたはAl合金からなる第1金属層と、CuまたはCu合金からなる第2金属層とを少なくとも含み、厚み方向に接合されることにより形成されたオーバーレイ型のクラッド板材を備えた電池用端子であって、
前記オーバーレイ型のクラッド板材の前記第1金属層または前記第2金属層のいずれか一方の一部が除去されることによって、他方が露出されてなる露出面が形成されている、電池用端子。
前記露出面は、前記第1金属層と前記第2金属層との界面よりも前記露出面とは反対側の第2表面側に窪んだ凹形状に形成されている、請求項2〜5のいずれか1項に記載の電池用端子。
前記クラッド板材は、前記第1金属層と前記第2金属層との界面に、NiまたはNi合金からなる反応抑制層をさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電池用端子。
前記オーバーレイ型のクラッド板材は、前記第1金属層または前記第2金属層のいずれか一方と共に、前記第1金属層または前記第2金属層のいずれか他方を挟み込むように前記他方に接合される第3金属層をさらに含み、
前記露出面に対応する領域における前記第3金属層の一部が除去されることによって、前記他方が露出されてなる裏側露出面が形成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電池用端子。
少なくともAlまたはAl合金からなる第1金属層とCuまたはCu合金からなる第2金属層とを、厚み方向に接合することによってオーバーレイ型のクラッド板材を形成する工程と、
前記オーバーレイ型のクラッド板材の前記第1金属層または前記第2金属層のいずれか一方の一部を除去することによって、他方の一部が露出されてなる露出面を形成する工程とを備える、電池用端子の製造方法。
AlまたはAl合金からなる第1金属層と、CuまたはCu合金からなる第2金属層とを少なくとも含み、厚み方向に接合されることにより形成されたオーバーレイ型のクラッド板材を含む電池用端子を備える電池であって、
前記電池用端子では、前記オーバーレイ型のクラッド板材の前記第1金属層または前記第2金属層のいずれか一方の一部が除去されることによって、他方が露出されてなる露出面が形成されている、電池。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
(第1実施形態)
まず、
図1〜
図6を参照して、本発明の第1実施形態による組電池100の構造について説明する。
【0029】
本発明の第1実施形態による組電池100は、電気自動車(EV、electric vehicle)や、ハイブリッド自動車(HEV、hybrid electric vehicle)、住宅蓄電システムなどに用いられる大型の電池システムである。この組電池100は、
図1に示すように、複数のリチウムイオン電池1が、複数の平板状のバスバー101によって電気的に接続されることによって構成されている。なお、リチウムイオン電池1は、本発明における「電池」の一例であり、バスバー101は、本発明における「接続部材」の一例である。
【0030】
また、組電池100では、平面的に見てリチウムイオン電池1の短手方向(X方向)に沿って並ぶように、複数のリチウムイオン電池1が配置されている。また、組電池100では、Y方向の一方側(Y1側)に後述する正極端子7が位置するとともに、Y方向の他方側(Y2側)に後述する負極端子8が位置するリチウムイオン電池1と、Y2側に正極端子7が位置するとともに、Y1側に負極端子8が位置するリチウムイオン電池1とが、X方向に沿って交互に配置されている。
【0031】
また、所定のリチウムイオン電池1の正極端子7は、X方向に延びるAlからなるバスバー101のX方向の一方端(X2側)に溶接(接合)されている。また、その所定のリチウムイオン電池1と隣接するリチウムイオン電池1(外部)の負極端子8は、Alからなるバスバー101のX方向の他方端(X1側)に溶接されている。これにより、リチウムイオン電池1の正極端子7は、バスバー101を介して、隣接するリチウムイオン電池1(外部)の負極端子8と接続されている。このようにして、複数のリチウムイオン電池1が直列に接続された組電池100が構成されている。なお、Alからなるバスバー101を用いることによって、Cuからなるバスバーを用いる場合と比べて、バスバー101を軽量化することができるので、複数のバスバー101を用いる組電池100全体を軽量化することが可能である。
【0032】
リチウムイオン電池1は、
図2に示すように、略直方体形状の外形形状を有している。また、リチウムイオン電池1は、上方(Z1側)に配置される蓋部材2と、下方(Z2側)に配置される電池ケース本体3とを備えている。この蓋部材2および電池ケース本体3は、共にNiめっき鋼板からなる。
【0033】
蓋部材2は、
図3に示すように、平板状に形成されている。また、蓋部材2には、厚み方向(Z方向)に貫通するように、一対の穴部2aおよび2bが設けられている。この一対の穴部2aおよび2bは、蓋部材2の長手方向(Y方向)に所定の間隔を隔てて形成されているとともに、蓋部材2の短手方向(X方向)の略中央に形成されている。また、一対の穴部2aおよび2bには、それぞれ、後述する正極円柱部42および後述する負極円柱部52が下方(Z2側)から挿入されるように構成されている。
【0034】
また、リチウムイオン電池1は、正極部4と負極部5と図示しない電解液とを備えている。正極部4は、電解液と接触する正極40と、正極40に電気的に接続される集電部41と、集電部41の上部に形成され、上方(Z1側)に突出する正極円柱部42とを含んでいる。また、正極部4の正極40、集電部41および正極円柱部42は、共にAlからなる。負極部5は、電解液と接触する負極50と、負極50に電気的に接続される集電部51と、集電部51の上部に形成され、上方に突出する負極円柱部52とを含んでいる。また、負極部5の負極50、集電部51および負極円柱部52は、共にCuからなる。なお、負極50は、本発明における「電極」の一例であり、負極円柱部52は、本発明における「集電体」の一例である。
【0035】
また、正極40と負極50とは、セパレータ6によって互いに絶縁された状態でロール状に積層されている。また、セパレータ6によって互いに絶縁された正極部4および負極部5と、電解液とが電池ケース本体3の収納部3aに収納された状態で、電池ケース本体3と蓋部材2とが溶接されている。
【0036】
また、蓋部材2のY1側の上面2c(Z1側の面)には、リング状のパッキン9aを介して、正極端子7が配置されているとともに、蓋部材2のY2側の上面2c上には、リング状のパッキン9bを介して、負極端子8が配置されている。なお、パッキン9aおよび9bは絶縁性を有する樹脂材料からなる。また、パッキン9aおよび9bの穴部には、それぞれ、正極円柱部42および負極円柱部52が挿入されている。なお、負極端子8は、本発明における「電池用端子」の一例である。
【0037】
また、正極端子7は、Alの平板から構成されている。また、正極端子7は、長手方向(Y方向)の一方側(Y1側)で、厚み方向(Z方向)に貫通するように形成された貫通孔70と、他方側(Y2側)に配置されたバスバー接合部71とを有している。貫通孔70は、短手方向(X方向)の略中央に形成されているとともに、正極部4の正極円柱部42が下方(Z2側)から挿入されるように構成されている。また、正極円柱部42は、貫通孔70に挿入された状態で、正極端子7の上面(Z1側の面)にかしめられている。これにより、正極部4と正極端子7とが接合されている。また、
図1に示すように、バスバー接合部71には、平板状のバスバー101がレーザ溶接により溶接されている。
【0038】
ここで、第1実施形態では、負極端子8は、
図4および
図5に示すように、平面的に見て矩形状の平板から構成されているとともに、AlからなるAl層80と、CuからなるCu層81とが厚み方向(Z方向)に接合された2層のクラッド板材82からなる。このクラッド板材82では、Cu層81の上面(Z1側)の略全面(後述する底面84aを除く)に、Al層80が積層されている。つまり、クラッド板材82は、いわゆる、オーバーレイ型のクラッド板材82である。また、Al層80は、負極端子8のZ1側の表面8aに配置されているとともに、Cu層81は、負極端子8のZ2側の表面8bに配置されている。なお、表面8aと表面8bとは、互いが表裏になる関係を有している。また、Al層80は、本発明における「第1金属層」および「第1金属層または第2金属層のいずれか一方」の一例である。また、Cu層81は、本発明における「第2金属層」および「第1金属層または第2金属層のいずれか他方」の一例である。
