特開2015-93848(P2015-93848A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-93848(P2015-93848A)
(43)【公開日】2015年5月18日
(54)【発明の名称】皮膚化粧料及び頭髪化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20150421BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20150421BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20150421BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20150421BHJP
   A61Q 7/00 20060101ALI20150421BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20150421BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20150421BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20150421BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20150421BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20150421BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20150421BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20150421BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20150421BHJP
【FI】
   A61K8/34
   A61Q19/00
   A61Q19/02
   A61Q19/08
   A61Q7/00
   A61Q5/00
   A61K31/05
   A61P39/06
   A61P29/00
   A61P17/16
   A61P17/14
   A61P17/02
   A61P17/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-234010(P2013-234010)
(22)【出願日】2013年11月12日
(71)【出願人】
【識別番号】591082421
【氏名又は名称】丸善製薬株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505314022
【氏名又は名称】独立行政法人医薬基盤研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】新穂 大介
(72)【発明者】
【氏名】吉松 嘉代
【テーマコード(参考)】
4C083
4C206
【Fターム(参考)】
4C083AA072
4C083AA082
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB032
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC242
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC482
4C083AC532
4C083AC642
4C083AC712
4C083AC782
4C083AC792
4C083AC852
4C083AD092
4C083AD282
4C083AD332
4C083AD352
4C083AD392
4C083AD512
4C083AD532
4C083AD552
4C083AD662
4C083CC02
4C083CC05
4C083CC31
4C083CC37
4C083CC38
4C083EE12
4C083EE16
4C083EE22
4C083EE35
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA19
4C206KA01
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZA89
4C206ZA92
4C206ZB11
4C206ZC20
4C206ZC37
(57)【要約】
【課題】安全性の高い天然物の中から抗酸化作用、抗炎症作用、美白作用、抗老化作用または育毛作用を有するものを見出し、それを有効成分とする抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤または育毛剤を提供する。
【解決手段】本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤および育毛剤の有効成分として、ガンカオニンR(Gancaonin R)を含有させる。また、本発明の皮膚化粧料および頭髪化粧料に、ガンカオニンR(Gancaonin R)を配合する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガンカオニンR(Gancaonin R)を有効成分として含有することを特徴とする抗酸化剤。
【請求項2】
ガンカオニンR(Gancaonin R)を有効成分として含有することを特徴とする抗炎症剤。
【請求項3】
ガンカオニンR(Gancaonin R)を有効成分として含有することを特徴とする美白剤。
【請求項4】
ガンカオニンR(Gancaonin R)を有効成分として含有することを特徴とする抗老化剤。
【請求項5】
ガンカオニンR(Gancaonin R)を有効成分として含有することを特徴とする育毛剤。
【請求項6】
ガンカオニンR(Gancaonin R)を配合したことを特徴とする皮膚化粧料。
【請求項7】
ガンカオニンR(Gancaonin R)を配合したことを特徴とする頭髪化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、皮膚化粧料および頭髪化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、特に生体成分を酸化させる要因として、活性酸素が注目されており、その生体への悪影響が問題となっている。活性酸素は、生体細胞内のエネルギー代謝過程で生じるものであり、活性酸素としては、スーパーオキサイド(すなわち酸素分子の一電子還元で生じるスーパーオキシドアニオン:・O)、過酸化水素(H)、ヒドロキシラジカル(・OH)及び一重項酸素()等が挙げられる。これらの活性酸素は、食細胞の殺菌機構にとって必須であり、ウイルスや癌細胞の除去に重要な働きを果たしている。
【0003】
しかしながら、活性酸素の過剰な生成は、生体内の膜や組織を構成する生体内分子を攻撃し、各種疾患を誘発する。通常、生体内で生産され、他の活性酸素の出発物質ともなっているスーパーオキサイドは、細胞内に含まれているスーパーオキサイドジスムターゼ(SOD)の触媒作用により逐次消去されているが、スーパーオキサイドの産生が過剰である場合、又はSODの作用が低下している場合には、スーパーオキサイドの消去が不十分となり、スーパーオキサイド濃度が高くなる。その結果、関節リウマチやベーチェット病等の組織障害、各種動脈硬化症(虚血性心疾患,心筋梗塞,脳虚血,脳梗塞等)、神経変性疾患(アルツハイマー病,パーキンソン病,ハンチントン舞踏病等)、癌、喫煙等が原因の肺疾患、白内障、糖尿病、しわ、肩凝り、冷え性等の様々な疾患を誘発する。
【0004】
特に、皮膚は、紫外線等の環境因子の刺激を直接受けることから、スーパーオキサイドが生成しやすい器官であるため、スーパーオキサイド濃度の上昇により、例えば、コラーゲン等の生体組織を分解し、変性し又は架橋したり、油脂類を酸化して細胞に障害を与える過酸化脂質を生成したりすると考えられており、活性酸素によって引き起こされる障害が、皮膚のしわ形成や皮膚の弾力低下等の老化の原因になるものと考えられている(非特許文献1参照)。したがって、活性酸素や生体内ラジカルの生成を阻害・抑制することにより、しわ形成や弾力低下等の皮膚の老化や、活性酸素による酸化ストレスが原因となって誘発される上記の疾患群を予防、治療又は改善できるものと考えられる。ラジカル消去作用を有するものとして、テンニンカ抽出物(特許文献1参照)、クチナシ属植物の抽出物(特許文献2参照)等が知られている。
【0005】
また、グルタチオンは、グルタミン酸、システイン及びグリシンの3つのアミノ酸からなるトリペプチドであり、細胞内の主要なシステイン残基を有する化合物である。細胞内におけるグルタチオンは、ラジカルの捕捉、酸化還元による細胞機能の調節、異物代謝、各種酵素のSH供与体としての機能を果たすものであり、抗酸化成分としても知られている。その作用発現は、システイン残基に由来すると考えられている。しかしながら、過剰な酸化ストレスや異物の付加、加齢などにより、細胞内のグルタチオン量が欠乏又は低下することが報告されており、このことが細胞の酸化ストレスに対する防御能を低下させ、細胞のDNA及びタンパク質等の構成成分にダメージを与える一因であると考えられている。
【0006】
このような、細胞内のグルタチオン量の低下又は欠乏が病態と関連することが知られている疾患として、酸化ストレスが原因となって誘発される上記の疾患群のほか、肝障害(アルコールの多飲、又は重金属や化学物質等の異物の摂取が原因となる)等が知られている。
【0007】
