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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-93691(P2015-93691A)
(43)【公開日】2015年5月18日
(54)【発明の名称】易開封性ピロー包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/00 20060101AFI20150421BHJP
【FI】
   B65D33/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-233329(P2013-233329)
(22)【出願日】2013年11月11日
(71)【出願人】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002956
【氏名又は名称】田辺三菱製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(72)【発明者】
【氏名】美尾 篤
(72)【発明者】
【氏名】野村 純平
(72)【発明者】
【氏名】荻野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】西田 雅也
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AA13
3E064BA01
3E064BA07
3E064BA26
3E064BA30
3E064BA36
3E064BA54
3E064BB03
3E064BC20
3E064EA30
3E064GA10
3E064HM03
3E064HN06
3E064HP04
(57)【要約】
【課題】横シール部から袋を引き裂いて容易に内容物の取り出しが可能な開口部を形成することができる、易開封性ピロー包装袋を提供する。
【解決手段】背シール部11が裏面21側に形成され、上端縁部を熱融着したトップシール部12と下端縁部を熱融着したボトムシール部13によって内容物収納部14を設けたピロー包装袋10であって、背シール部11が形成された面である裏面21と、この裏面21に対向する面である前面22と、2つの側面23とを有し、側面23の少なくとも1面に、トップシール部12およびボトムシール部13のいずれから引き裂きを開始しても、上下方向に沿って開封可能な引裂誘導線として、側面の前面22側に少なくとも1本の引裂誘導線24aと、側面の裏面21側に少なくとも1本の引裂誘導線24bとを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも基材層および内面にヒートシール可能なシーラント層を有する多層構成の積層フィルムからなり、積層フィルムの左側縁部のシーラント層と右側縁部のシーラント層とを合わせて熱融着された背シール部が裏面側に形成され、上端縁部を熱融着したトップシール部と下端縁部を熱融着したボトムシール部によって内容物収納部を設けたピロー包装袋であって、
前記背シール部が形成された面である裏面と、この裏面に対向する面である前面と、前面と裏面との間に形成された面である2つの側面とを有し、
前記2つの側面の少なくとも1面に、トップシール部およびボトムシール部のいずれから引き裂きを開始しても、上下方向に沿って開封可能な引裂誘導線として、側面の前面側に少なくとも1本の引裂誘導線と、側面の裏面側に少なくとも1本の引裂誘導線とを有することを特徴とする易開封性ピロー包装袋。
【請求項2】
前記引裂誘導線が、側面の前面側に2本以上の引裂誘導線と、側面の裏面側に2本以上の引裂誘導線とからなることを特徴とする、請求項1に記載の易開封性ピロー包装袋。
【請求項3】
前記引裂誘導線が、前記ピロー包装袋の側面両端よりもそれぞれ1mm以上内側に設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の易開封性ピロー包装袋。
【請求項4】
前記引裂誘導線が、引き裂きによる破断方向の逸れに対する補正が可能であり、前面側の引裂誘導線と裏面側の引裂誘導線との間の領域に逸脱しない形状であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の易開封性ピロー包装袋。
【請求項5】
前記引裂誘導線が、少なくともシーラント層を除く1層以上に設けられていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の易開封性ピロー包装袋。