【0039】
また、
図5に示すように、Al層80のZ方向の厚みt1とCu層81のZ方向の厚みt2とは略等しい。また、クラッド板材82のZ方向の厚みt3は、約2.5mmである。
【0040】
また、負極端子8を構成するクラッド板材82には、Z1側の表面8aにおいて、Z2方向に窪む溝部83が形成されている。この溝部83は、
図4に示すように、負極端子8の長手方向(Y方向)に一定の幅W(
図5参照)で、負極端子8の短手方向(X方向)に延びるように形成されている。また、平面的に見て、溝部83は、負極端子8のY方向の略中央に形成されており、溝部83のY方向の両側には、それぞれ、平坦面部85が形成されている。一方、クラッド板材82のZ2側の表面8bは、平坦面状に形成されている。
【0041】
また、第1実施形態では、溝部83は、Z1側に配置されたAl層80の一部と、Z2側に配置されたCu層81のZ1側の上部の一部とがZ1側から除去(切削)されることによって形成されている。この結果、溝部83の厚み方向(Z方向)の長さ(深さ)Lは、Al層80の厚みt1よりも大きくなるように形成されている。これにより、溝部83の底面84aと、溝部83の側面の下部(露出側面84b)とにおいて、表面8bに配置されたCu層81が露出している。この底面84aおよび露出側面84bからなる露出面84は、クラッド板材82の界面82a(Al層80とCu層81との界面82a)よりも表面8b側(Z2側)に窪んだ凹形状に形成されている。また、底面84aのZ方向の高さ位置は、界面82aの高さ位置よりも下方(Z2側)に位置するように構成されている。
【0042】
また、
図6に示すように、負極端子8は、溝部83が形成された表面8a(Al層80)側が上側(Z1側)、平坦面状の表面8b(Cu層81)側が下側(Z2側)に位置する状態で、蓋部材2の上面2c(パッキン9b)上に配置されている。
【0043】
また、露出面84に対応する領域(底面84aの反対側)の平坦面状の表面8b(Cu層81)に形成された接合面Aに、Cuからなる負極円柱部52の上端部がレーザ溶接により接合(溶接)されている。つまり、同一の金属材料(Cu)からなる接合面Aと負極部5とが接合されている。また、接合面Aと負極円柱部52の上端部とは、底面84aに向かって下方向(Z2方向)にレーザ光が照射(走査)されることによって接合されている。この際、接合面Aに対応する位置(溝部83)にはAl層80とCu層81との界面82aが存在しないため、レーザ光の強度および照射時間を厳密に調整する必要がない。これにより、界面82aに脆弱な金属間化合物(Al−Cu合金)が形成されるのが抑制されている。なお、接合面Aは、本発明における「第2接合面」の一例である。
【0044】
また、表面8aの平坦面部85(Al層80)に形成された接合面Bに、Alからなる平板状のバスバー101の下面が、レーザ溶接により接合(溶接)されている。つまり、同一の金属材料(Al)からなる接合面Bとバスバー101とが接合されている。また、接合面Bとバスバー101の下面とは、バスバー101の上面側(Z1側)からZ2側に向かってレーザ光が照射(走査)されることによって接合されている。この際、レーザ溶接による高熱が接合面Bに対応するクラッド板材82の界面82aに到達するのを抑制するように、レーザ光の強度および照射時間が調節されている。これによっても、界面82aに脆弱なAl−Cu合金が形成されるのが抑制されている。なお、接合面Bは、本発明における「第1接合面」の一例である。
【0045】
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0046】
第1実施形態では、上記のように、負極端子8を構成するクラッド板材82が、表面8aの全面にAl層80が配置され、表面8bの全面にCu層81が配置された状態で、Al層80とCu層81とが厚み方向に接合された、いわゆるオーバーレイ型のクラッド板材82からなる。これにより、負極端子8がインレイ型のクラッド材からなる場合と異なり、Al層80とCu層81との位置関係を厳密に制御せずとも、Al層80とCu層81とを互いに積層して接合するだけで容易にオーバーレイ型のクラッド板材82を作成することができるので、負極端子8を容易に作成することができる。その結果、負極端子8の量産性を向上させることができる。
【0047】
また、第1実施形態では、負極端子8がAlからなるAl層80と、CuからなるCu層81とが接合されたオーバーレイ型のクラッド板材82からなることによって、AlからなるAl層80に、Alからなるバスバー101を接合することができるとともに、CuからなるCu層81に、Cuからなる負極部5の負極円柱部52を接合することができる。これにより、異なる金属材料からなるバスバー101および負極部5同士を容易に電気的に接続することができる。
【0048】
また、第1実施形態では、表面8aの露出面84に、表面8bに配置されたCu層81が露出するように形成することによって、オーバーレイ型のクラッド板材82の露出面84が形成された部分には、Al層80とCu層81との界面82aが存在しないので、露出面84が形成された部分に負極円柱部52を接合する際に、接合時の熱が、露出面84から離れたAl層80とCu層81との界面82aに到達するのを抑制することができる。この結果、界面82aに脆弱な金属間化合物(Al−Cu合金)が形成されるのを抑制することができる。
【0049】
また、第1実施形態では、Z1側に配置されたAl層80の一部と、Z2側に配置されたCu層81のZ1側の上部の一部とを除去(切削)することによって、底面84aおよび露出側面84bからなり、Cu層81が露出する凹形状の露出面84をZ1側の表面8aに露出するように形成する。これにより、表面8aの全面にAl層80が配置され、表面8bの全面にCu層81が配置されたオーバーレイ型のクラッド板材82であっても、Z1側の表面8aに、表面8bに配置されたCu層81の一部が露出する露出面84を確実に形成することができる。
【0050】
また、第1実施形態では、露出面84に対応する領域(底面84aの反対側)の平坦面状の表面8b(Cu層81)に形成された接合面Aに、Cuからなる負極円柱部52の上端部を接合するとともに、表面8aの平坦面部85(Al層80)に形成された接合面Bに、Alからなる平板状のバスバー101の下面を接合する。これにより、底面84aとは反対側の(底面84aに対応する)平坦面状の表面8bに形成された接合面Aと、露出面84(溝部83)を除く表面8a(平坦面部85)に形成された接合面Bとを十分に離間させることができるので、接合面Aに負極円柱部52を容易に接合することができるとともに、接合面Bにバスバー101を容易に接合することができる。
【0051】
また、第1実施形態では、底面84aとは反対側の表面8b(Cu層81)に形成された接合面Aに、同一の金属(Cu)からなる負極円柱部52の上端部を接合するとともに、表面8aの平坦面部85(Al層80)に形成された接合面Bに、同一の金属(Al)からなるバスバー101の下面を接合する。これにより、同一の金属材料同士が接合されるので、Al層80とAlからなるバスバー101との接触抵抗を小さくしつつ容易に接合することができるとともに、Cu層81とCuからなる負極円柱部52との接触抵抗を小さくしつつ容易に接合することができる。
【0052】
また、第1実施形態では、底面84aおよび露出側面84bからなる露出面84を、Al層80とCu層81との界面82aよりも表面8b側(Z2側)に窪んだ凹形状に形成することによって、Cu層81をZ1側の表面8aに露出させる際に、露出面84を界面82aと面一になるように厳密に形成しなくてもよい。これにより、容易に、Cu層81が露出した露出面84を形成することができる。
【0053】
また、Cuは、酸化により脆弱な酸化物が形成される点、電気抵抗が小さい点および光を反射しやすい点などにより、溶接にあまり適さない材料である。したがって、従来では、Cuを溶接する場合には、Niでめっき処理している。さらに、Cuは、Alよりも耐食性が低いため、耐食性向上の面からも、Niでめっき処理する必要がある。これに対して、第1実施形態では、上記のように、Alからなるバスバー101を用いることによって、Cuからなるバスバーを用いる場合と異なり、バスバー101をNiでめっき処理する必要がない。