すなわち、グルタチオンの産生を促進することは、細胞の酸化ストレスに対する防御能を高め、細胞内のグルタチオン量が低下又は欠乏することに起因する上記の疾患群を予防・治療することができると考えられる。このようなグルタチオン産生促進作用を有するものとして、テンニンカ抽出物(特許文献3参照)、クチナシ属植物の抽出物(特許文献4参照)等が知られている。
【0008】
炎症性疾患、例えば、接触性皮膚炎(かぶれ)、乾癬、尋常性天疱瘡、アトピー性皮膚炎、その他肌荒れを伴う各種皮膚炎症性疾患の原因及び発症機構は、多種多様である。その原因の一つに、各種洗浄用組成物やその他の家庭用製品などに含まれる界面活性剤による刺激が挙げられる。
【0009】
界面活性剤は、皮膚などに付着した汚れを落とすために欠かせない物質であるが、一方で皮膚に接触して皮膚の構成成分を変性させ得るものである。皮膚の構成成分が界面活性剤により変性すると、皮膚は、皮膚組織の剥脱等のダメージを受けることとなり、肌荒れ等の原因となる。例えば、界面活性剤の一つであるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)は、ヒトの顔の様々な部位において、肌荒れの指標となる経表皮水分蒸散量を有意に上昇させることが知られている(非特許文献2参照)。
【0010】
すなわち、必要量以上の界面活性剤を皮膚に接触させると、皮膚のダメージを誘発し、接触性皮膚炎(かぶれ)、乾癬、尋常性天疱瘡、その他肌荒れに伴う各種皮膚炎症性疾患が発症し、またはこれらの皮膚炎症性疾患を悪化させてしまう原因となる。したがって、界面活性剤による皮膚のダメージを抑制することができれば、上記の各種炎症性疾患等の予防又は改善に効果があるものと考えられる。
【0011】
皮膚においてメラニンは、紫外線から生体を保護する役目も果たしているが、過剰生成や不均一な蓄積は、皮膚の黒化やシミの原因となる。一般にメラニンは、色素細胞の中で生合成される酵素チロシナーゼの働きによって、チロシンからドーパ、ドーパからドーパキノンに変化し、ついで5,6−ジヒドロキシインドフェノール等の中間体を経て形成されるものとされている。したがって、皮膚の色黒(皮膚色素沈着症)、シミ、ソバカス等を予防、治療又は改善するためには、メラニンの産生に関与するチロシナーゼの活性を阻害すること、又はメラニンの産生を抑制することが考えられる。
【0012】
従来、皮膚色素沈着症、シミ、ソバカス等の予防、治療又は改善には、ハイドロキノン等の化学合成品を有効成分とする美白剤を外用する処置が行われてきた。しかしながら、ハイドロキノン等の化学合成品は、皮膚刺激、アレルギー等の副作用のおそれがある。そこで、安全性の高い天然原料を有効成分とする美白剤の開発が望まれており、チロシナーゼ活性阻害作用を有するものとしては、例えば、藤茶抽出物(特許文献5参照)、ヤナギタデ抽出物(特許文献6参照)等が知られている。また、メラニン産生抑制作用を有するものとしては、例えば、トウゴマ根部からの抽出物(特許文献7参照)、サウスウレア(Saussurea)属に属する植物からの抽出物(特許文献8参照)等が知られている。
【0013】
皮膚の表皮及び真皮は、表皮細胞、線維芽細胞及びこれらの細胞の外にあって皮膚構造を支持するコラーゲン及びヒアルロン酸等の細胞外マトリックスにより構成されている。若い皮膚においては線維芽細胞の増殖は活発であり、線維芽細胞、コラーゲン等の皮膚組織の相互作用が恒常性を保つことにより水分保持、柔軟性、弾力性等が確保され、肌は外見的にも張りや艶があってみずみずしい状態に維持される。
【0014】
ところが、紫外線の照射、空気の著しい乾燥、過度の皮膚洗浄等、ある種の外的因子の影響があったり、加齢が進んだりすると、細胞外マトリックスの主要構成成分であるコラーゲン及びヒアルロン酸の産生量が減少するとともに、分解や変質を引き起こす。その結果、皮膚の保湿機能や弾力性が低下し、角質の異常剥離が生じるため、肌は張りや艶を失い、肌荒れ、シワ等の老化症状を呈するようになる。このように、皮膚の老化に伴う変化、すなわち、シワ、くすみ、きめの消失、弾力性の低下等には、コラーゲン及びヒアルロン酸等の真皮マトリックス成分の減少・変性等が関与している。
【0015】
近年、皮膚の老化に伴う変化を誘導する因子として、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs;Matrix metalloproteinases)の関与が指摘されている。このMMPsの中でも、マトリックスメタロプロテアーゼ−1(MMP−1)は、上述した真皮細胞外マトリックスの主要構成成分であるコラーゲンを分解する酵素として知られているが、その発現は紫外線の照射により大きく増加し、コラーゲンの減少・変性の一因となり、皮膚のシワの形成、弾力性の低下等の大きな要因となると考えられている。したがって、MMP−1の活性を阻害することは、皮膚の老化症状を予防・改善する上で重要である。
【0016】
また、MMP−1の活性が亢進すると、細胞外マトリックスが破壊される。細胞外マトリックスの破壊は、癌の浸潤・転移、関節リュウマチ、変形性膝関節症、歯周病、加齢黄斑変性症等、様々な疾患と関連することが知られている。そのため、MMP−1の活性を阻害することにより、細胞外マトリックスの破壊と関連する疾患等を治療・予防することができると考えられる。
【0017】
このようなMMP−1活性阻害作用を有するものとしては、例えば、ヒマラヤザクラからの抽出物(特許文献9参照)、ショウガ科ジンギバーカッサムナー又はクワ科フィカスネリフォリアからの抽出物(特許文献10参照)等が知られている。
【0018】
他方、上述の細胞外マトリックス成分のうち、ヒアルロン酸はムコ多糖の一種であり、加齢や紫外線の照射等に伴ってヒアルロン酸が減少・変性すると、皮膚の荒れ、しわ、くすみ、きめの消失、弾力性の低下及び保湿機能の低下等の老化症状を呈するようになる。そのため、ヒアルロン酸の産生を促進することにより、皮膚の老化症状を予防・改善できると考えられる。
【0019】
また、ヒアルロン酸は、皮膚組織の他にも、軟骨、関節液、臍帯、眼硝子体、その他の結合組織に存在する。ヒアルロン酸は、細胞間の間隙に充填されることにより細胞を保持する機能を有し、さらに細胞間隙への水分の保持、組織への潤滑性や柔軟性の付与、機械的障害等の外力に対する抵抗等、数多くの機能を有している。
【0020】
このうち、関節液に含まれるヒアルロン酸は、関節軟骨の表面を覆い、ヒアルロン酸が有する潤滑機能、軟骨に対する被覆・保護機能等により、関節の円滑な作動に役立っている。一方、慢性関節リウマチ等の関節炎において、関節液におけるヒアルロン酸の濃度が低下していることが知られている。したがって、ヒアルロン酸の産生を促進することで、慢性関節リウマチ、変形性関節炎、化膿性関節炎、痛風性関節炎、外傷性関節炎、又は骨関節炎等の関節炎を予防又は治療することができると考えられる。
【0021】
さらに、創傷又は熱傷の治癒過程において、肉芽(組織)が形成するが、肉芽中にヒアルロン酸が著しく増加することが知られている。そのため、ヒアルロン酸の産生を促進することで、創傷又は熱傷の治癒を促進することができると考えられる。
【0022】
従来、ヒアルロン酸産生促進作用を有するものとしては、クスノハガシワからの抽出物(特許文献11参照)、スターフルーツの果実からの抽出物(特許文献12参照)等が知られている。
【0023】
表皮は、外部刺激を緩和し、水分等の体内成分の逸失を制御する働きをしており、最下層である基底層から始まって、有棘層、顆粒層、角質層へと連なる4層構造から構成されている。各層に存在する大部分の細胞は、基底層から分化した角化細胞である。基底層で分裂、増殖した角化細胞は、有棘層、顆粒層を通過しながら分化し角質細胞となって、強固な架橋結合をもったケラチン蛋白線維で構成された角質層を構成し、最終的には垢として角質層から脱落する。特に、顆粒層では、細胞膜が肥厚して肥厚細胞膜を形成するとともに、トランスグルタミナーゼ−1の作用により、蛋白分子間がグルタミル−リジン架橋され、強靭なケラチン蛋白線維が形成される。さらに、その一部にセラミド等が共有結合し、疎水的な構造をとることで、細胞間脂質のラメラ構造の土台を供給し、角質バリア機能の基礎が形成される。
【0024】
しかし、加齢とともに表皮におけるトランスグルタミナーゼ−1の産生量が減少すると、角質バリア機能及び皮膚の保湿機能が低下するため、肌荒れ、乾燥肌等の皮膚の老化症状を呈したり、乾燥性皮膚疾患(例えば、アトピー性皮膚炎、乾癬、魚鱗癬等)を発症したりするようになる。そのため、表皮におけるトランスグルタミナーゼ−1の産生を促進することにより、皮膚の老化症状や乾燥性皮膚疾患等を予防、治療又は改善することができると考えられる。このようなトランスグルタミナーゼ−1産生促進作用を有するものとして、フロリジン及び/又はフロレチン(特許文献13参照)、ニガリ又はその構成成分である塩化カルシウム(特許文献14参照)等が知られている。
【0025】
近年、メイラード(Maillard)反応が、皮膚の褐変、老化現象に深く関与していることが報告されている。メイラード反応は、アミノ酸、ペプチド、タンパク質のアミノ基、ケトン、アルデヒド、特に還元糖が反応して褐色色素を生成するもので、食品分野では、その褐色と風味とが広く利用され、また研究されている。また、メイラード反応は、食品の劣化の指標となる場合もあるため、メイラード反応の抑制に関する研究も進められている。この反応生成物である褐変した色素の存在と蓄積とが、皮膚においても確認されている(非特許文献3,4参照)。この反応が、皮膚コラーゲンについても起こり、特に加齢に伴うコラーゲンの変性による皮膚の張り及び艶の消失の一因となることが報告されている。このようなメイラード反応抑制作用を有するものとして、例えば、カルカデ、ハイビスカス、シャゼンシ、トウニン、マロニエ、ケイシ、ゴミシ、シコン、センナ、トシシ及びビャッキュウからの抽出物(特許文献15参照)等が知られている。