【請求項6】
前記引裂誘導線が、基材層の打ち抜き加工、または炭酸ガスレーザー照射による基材層のアブレーションによって形成されたことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の易開封性ピロー包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にPTP(プレススルーパッケージ)シートをはじめとする、厚みをもった内容物を収納するためのピロー包装袋に関するものであり、さらに詳述すれば、複雑な開封操作を必要とすることなく、内容物を取り出すための開封口を、大きく確保するための引き裂き誘導構造を有する易開封性ピロー包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医薬包装の分野において、タブレットやカプセル等の固形薬剤の包装用には、PTPシートが広く用いられている。これらPTPシートに充填された薬剤の集合包装の形態として、複数のシートを束にして袋状の二次包装内に収納することが多い。
この二次包装に使用される袋の形態は、包材の幅方向の側端部同士の接合部である合掌形の背貼り部を中央部に有し、かつ流れ方向の両端が横シールされたピロー形状の袋体が多用される。さらにPTPシートを多数枚収納する場合には、両側面部にガゼット状の折り込みを有する合掌ガゼット袋が使用されることも多い。
これらPTPシートを収納する包装袋の開封は、横シール部に形成されているノッチまたはギザギザ状の端部(いわゆるギザカット部)から縦方向に引き裂き開封することが一般的である。
ギザカット部から縦方向に開封する場合、開封操作の方法によっては直線的に切れずに逸れてしまうことが多く、開口部が不足して内容物を取り出しにくくなる。特に内容物が厚みをもち、二次包装袋がタイトである場合に発生しやすい。
また、横シール部近傍を鋏等でカットして開封する場合には、開口部から内容物をつまみ出すことで取り出すことが可能であるが、開封のために鋏等の道具を必要とするだけでなく、内容物が多数枚になるほど、一回の操作により内容物の全量を取り出すことは困難である。
【0003】
これら問題を解決するために、いくつかの手法が提案されている。例えば特許文献1においては、ピロー袋の背貼りシール部の裏面両側にミシン目状の切目線を設ける手法が報告されている。しかし、背貼り部に設けられたノッチ部をきっかけとして生じたフィルムの「破れ」が、その両側に存在する切目線に引き裂きが到達しない場合、開口部が十分に確保されず、内容物の取り出しが困難になる恐れがある。また、背貼り部から一方向に限定された開封操作を要求されるため、直観的な開封操作とは言い難い。
また、特許文献2においては、包装袋を形成する筒の円周方向に一直線のミシン目線を設け、開封を誘導する手法が用いられている。この方法はスティック包装など、引き裂き距離が短い場合には適しているが、引裂誘導線から逸れ易いために、内容物が大型になるほど適切な開封口の大きさを確保することが困難になってしまうという欠点がある。
特許文献3においては、ピロー包装の背貼りシール部および両端面部に、連続的な微細キズ孔を設け、筒の幅方向に引き裂く手法が紹介されている。しかし、この方法では直線引裂き性を付与するために、一軸延伸ポリエステルや、一軸延伸ナイロン等の直線カット性をもったフィルムを構成中に含む必要があり、構成の制約やコスト面でデメリットが存在する。また、内容物が厚みを持ち、ガゼット形状のタイトピロー袋への適用が困難である問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−105719号公報
【特許文献2】特開2009−001310号公報
【特許文献3】特開2009−227325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は従来の欠点に鑑み、横シール部から袋を引き裂いて容易に内容物の取り出しが可能な開口部を形成することができる、易開封性ピロー包装袋を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、少なくとも基材層および内面にヒートシール可能なシーラント層を有する多層構成の積層フィルムからなり、積層フィルムの左側縁部のシーラント層と右側縁部のシーラント層とを合わせて熱融着された背シール部が裏面側に形成され、上端縁部を熱融着したトップシール部と下端縁部を熱融着したボトムシール部によって内容物収納部を設けたピロー包装袋であって、前記背シール部が形成された面である裏面と、この裏面に対向する面である前面と、前面と裏面との間に形成された面である2つの側面とを有し、前記2つの側面の少なくとも1面に、トップシール部およびボトムシール部のいずれから引き裂きを開始しても、上下方向に沿って開封可能な引裂誘導線として、側面の前面側に少なくとも1本の引裂誘導線と、側面の裏面側に少なくとも1本の引裂誘導線とを有することを特徴とする易開封性ピロー包装袋を提供する。