【0054】
次に、
図1〜
図7を参照して、本発明の第1実施形態によるリチウムイオン電池1および組電池100の製造プロセスについて説明する。
【0055】
まず、所定の厚みを有するロール状のAl板(図示せず)と、所定の厚みを有するロール状のCu板(図示せず)とを準備する。ここで、Al板の幅とCu板の幅とを略同一にする。そして、ロール状のAl板の表面の全面にロール状のCu板を厚み方向に積層させながら、所定の圧下率でAl板とCu板とを連続的に圧接接合するとともに、約500℃の温度状態で1分間保持することにより、拡散焼鈍を行う。これにより、約2.5mmの厚みを有するロール状のクラッド板材82が形成される。このロール状のクラッド板材82は、表面8aの全面にAl層80が配置され、表面8bの全面にCu層81が配置された状態で、Al層80とCu層81とが厚み方向に接合された、いわゆるオーバーレイ型のクラッド板材82である。
【0056】
ここで、第1実施形態の製造方法では、
図7に示すように、ロール状のオーバーレイ型のクラッド板材82の幅方向の略中心に、ロールの延びる方向(ロール搬送方向)に沿って溝部83を1条形成する。具体的には、ロール状のクラッド板材82の幅方向(Y方向)の略中央に、クラッド板材82を厚み方向(Z方向)に切削することが可能なエンドミル102を配置する。この際、オーバーレイ型のクラッド板材82のZ1側の表面8aから、厚み方向に長さL(
図5参照)だけ切削するように、エンドミル102を配置する。そして、ロール状のクラッド板材82をロール搬送方向に搬送しながら、エンドミル102を用いてオーバーレイ型のクラッド板材82を切削する。
【0057】
これにより、ロール状のクラッド板材82の幅方向(Y方向)の略中央において、Z1側に配置されたAl層80の一部と、Z2側に配置されたCu層81のZ1側の上部の一部とが除去(切削)される。この結果、ロール状のクラッド板材82の幅方向の略中央に、ロール搬送方向に沿って延びる1条の溝部83が連続的に形成される。この際、溝部83を1条のみ形成することによって、複数の溝部を一度に形成する場合と異なり複数の溝部同士の位置決めを行う必要がないので、1条の溝部83を容易に形成することが可能である。これに伴い、溝部83において、底面84aおよび露出側面84bからなり、Cu層81が露出する凹形状の露出面84が、Z1側の表面8aに露出するように連続的に形成される。
【0058】
その後、打ち抜きプレス機(図示せず)を用いて、溝部83が形成されたロール状のオーバーレイ型のクラッド板材82から、クラッド板材82を矩形状に打ち抜く。この際、溝部83がロール状のクラッド板材82の幅方向の略中央に位置するように、クラッド板材82を打ち抜く。この結果、
図4および
図5に示すような負極端子8が作成される。上記のような製造プロセスにより溝部83(露出面84)を有する複数の負極端子8を連続的に作成することができるので、容易に、負極端子8を量産することが可能である。
【0059】
そして、負極端子8と負極円柱部52とを、レーザ光発生装置(図示せず)を用いて、レーザ溶接により接合する。具体的には、
図6に示すように、負極円柱部52の上端部が底面84aとは反対側の平坦面状の表面8bの接合面Aに当接するように、負極円柱部52を配置する。そして、接合面Aに負極円柱部52の上端部が接合するように、溝部83の底面84aに向かって下方向(Z2方向)にレーザ光を照射(走査)する。これにより、負極端子8と負極部5とが接合(溶接)される。
【0060】
また、
図3に示すように、貫通孔70を有し、Alからなる正極端子7を準備する。そして、正極部4の正極円柱部42を貫通孔70に挿入した状態で、正極円柱部42を正極端子7の上面(Z1側の面)にかしめる。これにより、正極端子7と正極部4とが接合される。その後、セパレータ6によって互いに絶縁された正極部4および負極部5と電解液とを電池ケース本体3の収納部3aに収納した状態で、電池ケース本体3と蓋部材2とを溶接する。これにより、
図2に示すように、リチウムイオン電池1が製造される。
【0061】
その後、
図1に示すように、X方向に沿って複数のリチウムイオン電池1を配置する。そして、リチウムイオン電池1の正極端子7と、隣接するリチウムイオン電池1の負極端子8とを平板状のバスバー101を用いて接合する。具体的には、表面8aの平坦面部85(Al層80)に形成された接合面Bに、平板状のバスバー101のX1側の下面を当接させた状態で、所定の強度および照射時間に調節されたレーザ光発生装置を用いて、レーザ溶接により接合する。これにより、負極端子8とバスバー101とが接合(溶接)される。また、レーザ光発生装置を用いて、正極端子7のバスバー接合部71とバスバー101のX2側の下面とをレーザ溶接により溶接する。これにより、正極端子7とバスバー101とが接合(溶接)される。この結果、複数のリチウムイオン電池1が複数のAlからなるバスバー101によって直列に接続された組電池100が製造される。
【0062】
(第1実施形態の変形例)
次に、
図8および
図9を参照して、本発明の第1実施形態の変形例について説明する。この第1実施形態の変形例では、露出する露出面84を有する溝部83をY方向の略中央に1条形成した上記第1実施形態と異なり、露出する露出面284を有する切り欠き部283を、負極端子208のY方向の両端部にそれぞれ形成した場合について説明する。なお、負極端子208は、本発明における「電極用端子」の一例である。
【0063】
本発明の第1実施形態の変形例では、
図8に示すように、負極端子208は、Al層80とCu層81とが厚み方向(Z方向)に接合されたオーバーレイ型のクラッド板材82からなる。また、クラッド材82の長手方向(Y方向)の両側に、それぞれ、切り欠き部283が形成されている。この一対の切り欠き部283は、共に、負極端子208のY方向に一定の幅で、負極端子208の短手方向(X方向)に延びるように形成されている。また、一対の切り欠き部283に挟まれる負極端子208のY方向の中央部には、平坦面部285が形成されている。
【0064】
また、第1実施形態の変形例では、一対の切り欠き部283は、Z1側に配置されたAl層80の一部と、Z2側に配置されたCu層81のZ1側の上部の一部とが除去(切削)されることによって形成されている。これにより、切り欠き部283の底面284aと、平坦面部285側の側面の下部(露出側面284b)とにおいて、表面8bに配置されたCu層81が露出している。なお、この一対の切り欠き部283を有する負極端子208は、ロール状のオーバーレイ型のクラッド板材82(
図7参照)の幅方向(Y方向)に離間した2箇所に、エンドミル102(
図7参照)を配置して一対の溝部を形成し、その後、一対の溝部内にY方向の両端部がそれぞれ位置するように、ロール状のクラッド板材82を矩形状に打ち抜くことによって形成される。
【0065】
また、
図9に示すように、負極部205は、上記第1実施形態の負極50、集電部51および負極円柱部52(
図3参照)に加えて、負極円柱部52の上端部が下面に接合された平板状の端子接続板253をさらに含んでいる。この端子接続板253は、Cuからなるとともに、蓋部材2の上面2c(パッキン9b)上に配置されている。なお、端子接続板253は、本発明における「集電体」の一例である。
【0066】
また、露出面284に対応する領域(露出面284の反対側)の表面8b(Cu層81)にそれぞれ形成された接合面Cに、Cuからなる端子接続板253の上面がレーザ溶接により接合(溶接)されている。また、接合面Cと端子接続板253の上面とは、底面284aに向かって下方向(Z2方向)にレーザ光が照射(走査)されることによって接合されている。
【0067】
また、表面8aの平坦面部285(Al層80)に形成された接合面Dに、Alからなる平板状のバスバー201の下面が、レーザ溶接により接合(溶接)されている。この第1実施形態の変形例のバスバー201は、上記第1実施形態のように、溝部83の上方を覆うように配置する必要のあるバスバー101と比べて、切り欠き部283の上方に配置する必要がないので、Y方向の長さを小さくすることが可能である。なお、接合面CおよびDは、それぞれ、本発明における「第2接合面」および「第1接合面」の一例であり、バスバー201は、本発明における「接続部材」の一例である。
【0068】
なお、第1実施形態の変形例のその他の構成および効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0069】