【0026】
SIRT1は、サーチュインと呼ばれるファミリーに包含されるタンパク質であり、細胞核内および細胞質に存在し、NAD依存性タンパク質脱アセチル化酵素として機能することが知られている。近年、このSIRT1が、細胞老化を抑制するという面で重要な役割を演じており、特に皮膚組織において発現し皮膚老化の抑制に関与していることが明らかになっている(非特許文献5参照)。また、SIRT1は、細胞老化のほか、糖尿病改善作用、心血管保護作用、腎疾患改善作用、炎症性サイトカイン産生の抑制作用、神経保護作用等、様々な機能を有することが明らかになっている。
【0027】
そのため、SIRT1を活性化することができれば、皮膚老化等の老化、糖尿病、心血管疾患、神経系疾患、炎症性疾患などの各種疾患の予防・治療または改善に有用であると考えられている。
【0028】
毛髪は、成長期、退行期及び休止期からなる周期的なヘアサイクル(毛周期)に従って成長及び脱落を繰り返している。このヘアサイクルのうち、休止期から成長期にかけての新たな毛包が形成されるステージが、発毛に最も重要であると考えられており、このステージにおける毛包上皮系細胞の増殖・分化に重要な役割を果たしているのが、毛乳頭細胞であると考えられている。毛乳頭細胞は、毛根近傍にある外毛根鞘細胞とマトリックス細胞とからなる毛包上皮系細胞の内側にあって、基底膜に包まれている毛根の根幹部分に位置する細胞であり、毛包上皮系細胞に働きかけてその増殖を促進する等、毛包上皮系細胞の増殖・分化及び毛髪の形成において重要な役割を担っている(非特許文献6参照)。
【0029】
このように、毛乳頭細胞は、毛包上皮系細胞の増殖・分化及び毛髪の形成において重要な役割を果たしており、毛乳頭細胞の増殖を促進することで、脱毛症を予防・改善することができると考えられる。これまでに、毛乳頭細胞増殖促進作用を有するものとしては、例えば、ミズヒキ抽出物(特許文献16参照)、ハトムギ抽出物、ワイルドタイム抽出物及びスギナ抽出物等が知られている(以上、特許文献17参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】特開2008−285422号公報
【特許文献2】特開2006−347934号公報
【特許文献3】特開2008−285422号公報
【特許文献4】特開2006−347934号公報
【特許文献5】特開2002−370962号公報
【特許文献6】特開2004−83488号公報
【特許文献7】特開2001−213757号公報
【特許文献8】特開2002−201122号公報
【特許文献9】特開2003−176232号公報
【特許文献10】特開2003−176230号公報
【特許文献11】特開2003−146837号公報
【特許文献12】特開2003−300893号公報
【特許文献13】特開2004−51596号公報
【特許文献14】特開2007−106712号公報
【特許文献15】特開平11−106336号公報
【特許文献16】特開2006−083084号公報
【特許文献17】特開2006−219407号公報
【非特許文献】
【0031】
【非特許文献1】「フレグランスジャーナル臨時増刊」,1995年,No.14,p.156
【非特許文献2】"Skin Pharmacol. Physiol.",2006年,Vol.19,No.3,p.177-180
【非特許文献3】"Z. Ernaehrungswiss",1991年,Vol.30,p.29-45
【非特許文献4】"Science",1981年,Vol.211,No.4481,p.491-493
【非特許文献5】"Cosmetics & Toiletries",2008年,Vol.123,No.1,p.69-72
【非特許文献6】"Trends Genet.",1992年,Vol.8,p.55-61
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
本発明は、天然物由来の化合物の中から抗酸化作用、抗炎症作用、美白作用、抗老化作用または育毛作用を有するものを見出し、それを有効成分とする抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤および育毛剤、並びに当該化合物を配合した皮膚化粧料及び頭髪化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0033】
上記課題を解決するために、本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤および育毛剤は、ガンカオニンR(Gancaonin R)を有効成分として含有することを特徴とする。また、本発明の皮膚化粧料及び頭髪化粧料は、ガンカオニンR(Gancaonin R)を配合したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、ガンカオニンR(Gancaonin R)を有効成分として含有させることにより、作用効果に優れた抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤および育毛剤を提供することができる。さらに、ガンカオニンR(Gancaonin R)を配合することにより、上記作用に優れた皮膚化粧料および頭髪化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態の抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤は、ガンカオニンR(Gancaonin R)を有効成分として含有するものである。また、本実施形態の皮膚化粧料及び頭髪化粧料は、ガンカオニンR(Gancaonin R)が配合されるものである。
【0036】
ガンカオニンR(Gancaonin R)は、下記式(I)で表される化学構造を有するポリフェノールである。
【0037】
【化1】
【0038】
ガンカオニンRは、ガンカオニンRを含有する植物抽出物から単離・精製することにより製造することができる。このようなガンカオニンRを含有する植物抽出物は、植物の抽出に一般に用いられている方法によって得ることができる。ガンカオニンRを含有する植物としては、例えば、甘草の葉部等が挙げられる。
【0039】
甘草は、マメ科グリチルリーザ(Glycyrrhiza)属に属する多年生草本である。甘草には、グリチルリーザ・グラブラ(Glychyrrhiza glabra)、グリチルリーザ・インフラータ(Glychyrrhiza inflata)、グリチルリーザ・ウラレンシス(Glychyrrhiza uralensis)、グリチルリーザ・アスペラ(Glychyrrhiza aspera)、グリチルリーザ・ユーリカルパ(Glychyrrhiza eurycarpa)、グリチルリーザ・パリディフロラ(Glychyrrhiza pallidiflora)、グリチルリーザ・ユンナネンシス(Glychyrrhiza yunnanensis)、グリチルリーザ・レピドタ(Glychyrrhiza lepidota)、グリチルリーザ・エキナタ(Glychyrrhiza echinata)、グリチルリーザ・アカンソカルパ(Glychyrrhiza acanthocarpa)等、様々な種類のものがあり、これらのうち、いずれの種類の甘草を抽出原料として使用してもよいが、特にグリチルリーザ・グラブラ(Glychyrrhiza glabra)、グリチルリーザ・ウラレンシス(Glychyrrhiza uralensis)、及びグリチルリーザ・インフラータ(Glychyrrhiza inflata)を抽出原料として使用することが好ましい。
【0040】
抽出原料として使用し得る甘草の構成部位としては、例えば、葉部、茎部、花部、蕾部、果実部等の地上部、根部、根茎部又はこれらの部位の混合物等が挙げられるが、好ましくは葉部である。
【0041】
甘草の葉部からの抽出物は、抽出原料を乾燥した後、そのまま又は粗砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより得ることができる。乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。また、ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、甘草葉部の極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
【0042】
抽出溶媒としては、極性溶媒を使用することが好ましく、例えば、水、親水性有機溶媒等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて、室温又は溶媒の沸点以下の温度で使用することが好ましい。
【0043】
抽出溶媒として使用し得る水としては、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等のほか、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧調整、緩衝化等が含まれる。したがって、本実施形態において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
【0044】
抽出溶媒として使用し得る親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコール等が挙げられる。
【0045】