【0007】
前記引裂誘導線が、側面の前面側に2本以上の引裂誘導線と、側面の裏面側に2本以上の引裂誘導線とからなることが好ましい。
前記引裂誘導線が、前記ピロー包装袋の側面両端よりもそれぞれ1mm以上内側に設けられていることが好ましい。
前記引裂誘導線が、引き裂きによる破断方向の逸れに対する補正が可能であり、前面側の引裂誘導線と裏面側の引裂誘導線との間の領域に逸脱しない形状であることが好ましい。
前記引裂誘導線が、少なくともシーラント層を除く1層以上に設けられていることが好ましい。
前記引裂誘導線が、基材層の打ち抜き加工、または炭酸ガスレーザー照射による基材層のアブレーションによって形成されたことが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、開封操作の際、横シール部(トップシール部またはボトムシール部)の端部の開封きっかけ部から、もう一方の横シール部の端部に向けて引裂誘導線に沿って一直線に開封できるため、内容物を取り出すための開口部が過不足無く確保されることから、取り出し性が高いピロー包装が提供される。
横シール部の開封きっかけ部からの1回の操作により開口部が確保されるため、複雑な開封操作を必要とせず、直観的な取り出しが可能となる。
開封のためのテープやジッパーが不要であり、製袋コストの低減に効果が高い。また、特殊な包装機を必要とせず、多様な形態に対して適用が可能である。
基材層に1軸延伸フィルムを使用する必要がないなど、フィルムを構成する材質の制約がない。
直方体の最長辺と最短辺からなる面を大きく開封できるので内容物が取り出しやすい。
引裂誘導線を両方向へ向けて設けたのでどちらからでも開封できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の易開封性を付与したピロー包装袋の一例を示す斜視図である。
図2】開封操作途中の破断線の様子を示す斜視図である。
図3】開封操作完了後の開口部の様子を示す斜視図である。
図4】開封操作後の内容物の取り出しの様子を示す斜視図である。
図5】引裂誘導線がない場合の開封結果の一例を示す斜視図である。
図6】(a)〜(i)は引裂誘導線の形状を例示する平面図である。
図7】(a)〜(d)は変形ミシン目を上から下へ引き裂く様子を示す平面図である。
図8】(a)〜(d)は変形ミシン目を下から上へ引き裂く様子を示す平面図である。
図9】(a)〜(c)は積層フィルムの断面構造を例示する断面図である。
図10】(a)はガゼットタイプのピロー包装袋の一例を示す斜視図、(b)はその横シール部の端面図である。
図11】ガゼットタイプのピロー包装袋の展開図である。
図12】(a)はガゼットのないピロー包装袋の一例を示す斜視図、(b)はその横シール部の端面図である。
図13】ガゼットのないピロー包装袋の展開図である。
図14】(a)〜(d)は引裂誘導線のパターンを例示する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1に、本発明の易開封性を付与したピロー包装袋10の一例を示す。このピロー包装袋10は、背シール部11が裏面21側に形成され、上端縁部を熱融着したトップシール部12と下端縁部を熱融着したボトムシール部13によって内容物収納部14を設けている。このピロー包装袋10は、背シール部11が形成された面である裏面21と、この裏面21に対向する面である前面22と、前面22と裏面21との間に形成された2つの側面23,23を有する。図1は、ピロー包装袋10の側面23に2本の引裂誘導線24a,24bが設けられた状態を表す。袋の幅方向では、内容物収納部14の左右に2つの側面23,23が配置され、袋の厚さ方向では、内容物収納部14の前後に前面22と裏面21とが配置され、袋の高さ方向では、内容物収納部14の上下にトップシール部12とボトムシール部13とが配置される。
【0011】