(第2実施形態)
次に、
図10を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態による負極端子308では、上記第1実施形態と異なり、Al層80とCu層81との間にNi層386が配置される場合について説明する。なお、負極端子308は、本発明における「電池用端子」の一例であり、Ni層386は、本発明における「反応抑制層」の一例である。
【0070】
本発明の第2実施形態による負極端子308は、
図10に示すように、AlからなるAl層80と、CuからなるCu層81と、Al層80とCu層81との界面82aに形成され、NiからなるNi層386とが厚み方向(Z方向)に接合された3層のクラッド板材382からなる。このNi層386は、接合時の熱などによりAl層80とCu層81とが反応するのを抑制することによって、脆弱なAl−Cu合金が生じるのを抑制する機能を有している。また、Ni層386のZ方向の厚みt4は、Al層80の厚みt1およびCu層81の厚みt2よりも小さく、約100μmである。なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0071】
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0072】
第2実施形態では、上記のように、負極端子308を構成するクラッド板材382が、表面8aの全面にAl層80が配置され、表面8bの全面にCu層81が配置された状態で、Al層80とCu層81とNi層386とが厚み方向に接合された、いわゆるオーバーレイ型のクラッド板材382からなることによって、上記第1実施形態と同様に、オーバーレイ型のクラッド板材382を用いて、負極端子308を容易に作成することができ、負極端子308の量産性を向上させることができるとともに、異なる金属材料からなるバスバー101および負極部5同士を容易に電気的に接続することができる。また、表面8aの露出面84に、表面8bに配置されたCu層81が露出するように形成することによって、上記第1実施形態と同様に、界面82aに脆弱な金属間化合物(Al−Cu合金)が形成されるのを抑制することができる。
【0073】
また、第2実施形態では、Al層80とCu層81との界面82aにNiからなるNi層386を設けることによって、Al層80とバスバー101とを接合する際の熱、および、Cu層81と負極円柱部52とを接合する際の熱が、Al層80とCu層81との界面82aに到達した場合であっても、NiからなるNi層386によりAl層80とCu層81とが反応するのを抑制することができるので、脆弱なAl−Cu合金が形成されるのを確実に抑制することができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0074】
(第3実施形態)
次に、
図11〜
図13を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。この第3実施形態による負極端子408では、上記第1実施形態とは異なり、クラッド板材482に形成された突出部487に露出面484aが形成された例について説明する。なお、負極端子408は、本発明における「電池用端子」の一例である。
【0075】
本発明の第3実施形態による負極端子408を構成するオーバーレイ型のクラッド板材482は、
図11に示すように、円盤状に形成されている。また、クラッド板材482は、クラッド板材482の中央部に形成され、上方(Z1側)に突出する突出部487と、突出部487の周辺を囲むように形成されたリング状の鍔部488とを有している。この突出部487は、下方(Z2側)から上方に向かって図示しないプレス機を用いてプレス加工することによって形成されており、Z1側の表面8aでZ1側に突出する凸部487aと、Z2側の表面8bでZ1側に窪む凹部487bとを有している。凹部487bには、負極部5の負極円柱部52が挿入されるように構成されている。
【0076】
また、
図12に示すように、突出部487の突出するZ1側の表面8aには、突出部487のZ1側の上部が図示しないエンドミルによって全て除去(切削)されることによって、Cu層81が露出する露出面484aと、Al層80の断面484cとを含む切断面484が露出するように形成されている。この切断面484は、平面的に見て、略円形状に形成されているとともに、略平坦面状に形成されている。また、平面的に見て、断面484cは、リング状に形成されているとともに、露出面484aは、リング状の断面484cの内側において、略円形状に形成されている。なお、第3実施形態では、平板状のクラッド板材482に突出部487が形成された後に、Cu層81が露出する露出面484aが形成される。
【0077】
また、
図13に示すように、Alからなるバスバー401には、負極端子408の突出部487が挿入される貫通孔401aが形成されている。なお、バスバー401は、本発明における「接続部材」の一例である。
【0078】
また、露出面484aに対応する領域(露出面484aの反対側)に位置する突出部487の凹部487bの表面8b(Cu層81)に形成された接合面Eに、凹部487bに挿入されたCuからなる負極円柱部52の上端部がレーザ溶接により接合(溶接)されている。また、接合面Eと負極円柱部52の上端部とは、露出面484aに向かって下方向(Z2方向)にレーザ光が照射(走査)されることによって接合されている。この際、接合面Eに対応する位置にはAl層80とCu層81との界面82aが存在しないため、レーザ光の強度および照射時間を厳密に調整する必要がない。なお、接合面Eは、本発明における「第2接合面」の一例である。
【0079】
また、バスバー401の貫通孔401aに負極端子408の突出部487が挿入された状態で、鍔部488の表面8a(Al層80)に形成された接合面Fに、Alからなるバスバー401の下面がレーザ溶接により接合(溶接)されている。なお、接合面Fは、本発明における「第1接合面」の一例である。また、第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0080】
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0081】
第3実施形態では、上記のように、負極端子408を構成するクラッド板材482が、表面8aの全面にAl層80が配置され、表面8bの全面にCu層81が配置された状態で、Al層80とCu層81とが厚み方向に接合された、いわゆるオーバーレイ型のクラッド板材482からなることによって、上記第1実施形態と同様に、オーバーレイ型のクラッド板材482を用いて、負極端子408を容易に作成することができ、負極端子408の量産性を向上させることができるとともに、異なる金属材料からなるバスバー401および負極部5同士を容易に電気的に接続することができる。また、表面8aの露出面484aに、表面8bに配置されたCu層81が露出するように形成することによって、上記第1実施形態と同様に、界面82aに脆弱な金属間化合物(Al−Cu合金)が形成されるのを抑制することができる。
【0082】
また、第3実施形態では、突出部487の突出するZ1側の表面8aに形成された露出面484aにおいて、Cu層81を露出させるとともに、露出面484aとは反対側に位置する突出部487の凹部487bの表面8b(Cu層81)に形成された接合面Eに、凹部487bに挿入されたCuからなる負極円柱部52の上端部を接合する。これにより、接合面Eに対応する領域にはAl層80とCu層81との界面82aが存在しないので、接合面Eに負極円柱部52を接合する際に、接合面Eに対応する領域において、接合する際の熱が界面82aに到達するのを防止することができる。これにより、接合面Eに対応する領域において、脆弱なAl−Cu合金が形成されるのを防止することができる。
【0083】
また、第3実施形態では、上方に突出する突出部487を形成することによって、クラッド板材が平板状に形成されている場合と比べて、厚み方向(Z方向)の異なる位置に突出部487および鍔部488をそれぞれ形成することができるので、突出部487および鍔部488にバスバー401や負極円柱部52を接合しやすくすることができる。これにより、負極端子408を用いてリチウムイオン電池および組電池を容易に製造することができる。
【0084】