2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調整することができる。例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を抽出溶媒として使用する場合には、水と低級脂肪族アルコールとの混合比が9:1〜1:9(容量比)であることが好ましく、7:3〜2:8(容量比)であることがさらに好ましい。また、水と低級脂肪族ケトンとの混合液を使用する場合には、水と低級脂肪族ケトンとの混合比が9:1〜2:8(容量比)であることが好ましく、水と多価アルコールとの混合液を使用する場合には、水と多価アルコールとの混合比が5:5〜1:9(容量比)であることが好ましい。
【0046】
抽出処理は、抽出原料に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定はされず、常法に従って行うことができる。例えば、抽出原料の5〜15倍量(質量比)の抽出溶媒に、抽出原料を浸漬し、常温又は還流加熱下で可溶性成分を抽出させた後、濾過して抽出残渣を除去することにより抽出液を得ることができる。得られた抽出液から溶媒を留去するとペースト状の濃縮物が得られ、この濃縮物をさらに乾燥すると乾燥物が得られる。
【0047】
以上のようにして得られた抽出液、当該抽出液の濃縮物又は当該抽出液の乾燥物からガンカオニンRを単離・精製する方法は、特に限定されるものではなく、常法により行うことができる。例えば、抽出物を展開溶媒に溶解し、シリカゲルやアルミナ等の多孔質物質、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体やポリメタクリレート等の多孔性樹脂等を用いたカラムクロマトグラフィーに付して、ガンカオニンRを含む画分を回収する方法等が挙げられる。この場合、展開溶媒は使用する固定相に応じて適宜選択すればよいが、例えば固定相としてシリカゲルを用いた順相クロマトグラフィーにより抽出物を分離する場合、展開溶媒としてはクロロホルム:メタノール=95:5等が挙げられる。さらに、カラムクロマトグラフィーにより得られたガンカオニンRを含む画分を、ODSを用いた逆相シリカゲルクロマトグラフィー、再結晶、液−液向流抽出、イオン交換樹脂を用いたカラムクロマトグラフィー等の任意の有機化合物精製手段を用いて精製してもよい。
【0048】
〔抗酸化剤,抗炎症剤,美白剤,抗老化剤,育毛剤〕
以上のようにして得られるガンカオニンRは、優れた抗酸化作用、抗炎症作用、美白作用、抗老化作用および育毛作用を有しているため、抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤および育毛剤の有効成分として用いることができる。本実施形態の抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤および育毛剤は、医薬品、医薬部外品、化粧品等の幅広い用途に使用することができる。
【0049】
ここで、ガンカオニンRが有する抗酸化作用は、例えば、ラジカル消去作用および/またはグルタチオン産生促進作用に基づいて発揮される。ただし、ガンカオニンRが有する抗酸化作用は、上記作用に基づいて発揮される抗酸化作用に限定されるものではない。また、ガンカオニンRは、そのラジカル消去作用またはグルタチオン産生促進作用を利用して、それぞれラジカル消去剤またはグルタチオン産生促進剤の有効成分として使用してもよい。
【0050】
ガンカオニンRが有する抗炎症作用は、例えば、界面活性剤による皮膚へのダメージを抑制する作用(以下、本明細書において「界面活性剤ダメージ抑制作用」と呼ぶことがある。)に基づいて発揮される。ただし、ガンカオニンRが有する抗炎症作用は、上記作用に基づいて発揮される抗炎症作用に限定されるものではない。また、ガンカオニンRは、その界面活性剤ダメージ抑制作用を利用して、界面活性剤ダメージ抑制作用剤の有効成分として使用してもよい。
【0051】
ガンカオニンRが有する美白作用は、例えば、チロシナーゼ活性阻害作用および/またはメラニン産生抑制作用に基づいて発揮される。ただし、ガンカオニンRが有する美白作用は、上記作用に基づいて発揮される美白作用に限定されるものではない。また、ガンカオニンRは、そのチロシナーゼ活性阻害作用またはメラニン産生抑制作用を利用して、それぞれチロシナーゼ活性阻害剤またはメラニン産生抑制作用剤の有効成分として使用してもよい。
【0052】
ガンカオニンRが有する抗老化作用は、例えば、MMP−1活性阻害作用、ヒアルロン酸産生促進作用、グルタチオン産生促進作用、トランスグルタミナーゼ−1産生促進作用、メイラード反応阻害作用、SIRT1産生促進作用からなる群より選択される1または2以上の作用に基づいて発揮される。ただし、ガンカオニンRが有する抗老化作用は、上記作用に基づいて発揮される抗老化作用に限定されるものではない。また、ガンカオニンRは、そのMMP−1活性阻害作用、ヒアルロン酸産生促進作用、グルタチオン産生促進作用、トランスグルタミナーゼ−1産生促進作用、メイラード反応阻害作用またはSIRT1産生促進作用を利用して、それぞれMMP−1活性阻害剤、ヒアルロン酸産生促進剤、グルタチオン産生促進剤、トランスグルタミナーゼ−1産生促進剤、メイラード反応阻害剤またはSIRT1産生促進剤の有効成分として使用してもよい。
【0053】
ガンカオニンRが有する育毛作用は、例えば、毛乳頭細胞増殖促進作用に基づいて発揮される。ただし、ガンカオニンRが有する育毛作用は、上記作用に基づいて発揮される育毛作用に限定されるものではない。また、ガンカオニンRは、その毛乳頭細胞増殖促進作用を利用して、毛乳頭細胞増殖促進作用の有効成分として使用してもよい。
【0054】
本実施形態の抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤または育毛剤は、ガンカオニンRのみからなるものでもよいし、ガンカオニンRを製剤化したものでもよい。
【0055】
本実施形態の抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤および育毛剤は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、錠剤状、液状等の任意の剤形に製剤化することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味・矯臭剤等を用いることができる。抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤および育毛剤は、他の組成物(例えば、皮膚化粧料、頭髪化粧料等)に配合して使用することができるほか、軟膏剤、外用液剤、貼付剤等として使用することができる。
【0056】
本実施形態の抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤または育毛剤を製剤化した場合、ガンカオニンRの含有量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜設定することができる。
【0057】
なお、本実施形態の抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤または育毛剤は、必要に応じて、抗酸化作用、抗炎症作用、美白作用、抗老化作用または育毛作用を有する他の天然抽出物等を、ガンカオニンRとともに配合して有効成分として用いることができる。
【0058】
本実施形態の抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤または育毛剤の患者に対する投与方法としては、経皮投与、経口投与等が挙げられるが、疾患の種類に応じて、その予防・治療等に好適な方法を適宜選択すればよい。また、本実施形態の抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤または育毛剤の投与量も、疾患の種類、重症度、患者の個人差、投与方法、投与期間等によって適宜増減すればよい。
【0059】
本実施形態の抗酸化剤は、有効成分であるガンカオニンRが有するラジカル消去作用および/またはグルタチオン産生促進作用を通じて、しわ形成や弾力低下等の皮膚の老化を予防・改善できるとともに、皮膚の黒化、シミ、ソバカス等の色素沈着を予防・改善することができる。ここで、「活性酸素」には、スーパーオキサイド、過酸化水素、ヒドロキシラジカル、一重項酸素等が含まれる。また、「ラジカル」とは、不対電子を1つ又はそれ以上有する分子又は原子を意味し、スーパーオキサイド、ヒドロキシラジカル、DPPH等が含まれる。
【0060】
また、本実施形態の抗酸化剤は、ガンカオニンRが有するラジカル消去作用および/またはグルタチオン産生促進作用を通じて、関節リウマチやベーチェット病等の組織障害、各種動脈硬化症(虚血性心疾患,心筋梗塞,脳虚血,脳梗塞等)、神経変性疾患(アルツハイマー病,パーキンソン病,ハンチントン舞踏病等)、癌、喫煙等が原因の肺疾患、白内障、糖尿病、肩凝り、冷え性等の活性酸素が関与する各種疾患;肝障害(アルコールの多飲,又は重金属や化学物質等の異物の摂取が原因となる)等の細胞内グルタチオン量の低下又は欠乏が病態と関連することが知られている疾患;などを予防又は治療することもできる。ただし、本実施形態の抗酸化剤は、これらの用途以外にもラジカル消去作用またはグルタチオン産生促進作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
【0061】
本実施形態の抗炎症剤は、有効成分であるガンカオニンRが有する界面活性剤ダメージ抑制作用を通じて、接触性皮膚炎(かぶれ)、乾癬、尋常性天疱瘡、その他肌荒れに伴う各種皮膚炎症性疾患を予防又は改善することができる。ここで、「界面活性剤」には、親水性基および疎水性基を有し、各種洗浄用組成物や家庭用製品に用いられるものであれば特に限定されない。なお、各種洗浄用組成物や家庭用製品に用いられる代表的な界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、リニア・アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)などが挙げられる。ただし、本実施形態の抗炎症剤は、これらの用途以外にも界面活性剤ダメージ抑制作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