ピロー包装袋を形成するフィルムは、例えば図9(a)に示すように、少なくとも基材層31および内面にヒートシール可能なシーラント層32を有する多層構成の積層フィルム30からなることが好ましい。所望の機能を有する引裂誘導線を形成できるものであれば、単層構成のフィルムを使用することもできるが、一軸延伸樹脂フィルムのように、全面にわたって直線カット性をもったフィルムである必要はなく、引裂誘導線を加工した部分に直線カット性があればよい。積層フィルムは、基材層がポリエステルやポリアミド等の合成樹脂、もしくはセロハンや紙等からなり、シーラント層はヒートシール可能なポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂からなり、これらを適宜組み合わせ積層することによって構成される。積層フィルムの各層に用いる樹脂フィルムは、二軸延伸フィルムや無延伸フィルムが好ましい。
【0012】
ピロー包装袋は、積層フィルムの幅方向の両側端部同士をシーラント層が内側になるようにして熱融着等の方法により接合して筒状にし、内容物を収納した状態において、前記接合部を背シール部として両端を横シール(トップシール・ボトムシール)することで密封したピロー包装袋を形成したとき、その側面23に少なくとも2本の引裂誘導線24a,24bを有していることを特徴としている。側面23の前面22側の引裂誘導線24aは、側面23の中央線25cより前面22側にあり、側面23の裏面21側の引裂誘導線24bは、側面23の中央線25cより裏面21側にあることが好ましい。側面23の中央線25cは、側面23の幅方向中央(左右両端23a,23bの中間)とした仮想上の線でもよく、折り目等の実体がある線であってもよい。
【0013】
このピロー包装袋において、引き裂きの開始となる開封きっかけ部12a,13aは、トップシール部12またはボトムシール部13の少なくともいずれか一方に設けられており、その形態としてV形やI形のノッチを利用することができるほか、ギザカット形状としても良い。トップシール部12およびボトムシール部13のいずれからでも引き裂きを開始できるようにするためには、トップシール部12およびボトムシール部13の両方に開封きっかけ部12a,13aを設けることが好ましい。
【0014】
このピロー包装袋の開封操作は、トップシール部12またはボトムシール部13のいずれか一方の横シール部を始点として、もう一方の横シール部に向かって(トップシール部12からボトムシール部13へ、またはボトムシール部13からトップシール部12へ)引き裂くことにより行う。このとき開封きっかけ部を始点として、図2に示すように、前面22側と裏面21側にそれぞれ軌跡の異なる2本の破断線25a,25bが生じるが、この2本の破断線25a,25bがピロー包装袋の側面23に設けられた2本の引裂誘導線24a,24bの外側から回り込み、それぞれの引裂誘導線24a,24b上に合流する。前面22側の破断線25aは、前面22側の引裂誘導線24a上に、裏面21側の破断線25bは、裏面21側の引裂誘導線24b上に合流する。
【0015】
引裂誘導線24a,24bは破断線25a,25bが2本の引裂誘導線24a,24bの内側、すなわち、引裂誘導線24a,24bの間の領域25に逸脱しない形状である。破断線25a,25bは引裂誘導線24a,24bに従って終端に向かうことで、図3に示すように、側面23に大きな開口部26を形成する。この一連の操作により、図4に示すように、大きな開口部26から内容物27を容易に取り出すことが可能となるものである。引裂誘導線24a,24bは2面存在する側面23の片側でも、両側に設けても差し支えない。
【0016】
図5に、側面23に引裂誘導線を設けずにピロー包装袋100を形成し、同様の開封操作を行った結果を示す。開封きっかけ部12aを始点として生じた2本の破断線25a,25bは、ピロー包装袋100の側面23に達した後、終端まで到達する前に1本に集束してしまうために、この部分で開封操作が終了してしまう。したがって、内容物の取り出しに十分な開口部の大きさを確保することができない。
【0017】
図6は、ピロー包装袋の側面に付与する引裂誘導線の形状の例である。図6(a)〜(d)および図6(f)〜(i)は、変形ミシン目の例を表し、図6(e)は炭酸ガスレーザーによって付与された、一直線の連続した引裂誘導線の例を表す。引裂誘導線はジッパーと同様の役割を果たすが、2本の引裂誘導線は、上下に双方向の開封に対して対応できる形状の組み合わせで形成される。例えば図6(d)、(f)、(g)では2本の引裂誘導線が左右に線対称に配置されている。図6(a)、(b)、(c)、(i)では2本の引裂誘導線がその間の一点を中心として点対称に配置されている。ただし、必ず線対称になるように配置されなくても良い。また、2本の引裂誘導線は互いに交わらなければ平行でなくとも構わない。