また、第3実施形態では、バスバー401の貫通孔401aに負極端子408の突出部487が挿入された状態で、鍔部488の表面8a(Al層80)に形成された接合面FにAlからなるバスバー401の下面を接合することによって、クラッド板材482に上方に突出する突出部487を形成した場合であっても、バスバー401の貫通孔401aに突出部487を挿入することにより、組電池が厚み方向(Z方向)に大きくなるのを抑制することができる。なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0085】
(第3実施形態の変形例)
次に、
図14および
図15を参照して、本発明の第3実施形態の変形例について説明する。この第3実施形態の変形例による負極端子508では、上記第3実施形態とは異なり、突出部487のZ1側の上部の一部のみを除去した例について説明する。なお、負極端子508は、本発明における「電池用端子」の一例である。
【0086】
本発明の第3実施形態の変形例による突出部487の突出するZ1側の表面8aには、
図14および
図15に示すように、突出部487のZ1側の上部の一部が図示しないエンドミルによってZ1側から除去(切削)されることによって、窪み部583が形成されている。また、窪み部583の底面584aと露出側面584bとにおいて、Cu層81が露出しているとともに、底面584aと露出側面584bとからなる露出面584は、凹形状に形成されている。また、突出部487において、露出する底面584aのZ方向の高さ位置は、クラッド板材482の界面82aの高さ位置よりも下方(Z2側)に位置するように構成されている。
【0087】
なお、第3実施形態の変形例では、平板状のクラッド板材482に窪み部583が形成された後に、突出部487が形成される。これにより、クラッド板材482が平板状の状態において窪み部583を形成することができるので、突出部487が先に形成されてクラッド板材482が平板状でなくなった状態において切断面484が形成される上記第3実施形態と比べて、容易に負極端子508を形成することが可能である。
【0088】
また、露出面584に対応する領域(底面584aの反対側)の突出部487の凹部487bの表面8b(Cu層81)に形成された接合面Gに、凹部487bに挿入されたCuからなる負極円柱部52の上端部がレーザ溶接により接合(溶接)されている。なお、接合面Gは、本発明における「第2接合面」の一例である。
【0089】
なお、第3実施形態の変形例のその他の構成および効果は、上記第3実施形態と同様である。
【0090】
(第4実施形態)
次に、
図16〜
図18を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。この第4実施形態による負極端子608では、上記第3実施形態に加えて、露出面684aに負極端子608を貫通する貫通孔689が形成された例について説明する。なお、負極端子608は、本発明における「電池用端子」の一例である。
【0091】
本発明の第4実施形態による負極端子608を構成するオーバーレイ型のクラッド板材482では、
図16および
図17に示すように、突出部687に形成された切断面684のうちCu層81が露出する露出面684aに、負極端子608を貫通する貫通孔689が形成されている。具体的には、貫通孔689は、露出面684aから、突出部687に対応するZ2側の表面8bまでZ方向に延びるように形成されているとともに、露出面684aの略中央に形成されている。この結果、平面的に見て、露出面684aは、リング状の断面484cの内側でリング状に形成されている。
【0092】
また、第4実施形態による切断面684は、上記第3実施形態による切削位置よりも下方(Z2側)まで切削されている。この結果、突出部687の厚み方向(Z方向)の高さH1は、上記第3実施形態による突出部487(
図12参照)の高さH2よりも小さくなるように形成されている。
【0093】
貫通孔689には、
図18に示すように、下方(Z2側)からCuからなる負極円柱部52が挿入されている。また、負極円柱部52が貫通孔689に挿入された状態で、負極円柱部52の上端部はZ1側に露出している。そして、貫通孔689の周囲の露出面684aおよび貫通孔689の内周面689a(Cu層81)に形成された接合面Hに、Cuからなる負極円柱部52の上部がレーザ溶接により接合(溶接)されている。この接合面Hと負極円柱部52の上部とは、貫通孔689の周囲に沿って下方向(Z2方向)にレーザ光が周状に照射(走査)されることによって接合されている。なお、接合面Hは、本発明における「第2接合面」の一例である。また、第4実施形態のその他の構成は、上記第3実施形態と同様である。
【0094】
第4実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0095】
第4実施形態では、上記のように、負極端子608を構成するクラッド板材482が、表面8aの全面にAl層80が配置され、表面8bの全面にCu層81が配置された状態で、Al層80とCu層81とが厚み方向に接合された、いわゆるオーバーレイ型のクラッド板材482からなることによって、上記第1実施形態と同様に、オーバーレイ型のクラッド板材482を用いて、負極端子608を容易に作成することができ、負極端子608の量産性を向上させることができるとともに、異なる金属材料からなるバスバー401および負極部5同士を容易に電気的に接続することができる。また、表面8aの露出面684aに、表面8bに配置されたCu層81が露出するように形成することによって、上記第1実施形態と同様に、界面82aに脆弱な金属間化合物(Al−Cu合金)が形成されるのを抑制することができる。
【0096】
また、第4実施形態では、突出部687に形成された露出面684aに貫通孔689を形成するとともに、貫通孔689の周囲の露出面684aおよび貫通孔689の内周面689a(Cu層81)に形成された接合面HにCuからなる負極円柱部52の上部を接合することによって、接合面Hと貫通孔689に挿入された負極円柱部52とを容易に接合することができる。
【0097】
また、第4実施形態では、突出部687の厚み方向(Z方向)の高さH1を上記第3実施形態による突出部487の高さH2よりも小さくすることによって、リチウムイオン電池および組電池が厚み方向に大きくなるのを効果的に抑制することができる。なお、第4実施形態のその他の効果は、上記第3実施形態と同様である。
【0098】
(第4実施形態の変形例)
次に、
図19を参照して、本発明の第4実施形態の変形例について説明する。この第4実施形態の変形例による負極端子708では、上記第3実施形態の変形例に加えて、底面784aに負極端子708を貫通する貫通孔789が形成された例について説明する。なお、負極端子708は、本発明における「電池用端子」の一例である。
【0099】
本発明の第4実施形態の変形例による負極端子708を構成するオーバーレイ型のクラッド板材482では、
図19に示すように、突出部487に形成された露出面784の底面784aに、負極端子708を貫通する貫通孔789が形成されている。具体的には、貫通孔789は、底面784aから、突出部487のZ2側の表面8bまでZ方向に延びるように形成されているとともに、底面784aの略中央に形成されている。この結果、平面的に見て、底面784aは、窪み部783内でリング状に形成されている。
【0100】
貫通孔789には、下方(Z2側)からCuからなる負極円柱部52が挿入されている。また、貫通孔789の周囲の底面784aおよび貫通孔789の内周面789a(Cu層81)に形成された接合面Iに、Cuからなる負極円柱部52の上部がレーザ溶接により接合(溶接)されている。なお、接合面Iは、本発明における「第2接合面」の一例である。
【0101】
なお、第4実施形態の変形例のその他の構成および効果は、上記第4実施形態と同様である。
【0102】
(第5実施形態)
次に、
図20および
図21を参照して、本発明の第5実施形態について説明する。この第5実施形態による負極端子808では、上記第3実施形態のプレス加工により形成された突出部487とは異なり、冷間鍛造により突出部887が形成された例について説明する。なお、負極端子808は、本発明における「電池用端子」の一例である。
【0103】
本発明の第5実施形態による負極端子808を構成するオーバーレイ型のクラッド板材482では、
図20および