【0062】
本実施形態の美白剤は、有効成分であるガンカオニンRが有するチロシナーゼ活性阻害作用および/またはメラニン産生抑制作用を通じて、皮膚の黒化、シミ、ソバカス等の色素沈着を予防・改善することができる。ただし、本実施形態の美白剤は、これらの用途以外にもチロシナーゼ活性阻害作用またはメラニン産生抑制作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
【0063】
本実施形態の抗老化剤は、有効成分であるガンカオニンRが有するMMP−1活性阻害作用、ヒアルロン酸産生促進作用、グルタチオン産生促進作用、トランスグルタミナーゼ−1産生促進作用、メイラード反応阻害作用およびSIRT1産生促進作用からなる群より選択される1または2以上の作用を通じて、皮膚のシワの形成、弾力性の低下、保湿機能の低下等の皮膚の老化症状を予防、治療または改善することができる。ただし、本実施形態の抗老化剤は、これらの用途以外にもMMP−1活性阻害作用、ヒアルロン酸産生促進作用、グルタチオン産生促進作用、トランスグルタミナーゼ−1産生促進作用、メイラード反応阻害作用またはSIRT1産生促進作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
【0064】
例えば、本実施形態の抗老化剤または上述したMMP−1活性阻害剤もしくはヒアルロン酸産生促進剤は、ガンカオニンRが有するMMP−1活性阻害作用またはヒアルロン酸産生促進作用を通じて、創傷治療や皮膚疾患の治療、さらには再生医療分野への応用等の用途に使用することができるとともに、細胞外マトリックスの破壊が病態と関連していることが知られている疾患等の治療・予防の用途に使用することができる。このような疾患として、癌の浸潤・転移、関節リュウマチ、変形性膝関節症、歯周病、加齢黄斑変性症等が挙げられる。
【0065】
また、本実施形態の抗老化剤または上述したトランスグルタミナーゼ−1産生促進剤は、ガンカオニンRが有するトランスグルタミナーゼ−1産生促進作用を通じて、肌荒れ、乾燥肌等のほか、乾燥性皮膚疾患(例えば、アトピー性皮膚炎、乾癬、魚鱗癬等)を治療することができる。さらに、本実施形態の抗老化剤または上述したSIRT1産生促進剤は、ガンカオニンRが有するSIRT1産生促進作用を通じて、糖尿病、心血管疾患、神経系疾患、炎症性疾患などの各種疾患を予防・治療または改善することができる。
【0066】
本実施形態の育毛剤は、有効成分であるガンカオニンRが有する毛乳頭細胞増殖促進作用を通じて、毛乳頭細胞を活性化し、毛包上皮系細胞の増殖・分化及び毛髪の形成を促進することができるとともに、毛周期において成長期から退行期及び休止期へと移行するのを防ぎ、成長期を延長させることができる。これにより、脱毛症を予防・改善することができる。本実施形態の育毛剤が予防・改善可能な脱毛症としては、例えば、男性型脱毛症、円形脱毛症、トリコチロマニア等が挙げられる。また、本実施形態の育毛剤または上述した毛乳頭細胞増殖促進剤は、ガンカオニンRが有する毛乳頭細胞増殖促進作用を通じて、毛乳頭細胞を用いた毛髪再生等の再生医療分野への応用に使用することもできる。ただし、本発明の育毛剤は、これらの用途以外にも、毛乳頭細胞増殖促進作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
【0067】
また、本実施形態の抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤または育毛剤は、優れた抗酸化作用、抗炎症作用、美白作用、抗老化作用または育毛作用を有するため、例えば、皮膚外用剤に配合するのに好適である。この場合に、ガンカオニンRをそのまま配合してもよいし、ガンカオニンRから製剤化した抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤または育毛剤を配合してもよい。
【0068】
ここで、皮膚外用剤としては、その区分に制限はなく、後述する皮膚化粧料のほか、経皮的に使用される医薬部外品、医薬品等を幅広く含むものである。
【0069】
また、本実施形態の抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤または育毛剤は、優れた抗酸化作用、抗炎症作用、美白作用、抗老化作用または育毛作用を有するので、これらの作用機構に関する研究のための試薬としても好適に利用することができる。
【0070】
〔皮膚化粧料,頭髪化粧料〕
ガンカオニンRは、優れた抗酸化作用、抗炎症作用、美白作用、抗老化作用または育毛作用を有しているため、皮膚化粧料または頭髪化粧料に配合するのに好適である。この場合、ガンカオニンRをそのまま配合してもよいし、ガンカオニンRから製剤化した抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤または育毛剤を配合してもよい。
【0071】
ガンカオニンRまたは上記抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤もしくは育毛剤を配合することにより、皮膚化粧料または頭髪化粧料に抗酸化作用、ラジカル消去作用、グルタチオン産生促進作用、抗炎症作用、界面活性剤ダメージ抑制作用、美白作用、チロシナーゼ活性阻害作用、メラニン産生抑制作用、抗老化作用、MMP−1活性阻害作用、ヒアルロン酸産生促進作用、トランスグルタミナーゼ−1産生促進作用、メイラード反応阻害作用、SIRT1産生促進作用、育毛作用または毛乳頭細胞増殖促進作用を付与することができる。
【0072】
ガンカオニンRまたは上記抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤もしくは育毛剤を配合し得る皮膚化粧料又は頭髪化粧料の種類は特に限定されるものではなく、皮膚化粧料としては、例えば、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、ファンデーション等が挙げられ、また、頭髪化粧料としては、例えば、ヘアトニック、ヘアクリーム、ヘアリキッド、シャンプー、ポマード、リンス等が挙げられる。
【0073】
ガンカオニンRを皮膚化粧料又は頭髪化粧料に配合する場合、その配合量は、皮膚化粧料又は頭髪化粧料の種類に応じて適宜調整することができるが、好適な配合率は、約0.0001〜10質量%であり、特に好適な配合率は、標準的な抽出物に換算して約0.001〜1質量%である。
【0074】
本実施形態の皮膚化粧料または頭髪化粧料は、ガンカオニンRが有する抗酸化作用、ラジカル消去作用、グルタチオン産生促進作用、抗炎症作用、界面活性剤ダメージ抑制作用、美白作用、チロシナーゼ活性阻害作用、メラニン産生抑制作用、抗老化作用、MMP−1活性阻害作用、ヒアルロン酸産生促進作用、トランスグルタミナーゼ−1産生促進作用、メイラード反応阻害作用、SIRT1産生促進作用、育毛作用または毛乳頭細胞増殖促進作用を妨げない限り、通常の皮膚化粧料または頭髪化粧料の製造に用いられる主剤、助剤又はその他の成分、例えば、収斂剤、殺菌・抗菌剤、美白剤、紫外線吸収剤、保湿剤、細胞賦活剤、消炎・抗アレルギー剤、抗酸化・活性酸素除去剤、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、香料等を併用することができる。このように併用することで、より一般性のある製品となり、また、併用された他の有効成分との間の相乗作用が通常期待される以上の優れた効果をもたらすことがある。
【0075】
本実施形態の皮膚化粧料は、ガンカオニンRが有する抗酸化作用、ラジカル消去作用、グルタチオン産生促進作用、抗炎症作用、界面活性剤ダメージ抑制作用、美白作用、チロシナーゼ活性阻害作用、メラニン産生抑制作用、抗老化作用、MMP−1活性阻害作用、ヒアルロン酸産生促進作用、トランスグルタミナーゼ−1産生促進作用、メイラード反応阻害作用およびSIRT1産生促進作用からなる群より選択される1または2以上の作用を通じて、接触性皮膚炎(かぶれ)、乾癬、尋常性天疱瘡、その他肌荒れに伴う各種皮膚炎症性疾患の予防又は改善;皮膚の黒化、シミ、ソバカス等の色素沈着の予防または改善;皮膚のシワの形成、弾力性の低下、保湿機能の低下等の皮膚の老化症状の予防、治療または改善;創傷又は熱傷の治癒の促進;肌荒れ、乾燥肌等のほか、乾燥性皮膚疾患(例えば、アトピー性皮膚炎、乾癬、魚鱗癬等)の治療;などをすることができる。
【0076】
また、本実施形態の頭髪化粧料は、ガンカオニンRが有する抗酸化作用、ラジカル消去作用、グルタチオン産生促進作用、抗炎症作用、界面活性剤ダメージ抑制作用、抗老化作用、MMP−1活性阻害作用、ヒアルロン酸産生促進作用、トランスグルタミナーゼ−1産生促進作用、メイラード反応阻害作用、SIRT1産生促進作用、育毛作用および毛乳頭細胞増殖促進作用からなる群より選択される1または2以上の作用通じて、男性型脱毛症、円形脱毛症、トリコチロマニア等の脱毛症の予防、治療または改善;肌荒れ、乾燥肌等のほか、乾燥性皮膚疾患(例えば、アトピー性皮膚炎、乾癬、魚鱗癬等)の治療;などをすることができる。
【0077】
なお、本実施形態の抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤、育毛剤、皮膚化粧料または頭髪化粧料は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば,マウス,ラット,ハムスター,イヌ,ネコ,ウシ,ブタ,サル等)に対して適用することもできる。