【0018】
2列に平行に配置された引裂誘導線は、上から下へ、あるいは下から上へ、いずれの方向に引裂いても、破断線が2本の引裂誘導線の内側に逸脱しない形状である必要がある。例えば基材層にミシン目加工を行う場合には、例えば図6(a)〜(d)および図6(f)〜(i)に示すようなパターニングを採用可能となる。上から下へ引き裂くときには図7(a)〜(d)に示すように、また、下から上へ引き裂くときには図8(a)〜(d)に示すように、引き裂かれる。これにより、引裂誘導線からの破断線の逸れを抑制しながら、所定の開封ラインに沿って開封することができる。
【0019】
引裂誘導線が、少なくともシーラント層を除く1層以上に設けられていることが好ましい。例えば、ダイカット、トムソン刃等による基材層の打ち抜き加工や、炭酸ガスレーザー照射による基材層のアブレーション等によって引裂誘導線を形成することができる。図6(e)のような連続線であれば、1本でいずれの方向にも対応可能であるが、基材層のみにこのような易開封加工を施すためには、炭酸ガスレーザーの照射による、基材層のアブレーションが必要である。
【0020】
図9に、引裂誘導線を設けた積層フィルム30,30A,30Bの例を示す。図9(a)に示す積層フィルム30では、引裂誘導線となる切れ目31aが基材層31を貫通している。基材層のアブレーションによる場合は、図9(b)に示す積層フィルム30Aのように、引裂誘導線となる切れ目31bが基材層31の内部に形成することもできる。図9(c)に示す積層フィルム30Bでは、基材層31の上に、他のフィルム等からなる外面層33が形成されている。
【0021】
積層フィルムとしては、従来より使用されているもの、例えば二軸延伸ポリプロピレン、二軸延伸ポリアミド、二軸延伸ポリエステル等からなるフィルムを基材層とし、これらの基材層に、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をシーラント層として積層した積層体が用いられる。積層フィルムを製造する方法としては、ドライラミネート法、押出ラミネート法、共押出法などが挙げられる。基材層とシーラント層との間には接着強度の向上のため、接着剤やアンカー剤等を設けることができる。この場合、包装袋の強度を高めるために基材層を複数枚積層してもよい。あるいは気体や紫外線のバリア性を高めるため、アルミニウム箔等の金属箔、金属蒸着層、セラミック等の無機質蒸着層、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムなどを積層してもよい。
【0022】
ピロー包装袋の側面23に設けられた1対の引裂誘導線24a,24bの間隔は、任意に設定することができるが、開封きっかけ部を始点とする破断線が、ピロー包装袋の側面23に到達する位置よりも内側に存在することが望ましい。このことから、引裂誘導線が付与される最適な位置は、ピロー包装袋の側面23の両端23a,23b(図1参照)よりもそれぞれ1mm以上内側であり、さらには、フィルム製造時の適性や開封操作性を考慮すると、5ないし10mmの間隔に設定することが好ましい。ここで、引裂誘導線24a,24bと側面両端23a,23bとの間隔とは、前面側の引裂誘導線24aにおいては、側面23と前面22との境界をなす端23aとの間隔であり、裏面側の引裂誘導線24bにおいては、側面23と裏面21との境界をなす端23bとの間隔である。
【0023】
引裂誘導線は、1つの側面に3本以上形成してもよい。側面の前面側に少なくとも1本の引裂誘導線と、側面の裏面側に少なくとも1本の引裂誘導線とを有することが好ましい。2本の引裂誘導線がいずれも前面側、あるいはいずれも裏面側に偏ると、その間に形成される開口部が大きくなりにくい。各引裂誘導線は、トップシール部およびボトムシール部のいずれから引き裂きを開始しても、上下方向に沿って開封可能な引裂誘導線であることが好ましい。開封きっかけ部をトップシール部のみに設ける場合は、上から下へのみ引裂きを誘導可能な引裂誘導線であってもよく、開封きっかけ部をボトムシール部のみに設ける場合は、下から上へのみ引裂きを誘導可能な引裂誘導線であってもよい。1つの側面の前面側に2本以上の引裂誘導線を、あるいは1つの側面の裏面側に2本以上の引裂誘導線を設けた場合は、引き裂きによる破断方向が、前面側の引裂誘導線と裏面側の引裂誘導線との間の領域に逸脱しない形状であることが好ましい。