図21に示すように、冷間鍛造により、突出部887および鍔部888が形成されている。具体的には、円盤状で、かつ、平板状のクラッド板材482の中央に、Z1側からZ2側に向かって大きな押下圧を加えること(鍛造プレス加工)によって、クラッド板材482に突出部887および鍔部888が形成される。この際、冷間鍛造によりクラッド板材482において体積の移動が生じることにより、突出部887の厚み方向(Z方向)の厚みt5は、鍔部888のZ方向の厚みt6よりも大きくなるように形成されている。なお、第5実施形態のその他の構成は、上記第3実施形態の変形例と同様である。
【0104】
第5実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0105】
第5実施形態では、上記のように、負極端子808を構成するクラッド板材482が、表面8aの全面にAl層80が配置され、表面8bの全面にCu層81が配置された状態で、Al層80とCu層81とが厚み方向に接合された、いわゆるオーバーレイ型のクラッド板材482からなることによって、上記第1実施形態と同様に、オーバーレイ型のクラッド板材482を用いて、負極端子808を容易に作成することができ、負極端子808の量産性を向上させることができるとともに、異なる金属材料からなるバスバー401および負極部5同士を容易に電気的に接続することができる。また、表面8aの露出面584に、表面8bに配置されたCu層81が露出するように形成することによって、上記第1実施形態と同様に、界面82aに脆弱な金属間化合物(Al−Cu合金)が形成されるのを抑制することができる。
【0106】
また、第5実施形態では、冷間鍛造により突出部887および鍔部888を形成することによって、冷間鍛造時にクラッド板材482に加工硬化が生じるので、板金を延ばしながらプレスするような板金プレス加工と比べて、負極端子808の機械的強度を向上させることができる。また、板金プレス加工と異なり、冷間鍛造ではクラッド板材482の体積(厚み)を位置に応じて異ならせることができるので、厚みの小さなクラッド板材482を用いた場合であっても、突出部887の厚みt5を大きくすることができる。これにより、負極端子の全体の厚みがt6(鍔部888の厚み)である場合と比べて、突出部887の厚みt5を大きくしつつ、負極端子808を軽量化することができる。また、冷間鍛造による鍛造では、再結晶温度以上の高温条件下において鍛造を行う熱間鍛造と比べて、負極端子8の寸法精度を向上させることができる。
【0107】
また、第5実施形態では、突出部887の厚み方向(Z方向)の厚みt5を、鍔部888のZ方向の厚みt6よりも大きくすることによって、厚みt5の大きい突出部887において、Al層80とバスバー401とを接合する際の熱、および、Cu層81と負極円柱部52とを接合する際の熱が、Al層80とCu層81との界面82aに到達するのを抑制することができるので、突出部887において、脆弱な金属間化合物(Al−Cu合金)が形成されるのを抑制することができる。なお、第5実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0108】
(第5実施形態の変形例)
次に、
図22を参照して、本発明の第5実施形態の変形例について説明する。この第5実施形態の変形例による負極端子908では、上記第5実施形態に加えて、露出面584の底面584aに貫通孔989が形成された例について説明する。なお、負極端子908は、本発明における「電池用端子」の一例である。
【0109】
本発明の第5実施形態の変形例による負極端子908を構成するオーバーレイ型のクラッド板材482では、
図22に示すように、突出部887に形成された窪み部583の底面584aに、負極端子908を貫通する貫通孔989が形成されている。具体的には、貫通孔989は、底面584aから、突出部887のZ2側の表面8bまでZ方向に延びるように形成されているとともに、底面584aの略中央に形成されている。なお、この貫通孔989は、窪み部583を形成する前に突出部887に形成してもよいし、窪み部583を形成した後に底面584aに形成してもよい。
【0110】
また、貫通孔989の周囲の底面584aおよび貫通孔989の内周面989a(Cu層81)に形成された接合面Iに、Cuからなる負極円柱部52の上部がレーザ溶接により接合(溶接)されている。
【0111】
なお、第5実施形態の変形例のその他の構成および効果は、上記第5実施形態と同様である。
【0112】
(第6実施形態)
次に、
図23および
図24を参照して、本発明の第6実施形態について説明する。この第6実施形態では、2層のクラッド板材82からなる上記第1実施形態の負極端子8とは異なり、負極端子1008が3層のクラッド板材1082からなる例について説明する。なお、負極端子1008は、本発明における「電池用端子」の一例である。
【0113】
本発明の第6実施形態による負極端子1008は、
図23および
図24に示すように、Z1側の表面8aからZ2側の表面8bに向かって、AlからなるAl層1080aと、CuからなるCu層1081と、Al層1080aと同一の金属材料であるAlからなるAl層1080bとが厚み方向(Z方向)にこの順で接合された3層のクラッド板材1082からなる。このクラッド板材1082では、Cu層1081の上面(Z1側)の略全面(後述する底面1084aを除く)に、Al層1080aが積層されているとともに、Cu層1081の下面(Z2側)の略全面に、Al層1080bが積層されている。つまり、クラッド板材1082は、いわゆる、オーバーレイ型のクラッド板材1082である。また、Al層1080aは、負極端子1008のZ1側の表面8aに配置されているとともに、Al層1080bは、負極端子1008のZ2側の表面8bに配置されている。また、Al層1080bは、Al層1080aと共にCu層1081をZ方向において挟み込むように配置されている。なお、Al層1080aは、本発明における「第1金属層または第2金属層のいずれか一方」の一例である。また、Cu層1081は、本発明における「第1金属層または第2金属層のいずれか他方」の一例である。また、Al層1080bは、本発明における「第3金属層」の一例である。
【0114】
また、
図24に示すように、Al層1080aの厚みt1は、Al層1080bの厚みt7よりも大きく、Al層1080aのZ方向の厚みt1は、約1.5mmであり、Cu層1081のZ方向の厚みt2およびAl層1080bのZ方向の厚みt7は、共に約1mmである。
【0115】
また、負極端子1008を構成するクラッド板材1082には、Z1側の表面8aにおいて、Z2方向に窪む凹部1083が形成されている。この凹部1083は、
図23に示すように、平面的に見て略円状に形成されている。また、凹部1083は、Z1側に配置されたAl層1080aの一部と、Cu層1081のZ1側の上部の一部とがZ1側から除去(切削)されることによって形成されている。これにより、凹部1083の底面1084aと、凹部1083の側面の下部(露出側面1084b)とにおいて、Cu層1081が露出している。この底面1084aおよび露出側面1084bからなる露出面1084は、クラッド板材1082のAl層1080aとCu層1081との界面1082aよりも表面8b側(Z2側)に窪んだ凹形状に形成されている。
【0116】
また、表面8a(Al層1080a)に形成された接合面Bに、Alからなる平板状のバスバー101の下面が、レーザ溶接により接合(溶接)されている。
【0117】
また、負極端子1008には、負極端子1008を貫通する貫通孔1089が形成されている。具体的には、貫通孔1089は、凹部1083の底面1084aの略中央に形成されているとともに、凹部1083の底面1084aからクラッド板材1082のZ2側の表面8bまでZ方向に延びるように形成されている。つまり、凹部1083に対応する領域においてCu層1081の一部とZ2側に配置されたAl層1080bの一部とが除去されることによって、貫通孔1089が形成されている。また、貫通孔1089の内周面1089aにおいて、Cu層1081が露出している。なお、内周面1089aは、本発明における「裏側露出面」の一例である。
【0118】
また、貫通孔1089には、下方(Z2側)からCuからなる負極円柱部52が挿入されている。また、貫通孔1089の周囲の底面1084aおよび貫通孔1089の内周面1089a(Cu層1081)に形成された接合面Iに、Cuからなる負極円柱部52の上部がレーザ溶接により接合(溶接)されている。なお、第6実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0119】