【実施例】
【0078】
以下、製造例及び試験例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の各例に何ら制限されるものではない。
【0079】
〔製造例1〕ガンカオニンRの製造
乾燥した甘草葉部92.7gに10倍量の70容量%エタノールを加え、80℃で2時間加熱抽出し、ろ過してろ液を得た。さらに、抽出残渣に同量の70容量%エタノールを加え、80℃で2時間加熱抽出し、ろ過してろ液を得た。得られた抽出ろ液を合わせ、溶媒留去および凍結乾燥を行い、甘草葉部抽出物(28.6g,原料からの収率:30.9%)を得た。得られた甘草葉部抽出物28.6gに水1Lを加え懸濁し、多孔性樹脂(ダイヤイオンHP−20,三菱化学社製)500g上に付し、水5L、80容量%メタノール5L、アセトン5Lの順で溶出させた。次いで、80容量%メタノール5Lで溶出させた画分について溶媒留去および凍結乾燥を行い、甘草葉部抽出物80%メタノール溶出画分(6.9g,原料からの収率:7.4%)を得た。
【0080】
得られた80%メタノール溶出画分6.9gを、クロロホルム:メタノール=95:5(容量比)の混合溶媒に溶解し、シリカゲル(シリカゲル60,メルク社製)を充填したガラス製のカラム上部から注入して、シリカゲルに吸着させた。次いで、移動相としてクロロホルム:メタノール=95:5(容量比)を流し、その溶出液を800mLごとに分画し、3番目の画分を脱溶媒して、粗精製画分1(2.32g)を得た。得られた粗精製画分を40容量%アセトニトリルに溶解し、ODS(クロマトレックスODS DM1020T,富士シリシア化学社製)を充填したガラス製のカラム上部から注入して、ODSに吸着させた。次いで、移動相として40容量%アセトニトリルを流し、その溶出液を100mLごとに分画し、2番目の画分を脱溶媒して、粗精製画分2(1.16g)を得た。次に1.16gの粗精製画分2を下記の高速液体クロマトグラフィー条件にて分画し、精製物(994mg,原料からの収率:1.1%,試料1)を単離した。
【0081】
<高速液体クロマトグラフィー条件>
使用機器:LC−908(日本分析工業社製)
固定相:JAIGEL−GS310(日本分析工業社製) 2本連結
カラム径:20mm
カラム長:500mm
移動相:メタノール
移動相流速:5mL/min
【0082】
上記のようにして精製して得られた精製物について、H−NMR分析及び13C−NMR分析を行った。かかる分析結果を下記に示す。
【0083】
H−NMR(acetone-d6)δ>
1.64(6H, br s, H3-10, 15),1.74(6H, br s, H3-11, 16),2.63(2H, m, H2-β),2.79(2H, m, H2-α),3.35(4H, br d, J=8.0Hz, H2-7, 12),5.12(1H, m, H-8, 13),6.36(1H, s, H-4),6.60(1H, dd, J=2.4, 8.3Hz, H-6'),6.77(2H, m, H-2', 5')
【0084】
13C−NMR(acetone-d6)δ
18.2(C-10, 15),25.7(C-7, 12),25.8(C-11, 16),32.8(C-α),37.3(C-β),101.7(C-4),116.1(C-2', 5'),118.7(C-2, 6),120.3(C-6'),126.2(C-8, 13),130.1(C-9, 14),135.2(C-1'),141.3(C-1),144.0(C-4'),145.9(C-3'),154.5(C-3, 5)
【0085】
以上の分析結果から、甘草葉部抽出物から得られた化合物が、下記式(I)で表されるガンカオニンR(Gancaonin R)であることが確認された。
【0086】
【化2】
【0087】
〔試験例1〕ラジカル消去作用試験
製造例1により得られたガンカオニンR(試料1)について、以下のようにしてラジカル消去作用を試験した。
【0088】
150μmol/L DPPH(diphenyl-p-picrylhydrazyl)エタノール溶液3mLに被験試料溶液(試料1,試料濃度は下記表1を参照)3mLを加え密栓した後、振り混ぜて30分間放置した。放置後、波長520nmにおける吸光度を測定した。ブランクとして、エタノールに試料溶液3mLを加えた後、直ちに波長520nmの吸光度を測定した。また、コントロールとして、試料溶液に代えて試料の溶解に使用した溶媒のみを加えて同様の操作を行い、波長520nmの吸光度を測定した。得られた結果から、下記式によりラジカル消去率(%)を算出した。
【0089】
ラジカル消去率(%)={C−(St−Sb)}/C×100
式中、Cは「コントロールの吸光度」を表し、Stは「試料溶液添加時の吸光度」を表し、Sbは「ブランクの吸光度」を表す。
結果を表1に示す。
【0090】
【表1】
【0091】
表1に示すように、ガンカオニンR(試料1)は、優れたラジカル消去作用を有していると認められた。また、ラジカル消去作用の程度は、ガンカオニンRの濃度によって調節できることが確認された。
【0092】
〔試験例2〕グルタチオン産生促進作用試験
製造例1により得られたガンカオニンR(試料1)について、以下のようにしてグルタチオン産生促進作用を試験した。
【0093】
ヒト正常皮膚線維芽細胞(NB1RGB)を、10%FBS含有α−MEM培地を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を2.0×10cells/mLの細胞密度になるように10%FBS含有α−MEM培地で希釈した後、48ウェルプレートに1ウェル当たり200μLずつ播種し、一晩培養した。
【0094】
培養後、被験試料(試料1,試料濃度は下記表2を参照)が溶解した1%FBS含有ダルベッコMEM培地を各ウェルに200μL添加し、24時間培養した。なお、コントロールとして、被験試料無添加の1%FBS含有ダルベッコMEM培地を用いて同様に培養した。培養終了後、各ウェルから培地を除去し、400μLのPBS緩衝液にて洗浄した後、150μLのM−PER(PIERCE社製)を使用して細胞を溶解した。
【0095】
このうちの100μLを使用して総グルタチオンの定量を行った。すなわち、96ウェルプレートに溶解した細胞抽出液100μL、0.1mol/Lリン酸緩衝液50μL、2mmol/L NADPH25μL及びグルタチオンレダクターゼ25μL(終濃度17.5unit/mL)を加え37℃で10分間加温した後、10mmol/L 5,5'-dithiobis(2-nitrobenzoic acid)25μLを加え、5分後までの波長412nmにおける吸光度を測定し、ΔOD/minを求めた。総グルタチオン濃度は、酸化型グルタチオン(和光純薬社製)を使用して作成した検量線をもとに算出した。得られた値を総タンパク量当たりのグルタチオン量に補正した後、下記式によりグルタチオン産生促進率(%)を算出した。
【0096】
グルタチオン産生促進率(%)=B/A×100
上記式において、Aは「試料無添加の細胞中における総タンパク量当たりのグルタチオン量(対照)」を表し、Bは「被験試料を添加した細胞中における総タンパク量当たりのグルタチオン量」を表す。
結果を表2に示す。
【0097】
【表2】
【0098】
表2に示すように、ガンカオニンR(試料1)は、優れたグルタチオン産生促進作用を有していると認められた。
【0099】
〔試験例3〕ケラチノサイトに対するSDSダメージ抑制作用試験
製造例1により得られたガンカオニンR(試料1)について、以下のようにしてケラチノサイトに対するSDSダメージ抑制作用を試験した。
【0100】
正常ヒト新生児表皮角化細胞(NHEK)を、正常ヒト新生児表皮角化細胞用増殖培地(KGM)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を10×10cells/mLの細胞密度になるようにKGM培地で希釈した後、コラーゲンコートした48ウェルプレートに1ウェル当たり200μLずつ播種(2.0×10cells/ウェル)し、一晩培養した。
【0101】
培養終了後、被験試料(試料1,試料濃度は下記表3を参照)を溶解したKGM培地を各ウェルに200μL添加し、24時間培養した。なお、コントロールとして、試料無添加のKGM培地を用いて同様に培養した。培養終了後、SDS(終濃度25μg/mL)が溶解したKGM培地を各ウェルに200μL添加し、3時間培養した。培養終了後、MTTアッセイによりSDSダメージ抑制作用を測定した。すなわち、培地を除去し、PBS緩衝液にて洗浄した後、0.4mg/mLのMTTが溶解したPBS緩衝液を各ウェルに200μLずつ添加し、さらに2時間培養した後に、細胞内に生成したブルーホルマザンを2−プロパノール100μLで抽出した。この抽出液について、ブルーホルマザンの吸収極大点がある570nmの吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。また、同様に細胞播種した後、SDSを処理しない細胞およびSDSを処理し被験試料を添加しない細胞についても同様に測定し、それぞれ非処理群と処理群とした。測定結果から、下記式に基づいて、SDSダメージ抑制率(%)を算出した。
【0102】
SDSダメージ抑制率(%)={(Nt−C)−(Nt−Sa)}/(Nt−C)×100
式中、Ntは「SDSを処理しない細胞での吸光度」を表し、Cは「SDSを処理し試料無添加の細胞での吸光度」を表し、Saは「SDSを処理し被験試料を添加した細胞での吸光度」を表す。
結果を表3に示す。
【0103】
【表3】
【0104】