【0024】
図10(a)に、ガゼットタイプのピロー包装袋10Aの一例を示す。このピロー包装袋10Aは、図11に示すように展開される1枚のフィルム40Aから、フィルム40Aの左側縁部43と右側縁部44とを合わせて背シール部11を形成し、フィルム40Aの上端縁部41および下端縁部42を図10(b)に示される形状に折り込み、それぞれトップシール部12とボトムシール部13を形成したものである。一般的なガゼットタイプの包装袋では、側面23の中央線25cは、袋の外から見て谷折りに折り込まれるが、必ずしも谷折りは必要でない。
【0025】
図12(a)に、ガゼットのないピロー包装袋10Bの一例を示す。このピロー包装袋10Bは、図13に示すように展開される1枚のフィルム40Bから、フィルム40Bの左側縁部43と右側縁部44とを合わせて背シール部11を形成し、フィルム40Bの上端縁部41および下端縁部42を図12(b)に示される形状に折り、それぞれトップシール部12とボトムシール部13を形成したものである。
【0026】
本形態のピロー包装袋は、略直方体の内容物に対して、最長辺と最短辺からなる面を側面23,23とすることが好ましい。この場合、最長辺が上下(高さ)方向、最短辺が厚さ方向、中程の長さの辺が左右方向である。
図10図13では、略直方体の内容物を収容する場合に、裏面21、前面22、2つの側面23,23がそれぞれ折り込まれることにより、袋に上面15および下面16が形成される様子を示している。
【0027】
側面23の両端23a,23bは、例えば折り線などによって形成することができる。ピロー包装袋の形状が内容物の形状に応じて形成される場合は、側面23の幅(両端23a,23bの間隔)が内容物の厚さに相当する。
側面23の両端23a,23bの位置は、積層フィルムを内容物と接触する前に折り目をつけて決めてもよく、内容物との接触によって積層フィルムが折れ曲がった結果であってもよい。破断線25a,25b(図2参照)が側面両端23a,23bを超えてくるためには、側面両端23a,23bにシール部を有しないことが望ましい。
図1に示すように、前面側の引裂誘導線24aは、側面23の、前面22側の端23aと、中央線25cとの間に配置されることが好ましい。裏面側の引裂誘導線24bは、側面23の、裏面21側の端23bと、中央線25cとの間に配置されることが好ましい。
【0028】
図14(a)〜(d)は引裂誘導線のパターンを例示する平面図である。袋の上面15および下面16となる部分は、内容物の高さ方向の範囲外である。したがって、引裂誘導線が少なくとも内容物の高さ方向の範囲内に形成されれば、取り出しに適した大きな開口部が得られる。
図14(a)では、引裂誘導線24a,24bの上端がフィルムの上端縁部41に到達し、引裂誘導線24a,24bの下端がフィルムの下端縁部42に到達している。
図14(b)では、引裂誘導線24a,24bが、上面15および下面16となる部分に到達することなく、側面23の上下方向の一部にのみ形成されている。
図14(c)では、袋の上面15および下面16となる部分において、引裂誘導線24a,24bが側面23の中央線25cに向かって内向きに傾斜している。
図14(d)では、袋の上面15および下面16となる部分において、引裂誘導線24a,24bが側面23の両端23a,23bに向かって外向きに傾斜している。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、主にPTPシート等の厚みをもった内容物を、特に複数個を束にして包装する場合に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0030】
10,10A,10B,100…ピロー包装袋、11…背シール部、12…トップシール部、13…ボトムシール部、14…内容物収納部、21…裏面、22…前面、23…側面、24,24a,24b…引裂誘導線、25a,25b…破断線、26…開口部、27…内容物、30,30A,30B…積層フィルム、31…基材層、32…シーラント層、33…外面層、40A,40B…フィルム、41…上端縁部、42…下端縁部、43…左側縁部、44…右側縁部。
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