特開2016-141605(P2016-141605A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-141605(P2016-141605A)
(43)【公開日】2016年8月8日
(54)【発明の名称】ガラス溶解装置
(51)【国際特許分類】
   C03B 5/08 20060101AFI20160711BHJP
   F27B 14/20 20060101ALI20160711BHJP
   F27D 21/00 20060101ALI20160711BHJP
【FI】
   C03B5/08
   F27B14/20
   F27D21/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-19122(P2015-19122)
(22)【出願日】2015年2月3日
(71)【出願人】
【識別番号】509352945
【氏名又は名称】田中貴金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000268
【氏名又は名称】特許業務法人田中・岡崎アンドアソシエイツ
(72)【発明者】
【氏名】吉田 弘
(72)【発明者】
【氏名】濱田 登喜夫
【テーマコード(参考)】
4K046
4K056
【Fターム(参考)】
4K046BA08
4K046EA06
4K056AA05
4K056BA03
4K056CA10
4K056FA27
(57)【要約】      (修正有)
【課題】白金または白金合金製の坩堝からのガラス漏れを迅速に検知可能なガラス漏れ検知技術を備えたガラス溶解装置を提案する。
【解決手段】ガラスを溶解するための白金または白金合金製の坩堝2と、坩堝2の外側を覆う耐火製保護容器3とを備えるガラス溶解装置1において、溶融したガラスが坩堝2から漏れた際に、漏れた溶融ガラスが接触することにより漏れ検知電流を検出することができるガラス漏れ検知手段5を設けたガラス溶解装置1。坩堝2の外周全周に沿って設置された検知ワイヤーW2を持つガラス溶解装置1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスを溶解するための白金または白金合金製の坩堝と、当該坩堝の外側を覆う耐火製保護容器とを備えるガラス溶解装置において、
溶融したガラスが坩堝から漏れた際に、漏れた溶融ガラスが接触することにより漏れ検知電流を検出することができるガラス漏れ検知手段を設けたことを特徴とするガラス溶解装置。
【請求項2】
ガラス漏れ検知手段は、導電性の漏れ検知用ワイヤーから形成されている請求項1に記載のガラス溶解装置。
【請求項3】
導電性の漏れ検出ワイヤーは、白金または白金合金製である請求項1または請求項2に記載のガラス溶解装置。
【請求項4】
ガラス漏れ検出手段は、一対の漏れ検知用ワイヤーから形成され、一方の漏れ検知用ワイヤーが坩堝に接続されており、他方の漏れ検知用ワイヤーが坩堝と耐火製保護容器との間に配置されており、
坩堝と耐火製保護容器との間に配置された漏れ検知用ワイヤーに漏れた溶融ガラスが接触した際に、漏れ検知電流を検出するようにした請求項2または請求項3に記載のガラス溶解装置。
【請求項5】
ガラス漏れ検出手段は、一対の漏れ検知用ワイヤーから形成され、一対の漏れ検知用ワイヤーは坩堝と耐火製保護容器との間に配置されており、
一対の漏れ検知用ワイヤーに漏れた溶融ガラスが接触した際に、漏れ検知電流を検出するようにした請求項2または請求項3に記載のガラス溶解装置。
【請求項6】
坩堝と耐火製保護容器との間に、緩衝材が充填されている請求項1〜請求項5いずれかに記載のガラス溶解装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白金または白金合金製の坩堝を用いてガラスを溶解するガラス溶解装置に関し、坩堝の破損などにより溶融したガラスが坩堝から漏れた際に、そのガラス漏れを検知することが可能なガラス溶解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ガラス製品を製造する際には、白金または白金合金製の坩堝を備えたガラス溶解装置が用いられている(例えば、非特許文献1、特許文献1参照)。このガラス溶解装置では、ガラスの溶解温度が800℃〜1700℃とかなりの高温のため、坩堝の外側が耐火物などにより覆われている。そのため、坩堝が破損したような場合に、溶融したガラスが坩堝から漏れ出したことを、ガラス溶解装置の外側から確認することは困難である。このような溶融ガラスの漏れ出しが発生すると、装置自体の破損や製造工程の停止、火災事故などの過大な被害が生じる。
【0003】
ところで、水などの液体による水漏れやガスなどの気体によるガス漏れに関しては各種の検知器が提供されている。しかしながら、ガラス溶解装置におけるガラス漏れを検知する技術については、本発明者等の知る限りにおいて、何ら提案されていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Platinum Metals Review Vol.1 No.2 pp44-48 (1957)