第6実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0120】
第6実施形態では、上記のように、負極端子1008を構成するクラッド板材1082が、Cu層1081の上面(Z1側)の略全面に、Al層1080aが積層され、Cu層1081の下面(Z2側)の略全面に、Al層1080bが積層された状態で、Al層1080aとCu層1081とAl層1080bとが厚み方向に接合された、いわゆるオーバーレイ型のクラッド板材1082からなる。それにより上記第1実施形態と同様に、オーバーレイ型のクラッド板材1082を用いて、負極端子1008を容易に作成することができ、負極端子1008の量産性を向上させることができるとともに、異なる金属材料からなるバスバー101および負極部5同士を容易に電気的に接続することができる。また、表面8aの露出面1084に、表面8bに配置されたCu層1081が露出するように形成することによって、上記第1実施形態と同様に、Al層1080aとCu層1081との界面1082aに脆弱な金属間化合物(Al−Cu合金)が形成されるのを抑制することができる。
【0121】
また、第6実施形態では、Al層1080aと同一の金属材料であるAlからなるAl層1080bを、Al層1080aと共にCu層1081をZ方向において挟み込むように配置するとともに、凹部1083に対応する領域においてCu層1081の一部とAl層1080bの一部とを除去することによって、クラッド板材1082にCu層1081が露出する内周面1089aを形成する。このように構成すれば、Cu層1081を挟み込むように、Cu層1081の両面にそれぞれAl層1080aおよびAl層1080bを配置した場合であっても、クラッド板材1082に露出面1084と露出面1084に対応する内周面1089aとが形成されていることによって、露出面1084と内周面1089aとが形成された領域(凹部1083に対応する領域)にはAl層1080aとCu層1081との界面1082a、および、Cu層1081とAl層1080bとの界面1082bが存在しない。これにより、接合時の熱が露出面1084から離れた界面1082aおよび1082bに到達するのを抑制することができるので、熱の影響に起因して界面1082aおよび1082bに脆弱な金属間化合物(Al−Cu合金)が形成されるのを抑制することができる。これにより、クラッド板材1082の接合強度が低下するのを確実に抑制することができる。
【0122】
また、第6実施形態では、クラッド板材1082にAl層1080aと共にCu層1081を挟み込むようにCu層1081に接合されるAl層1080bを設けることによって、耐食性に劣るCuからなるCu層1081が露出する領域を十分に小さくすることができるので、負極端子1008が腐食するのを抑制することができる。
【0123】
また、第6実施形態では、3層のクラッド板材1082を用いて負極端子1008を構成することによって、2層のクラッド板材を用いる場合と比べて、圧延接合することによりクラッド板材を形成した場合であっても、クラッド板材1082の厚みを3mm以上のある程度の大きさに容易に構成することができる。つまり、接合時の圧延によりクラッド板材を構成する各々の金属層の厚みは小さくなるものの、金属層を3層以上設けることによって、層の数の分だけ、クラッド板材の全体の厚みを容易に大きくすることができ、負極端子1008の機械的強度を向上させることができる。
【0124】
また、第6実施形態では、バスバー101と接合される接合面Bを含むAl層1080aの厚みt1をAl層1080bの厚みt7よりも大きくすることによって、バスバー101とAl層1080aとを接合する際に、Al層1080aとCu層1081との界面1082aに熱が到達しにくくすることができる。これにより、界面1082aに脆弱な金属間化合物(Al−Cu合金)が形成されるのを効果的に抑制することができる。なお、第6実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0125】
(第6実施形態の第1変形例)
次に、
図25を参照して、本発明の第6実施形態の第1変形例について説明する。この第6実施形態の第1変形例では、上記第6実施形態の凹部1083の代わりに溝部1183が形成された例について説明する。
【0126】
本発明の第6実施形態の第1変形例による負極端子1108は、
図25に示すように、Al層1080aとCu層1081とAl層1080bとが接合された3層のクラッド板材1082からなる。なお、負極端子1108は、本発明における「電池用端子」の一例である。
【0127】
また、負極端子1108を構成するクラッド板材1082には、Z1側の表面8aにおいて、Z2方向に窪む溝部1183が形成されている。この溝部1183は、負極端子1108の長手方向(Y方向)に一定の幅で、負極端子1108の短手方向(X方向)に延びるように形成されている。また、平面的に見て、溝部1183は、負極端子1108のY方向の略中央に形成されている。また、溝部1183は、Al層1080aの一部と、Cu層1081のZ1側の上部の一部とがZ1側から除去(切削)されることによって形成されている。また、溝部1183の底面1184aと、溝部1183の側面の下部(露出側面1184b)とにおいてCu層1081が露出している。この底面1184aおよび露出側面1184bからなる露出面1184は、クラッド板材1082のAl層1080aとCu層1081との界面1082aよりも表面8b側(Z2側)に窪んだ凹形状に形成されている。
【0128】
ここで、第6実施形態の第1変形例では、溝部1183を形成することによって、上記第6実施形態の凹部1083を形成する場合と比べて、複数の負極端子1108を容易に量産することが可能である。つまり、ロール状のクラッド板材1082に所定の深さ位置(厚み方向(Z方向)の長さ)の溝部1183を連続的に形成した後にロール状のクラッド板材1082を切断することによって、溝部1183が形成された複数の負極端子1108を作成することができるので、凹部1083を作成する毎に凹部1083の深さ位置の調整を行う必要がある上記第6実施形態と比べて、複数の負極端子1108を容易に量産することが可能である。
【0129】
また、貫通孔1089は、溝部1183の底面1184aの略中央に形成されているとともに、溝部1183の底面1184aからクラッド板材1082のZ2側の表面8bまでZ方向に延びるように形成されている。なお、第6実施形態の第1変形例のその他の構成および効果は、上記第6実施形態と同様である。
【0130】
(第6実施形態の第2変形例)
次に、
図26および
図27を参照して、本発明の第6実施形態の第2変形例について説明する。この第6実施形態の第2変形例では、上記第6実施形態の第1変形例の貫通孔1089の代わりに溝部1289が形成された例について説明する。
【0131】
本発明の第6実施形態の第2変形例による負極端子1208のクラッド板材1082には、
図26および
図27に示すように、Z1側の表面8aにおいてZ2方向に窪む溝部1183と、Z2側の表面8bにおいてZ1方向に窪む溝部1289とが形成されている。この溝部1289は、平面的に見て、溝部1183に対応する位置に形成されている。また、溝部1289は、負極端子1208の長手方向(Y方向)に一定の幅で、負極端子1208の短手方向(X方向)に延びるように形成されている。また、溝部1289は、Al層1080bの一部と、Cu層1081のZ2側の下部の一部とがZ2側から除去(切削)されることによって形成されている。また、溝部1289の底面1289aと、溝部1289の側面の下部(露出側面1289b)とにおいてCu層1081が露出している。この底面1289aおよび露出側面1289bからなる裏側露出面1289cは、クラッド板材1082のAl層1080bとCu層1081との界面1082bよりも表面8a側(Z1側)に窪んだ凹形状に形成されている。なお、負極端子1208は、本発明における「電池用端子」の一例である。
【0132】
ここで、第6実施形態の第2変形例では、クラッド板材1082の両面(表面8aおよび8b)に溝部1183および1289をそれぞれ形成することによって、上記第6実施形態の第1変形例のように一方表面(表面8a)のみに溝部1183を形成する場合と異なり、負極端子1208の表裏を厳密に区別する必要がない。