表3に示すように、ガンカオニンR(試料1)は、優れたSDSダメージ抑制作用を有していると認められた。
【0105】
〔試験例4〕チロシナーゼ活性阻害作用試験
製造例1により得られたガンカオニンR(試料1)について、以下のようにしてチロシナーゼ活性阻害作用を試験した。
【0106】
48ウェルプレートに、Mcllvaine緩衝液(pH6.8)0.2mL、0.3mg/mLチロシン溶液0.06mL、被験試料(試料1,試料濃度は下記表4を参照)の25%DMSO溶液0.18mLを加え、37℃で10分間静置した。これに、800units/mLチロシナーゼ溶液0.02mLを加え、引き続き37℃で15分間反応させた。反応終了後、波長475nmにおける吸光度を測定した。また、同様の方法で空試験を行った。得られた測定結果から、下記式によりチロシナーゼ活性阻害率(%)を算出した。
【0107】
チロシナーゼ活性阻害率(%)={1−(St−Sb)/(Ct−Cb)}×100
式中、Stは「酵素添加・被験試料添加での吸光度」を、Sbは「酵素無添加・被験試料添加での吸光度」を、Ctは「酵素添加・被験試料無添加での吸光度」を、Cbは「酵素無添加・被験試料無添加での吸光度」を示す。
結果を表4に示す。
【0108】
【表4】
【0109】
表4に示すように、ガンカオニンR(試料1)は、優れたチロシナーゼ活性阻害作用を有していると認められた。
【0110】
〔試験例5〕B16メラノーマ細胞に対するメラニン産生抑制作用試験
製造例1により得られたガンカオニンR(試料1)について、以下のようにしてB16メラノーマ細胞に対するメラニン産生抑制作用を試験した。
【0111】
B16メラノーマ細胞を、10%FBS含有ダルベッコMEM培地を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を24.0×10cells/mLの細胞密度になるように10%FBSおよび1mmol/Lテオフィリン含有ダルベッコMEM培地で希釈した後、48ウェルプレートに1ウェルあたり300μLずつ播種し、6時間培養した。
【0112】
培養終了後、被験試料(試料1,試料濃度は下記表5を参照)を添加した10%FBSおよび1mmol/Lテオフィリン含有ダルベッコMEM培地を各ウェルに300μL添加し、4日間培養した。なお、コントロールとして、試料無添加の10%FBSおよび1mmol/Lテオフィリン含有ダルベッコMEM培地を用いて同様に培養した。培養終了後、培地を除去し、2mol/LのNaOH溶液200μLを添加して超音波破砕機により細胞を破壊し、波長475nmにおける吸光度を測定した。測定した吸光度の値から、合成メラニン(SIGMA社製)を用いて作成した検量線をもとにメラニン量を算出した。
【0113】
また、細胞生存率を測定するために、上記と同様にして培養した後、培地を除去し400μLのPBS緩衝液で洗浄して、終濃度0.05mg/mLで10%FBS含有ダルベッコMEMに溶解したニュートラルレッドを各ウェルに200μL添加し、2.5時間培養した。培養後、ニュートラルレッド溶液を除去し、エタノール・酢酸溶液(エタノール:酢酸:水=50:1:49)を各ウェルに200μL添加し、色素を抽出した。抽出後、波長540nmにおける吸光度を測定した。得られた結果から、下記式により細胞生存率により補正したメラニン産生抑制率(%)を算出した。
【0114】
メラニン産生抑制率(%)={1−(B/D)/(A/C)}×100
式中、Aは「試料無添加のサンプルにおけるメラニン量」を表し、Bは「被験試料を添加したサンプルにおけるメラニン量」を表し、Cは「試料無添加のサンプルにおける540nmにおける吸光度」を表し、Dは「被験試料添加のサンプルにおける540nmにおける吸光度」を表す。
結果を表5に示す。
【0115】
【表5】
【0116】
表5に示すように、ガンカオニンR(試料1)は、優れたメラニン産生抑制作用を有していると認められた。
【0117】
〔試験例6〕MMP−1活性阻害作用試験
製造例1により得られたガンカオニンR(試料1)について、以下のようにしてMMP−1活性阻害作用を試験した。
【0118】
蓋付試験管にて、20mmol/Lの塩化カルシウムを含有する0.1mol/L Tris−HCl緩衝液(pH7.1)に溶解した被験試料(試料1,試料濃度は下記表6を参照)50μL、MMP−1溶液(Sigma社製,COLLAGENASE Type IV from Clostridium histolyticum)50μL、及びPzペプチド溶液(BACHEM Feinchemikalien AG社製,Pz-Pro-Leu-Gly-Pro-D-Arg-OH)400μLを混合し、37℃にて30分反応させた後、25mmol/Lのクエン酸溶液1mLを加え反応を停止した。
【0119】
その後、酢酸エチル5mLを加え、激しく振とうした。これを遠心(1600×g,10分)し、酢酸エチル層の波長320nmにおける吸光度を測定した。また、同様にして空試験を行い補正した。得られた結果から、下記式によりMMP−1活性阻害率(%)を算出した。
【0120】
MMP−1活性阻害率(%)={1−(C−D)/(A−B)}×100
式中、Aは「試料無添加、酵素添加での波長320nmにおける吸光度」を表し、Bは「試料無添加、酵素無添加での波長320nmにおける吸光度」を表し、Cは「試料添加、酵素添加での波長320nmにおける吸光度」を表し、Dは、「試料添加、酵素無添加での波長320nmにおける吸光度」を表す。
結果を表6に示す。
【0121】
【表6】
【0122】
表6に示すように、ガンカオニンR(試料1)は、優れたMMP−1活性阻害作用を有していると認められた。また、MMP−1活性阻害作用の程度は、ガンカオニンRの濃度によって調節できることが確認された。
【0123】
〔試験例7〕表皮ヒアルロン酸産生促進作用試験
製造例1により得られたガンカオニンR(試料1)について、以下のようにして表皮ヒアルロン酸産生促進作用を試験した。
【0124】
ヒト正常新生児皮膚表皮角化細胞(NHEK)を、ヒト正常表皮角化細胞長期培養用増殖培地(EpiLife-KG2)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1×10cells/mLの細胞密度になるようにEpilife-KG2培地で希釈した後、96ウェルプレートに1ウェルあたり100μLずつ播種し、24時間培養した。
【0125】
培養終了後、被験試料(試料1,試料濃度は下記表7を参照)を添加したEpilife-KG2培地を各ウェルに100μLずつ添加し、7日間培養した。なお、コントロールとして、試料無添加のEpilife-KG2培地を用いて同様に培養した。培養後、各ウェルの培地中のヒアルロン酸量を、ヒアルロン酸結合タンパク(HABP)を用いたサンドイッチ法により測定した。測定結果から、下記式によりヒアルロン酸産生促進率(%)を算出した。
【0126】
表皮ヒアルロン酸産生促進率(%)=A/B×100
上記式において、Aは「被験試料添加時のヒアルロン酸量」を表し、Bは「試料無添加時のヒアルロン酸量」を表す。
結果を表7に示す。
【0127】
【表7】
【0128】
表7に示すように、ガンカオニンR(試料1)は優れた表皮ヒアルロン酸産生促進作用を有していると認められた。
【0129】
〔試験例8〕トランスグルタミナーゼ−1産生促進作用試験
製造例1により得られたガンカオニンR(試料1)について、以下のようにしてトランスグルタミナーゼ−1産生促進作用を試験した。
【0130】
正常ヒト新生児表皮角化細胞(NHEK)を、正常ヒト新生児表皮角化細胞用増殖培地(KGM)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1×10cells/mLの細胞密度になるように上記培地で希釈した後、96ウェルプレートに1ウェルあたり100μLずつ播種し、2日間培養した。
【0131】
培養終了後、被験試料(試料1,試料濃度は下記表8を参照)を添加したKGM培地を各ウェルに100μLずつ添加し、24時間培養した。なお、コントロールとして、試料無添加のKGM培地を用いて同様に培養した。培養終了後、培地を除去し、細胞をプレートに固定させ、細胞表面に発現したトランスグルタミナーゼ−1の量を、モノクローナル抗ヒトトランスグルタミナーゼ−1抗体(Biomedical Technologies Inc.社製)を用いたELISA法により測定した。得られた測定結果から、下記式によりトランスグルタミナーゼ−1産生促進率(%)を算出した。
【0132】
トランスグルタミナーゼ−1産生促進率(%)=A/B×100
上記式において、Aは「被験試料添加での吸光度」を表し、Bは「試料無添加での吸光度」を表す。
試験結果を表8に示す。
【0133】
【表8】
【0134】
表8に示すように、ガンカオニンR(試料1)は、優れたトランスグルタミナーゼ−1産生促進作用を有していると認められた。
【0135】
〔試験例9〕メイラード反応阻害作用試験
製造例1により得られたガンカオニンR(試料1)について、以下のようにしてメイラード反応阻害作用を試験した。
【0136】
被験試料溶液(試料1,試料濃度は下記表9を参照)50μL、100mmol/L D(−)−リボース200μL、25mg/mLリゾチーム200μL、100mmol/Lリン酸水素ナトリウム水溶液(pH7.4)500μL、滅菌蒸留水50μLを混合し(全量:1000μL)、37℃で静置した。なお、コントロールとして、被験試料溶液に替えて蒸留水としたものを同様に試験し、ブランクとして、被験試料溶液に替えて蒸留水としたものを4℃で同じく静置した。
【0137】