【特許文献1】特開2000−344593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような事情のもとになされたもので、白金または白金合金製の坩堝を備えたガラス溶解装置において、坩堝からのガラス漏れを迅速に検知可能なガラス漏れ検知技術を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、溶融したガラスの特性に着目し、坩堝から漏れ出したガラスを迅速に検知する手法を見出し、本発明を想到するに至った。
【0007】
本発明は、ガラスを溶解するための白金または白金合金製の坩堝と、当該坩堝の外側を覆う耐火製保護容器とを備えるガラス溶解装置において、溶融したガラスが坩堝から漏れた際に、漏れた溶融ガラスが接触することにより漏れ検知電流を検出することができるガラス漏れ検知手段を設けたことを特徴とする。
【0008】
ガラスは、その成分として酸化シリコン(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化カルシウム(CaO)などを含み、そのほとんどは金属酸化物を構成成分とするので、温度が低い状態では、通常のガラスそのもの性質、つまり、硬くて脆く壊れやすく、電気伝導性がないことが知られている。ところが、温度が上昇すると、粘度が低下して電気的導電性を有したガラス特性を示すようになる。
【0009】
そこで、本発明では、溶融したガラスの電気的導電性を利用して、溶融したガラスが坩堝から漏れた際に、溶融ガラスが接触すると、漏れ検知電流が流れだす構造を有するガラス漏れ検知手段を設けることにより、ガラス溶解装置におけるガラス漏れを、迅速に検知できる技術を確立した。
【0010】
本発明のガラス漏れ検知手段は、導電性の漏れ検知用ワイヤーから形成されていることが好ましい。ガラス漏れ検知手段としては、溶融したガラス(以下、単に溶融ガラスとする場合がある)の接触により電流が流れる回路を形成するために、溶融ガラスとの接触部分には導電性材料により形成する必要がある。この溶融ガラスとの接触部分の形状には、特に制限はなく、例えば、板状や容器状の形状の導電性材料を採用してもよい。様々な形状に変形が容易で、装置への配置などが簡易に行える点から、導電性の漏れ検知用ワイヤーを採用して、ガラス漏れ検知手段を形成することが好ましい。
【0011】
本発明における導電性の漏れ検出ワイヤーは、白金または白金合金製であることが好ましい。溶融ガラスは高温状態であるため、ガラス漏れ検知手段を形成する場合には、白金または白金合金製のワイヤーを用いることが好ましい。
【0012】
本発明におけるガラス漏れ検出手段は、一対の漏れ検知用ワイヤーから形成され、一方の漏れ検知用ワイヤーが坩堝に接続されており、他方の漏れ検知用ワイヤーが坩堝と耐火製保護容器との間に配置されており、坩堝と耐火製保護容器との間に配置された漏れ検知用ワイヤーに漏れた溶融ガラスが接触した際に、漏れ検知電流を検出するようにすることが好ましい。このような一対の漏れ検出ワイヤーの1本を坩堝に接続し、他方の1本を坩堝と耐火製保護容器との間に配置するだけでよいため、既存のガラス溶解装置を、本発明に係るガラス溶解装置に容易に改造することができる。
【0013】
この一対の漏れ検出ワイヤーのうち、坩堝と耐火製保護容器との間に配置するワイヤーについては、その配置形態に制限はない。例えば、ワイヤーを渦巻き状に変形して坩堝の底の下方に配置したり、坩堝外側の全周を覆うようなカップ形状、つまり、ワイヤーによるカップ状の編込み構造容器を形成し、この容器状のワイヤーを坩堝と耐火製保護容器との間に配置したりすることができる。要は、坩堝から漏れだした溶融ガラスが容易に接触しやすい状態に、漏れ検出ワイヤーを配置することが望ましい。尚、このようなワイヤー形状を採用する場合、ワイヤーの保護や接触防止にために、絶縁管を貫通させて使用することも可能である。
【0014】
また、本発明におけるガラス漏れ検出手段は、一対の漏れ検知用ワイヤーから形成され、一対の漏れ検知用ワイヤーは坩堝と耐火製保護容器との間に配置されており、一対の漏れ検知用ワイヤーに漏れた溶融ガラスが接触した際に、漏れ検知電流を検出するようにすることが好ましい。例えば最近のガラス溶解装置として、白金または白金合金製の坩堝に、直接通電加熱するような場合、漏れ検知ワイヤーを坩堝に接続することが困難な場合、一対の漏れ検知ワイヤーを坩堝と耐火製保護容器との間に配置することで、溶融ガラスの漏れを検知することができる。この場合、一対の漏れ検知ワイヤー同士が直接接触して導通状態となることを防止するために、2つ穴の絶縁管を用いることが望ましい。また、配置する一対の漏れ検知ワイヤーの形状についても、特に制限はなく、渦巻き状に変形して坩堝の底の下方に配置したり、坩堝外側の全周を覆うように配置することができる。
【0015】
尚、本発明に係るガラス溶解装置では、一対の漏れ検知ワイヤーを用いた構造を説明しているが、3本以上の漏れ検知ワイヤーを使用する場合を除外するものではない。