【0133】
また、
図27に示すように、露出面1184に対応する領域において裏側露出面1289cの底面1289aに形成された接合面Aに、Cuからなる負極円柱部52の上端部がレーザ溶接により接合(溶接)されている。なお、第6実施形態の第2変形例のその他の構成および効果は、上記第6実施形態と同様である。
【0134】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0135】
たとえば、上記第1〜第6実施形態では、本発明の「電池用端子」として負極端子を用いるとともに、負極端子とAlからなるバスバーとを接続し、負極端子とCuからなる負極部の負極円柱部とを接続する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、本発明の「電池用端子」として正極端子を用いるとともに、正極端子とCuからなるバスバーとを接続し、正極端子とAlからなる正極部の正極円柱部とを接続してもよい。この場合、上記第1〜第6実施形態の各実施形態において、CuとAlとが逆になる。たとえば、上記第1実施形態では、Alからなる正極円柱部と正極端子(電池用端子)の表面8bに配置されたAl層とが接合されるとともに、Cuからなるバスバーと正極端子の表面8aに配置されたCu層とが接合される。この場合、表面8aに配置されたCu層が本発明の「第1金属層または第2金属層のいずれか一方」の一例に、表面8bに配置されたAl層が本発明の「第1金属層または第2金属層のいずれか他方」の一例になる。また、上記第6実施形態では、正極端子の表面8bに配置されたCu層の貫通孔を通過したAlからなる正極円柱部と正極端子(電池用端子)の一対のCu層に挟まれたAl層とが接合されるとともに、Cuからなるバスバーと正極端子の表面8aに配置されたCu層とが接合される。この場合、表面8aに配置されたCu層が本発明の「第1金属層または第2金属層のいずれか一方」の一例に、一対のCu層に挟まれたAl層が本発明の「第1金属層または第2金属層のいずれか他方」の一例に、表面8bに配置されたCu層が本発明の「第3金属層」の一例になる。なお、これらの場合、電気抵抗の小さいCuからなるバスバーを用いることができるので、バスバーにおいて電力が消費されるのを抑制することができ、その結果、組電池における電気的な損失を低減することが可能である。
【0136】
また、上記第3〜第5実施形態では、平面的に見て、略円形状の負極端子に略円形状の突出部を形成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、負極端子および突出部を、平面的に見て矩形状に形成してもよい。
【0137】
また、上記第1〜第6実施形態では、レーザ溶接によって、負極端子とバスバーとを接合(溶接)するとともに、負極端子と集電体とを接合(溶接)した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、負極端子と、バスバーまたは集電体との位置関係などに応じて、負極端子とバスバーまたは集電体とを、抵抗溶接やTIG(Tangsten Inert Gas)溶接、超音波溶接などの他の溶接方法を用いて接合してもよい。なお、レーザ溶接は、溶接用の端子を溶接位置の近くに配置する必要のある抵抗溶接などと比べて、レーザが照射可能な位置であれば溶接可能であり、容易に溶接を行うことが可能であるので、好ましい。
【0138】
また、上記第1実施形態では、Al層80のZ方向の厚みt1とCu層81のZ方向の厚みt2とを略等しくした例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、Al層80の厚みt1とCu層81の厚みt2とを異ならせてもよい。ここで、厚みt1およびt2が小さすぎる場合には、接合時の熱がAl層80とCu層81との界面82aに到達しやすくなることに起因して、Al層80とCu層81との界面82aに脆弱なAl−Cu合金が生じて、Al層80とCu層81とが剥離しやすくなる。このため、厚みt1およびt2は、共に、約1mm以上であることが好ましい。
【0139】
また、上記第6実施形態では、接合面B(第1接合面)を含むAl層1080a(第1金属層)の厚みt1がAl層1080b(第3金属層)の厚みt7よりも大きい例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1接合面を含む金属層の厚みは、第3金属層の厚み以下であってもよい。
【0140】
また、上記第6実施形態では、接合面B(第1接合面)を含むAl層1080a(第1金属層)とAl層1080b(第3金属層)とを同一の金属材料(Al)から構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1接合面側の金属層と第3金属層とを同一ではないものの同種の金属材料から構成(たとえば、第1接合面側の金属層をAlから構成し、第3金属層をAl合金から構成)してもよいし、異種の金属材料から構成してもよい。
【0141】
また、上記第1〜第6実施形態では、Al層がAlからなるとともに、Cu層がCuからなる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、Al層をAl合金から構成してもよいし、Cu層をCu合金から構成してもよい。
【0142】
また、上記第2実施形態では、Ni層がNiからなる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、Ni層をNi合金から構成してもよい。
【0143】
また、上記第1〜第6実施形態では、互いに接合されるAl層とバスバーとを同一の金属材料(Al)から構成するとともに、互いに接合されるCu層と集電体とを同一の金属材料(Cu)から構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、Al層またはバスバーの一方をAlから構成し、Al層またはバスバーの他方をAl合金から構成するように、互いに接合されるAl層とバスバーとを、同一ではないものの同種の金属材料から構成してもよい。同様に、たとえば、Cu層または集電体の一方をCuから構成し、Cu層または集電体の他方をCu合金から構成するように、互いに接合されるCu層と集電体とを、同一ではないものの同種の金属材料から構成してもよい。なお、本発明の「同種の金属材料」は、同じ化学成分からなる金属材料(純金属および合金)同士だけでなく、異なる化学成分であっても主となる金属元素が同じ金属材料同士も含む広い概念である。さらに、Cu層と集電体とを同一の金属材料(Cu)から構成しなくてもよく、たとえば、NiおよびNi合金やFeおよびFe合金からなる集電体とCu層とを互いに接合してもよい。
【0144】
また、上記第1〜第5実施形態では、本発明の「第1接合面」(接合面B、DおよびF)に対応する領域において、Cu層81を除去しない例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1接合面に対応する領域におけるCu層81を除去してもよい。つまり、第2接合面(接合面A、C、E、G、HおよびI)に対応する領域のCu層81を第1表面(表面8a)に露出させるだけでなく、第1接合面に対応する領域のAl層80を第2表面(表面8b)に露出させてもよい。
【0145】
また、上記第6実施形態では、3層のクラッド板材1082を用いて負極端子1008を構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、4層以上のクラッド板材を用いて電池用端子を構成してもよい。たとえば、上記第6実施形態の3層のクラッド板材の2つの界面(界面1082aおよび1082b)にそれぞれNiまたはNi合金からなる反応抑制層を設けた5層のクラッド板材を用いて負極端子を構成してもよい。
【0146】
また、上記第4実施形態、第4実施形態の変形例、および、第5実施形態の変形例の負極端子において、突出部に負極円柱部を挿入する貫通孔を形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、上記第1実施形態、第1実施形態の変形例、および、第2実施形態のような平板状の負極端子においても、窪み部や切り欠き部に負極円柱部を挿入する貫通孔を設けてもよい。