7日後、ボルテックスで攪拌し、反応液40μLにSDS−PAGE用サンプルバッファー40μLを混合した後、沸騰浴中で3分間加熱し、分析サンプルとした。アクリルアミド濃度を分離ゲル15%、濃縮ゲル4%に調製したポリアクリルアミドゲルに、分析サンプル12μLをアプライし、電気泳動を行った。泳動したゲルをクマシーブリリアントブルー染色後脱色し、画像撮影装置ChemiDoc XRS Plus(Bio-Rad Laboratories社製)を用いて検出し、バンドをImage Lab Software version 2.0(Bio-Rad Laboratories社製)にて定量的に測定した。得られた結果から、各バンドのNet intensity(バンド強度)を用いて、リゾチームの二量体、三量体の形成阻害率を計算し、下記式にてメイラード反応阻害率(%)を算出した。
【0138】
メイラード反応阻害率(%)={1−(A−C)/(B−C)}×100
式中、Aは「被験試料添加での二量体と三量体のNet intensityの和」を表し、Bは「試料無添加(コントロール)での二量体と三量体のNet intensityの和」を表し、Cは「ブランクでの二量体と三量体のNet intensityの和」を表す。
結果を表9に示す。
【0139】
【表9】
【0140】
表9に示すように、ガンカオニンR(試料1)は、優れたメイラード反応阻害作用を有していると認められた。
【0141】
〔試験例10〕SIRT1産生促進作用試験
製造例1により得られたガンカオニンR(試料1)について、以下のようにしてSIRT1産生促進作用試験を試験した。
【0142】
ヒト正常線維芽細胞(NB1RGB)を、10%FBS含有ダルベッコMEM培地を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1×10cells/mLの細胞密度になるように0.25%FBS含有ダルベッコMEM培地で希釈した後、96ウェルマイクロプレートに1ウェル当たり100μLずつ播種し、一晩培養した。
【0143】
培養終了後、培地を除去し、被験試料(試料1,試料濃度は表10を参照)が溶解した0.25%FBS含有ダルベッコMEM培地を各ウェルに100μL添加し、48時間培養した。なお、コントロールとして、試料無添加の0.25%FBS含有ダルベッコMEM培地を用いて同様に培養した。培養終了後、4%ホルマリン液で細胞を固定し、0.5%Triton−Xにて細胞膜を可溶化させた後、細胞内に発現したSIRT1の量を、マウスモノクローナル抗ヒトSIRT1抗体(SANTA CRUZ BIOTECHNOLOGY社製)を用いたELISA法により測定した。また、その後に0.05%メチレンブルー溶液で核を染色することにより細胞数を測定し、SIRT1量/細胞数の比を求め、単位細胞当りのSIRT1量を算出した。得られた結果より、下記式にてSIRT1産生促進率(%)を算出した。
【0144】
SIRT1産生促進率(%)=A/B×100
式中、Aは「被験試料添加でのSIRT1量/細胞数」を表し、Bは「試料無添加でのSIRT1量/細胞数」を表す。
結果を表10に示す。
【0145】
【表10】
【0146】
表10に示すように、ガンカオニンR(試料1)は、優れたSIRT1産生促進作用を有していると認められた。
【0147】
〔試験例11〕毛乳頭細胞増殖促進作用試験
製造例1により得られたガンカオニンR(試料1)について、以下のようにして毛乳頭細胞増殖促進作用を試験した。
【0148】
正常ヒト頭髪毛乳頭細胞(HFDPC,男性頭頂部由来)を、1%FCS及び増殖添加剤を含有する毛乳頭細胞増殖培地(PCGM,東洋紡績社製)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を、10%FBS含有DMEM培地を用いて1.0×10cells/mLの細胞密度になるように希釈した後、コラーゲンコートした96ウェルプレートに1ウェルあたり200μLずつ播種し、3日間培養した。
【0149】
その後、培地を除去し、無血清DMEM培地に溶解させた被験試料(試料1,試料濃度は表11を参照)含有培地200μLを各ウェルに添加し、さらに4日間培養した。培養終了後、MTTアッセイにより毛乳頭細胞増殖促進作用を測定した。すなわち、培地を除去し、0.4mg/mLのMTTを含む無血清DMEM培地に交換し、さらに2時間培養した後、細胞内に生成したブルーホルマザンを2−プロパノール100μLで抽出した。この抽出液について、ブルーホルマザンの吸収極大点がある570nmの吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。なお、コントロールとして、被験試料含有培地に代えて無血清DMEM培地で培養した場合についても、同様の測定を行った。測定結果から、下記式に基づいて、毛乳頭細胞増殖促進率(%)を算出した。
【0150】
毛乳頭細胞増殖促進率(%)=A/B×100
式中、Aは「被験試料添加でのブルーホルマザン生成量」を表し、Bは「試料無添加でのブルーホルマザン生成量」を表す。
結果を表11に示す。
【0151】
【表11】
【0152】
表11に示すように、ガンカオニンR(試料1)は、優れた毛乳頭細胞増殖促進作用を有していると認められた。
【0153】
〔配合例1〕
下記組成に従い、乳液を常法により製造した。
ガンカオニンR(製造例1) 0.01g
ホホバオイル 4.00g
1,3−ブチレングリコール 3.00g
アルブチン 3.00g
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 2.50g
オリーブオイル 2.00g
スクワラン 2.00g
セタノール 2.00g
モノステアリン酸グリセリル 2.00g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 2.00g
パラオキシ安息香酸メチル 0.15g
グリチルリチン酸ステアリル 0.10g
黄杞エキス 0.10g
グリチルリチン酸ジカリウム 0.10g
イチョウ葉エキス 0.10g
コンキオリン 0.10g
オウバクエキス 0.10g
カミツレエキス 0.10g
香料 0.05g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0154】
〔配合例2〕
下記組成のクリームを常法により製造した。
ガンカオニンR(製造例1) 0.05g
クジンエキス 0.1g
オウゴンエキス 0.1g
流動パラフィン 5.0g
サラシミツロウ 4.0g
スクワラン 10.0g
セタノール 3.0g
ラノリン 2.0g
ステアリン酸 1.0g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 1.5g
モノステアリン酸グリセリル 3.0g
油溶性甘草エキス 0.1g
1,3−ブチレングリコール 6.0g
パラオキシ安息香酸メチル 1.5g
香料 0.1g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0155】
〔配合例3〕
下記組成の美容液を常法により製造した。
ガンカオニンR(製造例1) 0.01g
カミツレエキス 0.1g
ニンジンエキス 0.1g
キサンタンガム 0.3g
ヒドロキシエチルセルロース 0.1g
カルボキシビニルポリマー 0.1g
1,3−ブチレングリコール 4.0g
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1g
グリセリン 2.0g
水酸化カリウム 0.25g
香料 0.01g
防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.15g
エタノール 2.0g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0156】
〔配合例4〕
下記組成のヘアトニックを常法により製造した。
ガンカオニンR(製造例1) 0.4g
酢酸トコフェロール 適量
セファラチン 0.002g
イソプロピルメチルフェノール 0.1g
ヒアルロン酸ナトリウム 0.15g
グリセリン 15.0g
エタノール 15.0g
香料 適量
キレート剤(エデト酸ナトリウム) 適量
防腐剤(ヒノキチオール) 適量
可溶化剤(ポリオキシエチレンセチルエーテル) 適量
精製水 残部(全量を100gとする)
【0157】
〔配合例5〕
下記組成のシャンプーを常法により製造した。
ガンカオニンR(製造例1) 0.5g
マジョラム抽出物 1.0g
ウメ果実部抽出物 0.2g
ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 10.0g
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 10.0g
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム 20.0g
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 4.0g
プロピレングリコール 2.0g
香料 適量
精製水 残部(全量を100gとする)
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明の抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤、抗老化剤および育毛剤は、接触性皮膚炎(かぶれ)、乾癬、尋常性天疱瘡、その他肌荒れに伴う各種皮膚炎症性疾患の予防又は改善;皮膚の黒化、シミ、ソバカス等の色素沈着の予防または改善;皮膚のシワの形成、弾力性の低下、保湿機能の低下等の皮膚の老化症状の予防、治療または改善;創傷又は熱傷の治癒の促進;肌荒れ、乾燥肌等のほか、乾燥性皮膚疾患(例えば、アトピー性皮膚炎、乾癬、魚鱗癬等)の治療;男性型脱毛症、円形脱毛症、トリコチロマニア等の脱毛症の予防、治療または改善;などに大きく貢献できる。