【0016】
本発明におけるガラス溶解装置では、坩堝と耐火製保護容器との間に、緩衝材が充填されていることが好ましい。白金または白金合金製の坩堝を備えたガラス溶解装置においては、坩堝と耐火製保護容器との間に、アルミナ粉などの緩衝材を充填して、耐火製保護容器に坩堝を固定することが行われているが、この緩衝材の中に漏れ検知ワイヤー配置することで、容易に本発明に係るガラス溶解装置にすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ガラスの溶解を行っている際に、坩堝が破損し溶融したガラスが坩堝から漏れ出しても、迅速にその漏れ現象を確認することができるので、装置自体の破損や製造工程の停止などの過大な被害が発生することを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第一実施形態に関するガラス溶解装置の断面概略図。
図2図1のX−Xの断面図。
図3】第一実施形態に関するガラス溶解装置の断面概略図。
図4】第二実施形態に関するガラス溶解装置の断面概略図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、以下の実施形態においてはビーカー型の白金製坩堝を使用したガラス溶解装置を例に説明しているが、このビーカー型の白金製坩堝を備えるガラス溶解装置に、本発明を限定するものではない。例えば、坩堝形状が船形の清澄槽やポット型の撹拌槽などの異なる構造を備えたガラス溶解装置にも本発明が適用できるものである。
【0020】
第一実施形態:この第一実施形態では、一対の漏れ検知ワイヤーの一本を坩堝に接続する構造のガラス溶解装置について説明する。図1図3に、第一実施形態に関するガラス溶解装置の断面概略図を示す。
【0021】
図1に示すガラス溶解装置1は、ビーカー型の白金製の坩堝2とその坩堝2を収納できる耐火製保護容器3とからなり、坩堝2と耐火製保護容器3との間には、緩衝材としてアルミナ粉4が充填されている。
【0022】
図1のガラス漏れ検出手段5は、一対の漏れ検知ワイヤー(W1、W2)と漏れ検知電流を検出するための導通信号検知器Sとから構成されている。この漏れ検知ワイヤーは、白金製のものを用いた。一方側の漏れ検知ワイヤーW1は坩堝2に接続されており、他方側の漏れ検知ワイヤーW2は坩堝2と耐火製保護容器3との間に配置されている。
【0023】
図2には、図1における矢印X−Xの断面を示す。坩堝2と耐火製保護容器3との間に配置された漏れ検知ワイヤーW2は、渦巻き状にされて坩堝2底部の下方に配置されている。
【0024】
図3には、図1とは異なる構造のガラス溶解装置を示す。この図3では、坩堝2と耐火製保護容器3との間に配置された漏れ検知ワイヤーW2が、坩堝2の外側の全周にわたって配置されるようにしたものである。坩堝2の外側の全周にわたって漏れ検知ワイヤーW2が配置されるようにするために、白金製ワイヤーによりカップ状の編込み構造容器を形成し、カップ状の編込み構造容器を坩堝2と耐火製保護容器3との間に配置した。
【0025】
第二実施形態:この第二実施形態では、一対の漏れ検知ワイヤーを、坩堝と耐火製保護容器との間に配置した構造のガラス溶解装置について説明する。図4に、第二実施形態に関するガラス溶解装置の断面概略図を示す。
【0026】
図4に示すガラス溶解装置では、ガラス漏れ検出手段5が一対の漏れ検知ワイヤー(W1、W2)と漏れ検知電流を検出するための導通信号検知器Sとから構成されているが、この一対の漏れ検知ワイヤー(W1、W2)が坩堝2と耐火製保護容器3との間に配置されている。また、この一対の漏れ検知ワイヤーは、ワイヤー同士の直接接触による導通を防止するために、二つ穴の絶縁管6を用いて、複数の絶縁管6にワイヤーを貫通させた状態となっている。尚、図示は省略するが、この第二実施形態においても、坩堝2と耐火製保護容器3との間に配置する一対の漏れ検知ワイヤーの形状を、図2で示したような渦巻き状にすることができ、また、図3のように、坩堝2の外側の全周にわたって配置することができる。
【0027】
上述した第一及び第二実施形態のガラス溶解装置を用いてガラスの溶解作業を行ったところ、ガラス漏れが発生した際に、直ちに導通信号検知器Sの反応により、ガラス漏れの発生を確認できた。また、図3のように、坩堝の外側の全周にわたって漏れ検知ワイヤーを配置した場合、僅かなガラス漏れであっても確実にガラス漏れ状態を把握することが可能であった。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明によれば、ガラスの漏れ現象を、迅速にかつ確実に確認することができるので、装置自体の破損や製造工程の停止並び火災のような重大事故などの過大な被害が発生することを効果的に防止して、ガラス製品の効率的な製造が可能となる。
【符号の説明】
【0029】
1 ガラス溶解装置
2 坩堝
3 耐火製保護容器
4 アルミナ粉
5 ガラス漏れ検知手段
W1、W2 漏れ検知ワイヤー
図1
図2
図3
図4